満足度★★★★
ゲバ棒
面白い。
ネタバレBOX
全共闘の一員となった、四国松山の神林財閥の令嬢・美智子(黒木華)と全共闘の幹部・桂木順一郎(間宮祥太朗)、美智子がスパイとして送り込まれた先の機動隊隊長・山崎一平(玉置玲央)、旧友同士の桂木と山崎、という三者の愛憎の物語。
二人の愛に挟まれ、11.26に突入する美智子は山崎に撲殺される。11.26から20年後、精神を病んだ山崎の前に現れる全共闘の学生たちや機動隊の部下、そして桂木と美智子。そして美智子に撲殺される山崎…。
音響照明バリバリ、下ネタバリバリの派手な舞台。で、骨の部分は圧縮された感情が吹き出るような3人の演技。玉置と黒木の二人芝居シーンがとても見応えあった。
3人の出自やその環境、学生運動の機運と権力と学生の構図、将来とか、色んなものが絡み合って、それらが押し出すように、役者の体から感情が溢れるさまが熱い。いい台本。
ラストシーンは、そもそも山崎が美智子に殺されてたのか、山崎の幻想なのか。11.26のシーンもだけど、グっとくるシーンが多くて満足の舞台だった。
玉置も間宮もいい演技。黒木の女な演技(表情)はいい。スパイに送り込まれる際の嘆きとか最高。
満足度★★★
宇宙人かわいい
チケットプレゼントにて鑑賞。
キレイなカフェで、お菓子やらドリンクやら、ゆったりした椅子とか、リラックスな公演。
ネタバレBOX
1話目
宇宙人ととあるカップルの会話劇…。
宇宙人との会話ってSFな作品だけども、そこまで突飛な内容もなくて残念。カフェ兄弟のシーンを挿入するより、宇宙人とカップルって3人芝居なとこで魅せてほしかった。
2話目
主婦と飼い犬3匹の半朗読劇。旦那の浮気を気にかける主婦と旦那の本音を知る犬を通して、夫婦の機微を垣間見せる…。
夫の浮気を気にするも、夫をしっかり見てなかった主婦が、犬から夫のことを理解する構成が面白い。
3話目
女の子と死神の一夜を描いた本の朗読という朗読劇。女の子の願いをきいた死神が、一晩女の子を遊園地で遊ばせるが、情が移って殺せない。逆に自分を殺す死神。次の死神に、前の死神に会いたいと願った女の子は、死神とともに消える…。
紙芝居風にイラストを使用した朗読。話自体はいいと思った。朗読を通して作品の感情がもっと伝わってくると良かった。
カフェ公演だし、まったり系の芝居は良いけど、ニガさとかカラさがちょっとほしい。で最終的に甘いのが好み。
満足度★★★
欲望
生きることは求めることなのかな。
ネタバレBOX
兄(田中壮太郎)…恋人(藤井咲有里)をなくして未だ引きずったまま。ストイックというか求められない。精神疾患なデザイナー。
恋人…兄が求めてくれなかったので、兄の友人(岸田研二)に捧げてしまった。
妹(小瀧万梨子)…孤独を嫌う、求めてしまう女。父の幻影が消えない。
子持ちの男(野々山貴之)…妹と関係を持つも、父になることで妹との関係を終わらせようとする。会社員。
妹の友人(中村梨那)…妹を気遣うも嫌がられる。けど妹を羨ましく思っている。エロゲ声優。
兄の友人…タイで生活する放浪地味た人。兄や恋人の友人。
20~40くらいの闇な部分を薄暗く照らす。厭な感触。地味ではあるけども、その分厭なとこが引き立つ。
安易な「分かり合えない」的な話でなく、淡々と人間を描くところは気に入った。兄の性格は共感に近いものを感じたし、逆に人間のよくわからなさも汲み取れた。妹を演じた小瀧のあばずれさと、依存する女な演技は等幅広いとこでよかった。ちょっと体が引き締まり過ぎな気もしたけど。
