Archives of Leviathan 公演情報 風琴工房「Archives of Leviathan」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    天才なサラリーマン
    計算された美しさを放つ舞台美術に期待が膨らみながら開演を待った。9人の実力ある俳優の熱演と充実の脚本に105分引き込まれる、期待に応える舞台だった。

    主演の酒巻誉洋(伊勢谷)に惚れた。

    ネタバレBOX

    校倉(あぜくら)化学工業の研究室が舞台。青色LEDの発明者・中村修二の話をモチーフにした話(劇中でははっきりとLEDとは言ってないけど)。

    青色LED発明関係の訴訟のさなか、フリーライター(多根)が取材をしながら、青色LEDの開発を目指す伊勢谷(酒巻)とほかの研究員ら、人事部や上層部などとの関係を描く。題材は上の発明関係なのだが、その中のさまざまな「嫉妬」という内向的なところが中心にあったみたい。

    ただ、個人的には、会社という「組織」で働くこと(サラリーマン)の意味と意義を鋭く突きつけられた印象の舞台だった。天才肌で自由人のような伊勢谷を中心に、そのパートナー的存在の日下(金)、開発への熱意が薄い管理職・高萩(根津)、会社の業務的に日陰に追いやられる研究員・小出(園田)、研究員としての実力に劣等感のある岩部(岡本)、野心を燃やす新人研究員・井上(佐野)、エリートコースにのっている人事部社員・杉原(東谷)、人生の安定を求め伊勢谷のことを恐れる人事部長・沼田(寺井)らの関係性や想い(妬みもそうだけど)が面白い。

    舞台がヒートアップする、特許の横流しのシーン。伊勢谷の怒りがほかの社員らへ向かう。「会社のことを一番思っているのは俺だ」と。
    色々な人間が会社という箱の中にいて、同じ目標を目指しているはずなのに起こる軋轢。天才であり異端児でもある伊勢谷という人間が、実際に同僚(もしくは部下)としていたらどうだろうかと考えた。上で、酒巻(伊勢谷)に惚れたと書いたが、実際どうだろうか。

    なんにせよ、役者、台本、演出、照明、音響、美術など高品質な総合舞台だった。

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    2011/10/23 00:53

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