実演鑑賞
満足度★★★★
過疎の街で、市長が肝入りで始めた芸術祭。入選作カルニゲが、スポンサーの軍需企業を「市の商人」と批判するものだったために、スポンサー企業が猛反発。市長は入選取り消しを迫られる。軍需企業の下請けの社長である市長の息子、軍需企業の元重役の娘である妻と、家族内の紛争も絡んで、表現の自由と公益、多数意見と少数意見のどちらに正義があるかなど、激論がたたかわされる。
表現の自由を守る論理が正しいと思っている僕からすると、反対派は感情的に見える。「不快にさせる表現」を忌避し、それを理由に、その絵は公益に反するから税金で運営する芸術祭の賞を受けるべきでないというのはおかしい。一方、表現の自由を擁護する議論は大上段過ぎてニュアンスに欠ける。私が言うのもなんだが、正論を言う側にこそ恥じらいがほしい。ただ、ラストの市長の新しい決意は苦しんでたどり着いただけに説得力があった。