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耳があるなら蒼に聞け・ハンズアップ2022

耳があるなら蒼に聞け・ハンズアップ2022

企画演劇集団ボクラ団義

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2022/03/19 (土) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『耳があるなら蒼に聞け~龍馬と十四人の志士~』

坂本龍馬を殺したのは一体誰なのか?慶応三年十一月十五日(1867年12月10日)、京都の近江屋にて暗殺された坂本龍馬(沖野晃司氏)と中岡慎太郎(大神拓哉氏)。『ハロー張りネズミ』の一篇を思い起こすようなミステリー。
1870年2月、箱館戦争にて捕らえられた元京都見廻組・今井信郎〈のぶお〉(竹内尚文氏)のもとに板垣退助(今井孝祐氏)と謎の女(森岡悠さん)が現れる。「誰が坂本龍馬を斬ったのか?」。今井信郎は「その日現場に居て全てを見ていた」と語り出す。そこで彼が見た事実とは日本の歴史が引っ繰り返るような驚愕の光景・・・。

緑谷紅遥さんが可愛かった。

ネタバレBOX

話は興味深いのだが登場人物が多過ぎて回りくどく長い。タイトルは龍馬暗殺の汚名を着せられることとなる新選組について龍馬が嘆くもの。非常に解りにくい。新選組側からも一人語り手を立てるべきだった。
『無表情な日常、感情的な毎秒』2022年2月公演

『無表情な日常、感情的な毎秒』2022年2月公演

エンニュイ

STUDIO MATATU(東京都)

2022/02/25 (金) ~ 2022/02/27 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

配信で鑑賞。いずこかの狭い空間で、居酒屋の座敷とテーブル席のエリアを設え、その居酒屋の店長(恐らくチェーン店の)の葬儀の帰りに現・元従業員の男女6名程が実質「貸し切り」状態でそこに居る。最初客席に向かって並び、気恥かしそうに「始めます」的な挨拶をしてズルっと芝居に入るのが端緒。現実の時間と地続きで境界を消している。超リアルなやり取りゆえ、当然音楽も効果音も無し、ハケはトイレの中座のみ。あとは現従業員が脇の方で駄弁りながら(一人は飲みながら)待機、途中からは店仕舞いして仲間に入る。
殆どが会話で進むが、所謂舞台上の即興というのでなくきちんと作られている。次第に見えて来る「店長の死」が当然軸になっているが、その事実と各人の受け止め、距離感がまたリアル。殆ど感傷がない。「死」を軸に劇の骨格は有りつつも、目を引くのは情景のリアルさ。その事は「脚本のよく出来た」ドラマと違い、「生きてる」人間の様そのものが醸す面白さの勝利に導いている。観客は秘密を共有した感覚になった事だろう。
映像ではこの「リアル」は、突如でかい声を出す野郎の存在と低い声の振り幅がかなりあって鑑賞にとってきつい要素。だが、二度目はイヤホンをして改めて見始めたらほぼ巻き戻しマークをクリックする事なしに「芝居を鑑賞」できた。
感傷を最大限抑制した「劇」では、リアルの純度の高さにより、僅か0.1%濃度の「厳粛さ」でもアルコールのように血を熱くする効果を持つ。過去二度観たエンニュイとは色の異なる、挑戦の姿勢を見受け、好感。

耳があるなら蒼に聞け・ハンズアップ2022

耳があるなら蒼に聞け・ハンズアップ2022

企画演劇集団ボクラ団義

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2022/03/19 (土) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

脚本の久保田さんの龍馬愛が溢れているのだと思いましたが、歴史に疎い私には不親切な舞台でした。え?このシーンってあの前?後?とこんがらかるのでした。登場人物の名前も覚えきれないし。複数回見たらもっと納得できるのかと思いますが、チケプレに外れてしまったので1回しか見られないのが残念です。

悪いのは私じゃない

悪いのは私じゃない

MONO

ABCホール (大阪府)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

期待以上の安定のおもしろさ。大満足でした。会話てんこ盛りで、引き込まれてめっちゃ一生懸命観てしまいました。ぜひぜひ行って観てください。おすすめです。

『はじまり。』 『確固駆(仮)』

『はじまり。』 『確固駆(仮)』

演劇集団ところで

なかのZERO(東京都)

2022/03/22 (火) ~ 2022/03/23 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/03/23 (水) 18:15

