YUBOの観てきた!クチコミ一覧

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ふりつけされたえんげき『君の知らない転び方』

ふりつけされたえんげき『君の知らない転び方』

ホナガヨウコ企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/02/16 (土) ~ 2013/02/25 (月)公演終了

満足度★★★

飾らない
凛として生きる、そのなんでもない佇まいがキレイだなと思いました。でも飾らない生き方はキレイ過ぎて自分の葛藤とは違うなぁと共感は少なかったです。動きの面白さ、ラストの盛り上がり、音楽、舞台美術、総合してダンスって良いなぁと思いました。

【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】

【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】

ロ字ック

サンモールスタジオ(東京都)

2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

悪循環
アクセル踏み抜いて爆走する自虐エンターテイメント。破壊力のある公演タイトルに負けない、ロックな作品でした。男の面倒くさくてだらしないのは見慣れているけれど、女のこじらせているのを見るのは新鮮でした。特に女性キャストの体を張った演技には、頭がさがりました。千秋楽まで怪我がないと良いなと思います。エロくてバイオレンスで、観客は物語を昇華させるためにももっと笑い飛ばすべきだなと思いました。そうでないと救われない。そう言う自分も、産む性と欲望の性の両方を引き受ける女性の生きざまに、色々考えさせられ、笑いどころであんまり笑えなかったのは残念でした。

ネタバレBOX

公演パンフレットの挨拶を読んで観劇後、これは観客に向けての激励の物語だなぁと強く実感しました。愛されたい、受け入れられたい、認められたい、けれどそうはならない現実と自分はどう折り合って生きていくのか。この作品を、単にエンタメ作品として笑い飛ばせる人はどれだけ幸せだろうと思います。実際、感傷にひたるひまも無い速さで物語が進行し、シーンのカットアウトも多いので、どうしようもない悲壮感に感情移入し過ぎることなくポップにライトに見えるのは見事です。でも登場人物はみんな最底辺で、自己肯定感のかけらもない、不幸と劣等感自慢のオンパレードで、最後まで救いも何もない。ネガティブな感情、その思いに牽引されて更に悪化する自分の境遇、そしてまたネガティブな感情へと頭の中はグルグル悪循環し続けて葛藤して悶絶する、そのリアルな若者の感情を、デフォルメして見せてくれたなと思いました。そのどうしようもない自虐っぷりに、あまりの自尊心の低さに、つい共感してしまう自分も弱い人間だと思います。

劇中の「ぐるぐる」という言葉には、「変わらないけど終わりもしない日常の連続」が意味されていると思います。それと同時にこの時代を生き抜いていくには決まった道しかない風景としても「ぐるぐる」が意図されていると思います。みんな生きるための道を山ノ手線のようにグルグル回って生きています。けれどその道からはずれてしまうと、人間らしく生きていけない現実があります。どうして、道を踏み外したら元に戻れないのか、または違う道はないのかといった思いには世の中の「ぐるぐる」は応えてくれません。そんな閉塞感のある「ぐるぐる」への反抗がメッセージとして込められているのかなと思いました。

とってつけたような前向きなメッセージや、ハッピーエンドが無くて好感が持てました。でも観る人によっては露悪的に感じるのかなと思いました。最底辺の人物しか出てこないので、別の立場からの視点がなく格差も救済もないですし。個人的にはそうした傷のなめあいから、もう一歩物語が深化するともっと自分好みだなと思いました。でもエンタメとしてはかなりレベルが高いなぁと思いました。
あくしゃもん

あくしゃもん

田上パル

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/02/06 (水) ~ 2013/02/13 (水)公演終了

満足度★★★★★

ヘンでいい!
あくしゃん達の愛らしさ、人間は変でいいじゃないかと思わせる良質のコメディでした。突拍子もないシチュエーションにクスクス笑いながら見入り、ラストでジーンとなってすごく幸せな気持ちになりました。ここまで勘違いするのっっっって展開も、見事にハモっている合唱も、個々のキャラクターの人間臭さもとても良かったです。以前に2人芝居の「タイトな車」も拝見していますが、登場人物が増えて格段に物語に厚みが増して、笑いも感動も深まった物語になったなぁと思いました。

ネタバレBOX

大地讃頌もモルダウも、これから聞くたびに「あくしゃもん」思い出しそうです。開場してすぐに入場出来たので、迷い続ける牧師とシスター達の風景と伏線が見れてお得な感じがしました。
Anamorphosis アナモルフォーシス

