青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう
コーヒーカップオーケストラ
シアター711(東京都)
2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了
満足度★★★
何かが残った
なんと表現すればよいか悩むところですが、とにかくやりたいことを全てやってしまおう、という気概は立派です。くだらないことは真剣にやるからこそ価値がある。いえ、価値や意味など求めていない、ということもよくわかります。
あらん限りのネタを入れ込み貪欲に笑いを取りに行き、そしてほんの少しのせつなさを漂わせるというのは、昔よく見られた小劇場演劇のようでもあり、懐かしささえ覚えます。ただ、笑えたかというと、笑い切れなかったというのが正直なところです。あと少し何かがあればもっと笑えたはずなのですが・・・。前説では「何も残らない」と言われましたが、かえって何かがひっかかるように残りました。
また、役者さんの演技がどうしても表面的に見えてしまい、せっかく用意された刹那さが生かし切れなかったのが残念です。全体的に大声を張り上げる芝居が多く、それが続いてしまったがために単調に感じてしまいました。
不都合な四日間≪終演致しました!沢山のご来場ありがとうございます!≫
クロカミショウネン18 (2012年に解散致しました。応援して下さった方々、本当にありがとうございました。)
テアトルBONBON(東京都)
2011/06/29 (水) ~ 2011/07/03 (日)公演終了
満足度★★★★
最後には上手くまとまる
毎回、面白い台本と達者な役者さんで楽しませてもらっています。
今回は4人の作家の方々のリレー式とのことですが、異質なものを組み合わせるという試みはまずは一定の成果が得られたように思います。
4日目のエピソードはさすが定番のシチュエーション・コメディ路線の王道を行くという趣で上手くまとめ、前公演「ユー・アー・マイン」ほど複雑に入り組んでいないぶん、観やすかったです。
今 【無事に公演を終えることができました。本当にありがとうございました!】
333
東中野レンタルスペース(東京都)
2011/06/10 (金) ~ 2011/06/13 (月)公演終了
満足度★★★
なんとも色々ともやもや
オムニバスということで、沢山の短編から成る構成でしたが、どちらかといえばコント集に近いです。
統一的なテーマがあるようには見えなかったのですが、本当はどうだったのでしょう。私の読み取る力が不足していたのかもしれません。
ある部屋での出来事、という共通点はあるのですが、会場がリアルにマンションの一室なので、それはその通りとしか言いようがないです。
各話は、わかりやすいものと、そうでないものが混ざっていました。
どこからどこまでが一つの話なのか掴みにくいところがあり、この話の結末は後で出てくるのではと期待したりもしたのに結局出なかったりと、ある意味、先が読めません。
もやもやした感じは残るのですが、作品以外の部分で観客に対する配慮が多く見られたのは良かったです。
テオリ
BLUE HIPS
アドリブ小劇場(東京都)
2011/06/02 (木) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
満足度★★
色々な役を演るということ
全くテイストの異なる3つの話。それぞれ台本の完成度が高く、面白い内容でした。
あとはそれを演じる役者さん達ですが、皆さんよく頑張っておられます。ただ、やや無理があるかなという印象を受けた役柄もあり、全体としてのバランスを崩している所があるように思えます。
オムニバスのため一人で複数の役を演じるわけですが、ある役では絶品だったのに、もう一つの役では微妙であったりと、なかなか難しいものだと感じました。
魚座たちの渚 / ひとしずくの殺意/FOREST ROOM~羅針~
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)
2011/05/28 (土) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★
企画として今後に注目
3話のオムニバス。
「魚座たちの渚」
