満足度★★★★
兄弟姉妹の不思議なあたたかさ
緩急寒暖のメリハリが利いた、あたたかくもスパイシーな舞台。
白を基調にした、こじんまりとしたcafeギャラリーを会場にしたことで、物語の良さが活かされていたと思う。満足の90分だった。
ゆっこのお菓子付き。受付対応も○。
ネタバレBOX
長女・真紀(仙崎)と長男・恭一(江嵜)の向かいで気まずそうに卓を囲む、次女・みなみ(内野)とその彼氏・光輝(巣山)。みなみは、両親に沖縄旅行をプレセントし、二人がいない間に、姉と兄に、光輝との結婚を理解してもらう算段でいる。真紀は、役所に勤める29歳で堅物が服を着ているようなタイプ。高校卒業して社会も経験せずに結婚なんて!と断固として認めない。その隣で終始穏やかな雰囲気の恭一。丁々発止のやりとりの中、隣人で夫との夜の生活が皆無の隣人・佐藤美子(中津)と、真紀の下僕といわれる高橋洋(中)が加わり、さらに熱い状況へ突きすすむ‥。
ドラマ的でもあるけど、実際はめずらしくもない兄弟の話だろうか。みなみと光輝の結婚話を切り口に、3兄弟の関係性やキャラ、想いをうっすらと描いていく。話の起爆剤としての佐藤のキャラと、意外にも常識人っぽい高橋を投入することで、3人の想いが一層はっきりしてくる手法も上手い。
(みなみの)いい母であろうとした真紀の苦しみとか、女性としての何かが爆発する場面が一番の見どころか。あんだけドタバタしたのに穏やかに終幕するのも、兄弟だからこそなんだろうななんて思った。
女3名のほうが活発な舞台で、男3名はこれから(これまでも?)苦労するなと感じた。
ちなみに、開演直後のテーブル下で、みなみが光輝の足へ足をからませる演出が気に入った。また、江嵜の変人兄演技が上手かった。
満足度★★★★
アホな舞台
SFっぽく人間ドラマっぽくサスペンスっぽくて、アホな舞台だった。
100分。
ネタバレBOX
モスバーガー荒川車庫前店が舞台。うろたえる店員や常連客のいる店内に、巨大なハンバーガーがある。店長(篠原)が突如ハンバーガーになってしまったらしい‥。
悪いハンバーガーが攻めてくるから世界を守ろう!なんてバカなストーリーで、悲壮感とかまったく無い。ただただ、がちゃがちゃと舞台で役者がしゃべって動いてってな感じなんだけど、なぜか見入ってしまった。バカさ加減を楽しめたからかな。当然、キャラが何考えているだか、感情移入すべきものも無いんだけど。
序盤から中盤まで、クスっとできる。特に野々村店員役の今村圭佑のしゃべりと表情が面白い。また、店長役の篠原正明の風体と濃いキャラクターが面白い。はじめて来た女(林生弥)の推理とか。ハンバーガーと対決する一人芝居は、バカバカしくて真剣で最高だった。
終盤、美智子(川上友里)が、ドムドムに(悪いハンバーガーどもがワープしてくる)ワープホールをふさぎに行くまでがくどかった。演技は良かったんだけど、おなかいっぱいになっちゃんたんだと思う。
満足度★★★★★
天才なサラリーマン
計算された美しさを放つ舞台美術に期待が膨らみながら開演を待った。9人の実力ある俳優の熱演と充実の脚本に105分引き込まれる、期待に応える舞台だった。
主演の酒巻誉洋(伊勢谷)に惚れた。
ネタバレBOX
校倉(あぜくら)化学工業の研究室が舞台。青色LEDの発明者・中村修二の話をモチーフにした話(劇中でははっきりとLEDとは言ってないけど)。
青色LED発明関係の訴訟のさなか、フリーライター(多根)が取材をしながら、青色LEDの開発を目指す伊勢谷(酒巻)とほかの研究員ら、人事部や上層部などとの関係を描く。題材は上の発明関係なのだが、その中のさまざまな「嫉妬」という内向的なところが中心にあったみたい。
ただ、個人的には、会社という「組織」で働くこと(サラリーマン)の意味と意義を鋭く突きつけられた印象の舞台だった。天才肌で自由人のような伊勢谷を中心に、そのパートナー的存在の日下(金)、開発への熱意が薄い管理職・高萩(根津)、会社の業務的に日陰に追いやられる研究員・小出(園田)、研究員としての実力に劣等感のある岩部(岡本)、野心を燃やす新人研究員・井上(佐野)、エリートコースにのっている人事部社員・杉原(東谷)、人生の安定を求め伊勢谷のことを恐れる人事部長・沼田(寺井)らの関係性や想い(妬みもそうだけど)が面白い。
