満足度★★★
ちょっと切ない話でした。
ネタバレBOX
コロナのせいかそれ以外の理由のせいか、戒厳令が敷かれているような状況下で、ヒッチハイクの女性と知り合った女性が、一緒に旅をする、かつての新婚旅行を思い出す、母親との最後の旅行を思い出す、あるいはできなかった母親との旅行を想像するような感じのロードムービー。
男なんて所詮は黒子、役に立つときだけ利用する存在、結局は一人。
大して可笑しくもないのに笑う観客が何人もいて興醒めでした。
満足度★★★
タイムリーであり、日韓問題のようでした。
ネタバレBOX
大家が住んでいない下宿屋、今風に言うとシェアハウスと言うのでしょうか、そこを舞台に、ベトナム人居住者が近隣の畑から野菜を盗んだかどうかで農家の人とシェアハウスの住人たちが揉める話題を中心に、コロナ禍の中で生きづらい生活を送る人々の話。
子豚や果物がベトナム人グループによって盗まれた事件が発覚した昨今、物凄くタイムリーでした。
李下に冠を正さず、もし本当に自販機で買ったとしても袋にも入れず腕に抱えて帰ってきたら、そりゃあ疑われても仕方がありません。
それにしても、客観的に判断もせず、とにかく自分の側の人間については常に正しく、相手側の主張は間違っているとして全く受け付けない姿勢は嫌ですね。あの女性に対してけったくそ悪くなりました。
オカルト的な部分は全く必要ありません。けったくそ悪くなりました。いい加減、悪しき風習は忘れてください。
基本、けったくそ悪いは誉め言葉です。先程の身内をかばう女性のけったくそ悪さは、よくぞ私の気持ちをけったくそ悪くしてくれたなと感じ入った次第ですが、オカルトの方は本当に嫌いで気分悪いです。
満足度★★★★★
池亀三太氏の、社会性があって、ちょっと不思議なパラレルワールド的な作風が素晴らしく好きです。
ネタバレBOX
『世界も三角、土俵も三角』 施設で育ち既に独立して爆弾作りのアルバイトで生活している女性のアパートに、同じく施設出身者の後輩二人が居候しにやって来たつかの間の期間を描いた話。
『特殊になれなかった者たちへ』 そして、『世界も三角、土俵も三角』を書いた劇作家が孤独死した部屋を清掃する特殊清掃員の作業中の様子を描いた話。
特にコロナ禍の下、演劇関係者の苦労がしのばれます。猫好きだったのですね。
満足度★★★★★
もっと面白くなります。
ネタバレBOX
安曇野あたりの山間地域が舞台。そこに住む人たちがみんながみんなぼけ始めていると、会話や社会生活がその都度その都度何となく成立するという話。
客席に着くと、普通の茶の間には扇風機があり、蚊取り線香のブタがあり、夏と思われるのに庭の左右にある木には緑色がなく、タコノキの地上根が絡んだような感じで異界感がたっぷり漂っていました。そして始まってしばらくしてからみんながぼけていることが分かると、何が真実なのかさっぱり分からなくなり、作者の発想力の面白さに気付かされると、新しい藪の中のようで大いに楽しめました。農家の夫が認知症なのかどうかは一回観ただけでは分かりませんでした。
認知症は進行します。これからが大変です。
素人劇団のようなところがなければもっと面白くなると思います。役者の選択が大事です。
満足度★★★★★
時々観ると、確認できたり新しい発見があったりして楽しいです。
ネタバレBOX
おなじみの元マッチ売りの少女が訪ねて来る話。
典型的な詐欺の言い回しに慣れ親しんでいることから、市役所の方から来ましたかと思っていましたが市役所から来ましたでした。
戦後間もない頃のサラリーマンは、酔っ払ったときなどのノリでマッチ売りの少女からマッチを買ったことがある人って意外と多かったのでしょうか、何かそんな気がしてきました。
豪華なテーブルの代わりに使われていた折り畳み式の椅子付きテーブル、いいですね。
満足度★★★★
生きづらそうな現実を感じさせてくれました。
ネタバレBOX
4年前に死んだパートナーと、その後出会って別れた男のことを女が妄想する話。
平仮名のいきしたいから推察して死体遺棄の話かなとは思っていましたが、そうかと思わせておいて結局はそうではありませんでした。
満足度★★★★★
さすが30回目、いつもよりギャグが冴えていました。
ネタバレBOX
ギャグ漫画家が、幼少時に誘拐された時のことを誘拐犯から口止めされていたにも拘わらず、ホラー漫画にチャレンジするに当たってネタとして口にしたことから誘拐犯の知るところとなり、脅され、逃げる途中で生と死の間にある事故物件のような所に誘われていくという話。
幼少時に描いた漫画二題は面白かったです。