3/23の夜の部観て来ました。
役者さんがみんな若いなぁと思いました。年金生活者でもついていけましたよ。良かったです。

今の学生は楽しそうなシェアリングして学生生活を過ごすんだね。楽しそうだね。後半のごちゃごちゃが迫力ありましたよ。#興那覇智早

かもめ

かもめ

Art-Loving

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2022/03/24 (木) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/03/24 (木) 19:00

145分。休憩なし。

かもめ

かもめ

Art-Loving

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2022/03/24 (木) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

三宅 弘朗
初っぱなから、光と音でもっていかれました。
見ごたえのある作品でした。
吉永小百合さんと人気を二分した俳優座の栗原小巻さんもニーナを演じていました。
瑞生桜子さんには、彼女のような妖精オーラがありましたね。
異彩で場を創り出す梶原航さん、美魔女の魔力を振りまく鳥越さやかさん、繊細な青年を指先でも表現してくれた佐山尚さん、皆さん、皆さん、素敵でした。

ネタバレBOX

名声と栄光にあこがれて女優を志したニーナが悟ったのは、結局はそこは忍耐の世界。若い人がこれを理解するには少し時間がかかるのかもしれません。そして付け加えるなら、すべてを見せる覚悟ですかね。
ニーナはこれから行く地方の教養のない有力者に。。。食いつなぐために。妄想させてしまう終わり方です。
オロイカソング

オロイカソング

理性的な変人たち

アトリエ第Q藝術(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

女優さんが5人で性被害の話を演じると聞くと告発ものかと身構えてしまうが、それはむしろ細い横糸で太い縦糸は家族の物語であった(と感じた)。

誰しも家族や友人のことで気になるが聞けなかったこと、知ってはいたが知らんぷりをしたことの二つや三つはあるだろう。何かすれば良かった、何もしなくて良かった、どちらもあるだろう。また家族だろうが親友だろうが絶対に知られたくなかったこともあっただろう。知られなくて良かった、知ってもらえていれば楽になれた、どちらもあっただろう。観ている内に舞台上の出来事と同時にわが身のことを思い起こさせられた。あれで良かったのかと問うても答えが返ってくることはないのだが。

登場人物の結子は話題の中心ではないが全体の進行役とでもいうべき位置づけで、滝沢花野さんのしっかりとした発声、きりりとした立ち姿、安定した演技が全体の確かな芯となっていた。

粗末な人たち 新宿編

粗末な人たち 新宿編

モミジノハナ

雑遊(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/03/24 (木)

24日19時開演回(82分)を拝見。

キャバクラに入店した新入りのサクラが、無邪気な刃(ヤイバ)で相手の内面をグサグサ刺していく度に、それまで平静を取り繕っていた職場の人間関係に波紋が広がっていく…
サクラのキャラクターで笑いを誘いつつも、実は、結構、濃厚な82分の会話劇。

なお、役者さんでは
お声で「ああ、あのヒトだ!」とピンと来た、ヅカ★ガール『妖花迷宮』の「大神紫」役・太田ナツキさんと
海千山千⁈のキャパ穣たちを手玉に取ったり・取られたりな、黒服役・奥泉さんとが
特に印象に残った。

ネタバレBOX

【配役】
アユ(売れっ子キャバ嬢。黒服の黒岩と隠れて”風紀”関係にある)…野花紅葉(のはな・もみじ)さん
ケイコ(10年選手のキャバ嬢。実は黒岩と同棲している)…石澤希代子さん
サクラ(小説の材料探しにキャバクラへ。無邪気過ぎて対人スキルがゼロに近い!)…太田ナツキさん
マリ(女子大生キャバ嬢。かなりしたたかな女性だったが、サクラから指摘され…)…波多野伶奈さん
黒岩(黒服。ケイコの指導?でこれまでは巧く立ち回っていたが…)…奥泉さん
『サロメ奇譚』

『サロメ奇譚』

梅田芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/03/21 (月) ~ 2022/03/31 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

朝海ひかるさんの芸能生活30周年記念作品、去年年末結婚もされたので長年のファンからは祝福の舞台となった。とにかくこの人のファンは幸せで、未だに女学生のようなサロメ(設定では32歳)が雷に打たれたような恋に身を震わせ、下着姿でバレエを舞う姿に見惚れることが出来る。どんな役でも成立させてしまうこの天才女優は内面から染み出した心のかたちが姿形を段々と覆っていくよう。元宝塚男役トップスターから、近年は井上ひさしの戯曲に多く出演。喜劇からシリアスから作品に準じて初めからそんな人だったように存在する。

