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明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターX(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

 明日と聞けば誰でも未来を明るいものと見做す。これがポピュリズムの反映である。然しサブタイトルにはーが入りーの後には1945年8月8日・長崎―と入る。タイトルが見事に示しているように今作の本質はこの点に在る。
 Bチームに出演もしているが、今作の脚本・演出を担ったのは女優として活躍してきた森下知香さん。初演時も一所懸命に取り組んでいらしたが、今再演では、原作の読み込みが更に深くなっていた。脚・演出がことと相俟って照明は無論のこと舞台美術、音響も実に良い。(追記2020.9.27:02:34・華5つ☆)
 

ネタバレBOX

 ファーストシーンは佐世保空襲である。現在にも引き継がれる佐世保の軍事施設は、無論この地が良港を持ち海軍基地としてふさわしい地の利であること。それ故、軍・軍需産業が密集し易いことに因っていよう。ファーストシーンにこの情景が描かれていることは極めて示唆的である。
 ところで原作にも書かれているのだろうが、所謂日本庶民の最も嫌らしい側面も、近所の主婦が石鹸を強奪してゆくシーンに端的に表されている。妹の結婚式に身重の体で参加した姉の居る直ぐ傍らでこのシーンが展開することの何という悍ましさ! 佐世保の空襲でトラウマを負った姉の姿を通して弱者にしわ寄せが最も端的に現れる戦争というものの悲惨と酷たらしさ、その酷さの意味する所を家族・親族の男衆は分かっておらず、特に父は封建的な価値観から抜け出ることもできなければ基本的には親族一同も体裁を整えることから逃れ得る程の本質的思考をすることが出来ていない。この点最もラディカルなのは、若夫婦であろう。新郎・新婦共に新婦の父の持つ価値観である封建制からは最も遠く、父より叔父と叔母の方がリベラルであるが、叔父よりは叔母がよりリベラルという具合で新郎・新婦についてもこの傾向は成立する。但し新郎は内気なので余り彼の賢さを表に出すことはしないということが、新婦の元彼であり、結婚式にも参列してくれた新郎唯一の友との関係を気付いていながら、結婚した新婦のみに明かす点から観ても明らかである。然し乍らまあ、この辺りは序論と展開部だ。肝心なのは、脱走した新郎唯一の友が最後の一夜を共にした将校未亡人との経緯である。殆どの観客が意識しないか理解できなかったであろう一夜を共にした大切な男を何故射殺したのか? についてだ。戦争未亡人は、決して娼婦では無い。傍目からどう見られ噂されようともプライドの高い賢い女性である。従って同衾したのは決して彼女の意志に反していない。であるなら何故、彼女は彼を射殺するに及んだのか? 今回、森下さんの演出は、その答えを出せる所迄踏み込んでいた。以下、自分の解釈である。二人は二人とも地獄を歩んでいた。因みに地獄とは、自分の主義主張を守る為に拷問に耐えることだけでは無い。不合理・不条理を明晰に見据えつつ、己の力不足の為変革できないことを己の思考に食い込む錐そのもの、つまり明晰そのものとして認識することである。男は、あの朝、長崎に原爆が落とされることの意味を知り、女は米軍の警告のビラによって原爆(新型爆弾・ピカドン)が長崎にも落とされることを知っていた。而も最後に愛した男が、それ故に地獄の庭でのたうっていることも分かっていた。彼女は、愛するが故に男を射殺した。何故なら、それが最後の最後に彼が受任せねばならぬ最悪の地獄だと知っていたからだ! 彼をこの意味で救ったのは、彼女の菩薩性というより男という性に対する女性の本来的な菩薩性にあると自分は考えている。
Killing Moon

Killing Moon

DANCETERIA-ANNEX

WAKABACHO WHARF 若葉町ウォーフ(神奈川県)

2020/08/29 (土) ~ 2020/09/01 (火)公演終了

満足度★★★★★

コロナ禍という事もあり消毒や距離等様々な工夫が見られ、安心して感激出来ました。

Killing Moon

Killing Moon

DANCETERIA-ANNEX

WAKABACHO WHARF 若葉町ウォーフ(神奈川県)

