よしの観てきた!クチコミ一覧

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かるめ屋草子

かるめ屋草子

かるめ屋

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/06/23 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★

お祭り的な催しと思えば、これもいいのかな?
説明では「朗読劇」となっていたが、
実際には振りもあり、装置も用意されていた。
4つの小編によるオムニバス。

ネタバレBOX

1 コンビニ
これは、ベテラン(?)店員(遠藤)と、
商品のありかも分からず、苦情対応もできないという
能力不足のオーナー(大迫)がいるコンビニが舞台。
そこに、テレパシーで注文と支払をしたので蟹を引き取りに来たという客と、
昔万引きしたが結婚を前に反省してそのお題を支払いたいという客の、
変な二人が押しかけてくるという話。
ただ、それ以上のひねりがあるわけでもなく、イマイチの感が。なので2.5P。

2 DKにて
男に出て行かれた仕事も生活も生真面目な女性(今泉)が、
ルームシェア募集をかけたところ、
飲み屋勤務の、万事アバウトな女性(遠藤)が早速乗り込んでくる。
この人、片付けもできない、夜中に騒ぐなど配慮ができないタチ。
そこで、当然性格が正反対の二人の間におこる、色々の感情を、
(勤務時間も全く違うため)両者の間の「置き手紙」により表現していく手法。
現代ならメールのやり取りの方が主流かな、とも思いつつ、
手紙のやり取りで、ある時は険悪になったり、
しかしそれでも互いを共感していったり、
という感情の変化が描かれる。
アバウトな女性は将来は音楽や絵で世界を訪問することを夢見ていて、
路上ライブなどもやっている。
生真面目女性も、ついに路上ライブに行き、二人は意気投合。
そこに、プッと出て行っただらしのなさそうな
(いかにも生真面目女性が引っ掛かりそうな)
男(大迫)が突然帰ってくる。
「また一緒に住んでやる」といい「この女を追い出せ」というが、
失恋のショックからも立ち直り、友情が芽生えた女二人は、
逆にこの男を追い出す・・・
まあそんな話ですが、手法として、最後を除き、
手紙のやり取りだけで構成するのは
ちょっと単調で、見ているものは飽きるかも?
ということで、3.5Pくらいかな?

3 メール恋愛
私は、これが一番面白かった。
胸の小さいことを気にしている女性(遠藤)が、
AカップをDカップに見せる方法を友人女性にメール送信・・・
ところが、誤送信で、知らない男性(大迫)に送ってしまう。
この男、ニートで、2チャンネルと思しき掲示板に書き込んで時間をつぶし、
それを「友人と政治の議論をしている」などと言っている。
そして、本音では、この女性を馬鹿にしていながら、
返信では心優しい言葉を送る。
それを本気にしてしまうAカップ女性・・・。
ところで、この男には、幼馴染でメル友の本命女性(今泉)がいて、
そちらともメールを交換する。しかしこちらは女性の方がしたたかで一枚上手。
両者とのメール交換と、その間の本音との落差が笑いを呼ぶ。
大迫は別として、前作と全く違う役柄を女性二人が演じたことも興味深かった。
なので4.5Pくらい?

4 かるめ屋の森
これは芝居というよりは、ゲーム的なもの。
それぞれが動物のぬいぐるみを着こみ、司会役の山中が出題、
先生と呼ばれる遠藤が出題を基に変な絵をかき、
小さい高い声で変なしゃべり方をする。
解答役の今泉と大迫は正解できない(?)ので、
変な人遠藤から、変な罰ゲームを受ける・・・
というまあそれだけのこと。
でも、これまで3編を演じてきた役者の素顔が観られたことは面白いし、
司会役も好演。なので、3.5Pくらいか?


まあ、5/18に観た「バッコスの花ざかり」のような、お祭り的な催しと思えば、
これもいいのかな?という感じ。私的には「バッコス」よりは面白かったかな?
それで、それぞれのPointの平均が3.5なので、まあ四捨五入で4Pとします。
ストレート・ミーツ・カーブ

ストレート・ミーツ・カーブ

てにどう

シアター711(東京都)

2011/06/22 (水) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★

期待して行ったが、私にはイマイチで・・・
宇宙船ものでした。4日前にも宇宙船ものを見ているし、結構多いのかな?
で、観劇後の印象としても、なんかイマイチ系の芝居に、
最近よく申しているような言葉がそのまま使えそうなのが残念なところです。
つまり・・・

ネタバレBOX

「滑舌が悪く、早口で聞き取りにくい人がいる。」
「怒鳴り合いがやたらに多い」
「お笑いなのに、台詞が長くてくどい」
(会話が長引くのは、相手の話を無視して、
自分の思い込みばかり話そうというシーンが多すぎるから。
また、お笑いで必要な「間」も悪くなる。)
「同じギャグの繰り返しが多い」
(エイリアンでなくて宇宙人・・・など)
「劇団(員)のファン、関係者(特に最後列に陣取っていた)にだけ
ウケていたネタが多い」
などなど。