演技も皆良かったと思う。照明やセット、小道具とか、細かく凝ってた。
ただ、なんか琴線に引っかからなかった。
満足度★★★★
パンツちゃん
面白い。チラシデザインが魅力的。
ネタバレBOX
父(信國輝彦)の経営するTシャツ屋のわがままで凶暴な犬・アイコ(佐山花織)。それに手を焼くも、好きにさせておく父。母(佐山花織)はバーを経営してたけども、自信の無さと満たされない心から浮気に走り、別居している。
アイコに噛み付かれた父はアイコに向き合えず逃げ出すも、男性客(小西健スケ)のアシストでアイコはおとなしくなる。今度は男性客に噛み付いたアイコだったが、父が叱りつけると、満足したように服従のポーズをとる…。
アイコと母を佐山が演じることで、父とアイコの関係、父と母の関係が重なる。好きにさせておくことが相手にとっていいことだと考える父と、それがストレスの一因になってた母とアイコ。女(メス)の持つ被支配欲の一端、微妙な心のバランスが面白い。そんなストレスな感じを佐山が上手く暴れて表現してた。そして、のんびりした、踏み込めない父を信國が好演してた。ここが安定してたのが大きい。
ラスト、娘のとっこ(柴田薫)の、一緒に住めるなら留学やめてデザインの勉強するというきっかけで母は家に戻ってくる。二人を取り巻く犬(出演者)の演出も暖かくて良かった。
避妊処理済で落ち着いてる、男性客の犬(西村ヒロミ)とアイコの会話、母と浮気された女(西村ヒロミ)の会話も、程よい緊張感と感情と見栄のぶつかり合いとかが面白い。妊娠の嘘とか、後ろを歩くのがいいとか。西村のいいトコの家ですって感じもいい。
会場がポップなTシャツショップってことだけでなく、グリーンの絨毯の上でドタバタする役者の表情や衣装も彩に富んでた。狭いながらも、空間に対する工夫を重ねた感のある作品に満足した。
佐山の「わおーん」(特にラストの母ver)が、感情も乗ってとてもいい音だった。
満足度★★★★
世界
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
世界中の人からのあらゆる質問に答える12人の旧システム。3年前に新システムにとって替わられて、暇で暇でしょうがない。そんな中、新システムのアップデートに絡んで、新システムを殺し、世界を手に入れるための会議が始まる…。
翼島(岸井ゆきの)が新システム「彼」に入り込んで(彼と繋がって)、11人と彼とのバトルになる。彼を殺し前のようになるかと思った11人だったが、何も変わらないことに困惑し、ウィルスによるテロを疑い迷走し、システムダウンしてしまうが、この一連の騒動は翼島ともう一人が行った「葛藤し続けるシステム」構築のテストであった。
合理的に「答え」を出してきた旧システム、美しさを感じることのできる彼の攻防は見応えあった。システムの擬人化をユーモラスに表現。5人の作業員を助けるため、自分が列車に飛び込むと回答する彼に戸惑いながらも追撃する必死な様が、人間のようで恐ろしくも見える。
システムに「答え」を依存する人類が、合理から美しさに傾き、さらに葛藤を求め始める。どっちをとるかという難問が溢れる世界で、他人に丸投げしちゃう人類の弱さを描いたものだろうか。地下に囚われた女の子の話も、一部(弱者)の痛みの上に存在する世界の恐ろしさを描いたのだろうか。
