満足度★★★
雲
ユーモラスな舞台。面白い。75分。
ネタバレBOX
ダンボールのかぶりもの~1分休憩~天使とか野菜とかの話~3分休憩~20年振りの同窓会~チークダンス風ダンス
ダンボールもそうだけど、天使と野菜の話に異色な魅力があった。同窓会の話はややオーソドックスな色で純粋に楽しめた。
チャイルドデー設定するだけあって、子供の感受性にバッチシ訴えかけそう。
佐藤真弓演じる、雲を頭にのせたエンジーや社長がかわいくて笑える。舞台の雰囲気を作ってた。いい役者。
宮下今日子のメヂカラもいい。
満足度★★★★
執事と女中
面白い。
市川実和子が素敵。三宅弘城と六角精児が上手い。
ネタバレBOX
豪華客船レッドジンジャー号での、花房家と由利松家の政略お見合い。気のすすまないセンリ(満島ひかり)は、女中のミカゲ(市川実和子)と立場を交換してお見合いにのぞむ…。
130分。笑いの多い舞台。話もシンプルで入り込みやすい。
自由奔放ながら、ミカゲの女子力の高さに嫉妬するセンリがかわいい。最後はモトキ(田中圭)としっかり腕組んじゃうし。「月刊執事」常連の鎌塚アカシ(三宅弘城)に憧れるミカゲもかわいい。ミケガは見た目も美しくセンリに鍛え上げられた内面も素敵。モトキもビビリで鳥が苦手なボンボン気質をいい感じに発揮してた。
キャラがたってて、話の展開もついていきやすい、満足できる作品。変に休憩を挟まずに130分で収めたのが良かったのかも。
センリとアカシの掛け合いシーンはユーモアと勢いがあって面白かった。ティアラを放り投げるシーンは大いに笑った。アカシを彼と呼んじゃうセンリに嫉妬するミカゲとか女の闘いもニヤっとさせるし、いかにも報われないスミキチ(玉置孝匡)の片思い具合もよい。万能水夫のヨウゾウ(六角精児)は上手い。声がいい。船長ナミオ(今野浩喜)の父をからめたサイドストーリーも結構好き。センリもモトキもミカゲも笑顔終わるハッピーエンドで良かった。で、結局アカシはスミキチの女をとったの?
満島ひかりの声がちょっと出てなくて残念。ただ、歌唱シーンは振りつけ含めサマになっててかっこよかった。暴れまわるシーンも見ごたえあった。可憐な役よりじゃじゃ馬役でまた観たい。基本美人だし。今後が楽しみ。
満足度★★★★
女優
面白い。
時間も85分と短めで○。中身も十分あったし。
また、東京に侵略にきてほしい。
ネタバレBOX
女優の「母」(2号)は、若き頃子供を堕し、その罪の心から逃げるように引きこもりで映画監督志望で豚キムチが好きな息子を妄想する。その有様を時間を遡りながら描き、母の悲しい人生にライトをあててゆく…。
雑踏や通行人の雑音や、病院アナウンス、ドアの開閉音や電灯のつく音まで舞台で表現しざわついていて、人物もドタバタ動き周り落ち着かない舞台。それがラスト、老婆に時間が戻った際、しんと静まり、母と息子(脇田友)のシーンが別の世界になったようにみえる(老婆の死後の世界か)。そして、豚キムチが食べたいという息子と相擁し、許される母…。
話的には悲壮で辛いものだけど、演じた役者が上手いのか演出が良かったのか、客との距離が変に遠くならない舞台で良かった。
ただ、折角の静まり返るというラスト、もうひと工夫ほしかった。その前のグルグル駆けるとこから。あれはあれでよかったけど。もう一歩踏み込んで印象深い演出がほしい。
満足度★★★★
人間バラ屋敷
面白かった。秀作。
作演の田川啓介も面白い。人間性が。中井美穂の引き出し方が上手いのか。
パンフの作品紹介(挨拶文?)もいい。
ネタバレBOX