Anamorphosis アナモルフォーシス

青年団国際演劇交流プロジェクト

アトリエ春風舎(東京都)

2013/02/07 (木) ~ 2013/02/11 (月)公演終了

満足度★★★

世界初演!
まだ見た事がない世界の片鱗にそっと触れてみるような感動。すごく繊細で、物語らしい物語はないのに何が起こるかわからないので飽きずに見ていられました。世界で初めて上演される作品に触れる瞬間、この喜びは何にも変えがたい体験ですね。

ネタバレBOX

スタジオに集まる4人の女性は、未来が見える機械によって視覚的に世界を予見する。そしてその予見を再現するように作品は進行していく。

歌人の穂村弘の『呼吸する色の不思議を見ていたら「火よ」と貴方は教えてくれる』という短歌がある。まだ「火」というものを知らない人にとって、それは名づけられていない未知のものだ。劇中にもキャンプファイヤーの火に見入るシーンがある。火を初めて見た訳ではなくとも、何だか改めて見ると不思議な瞬間がある。グローワーム(発光生物)に見入る登場人物達はそれをジオラマの中に置いて、太古の生物の人形を操り過去の世界へと逆行するシーンもある。未来も過去も見えないんだけれど、そのまだ見たことのないものに触れてみる時の感動は素晴らしいだろうなと思うし、自分自身そんな体験をたくさんしたいなと思う。だから演劇を見るのかな、なんて思ったりしました。

でも頭でっかちにあれこれ考えるより、ただ頭を空っぽにして感じること。観劇の原点に立ち返って、ただ楽しむことを教えてくれるような作品でした。音と光のコントラストが気持ちよくて、ついウトウトしてしまう居心地の良さでもありました。
地下室

地下室

サンプル

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/01/24 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

閉じた世界
これは他人事ではなくて、誰しもに起こりうる悲しい風景だなと思いました。あまりにも自然に表現されているから、つい笑ってしまうシーンも多かったけれど本当は笑えないようなものすごい怖い風景が繰り広げられている。つながりたい、救われたいという切実な欲求から集まっているのに、どうしてより困窮しなければならないのか。暗鬱とした息苦しい世界が繰り広げられて、ゾッとしました。

ネタバレBOX

個人的に、ダークな役を演じる山内健司さんが見れて新鮮な感じがしました。下で他の方も触れられてますが、物語の終盤「いいかげん目を覚ませよ」投げかけられた言葉に「あんたこそ、目をつぶりなさいよ」と返答するシーンはガツンとやられました。
祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹~

祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹~

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/01/12 (土) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

壮大っっ
ダークファンタジーもこの位スケールが大きい見ていて気持ちいいなぁ、と浸りました。休憩込みで4時間半も全然平気な内容でした。さすが蜷川演出という感じ、重厚な雰囲気と見応えのある空間でワクワクしました。でも見れなかったKERA演出版の方が、人間くさくて面白かったのではと後悔しても遅いんだよなぁ。

演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地

シアタートラム(東京都)

2013/01/24 (木) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

この世代感
6人の俳優でどえらい世界を創ってしまったんじゃないか。自分が受けた衝撃があまりに大きくて観劇後の帰り道にボーっとしてしまった。でも頭からこの公演についての情報がひとかけらもこぼれないようにと必死で思い返して味わいました。ヒリヒリして息苦しい空間が刺激的で、哲学的に感情的に悶え悩む登場人物達に胸をうたれ、ラストまで興奮が持続し続けました。繰り広げられる普遍的な問いのレパートリーは幅広く、それに対する答えの片鱗は交錯して、「現代のわれわれの世代とは」について突き詰めて考えられてるなと感じました。でもその言葉1つ1つが新鮮さを引き立たせる演出、劇空間が美しくて、楽しくて、洗練されてるなぁと思いました。

ネタバレBOX

未消化で全然理解できてないけれど、とにかく強い衝撃を受けました。本当にこの世の中は発展しているのか。登場人物は皆、自己肯定感が歪んでいる。ありのままの自分を認めてもらえる体験が欠如しているようにみえます。それは、社会と個人が断絶している、国家とか政治システムにはもう希望や失望もしない、関心すらないという状態なのかと思います。実際、劇中には個人と個人の葛藤しかないように見えました。そして、その感覚はとてもリアルだなと思いました。自分で無くてもいいという交換可能性すら想起しました。