翼島らシステムの反乱でなく、その背後にある(翼島らを作った)人類のドス黒さを想像すると恐ろしいし、哀しくなる。
笑いの部分は少ないけども、濃い薄いのしっかりしたストーリーと80分の短めな会話劇がスタイリッシュでいい。役者の表情も、数字的でなく豊かで上手かった。
ドンガラガッシャン
演技は総じて良かった。声の調子もノってた。
ネタバレBOX
Bコーヒーが苦手な劇の脚本家が喫茶店でウェイトレスとやりとりする。深夜の一室で、若者が無為な時間を過ごしている…。
若者の内の一人の将来がその脚本家というリンクであるが、それがどうしたというわけでもない。若者の内面を照らすってとこかなと思ったけども、話の魅力に欠けるので、興味が湧かなかった。
若者3人が終盤でちょっとヒートアップする際の「金も才能もない」的なセリフがかなり幼稚に聞こえてしまったのが残念。脚本家が苦しみながらも夢?を追っている姿に前向きさを見出すこともできるけども、同調しにくい前向きさに見える。
会話劇なので、客の興味をそそるセリフや内容で、心を掴んで欲しかった。
ライトを照らすって演出が良くわからなかった。一風変わった趣向を行うのであれば、もっと丁寧な説明とか準備が必要と思う(サクラとかいれてもいいし)。観た回ではライトを照らす人がいなかった。
満足度★★★
100万回
絵本未読。猫は好き。
ネタバレBOX
トラ猫(森山未来)が死んでは別の飼い主の元でまた死んで、白い猫(満島ひかり)に出会い、愛し合い、白い猫の死を悲しむ…。
ナンバーワンな王様・犬が怖い泥棒たち・かあちゃん想いの船乗り・マジックに失敗しちゃったマジシャン・寝てるのと起きてるのが曖昧なおばあちゃん…繰り返される死に無感動になるトラ猫。そんなトラ猫に興味を示さない白い猫は、「何回生きたの?」と突きつける。傍にいたいと願うトラ猫と時間を過ごした白い猫が眠るように死んで、大泣きするトラ猫。
前半繰り返される「死」に、トラ猫のように感覚が鈍くなるところにグサッとくる構成がいい。ピアノの音と二人のしりとり、静かな時間が流れ、悲しみの「生」を受け止めるトラ猫に、グっとくる。
人間は100万回死んだりしないけども、何年生きたってとこが重要でないと。ファンタジーな領分からリアルな人間を鋭く撃つ作品で、照明の暗さとセットの落ち着いた表情が、いい舞台を作ってた。
セリフよりも振りが印象的。猫だしね。主演の二人のシーンの言葉のないとこはかなりの出来と思った。
満足度★★★★
奴隷と王様
面白い。
ネタバレBOX
とある企業の社長(中原和宏)に恨みをもつ4人が、社長令嬢の祥子(今村美乃)を誘拐する。誘拐したはいいが、どこか覚束無い誘拐犯たちにアドバイスをし、いつしか4人を支配する祥子。そして、祥子が今回の誘拐計画を利用して、社長を貶めようとしたことが明らかになるが…。
残りの三人を逃がして罪を背負おうとした鵠沼(里美和彦)、祥子やその彼氏の鍬田(木暮拓矢)の陰謀を見抜いたが、社長の座を辞することになった社長、恋人で誘拐犯の一人・加治木(新納敏正)を救うべく社長に取引を持ちかける敏腕秘書の織部(田嶋真弓)、結局特許権を手に入れられなかった祥子…。
人生の瀬戸際に立たされた、支配される側の人間とそんな「バカな人」を支配する側の人間という構図。この点を象徴する祥子を今村美乃が魅力的に演じてた。鵠沼らを「考えることのできない馬鹿」と蔑む表情とか、谷屋(日和佐美香)への暴行を命じる表情とか、素敵。