師匠(近藤強)と弟子(折原アキラ)の歪な主従関係と、師匠が離縁した娘(浅野千鶴)と父であろうとする師匠の関係と、師匠との関係を壊されたくない弟子とそれを壊そうとする娘の関係。そんな関係が、行ったり来たりして舞台上で暴れだす…。
100万を無心しにきた娘も、師匠の気を引こうとお尻を突き出す弟子も、自分は間違っていないと自分に言い聞かせる師匠も、別個の傷を抱えていて、それを重いどころか笑いに昇華した手腕が素敵すぎる。
まあ、100万振り込んだら師匠は孤独になると思うけど。
満足度★★★★
逮捕(仮)
面白かった。
中井美穂のチェック柄BL洞察はウケた。
ネタバレBOX
弟子雄(堀越涼)の師匠が、師匠の義理の妹・弓(梅舟惟永)への暴行容疑で逮捕され、動揺する弟子雄と師匠の妻・網(徳橋みのり)。兄弟子らが抜けた穴を警察官・フルタ(尾倉ケント)の意外な才能と元ストリッパーの網のおっぱいで埋めて、一門会を無事成功させるが…。
網の弓への嫉妬、弟子雄の弓への嫉妬、弓の網への嫉妬と劣等感、師匠と弟子雄の想いなどが絡みだしてからが断然面白い。
弟子雄との二人きりの生活をつくるため、無実の罪を認める師匠…姿を現すことはないが、3人の話からぼんやりと人物像が浮かんでくるよう。
官能な世界と人の心を描くバランスが良かった。
満足度★★★
女の告白
面白い。そしてちょっと痛い。
ネタバレBOX
怪物先生の葬式後の、元教師・岩沢(山本佳希)が経営するバー。
怪物先生の娘の藤子(生見司織)は、高校の時に付き合ってた彼の子を妊娠するも彼に告げずに堕胎し、彼のもとを去った。藤子の彼氏で今は家庭を持っている新井(立浪伸一)は、藤子の苦しみを知らないままそれが引っかかって生きていた。藤子の堕胎費用を貸した理伽子(こんどうえみこ)もまた、高校当時岩沢との間にできた子を黙って堕ろした過去を抱えて家庭を持った。それを知らない岩沢は、理伽子とバーを経営する想いを秘めてバーを経営していた…。
海の音が聞こえてくる町。向日葵のように生きたいと願う女性の気持ちと、男に告げられない気持ちが痛い。胸張って新井に会うと言っていた藤子が、新井の顔をみて号泣しだすラストがやはり痛い。
偶然か必然か、怪物先生の死に引き寄せられた4人が、過去の出来事と気持ちに向き合う、ちょっと怖い話。
満足度★★★
インドで
高尾祥子のカタコトというかマイペースな雰囲気を筆頭に、ユーモラスな演技と演出に彩られた舞台。
ネタバレBOX
外国行きの船に乗れなかった帽子屋(谷川昭一郎)と妻(山田キヌヲ)と男(戸辺俊介)。船長と呼ばれる老人(綾田俊樹)らからカンガルーといわれる男と街の娼婦(高尾祥子)との間で奇妙な関係が生まれる…。
率直になんなのかわからなかったが、男の孤独な魂を娼婦が救う話かなと。弱々しくてふわふわしている男と、舞台を動かすパワーをもった娼婦のアンバランスさがユーモラス。100分も長くは感じなかった。
高尾祥子の魅力的な演技がうまい。あと、ヒモ役の伊藤潤も、ギャング役の血野も。山口智子の弾き語りも○。
満足度★★★
エビとカニ
チケットプレゼントにて鑑賞。
2話目の方がいい味だった。
土屋兼久の演技が良かった。
ネタバレBOX
「地下鉄半蔵門線乗っ取り事件」
ややぎこちない印象。演技も話も。味気ないというか。展開はスピーディで良かった。
「イタリアンの罠」
ライトなミステリー話の中に、オーナーシェフ(小沢和之)の味覚障害の悲劇や副料理長(藤堂瞬)の想いが混じり合って、いい感じだった。大家(宇田川美樹)の片思いもいいアクセントになってるし、評論家(土屋兼久)も地中海キャラがたってて笑えた。
