満足度★★★
よくあるー話。
ありえねー話。
ネタバレBOX
眼球の移植を受けた女性が、眼球提供者が見た自分の殺された現場の記憶を受け継いだことによって、犯人が特定できたり犯人から狙われたりしながら、事件の背景が明らかになっていく話。
ドナーの記憶というよく有りそうな話をよくもまあ2時間に引き伸ばしたなという印象でした。
ただ、医師が勝手に目の玉を持ち込めるはずもなく、ありえねー話でもありました。
ベテラン男優さんたちは良く言えば全く緊張感のない力の抜けた演技でお芝居を楽しんでいる風、悪く言えばチャレンジ精神がもうなくなっているような感じでした。
満足度★★★★★
切ない!
とても素敵な時間でした。
ネタバレBOX
20歳の時の夢は卒業後留学したりして最終的にはトランペットの演奏家としてオーケストラに入ること、叶えることができなかった29歳が20歳に謝っていましたが、人生は思い通りに行かないことばかりということは分かっていて、謝る必要なんか無いのにやっぱり謝ってしまいます。切ないです。
ただ、学生時代に優秀で留学までした人がオーケストラ入りを諦め、目立たなかった人がオーケストラに入ったという話を聞くと、じゃあもし自分も続けていたら夢が叶っていたかもしれないと思って後悔してしまいます。分かります。
20歳の彼女と29歳の彼女がインタビューに答える形式でした。20歳の彼女は未来の夢を語り、29歳の彼女は21歳から28歳までの自分を引き連れての存在で、当時を思い出しながら語りました。
21歳から28歳までの全員が、29歳の彼女が学生時代に付き合っていた彼氏に会いに行くか気にするところが面白かったです。過去には戻れても未来には行けないタイプのタイムマシーンのようでした。
アフタートークで、この何となくロマンが成就するかもしれないという風な雰囲気は男目線による願望だという話がありましたが、確かにと思いつつ、胸キュンでこれはこれで良かったです。
20歳の夢と29歳の現実。しかし、29歳は30代以降のスタート地点です。29歳の彼女にはもっと夢を語ってほしかったと思います。20代の女優さんたちだけでディスカッションすると結局は29歳が最終地点になり、反省会になってしまうのでしょうか。稽古場に30代の人も入れてディスカッションしていたらまた違っていたのかもしれませんね。
ところで、女優さんさんたちは20歳から29歳の順に、上手から下手に半楕円形に座っていました。ほとんどの劇場の座席は下手側から1、2、3…と番号が付けられてれています。横書き自体左から右に書きます。やはり遡るというイメージがあるのでしょうか。もし並び方が逆だとどう印象が異なるのかなと考えながら観ていました。
満足度★★★★★
マジリアル
カッキー
ネタバレBOX
回転灯による表現だけですが、ラストのヘリコプターなんかミス・サイゴンよりもリアルでした。ああいう水筒なんだと装備面もリアル、撃つと薬莢(やっきょう)も飛び出しました。
敵か味方か、あっという間の形勢の逆転など緊迫感がありました。
大阪の言葉と東京の言葉には共通するような単語があって、そんなん絶対分かるやろという会話があるのに、東京と大阪ではお互いが通じ合わなくなっているという設定はユニークで面白かったです。
結局、東京軍は捕虜になった新米兵士を除いてそして誰もいなくなったですが、ヘリの到着でどうなりますやら。
ただ、リアルな展開の中でどうかなと思われることもありました。
宮崎敏行さんのウザキャラ振りにはいつも感心させられますが、ここには敵がいないはずという思い込みがあったとはいえ、戦闘の最前線で仕事をサボって無駄話をするようなことがあるのでしょうか。
いくら新米といえども訓練を受けている以上、兵士が持ち場を離れるようなことも考えにくいものでした。
