満足度★★★
スマホ
面白い。骨太でユーモラス。
ネタバレBOX
肉体はゾンビになったキコ(亜矢乃)らの魂と人の来ないコンビニ店員のイノッチ(津村知与支)らとそのコンビニに来るお笑い芸人のわっくん(舞山裕子)らの話。
生きてることと死んでることを舞台上で混在させて、おぼろげな「生」を印象づける。
魂とコンタクトのとれるイノッチ(40のコンビニバイト)が勤める、客のこないコンビニが生と死の狭間にあってその前で魂たちが苦しみのたうつ。それでいて、乞食なオニ(寺十吾)とテン(柿丸美智恵)は平然と飯をねだりパクつく。
魂らは「生」を食しようと躍起になるも、ラスト生き返れるとなると「生」に戸惑う。
生と死の境がおぼろげになった異質な世界に、ぼんやりと生きるってことが浮かび上がる舞台だった。そんな中、相方こっくん(岡野正一)に一生懸命恋して尽くしたわっくんが、生きてる象徴に映った。そして、こっくんのクズっぷりもまた生きてるってことなんだろうなと思った。
似非っぽいインド人バイトのらくまる(日暮玩具)の魂の浄化話がいいアクセント。
満足度★★★
クレープ
視覚的聴覚的に美しい。
ネタバレBOX
チラシ裏のストーリーめいたものと当日の挨拶文に目を通しておくと世界に触れられる。なかったらどうだったかな。
世の中は結論のでないごちゃごちゃしたもので、説明をしないことを心がけたってのは理解できるけども、説明とそれ以上の何かが同居してた方が好き。
面白いつまらないってよりも、おいしい水って感じ。あと、中盤眠くなった。
満足度★★★
Bチーム
チケットプレゼントにて鑑賞。
水谷理砂が素敵だった。子役がカーテンコールにいないのは、時間が遅いからか。残念。
ネタバレBOX
母・エリ(水谷理砂)に連れられた病院(研究所?)で注射を打たれ、30年眠り続けた勇気(西秋元喜)は心は子供、体は中年として目覚める。遠い親戚に引き取られるも、邪険に扱われ母に会いたいと塞ぎ込む。その家(鳩宿家)は、男性が短命という「呪い」のある家系で、ヒステリックな美鈴(田中良)をはじめ、婚約者を見下している満里奈(太田彩佳)、ファンシーファッションな乃恵留(あに子)、引きこもりの瑠嘩(相川春樹)など一癖ある人間ばかり。そこに、勇気の世話係として雇われた元保育士の有希(丸山夏歩)や、美鈴の妹でエリに瓜二つの飛鳥(水谷理砂)、飛鳥に好かれている息子の成(たこ魔女)、飛鳥に嫌われている娘・陽菜(板倉美穂)がやってくる…。
「愛」がテーマなのだろうが、色んな愛があふれていてつかみにくい。それが屈折してるものだから、素直に受け止めにくい。
男が短命なのは染色体の影響だってのはいいが(婿も短命なのはエイズみたいなもの?)、その「呪い」の結果、「母が息子に曲がった愛を抱く」ってことになるってことと、とはいえ母が子を愛する気持ちは普遍的なものなんだってのが中心なのかな。エリはエリの姉の旦那と不倫して勇気を生み、その運命を変えるため研究所へ勇気を預けたという真っ当な愛との対比でもあり、子の幸せが一番の願いという母の愛情は同じなんだという主張でもあるのか。…とも思ったけど、単純に破綻しかけている家族って冷めた見方をしてしまった。男子短命の呪いと母の愛との繋がりが薄いと思う。
エリを演じた水谷は、まっすぐな愛情が眩しいエリとやさぐれた飛鳥をちゃんとに演じ分けていて安心してみていられた。また、幼い頃の勇気を演じた大政凛もしっかりしてた。この二人の序盤のシーンが一番良かった。
30年後の勇気は、小四の男の子って感じがあまりしなくてパッとしない。それでいて、「愛してる」って言葉をキッカケに精神も成長するというくだりがすんなり受け止めにくく困った。ラスト、父を求める有希とのシーンで締めたのはよかったが、色々唐突だなと思う。