パンフの「エビとカニ」の話がなにげにいい。
満足度★★★
花柄八景
雰囲気は良い。
北川未来の演技がふにゃとしたかわいさがあって○。
ネタバレBOX
花柄一門の花壇師匠(久我真希人)がホログラム初音ミクとの闘いに敗れ、一門は解散。「地獄八景亡者戯」のようにサバの刺身を食べて死のうとする師匠だが、パンクなカップル・鉢(今村圭介)、苗(小見美幸)と橋の下のホームレス少女・燐(北川未来)が門弟になるし、一門を去って反物のセールス業についたプラン太(岡野康弘)もちょくちょく顔を出す。そんな中、パンクな二人が欧州へ渡るのを契機に燐が花柄一門を継ぐことになり、師匠は安心して地獄へ落ちる…。
ほっこりする感じだけど、流れがややぎこちないかな。燐が一門を継ぐことでこの世への未練をたった師匠の想いが伝わりにくい。燐もアホの子のようで師匠の想いを受けたって感じでもないし。パンクな二人の話は笑えるし、結局門弟に戻ったプラン太の心も、ちょっと見えにくい。
ラストの師匠が死ぬことと、燐とプラン太の稽古の空気への全体的な結びつきが弱い気がした。一体感が少ないというか。
決してつまらなくないけど期待してたので。
落語を演じる箇所が2、3あったけど、久我はなかなか染まってて○。使い方も○。小見の落語は内容知らないのでとっつきにくい。
燐の頭の痛そうな表情が普通以上にかわいい。
満足度★★★
ビルヂング
70分。見ごたえアリ。
ネタバレBOX
ピアノが基調のBGMでのダンスはとても良かった。
演劇的な部分は、しゃべりが聞き取りにくくて、やや退屈。
主宰・加藤紗希は、ダンスも表情も魅力的だった。
満足度★★★
地上600m
意外としっかりとした話でシンプルな流れで良かった。
ネタバレBOX
アトラクションの一環としてエレベーターで600メーター登った先は2170年。コンピューターのマリア(璃娃)が支配する未来。そこでは人間サンプルとして現代人の捕獲が行われていた…。
ステレオタイプな現代人として、関西弁の女(奥田粋弓)とか売れないミュージシャン(本田)が描かれていたけど、コンピュータの管理する悲しい未来→現代の諸問題(食糧危機や高齢化)を掘り下げてもよかったかな。未来のやり方に疑問を呈するコネクト(佐久間)が言ってた、有用な人間を残すとかのクダリとか、面白そうだと思った。
コネクトとその教師・アンプラグド(渡貫)が現代人の脱出に力を貸し、誰でもないアノニマス(市来)ともども脱出し、コネクトとアノニマスの間に友情が芽生える…って、単なる脱出劇って感があって残念。未来人が現代人を捕獲するってとこに怖さを付加するとか味付けがほしい。
テーマが「幸せの答え」とパンフにあったけど、あの未来には幸せがなくて現代でみつけないとということか。個々の人間が自分で「人間の尊厳」を見つけるということかな。
木村真由子のドレス姿がかわいい。
満足度★★★
海の上の雪
チケットプレゼントにて鑑賞。けっこう良かった。
ネタバレBOX
豪華客船として生まれ、戦時中は輸送船となり、博物館としての役目も果たし解体を明日に控えた「太平洋の貴婦人」。ミュージカル女優を目指し上京した山田(戸島花)は練習場所であった船内で、船の水夫であった後藤(島岡)とその恋人の千代子(空ゆきこ)に会う。二人は華やかだった昔と悲しい昔を回想する…。
ブロードウェイを目指すも病で倒れたミュージカルスターのマリーの代わりに抜擢された、やはり田舎出身の千代子(彩夢)。千代子と恋仲になるも召集により戦地へ赴く後藤(酒井俊介)。回想の中で後藤の死亡がわかり、最終盤の老いたマリーから千代子が20年前に死亡したことがわかり、死して老いた姿で再会し、約束を果たした千代子と後藤に山田は勇気づけられる。
