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楽屋−流れ去るものはやがてなつかしき−

楽屋−流れ去るものはやがてなつかしき−

劇団 新人会

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観劇初心者の私には衝撃な舞台でした。
楽屋の中で繰り広げられる出来事を楽屋の中の一部として観劇する。役者さんが真横や真後ろで演技
ドキドキの連続でした

天の秤

天の秤

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/29 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/31 (日) 17:00

昨年の初演時に千穐楽での観劇を予定していたのだが、コロナ禍で楽前日と楽日だけが中止となり、観ることができなかった作品。
劇団としても出演者やスタッフにしても無事着陸できなかった無念が残っていたのだろう。幸いに7ケ月半を置いて再演となったが、私も懲りずに(笑)今回も千穐楽を予約。

大阪万博が開幕して2週間後の1970年3月31日、JA8315号機(愛称「よど号」)は羽田から板付(現在の福岡空港)へ向けて、普段どおり運航されていたが、赤軍派を名乗るグループによってハイジャックされた。これが日本初のハイジャック事件、いわゆるよど号事件である。
実は赤軍派が使用した日本刀・拳銃・爆弾などは、すべておもちゃや模造品であったことが後に判明しているし、まだ飛行機での旅行が珍しかった時代であり、当初の予定日の搭乗時刻にメンバーが遅刻して延期されたことなど、今から考えるとお粗末な事件ともいえるが、当時高校1年生だった私には緊迫したTVニュースの画面に釘付けだった記憶がある。犯人グループの「われわれは明日のジョーである」という声明も話題になった。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

離陸前の機内アナウンスを模した前説から物語が始まる。

主な舞台はよど号の操縦室。ここでの機長や副操縦士と犯人グループの田宮とのやりとりが太い幹となり、ここにスチュワーデス(まだ当時はCAやFAなどという無味乾燥な言葉は使われていなかった)や対策本部の状況等が枝葉として重ねられていく。
操縦室には当然航空機関士も居たはずだが、ハイジャック後すぐに拘束され犯人グループとの交渉にもタッチできなかったため、劇中には登場していない。

劇中で犯人からスチュワーデスの一人が「カラマーゾフの兄弟」を借りて、それによって左翼思想に共鳴を覚えていく場面があるが、実際に「カラマーゾフの兄弟」を借りて読んだのは当時は聖路加国際病院内科医長の日野原重明だった。

金浦国際空港では山村新治郎運輸政務次官が人質の身代わりになって搭乗して北朝鮮へ行ったことで男を挙げたが、これが自らすすんで人質になったのではないことや、運輸大臣の橋本登美三郎と中曽根康弘とのまるで他人事のような電話のやりとりなど、当時は知られていなかったエピソードも盛り込まれている。
また、機長がその後女性問題でJALを追われることになったこと、山村が精神疾患を患っていた次女により刺殺されたことなどもそれをうかがわせる会話を劇中にさりげなく織り込んでいる。
このように、吉水恭子の脚本はよど号事件に関わるさまざまな事柄を要領よく採り入れて、人間ドラマとしても厚みのある内容に仕立て上げている。

因みにタイトルとなっている「天の秤」は「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」という言葉とともに剣と天秤を持つ正義の女神が司法、裁判の公正さを表す象徴・シンボルとされていることによるものだ。

まさに息つく暇も与えない2時間弱だった。
リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

スズナリお似合いの80年代懐かし小劇場の舞台である。
劇団の「下北沢姉妹」の表記のいまならシモキタだろう。主宰者は当時、青年座の一点美女の娘役であった西山水木、演出は懐かしの離風霊船(劇団名だぞ!リブレセンと読む。)の伊東由美子。舞台は当時はやった舞台なしの構成舞台スタイル。物語は唐十郎ばりの謎の母子、父子関係に日々の生計のつながるレストランの経営の師匠、弟子関係、今時はどこをとっても、畏れながらと、訴え出られそうな関係で、主人公の女性が生きていくドラマが演じられる。筋立てにはあまりこだわらず、女性ならではの視点からの印象スケッチもあり、当時はやった舞踏も取り入れられていて、いまのチェルフィッチュ風なシーンもある。あれこれ取り入れられ消化されているが、今の人たちはもうこの手は使わない。
西山も伊東もそろそろ70歳が見えてくる頃ではないか、人生でも舞台でも苦労したなぁ、という実感がしみじみと感じられる舞台である。つかとか鴻上とか如月とか、一世を風靡した人たちを支えた、時流に僅かに乗り損ね、生きそびれた人たちを優しく包むような舞台であった。1時間50分。

リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

皆さんセットにコメントしていますが、本当にこういうのもできるんだというセットでしたね。素晴らしかったです。内容はなかなか複雑な事情の登場人物でそれぞれの心情は推し量りきれませんが、皆さん表現されていたと思います。終演後優しい気持ちになれるそんなお芝居でした。良い時間を過ごせました。

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。とにかくお芝居に迫力がありますね。現代の問題と言うかどうかなと思うところにもちょこちょこ切り込みながら、全編しっかり筋の通った内容で、最後まで一気に見られました。元気になるお話お芝居だったと思います。

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
物語は、子供の頃の「だるまさんが転んだ」のように無邪気に遊ぶという訳ではなく、大人になることで色々な柵で己を見失ってしまう。よく言われる建前と本音を使い分けて うまく立ち回ろうとするが…。過去に縛られた人々の心の解放が描かれているような人生応援(歌)譚。人生再生という意味で「達磨さんは転ばない」は、登場人物全員に当てはまるもの。

説明にある、映画監督の金本達磨がSNSでキャスト募集のオーディションで選考した人々との剣吞な会話が肝。そして 闇を抱えているのは、集まった人たちだけではないような展開へ。「だるまさんが転んだ」の遊びは、「一対多」で行うもので オーディションそのものの構図。監督(一)によって闇の過去が暴かれ、否応なく己と向き合わざるを得なくなった人々(多)の慟哭、同時に映画製作に係る現代的な問題、さらに政治問題へ間口を広げる。

物語は、オーディションで集まった人々の過去や苦悩、その理由や原因とは? そして個性豊かなキャラクターが ぶつかった丁々発止が面白い。一人ひとりの見せ場があるため、人物像は分かり易い。そして最大の関心ごと…本当に映画を撮るのか、配役はどうするのかといった結末へ興味を持たせる。人間ドラマであり、点描する時事ネタによって社会ドラマの様相も帯びる。見応え十分。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に板網状の衝立、その前に黒ソフと脇に片目が入ったダルマ。両側が門柱のようで、上手は「燃やせ闘魂」そして壺が置かれ、下手は「達磨」と書かれた掛け軸。そして観葉植物、微妙に異なるが左右対称の造作。

冒頭、子供時代に遊んだ<だるまさんが転んだ>、それが大人になると純真、無邪気ではいられない。一癖も二癖もあるような人間が或る仕事に応募してくる。キャバ嬢、女優志望、刑務所帰り、フリーライター、元中学教師、引き籠り等で、何らかの理由で 過去を詮索されたくない人々。一方、求人をしたのは有名映画監督で、次回作のオーディションという名目である。求人の条件は、経歴に噓偽りなく詳細を書くこと。これによって個々人の過去が知れ、監督との面接(問答)で自分自身を曝け出すことになる。潜在意識のように閉じ込めていた感情、それが溢れ出ることで己を解放していく。生きるためには目標を持つことーこれが自己啓発セミナー的な時間潰しの説明かなぁ。

監督の名は<金本達磨>、その男か女か判然としない名前に戸惑い。過去に何度も映画賞を受賞しているが、自分が目指す作品(内容)でないことに苛立っていた。次回も芸能事務所やスポンサーの意向が…。そこで映画界の柵のようなルールを逸脱してでも、自分のやり方で制作する。監督自身もある呪縛から解放されたいと思っていた。

物語は、この監督と応募してきた人々、その立場を超えての自己解放と自己(夢)実現を描いている。それぞれの過去の出来事、性格の弱さなど汚点・欠点を洗い浚い喋る場面が圧巻。そして職業人である監督は、ある思惑 仕掛けを考えているよう。それによって映画の撮影中 劇(物語)のようにも思える。オーディション自体を隠し撮りし ドキュメンタリー風にした斬新な映画制作か。そして時々姿を現すプロデューサーor刑事?(村手龍太サン)の謎めいた存在も妙。この二転三転したような展開、そして心情吐露という重苦しい場面と面白可笑しい場面、この真逆のような観せ方も巧い。監督の強かな企み…<達磨>さんは転ばない、だろう。