新約聖書の『マルコによる福音書』に記されている実話がモチーフ。イエス・キリストに洗礼を授けた洗礼者ヨハネ(ヨカナーン〈ヘブライ語〉)は後に救世主の到来を告げた“先駆者”と呼ばれることとなる預言者。古代パレスチナの領主ヘロデ王の妃ヘロディアを非難した罪で獄に繋がれた。妃の娘、サロメが宴の席での見事な舞踏の報酬として彼の首を所望する。
この逸話を19世紀フランス、耽美主義文学者オスカー・ワイルドが戯曲化。そのドイツ語訳をリヒャルト・シュトラウスが曲を付けオペラ化。世紀末芸術として喝采を浴びた。

更に今作は舞台を現代日本に翻案。風俗王と呼ばれる悪趣味な社長(ベンガル氏)、その妻(松永玲子さん)、娘のサロメ(朝海ひかるさん)、忠実な側近(東谷英人氏)、落ち目の幹部(萩原亮介氏)、チャラい若手社員(伊藤壮太郎氏)、そして謎めいた預言者ヨカナーン(牧島輝氏)。
かなり喜劇風味、現役JKのような妄想に塗れたサロメの純愛がおかしくて哀しい。

ネタバレBOX

「ヨカナーン、お前の唇にキスをするよ」、好きな男とキスがしたかっただけの話で他には何もない。自分はその純粋なる偶像崇拝の空虚さが好きで、何処まで行っても世界には自分一人しかいない感覚。朝海ひかるさんのルックスに合っている。

朝海ひかるさんの独り芝居でも成立するもので、他の俳優は書き割りのよう(多分意図的)。そこに不満を抱く人もいるだろう。もっとちょこちょこ弄れば今後どんどん面白くなっていく要素がある。

これを月船さららさんならどう料理するか?なんてことを考えて観ていた。
マリーバードランド

マリーバードランド

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2022/03/17 (木) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2021年8月12日に開催された東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議で、大曲先生が「自分の身は自分で守る必要がある」と発言されたのを受けて観劇を自粛していましたが、大好きなやみ・あがりシアターさんがお芝居をやると知り、久しぶりに観劇しました。

ネタバレBOX

コロナ禍で痛手を負ったブライダル業界と旅行業界の企業が、それぞれの従業員が婚約したのを機に、南極で結婚式を挙げるツアーを企画してプロモーションビデオを撮ろうとした瞬間に新婦の浮気相手が現れて、ハチャメチャになるドタバタコメディ。

金と欲が渦巻く面白い展開でしたが、誰も幸せになれないやみ・あがりらしいフィナーレでした。
奇跡を待つ人々

奇跡を待つ人々

東京夜光

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/07/24 (土) ~ 2021/08/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

透明感のある不条理劇という感じがしました。

ネタバレBOX

人間が電脳世界だけで生きるようになる直前の世界を描いた話。

舞台上に登場していたのはアバターなのでしょうね。人間は身体的には脳の一部だけが残り、回路を通して他人や社会と繋がっているのでした。
奇蹟 miracle one-way ticket【3月12日~3月17日公演中止】

奇蹟 miracle one-way ticket【3月12日~3月17日公演中止】

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/04/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

演出が素晴らしく、井上さんの歌声には聞き入ってしまう。

音楽劇「夜来香(イエライシャン)ラプソディ」

音楽劇「夜来香(イエライシャン)ラプソディ」

キューブ

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

懐かしい音楽と美しい歌声が印象的

カーテンズ

カーテンズ

フジテレビジョン/キョードー東京

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2022/02/26 (土) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

城田優さんの舞台を観るの初。華やかな舞台だった。

ロッキー・ホラー・ショー【1月13日~16日公演中止】

ロッキー・ホラー・ショー【1月13日~16日公演中止】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/02/12 (土) ~ 2022/02/28 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一緒に踊れて感動。

石を投げる女がいて

石を投げる女がいて

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/03/23 (水) 19:00

SSチームを観劇。初見のユニットだが、作・演出はプラチナ・ペーパーズの堤泰之。ある種のジェットコースターストーリーだが、納得できない不安な気持ちが残る。さまざまな正義のあり方が示されているように思う。148分。
 寂れたリゾート地にあるロッジに集まる女性達が始めた天然石アクセサリー工房。さまざまな事情の女性が集まり、軸になる人物が次々に変わっていく展開は目まぐるしい。えっ、そんな、…と思ってる内に2時間半が経過する。終わってもすぐには納得できないし、謎も残るのだが、その不安定さこそ堤が描きたかったものではないかと思った。2年前に延期になったということだが、今のこの時代にピッタリ合う展開が驚く。タイトルは、エンディングで素晴らしく活きる。
 先日の電夏で素敵な演技を見せた小林知未を観たくて行ったが、軸になる1人を巧みに演じ、不安な気持ちをしっかり起こさせてくれた。