この辺りは笑いを取ることを考えず、リアルに徹しても良かったのではないでしょうか。
また、たった一人の敵に味方の一人が人質に取られたことで、逆に全員が銃を置いて人質になったシーンは、日本ではそんなものかなあと思いながら、アルジェリアの石油プラント人質事件の対応とはあまりにも異なっていたため、臨機応変な対応が必要とはいえ一応マニュアルではどうなっているのかなと気になりました。
満足度★★★★
そこそこドタバタ
それぞれの思惑が交錯するコメディでありました。
ネタバレBOX
詐欺グループに狙われた地方の名家の話。ピンチを救ったのはなんと亡きお父さん、ああ幽霊物でした。
しかも、幼い子供は幽霊が見えて話せる、大人は家に伝わる何か木片のようなものを持っていると見えはしないが話せるという都合の良い設定でした。
ただ、終盤は幽霊役の役者さんが登場せずに、娘が空に向かって父親と話すという演出になり、そこは評価できました。
祟りのちじり毛といえば、コリッチに全く関心を示さない劇団ビタミン大使「ABC」ですが、セキュリティ木村さんはピッタリでした。
どうぞどうぞ的なコントを含むお笑い部分はもう少しキレがほしかったです。
満足度★★★★
夢の中のような
無機質さとおちゃらけさの混在した自分探しの旅。
ネタバレBOX
キャッツのような、ビールのCMの大人エレベーターのようなシーンもある良く分からない不思議な世界でしたが、漠然と家庭生活に充実感が持てなかった男が、大震災をきっかけにボランティアをすることで自分が変えられると考えて家を出たものの、なぜかふらふらと福井方面に行くなど自分探しの旅をしながら自問自答した結果、結局は劇的な変化が起こるわけでも無いことに思いが至り、普段の生活の中にこそ幸せがあることに気付き帰還する話…、ってとこなのかなあ。
自分を変えるには相応の活性化エネルギーが必要で、そう簡単なことではありませんね。
多重人格物は嫌いですが、色々な考えをする自分がいるというのはその通りだと思いました。
武生、福井、東尋坊の地名が出てきましたが、武生という地名はJRの駅名としては残っていますが、平成の大合併で武生市という名前自体は消えてしまいましたね。残念です。
ボアンボアンと音のする楽器がいい感じで、高音の綺麗な歌声も素敵でした。
満足度★★★★★
【A班】熱い思いがストレートに!
目立たがりやの高校生が巻き起こすドタバタおバカコメディかと思っていましたが全く違っていました。演劇に対する作者の熱い思いがストレートに伝わって来ました。
ネタバレBOX
演劇界を目指すことになった作者加納健詞さんの青春地元編という感じのすっごく真面目な自叙伝でした。
「学生服を脱がさないで」の台詞を無理に言わせてまでこだわるほどの題名でもなく、もう少し演劇的な題名にしてもいいのではとも思いましたが、ま、そこが作者の照れの現れなのでしょうか。
地元に伝わる竜神様に関したシナリオをコンペに提出したあたりにも真面目な性格が現れていました。
演劇部顧問の先生の話、「美大の同級生は200人、全学年で800人、その中で絵描きとして成功した者はゼロ人」、は重たい話でした。ゼロじゃ何を掛けてもゼロですもんね。それでも役者さんは存在しています。大人の常套句でもありました。
家族の優しさには涙しました。卒業後地元に帰る約束での進学は当然のことながら本人も父親も詭弁と分かっています。父親が改めて独白する必要は無いと思いました。
このようにイベントシーンが多く、ちょっと丁寧に描き過ぎた嫌いはありましたが、熱い思いを伝えようとすると削れなかったのかもしれません。
演劇部の部長さんは面白く、山ちゃんとしずちゃんのようで良かったです。
さあ次は青春日芸編ですか。
満足度★★★★★
ウンウン
ギャンブラーには切実な話だったようで、納得!