また、会話がちょっとダルい。序盤がテンポ悪いというか、その分役者が揃ってからを厚くしたほうが良かった。
チラシの出来は上々。
満足度★★★
ラ○ュタ
面白かった。過去DVD広告のためのショート芝居も○。
ネタバレBOX
傭兵団セロバルナに攫われたアンチェスター公国王女クリスティーヌ(青井利佳)を助けるため、セロバルナの一員になった公国料理人見習いのローニー(佐藤歩)はロラウジーナ(前田綾香)やシェラート(麻見拓斗)、自称悪魔のクローチ(千川もとみ)の協力を得て天空の島ラポタへ乗り込む…。
要所要所で笑えて、殺陣もあって、ヒューマンドラマもあって、満足の作品。
ラピュタだけでなくジブリ作品が舞台上で上手く使われてて、素直に笑える。話の展開もラピュタのように少年が少女を救うって王道で安定感があった。
ムスカに相当する黒幕(ラポタを悪用しようとする男)・バードラン(長沢峻太)の落ち着いたしゃべりが悪役っぽくて良い。人がゴミのようだ、とか、君のアホヅラには心底ウンザリさせられる、とかは空気にあわないせいか言ってなかったけど。
シェラートとロラウジーナら炎の三銃士の人間関係も興味をひく魅力があった。シェラートはイジラレ役もこなしつつ、男気もみせるいい男。ロラウジーナもギラギラ(キラキラ)した涼しい目が魅力的ないい女してた。
ローニーは元気なキャラが好印象。また、クリスティーヌも可憐な王女してた。だた、二人の見せ場がもうちょっと欲しかった。特にクリスティーヌは、袋とじをあけるってトコが見せ場ってのがやや寂しい。ラピュタのシータが芯の強さとアクティブさ持っているんで、比較するとね(魔女でもなんでもない普通の王女だったから自然ではあるけど)。
所々に入るジブリミュージックも適材適所だったと思う。手をつないでグルグルする場面転換の演出がスムーズでキレイだった。
ネタと人間ドラマで魅せる舞台だったが、ドラマな部分をもうちょい感情移入できるようだと良かった。
満足度★★★★
親友のこうこ
チケットプレゼントにて鑑賞。面白れー。
ネタバレBOX
本人の引越しをテーマに前説風に始まる(カントリーロード付)。
台東区に引っ越した当日夜、ドンドンと無言で扉を叩く音に不安になる林。激しくなるノックに扉は壊され赤い帽子の男が入ってくるが、林は裸足のまま街に飛び出す。助けを求めた警官から、街の治安を守っている自警団のリーダーはレイプ魔で、引越ししてきた女をレイプすることを黙認されていることをきかされショックを受ける。心配して見にきた親友のこうこが林の部屋にいると知って、林は部屋に戻り赤帽子ともみ合いになって赤帽子を刺し殺す。こうこが八百屋のトラックに乗せられ東京湾に沈められると知った林は、こうこを救うべく夜の街を疾走するが…。
ドンドンと扉を叩く序盤のサスペンスな雰囲気からして上手い。不安になったりキレたりするパニクった演技も良かった。こうこを救うためトラックを追いかける際の走りもいい表情。
声がかれてたようなのは、連日の熱演の疲れなのか。小柄な体で叫んで怒ってドタバタ走り回って、力強い演技だった。
東京湾へ沈められるのは阻止したものの、結局こうこは死んでて、林は自警団に入りこの街の治安は私が守る!って結末。こうこが暴行され死んだという、異常な街の恐ろしさが中心にあるハズなのに、ところどころ笑ってしまう不思議。これは作・演出が上手いのか。林の真剣な演技の力なのか。こんなとこ重要と思う。
ちなみに、黒衣(飯田こうこ)の、場面転換時の小道具を無造作に端に投げる演出が気に入った。また、チラシデザインも素敵な出来栄え。