オロイカソング

オロイカソング

理性的な変人たち

アトリエ第Q藝術(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今は家を出て行った双子の一人・倫子(西岡未央)。彼女が7歳の時に遭った事件。その事件のせいで、10歳の時の学校の性教育でははいてしまい、高校生になると心の傷を埋めるように、だれとでも寝るようになる。双子のもう一人の結子(滝沢花野)が、倫子の恋人(?)だった写真家のルーシー(万里沙)と語り合う32歳の現在と、過去を行ったり来たりしながら、性被害者の問題にじわじわとせまっていく。

若くてパワフルで美しい女優陣の魅力と熱量に圧倒された。狭い会場での熱演、衣装や小道具も段ボールから出したりしまったりの、手作り。幼少期の誕生会や、「サザエさん」の場面はのどかでホッとする。サザエさんを見ながら「カツオはタラちゃんのお兄さんなの?」「サザエさんちは普通じゃないね」「うちも普通じゃないね」と、この家族の事情が分かっていく。母(佐藤千夏)は未婚の母、祖母(梅村綾子)と血のつながりがない。
「引っ越しのバイトは、他人の日記をのぞくようで楽しい」など、ちょっとしたいいセリフもある。

「オロイカ」は天草方言でキズモノのことらしい。漁師のおかみさんたちが「この魚、もってけや。オロイカだ」と使う。芝居では方言もいかされてる。天草から大阪に出て大阪弁になった祖母が、東京で関西弁を直そうと、「ばあちゃんが大阪弁使ったら、10円あげる」と幼い双子にもちかけたり。1時間55分。

ネタバレBOX

性被害をなかったことにはしないと目覚めるシーンでは、倫子が、仲間たちと戦うミーレンジャー(?)に変身する。子どもっぽさにあっけにとられるが、シリアスな展開が続く中の、息抜きであるし、ご愛敬である。サザエさんの話が前半にあるのが伏線になっている。
京時雨濡れ羽双鳥/花子

京時雨濡れ羽双鳥/花子

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2022/03/16 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

「マリアの首」の作者、田中千禾夫(ちかお)による戯曲の上演を初めて観た(「マリアの首」は観ず終い)。
実はこの日は未見の若手劇団を観劇するぞと決めた矢先に初日が中止になったので、無理に出掛ける事も無いっちゃ無かったんであるが、「口が芝居の口になってた」のでこれを選んで六本木まで出掛けた。
日本の古典戯曲には惹かれるものがある。当時の人々にとってはレトロでも何でも無かっただろう木造家屋や、着物や路地や、口調が、「前時代的」ではなく「いい感じ」になっている。もっとも田中千禾夫は主に戦後活躍し注目された人だから今言った範疇から若干ズレるのかも知れぬが。
この所海外戯曲の秀作舞台を打っている俳優座、果たして今回は・・

ネタバレBOX

申し訳ないが正直を言えば、残念感が。
私としては「花子」を見せ、その後「京時雨」で真っ向勝負して欲しかった思いである。
その心は「花子」が持つ強み、詩と言い換えても良い短編劇の魅力は、喩えるなら出し物やドラマで動物か子供を使う所謂「ズルい」手。実際この劇は自然讃歌でもあり、通ずるものがある。
一方「京時雨・・」は敗戦何年後かを舞台に、橋下に棲む女の目と存在とを媒介に、人間の姿を点描する作品。残念ながら新劇団の「ちょっと演技が違う」パターンの典型という感じで、見続けたいと思えるフックが見つけられないままに芝居の終盤を迎えてしまった。二作目の「花子」は一作目のダメージをカバーするに至らずであった。

