発表~いま、ここ。~ 公演情報 趣向ワカヌ「発表~いま、ここ。~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    充実の発表会
    正直に隠さずに上演される「いま」「ここ」での瞬間の短編4作発表。作演出のお2人共、自分の思いに誠実に、演劇を信じて作品を創ってるんだとビシビシ伝わってくる内容で刺激的でした。どの短編も、静かに、でも確実に心の痛い所を突かれました。

    ネタバレBOX

    最初のリーディング作品「いま、ここ」で、作演のお2人の「何故演劇を作るのか」について語られます。殴りたいとか、呪いたいとか、世界は安全ではないとか、物々しい宣言です。でもその独特な宣言を頼りに残り3つの作品を見ると、世界の見え方が変るような気がします。言葉のチョイスがとても新鮮で、力強いなと感じました。

    その内、2本は真っ正面から「3・11」に向き合った作品。どちらも、個人的にはそんなこと言っちゃうの!?って衝撃を受けました。

    「三月十一日の夜の話」2011年3月11日に東京中野ら辺にいた1人の女性の話を1人芝居で上演。当時のことをもう遠くなってしまったという感覚や、放射能や核の被害について警鐘を鳴らすような舞台作品(おそらく 非戦を願う演劇人の会「核・ヒバク・人間」の事なのでは?)を見て寝てしまい、正しいけど共感は少ないと思う感じ、よくわかる。少なくない人が思っている感情だと思う。と、同時になかなか口に出しては言えない現状があるので、初演が「3・11」からちょうど1年後だったとの事で、この作品で気持ち的に救われた人も多いのかなと思いました。もうすぐ2年経つ今でも色褪せない魅力だと思うし、演じていた斉藤さんもばっちりはまっていたので、アフタートークで当時の感情が薄れていく中で再演を重ねるのは難しいと思うと話が出ましたが、多くの人に見て欲しい作品だと思いました。個人的には放射能超怖えって思って現在進行形の問題意識でいるので、この短編作品に共感は少ないけれど理解は出来るなと思いました。

    「いつかあなたはここにいて、わたしはいつもそこへいく」は、ライターの男が「3・11」後の福島で出会った女の話を記事にしようとする話。当事者と支援者と周囲の人には常に感情の差があって、わかりあえないし、それでもわかりたい、何かしたいと思うんだけれど、その溝が浮かび上がるような作品でした。被災された方を、記事でも、統計でもなく、個々の人間として尊重して、支援することの難しさがヒシヒシ伝わってきます。でも、葛藤を経てラストに3者3様に同じ言葉を伝えようとするシーンは本当に美しいと思いました。

    アフタートークも1時間じっくりと話していただいて充実だったし、ダブルキャストのDULL-COLORED POPの女優さんお2人の回で見れて良かったです。

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    2013/01/20 23:21

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