個人ごとの過去・現在・未来。もし人間(の記憶)がDisk(記録媒体)なんだとすると、過去を断絶して、未来に希望を持てないこの世代には今しかないんだと思いました。人生の1回性、楽しいことだけ繰り返す。今ある現実を引き伸ばして、自分の内側にこもって、未来のことは考えないようにすること(海外への放浪を続けることや、家に閉じこもって他者との関係を排すること)。劇中に「全てのことが他人事に感じる」男が自分の子供が生まれた事だけは自分の事に感じられること。叫びだしたい衝動。自分は何者にもなれないという全能感の喪失。一生懸命人とつながろうとするも人間関係に依存する妹と、関係を遮断して内にこもって死んだ女に依存する兄。その兄妹、両方の見せる孤独。肉体はオーストラリアでも、ニュージーランドでも、もしかしたら月にも行けるかもしれないのに、気持ちはどこへも行けないこと。
少女仮面

少女仮面

新宿梁山泊

芝居砦・満天星(東京都)

2013/01/18 (金) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

包まれる
劇場に飲み込まれるようにして見たアングラ劇。芝居砦満天星の雰囲気すごい。アパートの地下に劇場を作って、壁一面のチラシ・劇場は作りこまれた舞台美術・満員の観客。ただただ圧倒される。唐十郎の作品も初めてだし、ビクビクしながら観劇。でも、開演すると想像以上にわかりやすいし、周りのお客さんが結構笑ってるの感じて、そ~か~、この不条理さは笑っていいんだ、繰り広げられる世界に身を委ねて物語に包まれたらいいんだとわかると楽しい。独特の世界観、でも一瞬たりとも飽きさせることのない物語、驚きの場面転換や演出も多かった。1度見ると忘れられない観劇体験だなと思いました。

発表~いま、ここ。~

発表~いま、ここ。~

趣向ワカヌ

BAR COREDO(東京都)

2013/01/17 (木) ~ 2013/01/21 (月)公演終了

満足度★★★★

充実の発表会
正直に隠さずに上演される「いま」「ここ」での瞬間の短編4作発表。作演出のお2人共、自分の思いに誠実に、演劇を信じて作品を創ってるんだとビシビシ伝わってくる内容で刺激的でした。どの短編も、静かに、でも確実に心の痛い所を突かれました。

ネタバレBOX

最初のリーディング作品「いま、ここ」で、作演のお2人の「何故演劇を作るのか」について語られます。殴りたいとか、呪いたいとか、世界は安全ではないとか、物々しい宣言です。でもその独特な宣言を頼りに残り3つの作品を見ると、世界の見え方が変るような気がします。言葉のチョイスがとても新鮮で、力強いなと感じました。

その内、2本は真っ正面から「3・11」に向き合った作品。どちらも、個人的にはそんなこと言っちゃうの!?って衝撃を受けました。

「三月十一日の夜の話」2011年3月11日に東京中野ら辺にいた1人の女性の話を1人芝居で上演。当時のことをもう遠くなってしまったという感覚や、放射能や核の被害について警鐘を鳴らすような舞台作品(おそらく 非戦を願う演劇人の会「核・ヒバク・人間」の事なのでは?)を見て寝てしまい、正しいけど共感は少ないと思う感じ、よくわかる。少なくない人が思っている感情だと思う。と、同時になかなか口に出しては言えない現状があるので、初演が「3・11」からちょうど1年後だったとの事で、この作品で気持ち的に救われた人も多いのかなと思いました。もうすぐ2年経つ今でも色褪せない魅力だと思うし、演じていた斉藤さんもばっちりはまっていたので、アフタートークで当時の感情が薄れていく中で再演を重ねるのは難しいと思うと話が出ましたが、多くの人に見て欲しい作品だと思いました。個人的には放射能超怖えって思って現在進行形の問題意識でいるので、この短編作品に共感は少ないけれど理解は出来るなと思いました。

「いつかあなたはここにいて、わたしはいつもそこへいく」は、ライターの男が「3・11」後の福島で出会った女の話を記事にしようとする話。当事者と支援者と周囲の人には常に感情の差があって、わかりあえないし、それでもわかりたい、何かしたいと思うんだけれど、その溝が浮かび上がるような作品でした。被災された方を、記事でも、統計でもなく、個々の人間として尊重して、支援することの難しさがヒシヒシ伝わってきます。でも、葛藤を経てラストに3者3様に同じ言葉を伝えようとするシーンは本当に美しいと思いました。