それに、前艦長は不祥事により更迭、
それで副艦長は艦長に昇進できると思ったが、
本社は別の人間を艦長として派遣・・・しかしこの人優柔不断で決断力欠乏、
という設定があり、これに乗組員の恋愛も絡んで話が進行していく・・・。

しかし、ナンセンスものにするならともかく(するなら徹底的にすべき)、
とても軍隊組織的な秩序が全く見られない状況が続き、
その中で、前記のようなくどい台詞や同じギャグや怒鳴り合いが
繰り返されるので、
この劇団の馴染み客でない私には、少々苦痛でありました。

この辺、ぜひ練り直して次回に臨んでほしいですね。
そう、みじかよ

そう、みじかよ

green flowers

荻窪小劇場(東京都)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★

ジワーッと感じる何か、がもっとほしかった
高評価の方が多い中で恐縮ですが・・・。

>気合い十分でグリフラがお届けするのはなんてことのない家族の話。

とあるとおりで、たしかによくある通夜の話でした。

で、もちろん、何気ない日常の小さな機微を表現していくことが悪いわけではない。
なにしろ、チェーホフでさえ、存命中は「何が言いたいのかよく分からない」と言われたし、
日本文学でも「第三の新人」(ちょっと古いかな?)なんていう人たちが、
やはり平凡な日常を書き綴ったりしていたし・・・。

ただ、こういう作品は、一見何が言いたいのか分からないようでも、
観終った、あるいは読み終わった後、ジワーッと感じる何かが残るのですよね。

私がイマイチと思ったところは、そこまで深い感銘を受けなかったことがまず1つ。

ネタバレBOX

それに、例えば、「線香が消えてしまった」とか「お父さんのボケ」とか、
同じシーンが繰り返されたことも。

回想シーンもこういうお話ではよくあるわけで、
本編では、姉妹の幼児期の歌やピアノ演奏でしたが、
(ベタになることは承知で申せば)
やはり、母から子、あるいは子から母への
愛情が感じられる内容のものの方が良いかな、などと思った次第。

もちろん、こういうテーマを扱うのは、実はとても困難だと思います。
台本の良さ+演技力がとっても問われると思いますし。
今後に期待します。
「13日間の罪と罰」

「13日間の罪と罰」

劇団アニマル王子

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2011/06/16 (木) ~ 2011/06/20 (月)公演終了

満足度★★★

主役に強いオーラがほしかった・・・
最終日に観ました。
私が申し上げたいことは、もうすでに他の方によって指摘されているのだが、
私がやはり一番気になったのは、主役に強いオーラが感じられなかったこと。

「最高峰の大学の首席」であり、
「(殺人さえも許される)特別な存在」「神が存在しないのなら私が神」
を自認している以上、その是非はともかくとしても、
強烈な存在感を周囲や観る者に与えられないと、公演の成功は難しいのではないか?
かなり声もかすれていたし、体調も悪かったのかもしれないが。

それから、「罪と罰」の「特別な存在」でありながら、罪の無い強欲金貸しの妹まで殺してしまい、
それから犯罪が徐々に露見していく恐怖という内面世界を描いた世界と、
二・二六事件という、これも一言では語りつくせない背景を持つ世界
(さらに、過去の事件まである)とを、
合体させるというのは、絶対不可能とは言わないが、
余程上手く台本を書かないと、観る者を納得させられる作品にはできないのではないか?

ただ、登場人物も多く、舞台上を多人数で占め、迫力ある舞台を作ったり、
客席通路まで利用し、動きの多いものとするなどの工夫については評価したい。

「六畳一間のラブパレード」

「六畳一間のラブパレード」

ThreeQuarter

ひつじ座(東京都)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★

台本と表現力アップにもっと工夫を
アパートの一室で繰り広げられる様々なカップルの物語。

ネタバレBOX

主人公はこの部屋の住人で、その彼女(?)は時々泊まりに来るが、
彼女は部屋の片隅で寝るようで、お互い恋人とは思っていない。

そこに、主人公の妹が、彼氏を連れて転がり込む。
結婚を反対されたので、駆け落ちして来たと言って。
彼氏は、音楽家を目指していて、稼ぎはバイトだけ・・・。

そこに、気の強い主人公の姉とその夫が、
駆け落ちした二人を探しに乗り込んでくる。
また、音楽家志望の彼氏の家族や、主人公の幼馴染も。
さらには、アパート管理人の夫が同性愛者であったり・・・

というような人間たちの、夫婦、恋人、友人、片思い、同性愛・・・
といった様々な愛の形が、
劇を通して繰り広げられる。

ただ、残念なのは、怒鳴り合いのようなシーンが結構多くて、
意見が合わない→すぐ怒鳴り合い、
というパターンが多すぎたように感じられたこと。
もちろん、怒鳴り合いシーン自体が悪いというのではないが、
個人的には少々興ざめ感が・・・。
台本ももっと練って、そして研修生のみならず団員各位も、
もっと表現力を高め、微妙な表現ができるよう工夫をすれば、
より素晴らしい演劇を観る者に提供できると思うので、
今後の研鑽に期待したい。
『flying stage!』

