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 命、ギガ長スW

命、ギガ長スW

東京成人演劇部

J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

8050問題ではありますが、その親子はたくましく生きています。
そして、演技は、深刻さだけではなく、笑いも。

ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

やはりこの団体にハズレはない
「良質な戯曲を取り上げ、上質な舞台創作を目指す」をコンセプトに、1970年代以降に書かれた日本国内の戯曲を上演している ことのはbox
今回は「上海バンスキング」で岸田國士戯曲賞を受賞し、時代の雰囲気を的確に描き出す斎藤憐の「ムーランルージュ」
1931年から20年間、新宿にあって赤い風車で名を馳せた大衆劇場「ムーランルージュ」を元にした、飢える中、生きるために、自分が自分であるために舞台に立ち続ける人々に捧げるラプソディ
舞台が舞台だけに歌あり踊りありで役者も大変だったろう
衣装替えの素早さも見ものだった
それぞれ味のある演技だったが、中心人物以外でGHQ将校ジェシー村中役の如月せいいちろーや舞台美術の佃光役の佐野眞一の個性的な演技がひときわ目を引いた
篠田美沙子の死んだ幼児を連れたつもりで劇場を回る姿も心を打った
久し振りに見た長年の付き合いの井上一馬が渋い演技をしていたのは嬉しかった
踊りは郡司聡美と中右遥日が際立ち、畠山はなのの表情が良かった
萬劇場をこんなにフラットに使った舞台は初めて見た
良く見ると後ろの方は「ムーラン・ルージュ」の舞台裏を細かく作りこんでいるが、逆に言うと殺伐とした感じ
手前はまさにステージだ
内容はある意味二重三重の構造になっていて、軍部の検閲が終わって自由になったと思ったらGHQの検閲があったり、占領軍将校の中でも日系人が差別されていたり、日本側も第三国人の問題が残っていたり(差別の複雑な構造)
さらには「占領」は「解放」なのか(米軍による、旧日本軍による)
その都度自分の視点もギアチェンジしていく
前半で気づかされたのは戦死した者(と生きて帰ってきた者)に対する考え
この間観た舞台の鴻上尚史が書いた台詞「生きている者が死んだ者にできることは死んだ者を覚えていることだ」はまさに昨日の天安門事件の舞台に当てはまったが、今日の舞台でも考えさせられた
後半ではやはり人種差別についてか
「用語集」が配布されたが、改めて自分の子供の頃にはまだ「戦後」の香りが残っていたと思う
「もはや戦後ではない」と経済白書の序文に書かれたのは1956年だが、60年代になっても敢えて言えば小学校の友人の中にはドブ板を渡って入るバラックのような長屋に住んでいた者もいたし、親や祖母からしばしば戦中戦後の話を聞かされていた
劇中出て来る東京大空襲についても
祖母は良く軍歌を歌っていたし・・・
(戦後すぐに亡くなった祖父は戦時中は率先して金属を供出し、戦後は闇物資をきらって栄養失調で都電の中で倒れたという)
休憩時間に隣の若い女性二人組の会話が聴こえてきたが、なんにも知らずに観ているの?という感じだった
でも考えてみれば昨日一緒に「5月35日」を観た25歳3人も天安門事件を知らずして臨んだわけだし、だんだんそういうことになるのかもしれない
願わくば舞台を観て様々なことを学んでその時だけでなく史実を記憶にとどめてほしい
2時間半に及んだが長さを感じさせず、今月は上質な内容の舞台を多く観られて嬉しい

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/24 (日) 17:00

どの年代でも楽しめる、青春時代のワクワクや、郷愁を感じさせるお芝居でした。
キャラクターを明確にさせていることで、
観ている者が、自身を投影させやすくて、
お芝居に入り込めたと思う。

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

小学生の子どもと親子で同日2回観劇しました(初演も親子で観劇)。
やっぱりテンポがすごい!!
私は観劇中、つい余計なことを考えがちでセリフが入ってこないことがあるのですが、その暇がないので、物語の中にスッポリ入り込んだ感覚になりました。
高校生活の中のそれぞれの恋や悩みや悲しみはあるけれど、ドロドロしたり、人の心の嫌な暗さがないのがなにより観ていて心地良く、終演後帰宅する足も軽い。
演劇は楽しんでいいんだよ!って我が子に伝えることができるのがガラパであり、この「甘い手」です。

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ダンスあり、ケンカあり、涙ありで喜怒哀楽がもれなくあり、素晴らしい作品でした。
今回の公演も、本当に面白かったし、ガラパの団結力を見せてもらった内容でした。おかげで元気をいっぱいもらいました。
またガラパの公演が観れる事を楽しみにしています。
ありがとうございました。


甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前回公演も観た上での観劇でしたが、パワーアップした演出もあり、2回目でもとても楽しめました!!一歩踏み出すこと、好きなものを好きと言うこと、些細だけれど大切なことを伝えてくれるような作品でとてもお気に入りです。

初めて観劇する友人を連れて行ったのですが、これを機に観劇に誘って欲しいと言われるくらい友人も気に入った様子でした。

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/23 (土) 14:00

コメディ肩肘張らずに見れました!面白くてたくさん笑える場面が多いはずなのにいつのまにか感動して泣けて、メッセージ性もある、そんな最高な作品でした。すごく見やすくて見応えのある時間を過ごせました!

天使は瞳を閉じて

天使は瞳を閉じて

株式会社エアースタジオ(Air studio)

両国・Air studio(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最初の方のシーンに観客も参加できると言う(もちろん座席に座ってですが)仕掛けもあって楽しかったです。小沢さんを彷彿とさせる(ような気がしたのでしたが)天使の優しさに心打たれました。それでも人間の心は愛があるものの、いや、愛があるからこそ、矛盾やら不満やらいろいろ抱えていて、あんな結末に・・・。マスターの声が(声も)素敵でした。
余裕があったらアキラの夢麻呂さんバージョンも見たかったです。

水の中の狸

水の中の狸

ツツシニウム

バルスタジオ(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

良かったです。良い時間をありがとうございました。

ネタバレBOX

カチカチ山がこんな感じで観られるなんて!タイトルにも納得。
ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2時間半釘づけ〜レビューも得した気分!良い時間をありがとうございました。

おどる落語『あたま山』

おどる落語『あたま山』

CHAiroiPLIN

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2022/04/16 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#あたまプリン
#スズキ拓朗 #清水ゆり
#中山祐一朗 #小林らら
#ジョディ #ジントク
#よし乃 #柏木俊彦
#黒須育海 #鈴木彩乃
#鈴木幸二 #鷹野梨恵子
#鳥越勇作(敬称略)
【2回目】瞼を閉じれば、幾つもの光景が蘇る。
オープニングの消毒液噴霧。清水ゆりさんの歌声がマイクや音響の微調整によりクリアになって気持ちよかったなぁ。
小林ららさんの😆イ〜ッ😆が堪らなく可愛いし、娘を持つ父としては、ラストに胸を締め付けられる。終盤のダンスの中で、地団駄を踏んでいるようにプルプルするのも堪らない。
前半の頭に蓋をするように手をペコペコさせながらの行進ダンスも素敵。
柏木俊彦さんの頭から伸びた桜がユラユラと畝っているのも可笑しくて好き。
ジョディさんとジントクさんコンビは安定の面白さ。
看護師の鈴木彩乃さんのセクシーため息には男心を擽られる。
新婚の友人カップルの「ケチケチしてんなぁ」ダンスも印象的。
もちろん桜を抜くラバーカップ🪠ダンスの男女のシンクロもかっこいいし、柏木さんのだけ長く付いているという演出の妙。
結局、挙げればキリがない。ともかく、バラエティに富んだ音楽を採用し、それにフィットするダンスを披露して、可笑しさを失わずに感傷も味わわせる最高のエンターテイメントは正に総合芸術だった。
もう彼等を観たくてたまらない。次作まで待ちきれない。
それにしても、中山祐一朗さんのケチ兵衛がイヤ味なく穏やかだったことが作品のカラーを形作ったことは間違いない。キャスティングの勝利。

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回、演劇初体験の後輩2人を連れていきました。楽しんでくれるか少しの緊張感もありながら、それと同時に自分がはじめてガラパを観た時のことも思い出してみました。
こんなに迫力あるのか!あんなとこから人出てくるのか!そんなストーリーなのか!そういう感覚で改めてガラパを観ました。

隣でゲラゲラ笑っている後輩たちに安心しながら、僕の目は後半ずっと涙で潤んでいました。
川口さんの素晴らしい脚本もさることながら、そのガラパのいいとこフルコースを演者のみなさんの爆発力で食らったからです。

そうやっていつも、みなさんの公演で感じるパワーが僕にとって生きる実感と活力を与えてくれます。がん・ばる・ぞー!

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/23 (土) 19:00

十人ぐらいの主人公の群雄劇な感じでしたが、色々な絡みがありおもしろかったです。
もう少し踊りがあると楽しさがますかなぁと思いました!

甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観るのは3回目。
毎回「これはフツーの人にもっと多く知って欲しい!」と強く思います。
演劇って正直ちょっと取っ付き難いと私は常々感じているのですが、この作品はこれまで演劇に目が向かなかった人たちにもきっと受け入れられる!
「演劇好きさん」だけでなく、その世界の外にいるたくさんの「伏線回収好きさん」や「間の取り方に注目さん」に、気に入ってもらえるのでは。
もったいないです、本当に!
悔しいくらいもったいない。

先生も生徒も、あるいはそのどちらでもない彼女たちも
舞台に現れる全ての人が愛おしい、素敵な作品でした。





HIGH FLY YELL!!

HIGH FLY YELL!!

株式会社 mint Music ENTERTAINMENT

近鉄アート館(大阪府)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/22 (金)

後藤啓太さんが出る4/22に娘と2人で観てきました!アイドルに歌劇の男役さん娘役さんと様々なジャンルの出演者さん。それぞれのファンの方々が客席に揃っての観劇。色んな意味で楽しかった。

秘密

秘密

劇団普通

インディペンデントシアターOji(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/24 (日) 13:00

座席1階

千秋楽。王子小劇場は満席だった。前作の「病室」に続いて拝見。かなりきつく聞こえる茨城弁にはまだ、慣れないのだが。

さて、今作も丁寧な会話劇が繰り広げられる。家事など家のことはまったくやってこず、一方的に妻を怒鳴りつける昭和の親父。妻が入院したため長女が実家にやってきて手伝う、という状況からスタートする。

長男もその妻と実家にやってくるが、実際に毎日父を支えるのは長女である。食事作りなど家事全般がその長女にのしかかる。腱鞘炎にもなるわけだ。だが、そんな長女に父はどのように接してよいのかわからないのか、不遜な態度を取ったりする。
このお父さん、軽度の認知症ではないかと感じた。ただ感じただけだが、自分の一方的な思いをぶつけたり、何度も同じ言葉を繰り返したり。もし、認知症だからといってそれがどういうことでもないのだが、とにかくその会話の一つ一つが痛々しい。

妻は退院してくるが、入院時のリハビリがあっても足腰が弱り、支えがないと歩行が安定しない状態だ。それが何とも悲しく、現実感あふれる場面だ。そんな妻に手の一つ貸そうとしない夫。そんな弱った妻にどう対応していいか分からないのだろう。もう、見ていられないほどの悲しさを覚える。それは本当にありそうな物語で、自分の老親を思い出したりするとさらに胸が苦しくなってくる。

先人のコメントで「慣れていない人は退屈かも」と書いてあったこの会話劇。だがやはり、自分もそうだが、観客の中にはその会話が胸に刺さる人がいるのだ。前に座った女性はハンカチを握りしめて泣いていた。誰かが亡くなるなど悲しい場面があるわけではないが、このリアリティーあふれる会話のキャッチボールに胸が震えるのだ。もし、自分にとって慣れない茨城弁でなかったら、その思いはもっと強くなっていたかもしれない。

劇団普通の真骨頂はここにあるのだろう。何気ない、一見つまらないとも感じる会話劇が、実は演劇がテーマにすべき日常の機微を思う存分に描き出しているのだ。笑うところがあまりない分(笑っている人がいたが、これは老いを揶揄するセリフであった)、前作の「病室」よりシビアな2時間であった。

ネタバレBOX

キッチンのテーブルがあるだけのシンプルな舞台装置。それは良いのだが、後ろに積んであるスピーカーなど王子小劇場の備品はきちんと片づけてほしかった。とっても気になって舞台に没頭することができなかった。☆5つでないのはこれが理由です。
甘い手

甘い手

万能グローブ ガラパゴスダイナモス

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

友人に誘われて行ってきました。
役者さんの堂に入った演技が迫ってくる感じで、緩急が効いたお芝居に圧倒されるばかりでした。小道具の使い方もうまく、120分間、一度も飽きることなく楽しめました。

水の中の狸

水の中の狸

ツツシニウム

バルスタジオ(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

全く面白くないわけでもなく演劇部は経験があるため共感しやすい要素はあるものの個人的にはあまり好きなテイストの作品ではなかった。ただ公演自体、役者さんの演技などはお金を取る作品としてちゃんとしていたと思うのでワークショップの成果発表としては良いと思います。ワークショップ自体の内容は分からないのでそれ以上は何とも

ネタバレBOX

眠くなっちゃう鼻炎の薬を飲んでしまったこともあってか途中記憶がモヤッとしている。ただ正直薬のせいだけかといえば若干中盤「あきていた」のだと思う。正直30分で良いかもという印象。
舞台上にワークショップの講師側の方がいたので演劇部の練習風景などにちょっとした面白みを感じたが逆にワークショップという場には相変わらず男性の参加は少ないのかな?とも感じた。逆にその上での演劇部の設定なのかもしれないけども。意図はあるのかもしれないが講師側はいない方が良かったと思う。頼れちゃうし
ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 途中、15分の休憩を挟み2時間35分の大作だが、一瞬たりとも目が離せない。ウクライナからの凄惨な報道を見るにつけ、戦争が炙り出すもの・ことの実質を描き深く考えさせる秀作である。観るベシ!