バックの音声に合わせてしゃべるシーンで嚙み噛みになるのは面白くて良いのですが、普通のシーンで噛むのだけは止めてほしいと思います。
満足度★★★
イケメンによる女性向けの顔見世興行に参加してしまいました。
ネタバレBOX
何者かが主催するゲームを通して、成功体験を思い出させ、自信を失くしたような青年たちを前向きにする話。
さて、この何者かとは誰かと考えるに、一億総活躍推進室とデジタル庁が一緒になった組織のように思えました。
虐められたことが社会の理不尽さを知る上で参考になったとして虐めに感謝するという考え方は受け入れられません。
満足度★★★
不条理劇
ネタバレBOX
夫が妻に暴力をふるったとある夫婦の、それぞれの実家の狂気じみた実態を描いた話。
二つの家族ともそれぞれの家族が共依存の関係で結び付き、それ故に隣近所から孤立してしまっていて社会性がなく、一人ひとりの狂気に駆られたかのような自分勝手な行動は全体として見るとまるで不条理劇を観ているようでした。
時代は異なりますが、狩りに興じているお父さんを見てトランプ大統領の支持層ってこんな感じの人たちなのかなと思いました。
年配の俳優、女優は、ベテランの割に声が斜め上から出ているような感じでした。
満足度★★★★
丁度いい感じの面白さでした。
ネタバレBOX
一重まぶたにコンプレックスを抱いている人たちのグループがあり、一重を生かしたバイトをしたり、強い意識を持ったりすることで克服しようとしてきたものの、結局のところリーダー的存在の人物が二重手術を受けちゃったという話。
困った事があると何かに執着することで自分の殻に閉じこもるという体質、しかもそれがブロッコリーを茹でる作業というところが面白く、掴みはOKでうした。一重の人は二重の人の半分しか見えていないというのは凄い発想です。
肉体的コンプレックスには様々なものがあり、色々なストーリーが考えられると思いますが、一重をテーマにしところが可愛らしく、下卑ず、良かったと思います。大声を怖がる人など、一人ないし二人いなくてもいいのではないかとは思いました。
満足度★★★★★
短いながらも中身の濃い見応えのある作品でした。
ネタバレBOX
高校の頃ひょうきんで役者志望の先輩男子に憧れ、自分も舞台に立ちたいと上京した女性が男の部屋にシェアして住むうちに、女性は営業活動に励んだ結果AV女優として輝いて行くのに対し、男は口ばっかりで積極的に売り込むわけでもなく、コロナの影響もあって役者の仕事は来ず、バイトとオナニーに埋没する日々を送るという話。
この時点では女性が勝ち組的でしたが、舞台女優としては制約があるだろうし、AV業界に行ったこと自体が正解だったかどうかは分かりません。
小劇場の役者は自己満足だけという台詞は刺さりました。コロナ感染の危険を犯してまでそんな人間に付き合う必要があるのかと思いました。観ることは育てることもこのご時世考えものです。
10年以上前ぐらいの舞台でオナニーシーンを見て、役者にはなれないなと思った記憶がありましたが、今回は正に目の前で、役者さんも大変だし、それを直視する女優さんも大変だと思いました。
コロナ感染に配慮してビニール膜で仕切られていましたが、声がやや聴きづらかったです。
満足度★★★★
『ここは出口ではない』観劇
ネタバレBOX
周囲が停電しているような不思議な夜に死んだ同級生の女性と家飲みをしながら恋人とオンライン飲み会をしている不条理劇。
ビールがなくて買いに行ったはずなのにコンビニが休みだったにも拘わらず戻ってからも冷蔵庫からいくらでも出てくる不思議さなどから全員死んでるのかなと思ったのですが、コンビニ前から拾ってきたサラリーマン含め飲み会が終わって部屋を出て行く様子を見て、これは『出口なし』ではないということが分かりました。
満足度★★★★
『とおくはちかい (reprise) 』観劇
ネタバレBOX
大学時代の友人が、卒業して5年後ぐらいに一回、さらに5年後の今回訪ねて来たという話。
たわいもない話を小声でぼそぼそしゃべる手法は、飛沫の恐れなど全く感じられず、コロナ禍にピッタリというべきお芝居でした。
尋ねられた方の男は、津波に巻き込まれたりして引っ越しなどする苦労は経験していたようですが、会社員として順調に成長していました。もう一人の男は社会人として波に乗れていないようでした。そんなことが垣間見られた話です。
満足度★★★★★
チャックを開けて徳を説く君
ネタバレBOX