『flying stage!』

風凛華斬

シアター風姿花伝(東京都)

2011/06/17 (金) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

後半の数度の盛り上がりに感動!
いわゆる「ベタ」な話ですが、素直に感動できました。

子供世界を中心に描いた作品で、そこには子供社会ならではの純真さ、
不正への疑問、大いなる将来への夢、それを実現しようとする情熱、
そして、もちろん良いことばかりではなく、いじめ、心無い言葉も含んでいる。
さらに、そこに大人社会の決め事が加わり、
階級・身分・権力・貧富・教育・教養(いい意味ばかりでなく)の差が絡み合ってくる。

ネタバレBOX

女性冒険飛行家アメリア(”めん”が当たり役で好演♪)は師匠夫妻と共に、
未来の飛行の夢を語り合う。
しかし、舞台は一転、子供社会へ。

孤児院に住む主人公ミラは、ふとしたきっかけで上流階級の子供たちと付き合うようになる。
そこで、前述したようないじめや差別も体験するのだが、
あるとき、隠れ家の倉庫に飛行機があるのを見つけ、
何と子供たちだけで、それを飛ばすことを計画する。

いじめられっ子だが機械に強いナイルが整備し、もちろん、パイロットはミラ。
まあこの辺、ミラの「兄」が大学へ、という話があるので、
最大限年長としても高校生の物語であり、
いくら機械好きでもいきなり飛行機の整備はできないだろ、とか、
孤児院暮らしで、勉強好きでもないミラが、いきなり飛行機の操縦など無理だろ、とか、
まあ理屈で考えればおかしいことだらけなのだが(笑)、
ある意味、そんな屁理屈(?)を吹き飛ばすだけの推進力と感動がこの芝居にはあった。

実はアメリアは、事故死した師匠夫妻の子を探していて、
ミラこそがその子であることを知る。

途中で飛行機の整備がいじめっ子に見つかり、
しかも燃料のガソリンも「拝借」してくるので、
はたしてこの計画が実現するか?ではらはらさせ、
何度も臆病ゆえに、友人を置いて逃げ出していたナイルが、
最後の土壇場で、ついに逆切れ(?)し、いじめっ子の暴力に対峙し、勝利する。
また、ミラの友人であるアルやティコも、強圧的な兄の呪縛からついに逃れる。
そして、これらの困難をすべて克服し、ついに飛行へ。

さらには、子供たちが夢を叶えていくのと、アメリアと亡き師匠夫妻との想い出と夢が交錯していく。
ラストは、離陸後、ミラと、その父とが一緒に教え、教わりながら飛行する・・・。

このように、いくつもヤマを作り、そしてそれを乗り越えさせ、夢と希望を実現させていくことで、
観る者に感動を与えていく手法はさすがである。

また、以上のように、上流階級の子供たちも、
素直な子供や、バカ娘、そしていじめっ子などさまざまで、
そして、その家族も、差別意識の強いもの、過去の飛行機事故のトラウマがあるもの、
ミーハーなものなどこちらもさまざま。
こういう役ごとの個性の違いもしっかり表現できていたと思う。

ベタであっても演劇的にしっかり作られている秀作は好きだ。
キラル

キラル

Holiday Junction

ART THEATER かもめ座(東京都)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/19 (日)公演終了

満足度★★

台本・キャストとも、努力と、もう一工夫がほしい
50分ほどの短編。

それぞれ彼氏のいる女性2人だが、
それぞれ彼氏に煮え切らない思いをしている・・・・・・

ネタバレBOX

ある日、女主人公は雷に打たれ、どうも2人に分離してしまったらしい。
そして、分離したもう1人は、なんと、友人(ぽっちゃり系)女性の彼氏を奪ってしまう。
その誤解もほとんど解けそうになるが、しかし、スタンガンを普段から所持していた彼氏を奪われた女性は、女主人公にそれを使ってしまう・・・そして幕。

・・・なのですが、最初の女性同士のよくある他愛もない会話の部分など
(特にぽっちゃり系(悪い意味ではありません・・・私、結構好みなので)の方はそうなのだが)、
台詞がよく聞こえてきません!もっと、お客に聞こえるように、はっきり、ゆっくり(演出の必要で早くしゃべる部分はもちろん別ですよ)話す訓練から始めないと・・・。

それから、何気ない対話の部分でも、それなりに気の利いた台詞がほしいし、
本当に雑談っぽい話が結構長く続くのは、観る側としては退屈。

それと、スタンガンは最初に登場して「えっ、持ってて良いの?」なんて会話もあるのだが、
持っていて良いものなら殺傷能力は無いはずで、
そうであれば、「誤解の解けぬまま、これを使用してしまって幕」というのも、
効果的なエンディングとは言えないのではないか?