満足度★★★
banana
カッコイイけどコミカル。
開場時間を変更したのはいい判断。
ネタバレBOX
拳銃持った男女。自分のことも相手のことも、ここがどこかもわからない。女が男を打つと時間が戻る…。
時間が戻ってるのかどうかはわからないけども、時にカクテル、時にバナナと状況も変わる。
人間の相対的な存在意識とか、異国(異文化)・異星人との交流とか、世界平和ってイメージ。でも、男と女って小さな対立項がテーマとも思えた。
奇妙で面白いシチュエーションとコミカルな熱演で、75分引き込まれる。あと、役者のポジションが良かった。
満足度★★★
話をきく女はいない
チケットプレゼントにて鑑賞。
舞台が広すぎなのか。話は○。
ネタバレBOX
臓器を持ち去られる殺人事件が発生し、三島(福地教光)と黒船(早川丈二)は捜査をすすめるが、80年代のドラマ「ルルドの森」の主演女優だった菱見玲子(山本香織)や「ルルドの森」の熱狂的ファンの西島優子(f-co)やその友人の平岡香乃子(緒方ちか)らを通して事件と自分らの陰という深みにはまっていく…。
5人の他殺事件+整形外科の田村の殺人は、菱見の甥・勉(河口仁)が6人に脅されていた菱見を守るためだったと判明するも、黒船は凶弾に倒れる。そして、三島と半同棲の仲になっていた平岡は、「ルルドの森」の元ネタの事件の張本人であり勉の母であった…。
事件の真相と、三島の狂気な人間性の両面で観客を圧倒する。平岡を演じた緒方の無実そうな振る舞いにしてやられた。そして、実年齢40半ばにして20前半の肉体を持つ異常性がジワジワ恐怖をあおる。うまかった。
幼少時の母と父の関係から弱く傷ついた人間性を持ち、苦悩する三島もいい。
黒船も落ち着いた空気で舞台に安定感を与えてた。
とはいえ、舞台が広くて遠くて見栄え的に(音響的に?)物足りなさがあった。もっと小さな舞台でもう一回やってほしいな。
満足度★★★★
いい女
チケットプレゼントにて鑑賞。
面白れー。
ネタバレBOX
浜野隆之…離婚して月1で息子と会うしか生きがいがない。孤独を紛らわせるためbarに通い、ミツバチと知り合う。
榊原仁…女性に困らない系のパーフェクトな男。油断して親がヤクザ系の女と結婚するハメになるも、式場に勤めるミツバチと浮気な関係に。
安藤理樹…花を食べるサークルの先輩の彼女であったミツバチと付き合いだすが、ミツバチのいい女オーラに圧倒される。
市川雅之…なんかの会社の重役。困った時は頭の中の自分と討論して物事を決定する。ホステスやってるミツバチと「飼う」関係になる。
結果、4人ともミツバチを殺す。が、それすらミツバチは楽しみ笑う。
ミツバチの「いい女」具合が各人の独白で見事に造型され、4人の女性観とミツバチのやりとりにニヤニヤできるし、ちょっと怖くもある。そして、ミツバチのナレーション(佐々木なふみ)でトドメを刺される。
傍からみれば悪女ともとれるが、対面して恋した4人の男たちからはそれぞれ印象が違うのも面白い(お母さんとか雪女とか)。絡め取られた4人の男からミツを十分に吸ったミツバチは、またどこかで別の男の前に姿を現しているんじゃないかって、思う。そんな愛欲とエロスの詰まったかわいいファンタジーな話。
表現が変に凝ってないけど鋭くて。いい台本。
満足度★★★★
いすみ鉄道に乗って
チケットプレゼントにて鑑賞。
面白い。笑える。
学生証風のチケットもシラバス風のパンフも、その小ネタ感がいい。
ネタバレBOX
とりあえず童貞の21歳4人組が、二週間で童貞を捨てようと協定を結び四苦八苦する…。