ただ、話は支配側(祥子や社長)も負け、支配される側の誘拐犯らは罪を問われないことになる(見ようによっては支配される側の勝利)。しかし、鵠沼は独り嗚咽する。父親の件(社長ら巨大な権力にボロボロにされた支配される人間)があって、支配者に一矢報いたかったが叶わなかった無念の気持ちか、結局自分の考えや行動が権力に操られていただけだったことの無力感からか、わからないけども。
支配者も支配される側も、人間的には同じで社会的に別世界の生き物なんだなと。実社会ではどうだろうかしら。奴隷が王を撃つってあるかしら。そもそも奴隷が奴隷と気づいたりするだろうかしらと思った。
OPのダンスも、カーテンコールのダンスもとてもいい。シリアスな舞台と開放感のある振りが妙にあう。場面の切り替えもスムーズですっきりしてていい。時間も90分弱と集中しやすいし。
とぼけた感じで見抜く目をもつ刑事・柏崎を岡本篤が好演してた。
満足度★★★★★
セックス
面白い。舞台が高めに作ってあるのも親切。
ネタバレBOX
妻のミツコ(名嘉友美)が原因不明で眠り続けている中、夫のエイスケ(泉政宏)は、弟・ハルオ(中田麦平)の彼女・マミ(墨井鯨子)と浮気している…。
エイスケ…マミと浮気するもやっぱりミツコが好き。
ミツコ…エイスケの浮気を知って、ジロウ(用松亮)とセックスする。
ハルオ…早漏でHが下手、そしてそれに気づいていない。
マミ…エイスケにフラれる。
フジコ(坊薗初菜)…エイスケらの同級。ケイ(横手慎太郎)の勃起に満足をえる。
サトル(奥村拓)…フジコの夫。SMクラブにハマる。
ケイ…ロマンチックな童貞。マミが好きで襲いかかるもフラれる。
ジロウ…ガキ大将な嫌われもの。
トーコ(兵藤公美)…サトルの通うSMクラブに勤める。
好きってナニ、なんで一緒にいるのって疑問をぶつけまくる作品。
エイスケとミツコのプロレスな会話は大いに笑えて、インパクトもあるいいシーン(特に名嘉が仕掛けた膝破壊の蹴りが地味ながらいい)。ハルオの早漏ネタやケイの童貞ネタも素直に笑える。それだけでなく、フジコとサトルの倦怠関係とか、マミとハルオの実質冷めた関係とか、エッジのきいたエッセンスがビシビシ決まる。
プロレスは、もっとドッタンバッタン派手にしてもよかったけど、泉相手に奮闘する名嘉のガッツが素晴らしかった。
坊薗の演技が上手かった。また、名嘉のハルオを睨む目つきが最高にいい。そして、先輩キャラで傍若無人なジロウを、用松がとても厭な感じに、そしてドライ&ウェットな感じに演じていて好印象。上手かった。
満足度★★★
ロリータ
開演前と終演後の、ステージに映るちょうちょの灯りがキレイ。受け入れ体勢もいい。チラシのスタイルや、タイトルのペルシャ文字な感じは好き。
ネタバレBOX
イスラムなテヘラン。「先生」と呼ばれる人が少女らを集めて、教えに背く「ロリータ」とかを読む「木曜日のクラス」を行っている…。
イスラムの若い女性の閉塞した感情と宗教観の衝突が見もの。女性だけでなく男性の鬱憤も含まれているとこがミソ。
日本より極端に制限のかかったイスラム世界に生きる「若い女性」の叫びが聞き取りにくかった。想像が及ばなかったというか、外から眺めてしまったというか。マーナー(阿波屋鮎美)が、派手なアージーン(平佐喜子)に嫉妬するとことかは、スッと受け入れられるけども。