舞台技術は勇壮な音楽、そして照明は 情景変化を表す全体的な諧調、心情を効果的に表すスポットライトなど、巧みな変化で印象付ける。
次回公演も楽しみにしております。
略式:ハワイ

略式:ハワイ

劇団スポーツ

OFF OFFシアター(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 19:00

観るのが3度目のユニット。2017年作品の再演で、一種のタイムスリップものだけど面白い。(10分押し)92分。
 初演は観てない。悩み多き高校生活を送る山戸(内田倭史)の前に現われたのは10年後の自分(田島実紘)で、山戸がしようとしている決断を「後悔するから」と言ってやめさせようとするが…、の物語。時間軸を何回も戻ってやりなおしができる、という無茶な設定が巧くて、笑って観ていられるのだが、終盤の切ない展開が急でちょっと驚く。いい話、になりきれない所が勿体ない。ただし、教師が暴力で部活を強くする、って、10年前だとしても、いつの話だよ、とかは思う。
 入場のハンドリングで手間取り、ダダ漏れ的に10分押し。このままでは帰りのバスに間に合わない、というのが気になってしまい舞台に集中できなかったのが悔しい。

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

キ上の空論

新宿シアタートップス(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「性に支配される人々の末路」

 承認欲求を満たすためにグレーな商売に手を染める主人公と彼の顧客の姿から、性や家族のあり方を問う力作である。

ネタバレBOX

 17年間家に引きこもっていた37歳の正木円治(藤原祐規)は、篠田純(山口快士)の斡旋によりカップルの依頼で女性パートナーを寝取るというセックスワークに従事している。依頼者はさまざまで、パートナーの歌音(平野紗貴)が円治に寝取られている様子をアイマスクをして聞き耳を立てている太郎(家入健都)や、付き合った当初から妻の三崎キョウ(小松原怜香)を誰かに寝取らせることでしか満たされない星野波瑠(田名瀬偉年)など、倒錯した性癖を持ち合わせている人物たちである。

 情事を終えた円治は三崎に引きこもりになった理由を打ち明ける。彼は小学校5年生のときに担任の汲田先生(藍澤慶子)から注目を浴びたいばかりに優等生めいた行動をしたことで、同級のキヨシロー(小野塚渉悟)らに目をつけられクラスから浮いた存在になってしまい、学校に行けなくなってしまったのだ。円治は社会からの承認欲求に飢えており、それを満たすために寝取り屋をしていることがここで明かされる。

 あるとき円治は三崎と星野から、子どもを作りたいので精子提供をしてほしいと持ちかけられる。戸惑う円治だったが相談した篠田や太郎、歌音にそこまで重く受けとめるなと返され、子どもに父親であることを明かさないことを決めて依頼を承諾する。自分が社会から必要とされていることに満たされた気持ちになった円治は、以降も数名の依頼を受けて精子提供を行い、ある日ネットゲームで知り合ったハンドルネーム「イワクラッシュ」(南出めぐみ)の紹介で「エース」(藍澤慶子・二役)という女性を紹介される。汲田先生の面影を感じる彼女の登場に円治ははからずも浮き立つが、これが思わぬ悲劇を生むことになる。

 本作第一の魅力は手際よい舞台展開である。円治を演じた藤原祐規以外のキャストは何役か兼ねて円治の現在と小学校時代、そして三崎と星野のカップルの現在と高校時代(演じたのは 小町実乃梨と板場充樹)を並行して描く。重いテーマながら手早く目まぐるしい展開のため、消化不良を起こすことなく2時間ちかく観続けることができた。これで円治が寝取り屋をしている動機と三崎・星野カップルが円治を頼る理由はわかったが、やや過剰で説明的になってしまった感は否めない。いっそ円治もしくは三崎・星野カップルのどちらかを重点的に描いたほうが論点がスッキリしたと思う。

 くわえて、長いあいだ引きこもっていたわりにはすでに評判のいい寝取り屋になっている円治が、オンラインゲームのオフ会で出会った篠田からの提案を受けどのような遍歴を経てきたかや、小学生時代の回想でちょっとだけ出てくる母親[平野紗貴・兼役]との葛藤も描かれていなかったため、円治の人となりを把握することが難しいと感じた。周囲の状況に流されるまま寝取り屋から精子提供者になった円治の浅薄さをリアルに感じることができなかったのである。そのため円治との関係を知り激怒した夫からDVを受けたエースが病院に運ばれた報を受けてのイワクラッシュの批難が、私には理不尽かつ一方的に感じられてしまったし、最後に天から赤ん坊の人形を数体落として円治の胸の内を描く演出も今ひとつ腑に落ちなかった点は残念である。