廣瀬…オケやってる笑顔がすてきな松山に恋して妄想して傷ついて、オクラホマミキサー踊る。ライブに松山が来なかったのは良いけど、ふる理由が留学ってのは…。やさしさなのか。「あっちの人」ってラインをひいちゃう廣瀬の弱さが目にしみる。
木下(高野)…協定提言者。ちんこと会話できるスキルを持ち、メンバーのやる気を奮起したり、ヤクザの女(田仲ぽっぽ)に手をだしたりと、一番アクティブ。結局、ヤクザにボコられて童貞のまま。惜しかった。
板橋…チェックシャツをインしちゃういかにもな風貌。映画のような恋愛をしたがっている。とハリウッド映画のような展開でCIAの美人スパイ(松山みのり)を救出すべく単身マフィアに立ち向かう。一番笑えて、板橋が登場するとなんか期待しちゃう。ロシアンマフィアのボスの映像とか指令映像(しゃべりと字幕のアンバンスさがいい)とか完成度高い。あと、スパイの松山がスレンダー。
遠藤…彼女・夏美(田仲ぽっぽ)と付き合って一周年でセックスを目論見、家伝のセックス指南書や父親(小林涼太)の援護もあるが、夏美を怒らせて終了。でも、気持ちをまっすぐに伝えたことで次につながった。あと、悶える演技は良かった。田仲も彼女仕草が上手い。
4編が入れ替わりで次々と場面転換していく。見にくくないけど、転換がやや多いかなと。
笑えるだけでなく、ちょっとチクっとくる話。廣瀬の告白からフォークダンスの流れが見せ場でやはりジーンとくる。「負け犬」になるのも大変だ。
満足度★★★★
沈む
面白い。
ネタバレBOX
お吉(堀畑杏奈)の失踪から1年。結婚相手だった鶴屋二代目の孝之助(斉藤太志)や迷子のお吉を引き取った善蔵(ヲギサトシ)や善蔵の実娘・お燐(島田紗良)が屋形舟に集まっている。そこに人形師(安田徳)と善蔵の紐結いの弟子であった伊三次(浅倉洋介)が乱入。お吉が死んだことの真相に困惑をみせる面々。そして、気づくと舟は三途の川についていた…。
お吉の死んだ真相を、人形師が中心となって各人に回想させる構成。善蔵の紐で高官が首吊り自殺をして借金まみれになり酒に溺れる善蔵。二代目になってすぐにお吉と結婚をしようとする孝之助。その孝之助に想いを寄せる番頭・彦七(中村史輝)。借金返済のためお吉を遊郭へ売ろうとする善蔵。お吉と密かな恋心を共有する伊三次。そして、美人で気立てもいいお吉への劣等感と伊三次への恋心をひた隠しにするお燐…数奇な運命と人間の弱い心が折り重なって生前のお吉を美しく儚く描き出す。
回想が進むにつれ、善蔵や孝之助は身投げし、孝之助は彦七を刺し殺す。三途の川を走り続ける舟は、彼らの薄暗い力とお吉の呪いで動いているようでとても不気味。
角隠しで表情の隠れたお吉を堀畑が好演してた。舟の上にも時たま現れ、見えない紐で面々を縛るなど、存在感も抜群。ここのとこの、照明や演出もとても良かった。彼女のいいひととその裏の弱さが舞台の中心にあって、心震える。
伊三次と一緒になることもできず、父を見捨てることもできずにいるお吉と、伊三次に受け入れてもらえずお吉への劣等感を爆発させるお燐の取っ組み合いの末、お吉は入水したことが分かり、現の世界へ戻る面々。善蔵とお燐とお吉の三人で花火を観た幸せな時間をラストに据え、それまでの悲劇(それから起こる悲劇)に心がギュッとなる。
怪奇な空気感を終始濃く保ち、登場人物の関係性を最大限に活かして、人間の業を描いた秀作。紐がその人の人間性が出るらしいが、人と人の太くて細いつながりがどこか怖くて寂しいのだけど、それでもすがりたくなるような気持ちになった。それで人間いいんだろうけど。
満足度★★★
Aver
面白かった。
小説「嵐が丘」は、内容は覚えてないけど、タイトルのとおり激しい本だなって印象が残ってる傑作。