そういうわけで、何気ない日常と、雷による分離を取り上げる着想自体は面白いが、
しかし、台本・キャストとも、さらに努力と、もう一工夫がほしい、と思った。
一輪の、華をはなむけ・手向けることも赦されず★無事終演。ご来場どうもです。

一輪の、華をはなむけ・手向けることも赦されず★無事終演。ご来場どうもです。

劇団ING進行形

タイニイアリス(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★

前衛でも、やはり強いイメージを観る者に与えてほしい!
印象(いんぞう)さんの「人涙」に引き続いての公演。

ネタバレBOX

こちらは、ジャンヌ・ダルクを素材としながらも、ドロドロ前衛といった趣。
ジャンヌダルクの持つ「聖なるイメージ」のみならず、
精神科病棟と思われるような、医師VS精神病者となり、
やや突き放した冷たい雰囲気になったり、
あるいはエクソシストのように、悪魔祓い者VS悪魔(に憑りつかれた者)の
ような魔術的世界になったり、
クローンが出てきたり、
こちらも、多様な世界が交錯するという点では、
直前に観た「人涙」と共通していると言えなくもない。

ただ、観劇後の印象や出来という点では、
(見方は分かれると思うが)やはり今一つか?
抽象的・前衛的作品であれば、もちろん、筋に論理性が無くてもよく、
具体的イメージが伝わらないからと言って、
失敗でもないし批判の対象にもならない。

しかし、芸術である以上、観る者に、やはり何か
(漠としたイメージであっても)が伝わって、
そしてできればそれが、深い何か(印象でも)を観る者の心に残せれば、
成功と言えるのではないか?
「聖なるイメージ」「精神病者のイメージ」「魔術的イメージ」が、
ごっちゃ煮になってしまっているし、
それらの積み重ねによって、「何か」を提示できている
とも言えなかったのではないか?

例えば、大野一雄や土方巽などの「(暗黒)舞踏」でも、
あるいはドロドロであったり、あるいは泥上に咲く可憐な花であったり、
表現されるものは様々であって、それは具体性は無いにしても、
やはり強いイメージを観る者に与えてきたのだから。
そこのところ、もう一歩進んでほしいと思う。
人涙(じんるい) ★ご来場、誠にありがとうございました。

人涙(じんるい) ★ご来場、誠にありがとうございました。

劇団印象-indian elephant-

タイニイアリス(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★

抽象と具象、現実と幻想を行き来する好演
ING進行形さんからのご案内だったが、こちらも一緒に観られるというので行きました。

ネタバレBOX

レーシック手術を抽象的に現した場面からスタートするが、
主人公の若い女性(子供を産めないかも、と言われている)と、未亡人でありながら、娘と同じ年の若い男(眼鏡店経営)と恋愛関係の主人公の母(当然子供は産めない年齢)、
この交際相手の男の両親からは、当然(?)結婚すれば孫が誕生することを期待されている・・・なので当然この年の差カップルの結婚には反対。
また、この男の姉は、資産家に嫁いで、暮らしも困らず、旅行もしょっちゅうできるこの上ない身分だが、妊娠を夫に告げると「またにしない・・・?」という心無い言葉・・・。それに激怒し、弟が不在のため、何と交際相手の母娘宅へ旅行先から転がり込んでくる。
そして、彼らの涙を食糧としている可愛くない(笑)妖精達。
これらの登場人物が、抽象表現と具象表現の間、そして、現実と幻想(妖精の場面をそう解釈しても許されるだろう)の間を行き来して、演劇は進んでいく。
「子供はいらない」「子供がほしい」という言葉が、ある人を慰める言葉に使われる一方、それを横で聞いていた別の人を傷つける・・・言葉の難しさや、人の命とは?、人生とは?を感じさせ、そして、その時々に涙を流す人間の涙を食する妖精という設定は中々のものと思った。
もちろん、深刻な場面ばかりでなく、可愛くない妖精が出てくる場面はコミカルであり笑いを誘う。色々楽しく、かつあれこれ考えさせられる舞台であった。
人間嫌い

人間嫌い

たすいち

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2011/06/18 (土) ~ 2011/06/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

古典物でも高水準の出来上がりに
実は、かくいう私も、生でモリエールを見るのは初めてだし、
モリエールについて造詣があるわけでもない。
ただ、今回拝見して、やはり何より面白かったし、
時代のふるいに耐え、現代まで残ってるだけの出来のよい台本であると感じた。
それを前回、短編で好演を見せた+1が、今回、長編かつ古典もので、
どのような芝居を見せるか、興味深かった。

私的には、やはり高水準で、出来のよい芝居であったと思った。

ネタバレBOX

社交界に生きる人達の追従、欺瞞、不正が日常茶飯事になっている中、
男主人公アルセストは、極端なほど世辞・追従が全くできず、
ある意味正義感が強いともいえるが、周囲とは当然激しい摩擦を起こしていく・・・傍から見ればやはり滑稽な人物であることには変わりがない。
そして、そういう性格の彼がなぜか恋する女主人公セリメールは、
逆に「典型的な社交界的人物」。
そして、この二人の周囲には、多様な個性の強い人物が数多くいて、
そしてこれら登場人物が大小様々の事件を引き起こしていく。