 性行為の描写をフラフープを使い戯画化したり、円治がトイレで精子を採取した様子をカプセルを出して描くなど、デリケートなテーマをライトに描いたところは独特であり、私はユニークと思った。ただしこうした描写に違和感を抱く観客もいただろうし、いじめやDVの話題も入ってくるため、事前のアナウンスは必要だったように思う。
象

9PROJECT

上野ストアハウス(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

別役実さん25才時の作品
圧倒的な台詞量
この公演で役者辞める
小川智之さんの覚悟が凄かったです
日曜まで
お薦め

マンザナ、わが町

マンザナ、わが町

創造ユニットTaiyo

シアター711(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

五人の女性による個室劇ですかね
スペイン語で果樹園を意味するマンザナ
日本人の強制収容所内で
合衆国憲法に違憲して集められた日系人
一世と二世の確執や人種差別
国への信頼と失望・・・
様々な要因現状希望等を舞台にした作品
なかなかの長丁場ながらも
熱量を維持して走り切っておりました

ネタバレBOX

中心的な人物というより
目立ったのが浪曲師さんだったかなー

舞台美術は隙間のある
掘っ立て小屋風の居住スペースで
狭い中5人の女性が暮らしてる生活感を
並べた歯ブラシ入りのコップなどで
表現されてました
本物の鉄条網なども用いており
黄色と黒の規制テープも用いられて
ラストは舞台に黄色い規制テープを張って
その後の顛末を立て看板にカキワリされて展示してました
リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
当日パンフに作 西山水木さんが「不思議な客席に驚かれたことでしょう…」とあるが、自分も こんなザ・ズズナリは初めて。スタッフに たまたま空いていた席に案内されたが、まさかの正面ど真ん中。俯瞰するような感覚で観た。

梗概は それほど難しくはないが、そこに登場する人物の性格や情況、気持を推し量ることは容易でない。人物像の輪郭がハッキリしない、もっと言えば 自分がどうしたいのかといったことが自身で分かっていない。それが、色々な人と関わりあうことで自分の意思を持つ、そんな自覚していく様子が描かれている。

登場するのは一家族だと思うが、その人達の関係も歪というか不思議で、自分の狭い常識の中では考え難い 不可解なこと。そこに他人が関わることで分かってくる事実が、この物語の妙。そして、一見 不思議な舞台美術(客席配置含む)だが、物語を紡ぐ上では理に適っている。
(上演時間2時間 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に花道のような長い舞台。いつもの座席位置を正面とすれば、花道の両側にも客席を設えている。花道の中央に窪み、そこに主人公 華子が入り天井から水が流れ びしょ濡れになる。このためだけの穴のようで、以降の場面では閉じてしまう。

本筋--これが説明にある投身自殺を思わせるシーンであろう。そこで謎の女に助けられ、彼女を連れて自宅へ帰る。この家族、同じ敷地内に夫の愛人とその娘が一緒に住んでいる。そして愛人に家事をさせ 対価を支払っている。華子には息子がおり、娘は幼い時に交通事故で亡くしていた(時々 マリオネットで登場)。息子は、娘(姉)の死は自分のせいだと思い、心を病んでいる。自室に籠もり動画配信をしている。そして愛人とその娘(異母妹)を甚振ることで平静を保とうとしている。夫は愛人とその娘に介護してもらっているという歪さ。

脇筋--愛人の娘が 通う大学のダンス部 先輩の話、これを別の心の病として描く。ダンスに情熱を注いでいるが、それだけに他の部員に厳しい言葉で指導してしまう。それがパワハラと誤解され、離れて行ってしまう。そんな苦悩を抱え、今では一人でダンスをしている。

心を病み、苦悩を抱えた人々、そして複雑な家族関係の中で平静を装った暮らし。そのため自己主張せず、淡々と無難にやり過ごすこと。そんな諦念とも言える感情が、自分というリンカクを暈けさしている。ちなみに 家族の複雑さは、引き籠りの息子の出生にまで係る。その対比として脇筋のダンス部女子大生は、自己主張の強さが災いし 人間関係を築けない。そして同じように心を病んでいる。