アフタートークも1時間じっくりと話していただいて充実だったし、ダブルキャストのDULL-COLORED POPの女優さんお2人の回で見れて良かったです。
東京ノート

東京ノート

東京デスロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/01/10 (木) ~ 2013/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

斬新っっ
神の視点で見る東京ノート。鳥瞰的に世界を眺める新鮮な感覚。上演時間2時間半と長めだけど、魅せられて堪能。どうやって見ると体勢を楽に見れたのかな、立って見てる人もいて、なるほどと思いました。

ネタバレBOX

靴を脱いで劇場の中へ。一面フワフワのカーペット、劇場内に複数のカメラが設置され、開演前の劇場内の現在の様子や映像が、スクリーンに映し出される。スクリーンも複数設置されていてどの位置に座っても見えるようになっている。

ギリギリに着いたので劇場入ってすぐの空気清浄器が置いてある辺りで見ました。この位置だと、カメラを通さなくても、ほぼ全シーン台詞を喋る役者さん達が見れました。

スクリーンに映る映像は、恣意的に操作されて、決して見たい様には見えない。けれど代わりに、自分の座っている位置では見えない角度から劇風景が見えたり、目の前で役者さんが話していてもカメラを通して見ると別の見え方がする。無意識的で見ていても、俯瞰で劇を楽しむ空間になっていました。音楽もずーっと流れていて、役者さん達の演技や距離感も「青年団の東京ノート」と全然違って、その不自然さが登場人物の心や感情を体現してるように見えました。劇中に、スクリーンに英語の問いかけが幾つか映し出されますが、冒頭は具体的に自分や出演している役者さんに落とし込んで主観的に考えて見てましたが、ラストはもっと普遍的に人間(日本人)の営みに思いを馳せるような見え方がしました。スクリーンに9999と数字が並んだ時に、当然自分は生きていないんだけれど、当たり前のように9999年にも人が生きていて、同じような事を考えたり悩んだりしていて当然といった、それを当たり前だと感じるような個人を超越した神の視点がこの東京ノートに溢れているのかな、と思いました。そして2013年を生きる自分自身の当たり前の日常にもスポットライトが当たったような錯覚を覚えました。

観劇後にシアターガイド読みましたが、自分の感じた見方と違っていてなるほどと思いました。3・11の事は考えなかったなぁ。創り手の意図とは真逆に解釈して楽しんでしまったかもしれません。
グルリル

グルリル

sunday

パルテノン多摩【旧情報】(東京都)

2013/01/11 (金) ~ 2013/01/12 (土)公演終了

満足度★★★★★

キラキラした世界
ずーーーっと見ていたい、壮大な物語空間!!ものすごく期待して見に行って、それを上回る驚きと感動をもらいました。まだ1月上旬にも関わらず、2013年のマイベスト舞台なんじゃないかと思うほど見とれて、あぁ永遠に見てたいと思いました。10の世界が少しずつずれながら並行世界として表現される物語のスケールにはただただ圧倒されます。本当に10人で演じ分けているのかと思うほどのたくさんのキャラクターが登場しているのに、瞬間、瞬間で別のキャラクターに切り替わっているのが目に見えて分かり、徐々に世界同士の連関が見えてくるのが本当に楽しいです。そして、美術や音楽や照明と合間って、その瞬間、瞬間が美しい。この世界を体現出来る役者さん達は本当にすごいし、舞台でしか見れない至福の時間でした。もう、ただただ楽しかったです。しばらくはパンフレット見ながら余韻にひたります。

初雪の味

初雪の味

青☆組

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/12/28 (金) ~ 2013/01/06 (日)公演終了

満足度★★★★

特別な日
「会津編」観劇。愛しい100分の大晦日。描かれない364日がギュっと詰まった特別な時間と感情。一年が終わる大晦日は他の一日と同じ一日なのに、特別だなぁ。繰り広げられる物語は他愛ない日常なのに、年を重ねていく事の情感が込もっている。我々を取り囲む環境も、この肉体もこの瞬間も滅びていくのだけれど、この日常の一瞬一瞬はかけがえが無いなぁと思いました。

バナナ学園大大大大大卒業式

バナナ学園大大大大大卒業式

バナナ学園純情乙女組

王子小劇場(東京都)