舞台がヒートアップする、特許の横流しのシーン。伊勢谷の怒りがほかの社員らへ向かう。「会社のことを一番思っているのは俺だ」と。
色々な人間が会社という箱の中にいて、同じ目標を目指しているはずなのに起こる軋轢。天才であり異端児でもある伊勢谷という人間が、実際に同僚(もしくは部下)としていたらどうだろうかと考えた。上で、酒巻(伊勢谷)に惚れたと書いたが、実際どうだろうか。
なんにせよ、役者、台本、演出、照明、音響、美術など高品質な総合舞台だった。
満足度★★★
パールちゃん
11人もの女優さんの魅力を堪能できる舞台。お気に入りの女優さんがいれば是非といった感じ。
90分。
ネタバレBOX
「(他人にはわからない)基準」がテーマになった、オムニバス的舞台。
・アダムとイヴが禁断の実を食べる話。
・核融合の研究者と研究所の清掃員の話。
・演出家と女優の話。
・体育の日に生まれた幼馴染の話。
テーマが基準と書いたけど、なんか違う気もする。華やかな舞台とは裏腹に、どこか哲学的なにおいがするせいかな。そこんとこが見えにくかった。
禁断の実を食べ、働かざるを得なくなり、自分と相手の違いを意識し始めるアダムとイヴ。科学者としてのモラル(基準)と軍部の考えの落差に悩む研究員。過去の女優にしばられる演出家に自分の中の劇中役を見せ付ける女優。同じ日に生まれても性格などが違う友人に悩む女性。
‥てところが焦点なのか。
気に入ったのは、(安物?)パール役の小澤絵里香。人形のような無表情の中に、血の通った意思の強さがみえて。また、関原あさこの友人演技とオンリーワン女優っぷりが良かった。
満足度★★★★
床屋へようこそ!
パリのミュージシャンをバックの据えてのマイム劇。わかりやすい物語と演技の中に大人なムード漂う舞台。OPもかっこよく、クスッとほろっとな舞台だった。
80分程度。
ネタバレBOX
床屋を一人で切り盛りする丸山。黒田のカットを終えて、サラリーマン風の細身と天パの常連客・藤代のカットを始めるところ。そこに大きなバッグを携え、オレンジの帽子をかぶった女・田中が来訪する。困惑する丸山。細身と藤代は、店の奥に引っ込んだ二人を想像して盛り上がる。田中は、過去に丸山と関係があったが、仕事に打ち込む丸山ではなく黒田と結婚するも、黒田とのスレ違いにイヤになり丸山の元を訪れたのだ。そんな田中を追い返す丸山。しかし、黒田に発見され、追われるようにして田中は店に戻ってくる。店の中で繰り広げられる激しい思い。丸山は、田中と黒田の仲を取り持ち、二人は家に帰る。細身と藤代も出てった店内で田中の帽子を手に取り、丸山は思いにふける。後ろにはそれを取りに来た田中が。二人でにっこりしてエンド。
ストーリーをわかりやすくるためでもあるだろうけど、シーンの繰り返しが効果的。セリフがなくても心の中が見えてくるよう。
藤代と細身の二人(丸山と田中)の想像演劇がクスッとする。藤代の女の表情と仕草が妙にハマッている。また、黒田と田中のだんだんと溝ができていく様(田中の冷め方と黒田の無神経さ)が上手い。足をテーブルに見立てた会食シーンはまるでドラマのワンシーンだ。
丸山のハンサム紳士な振る舞いはすこぶる爽やかで、藤代の情にもろい設定も○。皆、役柄がはっきりしていて、マイム公演とは思えないくらいしっかりした物語性のある公演だった。
舞台的な話で、基本、客席に向かって店のイスを配置しているが、部分部分でイスを下手向きに配置することで、店の奥行きを感じることができた。良い演出と感心した。また、演奏がとても良かった。特にアコーディオン。物語にあった曲調、リズム。照明効果も手伝って、演者を輝かせていた。
不満を言えば、田中と黒田のヨリを戻す展開がシンプルすぎるかなと思った(それまでのドラマに惹きこまれたためオチに期待しすぎたせいかも知れないけど)。もう10分長くして、もう一波乱あっても良かったかな。
何の話?