ネタバレBOX
書けなくなった脚本家のモリエ(和田華仁)のもとに手紙がくる。差出人は家政婦のミツ(鈴木弥生子)。斑鳩家のミノル(窪田裕仁郎)と結婚したリエコ(山根有紀子)が胸にナイフを刺して死んだ。その真相を突き止めてほしいとの依頼だった…。
モリエがリエコの日記を読む回想的に話が展開し、リエコの死の真相が判明する。原作の内容覚えてないけど、観てて確かこんな感じだったなと思い出した。原作でいうヒースクリフ=カオル(馮年)の狂気ってところが、原作では寒気がしたくらいだけど、本作は抑え目。また、キャサリン=リエコにも力点が置かれていて、一般感覚を超えた二人の愛憎のポイントは抑えてあるので、それをいい具合の空気感で包んでいた。
イザベラ=アヤ(上坂チユ)のネジがはずれたようなキャラも、素直に笑えたしいいアクセントになってた。ヒンドリー=カズヒコ役の嶋田広野も目をひいた。
ただ、終盤の解答場面が若干パワー不足な印象。キレイではあるけど。それまでの苛烈な空気をもう一段押し上げるような味わいが欲しかった。また、モリエの存在が探偵的でもなく、ちょっと影が薄い気がした。彼女の作家としての成長は、ラストのマサオとの再会の表情でいい本が書けたって読めるし、嵐が丘の二人の異常な愛に対する平均的な愛って対比なんだろうけど。
ちなみに、ダンス含め演出はイヤミがなくて良い。もうちょいアクがあっても良いけど。
満足度★★★★
都道府県愛
面白い。物産展も○
てか、大阪公演の主催は大阪市なのか。さすが。
ネタバレBOX
道州制推進のためのフェスの内容を話し合う実行委員9人。おでんの中身でほんわかな話し合いが始まったが…。
瀬古(森田祐吏)と鴨下(田渕彰展)のビジネスな要素とか、阿久津(岡本篤)の雇用の要素とか、峰(中村靖)の田舎と都市論とか現実な視点を含めつつ「道州制」を語る舞台に、序盤からピリピリしてる福島出身の宗像(高橋悠)をぶっ込むことで熱い舞台に昇華した。
イメージによる差別(迫害?)から、フクシマの名を消したいと言い切る宗像の涙がグっと胸に迫り、「道州制」議論を超えた想いに熱くなる。そこからの、長崎出身の峰とニコニコ顔の鶴巻(渡辺樹里)と阿久津のアシストでフクシマの(ナガサキやヒロシマのような)生まれ変わりを暗示させる〆もいい。
薦田(村上誠基)と鶴巻のほんわかした雰囲気とクスッとさせるしゃべりが全体のバランスをきれい保っていた。
何をすれば日本が地方が良くなるのか、なんて難題をもって、75分の素敵な舞台に作り上げたセンスが良い。てか、南海地方はドッキングさせ過ぎだろう。
満足度★★★
背水の孤島
面白い。パンフがしっかり作られていて4000円はお得感あり。
ネタバレBOX
序章っぽいのと、前半と後半で200分。
前半…震災後の親戚の小屋に肩身狭く仮住まいする片岡家を中心に描く。
後半…片岡家に取材に入った甲本(星野卓誠)は、その後、小田切議員(カゴシマジロー)のツテで入った警備会社で働く。前半で受験生だった太陽(ひわだこういち)は小田切の秘書になり、太陽の姉・夕(林田麻里)は被曝者を救うための研究を重ねていた。ボランティアに入っていた安藤(木下智恵)は、被曝のことを隠して甲本の部下として働いていて、やはり被曝した野崎(龍坐)は、取材班・貝原(吹上タツヒロ)の被曝者の会の一員になっていた。
前半と後半の時間差で話の深さがグっと増す。とはいえ時間がたっても非常事態という状況は、形を変えて継続し、人を苦しめているのか。その変わっているトコと変わっていないところの視点が面白かった。
舞台美術もいい。「背水の孤島」ってタイトルもいい。
満足度★★★
川遊び