話自体はしっかりしてるしわかりやすいくて良い。オチも含めてベタだけど楽しめた。
笑いはやんすが色々頑張ってたので笑えるとこもあった。全体的にもうちょっとあっても良いけど。
キャバレーってことでダンサーも沢山いて衣装もセクシーだったけど迫力は少なめだったかな。
戦争の悲劇と現代での再会というメリハリをもっと利かせてほしい。ライトで舌触りのよい演出が狙いとも思えるけど、ラストの「再会」が見せ場だと思うので、そこが活きるようなテイストが戦争シーンで欲しかった。二人の数十年ぶりの再会・死んでも守られた約束ってけっこう重いけど、舞台全体のトーンが明るすぎるためかグっとこない。死んだシーンで(客が)泣くより、再会シーンで涙を流したほうがなんか良いと思う。
ラストの戸島の衣装がとてもかわいい。
満足度★★★
家族なのかな
忘れていいと思う。
ネタバレBOX
キッド(亀島一徳)と結婚後、ほどなく死んだ天球(島田桃子)は、キッドに忘れないでねとの言葉を残して天使となる。家出少女な仙人掌(望月綾乃)と結婚したキッドは、天球と初めてあった木へ向かおうとする…。
名前も変だが、キャラもヘンテコな人間たちが、親になったり子だと言ったり野球チーム作ろうといったり、妙な展開。どこを見たらよいのか(見るべきか)わからず、120分はちょっと長い。人をみるべきとも思ったけど、キャラはよくても繊細な部分がみえにくく、どうも舞台との距離が遠く感じる。だから、ラストの木の下のシーンも傍観してしまった。
葉丸あすかの、コミカルな動きは思わずニヤニヤしてしまうし、島田の女の子な振る舞いはかわいいと思うけど。
満足度★★★★★
1/7
灰色で鮮烈な家族もの。痛い。
ネタバレBOX
酒乱の父が母を撲殺し、7人の兄弟は別々の家庭へ養子に出される。それから20数年後、長男・真司(成川知也)が話したいことがあると、6人を呼び集める。刑務所に入った後も父と会っていたという真司は、刑期を終えた父が病気で意識もない状態になったことを告げ、延命するかどうかを皆で決めたいという…。
父が母を撲殺するというショッキングな冒頭から一転、母が虐待を行っていたこと、次男・康輔(平山寛人)らがその記憶から目を背けようとしていることを真司は指摘し、舞台が揺れだす。
年長者(一番記憶が定かであるはず)で父とも一番接している真司の言葉に動揺するも受け入れることに抵抗のある(目を背ける)、康輔や理佐(古市海見子)や三男・和紀(山ノ井史)。幼くて記憶があまりない末妹・みずき(森南波)も、自分は野島の人間だと言い切る。次女・永遠子(ハマカワフミエ)は、母の子でないことを知り、養父母からは人殺しの子と蔑まれている。
結局、真司と永遠子以外は、延命に反対して、疲れきった様子で部屋を出て行く(四男・孝弘(小西耕一)はあっけらかんとしてたけど)。一人父を支えるとする真司は、「家族」を否定する。その真司に妊娠していることを告げる永遠子は、「望まない妊娠」(養父の性的虐待?)への憎悪を抱えつつ「家族」を肯定しようとする狭間で悩み続ける。
「家族」によって深い傷を負わされた人間(子供)が、それでも「家族」を否定できずに、結果逃げるしかできない弱さを、客席と対面で吐露する会話劇。闇の中をあてなく歩きさ迷う子供たちが、とても痛い。
ラストの永遠子の告白シーンは、足元が熱くなった。血の気がひいたのかもしれないけど。
満足度★★★★