チケットプレゼントで入場した。
何の話をしているのかわからず眠かった。あと下の舞台での寝る演技はかなり観にくい。
満足度★★★★
お茄子
民家を改造したような落ち着いた雰囲気のカフェ「なんてんcafe」で、どこかほっこりする75分。
開演前まで、東京ネジの皆さんが、お茶やお菓子を配ったり座席案内したりしている。応対の姿勢が良く、開演までリラックスしていられた。ありがたい。また、狭いからって座席をツメツメで設置してないのもありがたい。
今後も、同様なカフェ公演をつづけてほしい。
ネタバレBOX
「てがみ」‥話のスジがよくわからんかった。20分はあっという間だったけど。会話の端々に見え隠れするおかしさは良かった。
「奥村さんのお茄子」‥原作は知らない。出産を控えた妻が病院(なのか実家なのか)にいるため、独りラーメンを作っている奥村の家に、割烹着風の女性が突如訪問し、尋ねる。『25年前の6月6日お昼何めしあがりました?』
遠久田(割烹着の女)と奥村の2人芝居なのだが、「てがみ」とテイストが違う、しっかりとした台本に惹きこまれた。遠久田(佐々木なふみ)の、何考えているのかわからない、マイペースな演技が上手かった。表情も大変良い。
宇宙人を匂わす話、先輩の話、出産、乾杯でほんわかした雰囲気をつくりつつ、毒茄子で舞台に絶妙な味付けを施す。短時間でも、リラックスしながら近距離で良い舞台が観られて満足した。
満足度★★★★★
関西劇団の底力
とても面白い。テンポ良くて笑えて人間ドラマもある傑作だった。舞台の構成・見せ方も上手く、満足の舞台だった。また、主演3名の演技がとても素晴らしく、特に西岡のペンでシナリオを描いている中盤の楽しんでいる表情がとても魅力的だった。
でも、お子様のおしゃべりは勘弁して。コメディだからうるさくてもOKとかって考えは勘弁して。良い舞台つくるのを考えるくらい客席のことも考え抜いてほしい。
ネタバレBOX
深夜、喜多村(青木)の運転するハイヤーにイマイチな脚本家・越坂部(近藤)が乗っている。俳優であった故人を偲ぶ会の帰りらしい。乗ったお客さんを全員励ましてきたという喜多村は、色々からむもカラ回り。そこに、一人の女性がハイヤーの前に飛び出す。女は、死んだ俳優の恋人だった阿川という脚本家。落ち込む彼女を励ますため、死んだ俳優を主役に据えた脚本を考え出すにつれて、阿川も調子を取り戻すが‥。
越坂部と阿川がペンを片手に劇中劇(脚本)を描き出す構成。コメディ向けの上手い設定だななんて感心した。スケコマシの島岡を中心にした都会のラブストーリー。スピード感ある気持ちの良いコメディになってた。
終盤、元恋人を重ねすぎた阿川の表情の変化がとても良い。雰囲気がガラッと変わって、怨念めいた勢いで劇中劇を加速させるも、喜多村と越坂部のアシストで爽やかで笑いのある中、ピリオドを打つ。
劇中劇の人物含め、皆魅力的な役柄をもち、イキイキと舞台で動いていたのが好印象。片山誠子の独特の演技も良い。木内のライバルキャラが笑えて、おいしいところをもっていく展開に満足。西原希蓉美の容姿が美しい。田中誠も、男気のない男を好演してた。
ゲストの斉藤コータの韓流スターのスベリ芸、会場が非常に沸いてた。となりにいた木内のほうすごい汗かいてた。
満足度★★★★
取調室で人生をみる