謎の女は、人は己の愚かさには無自覚。その目覚めさせるような道化師(愚者)として登場させているようだ。そして<家><家族>といった枠から感情を解放させ自由になる。それが謎の女との旅へ…。
次回公演も楽しみにしております。
マクベス

マクベス

演劇ユニット King's Men (キングスメン)

座・高円寺2(東京都)

2024/05/14 (火) ~ 2024/05/16 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 15:00

価格3,500円

W.シェイクスピアの四大悲劇の一つとなるマクベス。
将軍マクベスが妻と共謀して主君を暗殺。王位となるものの、その重圧に耐えきれず次々と錯乱し暴君と化し、最後は貴族や王子らの復讐によって滅ぼされてしまう。
そんな名演目の旗揚げ公演をじっくりと観劇させて頂きました。
往年の舞台・古典作品の概念にとらわれず、演劇の自由そのものを捉えなおす…この意図は、パンフレットの厚さを見ても一目瞭然。主催側の熱い想いが伝わってきました。
また共生社会の形成にも積極的な劇団であり、障がいの有無(近年では特性と言われてきました)に関わらず、意欲ある人のチャンスの場として演劇を通じた社会参加を行う意義は素敵だなと。
以下、感じた事を忌憚なく書きます。

ネタバレBOX

「新しい栄誉は新しい衣服のようなものだ…」
こんなセリフが劇中にあったかと思いますが、文学的な台詞回しの多い古典劇を上演するという事は、その本質や様式を入れた上でどう壊していくか・自由であるかを考えなくてはいけない。
素舞台の劇場で、色んな特性を持った役者陣。それをまとめる演出兼役者。そこにプロフェッショナルさを見出すのは、未だ新しい服が馴染んでいないのと同じこと。

まず、台詞が長いので滑舌や末端の発語の処理が単に場のテンションで終わってしまい、素人感のぬぐえないバラつきが違和感を生み出します。特に長ゼリを自分の言葉として舞台で活かす…というのは、役者自身の能力が大きく左右されますから大変な事だと思います。
個人的にはシェイクスピア劇に拘らず、別の戯曲を扱っても良かったんじゃないかと(内容が難しい)。

またプロジェクタを用いた背景ですが…どう考えても劇作風景にかみ合わない写真が気になりました。背景は朝・夜などを考慮して、あとは照明の変化だけで十分じゃないかと。BGMは突然大きく表れたかと思えば、ミュージカル風の歌唱とダンス…取って付けた感が否めません。
全体的にプリモとプリマのお二人で主な動きの中心を担っていますが、箱が大きいのか視界的には小さくまとまっている印象。かと言って、派手なパフォーマンスは全体を俯瞰すると浮いてしまうので、ここも役者全体の足並みを揃えると言う意味では難しいです。
手話を使ったシーンも良い意味で「間」が生まれて良かったですが、折角プロジェクタがあるので何を言っているのか「台詞の投影」をしても良かったんじゃないかと感じました。

制約があるからこそ、自由が生まれる。
何をしても良い・何を着ても良い…これは私の感じる自由とは少し異なるように観させて頂きました。この団体で多様な特性を持つ役者がどんどん育っていく事を深くお祈り申し上げます。
こどもの一生

こどもの一生

あるいはエナメルの目をもつ乙女

王子小劇場(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

王子小劇場があらゆる意味でパルコ劇場仕様になっていてビックリ!
こだわりが感じられるセットは想像力を掻き立てられ、開演までの間いくらでも見ていられるし、いざ始まってみれば衣装、音響、照明、本当に細かいところまで並々ならぬ美意識が張り巡らされている
もっと大きな劇場でも充分通用する それら予算度外視の心意気もさることながら、全く引けを取らない役者さんの力量がこれまた
今回の「こどもの一生」という脚本の良さが存分に活きるためには、これだけの怪演、パワーとテクニックが必要なのでしょうが、それにしても何と言うかゴージャス!
思わず演劇界が大いに盛り上がっていた頃に戻った感覚に

コロチキ・ナダルが言うニュアンスの「イっちゃってる」感じに笑いも起き、めっちゃ破天荒な世界観は暴力的で破廉恥
それでいて美しさも感じられるのだから何とも不思議な世界
狂乱へと転がり落ちていく展開、深層心理に訴えてくる様な恐怖、最後に訪れるカタルシスに酔いしれました

リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 14:00

こんなスズナリ初めて観た!
舞台奥から太い花道が伸びている。
三方に客席が作られ、花道の途中には四角い穴があいている。深さは不明。
気が付くと水が流れるような、雨のような音が聞こえてくる。
開演前からホームレス風に厚着をした女性が登場、舞台上の石を床に投げたりしている。
雨が降って来たのにはびっくりした。

ネタバレBOX

着物姿の女性が腰ひもで首を吊ろうとして失敗、ホームレスの女性に助けられて
一緒に自分の家へ帰って来る。
このホームレスの女性が、複雑な家族をシンプルにほぐしていく。

別居中の夫婦、夫は要介護状態で内縁の妻と娘が献身的に世話をしている。
着物の妻と息子は少し離れてそれを見守っている。
だがそこには実に複雑な事情があった・・・。

当日パンフに書かれた作・西山水木さんの言葉の中に
「私はほとんど他人でできています」という一文があった。
優しい人に囲まれてその気持ちがわかるから、自分と他人の境界が曖昧になって
本当は自分がどうしたいのか、わからなくなってしまう。
”誰かの望んでいることが、自分の望んだことになってしまう” ということだと思う。
自分が望んで選択したのだと思い込んでいる。

謎のホームレス女性は、「それは本当にあなたがやりたいことではない」と強く促す。
そして登場人物は皆真実に向き合い、自分自身を見つめて変化していく。
ラストは、長いことリンカクが定まらずに苦しんできた者だけが得られる
爽快感に満ちている。

登場人物の住まいや、息子のネット配信などが、もう少し解りやすく描かれたら
観客はもっと早く登場人物に寄り添えると思う。
内容の普遍性、表現のイマドキ感がとても素晴らしいだけに
チラシデザインなどに内容の深みが反映されていないように感じられて惜しい。

作者の真摯な姿勢が随所に感じられる意欲作。
役者陣のひたむきさが伝わって来る作品だ。
ホームレス女性(倉品淳子)の力強さが作品の推進力のひとつになっている。
言葉によって人間関係を失い、舞踏によって自己表現を得た
リョウマ(永田涼香)の喜びが美しい。
ラスト、感情を取り戻した麗羅(あさ朝子)の号泣に思わず私も泣いてしまった。
もう、どうにもトまらないっ!!

もう、どうにもトまらないっ!!

海ねこ症候群

シアター711(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

新しいようで昭和の香も感じる不思議な空間。
親が子の習い事にかける思いがシンプルに表現されていて、多くの人の共感を得るんじゃないかな。
発表会っていう展開はあれだけど、最近の自分と重ねて思わずグッときた。
面白かった。

法王庁の避妊法

法王庁の避妊法

ちょっこりひょうきん島

OFF OFFシアター(東京都)

2024/05/08 (水) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すごく良かった。
単なる伝記に止まらない命の物語。純粋に謎に挑む荻野医師の演技が時にコミカル、時にシリアスで惹き込まれる。4人の女性の異なる視点での命の捉え方がそれぞれに胸を打つ。30年前の初演から様々な団体で再演されているのも納得。

及川さんのシーン、ほんとほっこりする。
あの花の演出、時の流れを表現していたのかな?心に残る演出。

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

キ上の空論

新宿シアタートップス(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

全く共感できなかったが、静かな世界に強弱ある芝居、心象を物理的に表現する演出など見応えある作品だった。
何が普通で何が異常なのか?もともと境界は微妙だし境遇や立ち位置で逆転するという事かな、それを丁寧に描いていた印象。

リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 19:00

120分。休憩なし。

熱海殺人事件~モンテカルロイリュージョン~

熱海殺人事件~モンテカルロイリュージョン~

ActPost

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

チラシを見て感じた違和感が、何だか腑に落ちる仕上がりの舞台。水野朋子/山口アイ子役がWキャストで、どちらの方にしようか迷ったが、Vanity'sの舞台を何度か観ていた音羽美可子の回に。

リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。舞台があのようなセットになっているとは…です。スズナリは何度も足を運んでいる劇場ですが、あそこまで舞台を作り変えた観劇は今回がはじめてです。最初の雨に濡れるシーンのためだけにあのセットをつくるのもすごいなーと思いました。

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