このモリエール作品に、ある場合には必要と思われる、
強い自己主張的表現や、長い台詞を言葉のリズムを有しながら話していくこと、
それに間の取り方、などが、脇役陣を含めてしっかりしていて、
それらを前提に、人間の弱さや可笑しさ、
そして素晴らしさがしっかり織り出されていった舞台であった。
私自身、やや疲れ気味だったので、1時間半はつらいかも、と思っていたが、
実際はあっという間に観終ってしまった感がある。

さて、素晴らしい舞台であったが、さらなる向上のためにということで、
あえて私が気になったこととして、以下3点を指摘しておく。
1 この物語では、男主人公は極めて非妥協的人物であるが、
「結末部」の台詞などでは、若いのに諦めゆえの隠遁を決意してしまうし、
また恋人への台詞なども含めて、
極端な個性がやや緩くなってきたように考えることができるであろう。
一方、女主人公は、「この時代の社交界としては極めて常識的」な生き方を
していて、上手く立ち回っているのだが、やはり「結末部」では、
やり口がばれてしまう・・・。
そして、それまで気持ちを秘めていた脇役の位置にあった2人が
結ばれることに。
こういう、下向き、あるいは上向きの「ベクトル」が、
もうちょっとくっきり出る演出ができれば、
さらに印象強い舞台となったのではないだろうか?
2 上述のとおり、脇役も含めて好演していたのだが、
実は、「舞台に出てきて台詞が始まるまで」の間に、
ちょっと存在感に欠ける人が何人かいた。
台詞が始まってからは良かったのだが。
つまりは、名俳優や名バレエダンサーなど、
ある意味、突っ立っているだけでも、
強い存在感とオーラのようなものが伝わってくるのであり、
それは内面の思いとか、微妙な表情・所作から滲み出してくるものであるが、
その辺もこれから考えて頂ければと思う。
3 音楽というか効果音で、心臓の鼓動のような音を数か所使っていたが、
その場面が内面の不安をことさら強調する場面とも思えず、
私は少々違和感を感じた。

ただし、これらの課題はあっったとしても、ポイント4.6~4.8位なので、
四捨五入で5Pを献上しました・・・。
『宇宙の旅、セミが鳴いて』

『宇宙の旅、セミが鳴いて』

THE TRICKTOPS

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2011/06/17 (金) ~ 2011/06/20 (月)公演終了

満足度★★★

話のタネはいっぱいあるが・・・
あらすじは、大体公表されているとおりですが、
冒頭は船長から調理役の女性片桐が叱られている場面から始まる。
事前にあらすじを読んでいなかった私は、
「船長」と聞いて、ここは海の上の船なのだと思ってしまった。
舞台装置も、木製のテーブルと椅子だし、これは後の話だが、
ステージ上の「船室」への出入り口には、
ガラガラ・・・と横開きの扉もあったりして、
とても「宇宙船」とは思えないのですよね。
船長の服装も、他の乗組員と違って、普通の服装だし。
これが、予算の都合なのか、あまり考えていないのか、
それとも、「宇宙戦艦ヤマト」風に、
あえてそういう古い感じにしたということなのか、
私にはよく分からない・・・

ネタバレBOX

その後のシーンは、乗組員間の様々な恋愛が、オムニバスとも取れるように繰り広げられる。
3人の女(しかも姉妹という設定)を毎晩取り替える男性医師、
同僚の恋愛不得手の女性医師、
美女とイケメンという設定(余談だが、イケメン役、もちろんブ男ではないが、
イケメンとしては少々役不足だったので、台詞で失笑が起きていた)の2人、
エンジニアだが神父の資格を持っているという、いい加減な神父
・・・しかし、後半や神父的役割が強く出てくる。
そして、冒頭叱られていた片桐と妻子ある船長とも、
実は互いに恋愛感情を抱いていた・・・
そして、帰還先の日本では社会主義革命が起き、
エリート(申し訳ないがそうは見えない人が多いのだが)は
帰還後の身の上が気になる。

まあ、こういうように進んでくるので、
「これだけタネをまいて、最後はどう決着付けるのかな」と思っていたが、
最後は、地球に戻ると船長は妻子のものに帰ってしまうと考えた片桐が、
燃料を捨て、方向も変えてしまい(現代版?八百屋お七か?)、
船上の彼らは、酸素が無くなり次第全員死ぬ運命
・・・ここで、船長の独白でセミの話が出てきて、
そしてセミの声が聞こえて終わるのだが、
これもあまりに唐突過ぎではないか? 
じゃあそれまでの恋愛模様+変な神父さんは何だったの・・・?

それから、上述のとおりで、舞台装置も、登場人物の設定も中途半端だし、
未来の日本で、宇宙船を出すほど科学も(そして環境破壊も)進んだ状況で、
社会主義革命というのも、冷戦時代ではないし、かなり無理があるのでは?