取調べのヒリヒリした緊張感が漲る中に、それぞれの人生や価値観が見え隠れする良舞台。
ネタバレBOX
パンフは有料だったので、役者名で。
浜谷‥飲酒運転手に妻子を殺され、それが原因で犯罪(者)に対して威圧的暴力的になった警官。
伊原‥人間味ある温和な取調べを行う警官。
西村‥いい年して巡査の警官。浜谷と同期。
大迫‥エリートコースを歩む若い警部補。浜谷にやり方に疑問を持つ。
泉‥強盗放火殺人の被疑者。障碍者の母の行方を探す。
横関‥泉の弁護士。若いが仕事はしっかりしてそう。
松本‥過去に家族を強盗に殺され、その復讐で拳銃殺人を3件行い、現行犯逮捕される。
大維‥窃盗事件の被疑者。浜谷にビンタされビビりあがる。同じ留置場のホモに狙われている。
泉がシロとわかっていながら(不十分な証拠で)、犯人に仕上げようとした浜谷が恐ろしい。その後の取引も含め狂気じみた存在感だった。また、泉がその取引を受け、その後の横関との会話→母との再会が良かった。障碍者の母を疎ましくも思い見捨てるも、会えるなら死んでもいいと言い切る泉。後悔の人生をおくってきて、ここでその選択ができた彼は幸せなのかもしれないと思った。作中で「自分探し」というキーワードが出てきたが、取調室という狭い空間で、彼はやっと自分を見つけられたのかもしれない。
浜谷、泉、松本の過去は会話の中で断片的に示され、それが舞台に厚みを持たせていた。死刑になるかもしれない松本は結果はどうあれ、納得しているだろう。泉も同様だろう。ただ、浜谷はどうなのだろうか。彼の家族を失った悲しみは、癒されるのだろうか。過去の呪縛から解放される日がくるのだろうか。ここのところ、もう少し描いてもらっても良かったかなと。
満足度★★★★
陛下に届け!
チケットプレゼントにて鑑賞。
笑えるコメディであり、グッとくるストーリーと設定。面白かった。サイショモンドダスト★のハイテンションな前説も良かった。これくらいはじけてくれると安心して観ていられる。
客いれBGMでもあった、源氏物語「H・A・N・M・E・I!ケネディ暗殺犯」、もう一度ききたい。
ネタバレBOX
T皇陛下らが登場するフィクションな皇族のSFドラマ。現在の天皇ではなく徳仁親王が天皇に即位したとする未来のパロディ。SM好きのフミヒト(現・秋篠宮)をはじめ、おかしなキャラが次々でてくる。まともなのは執事くらいか。
陛下(竹岡)は、とある事件がきっかけで、夢を見続ける病(夢の中の無数の扉の向こうは過去につながっていて、過去を体験できる)に罹っている。夢の中で陛下は亡き妻・京子(小岩崎小恵)との楽しい時間を過ごす。しかし、ある扉を開けることで、二人の凄惨な過去が明らかに‥。
前半とうって変わって、後半のシリアス展開に引き込まれる。単なる皇族パロディに終わらずに、特殊な夢の設定を活かし、ミステリー要素も加え、哀しくもあたたかい話に向かう台本がとても良い。
ケチをつけると、瀕死の京子が殺してとせがむシーンは、(テープより)京子自身を舞台に立たせてしゃべらせたほうがより凄惨さと悲劇度が際立ったかなと。進行的に無理だったのかもしれないけど、京子の人形がシーンのシリアスさに負けていたように見えたので。
ともかく、陛下役の竹岡と京子役の小岩崎の二人の演技は良かった。小岩崎の若紫演技も魅力的で良かった(京子との落差があって、この点も見事だなと思った)。