2020/08/29 (土) ~ 2020/09/01 (火)公演終了

満足度★★★★★

テンポがいいから見ていてぜんぜん飽きなかった。
こう言う舞台作品て結構希少。

後は寺田さんが可愛かった。
それと寺田さんが可愛かった。

かがみの孤城

かがみの孤城

ナッポス・ユナイテッド

サンシャイン劇場(東京都)

2020/08/28 (金) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

順調に9月の3本目。
分類するとファンタジー少しだけミステリーとなるだろうか。久しぶりに演劇らしい演劇を観た気がする。少なくとも9月の2作は観客を選ぶというか作者が作りたいように作った作品だった。本作は原作が本屋大賞をとったこともあってサービス精神に溢れている。何か変だなあと感じたらそれは伏線で終盤に回収されることになっている。あ、もちろん「どうして鏡の中に入れるの?」といった根本的な疑問はグッと飲み込むしかない(笑)。もっとも長編小説を2時間の舞台にしたのでナレーションが多いなど窮屈なところはある。しかし年寄り頭でも理解に苦しむことはなかった。

生駒里奈さんはNo1グループのセンターとしてはオーラの薄いアイドルであったがそれが幸いして本作のようなしっかりした心を持ちながらもそれを表に出せない、あるいは出さない中学生役にはピッタリである。またこの孤城の中では集められた7人は対等なので生駒さん一人が目立ってしまってはいけない。そういう点でも望ましい特質である。

フェースシールドのせいか全体にセリフの明瞭度が落ちていた。とくに早口で強くいうところはかなり聞きづらい。少しトーンを抑えてゆっくり目にしゃべった方が良いと思う。

コロナのせいで席は一つおき、空いている席に荷物を置いて両方のひじ掛けを独り占めして観劇するなんてコロナ終息後には味わえなくなる贅沢である。思えば夏の小劇場、汗っかきで横幅の広い人の隣になって俺何か悪いことしたっけと泣きたくなったことのあるあなた、今は天国です。

GIRLS TALK TO THE END

GIRLS TALK TO THE END

藤原たまえプロデュース

千本桜ホール(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

ついたてにビックリ!!!
今回の目玉はこれか!  インパクトあり。
業界初。他の芝居でも、まだ、見たことはない。
いままでと違う、作風と聞いていたので、興味津々だった。
(落ち)がスゴかった。うわー、っていう感じ。
すごーくおもしろかった。
ダンスと、ダンスの曲がよかった。
曲は、アニメの(おそまつさん)の主題歌に似ていて、楽しそうで好きです。

以下、ネタバレに記しますが。

ネタバレBOX

一緒に来ていた男性から一言。タベセンがうらやましい。タベセンになりたい。タベセンがどんな人か、気になって仕方なかった。と言っていました。
IN HER TWENTIES 2020

IN HER TWENTIES 2020

TOKYO PLAYERS COLLECTION

シアター風姿花伝(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/09/04 (金) 20:00

開演から芝居に引き込まれました。
各年齢の色がパステルカラーで美しい20代の輝きを発していた。

ネタバレBOX

対面して話しているかの様で、すれ違う台詞が面白かったです。
星の数ほど星に願いを

星の数ほど星に願いを

プラグマックス&エンタテインメント/S・D・P/サンライズプロモーション東京

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2020/08/27 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★

前情報もなく、フラッと観に行った。
ナンセンスギャグは好きなものも多くあったけれど、ひとつの芝居としてはあんまり好みじゃなかった。
はじめから終わりまで、社長さんがツボだった。

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)

演劇企画イロトリドリノハナ

シアターX(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

ずいぶん前に読んだ小説の舞台化。それも再演である。初演も観ているが、劇場が変われば舞台印象も変わる。
初演に比べ横に広がりのある舞台は、物語の中心にある家族と、それ以外の情景を上手く描き分け、当時の状況・情景に広がりと奥深さを表す。
(途中休憩を含め2時間15分) 【Aチーム】

ネタバレBOX

タイトルとサブタイトルから、公演の内容はほぼ把握できる。物語は終戦間際の1945年8月8日の長崎の情景。「明日」とは長崎に原爆が投下された8月9日のこと。カタストロフを「明日」に控えた大戦末期の長崎の一日を淡々と描く。戦時中とはいえ、空襲はわずかだけという台詞から、明日がくるものと信じている人々。しかしその日常生活が一瞬にして奪われる。