そういうわけで、すべてが中途半端なので、
普通だと低いポイントにしてしまうはずなのですが、
細部を気にせずオムニバス的に見てしまえば、そこそこかな、
という気もしたので、3Pにしました。
これは観る人によって評価が分かれると思います。
静かの海【ご来場ありがとうございました】

静かの海【ご来場ありがとうございました】

青春事情

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/06/08 (水) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

現在と高校時代とを交錯させる手法が非常に効果的
私は、結構漫才も面白かったと思ったが
(というか、最近観たコントや漫才が滑っていたものが多いので・・・意図的なものも含むが)、
それよりも、現在と高校時代とを交錯させる手法が
非常に効果的であったことを何より評価したい。

青春時代は、さまざまな夢を抱く。それは、甘酸っぱい記憶であるが、
でも、夢を描けること自体、とても素晴らしいことである。
一方で、その夢をかなえることに困難を伴うことも多く、
厳しい現実の前に挫折を味わうこともある。

また、親の職業を継ぐ(そのこと事態が悩みになることもあるが)決断を
したものの、時代の変化で、厳しい状況に追い込まれることもある。

しかしながら、青春期に羽目をはずしていても、職業人として、また人間としてしっかり成長していることもある。

そして、誰がいつ、どのような病気に見舞われるかどうかも分からない。

こういう、夢と現実との対立と一致、
そして不条理を含む人生の様々な出来事を、
現在と高校時代をこまめに交錯させていく手法でこの劇は進んでいくし、
この手法は大変成功していたと思う。
一見の価値ありの芝居、である。

いないいない

いないいない

ガレキの太鼓

アトリエ春風舎(東京都)

2011/06/03 (金) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★

お伽噺と考えれば・・・
・・・いろいろ内容に矛盾はありますが、私としては納得できました。

たしかに、水道や電気はどうなってるの?とか、
取り壊された家の話題も出ているのに、
この隠れ家の建物自体は大丈夫なの?
・・・鍵付きの室内で、いくら皆さんが「家具」に潜んでも、
建物自体が破壊されたら・・・
とか、突っ込めば色々おかしな点はあります。

でも、こういう閉塞感の中で、上記の矛盾のほか、
妙に楽しそうにしている人がいたり、
要は超現実(=シュールレアリスム)なので、
そのように思えた方は楽しめたし、
その世界に入り込めなかった方は、
イマイチ消化不良と感じてしまうのではないでしょうか?

(以下ネタバレへ)

ネタバレBOX

極め付けなのが、最後の方で、一部の登場人物が姿を消して、
声だけになって、自室の「家具」の扉だけ、自動機械のように動く手法です。

西洋音楽でも、変な伝統(?)があって、
死んで後、骸骨や亡霊が踊るとか、
ショスタコーヴィッチの、収容所での粛清を思わせる音楽で、
諧謔的にカラカラ打楽器が鳴ったりするとか・・・
そういう怖さとユーモアが同居するような世界を思い出しました。
吹雪の中でワルツ

吹雪の中でワルツ

さるしげろっく

ワーサルシアター(東京都)

2011/06/07 (火) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★

中々の好演!
すでにお二人の立派なレビューが付いているので、舞台の様子など重複することは繰り返し書きません。

それで、私も良い芝居だったと思いましたし、5Pにしようかとも思いましたが、
4.45くらいで、四捨五入して4Pとさせて頂きました。

気になった点としては、まず、前半のドタバタ部分や、最後の(双子の弟でもあるが)亡機長の絶叫などが、正直、私には「うるさい」と思ってしまったこと(人により感じ方は様々とは思います)。

会場が狭く、もともとは練習場のようで、音が響き過ぎるのです。
私は1列しかない横の座席で観ていましたが、壁は消音材でしたね。それでも響き過ぎるきらいが・・・。
それに8畳間に、ヘタすると10人近くが乗って、ドタバタすることも多く、それも相まっての印象です。

次に、HNにこだわる弔問客と、なぜか異様に頑なな対応の長女の演技が、
次第に事情は明らかになっていくにしろ、最初の部分では「演技が下手なのかな?」とも思ってしまったり。

それから、110分持たせる手法の1つとして、「弔問客が集まった事情」「音楽(ワルツ)の意味」などが、明かされようとすると、邪魔が入って明かされない・・・が続くのですが、これも繰り返されると、ちょっとくどいかな、と思えてきました。

ということで、短所ばかり述べてしまう形になりましたが、良い点はすでに他の方がおっしゃってますし、何より、後半部のすべてが明かされ、そして各人の思いが吐露される辺りは、観る者を惹きつける求心力も素晴らしく、良い芝居を観られたという思いは確かなところです。

最後に、枝葉末節(?)の話を2点。
まず、次女は養子なので、姓が違うという台詞があったような気がしましたが、
養子になれば、(結婚していない限り)養親と同じ姓になるのですよ。