2012/12/28 (金) ~ 2012/12/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

バナナらぶ
B列5番で観戦、たくさん役者さんに絡んでいただいて嬉しかった、でも客観視は出来なかった、解散だから。見て体感して大満足、でも最後だと思うと寂しい。同時多発パフォーマンス、爆音と映像、統制されたダンス&シャウト、オタ芸、降りしきる液体と小道具と食べ物、差し出される役者の手、見ることに集中させないような雑音と雑事、それらに思考停止して身を委ねるだけで楽しかった。過去公演でも使われていたテーマやモチーフや小道具が繰り返されるのは、二階堂さんが大事にしてるメッセージなのかなと推測して、その意図を必死に汲み取ろうとして、やっぱりうまくいかない体験は今回も新鮮だった。(もしくは解散公演ということで総集編的な意味合いでの構成だったのかな)高度に情報化された現実を、こんなに楽しく体感出来る空間なんてこの先無いだろうと思う。劇場中を独自世界に変えてしまうこの圧倒的な攻撃なコミュニケーションに、個人的にどれだけ救われたか。自分が世界に存在する意味なんて考えるだけでぼんやりしてしまうけれど、このバナナ観劇中は無条件に受け入れられてる錯覚を感じられた。だから、今回もつい手渡されたずぶぬれのわかめおにぎりも食べてしまったのだけど。何とかこの空間とこの瞬間と1ミリでも近くに肉薄したいと感じてしまうのだ。おはぎライブに底知れぬパワーをもらった人はたくさんいると思う。真冬にずぶぬれで全力で31日まで爆走する出演者の方達が最後まで体調を崩さずに駆け抜けられるよう祈りたい。もう1回、というか年末の年越しイベント行きたかったなぁ。残念。

「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/12/27 (木) ~ 2012/12/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

演劇ラブ
年の瀬にものすごいものが見れた!!まだ間に合う、千秋楽の見バラシ公演(これ、無料で見れるの?!)見れる方はうらやましいなぁ!!「マボロシ兄妹」は観念論的不条理劇で、もう何が現実で何が幻覚かわからなくなる、まさに脳みそぐんにゃり系物語。「ふたりマクベス」は直球過ぎる正統派古典劇で、でも新鮮な驚きとマクベス愛に溢れる物語。今の流行とか関係なく、やりたいことをやりきるという公演コンセプトが潔く、実際成功していると思いました。どちらも2人芝居なのにものすごい濃密で、刺激的で、洗練されていて、とても1ヶ月足らずで製作したとは思えない完成度だった。両方出てるあがささんの佇まいは凄まじい、ラブコール受けて出演するだけあるなぁ、妖艶な色気で稀有な存在感。こんな衝撃的で意欲的な作品を作演しながら、出演してもきっちり役者もこなせる男性2人には脱帽する。そしてそして、豪華な豪華なパンフレット。もう詰め込まれまくったパンフレット読むと、共感も感動も多くて、この公演の魅力がより深まり、あぁ演劇はまだまだ楽しくて驚きに溢れてるなと思いました。

虫

Q

アトリエ春風舎(東京都)

2012/12/20 (木) ~ 2012/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★

新鮮な驚きあふれる
この、つかみどころがなくて、何考えてるかわからなくて、突拍子もない非現実的な行動を取るかと思うと、すごいシビアで、寄る辺なく立っている感じが儚く危なっかしいのに、とてつもない生命感に満ちてもいる。何より、とてつもなく魅力的な存在感。これが女性かぁ、という新鮮な驚き。正直、他の方達の劇評を見て劇中の構成を理解した口なので、観劇後の素直な感想は「よくわかんないけどスゴイもの見たな」という感じ。映像と独白と踊るような動きの妙。言葉のセンスが秀逸。これを体現できる女優さん達すごすぎるっっ!

『サンタクロース会議』『サンタクロース会議 アダルト編』

『サンタクロース会議』『サンタクロース会議 アダルト編』

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/12/14 (金) ~ 2012/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごく近しい問題意識
子供参加型は子供も大人も楽しめる作品。もちろん演出の巧みに計算され尽くした自然さはありつつもコミカルなキャラクターや、わかりやすい笑いも多くて、青年団はこういう物語も作れるんだなぁと思いました。子供参加型もアダルト版も両方観劇しましたが、個人的好みとしては子供参加型です、サンタクロースについて精微に調べて書き上げた物語も、子供の感性には追いつかないんだなぁと思ったし、役者さんのタジタジ具合も、子供の生の反応も楽しい。でも可能な限りの現実に即したサンタクロース会議への反証をアダルト版で消化していて納得もさせられました。基本の物語は同じなのに、見え方の違う2バージョンを是非多くの人に満喫してほしいなと思いました。