初演に比べ広がりのある舞台だけに、上手・下手側に異なる情景を描き出す。まず、上手側では戦時下のおける人々の暮らし、それを点描していく。一方、下手側は三浦家の居間(結婚式)であったり、三浦ヤエと中川庄治の新婚家庭といった個人の心情を深堀する場面を展開する。上手・下手側の間には階段があり街路を思わせる。この昇り降りが淡々と描かれる暮らしの中に、わずかではあるが生活(躍動)感をもたらし、単調にさせない工夫を凝らす。また原作でも重要な”赤い月”をうまく照明を用いて、これから起きる悲劇を連想させる。やはり演出、舞台技術は素晴らしく、それを可能にしている舞台美術。それを劇場に応じて作り込む巧みさ。

現実に密着した原作の舞台化、日常生活の背後に崩壊の予想を観ることになる。実は、今を生きる(演じている)人は8月9日の出来事を知っているが、原作(登場)人物はその予想ができず日常生活をごく当たり前のように送っている。その既知とまだ「明日」がくると信じている当時の人々の認識を埋めることは難しい。というか出来ないのではないか。だからこそ、描いている日常生活に敢えて異様な緊迫感を持たせるのは相当に難しい(小説ならば想像するが)。

物語は結婚式を中心に、そこに列席した人達の生活等を次々と点描していく。それを通して各人が置かれている立場や抱えている心情がエピソード的に紡がれる。その語りは長崎の方言を用い、臨場感を漂わす。彼の地にいるようなリアリティを演出する上手さ。
戦時下の生活は、最低最悪としての日常も現す。それは人への妬み(夫が戦地に出征しない)や、配給への強欲(嫌み)など、逆境ゆえに露わになる人間相互の不信感や排斥。普通(平時)の正義や正論では論じきれない悪意が現れるのも「戦争」ではなかろうか。本公演は、上手側での点描を通して戦争の不条理を浮かび上がらせていた。

同時に全編を通して人の”生”の尊さも描いている。むしろ、本筋はそちらにあると思っている。公演では、下手側を中心にヤエの姉の出産(お手玉エピソード等を交えて)までを描く。小説では8月9日の未明に男の子が生まれている。そしてその数時間後に原爆が投下されるという不条理。初演ではラストを出産シーン+朱色照明(被爆イメージ)で余韻を残した。本公演では妊婦姿の姉は観られるが、”生”の尊厳が弱いというかあまり感じられなかったのが少し残念。

この”生”が物語の根幹で、出産までの過程を縦軸とすれば、結婚式の参列者の点描が横軸。この両軸がもう少し相乗的に戦争=不条理を描き出せたらと思う。
とは言え、小説の読み想像させる世界とは違い、舞台は観客の意識に関係なく視覚的に当時の情景を引っ張り込む。そこに小説では味わえない舞台の醍醐味をみた、そして感じた。
次回公演も楽しみにしております。
ひとよ

ひとよ

KAKUTA

本多劇場(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

文字では口コミでは伝わらない、生で観ても受け取る距離感で変わる怒涛の感情表現

ひとよ

ひとよ

KAKUTA

本多劇場(東京都)

2020/09/03 (木) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

このコロナ規制が行われているさなかに、小劇場がかなり大きな箱で公演するという勇気にまず敬意を表しよう。演目に劇団の三演円目になる代表作を選んだのも見識である。
苦難の時期に代表作で勝負しようという心意気。戯曲は、現在の世相をよくとらえていて、ドメスティックバイオレンスから生じた夫殺しを軸に、地方都市の生活の実感(犯罪者への差別、偏見、問題を抱えてここに流れ着く他郷からの流れ者への対応)を小さな家族営業のタクシー会社を舞台に一つの家族に集約した秀作で、11
年初演、15年の再演(共に主演は岡まゆみ)、も、どこかで受賞していると思う。戯曲は時々に代わっているのであろうが、難しい素材を巧みに処理した現代劇の秀作である。さらに映画では、若い白石和弥監督が主演者に田中裕子を迎えて優れた映画作品を創り上げている。
今回の公演は主演に渡辺えりを迎えている。その功罪が今回の公演の全てのような出来である。確かに、今の社会環境の中で、夫殺しの犯罪者を出した家族の生き方は、ことに地方都市では気の重いものであろう。夫殺しの原因が家庭内暴力であり、そのことで青春期にあった家族それぞれがその負荷を追っていくとは苦難の道であったろう。主人公もそれを見越して、刑期を終えた後、八年間も故郷に戻ってこなかった。
その苦しみと、家族の運命の重さが、渡辺えりのガラに合わないのである。何事もなかったように家業の中に戻っていくところなどは、この女優のガラがあってこそ成立するのだが、それが戯曲の新しい狙いになったとは思えない。
コロナ禍の中で、あまり重いテーマでは、と考えたのだろうが、その配慮が裏目に出た。幕切れの渡辺えりの号泣が何のための号泣なのか観客につかめない。家族それぞれの生き方が変わった「母」への思いもよく伝わらない(登場人物13名は一人づつよくかけているが少し多いか)
一夜は何があっても物理的には一夜でしかないが、それを受け取る個人になるとその長さと重さはそれぞれである、というようなせりふが最後に出てくるが、そんな相田みつおみたいな言葉よりも深いシチュエーションが舞台では提示されている。