正直、気恥ずかしくなるような内容の話ですが、若い演者さんが真剣に芝居に向き合う姿そのものが見所というべきなのでしょう。
ただ、あまりに展開が一直線であったのが残念です。
「ひとしずくの殺意」
1話とはうって変わって大人の話ですが、女の怖さを描き方にこのような方法があるとは新鮮でした。
「FOREST ROOM」
役者さんが舞台慣れしているという印象で、安心して観ることが出来ました。
『十二人の怒れる男』/『裁きの日』
劇団チョコレートケーキ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/05/25 (水) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
満足度★★★
とてもストレート (「裁きの日」)
「裁きの日」のほうを観ました。
伝えたいこと、主張をストレートに表現しています。
あまりにも真っ直ぐなゆえに、話に起伏や展開が無く、
それだけにこの濃密な1時間40分を一幕で演じ切った役者さん方の力が凄いです。(いつものことながら。特に蒻崎さんは本当に良い声をしてますよね。)
裁判員制度は一般市民にも”人を裁く”ことの意味を否応無しに問うてくるもの、ということを明確に示したという点で、この作品の価値を高いものとしています。
風と共に来たる
劇団テアトル・エコー
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2011/05/20 (金) ~ 2011/06/01 (水)公演終了
満足度★★★★
これがプロのなせる技
文句のつけようがありません。これがプロの舞台というものなのでしょう。
海外作品であるこの脚本は展開が比較的平板なので、これを下手な役者がやったら目も当てられなくなるところでしょうが、このキャストの方々の神業とも言うべき演技で2時間全く飽きさせません(途中10分休憩あり)。
立っていようが、寝ていようが、おちゃらけていようが、セリフが全部きちんと聞こえ、無駄な動作は一切無し。照明や音楽などの演出がほとんど無く、役者の力だけでここまで見せることができるとは、お芝居の世界は広いと実感した次第です。
STATION
リブレセン 劇団離風霊船
ザ・スズナリ(東京都)
2011/05/11 (水) ~ 2011/05/17 (火)公演終了
満足度★★★★
やはり鉄板
毎回思いますが、この劇団はよくこのクオリティを維持し続けられるものだと感心します。達者な役者さん方の演技は万全。前説で「皆、緊張しています」などとおっしゃってましたが、どこから見てもそうは見えません。
やはり時事ネタも入り、ある意味予想通りの展開と言えなくもないですが、変に話をややこしくしない分だけスッキリしました。
アリスインクロノパラドックス
アリスインプロジェクト
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/05/03 (火) ~ 2011/05/08 (日)公演終了
満足度★★
若いということだけで素晴らしい
若いです。
単に演者が若いというだけでなく、こんな夢想を若い頃にはするものだ、という感慨に近いものがあります。
物語はよくあるタイム・トラベルものですが、途中途中にちょっとした笑いをさし挟み、脚本家の意地のようなものを感じます。ただ、それを生かすように役者を動かすことが出来たかというと疑問です。
全体を通して、ほぼ一定のリズムで進行するため、見せ場であるとか印象的なシーンが作られることなく済んでしまったのが残念でした。
蠅取り紙 ―山田家の5人兄妹―
劇団たくあん
MAKOTOシアター銀座(東京都)
2011/05/04 (水) ~ 2011/05/05 (木)公演終了
満足度★★★
少し変えるだけで
台本がしっかりしており、楽しめました。2時間という上演時間も苦になりませんでしたが、もう少し短いほうが良かったと思います。
舞台装置がきちんと作られ、制作面が万全であったことがわかります。
役者の方々もちゃんと声が出て、無難にこなしているという印象があります。ただ、台詞に頼った演技が多めで、動きにやや必然性が欠ける点が残念でした。
あとは間の取り方、台詞のリズムを少し変えるだけで、格段に印象が変わると思います。
寿歌
劇団東京乾電池
アトリエ乾電池(東京都)