五階稽古場のL字配置の客席のちょうど角、ステージを見やすい座席からの眺めが、芝居に入り難くさせたのかな、とも考える。長方形のステージの長辺に木の橋が渡され、上手、下手の端の階段から昇り降りでき、道行が長い。橋下には野宿モノの住まいが橋の端=庇からはみ出て箪笥が置かれたりしている。人間が十分潜れる高さの橋の前面には、美術の志向だろう、くすんだ色の広い布(質感は皮革っぽい)が天井から垂れ下がり、橋を歩く者の顔が見えない。顔を出す時はその布幕を暖簾のように手で除ける。竹邊奈津子の装置だが、外観の色彩はともかく装置としての機能美が醸されて来ない。「京時雨」の冒頭、女が箪笥から舞台中央に向かって何着もの衣を乱暴に投げ出し、布が広がるのだが、これが意味不明。女は元高貴な家の出らしく、最後には盲目の帰還兵の謡いに合わせて能を舞う展開になるが、そのためか「橋」の縁の下あたりからほぼ正方形に黒い大理石か、濡れた石の設定か判らぬが黒光りする平らな面がある。それを埋め尽すようにぶん投げるのだが、装置としてそこが河原の砂利場なのか土なのか、彼女にとって住まいの中なのか外なのか、リアルに空間を想像して良いのか象徴的な空間と見るべきなのかそこからまず混迷する。四角のエリアの途切れ目からこっち、橋の詰めへ線を引いた三角のエリアには白い玉砂利を敷き詰めた風になっている。硬質で整然としたな黒とラフな白の馴染みも悪い(見た目がいまいち)。
リアルに見ようとすると、女が衣を投げる平らなエリアは雨に濡れている加工された石に見える。だから「時雨」との関係で捉えるべきかとも思うがそれにしては現代的なので単に「地面」を象徴しているのかやはり不明。衣を投げる行為は天日干しをしようというのか何か自棄になって衣に当っているのか、と想像してしまうが、そのどれでもなく、ただ芝居の冒頭をインパクトあるものにしたかったのかと勘繰れば合点の行く、装置の(床の)「見方」が観客の脳内で固まる前にそれをただ分からなくしただけの無駄な行動に見えてしまった。
また女の言葉遣い、発声がただ元気の良い健康な発声で「曰くあり気」な雰囲気が微塵もない。物語構造としては女は当面「観察者」、橋を渡る男女のエピソード、盲目の負傷兵のエピソードを言わば目撃し、彼女が幾許かの接点を持つ様子を通して観客に紹介される格好になる。後者は、妻が警官を客にとって男を養っている、その妻の「仕事」の間にこうやって河原に出てこの身を嘆いている、という形。詠嘆の謡いに女は共鳴して舞いを舞う、という訳である。
この芝居に出て来るエピソードが3でなく、2である事(女自身のを加えれば3になるのだろうが、「語られる」話の当事者の佇まいとは一線を画したただ陽性な存在は数に加えられぬ)、となれば、2である。基本情景描写が二点のみでは、作り手が見せたかった面が定まらない。社会の貧困、戦争の遺産、不条理を、ここ橋の下の住人の眼差しがとらえ、眼差しの対象らに作者の観点を語らせるには、駒がしょぼい。かといって観察の対象に過ぎぬ彼らが観察者に剣を突きつけて来る訳でもなく、身に迫って来ない。という事は、初演時にあって今はないもの、それは敗戦後の社会状況や風景という人々が共有していた感覚だろう。そうした戯曲の場合、どういう息を吹き込むか、何が新たに作られねばならないか(演出によって、役者によって)が重要に思うが、私には明確な視点が見えずその点で淋しく思えた舞台だった。
休憩を挟んで「花子」。独特な世界観は悪くなかったが、「京時雨」で必要十分性が見えなかった美術、中でも邪魔に思えた橋に掛かったボロ布が、何と「花子」のオープニングの後、ガバっと剥がされ、剥き出しのキレイな橋が現われる。これは演出上のサプライズなのだろうが、「京時雨」で人の姿を隠す邪魔をしてただけの装置だったか、と、私的には落胆。
この作品は子供から女性へと花開く蛹の季節にある娘が、さてこれから複数の男性に誘われて夜の町に繰り出す事になっている、その時間、母ののどかな方言の語りから始まる。母とのやり取り、仕事から帰った鷹揚な父とのやり取り、やがて「声」がする。「はなこさ~ん」。母から、飼っている(卵を産まない)鶏に譬えられる花子は、いつか卵を産むようになる可能性を秘めた、神秘性に満ちた「今」を生きる女性の姿として、ただただ愛でる対象として作者は描き切っている。男性に囲まれて恥じず、己を全肯定する「自然が祝福した」存在を清々しく描き、この対極にあるものを舞台上に上げて言及する事なく批評性高い、不思議な作品。
「友達の家に行った」

「友達の家に行った」

狂夏の市場

尼崎三和市場内 イベントスペース 「とらのあな」(兵庫県)

2022/03/19 (土) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

期待通りの楽しいお芝居でした☆キャストの皆さんによるかくし芸的なパフォーマンスに大いに笑わせてもらいました\(^o^)/

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