誘拐
初電動夏子安置システム。面白い。
ネタバレBOX
誤解によるコメディがバシバシとキマってた。ズレてて噛み合ってる会話もよくできてるなと。ただ、かなりかぶせてくるので、もうちょっと早めに話の流れが変わるとより楽しめるかな。あと、人物の年齢が相応にみえないので、人間相関図が付いてて良かった。
専務の娘と思ってた三橋由子(田口愛)が、実は由子でなかったと判明するラスト。交通事故にあった江島弘と本当の由子の関係を妬む女(風貌が本人と似ているので双子なのか、整形なのか、隠し子なのか、よくわからんが)と考えた。弘の事故の首謀者で3000万もかっさらう…そんな貫禄がラスト姿にあった。想像だけど。
なしお成の「かわいい…」は大いに笑った。
満足度★★★★★
日本への裁き
歴史には疎いけど。面白い。
ネタバレBOX
極東国際軍事裁判の開廷時の弁護団(と判事や検察)を描く。
舞台自体は、弁護団が裁判自体の根拠を「攻めた」疑義を出すも、あっさりと却下されたところで終わる。
少なくとも裁判の中身自体は史実に忠実につくってあるのだろう。そこに、4人の弁護士と通訳の人生をつくり絡ませて、濃厚な空間に仕上げている。
陸軍の顧問弁護士だった鵜沢(西原誠吾)、被曝者の柳瀬(今里真)、従軍していたが逃げ出した経験をもつ末永(小野ゆたか)、被告の中に父がいる水越(植村宏司)、通訳ながら熱い心を持った星之宮(井内勇希)。
決して一枚岩でない弁護団。それでいて個人の事情と想いが、資料を広げた机の上で飛び交う。判事や検察とやりあう前に既に穏やかならざる雰囲気に。「戦争はまだ終わっていない」の言葉通りだろう。
「負けが決定している闘い」「敗戦国」「法の不在」など、恐ろしい私刑のような裁判。こんな裁判を担った弁護団のタフさとか意地や、戦後復興を遂げた日本人のタフさが法廷に溢れてた。と信じたい。
満足度★★★★
ここまでがユートピア
面白かった。早足を多用した演出がコミカル。単に舞台が広いからそうしたのかもしれないけど。
ネタバレBOX
とある島で半径75cmを自分の国家とする政策(目的は優秀な人材の育成)のモデリングが行われている。国家内のルールを10個事前に決めること、他の国家の中に入った(入られた)場合、領域を犯した(犯された)ことになること、その際ヘッドバンドをとられると相手の国家の一員とならなくてはならないこと、日に一度「集会」と称した集合の時間があること…など風変わりなルールの中、欠員補充のため松島(木下佑一郎)と三宅(松井真人)が新たな国王となる…。
妙な状況下で個人の内面を視覚化する舞台。元国王で誰かと恋をして排除された恋人を探しにきた三宅。母を亡くした(自殺?)傷をもつ松島をはじめ、不健全な生活を送ってた男や男性との辛い過去をもつ女、一人にこだわる女など、みな病んでいて寂しさを抱えている。
そんな現代的な寂しさを、「半径75cmの国家」というもので表現したところがいい発想。触れることを強制的に禁じられた安定した状況でも、人の声を聞きたい触れたいと願う国王の周りには絶えず願望が声をあげ続ける。
そんな中、三宅は他国を攻めはじめ、一国また一国と合併する。狂乱する舞台だったが、三宅のなりすましがバレて三宅は強制退島となり、また国々に「安定」が訪れる。
松島の前にたびたび現れていた女が母(手嶋仁美)とわかり、ルールを叫ぶ親子でエンドだけど、母の明るい表情とは裏腹に、結局は触れられない寂しさが松島の叫びに混じっているようにみえた。
根拠ないけど、三宅みたいに侵略をした人間を探すことが目的なんじゃないかと思った。三宅は単純にルール違反だけど。