前半のおバカシーンも大いに笑えた。執事の斉藤(吹原)のツッコミも冴えてたし、ほかのメンバーのリズムとかも上手かった。一番笑えたのは、愛子(サイショモンドダスト★)のイジメ克服練習シーン(タバスコプリン、熱湯と冷水、車輪お尻止め)だけど。黒人の養子を演じたCR岡本物語のリアクションが文句無く面白い。アドリブより計算された笑いのほうが、やはり面白いと思った。
満足度★★★★
ダメ男の矜持
初ゴジゲン。
面白かったけど、なんだか哀しく(寂しく?)なってしまった。舞台美術がメチャ細かく造られていたのが驚いた。役者紹介の映像もかっこいい。
ネタバレBOX
大橋紀美子(30才のブス。ダメ彼氏の借金返済のためピンサロ勤務)を集団で見守る(ストーキングする)ダメ男たちの物語。
序盤、尾崎(辻修)、松山(村上航)、坂本(目次立樹)、プルート(東迎昴史郎)の4人が集団で、隣アパートに住む大橋を見守る状況が気持ち悪くも笑える。そこに、借金取りの友枝(吉田亮)と星(野中隆光)、大橋の彼・宗太(川島潤哉)、大橋のピンサロ常連客・幸雄(松居大悟)が加わり、物語が動き出す。
確かに純愛なんだろうけど、どこまで共感できたか。一本筋が通っているようないないような、ダメ男の矜持みたいなのは感じられた。また、内向的な男の哀しさを感じてしまった。純愛の舞台だけど爽やかさはない。
ちなみに、出演こそしない大橋の写真と声が町田マリーとは。とてもじゃないがブスではないだろうと。
満足度★★★
オーデュボンの祈り
原作未読。
うまくまとまってた気がするけど、感動とかを感じられなかったのが残念。広い舞台を有効的に活用してたの良かった。
チラシの感じは好き。観劇後、あぁ、と思った。
ネタバレBOX
優午が殺されるまでの前半は退屈だった。後半、話が動き出し伏線が回収されつつある様は面白くも感じた。
全体的に惹きつけられる要素が不足していたような感覚。設定に対して釈然としないと感じてしまったせいか。
自分を殺した優午の苦悩はどれほどだったのだろうか。ラスト、「音楽」で満たされた島で、島民は何を感じていたのだろうか。感情移入できなかった。
ラサール石井の中年不良は笑えた。筒井道隆と河原雅彦、小林隆は空気をしっかりつくった演技でよかった。小泉深雪は、何か仕込んでるんじゃないかって頭身だった。町田マリーは少女演技もバニーのキメポースもかわいかった。
満足度★★★★
初アガリスク
「ファミリーコンフューザー」★3
「無縁バター」★4
どちらも笑えた。
ネタバレBOX
「ファミコン」‥認知症を扱ったコメディなのはOKだけど、ボケを隠すという出発点→家族の思い違いというスタイルが安易で下品な感じがした。ラスト、娘(いとうえり)の快刀乱麻→ばあちゃん(大久保千尋)のボケを受け入れるハッピーエンドも良いけど、「認知症」という現実にはつらいテーマのオチとしては、やはり安易な気がしてしまった。
立場を表す胸の名札の手法は良いと思う。
「無縁バター」‥面白かった。宇宙人&MIBなオチが○。暗転後の、ヤキソバUFOの1コマも上手い。「無縁社会・孤独死」という独り歩きしがちなテーマを笑いで包んだ良作品だった。
「孤独死は自己責任!」というセリフは、作品の中核にあって良い問題提起と思った。
満足度★★★★★
いいもの観れた!