結核で死んだ兄や自分を導いたマルクス思想家が、戦中に転向して軍国主義者になり、戦後はさらに転向して共産主義思想を偉そうに説き回るようになったことに憤りを覚え、殺そうとして何度も付け狙っていたところ、その男の惚れた女性に対するみっともないくらいの性的嗜好を何回となく見て、人間の表と裏、人間の普遍的な愚かしい本性を知るに至り、殺意が急速に萎んだという経験談を、ストリッパーが引退公演の後に客相手に独白する話。
つい先日のお芝居で生きるために転ぶのは已む無し、生きることが重要だと思ったばかりですが、いけしゃあしゃあと時流に乗って先生面されるのもこれはこれで腹が立ちます。
言動の説得力の低下につながる、あるいはそれも含めての人間ですから知られても構わないのかもしれませんが、やはり性的嗜好は知られたくありません。
この話では思想と性的嗜好で人間の表と裏を表現していましたが、セクハラは犯罪だということを社会に確立した人間が実はセクハラ好きだったという最近のソウル市長の事例は、もう一歩進んで人間の表側が何度もひっくり返る衝撃、人間の本質を問う芸術的衝撃を感じさせてくれました。
2時間に及ぶ一人芝居は大変だと思います。コロナ禍での演劇の在り方の一つだと思います。ただ、健康優良児的過ぎました。鈴木杏さんにもう少し下卑たいやらしさがあればと思いました。
満足度★★★
太宰が描かれていませんでした。
ネタバレBOX
太宰治が初めて上京した時に下宿で知り合った二人の学生、佐藤と山田との関わり合い、エピソードを、彼の死の直前まで描いた話。
12年前に観たときの記憶は全く残っていませんでした。
佐藤と山田の生き様を通じて、転向でもない、頓挫でもない、それでいいんだ、生きているだけで人間として合格なんだということは強く感じました。生きていれば希望が持てる、香港の人々の気持ちも分かります。
ですが、太宰が描かれていませんでした。入院していたシーンはありましたが、健全な金持ちのぼんぼんという感じでした。
お腹の皮がよじれるほどおかしいという井上ひさしさんのコピーがありましたが、全くそのようなことはありませんでした。人物伝の展開の仕方がワンパターンで、もう飽きた気がします。
満足度★★★
[Bチーム]観劇
ネタバレBOX
とある劇団がリモート会議を行い、戦隊物のお芝居をリモートで行うことを決め、練習して本番を迎えるという話。
練習と本番はかぶってしまい時間の無駄です。
あいうえお演劇というお稽古は、感嘆詞でやり過ごせるア行は少なくとも省くべきでした。そもそも即興が面白いものを生み出すとは思えません。
劇場上部から階段を伝って外部にまで続く太い送風管が、劇場のなみなみなる決意を表していました。
満足度★★★★★
男臭くて良かったです。
ネタバレBOX
1年前に事故で死んだ新人鳶職人、死なせたことを悔やむ兄貴分、癌を隠して従事する中堅職人、リーダーシップがあって親しまれる親方の話題を中心にして、東京タワー完成前日と当日の工事現場を描いた話。
最上部のアンテナが宙を舞いました。
満足度★★★★★
面白かったです。
ネタバレBOX
家族を愛し、発明家になることを夢見て生きて来た男が、お節介で理想を追求する実業家の息子から娘の出生の秘密や、そもそも男や男の父親が実業家の庇護のもとにあったことなどを教えられ、精神が錯乱し、娘に辛く当たったことで娘が自殺するという話で、まるで男の家の小屋の疑似自然の中で飼いならされ家畜化した野鴨のようだとする話。
分かり易い伏線がたくさん散らばっていました。
今年三作品目のイプセンでした。特許を取って一獲千金を狙うというのが今回の経済活動の一項目でした。当時は電話などの発明に啓発された人が多かったのでしょうね。
満足度★★★★★
いい話でした。
ネタバレBOX
女子校の研究授業で、走れメロスを題材にした創作劇を通して、自分たちに演劇を通じて元気づけてくれていたのに家庭の事情で授業に出なくなり、そして中退することになった生徒の到着を待つ話。
いい話でしたが、ちょっと高校演劇のテキストとして使ってほしいな的な匂いが感じられました。
武勇伝が流行った頃の作品だと思いますが、今となっては古過ぎです。
満足度★★★★
早い段階で何となく分かりました。
ネタバレBOX
ベーシックインカムの社会実験か何かで毎月8万円支給されて働かずに一つの施設に住んでいる人たちの話かと思ったら、彼らは臓器移植用に確保された人たちだったという話。
犯罪者の家族とか、行き場のない人間がここに来るしかなかったケースとクズ人間が安直に来たケースがあったようですが、いずれにせよ誰も臓器を取られることを知らなかったというのは不自然で、長期健康診断から帰った人が何か手術を受けたことを秘密にしているなんて、少なくともクズ人間ならあり得ないだろうと思いました。