神を信じる信じないってマフシード(ヒザイミズキ)が興奮するシーンも、心で理解できないというか、精神的な隔たりが大きくて受け止め方に困った。
HH(ハンバートハンバート)は、HHであり、検事であり、空想であり、女性らの心を揺らす存在であるけども、「ロリータ」は彼女らにとってのなんなのだろうか。「逃げ出す」ということの象徴として、信仰の対象のようなものだったのかろうかしら。
満足度★★★★
ひとつになれた
面白い。
ネタバレBOX
合同公演の舞台前練習。
水谷圭一…合同公演の演出。宇宙人に上半身喰われるも意地で復活。結局、団員らから見捨てられるが、団員の心がひとつになったことを独り喜ぶ。うつ病。
佐伯さち子…処女。主役を張れないのがくやしい。買出しに行きたい。
すがやかずみ…泣き虫。筋肉質の男(篠原正明)とナカゴーの芝居が苦手。いい匂いがする。
佐々木幸子…演出家とか脚本家と寝る女。
鎌田順也…王子在住。ノロウイルスに罹ってた。お気にのグラスが割れたせいで、加瀬澤をボッコボコにする。
日野早希子…暗転板付きの際に演出をドヤ顔でみるクセあり。
高畑遊…カタコト。台本覚える気がない。
鈴木潤子…舞台以外でも役に入る鈴木メソッドで佐藤佐吉賞を受賞した。実はやさしい子。
篠原正明…カタコト。金ないと言いつつ一万持ってた。
加瀬澤拓未…野鳩に入りたがってる。篠原に足を轢かれ、鎌田にボコられたがoffoffに舞い戻る。
序盤のグダグダな練習から宇宙人来襲して、死んだ水谷への想いを吐露して、メンドくさい鎌田の家でグタグダやって、オフオフ戻って水谷復活して、けど水谷気持ち悪いとかやっぱり水谷がいいとか、グチャグチャな展開とクドイ空気にヤラレタ。面白かった。
なにげに黒衣(飯田こうこ)の下半身操作が上手い。
満足度★★★
いい夜
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
「いま、ここ。」
オノマリコ(若林えり)とモスクワカヌ(百花亜希)が喫茶店で駄弁る…。
人間ってスゴイよと豪語する武闘派なオノマと呪い系のモスクワが、演劇でどうしたいのかを熱心に、冷静にダベる所信表明な作品。作中でも言ってたように恥ずかしいけど、大切だなと。
「いつかあなたはここにいて、わたしはいつもそこへいく」
ノンフィクションライター(浅見臣樹)が被災地の工場で会った女性(梶野春菜)から話を訊いて作品を書き上げる…。
女性の祖母(今野真智子)が夫(息子?)を戦争で亡くし、言葉もしゃべれず、女性の同居の誘いも断り、津波で帰らぬ人となる。女性は祖母を置いて逃げたことに罪悪を感じる。そんな悲惨な「事実」を作品にするって行動の意味を問い、そして肯定するってふうに感じた。
「ヤギさんと永遠」
男(巣山孝幸)と女(米澤慧美)が、手紙食べちゃったヤギさんから永遠に想いをはせる…。
「永遠」なんて宇宙の果てなモノと、男と女な身近な関係をミックスさせた作品。結婚している女と男の間の始まりと終わりを想像させる。
「三月十一日の夜のはなし」
中野で飲食店を切り盛りする女(斉藤まりえ)の3/11を描く…。
震災を扱った知人の舞台に興味なく、寝ちゃったと告白する、一般庶民な女性を斎藤が好演。震災を「東京で」体験した人の心の中を、サバサバと表現する快作。