2011/04/28 (木) ~ 2011/05/04 (水)公演終了
満足度★★★
演ること自体がチャレンジング
今の時代にこの作品を演目とすること自体が相当チャレンジングで、その試みがうまくいったかどうかは意見が分かれるでしょう。冷戦構造が崩れ全面核戦争の危機が遠のいた今、別の危機に対する不安感を共通認識として醸し出さないと、作品の持つ世界観を表しきれないかもしれません。
3人の登場人物と道具は1台のリアカーという、ごくシンプルな構成がそのまま踏襲されており、舞台上に"九重五郎吉一座"のノボリを付けたリアカーが佇んでいるという状況を作り出した時点で、芝居の半分は完成したと言えます。残り半分は役者さんの個性と、いかに"エエカゲン"に見える芝居をして頂けるかにかかるわけです。しかしながら舞台の作りのせいか、役者さんの動きが少ないのが残念でした。
超!スーパーウルトラハイパーサンダーローリングなんとか【公演終了しました。ご来場ありがとうございました。】
元東京バンビ
しもきた空間リバティ(東京都)
2011/03/02 (水) ~ 2011/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
良い意味で、こなれた芝居
面白いです。ちゃんとしたコメディになっています。
はじめのうちは役者さんの動きが固く、セリフに頼った演技をしてるなという印象はあったのですが、中盤以降はそのようなことはなく、不自然さはありません。
登場人物たちのキャラクターがきちんと描き分けられていて、それぞれのキャラの動きに必然性があることなど、脚本が良く書かれています。加えて役者さんたちのこなれた演技(悪い意味ではないです)によって物語の展開に大いに説得力があり、感心しきりでした。台詞の言い間違いやら段取りミスなどあったものの、慌てずリカバリするあたり、「慣れているな」と感じました。
舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)
TAKE IT EASY!
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
満足度★★★★
舞台化の成功例
5人の役者が絶えず動き回り、映画のカットバックさながらめまぐるしい場面転換。とにかく圧倒されっぱなしでした。
芝居というより、長時間のダンス・パフォーマンス。台詞の量も多いのですが、それ以上に多い体の動き、マイムの数々。練習量を想像すると気が遠くなります。
音響も照明も舞台上の動きとぴたりと合い、驚異的ですらあります。
元となったアニメ映画を観た時には実写のほうが合っているのではと思ったものですが、今回の舞台を観ると、それ以上に舞台のほうが合っている、と思わせてくれました。このような例は滅多に無いです。
ひとんちで騒ぐな
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/02/03 (木) ~ 2011/02/06 (日)公演終了
満足度★★★
説得力がカギ
タイトル通り、まさにひとんちで巻き起こる同時進行の幾つかの騒ぎを一幕で見せた舞台。登場人物が状況的に追い詰められ、なんとか打破しようともがく様のおかしさを素直に描き、シチュエーション・コメディの王道とも言える作りは見事です。
役者さん方の演技も不自然さがなく、このちょっと異常な状況でも「そうなるだろうな」と思わせる力が十分あります。
ただ、肝である"状況"の作り方に若干自然さがあり、それが説得力を減らしてしまった感が否めず、残念です。
くちびるぱんつ
ぬいぐるみハンター
王子小劇場(東京都)
2011/01/27 (木) ~ 2011/01/31 (月)公演終了
満足度★★★
驚異的な体力
確かにがちゃがちゃしています。
大部分は勢いに任せての速いセリフ、走りまわり、踊って歌って、ギャグの応酬と、何やら昔の小劇場演劇を思い出させるようなお芝居でした。
役者さん達の体力には脱帽です。あれだけ動き回り、台詞を喋って歌い踊っても息があがる素振りが見えないというのは驚きです。
話の内容は、ほぼ無意味。その無意味さをどう受け取るかは、観る人によって分かれるでしょう。無意味さ加減が許容範囲内に収まらないと、笑えない所が出てきます。
13人のスピード!
