湖国への約束 公演情報 チエノミ「湖国への約束」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    本来なら観ること叶わなかったはずの、東京での公演。
    有難いことにZOOM生配信をしてくださったおかげで、リアルタイムに観劇できました。
    3方向からのアングルを、視聴者側で自在に切り替えできるという画期的試み。
    わたしはあえての下手アングル固定で、下手最前列に座って観劇してる感覚を味合せて頂きました。
    これが驚く程に臨場感があって、まるで本当にそこに座って観ているかのような気持ちに。
    観てる間、わたしはすっかり高円寺に居ました、感激。

    ネタバレBOX

    シュワシュワシュワ、蝉の鳴き声に一気に作品世界に心が連れていかれる。
    蝉の声、台詞に潜ませられる風景描写、脳裏に鮮やかに景色が広がる。
    この舞台の詳細を知ってから、鬼の居ぬ間にがどうしても気になって気になって、舞台映像をひとつだけ観させていただきました。
    それがものっすごく恐ろしい作品で…、その印象がこびりついていたのですが。
    チエノミでは全然違って、健全で瑞々しくて驚きました。
    それでも心情の丁寧な紡がれ方や描写の鮮明さは同質で根っこは同じ。

    作品舞台は明治時代、どちらもご両親に大切に育てられた女学生親友ふたり、汽車を待ちながら語り合う。
    この時代、女はこうであらねばならない、男とはこうであらねばならない、そういう枠決めが今よりずっと強かった時代。
    それに抗うのは人生を賭ける覚悟がいる時代。。。
    二人とも夢を持ってた、けれども卒業を控え子供から大人の女性になる時期、女としての生き方に押し込められる現実が迫ってくる、夢を手放さなければならない現実がすぐそこに。
    その憤り、恐ろしさ、そして諦念…ふたりは互いにぶつけ合う。
    心から信頼する相手だからこそ、甘えを見せられる相手だからこそ、ぶつけても受け止めてくれる相手だからこそ、話して聞いてもらって。
    そして受け入れる、決して後ろ向きではなく、とても前向きに、未来を向いて。
    どちらもお見合いを控えているけれど、きっとずっと仲良くしましょうねと、子どもの代まで仲良くしましょうねと、子どもの代に夢を託して。
    湖国への約束、それは自分達の人生が小さな池ではない、でっかいでっかい湖なのだと、でっかい湖みたいな人生、湖を想いながらの未来への約束。
    なんだかこの二人なら本当にでっかい湖を眺めに、はるばる琵琶湖まで行っちゃいそうだ。

    もうなんだか、この二人の互いへの無条件の信頼がやり取りから滲み出てくる感じが、微笑ましくて可愛らしくて、にこにこしてしまってました。
    結構な激しさで罵り合ってる時でさえも、にこにこ。
    だってそれでも二人のこの間柄が変わらないのは伝わってくるもの。
    頑張れ~!って応援したくなっちゃう。
    でも、そうだなぁ…そこにはちえちゃんへの気持ちも上乗せされてるかもしれない、と今思いました。
    最後、ふたりで頭下げて、最後去り際にもう一度ちえちゃんがスッと頭下げた瞬間に、何の意識もせずにツーっと涙が流れました。
    観られて嬉しかった、またお芝居する姿観られて嬉しかった。
    ありがとう。。。

    余談ながら、作中で幾度も出てきた「はぶけとる」が、はぶけとる?何?一体どういう意味??と気になり過ぎたので、調べてみました。
    知らない言葉に触れることができる、方言芝居の面白味。

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    2020/09/03 21:38

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