105分。面白かった。
笑いと感動の両立ができていた。最初のつかみからとても惹きつけられる。舞台もしっかり造られていて○。登場人物も皆活きていて○。2回のカーテンコールも納得の舞台だった。
ネタバレBOX
砂利塚クリーンは、自縛霊を成仏させる家族経営の小さな会社。社長で夫の公男(加藤)が霊を捕獲するメカなどを開発し、専務で妻の喜美恵(小玉)が霊能力で成仏させる。家の庭の井戸には自縛霊を飼っている。砂利塚一家を敵視する役所職員(小野)のせいで経営難の中、広告を載せるなどの手を打つ。そんな状況に、娘・ほのか(津留崎)のワケありの彼(斉藤陽介)やチンピラの依頼人カップル(星野・斉藤美和子)、邪悪な霊などが入り乱れて、エンターテイメント性高く笑え、かつ涙するハートウォーミングな舞台に仕上がっていた。
やはりメインは「母」ということになると思う。小玉のアクの濃い演技力が上手く働いていた。バイタリティ溢れ、娘や夫への愛に溢れるキャラを好演してた。んで、ラスト、抱きしめて母を成仏させるシーンが涙を誘う(実際鼻をすする音がけっこうしてた)。
砂利塚クリーンの社歌、とても良いね。シンプルな振り付けも演者の表情も含め、とても良いシーンになってた。
満足度★★★
ネットに生きる若者たち
チケットプレゼントにて鑑賞。95分。
ズシンと重い支柱みたいなものが話に据えてあると良かった。どこかふわふわした舞台だった。けっしてつまらなくはないけどそんな印象。
鳥原まゆるの笑顔は素敵だった。
ネタバレBOX
母の遺産を妻に騙し取られた男(荒川浩平)が、人を信じられなくなり、残金600万円をくだらないことにつぎこみ、使い果たしたら死ぬとネットで宣言する。そんな中、男にシンパシーを感じたネットユーザーの女の子(鳥原まゆる)と知り合い、信頼する心を取り戻す物語。
‥が主軸なんだけど、ほかのエピソード(引きこもりの女とか、彼女よりネットの世界にハマる男とか)と大差ないような盛り上がりだった。HP600万(荒川)とスマイル(鳥原)のストーリーや心情が際立つ話だともっと入り込めたと思う。
特に、HP600万が人を信じられなくなるという動機(心の動き)が薄い。スマイルがHP600万に惹かれる心情とか重要とも思うので丁寧に描いてほしかった。ここらがしっかりしてれば、ラストの信用する心を取り戻す箇所が活きてくる(盛り上がる)と思う。
満足度★★★
初ラフメーカー
つかみが弱かったけど、終盤の紆余曲折はまずまずだったような気がする。
ネタバレBOX
行川(あいだ)の結婚式。高校卓球部の同輩後輩が次々受付を済ませる中、フィアンセが結婚詐欺師であることがわかる。一流企業に勤め、皆からの信頼も厚い秋月(小林)の提案で、今いる女性から結婚相手を探すことに。意外なところで意気投合した森田(谷)とさて今から結婚となった時、秋月から今度は待ったがかかり、場が混乱していく‥。
キャラが弱いのかなんなのか、最初の段階で話に引き込まれなかった。結婚詐欺→結婚相手の選定なんか面白い展開なんだけど、イマイチのれなかった。ドタバタしてるでもなく、リアルなわけでもなく、中途半端な印象。
仕事で大失敗をした秋月のシーンはなかなかだったけども、もっと劇的(オーバー)でもよいかな。一応働いている身として、自分に重ねてみて、一番しっくりくるセリフも多く、見ごたえある場面ではあった。
本作品の中心(テーマ)がどこにあるのか、実はわかっていないのだけど、なんにせよ、こうして集って話のできる友人とは、とても良いものだと思う。
満足度★★★★
愛が沈んで
90分。前回公演が良かったので観劇。楽しめた。
チラシの幻想的な印象と違ってかなり現実的な風合いだった。
ネタバレBOX
大学時代のとあるサークルグループが水難事故に遭い、仲間を助けるため星野恵亮が失明する。龍田知美は当時の彼(林剛央)と別れ、星野と結婚する。それぞれが負い目を抱えながら数年が過ぎるも、ここにきて色々な感情が爆発する‥。