それから、地図などで見た限り、会場は駅から至近距離のようで、
道に迷うことはないと思っていたら、初めてのこともあり、随分迷いました。
地図と違って、改札が新宿よりなんで、案内のとおり、改札を出て左、そしてすぐにまた左なんですが、
時々やられているように、ここに1人チラシを持って立っててもらえると、迷うことはなかったんですが。
受付には結構人がいたので、できればお願いしたいところです。

Theatresports(TM)

Theatresports(TM)

インプロ・ワークス

小劇場 楽園(東京都)

2011/06/06 (月) ~ 2011/06/06 (月)公演終了

満足度★★★

もっと、構成・企画をしっかりと!
初めて観ました。

開演前にスコアガールのお嬢様が「台詞」を募集しており、
そして、開演したのだが、MCさんの話が結構長いのと、
芝居の要素が無いとはもちろん言いませんが、
どっちかというと、演劇合戦というより「ゲーム」になってしまっていた気が。
特に、「花の名前を言いなさい」みたいなものはまったくそう。

昔、「連想ゲーム」「底抜け脱線ゲーム」(年がばれる?)や、
その他視聴者参加型のジェスチャーゲームなどのTV番組があったが、
むしろそういうものに雰囲気は近い。
この辺はもっと考えてほしいところ。

さらに言えば、出演者が演じるときはもちろん即興で構わないのだが、
全体の企画も、即興というよりいい加減なところが見受けられ、
例えば、3名の審査員の点数の付け方もかなりいい加減に思えたし
(出演者はそれなりに頑張っていたと思ったが)、
講評をするわけでもなく、どういう人がやっているのかもわからない。
これなら、観客全員か一部選抜で、赤白のボードでも持たせて、
その場で審査させた方が、
観客との(強制されない)一体感も生まれると思う。

開演前集めた「台詞」も、前半は1枚使ったきりで、
後半に出演者から「使おう」の声が出なければ、
そのままゴミになったのでは?

しっかり構成・企画すべきところは、そうしないとダレるし、
いい気持ちがしない人もいるのでは?

最後に、私が特にお笑い系で気にすることは、
ファンや関係者だけからウケているのか、
初めて何の関係もなく来たお客でも面白くてウケているのか、
ということ。

まあ、それなりに面白かったが、次回も観たいかと言われると、
「時間があったらね」程度。
お客でも、この公演シリーズや、関係者のファンの「笑い」が多かったように、
私は感じてしまったのだが、実際はどうなのかな?

星より昴く

星より昴く

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI(東京都)

2011/06/04 (土) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

ベタかもしれないが、構成・演技は上出来
はじめは、台詞が多い割にあまり受けない漫才からスタートしたので、
漫才家として苦労しながら大成していく話なのかと思ったり、
次には、(台詞中でも言われていたが)現代風でない昔ながらの女の子の純愛物語・・・
ということになってきたので、なんか、ここ数日観てきた「コント」や「分かりやすい芝居」と同種なのかな、
と勝手に観ながら憶測していた。

でも、劇の進行については、中々考えられた構成が取られていたと思う。
上述のとおり、筋がどのように展開しているのか簡単には読めないようになっていることもその1つである。

以下ネタバレへ・・・

ネタバレBOX

さらには、前半でも主人公女性の純愛的台詞でほろりとさせる山場は用意されているが(ここで終わってもそれなりのベタないい芝居にはなる)、
その後、話は急転し、悪役も登場し、一波乱ある。
必ずしも、世の中、心のきれいな人だけでは成り立っていないことも考えられている。
また、このような展開をしていくことにより、求心力も増し、観る者が惹きつけられ続けるように作られているのもさすが。
よく考えると、女装がばれないことや、
悪役が刺される場面で「急所をはずれている」あたりなど、
本当は筋にかなりの無理もあるのだが、
観ているとそれほどの違和感も感じさせないのもそのせいかもしれない。

そして、恋のライバルである美貌の女優南条小百合が龍治と結ばれるという悲劇的結末も十分成立する中、
もし、ハッピーエンドに持っていくならどういう展開になるのかな(あっさりハッピーエンド結末を迎えるのもさびしいな)、などと思っていたら、
大きな山場を用意してくれていて、「泣かせどころ」と分かってはいながらも、やはり目頭が熱くなってしまう・・・この辺はさすがである。

また、悪役は悪役らしく、弱い人間は弱い人間として、
そして、大女優南条の、したたかさと押しの強さ、それに若い女性としての可憐な一面を併せ持つ性格など、
それぞれの役がしっかり作られていて、役者も好演していた。
(ただ、台詞を噛むのが比較的多かった方がいました
・・・これから猛練習して千秋楽までの残りの公演はしっかりやって下さい。)

話は変わるが、オペラでも、「アラベラ」(R.シュトラウス)では、男装する女性役が登場し、非常に切ない思いをすることとなるし、
「フィデリオ」(ベートーヴェン)では、一途に命がけで夫を救う妻が描かれている。
(なお、女性歌手が男性役を演じ、かつ女装するというややこしい作り・・・)
男性役が女装する場合(「フィガロの結婚」「ばらの騎士」など)がコミカルになることが多いのに対し、
女性が男装する場合、どうしてこれほどシリアスで切なくなるのか?などと、劇中や終演後もちょっと考えさせられてしまった・・・。
第8回壽太郎ひとりコント