見渡すかぎりの卑怯者

見渡すかぎりの卑怯者

ジェットラグ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2012/12/08 (土) ~ 2012/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

普通に(正しく)生きるとは
物語が動き出す中盤以降は、まさにタイトルに合ったテーマが語られ、ただただ圧倒、ただただ納得、ただし序盤は我慢が必要だったな、というのが個人的な感想です。僕は最後の台詞までオチがわからなかったので、序盤の一定の事実が伏せられたままの物語は疑問が多く素直に入っていけませんでした。観劇後の感想としてはテーマとエンタメ感が絶妙にうまい!でも共感の多いテーマで、とても豊かな演技で魅了された役者さんばかりだった公演だけに、作演の古川さんが敢えて一歩踏み込まずに留めているであろうテーマのその先が見たいなぁ、などと勝手に思ってしまいました。HPの室井さんや又吉さんとの対談も刺激的だったし、創り手の思いをもっともっと垣間見たかったなぁ。

ネタバレBOX

物語序盤に医師が口にするキチガイ、って言葉は便利だ。そう言って枠にはめて型通りのやり方ならば対応出来る。逆に言えば、枠にはめないと人の精神、脳の構造なんてわからない事だらけだ。劇中「富士山」を例に正常と異常の違いを説明した場所は非常にわかりやすいなと思った。人の正常と異常の境目のいかに曖昧なことか。

劇の中盤、登場人物の権田と坂東が客席を見ながら発される(それは登場人物の主観的には世間一般に向けての視線だが)「卑怯者」も、最初と最後で同じシーンが繰り返され、最初は敢えて無声でわからなかった台詞の正体が「卑怯者」であった構造も、そこには自分を取り巻く周囲への「承認願望」が露呈されてるなぁと思う。この2つのシーンには非常にゾッとされるし、驚きも大きい。まさに見せ場だなぁと思う。ただ踏み込んで欲しいなと思うのは。私自身の身近にも心療内科や精神科に掛かってる人はたくさんいて、今やメンタルヘルスは日常的だ。昔の精神科に掛かる奴は狂ってる、一家の恥、みたいな風潮に比べれば、明らかにメンタルヘルスへのハードルは下がってる。でも、偏見は依然としてあるし、何より薬に頼っても、カウンセリングで勇気付けられても、最終的に自分自身を克服するのは自分自身だということだ。物語の面白さとしての、誰が異常で、誰が正常かわからない構造はエンタメとして非常に長けているし楽しく見れたけれど、現実に大なり小なりメンタルで苦しんでいる人への救いにはならないだろうなぁと感じてそこは残念だと思いました。
図書館の自由に関する戦線 ~北の大地・クマ死闘編~

図書館の自由に関する戦線 ~北の大地・クマ死闘編~

ENBUゼミナール

シアター風姿花伝(東京都)

2012/12/11 (火) ~ 2012/12/12 (水)公演終了

満足度★★★★

図書館に熊っっ!!
「図書館の自由に関する宣言」を知っているか?色々なことを考えさせてくれる、充実の60分。ENBUゼミの在校生公演とのことで、演出の求める事と役者の技量とのギャップでフワフワした部分は目につくものの、物語の中身はすこぶる刺激的。作・演出の谷さん目当てに見に行って間違いなかったなと思いました。役者として生き残るのは大変厳しい世界だと思いますが、多くの方が末永く活躍されると良いなと思いました。

ネタバレBOX

まず何より 「図書館の自由に関する宣言」を初めて知り、驚きました。表現の自由と知る自由を守るために、社会的圧力に左右されること無く、いかなる差別もあってはならず、誰もが図書館利用に平等の権利を持っているのだという宣言。こんな確固たる理念を掲げて図書館は在るのだということ、劇中に要所で引用される言葉にとても勇気づけられました。