ネタバレBOX
エリー・スミスというチンケなギャンブラーは常宿のフロントマンであるヒューイ相手に小銭でイカサマギャンブルをし、ホラを吹いて、自信を付けてニューヨークの街に出掛けていたんだとさ。
ヒューイ亡き後、自信を付ける手段が無くなったため気弱になって街で負け続けていたので、口から出るのは愚痴ばかり。
ところが、とっつきにくいと思った新しいフロントマンのヒューズが大物ギャングでギャンブラーのアーノルド・ロススタインに憧れていることを知るや、ヒューズ相手にまたまたイカサマギャンブルをしたり、ホラを吹くことができるようになり、明日からまたギャンブラーとしてやっていけると確信しましたとさ。
1時間15分ほどの二人芝居の大半は、エリー・スミスがヒューイのことを延々と話すシーンに費やされましたが、ギャンブルには如何に自信が大切かということで、その理由が分かれば納得です。ま、何事についても言えるのかもしれませんが。
エリーの酔っぱらい振りは見物でした。
この翌年1929年は大恐慌の始まり、うら悲しいですね。
ところで、開演前に当時のアメリカ映画を床面に映し出し、雰囲気に浸ることができてとても良かったと思います。ただ、お芝居が始まってから説明のために映像を流したのはかえって邪魔だと思いました。しかも、コンピュータの関係か、映像が流れる前に左上部分に前触れの光が流れるのがうざったかったです。
満足度★★★★
一人では生きていけない
支えが必要、誰だったそうなのですね。
ネタバレBOX
知的障害者の二人の結婚式に小学校時代のクラスメートが誰も出席してくれないのは挑戦状のせい。招待状を挑戦状と書き間違えるというのはギャグとして昔からあるのでしょうか。以前、確かル・デコでも観たような記憶があります。
あの世でも上下関係厳しく仕事をしている…、この世の人たちを見ていてくれる…、特別に来てほしい時は煙を焚けば来てくれる…、この世の人には直接見えたりはしませんが、亡くなった家族があの世から来てくれて二人の結婚式がスムーズに行われるように尽力してくれました。
ただこれは、亡くなった家族に結婚式を見てほしいと願う無垢な二人がストーリーを作り作画した絵本の中の世界でした。しかし、実際もそうなのかもしれないと思わせる話でした。
書いていることが本当になるような、あるいは本当のことが見通せているようなストーリーは良くできているのですが、結局は幽霊物、しかも直接言葉にして発信できるという一番安直な憑依物でした。
もしあの世があんな風だとすると、自分を起点にして累々と連なったご先祖様たちがいる大家族制の許では落ち着いて過ごしてはいられませんね。
この二人はきっと絵本作家として大成し、親の心配をよそに親よりも稼げるくらいに自立することでしょう。そんな二人の演技は素晴らしかったです。
満足度★★
中途半端な
ストーリー、つかみの曲も大切だと思います。
ネタバレBOX
最初の町役場の男性の半音ずれた歌声にがっかりしました。何で最初から無理に普通のしゃべり言葉を平坦なつまらない曲に乗せて歌わせようとするのか、その発想そのものにもがっかりです。
最初の印象がずっと尾を引きます。全員で歌う楽曲などはメロディアスで素晴らしかっただけに残念です。
しかも、町役場の男性は二度と登場しませんでした。そんな役柄の人物が一発目の曲を歌うことへの疑問もありますが、港湾施設設計を依頼しておいてその後登場しないというのもどういうことって思います。
建築士にわざわざ記憶障害を設定した意義もよく分かりませんでした。幼少期に相浦(あいのうら)から手を引かれて出て行ったという設定でしたが、お母さんが地元でどういう人だったのかの話など全く無く、仕事を依頼するなら地元出身者がいいだろうというだけのようでした。それだって、随意契約が良いのか疑問です。