第8回壽太郎ひとりコント

壽太郎ひとりコント制作委員会

遊空間がざびぃ(東京都)

2011/06/04 (土) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★

ちょっと余計な言葉が多過ぎたかな?
すでに書かれているとおりで、「一人コント」というのは題名のみで、
実際には多人数が出演する喜劇である。
(これも理由は最後に明かされ、まあ洒落みたいなものだが、
それほど面白くもない・・・)

筋の詳細は書くほどの内容ではないが、
それよりも、何より肝心の「笑い」が取れていたかと言われれば、
結構滑っていたのではないか。
特に、主役の壽太郎氏が顕著なのだが、
台詞に余計な言葉(間投詞も)が多すぎる。
変な公式だけど、「喜劇効率=笑い数/台詞数」なんて考えると、
効率は決して良くなかったのではないか?
笑いが取れているところも、全員がおかしくて笑うというよりも、
常連さんやファンだけわかるような笑いが起きることが多く、
心底面白くて笑っている、という場面は少なかったように思えた。

まあ、それでもそこそこ面白かったし、
「悲劇より喜劇の方が難しい」というのも真実なので、
やる方は大変と思うが、でも、本当に面白いコントは、
腹が痛くなるくらい笑わせますからね。

それから、最初最前列に案内されたが、冷房風が非常にきつく、
まだ風邪の治っていない私としては、ここにいては身体を壊すと思い、
風の来ないやや後ろへ退散。
ところが、ここにいても、次第に足から冷えてくるくらい寒くなる。
外の気温も日中で25度くらいだったはずだし、
節電も求められている時期に、配慮が欠けているのではと感じた。
こういうことも考慮して頂きたいですね。

俺が一番~夏の陣´11~

俺が一番~夏の陣´11~

演劇集団 俺が一番

nakano f(東京都)

2011/06/03 (金) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★

【(劇)梢軍:「洋風喫茶「ブローウィンラバー」」】短編に色々詰め込み過ぎたかなあ
私の見た最後の3本目がこの作品。

一言でいえば、料理人の父親と、その3人子供のお話だが、
父親の職業人としての能力、転機とそれへの子供たちの複雑な気持ち、
また多感な時期の子供たちの様々な思い・・・などが取り上げられているが、
30分作品に、ちょっとテーマを盛り込み過ぎて、私には中途半端な感が。

これが1~2時間の作品であれば、上手く行ったと思うが、
あらためて、短編ならではの難しさというのを、私自身考えさせられた。
色々言いたいことがあっても、捨てるべきものは削ぎ落とさないと
駄目なのですね。

でもまあ、これについても、役者が熱演していたには好感を持った。

俺が一番~夏の陣´11~

俺が一番~夏の陣´11~

演劇集団 俺が一番

nakano f(東京都)

2011/06/03 (金) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★

【ビタミンパレード:「ランデヴー」】ホンワカした幼児期体験に好感
これは2本目。

個人的にはこの作品に最も好感を持った。
最初に、役者の1人がお客1人1人にヒマワリの花を配り、
それからビニールシートを敷き、女の子2人でおままごとが始まる。

お菓子を食べたり、おもちゃのような楽器を演奏したり、
たわいない話をしたり・・・と、まあそれだけだし、
筋にも論理的一貫性があるわけでもない。

しかし、だれでも昔経験している幼児期への憧憬が呼び起され、
その時の純真さ、好奇心、幻影・・・が観る者に伝わったと思う。
好短編であった。

俺が一番~夏の陣´11~

俺が一番~夏の陣´11~

演劇集団 俺が一番

nakano f(東京都)

2011/06/03 (金) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★

【団体「割引」:「Birthday×Verseday」】リーディングの難しさ
この日、3本の短編が続けて上演された。まず1本目から。

これは、基本的にリーディングで、
しかし最小限の振りは付けられて上演された。

以下ネタバレへ・・・

ネタバレBOX

老夫婦、それも、記憶も薄らいでいき、死も予期している二人の物語だが、
これを若い二人が演じたため、そこにすでに難が・・・。

特に、女性役は、台詞回しから若さと生命感を感じさせてしまい、
年相応の役なら良かったのだろうが、このような話では、
特にリーディングならではの、聴く者に豊な空想のふくらみを与えていく・・・
というのができない。

これは男性役にも言えることだが、まずは、「間」の取り方に
十分気を遣ってほしい。「間」を十分取っていくことがとても必要
(もちろん「間延び」しても駄目だが・・・)。

それから、年相応でやってしまうと、「人生上向き感」が、
どうしても出てしまうので、「人生の幕引き場面」であることを、
ことさら意識する必要があると思う。

でも、一生懸命やられていたことや、台本自体は中々秀逸と思えたことは、評価したい。

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