劇中で「面倒な人ばっかり!」(だったかな)と守美樹が言っていたが、確かにそんな感じ。(あくまで部外者視点で)不思議と一番好感持てるのが守美樹だった(次点で三浦ヨーク)。なにげに、星野の姉役の小川友子のイヤな感じが素敵。
前回同様、脚本が良い。もっとドロドロな感じでも良かったかも。本音をいえないもどかしさとか良心とか妬みとか打算とか保身とかプライドとか、人間のイヤなトコをライトにエグッた作品で、好みでもある。
豹柄ファッションでアピールする、いかにも若い考えをする守美樹が、重い舞台の中で清涼剤というかホッカイロのような存在だったのは面白い。年齢を重ねるとシンプルに生きられないということなのか。
満足度★★
初オッセルズ
100分。一応ストーリーはあるけど、アナウンスでも言ってたようにその場その場(のコント)を楽しむ舞台構成。
ただ、期待したような笑いがなく残念。youtubeで数本過去作品を観てとても期待していたのだけど。
OPの演者紹介映像と決めポーズはかっこよかった。
ネタバレBOX
一番良かったのは、お父さんに結婚の挨拶をするコント。見知らぬADが指示だししていく様は、わかりやすくて笑えた。次点は、ドラえもんネタ。ベタだけど。
全部が面白いなんてことはもちろん期待してないけど、笑える箇所が少なくてちょっと不満。けどコメディ系の舞台は好きなのでがんばってほしいとも思う。
満足度★★★★
おもしろい傑作短編集!
チケットプレゼントにて鑑賞。100分。
劇団名の印象とチラシに「作中に過激な暴力表現が~」ってあったので、ややびびり気味に観劇した。でも、びびる必要なんでなかった。てか面白かった。また、東京でやってほしい。
パンフも美しくてセンスよく好印象。3編の順番もベストでした。
観劇中に、表(受付?)の話し声が聞こえてきたような気がする。ちょっと気になった。
ネタバレBOX
「暗殺者の預言と預言者の暗殺」‥3人舞台にいるが、どんな関係、状況かはっきりしないまま進む舞台。終盤、ぼんやりと全体が浮かび上がる演出手法が秀逸。尋問当初に戻る見せ方とか。男女の愛と悲劇、一人の女性の不幸と哀しさが凝縮された素敵なSF作品だった。
「エドゥアルド・ウルリヒ教授の鎮痛剤」‥演技上手い。不安であり続けることが必要だ~のセリフはそうだよねーと思った。カイジの利根川も言ってたし。
「タナトス行政府」‥タナトスが死の神(ギリシャ神話)と知らずに鑑賞したので、途中で死神の話と気づいた。上2編が暗めのテイストなので、コレもかなんて思ってたら、祖父(殿村)のウルトラCにびっくりした。おもしろい展開。演技もみな上手で、福地の「暗殺者~」演技との落差にニヤニヤしてしまった。どこか暖かい舞台だった。
ちなみに、山本香織の立ち姿(暗殺者~、タナトス~)が素晴らしく美しかった。
満足度★★★
美しかったです
休憩含め100分。
モダンダンスの意図を汲み取るのは難しいが、美しさは感覚で理解できるから面白い。いろんなダンスが見られるのもうれしい。
初めてのセンター大和田・さくらホール。舞台面広さと高さのある良いホールだった。
ネタバレBOX
天野美和子「一夜」‥5人の女性ダンサーが舞台を所狭しと動き回る。身体が小柄だからか、運動量の割りにこじんまりとした印象。
小林泉「そっと浮かぶ泡は独白」‥一応二人舞台だけど、ほぼ小林の一人ダンス。けっこう見入った。安藤の衣装は好き。
池田美佳「a pointless point」‥男女二人のダンス。表情や動きの美しさが抜群。ラストの終末的な照明演出も○。
二見一幸「ACT488」‥時間がやや長めでダレてしまった。
ハンダイズミ「ハコニワニハニワトリ」‥開始の幕を利用した演出が面白い。
稲川千鶴「英国紳士的マナー講座」‥マイムも多く入った演劇的な舞台。タイトルからしてそうだけど、コミカルでわかりやすく面白かった。何気に青年役(上野天志?)の動きがすごかった!
「樹魂」‥大人数での舞台。若干ダレてしまった。つまらんわけじゃないけど。