都会に出て行った青年が結婚後子供を残して交通事故で死んだという設定もなんだかなあという感じでした。
そもそも港が壊れた高潮についても、温暖化による異常気象なのかゴジラでも暴れたのか誰も考えもせず、ただ突然高潮があったというだけで、こうした様々なところに見られる無理やりさと中途半端さに、これが長田育恵さんの作品だとは信じられませんでした。
今回はキリッとしたイメージが必要な役柄ではありませんでしたが、石川裕梨さんは華があって素敵でした。
満足度★★★★
そこがメイン
嘘や隠していたことが暴露され、ある真相が明かされました。
ネタバレBOX
みんな多かれ少なかれ嘘を付いたり、聞かれない限り不都合なことは話さないものです。ドロドロしたいくつかの男女関係を描きながら、浮気で生まれたために他に引き取られた女性が、実の姉と適合したにも拘わらず財産狙いのために骨髄移植を拒絶して死なせたことで幽霊から責められる話。
という訳で、幽霊から責められる女性が主役だったのですが、途中まで美人でぶりっ子の女性が主役かと思っていました。
幽霊が人を刺せるのか、刺したのか、ナイフを手にしていたのか、していなかったのかさえ見逃しました。全員によるダンス的パフォーマンスの中で行われたため肝心のサスペンス部分が散慢になりました。
あの世に連れて行かれるのかと思いましたが、この世が地獄ということで無実の罪で服役することになるというオチでした。
出演された皆さんは若くて元気一杯で良かったです。階段の踊り場毎にも客席誘導のためにかわい子ちゃんが立っていたのには照れちゃいましたが、jr.の層の厚さようなものが感じられました。
満足度★★★★
起・承・小転・結
事件の進展、真剣に見入りました。
ネタバレBOX
大きく括ればイジメ問題から発展した事件、四人の被疑者、更には児童ポルノで捕まった若者も含めて事件が見事に繋がりました。
少しずつ事件が繋がっていく様は心地良かったのですが、ただ、事件解決の根幹をなす内なるコスモス(小宇宙)の会のシーンは、教祖の母親が登場するなりいきなりインチキを暴露して信者に謝罪するというあまりもあっけない内部崩壊の展開にガクッと拍子抜けしてしまいました。
刑事や弁護士の活躍など無くても事件は解決したやんと思いましたが、その後の生々しい過去の根性焼きの実態を語り合うシーンで再び引き締まりました。
ところで、コンクリート模様の背景は可動式で、牢屋になったり、壁になったり、文字を映したり、前後の境目になったりしてとても効果的でした。
満足度★★★★★
観て良かった!
蘭トムさんがいなくなってからなのでどうしようかなと思っていたのですが、とても素晴らしい出来でした。
ネタバレBOX
フェニックス・ライトに打ち負かされた検事マイルズ・エッジワースは傷心旅行中に乱気流に巻き込まれ、タイムスリップかはたまた気絶して見た夢の中なのか、1987年の世界に行き、裁判に勝つことだけに拘っていた弁護士のお父さんに、真実の追求こそが大切だという初心を思い起こさせ、弁護士事務所で働いていた結婚前のお母さんは少し気持ちが離れていたのですが、二人の距離をぐっと近づかせることに成功、自分の誕生も確信できてめでたしめでたし。そして、彼自身も勝ち負けではなく真実の扉を開けるために検事として生きていこうと決意する話。
クーデターが起こったゼングファ共和国から逃げてきた人たちが絡んだ事件は、思わぬ人が犯人でした。
カーテンコールのお約束、前回までは「異議あり!」だけだったと思うのですが、今回はマイルズ・エッジワースが主役なので「異議あり!」「ムムッ」でした。
さて、今回はまさかのタイムスリップで切り抜けましたが、次回はフェニックス・ライトをどうするのでしょうか。蘭トムさんに戻って来てほしいと切に願います。
満足度★★★★
若い人たちの劇団らしく、