ネタバレBOX

 敗戦直後焼け野が原の新宿には闇市が立ち、赤い風車のレビュー小屋が復活した。その名をmoulin rouge 新宿座という。小屋の名は無論、パリのピガールにあるmoulin rougeを真似て赤い風車を目印にしたが、戦争で破壊される前の小屋は1931年12月31日開館。今作で描かれるのは人々が戦後食うや食わずの生活を強いられた時期に再興され一世を風靡した再興後のムーラン。現在の新宿3丁目で軽演劇・レビューを中心に興業し実在していた小屋である。1951年に閉館した。
 脚本は、斉藤 憐さん。演出はことのはboxの酒井 菜月さん。板上はショーの時等に降りる垂れ幕を挟んで手前客席側とホリゾント側にほぼ2分割されており手前側壁に電話の載った机、椅子。上手垂れ幕の直ぐ奥に応接セット。その奥に2階へ上がる階段が設えられている。ホリゾント中央には、劇場を支える太い支柱が2本、その上手には大道具らしきもの、下手には平台が堆く積み上げて在る他、側壁脇にはこれも様々な大道具が整理された状態で置かれている。出捌けは垂れ幕を挟んで上手に2カ所、下手垂れ幕の下がる辺りに釣り物等の作業の際や、物干し用の柱として用いられる細身のpilier(柱)が1本立っている。
 オープニングではAIR FRANCEと大書された大きな箱が上手から入場、中から歌姫が飛び出し、箱を運び入れたミニスカートのダンサーたちの踊りを背景に歌い始めるというセンスの良さを見せ、いきなり劇空間に引きずり込む。衣装替えの素早さ、衣装自体のあでやかさ、歌う出演者の殆どが歌唱力の高さを示し、ダンサーたちの踊りもグー。また、垂れ幕にレビューに登場する演者たちの衣装の色に合わせた照明が当てられるのも演出のセンスを感じさせてグー。この華やかな舞台と対比されるかのように描かれるのが、後発でムーランの客を奪ったストリップ小屋との集客合戦に於ける劣勢、女優、ダンサーら女性と、執筆者、小家主、GHQの1セクションであったCIE(Civil information and Educational Section)の担当官、闇市をいち早く立ち上げた尾津組配下のチンピラら男とのジェンダー問題、嘗て植民地化され日本国籍を強要された朝鮮半島、台湾等の人々が解放され日本人には最早法的に彼らを処罰できなくなったこと等々と諸差別だ。戦争が炙り出した各民族の歴史と生活であれ、イデオロギーであれ裸形の生が繰り広げる争闘と其処に現出する現実の裂け目。戦前、戦中様々な言論統制下にあって尚、戦争の実質を深く見極めていた無頼派の代表的作家・太宰 治のような本来極めて真っ当でデリケート而も自己省察の鋭さに己自身を傷つけた魂が、遂には酒に溺れ、シャブに手を出し自壊してゆく様も座付き作家に仮託して描かれ、生活し愛する身内を養う為に職を選ぶ事が可能か否かのギリギリの選択を迫られる表現者達には、戦勝により日本を開放・民主化したハズのGHQの1セクションCIEによる検閲が為される。その一方でGHQに送られてくる2千万通にも及ぶ葉書・手紙の類中検閲対象としてピックアップされた4百万通中に1通もアメリカに対するレジスタンスの書面が無かった事等、恥ずべき事大主義者・日本人の姿が見事に浮き上がる。(この事実は要するに天皇に代わってアメリカが日本の神として崇められることになったということに他ならない)これらの点即ち戦争という大参事によって炙り出された事実にこそ、今作の眼目はあり、それを正確に見抜きこのような舞台に仕上げた“ことのはbox”面々の尽力に敬意を表したい。

DEMON~ありがとうって言えなくて~

DEMON~ありがとうって言えなくて~

五反田タイガー

あうるすぽっと(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

日本の昔話を題材に、歌とダンスを織り交ぜ、軽妙な台詞で楽しめる舞台。でも後半に向け徐々に重くなるテーマ性もあり、2時間超の時間を感じさせない。

ネタバレBOX

桃太郎のその後の時代の話で、色々な昔話を合わせているが、脚本がとても面白い。登場人物は多いが、それぞれキャラ立ちしている。

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