物語のあらすじを書こうとしましたがうまくいきません。本質は物語の筋よりも些細な会話の中にちりばめられているな、うまいなぁと思いました。北海道のとある図書館。巨額の税金を費やして、利便性の高い構造になっているが、利用者は少ない。館内の飲食の出来るカフェスペースに集まるのは、毎日新聞だけ読みに来るおじさん、喋ってばかりのうるさい女子高生、マックを食べ始めるOL、ギャルママ、おばさんホームレス。そこへ熊が入ってくる。逃げ惑う図書館の利用者の何人かは餌食になり、残された人達は生き残るためにどうするか知恵を絞り、やがて熊は射殺される。 勿論、大真面目に語るべきは熊とどう戦うか、熊からどう逃げるかが本質ではないので、そのバカバカしさを大いに楽しみました。1人死ぬたびに、「ヒグマをなめちゃいけない。」とつぶやくように説明台詞がなされるブラックユーモア、さすがだと思います。

この短い物語の中に、全国の図書館が利用者増に向けて色々な取り組みをしていること、図書館統廃合の厳しい現実、民間委託による司書の非正規化、更には山を切り開くことで熊が餌を求めて里まで降りて来るんだという指摘まで表現されます。もりだくさんのメッセージなのに、全体の雰囲気は非常にライトで笑いにあふれたドタバタ劇に見えるからすごい。熊が乱入してくるなんて有り得ない設定は不条理劇ですが、笑って笑って考えさせられます。

私達には憲法があって、25条生存権では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。これは別に衣食住に困らなければ良いってことじゃないと思います。ここで言われる「文化的」には、芸術や本によって精神的な充足を得る権利があるのではないか。そして権利は守られるものではなくて守らせるものだということです。物語の終盤に、人間の都合で作った図書館によって里に降りてきた熊を殺すのは気が咎めるが、かといって自分は死にたくないという状況で司書の1人(非正規)が、私が行くと立ち上がります。そして止めようとする上司(正職員で公務員)に「公務員風情に何がわかる!ライブラリアンとして図書館を守る責任がある」というような意味合いの啖呵を切ります。あぁ、これはまさしく権利を守らせるための戦いなんだなと実感しました。そして結局なりゆきのまま熊が射殺され、それぞれに熊が入って来る前とは違う関係性が生まれたラストシーンは何だかとても寂しく見えます。その寂しさは、日頃「どうせ頑張っても何も変わらない」と諦めさせられる現実と重なるからでしょうか。「私達はどんなに努力しても、理不尽な暴力(社会的圧力)に合うんだから無駄だ。」と諦めるのは悲しい。せめて自分のささやかな幸せ、図書館の自由くらいは守りたいなぁと思いました。
テロルとそのほか

テロルとそのほか

工場の出口

アトリエ春風舎(東京都)

2012/12/01 (土) ~ 2012/12/07 (金)公演終了

満足度★★★★★

いまを描く
2012年、いま現在を描き、日本社会への閉塞感を鋭く切り取る、闘ってる演劇だった。思考を共有化しようとする創作の動機が非常に刺激的だし、上演された内容もとても濃くてあっという間の二時間だった。なんというか、我々はもっと調べて学んで疑って、怒らないといけないんだなという内容だった。知れば知るほど、諦めさせられる、どうせ変わらないと思わされる現実だからこそだ。俳優に提出されたテーマに即し、2つずつ作品を書き下ろし、なおかつ1つにまとめる。この4つの全く異なるテーマが並列的に語られるが、個々のテーマ(作品)が面白いから全く飽きずに見れる。硬質で膨大な独白をきちんと伝える俳優も魅力的でした。1つの物語にまとめる事で対話が生まれ、問題意識への反証や発展が起こる。「わかりたいけどわかりあえないこと」、作品内でも葛藤しているし、この作品を創ってる制作者たちも葛藤されたのだと思う。そうして観ると一層味わい深い。声に出して読みたいような言葉の重さの1つ1つを観劇後に反芻しています。

お母さんの十八番

お母さんの十八番

アジア舞台芸術祭制作オフィス

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2012/12/01 (土) ~ 2012/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

日常が崩れる瞬間を
誰しもに起こりうる、当たり前な風景。でも情感あふれ、時にコミカルに、でも要所でものすごく激しく描かれる風景にとても共感しました。「母がいる」というあたりまえの日常が、突然無くなった時の感情。受け入れがたいその生々しさ。韓国の演出家の描く日本の物語ということで、言葉や国籍を超えて、人としての普遍的な感情を共有出きるんだな、という当たり前の発見を改めて感じて、ラストはジーンとしてしまいました。ロビートーク聞いてから観劇したので、見所も広がったように思いました。これを無料で見れるのだからありがたすぎる。

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