星の数ほど星に願いを

星の数ほど星に願いを

プラグマックス&エンタテインメント/S・D・P/サンライズプロモーション東京

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2020/08/27 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2020/09/03 (木) 19:00

観客の数が多ければ中には笑い上戸の人もいて、随所で笑いが起こって盛り上がるんでしょうが、コロナ禍で客席はスカスカ。殆ど罰ゲームのようなステージでした。それでもめげずに最後まで全力でやり遂げた役者はブラボー。

IN HER TWENTIES 2020

IN HER TWENTIES 2020

TOKYO PLAYERS COLLECTION

シアター風姿花伝(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★

9月2本目の観劇。
舞台上手手前から下手手前にかけて半円形に10個の椅子を並べ、反時計回りに20歳から29歳までの主人公役の女優さんが座る。20歳から順に立ち上がって自分のことを語り、過去と未来の自分から突っ込まれるという作りになっている。担当でない年齢の時は友人や同僚役などをも演じる。これが最近ボケの進んだ老人の頭を大いに混乱させてくれたが若い人なら大丈夫だろう。

まあしかし何も大きな事件は起こらない。これならここにいる女優さん達の半生の方がよほど起伏に富んでいるのではないだろうか。今の若い人はそういう現実感のある話の方が共感できて評価するみたいだ。それにしても葛藤がないというか努力が足りないというか、ふあっと流されて行くように見える。それとも努力していることをたとえ物語でも表には出さないというのが現代の若者流なのか。何か年寄りには物足りないので星3つとなる。しかし、24歳役の榎木さりなさんは今田美桜と上戸彩を足して2倍したくらい可愛く美しい。私の子犬のように繊細なハートはいつの間にか盗まれてしまっていた。星1つアップするので返してほしい。

湖国への約束

湖国への約束

チエノミ

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2020/08/28 (金) ~ 2020/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

本来なら観ること叶わなかったはずの、東京での公演。
有難いことにZOOM生配信をしてくださったおかげで、リアルタイムに観劇できました。
3方向からのアングルを、視聴者側で自在に切り替えできるという画期的試み。
わたしはあえての下手アングル固定で、下手最前列に座って観劇してる感覚を味合せて頂きました。
これが驚く程に臨場感があって、まるで本当にそこに座って観ているかのような気持ちに。
観てる間、わたしはすっかり高円寺に居ました、感激。

ネタバレBOX

シュワシュワシュワ、蝉の鳴き声に一気に作品世界に心が連れていかれる。
蝉の声、台詞に潜ませられる風景描写、脳裏に鮮やかに景色が広がる。
この舞台の詳細を知ってから、鬼の居ぬ間にがどうしても気になって気になって、舞台映像をひとつだけ観させていただきました。
それがものっすごく恐ろしい作品で…、その印象がこびりついていたのですが。
チエノミでは全然違って、健全で瑞々しくて驚きました。
それでも心情の丁寧な紡がれ方や描写の鮮明さは同質で根っこは同じ。