マグズサムズ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/01/26 (水) ~ 2011/01/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
見事でした
面白い、と素直に言える作品です。
スピード感溢れるコメディと聞くと、ただ勢いに任せて突っ走るという印象を受けがちですが、リズムとテンポが絶妙で最後まで飽きがきませんでした。
これは間とか台詞のタイミングが相当難しいはずで、少しでもズレれば笑える所も笑えなくなるはず。少なくとも私が観た回は、ほぼ完璧だったと思います。
登場人物のキャラクターもきちんと描き分けられていて、役者さんも皆さんよく声が出てきっちり演じられているという印象です。
桜の園の裏の園
SKY SOART ψ WINGS
シアターX(東京都)
2011/01/18 (火) ~ 2011/01/20 (木)公演終了
満足度★★
真剣だから喜劇的
「桜の園」は未見ですが、解説にもある通り、並行する3つのエピソード自体を楽しめる作品となっています。
登場人物達の真剣な、でもどこか喜劇的な振る舞いに、時代や場所を越えた普遍性を描く試みとなっており、工夫の跡が伺えます。
役者陣の中では、シャルロッタ役の方の安定感が全体を引き締めている感があります。
少し理解しづらかったのは、登場人物の背景や立場、仕事の内容が説明されなかった点です。”桜の園”と呼ばれる屋敷に何故彼らは居るのか、どのような立場で複数の家族がそこに居るのか、あらかじめ解説を読まず原作も知らない身にとってはわからなかったので、パリから帰って云々のくだりがほぼ理解できず、感情移入が阻まれてしまいました。
繋がらない世界の話【終演しました!たくさんのご来場ありがとうございました】
ソテツトンネル
RAFT(東京都)
2010/12/14 (火) ~ 2010/12/19 (日)公演終了
満足度★★
面白くなる要素
30分一幕の芝居×2本のオムニバス。
2本の作品の間に関連は無く、「繋がらない」話として構成しているとのこと。
「谷間!やわらかい!お願い!触らせて!」
病院という舞台に異質の者を紛れ込ませるとどうなるか、その発想からくる物語の展開としては無理なく見られました。ただ、巨乳のくだりはさすがに唐突で、それが笑いにつながるか、面白くなるかというところは紙一重というところです。
笑いの要素はあるのですが、全体的に"間"の取り方、空気感の作り方がもう一歩で、もっと面白くなるはずだったのが残念です。面白くなる要素はありました。
「2010年家族の旅」
こういう日常SF的なものは昔よくあったな、という感じで、ある種の懐かしさを覚えながら観させていただきました。父親役の方の演技の安定感で、作品全体がうまくまとまったかと思います。
子供達の年齢設定がよくわからず、しばらく戸惑いました。30分という短い枠なので、観る者が迷う時間が少なくなるような表現を望みます。
あなたの部品 リライト
北京蝶々
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/12/14 (火) ~ 2010/12/19 (日)公演終了
満足度★★★
全体と個々
改訂再演、でも改訂前とは全く異なる作品との説明を受けましたが、改訂前は観ていないので先入観なしで観させていただきました。
全編ほぼ出ずっぱりの西村役の役者さんによって、1本の芯が通った作品になっています。
高度な義肢によって障害者の体と心を直すことを一種の美学とする男が、自分自身の歪な精神を映し出したかのような登場人物たちと相対し、やがて疑問を持つようになる。個々の登場人物たちの背景や痛みは描かれており、それが主人公の行動を無理なく引き出すことにはなっています。
ただ、どの登場人物にしてもそのキャラクターの特異性から、感情移入がしやすいかという点については疑問符がつきます。
空にはあのひこうき雲
リブレセン 劇団離風霊船
吉祥寺シアター(東京都)
2010/12/08 (水) ~ 2010/12/11 (土)公演終了
満足度★★★
さすがの安定感。ただし・・・
映画の撮影現場を舞台にしたドタバタ劇とほんの少しのミステリー。
こう書くと凡庸に聞こえてしまいそうですが、そこはこの劇団得意技の時事ネタスパイスで見事に乗り切り、まさに鉄板と言えます。
いつものことながら達者な役者さん達の技量に支えられて、本作品も安心して観ていられます。