満足度★★★★
カネ×人生
いい話。じんわりくる。
ネタバレBOX
闇カジノでディーラーをやってた大迫一平は、友人経由でカネを奪い、そのペナルティとして浜谷康幸が経営する闇金会社に勤めることになる。顧客に従業員が刺殺されたり、顧客がリストカットしたりする世界に片足をつっこみかける矢先、警察のガサ入れが入り大迫含め従業員は逮捕される…。
カネに困った人間に違法金利で金貸しする世界を、直接的な暴力描写を抑えて、その恐ろしさを演出する舞台がいい。それでいて中身は、大迫の父親の自殺(その取立て屋は浜谷)や顧客のカネにまつわるトラブルとか、原発事故を原因とした転落の模様などを織り交ぜて、複雑な色で舞台を染める。
浜谷が言ってた、一部のカネと権力をもった人間が生きやすい国で、闇金業者も使われる側の人間で、カネを借りる人間も貸す人間も弱者たちで、そんなカネに絡められた人間の右往左往するサマを静かに描き出す。追い込みをかける前に、浜谷が大迫に「情けをかけるな」というが、闇金の世界に染まった人間の言葉であり、自分らも弱者とわかった上での言葉でもあり、深い恐ろしさを感じる。闇金の世界で有名な浜谷のバックグラウンドはどのようなものなのか、興味をわかせるセリフだと思う。
松本匠と吉田芽吹の清掃員同士の会話で、汗水たらして働くことの美徳が闇金業者との比較で提示されるが、彼らもまた弱者であり一般人の姿であり、その壁の向こうの世界と隣り合わせであることの示唆が面白い。
ガサ入れ情報を掴んだ松本が大迫に暗にそれを伝えるも、大迫は妹の幸せを願いつつ逮捕される。逮捕が闇の世界からの脱却の契機となるかは大迫次第だが、リスタートをイメージしてしまう大迫の優しさが松本や風俗嬢との会話から掬い取れる。そんないい舞台だった。
ちなみに、吉田の笑顔がいい表情だった。
満足度★★★
2017年
普通っぽいけど薄味がある。笑いは少なめ。
ネタバレBOX
ユキノ(篠本美帆)と同居人のノザワ(異儀田夏葉)の家に色んな人が来訪し、お茶を飲んで駄弁っての70分。
ユキノの感覚ってなかなかすごい。別世界な感じ。
マリッジブルーで結婚キャンセルをしたがるナカシマ(松木美路子)の「踊ろっ!」(ダンス)が好き。
満足度★★★
give me 200円
チケットプレゼントにて鑑賞。
150分の公演時間はやや長い。ちょっとダレた。テンポ良くいくと助かる。起伏がしっかりしてて見ごたえはあった。
ネタバレBOX
再開発の話が持ち上がる阿佐ヶ谷の町に、ずっと昔からいがみ合う白石家と隣の黒川家があった。相手が越せばこっちも越すと、どちらも意地を張り続け、開発は一向進まない。そんな中、白石家長男・春人(木村昴)と黒川家長女・林檎(気谷ゆみか)の同級・赤城美香(長谷川瑠美)がオーストラリアから帰国。自称・時空警察で時空犯罪者を追っているというグレイ(レノ聡)も加わり、両家の確執の原因が明らかになる…。
いい感じのコメディで話が進み、春人と林檎の恋愛で爽やかに締める。前を向いて生きていこうってメッセージを飾りっけなく素直に提示してくれて、暖かな心持ちになれる。ライトに楽しめる作品は好き。
メインの木村と気谷だけでなく、役者全体で舞台が出来上がっている感があって、むしろそのバランス感覚が良かった。
グレイ役のレノとプロデューサー(犯人)の久仁明が良かった。
メイド・池田さゆり(鈴木ちさ)のコスプレもよかったけど、泣いたり笑ったりとその表情がいい。ついでにいえばナウシカが最高。また、林檎からの手紙のツンデレ具合がいい。