みんながそれぞれ誰かのことを思い遣るという少し気恥ずかしくなるくらいの温かく前向きなストーリーでした。
ネタバレBOX
不治の病に冒された妹とその姉、砂漠の国境を巡って争いをしている二つの国の王子と王女、女にうつつを抜かし仕事の減った芸能人と取り巻き、さらにラクダと呼ばれる男や郵便屋が登場する、やたら膨らんだ話。
妹は死に、病気が治るなどのハッピーエンドではありませんでした。そう、厳しい現実もそれはそれで受け入れなければなりません。フムフムと思っていたら、ギャッ、砂漠の国です、可愛いミイラとなって復活しました。私などはテレビ番組「恐怖のミイラ」が怖くて怖くて仕方なかったですけどね。
満足度★★★
ちょっと甘かったかな
掴みはOKでした。
ネタバレBOX
一作目は、面接官の質問に対して学生はみんな同じような回答をするという皮肉から、更に一歩踏み込んで面接官も同じような質問しかできないという無能さを暴き出し、とても面白いスタートでした。
その後、二流会社は結局は滑り止めに過ぎないというありきたりな話になり、二作目、三作目もやっつけ仕事風に感じました。
満足度★★★★
テヘっ、分かラン
素舞台らしい素舞台だと思いました。
ネタバレBOX
時代によって本の読み方が変わる、確かにそう思いました。特にイランでは、1995年のテヘラン、1977年のテヘラン、2013年のテヘラン、体制の違いによってより顕著なのでしょう。
黒いチャドルの彼女たちを見て、何の違和感もなく、イランだったらそんなものだろうと思って観ていました。それが、現在はカラーのスカーフで髪の毛が見えてもいいとは…、驚きました。1995年のイランと現在のイランを混同してはいけないということです。
カラーのスカーフが許される国もあれば、許されない国もあるのでしょう。放送大学で高橋先生の番組を時々見ますが身につかないものです。ああ、イスラムを百葉一絡げで考えてはいけないとつくづく思いました。
自分の家族が変なセミナーに通いだしたら嫌だし、見守る男たちは複雑です。
彼女たちのほとんどは国外に脱出してしまい、ここに登場しない大多数のイラン国民の意向で少なくともスカーフはカラーになったわけだとすると、こいつらの果たした役割は何なんだ、テヘっ、よう分かランでした。
満足度★★★
ずっと
この人はきっとイケメン俳優なんだろうなと思いながら観ていました。
ネタバレBOX
まさか二日続けて江戸川乱歩が出てくるお芝居を観るとは、正直驚きました!
ただ、パンフレットに着物に袴姿の女学生風写真が載っていたので大正時代にでもタイムスリップするのかなとは予想していました。若干ネタバレになっていたように思います。
タイムスリップ物ではありませんでしたが、スクリーンから飛び出すパターンの先駆となったものの一つなのでしょうか。
キャラメルじゃないので仕方ないのかもしれませんが、女性が夢中になる人気俳優さんという設定と現実との違いには戸惑うばかりで、最後までギャップを埋めることはできませんでした。むしろ終盤に大受けした冬ソナをやった役者さんならイケメンで良かったのかもしれません。
芥川が指差したところは本来メイドがいたはずの場所、とは気付きませんでした。犯人はお前だとも言わずぼーっと指を指したので、犯人が分からず苦し紛れに誰も居ないところ、というか文さんの視線などは上手奥でしたが、そんなところにただ指を向けたのかと思いました。例えば、端から三番目ぐらいのところに一人分空けるとかの工夫があればと思いました。
満足度★★★★★
予算があると
パンフレットも厚紙になるのですね。
ネタバレBOX
開演前に舞台上のディスクの周りを延々とランニングを続ける兄。時間になっても合図が来ず、開演が押した場合の精神的苦痛は如何ばかりかとご同情申し上げました。