作品舞台は明治時代、どちらもご両親に大切に育てられた女学生親友ふたり、汽車を待ちながら語り合う。
この時代、女はこうであらねばならない、男とはこうであらねばならない、そういう枠決めが今よりずっと強かった時代。
それに抗うのは人生を賭ける覚悟がいる時代。。。
二人とも夢を持ってた、けれども卒業を控え子供から大人の女性になる時期、女としての生き方に押し込められる現実が迫ってくる、夢を手放さなければならない現実がすぐそこに。
その憤り、恐ろしさ、そして諦念…ふたりは互いにぶつけ合う。
心から信頼する相手だからこそ、甘えを見せられる相手だからこそ、ぶつけても受け止めてくれる相手だからこそ、話して聞いてもらって。
そして受け入れる、決して後ろ向きではなく、とても前向きに、未来を向いて。
どちらもお見合いを控えているけれど、きっとずっと仲良くしましょうねと、子どもの代まで仲良くしましょうねと、子どもの代に夢を託して。
湖国への約束、それは自分達の人生が小さな池ではない、でっかいでっかい湖なのだと、でっかい湖みたいな人生、湖を想いながらの未来への約束。
なんだかこの二人なら本当にでっかい湖を眺めに、はるばる琵琶湖まで行っちゃいそうだ。

もうなんだか、この二人の互いへの無条件の信頼がやり取りから滲み出てくる感じが、微笑ましくて可愛らしくて、にこにこしてしまってました。
結構な激しさで罵り合ってる時でさえも、にこにこ。
だってそれでも二人のこの間柄が変わらないのは伝わってくるもの。
頑張れ~!って応援したくなっちゃう。
でも、そうだなぁ…そこにはちえちゃんへの気持ちも上乗せされてるかもしれない、と今思いました。
最後、ふたりで頭下げて、最後去り際にもう一度ちえちゃんがスッと頭下げた瞬間に、何の意識もせずにツーっと涙が流れました。
観られて嬉しかった、またお芝居する姿観られて嬉しかった。
ありがとう。。。

余談ながら、作中で幾度も出てきた「はぶけとる」が、はぶけとる?何?一体どういう意味??と気になり過ぎたので、調べてみました。
知らない言葉に触れることができる、方言芝居の面白味。
King of Mask

King of Mask

劇団スクランブル

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

相変わらずの面白さ。とてもよかったです。いつもより少し短めの内容ながら、まとまっていたと思います。中根さんや、もみさんのいつもの感じのお芝居も安心して見られてよかったです。次回も楽しみにしています‼️

IN HER TWENTIES 2020

IN HER TWENTIES 2020

TOKYO PLAYERS COLLECTION

シアター風姿花伝(東京都)

2020/09/02 (水) ~ 2020/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/09/03 (木) 17:00

10人の女優さんたちが、各々、個性を発揮しながら、それらが調和した素敵な舞台でした。

一重まぶたでごまかせたなら

一重まぶたでごまかせたなら

GORE GORE GIRLS

駅前劇場(東京都)

2020/08/13 (木) ~ 2020/08/17 (月)公演終了

満足度★★★★

丁度いい感じの面白さでした。

ネタバレBOX

一重まぶたにコンプレックスを抱いている人たちのグループがあり、一重を生かしたバイトをしたり、強い意識を持ったりすることで克服しようとしてきたものの、結局のところリーダー的存在の人物が二重手術を受けちゃったという話。

困った事があると何かに執着することで自分の殻に閉じこもるという体質、しかもそれがブロッコリーを茹でる作業というところが面白く、掴みはOKでうした。一重の人は二重の人の半分しか見えていないというのは凄い発想です。

肉体的コンプレックスには様々なものがあり、色々なストーリーが考えられると思いますが、一重をテーマにしところが可愛らしく、下卑ず、良かったと思います。大声を怖がる人など、一人ないし二人いなくてもいいのではないかとは思いました。

擬鯛

擬鯛

鯛プロジェクト

新宿スターフィールド(東京都)

2020/08/29 (土) ~ 2020/08/31 (月)公演終了

先日見たライブ配信よりは前の席の人の頭が少なかったのは、劇場の作りによるものでしょうか。
青い光に浮かぶ舞台が幻想的でした。

女々しき力プロジェクト〜序章『消えなさいローラ』

女々しき力プロジェクト〜序章『消えなさいローラ』

オフィス3〇〇

本多劇場(東京都)