しっとり面白い。
ネタバレBOX
小五のようこ(李そじん)…学校に馴染めず、四国の親戚宅に。あいと友達になる。
中一のあい(相良樹)…両親の離婚で東京から四国へ。サバサバしてる。ショート先輩をフッたことで中学を孤独に過ごすハメに。
二十代半ばの陽子(松本みゆき)…職場の人間関係や恋人のことで悩む。
二十代後半の愛(冬月ちき)…結婚を控える。
一度しか会っていない「はとこ」って関係と、ひと夏の思い出と、弱弱しくて寂しい心を絡めた良作品。かき氷とか、花火とか、雨乞いとか、かわいいアクセントのついたなんとなく寂しい作品。
満足度★★★
メモ
チケットプレゼントにて鑑賞。後半魅せてくれた。
ネタバレBOX
兄・雅治(深澤尚吾)が事故死した3年前に戻った裕司(清水芳成)。兄が死ぬことをしゃべれない状況の中、兄の死をなんとか阻止しようとする裕司は、強盗となって兄らを縛り上げる…。
序盤の展開がテンポ悪いなと感じた。また、コメディぽいけども素直に笑えないのも肩透かしな印象。
ただ、強盗後の裕司の告白…兄が死んで店を継ぐも上手くいかず、自ら命を絶つ…からは、グっと面白くなった。優秀な兄に劣等感を抱き、ギャンブルで借金100万作っちゃうダメ弟の苦しさとどうにもならなさに若干の共感が持てて、こっちも苦しくなる。
兄への劣等感については、序盤からもう少し伏線を張ってくれるとすんなり受け入れられるとも思った。ちょっと唐突な気もしたし。兄ができた人間っぽいのはなんとなく感じられたけども、兄と弟の関係性にもう少し触れていても良かったかなと。
兄の死から3年経った法事後の、長女・陽子(渡辺聡美)と兄の婚約者だった由梨(源川晴香)と兄の元彼女・千恵(高野亜沙美)の会話も見ごたえあったし、(兄に渡したメモを兄から渡されて)3年後に戻らないと決めた裕司ってのも良い。
後半の濃さとか充実した内容に比して、前半が求心力なかったのがやや残念だけども、好みの人間ドラマな作品だった。
満足度★★★
奇妙
チケットプレゼントにて鑑賞。原作は未読。
ネタバレBOX
部屋で死んでた見知らぬ犬を捨てにいく話とか、とある旅館で客が失踪する話とか。
原作を再構成した舞台だけど、そのセリフが多くてちょっと疲れた。
話というよりも、プロジェクタの光の照明とか、なんとも言えないダンスとか、そんなとこに惹かれた。特に終盤の水槽に文字フィルムを浮かべるの。文字をどう視覚化するのかって意味で、キラリと光ってた。
「世界の果て」っていわれるとそんな気もする。
満足度★★★
素直な作品
面白い。ラブ&ピースしてた。
ネタバレBOX
ゴミの谷に捨てられたごみちゃん(浅利ねこ)を中心に、ドタバタしつつも人間味を感じられてユーモラスな舞台。
緑髪のゴミちゃんの可愛さを浅利ねこが上手に表現してた。底辺層の哀しさをモノともせず、ただただ明るくハジけるごみちゃんが眩しい。
世界の90%の建築を牛耳る会社の社長・ゴウトクジ(浅見紘至)とその秘書・クニマツ(工藤史子)とその息子・コムスビ(橋口克哉)のトリオが好き。特にクニマツのキャラは、ゴミちゃんに勝るとも劣らないキュートさがある。浅見も坊ちゃんを魅力的に魅せる演技だった。
魅力的なキャラが動き回るゴミの谷の外は、企業が戦争をする荒んだ世界。舞台上に見せないだけで、外の世界もゴミのような世界なのか。それでも「世界平和」をデモる、キング(石黒淳士)とゴウトクジ。ゴミちゃんに献血する面々。出会いと別れ。そんな、ゴミの中から生まれた「情」がじんわり伝わってくる舞台だった。
あと、佐賀モトキのぱんつ下ろしネタもウケた。
満足度★★★
父と姉妹
