プラライ 公演情報 インプロカンパニーPlatform「プラライ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/10/23 (木) 19:30

     インプロ(即興演劇)の要素の濃い作品や、完全なインプロ公演も私は意外と観てきているが、大抵の場合、始まる前に紙が渡されて、劇中にBoxの中に観客が書いた単語や言葉、台詞の紙が入れられ、役者がその紙を引きながら、例え書かれた言葉や単語、台詞が劇の方向性を逸脱していたとしても、何食わぬ顔で、劇の場面にあった自然な感じで、吹き出したりせずに言わないといけないという役者の演技力やその場の臨機応変な対応力が問われるが、劇全体としては1つの物語や世界観で進んでいくことが多い長編劇を観ることが多かった。
     また、インプロ劇でも、激しい殺陣や全篇終始ミュージカル劇になっているインプロ劇など、同じインプロの即興演劇と1言で言っても、今まで自分が観てきたインプロ劇はかなり捻りを入れてきていることが多かった。
     それに、インプロ劇でも、アイドルや声優を数多く入れていたり、2·5次元演劇のオフオフブロードウェイバージョンの如くに、演劇の役者にしては、普通にイケメン、美女芸能人ランキングとかに入っていてもおかしくないようなヴィジュアルの男女の役者ばかり出ていたりと、同じインプロ劇と言っても、本人の演技力やその場の対応力、アドリブ力は2の次、3の次となってしまっている本末転倒のインプロ劇も昨今では見受けられる。
     そうした中で、今回観たインプロ集団platform(実はそんなに前じゃなくに、platformの定期公演を1度観たことはある)は、良い意味で、土着的で、大衆的、今時ここまで泥臭さ漂って、見た目よりも個性が滲み出て、突発的なアドリブを次から次に飛ばし、思い付きの一発芸も盛り込み、私も含めた観客を終始抱腹絶倒にし、純粋に役者の演技力やその場の対応力が問われ、白けた際やハプニングが起こっても、以下に慌てずその場を持たせるか、台本もない中で、手探りながら良い感じに結末まで持っていけるかといった能力が役者に求められるインプロ定期公演となっており、生半可な気持ちでは成功しない役者の能力頼みの公演だと感じた。
     しかし、プロの役者も去ることながら、途中の戯曲の本読みコーナーでは、舞台の朗読に参加したい人を公演前に神に書いてもらい、その中から抽選で選ばれた一般の観客もプロ顔負けの演技力やアドリブ力、対応力があり、声1つ、表情1つでその人が演じる役のイメージが伝わってくる個性が溢れ出ていて、更には舞台慣れしているのには、驚き、感心してしまった。

     今回のインプロ定期公演は、前に違う劇で観たことがある役者が何人かいたということもあるし、会場の雰囲気が暖かくて、居心地が良いと言うこともあるが、出ている役者全員、どことなく中央線沿線や下北沢界隈の空気感があって、あんまり緊張しなくて良かった。
     例えるなら、今時の鉄骨の高層マンションではなく、古ぼけたアパートに佇んだり、昔ながらの商店街を歩くと、何とも言えずほっこりすると言うか、妙な安心感やじんわりと幸せを噛みしめることがあるが、それと同じような幸福状態だった。
     なかなか、意外と他の劇団の劇で、ここまでリラックスして楽しめることってないので、良かった。
     カプセル兵団の世界の神話や民話を題材にした朗読劇の際にも、何とも言えない幸福感と懐かしさを感じたが、そのカプセル兵団と今回のインプロ集団platform以外では、意外とそのような状態になることができないもので、こうやってリラックスして、身構えずに肩の力を抜いて、観れるインプロ劇というのも良いものだと感じた。

     唐十郎さんの戯曲を上演する唐組や梁山泊のテント芝居に出れるんじゃないかと思えるような役者も、今回のインプロ集団platformのインプロ劇で観かけて、これは、これからの演劇界もまだまだ希望が持てると感じた。

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