2020/08/21 (金) ~ 2020/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★

いろんな作品へのオマージュを込めた別役実の隠れた秀作。なんといっても別役にしては分かりやすい。ローラが、帰ってこないトムを待つのは「ゴドーを待ちながら」のよう。母親がすでに死んでいて、ローラがその遺体を母の椅子に座らせたままでいるのは、ヒッチコック「サイコ」のよう。そして「ガラスの動物園」のパーティーの後片付けをしないまま、時が止まった家は、ゴシックホラーのようであった。テーブルの上の干からびたお茶やパン粉を食べさせる、渡辺えりと尾上松也のやり取りが、ユーモラスで面白く、大いに笑えた。

最初は、渡辺えりが演じるのはローラなのか、母親なのか、一人二役なのか、そういうもやもやから入るけれど、すぐに、これはローラの二重人格化とわかってくる。そういう謎ときの要素、過去の輝いた瞬間から抜けられないローラのいじらしさ。そして最後に尾上松也が明らかにするトムの死。切ない芝居であった。

ネタバレBOX

最初に、尾上松也がトム役を舞台で演じるのは、渡辺えりの新演出。台本では、舞台奥から声だけとある。
三谷文楽『其礼成心中』

三谷文楽『其礼成心中』

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2020/08/13 (木) ~ 2020/08/20 (木)公演終了

満足度★★★★

よかったです。三谷幸喜らしいパロディがうまく成功していた。曽根崎の森の饅頭屋が、「心中店の網島」を書いた近松に文句を言いに行くと、「俺に芝居を書いてほしければ、俺が書きたくなるような心中事件を起こして見ろ。それなりの心中、それなり心中」という展開に、笑ってしまった。

ネタバレBOX

それで、娘の商売敵のせがれとの「ロミオとジュリエット」的恋を心中に追い込むかというと、そこからもひねって、老夫婦が行き詰って、川に飛び込む。川の中の大胆な動き回りも、人形劇ならではの演出でよかった。その後も、かつての人助けが巡り巡って、老夫婦の再起を促すというハッピーエンド。「心中」ものだが、誰も死なない。めでたしめでたし。
Fly By Night~君がいた

Fly By Night~君がいた

conSept

シアタートラム(東京都)

2020/09/01 (火) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

コンパクトながら心にしみるミュージカルでした。福井晶一演じる父・マックラムのクライマックスの歌がいい。亡妻とのなれそめを歌う「セシリー・スミス」、そしてベルディ「椿姫」から「乾杯の歌」。オペラは苦手という無骨な男も、好きな女性と見るオペラは別。「何を聴くかより誰と聞くかよ」の歌詞がしみます。「人生は誰と歩くかが大事」というセリフもよかった。二人の女優の歌もよかった。狂言回しの原田優一が、姉妹の母親役、怪しい女占い師役、その他を当意即妙に演じ分け、コミカルにテンポよく物語を進めて、飽きさせない。芸の幅が広くて感心した。

最後の停電の日に、停電のおかげでマックラムは命を救われ、ミリアムの受けた占いの「527」の本当の意味も明らかになる。

子供のハロルドが停電を怖がった時、機転の利く母親がやった、目隠しして10数えるというおまじないにも、人生の智恵があった。目隠しの闇に比べると、停電しても少しの明るさが強く感じられ、怖くなくなると。光を感じるには「闇」を知らねばならないということだし、もっとる来事を考えれば、日常の幸福を感じ取ることができるということである。

「停電があるから光が必要なように(?)、闇があるから希望が必要だ」という科白はベタな分引用しやすいが、上記のおまじないの方が深みがある。

ネタバレBOX

予言の「Great Fall」が本当に起きるとは、予想を裏切られた。何か別の出来事が「大いなる転落」とはこれか、と、喜劇になると思っていたら、意外や悲劇は本当に起きる。そこが感動だった。期待・予想を裏切られるところで、物語の印象はぐっと深みを増す。

残された二人が結ばれるのか、そこはあいまいなまま幕を閉じる。あれで単純に二人がよりを戻すと行かないのは当然のこと。と同時に救いのない終わりにもしない。未来をあれこれ想像させる、空白のあるエンディングがよかった。

オフブロードウエイの録音がアップされているので参考までに。
ウミガメの歌 Circles in the Sand https://www.youtube.com/watch?v=yzCuuFsB9PA
セシリー・スミス Cecily Smith https://www.youtube.com/watch?v=bAfnWMd3flE

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