学生時代に死んだ恋人のことを引きずって精神的に病んで自殺した兄と、彼の周りの妹や友人たちの話。
ストイックな彼は欲望を押さえ込んでいます。画家である彼です。欲望がなければ絵は描けません。
妹の奔放さを見たり、恋人の普通の人さ加減を友人から聞いたりして、自分だけの女かと思っていたけれども、もしかしたら恋人ですら無かったのかもしれないということを認識するに至り、恋人を美化し過ぎた自分を呪い、押さえつけていた感情を爆発させ、自らの血で最後の絵を描き自殺したということでしょうか。
孤独死でもあり、業者が遺体や部屋を片付けたという話は、兄の心の軌跡とは何ら関係しないただただ現実の無常さを感じます。
始まってすぐに妹の裸の背中にdiskの文字を映し出したときは、妹の奔放さ、エロっぽさを際立たせるためのものか、凝ったことするなーと思いましたが、ラストシーンで兄の裸の背中にもdiskの文字を映したときには凝り過ぎ感はあるものの、素直にさすがだなと思いました。
満足度★★★★
コミカルで楽しく
エンディングも素敵でした。
ネタバレBOX
江戸川乱歩が、彼の妻に横恋慕する若者からトロイメライという睡眠中の夢に入り込んだりモニターで見ることのできる機械を使って妻の記憶を盗まれる話。
当時としてはちょっと最新式過ぎるかなとは思いましたが、チラシの物体はテレビだったんですね。
どうせ変装しているんだろうとか、アイデアを試しては失敗したとか、色々ツッコまれる乱歩でした。
どんな役でもこなす丹羽隆博さんですが、へなへなーっとなって崩れた顔はまさに二十面相でした。
ところで、エレベータガールの靴が脱げたのはご愛嬌として、酒屋のご用聞きが土足のまま書斎に上がったのはとても不快でした。上がる必要性は無く、お庭で騒げば済むことです。
開演前のイベント、怪人二十面相からの挑戦状で頂いた「エイレーネのくちづけ」は甘かったです。
満足度★★★
ふーむ
初めから謎など無いようで、何か腑に落ちませんでした。
ネタバレBOX
嘘つき日記の存在で謎めいたスタートではありましたが、結局は謎解きと称して過去の事件を順番になぞっただけのような感じでした。
36年前に刑事の前で執事が刺されたことは事件になっていなかったのでしょうか。そのときの調書にお嬢さんが毒を飲んだことも載っているはずですし、お嬢さんの件も詳細な調書が作成されているはずだと思うのですが。
歌に込められたメッセージについては、意味を説明した後にもう一度歌ったので何となく伝わりました。一回聴いただけでは、どうしてもメロディに気が取られ意味を把握することは難しいですからね。
満足度★★★★★
壮大な作り話
二度の休憩を入れて4時間20分、壮大なオペラを観終わったような感覚になりました。
ネタバレBOX
時は、ユダヤ人ではないのですが、ある民族が収容所送りされるくらいに迫害されている頃。人々の宗教は、ナチスの鉤十字を二つ、45度ずらして重ね合わせたマークで、キリスト教っぽいセペタ教。場所は、そういうことでヨーロッパ大陸と覚しき大陸沿いの島。
人殺しが許されているような権力者一家を中心に、様々な恋愛ドラマを描きながら、白痴だけど本当の超能力者が絡んで住民や町が衰退していく様子を描いた物語。
突拍子もなく三姉妹が石像になるなんて、全身も顔も真っ白く塗られた大勢の人が登場したオペラを思い出し、石像に殺されるドン・ジョヴァンニのようでもあり、全体としてもまさにオペラそのものでした。
超能力者の魔法で死んだ子供が見えるようになった夫婦は、今度は成長した見えない子供の家庭内暴力に苦しめられます。黄泉の国からは戻してはいけないという古典のようでもありました。
双子の妹が孫が死んだ後もネズミを食ってでも生に執着していたという逸話は物語の最後を象徴しています。この醜悪なシーンこそ描くべきだと思いました。
ただ、長時間とにかく暑かったのが苦痛でした。