非常時独特のテンションを「いい夜だった」と省みるところに、当時目にした「不謹慎」って言葉よりも愛着が湧いてしまった。いい作品だった。
満足度★★★
阿修羅
面白い。ドラマ等は見たことない。
ネタバレBOX
綱子(浅野温子)…長女。未亡人。華道の師範。料亭店主(山本亨)と不倫し、求婚されるが寂しさから逃げられないことを悟る。
巻子(荻野目慶子)…次女。夫(大高洋夫)と秘書(彩夏涼)の浮気疑惑に悩みから万引きしてはさらに苦悩する。
滝子(高岡早紀)…三女。父(林隆三)の浮気調査を興信所に頼んだ。その興信所の男(中山祐一朗)と恋愛の末、結婚する。地味で堅物系。嫉妬心からか四女とよく衝突する。
咲子(奥菜恵)…四女。ボクサー志望の男(広瀬友祐)と同棲。喧嘩をへて結婚し、チャンピオンの夫をもつという幸せも束の間、夫が倒れ、悲しみに打たれ、ゆすりに合う。
母(加賀まりこ)…19くらいで嫁いで、夫や子供たちのために働き続けた。夫の浮気を知りつつもその素振りを見せず、家族に看取られ病死する。
いい感じのドラマ性と、女と男の(家族愛も)機微もミックスしたいい作品。
浮気されてることを知りつつも漬物つける母や妻でありつつける次女とか、三女のコンプレックスと四女との確執と情のバランスとか、見所多し。
元の作品は知らないけども、二時間ちょっとの舞台にまとめた瀬戸山の功績も大きい。テンポ良くてダレなかった。
長女の寂しさへの達観が静かだけど恐ろしくもある。また、(浮気を否定した)秘書を疑い続ける次女の「女性」さが、ドロっとした恐ろしさを醸してていい。
荻野目慶子の普通の主婦っぽい感じと女な部分の同居性が気に入った。高岡早紀は、美人度が高いので、地味ファッションと潔癖性でも魅力的に見えてしまうのが残念。奥菜恵はとても美人で、ゴージャス演技が似合ってた。
満足度★★★★
エリザベス
面白い。「ロープウェイ」と「焚き火」が好き。
ネタバレBOX
~座・高円寺のうた~
「流れる」
流されやすい若葉(永井若葉)がボディスーツや服を買わされまくり流されまくりな短編。母が連れてきた見知らぬ韓国人(岡部たかし)への「アニョハセヨ」のオチもいい。てか、母(岩谷健司)は最初お父さんかと思った。
「冬のロープウェイ」
故障で中釣りになったロープウェイでの会話短編。浅草の寿司屋職人(岩谷健司)と吉祥寺の回転寿司職人(町田)のピリっとした空気がいい。「すいません」のセリフもいい味だしてる。
~今更アナウンスな歌~
「ワカバの話」
泡姫になったワカバ(永井若葉)と変態な客(松浦祐也)の短編。客の意向に沿おうと奮闘するワカバがかわいい。
~ワカバが別居している歌~
「冬の焚き火」
町の産婦人科医がエロいので病院変えたいと申し立てる夫妻の短編。「ロープウェイ」もそうだったけど、人と人との間に生まれる若干ネガティブな感情を醸すのが上手い。夫(岡部たかし)からエロい言われて、妻(清水葉月)の火事の過失を水に流すも、生理的に無理ってな目で見られる医者が不憫すぎる。清水の新妻演技良かった。
「気立てのいいワンさん」
中国?との戦争中、女郎宿で繰り広げられる短編。洋子(光瀬指絵)と沼田(松浦祐也)のHシーンから始まり、隊長で変態な小島(岩谷健司)の乱入、中国?が戦争に勝って、日本が支配されるという…不吉な話。日本が負けちゃうって話を演劇にできるってとこが、この国のいいとこか。
春・安田友加ver.