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
色んな女性と関係をもった父を持つ姉妹。その父が余命二ヶ月を宣告され実家に戻ってくる面々。さらに5人目の姉妹まで登場する…。
結婚詐欺にあい、借金と心の傷を負う長女・仁美(桜かおり)
実家に残り、父の面倒をみつつ家庭菜園に精を出す次女・聡美(梅澤和美)
四女と仲の悪い、ちょっとツンツンした三女・琴美(長沢彩乃)
堅実で普通な健一(伊藤毅)と結婚した四女・絵里子(加藤尚美)
落ち着いた雰囲気の五女・梨沙子(小瀧万梨子)
「家庭・家族」の情と、彼女らの人生観で魅せる110分。演技が若干物足りない印象で、入りにくい。淡々としているので、ここの部分もう少し頑張ってほしい。
話自体は、各キャラの背景や考えがじんわり伝わってきて悪くない。なんだかんだで戻ってくる子供たちをみると、「父」の愛情はしっかり伝わってたんだな、形は悪くても「家庭」だったんだなと思う。姉妹が、前を向こうとしていて、変にグレてないってことも、舞台の色がどことなくあたたかく見えたところに繋がっているのかなと。
終盤の姉妹の会話シーンは良かった。
満足度★★★
トーマスのブレーキ
チケットプレゼントにて鑑賞。
愛情が感じられた。休憩込みで160分。
ネタバレBOX
「ひとりガラスの仮面」(船串奈津子)
元ネタは知らないけど、結構忠実に構成したのかな。しらないけど楽しめた。
「ひとり天空の城ラピュタ」(西村俊彦)
みんな知ってるジブリだから客も参加しやすい。面白かった。
「ひとりX JAPAN」(はやし大輔)
X解散ライブ時のYOSHIKIの体内の成分を演じる。ちょっと凝りすぎな印象。
「ひとりPerfume」(遠藤留奈)
スタイルいいしアイドルな感じがかわいい。ショーで終わってしまったのが残念かな。
「ひとりきかんしゃトーマス」(中村軌久)
トーマスと、そのアニメのナレーションをしていた森本レオの「水沢アキ」「石原真理子」性的関係問題を絡めた秀作。下ネタだけど文句なく面白い。
「ひとりガンダム」(黒田圭)
たまに入るツッコミが面白い。
やはり何らかの程よいエッセンスが入っていると面白い。元を知っているかどうかより。それがキモかな。
満足度★★★
NSC
チケットプレゼントにて鑑賞。
なかなか面白かった。90分。
ネタバレBOX
修造(藤原基樹)と離婚したがっている瞳(大室由香利)は、修造が離婚に納得しないまま家を売ろうとし、早苗(江口ヒロミ)と幸一(高沢知也)の11歳差夫妻が下見にくる。修造の姉・美子(大勝みゆき)や大家の川端(栗本孝仁)らの前で離婚に熱意を燃やす瞳の離婚に踏み切ったきっかけが、早苗が副編集長をつとめる雑誌だったと判明すると、やはり離婚を考えている美子も加わってさらにヒートアップする…。
ヒートアップして早苗がバツイチ子持ちとわかるくだりまでは、見ごたえあった。
瞳も美子も早苗も必死でその表情が魅力的ではあるが、女性のほうに重点をおいているように見え、逆に、男性陣の「離婚」観がよくわからなかったのは狙いなのか。バランスとっても良かったかなと。
雑誌に左右され早苗に頼るような姿勢の女性らの、芯が通っていなく「離婚」の重みを理解していないとこがシリアスでよかったと思う。当事者になると広い目で見れなくなるし。
ただ、修造に想いを寄せる先輩・村井(宮地大介)の盗聴&同性愛のくだりが、ちょっと冷めてしまった。TVクルーが調査に来るのが非現実的とも思っただけでなく、周りの反応がシリアスでもなく笑いでもなく、観てて戸惑ってしまった。
演技は全体的に良かった。
序盤の暴風雨の際、客が暴風雨の中の来訪者に見えなかった。