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
安田の一風変わった元気な女の子演技は上手い。長谷美希は儚いとこで魅せてくれた。
「私」は三輪友実が上手かった。田中ありすは、リンクスでのCA風なキッチリ演技が上手かったからかしっくりこなかった。
女子高生役の毛利悟巳はナース演技も良かった。柚木成美は兄貴を殺された恨みな空気がもうちょい欲しかった。
秘書役の眞鍋健史はスーツ姿のキマった秘書を好演してた。ホモな秘書って意味では萩原達郎の方が好きだけども。
色モノな市長は七味まゆ味も柳瀬晴日もいいカラーが出てて良かった。
満足度★★★
真春
生音はいい。
ネタバレBOX
「モーツァルト 交響曲40番」
男性(佐渡島明浩)の生活みたいなマイムダンス。途中で興味を失った。
「ストラヴィンスキー 春の祭典」
見応えあった。確かに「春」らしく、ドロっとしてなかった。木管五重奏って柔らかいのが良かったのかもしれない。
満足度★★★
桜
ピンとこない。元ネタのゲームは知らない。90分。
ネタバレBOX
意味不明(地震は頻発してたけど)に終焉を迎えてそうなとある都市。引きこもりな19歳の僕(須山造)は春(長谷美希)と出会い、高校を目指す…。
話自体は、「エキドナ」という物質が原因で世界が終わりそうなので、それを春が身を呈して葬り、僕が叫ぶ中雪のような桜が舞い落ちる…というもの。「人と人は繋がってないとイケナイ」的なセリフもあったり、ボーイミーツガールなとこもあったり、多くの人物がそこかしこでつながったりと、そこにテーマがあるんだろうなとも思ったけども、どうも作品道中の引っかかりが掴めなかった。
細かな振りとかしゃべりとかの演出的な部分は気にならないけども、ちょっと幼い空気がピンと来なかったのかもしれない。かわいいといえばかわいいのだけど、軽い気がした。
黒服役の今村のネタは笑った。
満足度★★★★
売春捜査官
泣けた。
ネタバレBOX
木村役の船越ミユキは、破天荒な(変な女っぷり)とこや迫力な(ギラギラしたような)部分が若干弱めと感じた。しかし、「女」な部分がとても迫ってきた。そのせいか泣けた。
ホモな万平を演じた嶋祐一郎の、リー先輩演技もグっときた。
松本有樹純の熊田はかなり板についてる。
伊澤玲の大山も熱演に相応しい演技。
弱い人間たちの気持ちが、熱い舞台だった。作品自体の出来の良さもあるけども。
満足度★★★
ソロ公演は大変そう
衣装が素敵。
ネタバレBOX
「マトルの約束」
なかなかキレててキレイ。
「最後の日は、ここで一緒に」
5~10分程度の短い作品だけども、結構印象深い。「ここあったかいね~」のセリフが良いけど、最初の語り的な導入部などの表現力があるとよかった。
「ダフニスとクロエ」
かわいい恋を上手く表現してたと思う。ただ、演奏とそこまでマッチしてたとは感じなかった。
客席の方にやってきて客の荷物を踏んづけた際の「ごめんなさい」が、むしろ一番かわいい。あと、ブレスレット蹴飛ばしちゃって元に戻す際の照れ笑いとか(演出ではなさそう)。
そんなハプニングも含めてあたたかな舞台。
満足度★★★
人生の廃棄物
面白い。
ネタバレBOX
「罪喰い」の文化というか宗教が信んじられている島(ムラ)での群像劇。
清文(橋本拓也)…妻を自殺で亡くした。
徹平(寺井義貴)…「罪喰人」になるも、清文に浄化を強制される。
耕太(永山智啓)…遊び人風。徹平の妻とネンゴロしてる。
由美香(中野麻衣)…比嘉家長男の妻。
悦子(菊池奈緒)…清文らの叔母。
美月(中井和味)…火事(放火?)に遭って比嘉家に身を寄せる。
源治(杉木隆幸)…由美香に言い寄るヒゲ。
志帆(宍戸香那恵)…ムラから出ていく際に由美香から在庫品を譲られる。
樋口(芝博文)…若き村長。娘を湖での事故で亡くす。
周防(江原大介)…湖で貸しボートやってた。樋口の娘死亡の罪を持つ。
作品の世界をいい感じに切り取った(くり抜いた?)舞台。登場人物多めなので得意でないけど、切り取り加減が上手いので、ストレスなく観ていられる。
「罪を喰う」=「許される」って特異な信仰も地味な描写であるが印象的であった。
罪を喰ってもらえばそれでOKな考えに違和感を持つ周防が、何度も湖に行って遺品のランドセルを見つけて樋口に渡すも、樋口はさっさと罪を喰ってもらえばいいんだと突き放すワケだけども、本音はそのあとの感謝の言葉にあるんだろうなと希望している。
そして、妻自殺の「罪」を抱える清文は、妻の記憶を無くしてたまるかと反抗し、「罪」も「記憶」ももったまま生きる。
「罪」ってのは人生の一部みたいなものかなと思った。