とりあえず寝る女
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2010/04/02 (金) ~ 2010/04/06 (火)公演終了
満足度★★★★
台本に立脚する強さ
設定は、少々荒けずりなところもあり。
しかし、そんなものはシーンの魅力で帳消しに出来ていて、それは脚本の底力と言える。
ちょっと中だるみしたけれど、ラストに向かうにつれ、無駄な台詞がひとつもなく、むしろ一言一言が作品の強度につながっていったのはすごい体験だった。
軸となる女たちに、連なる男たちがかわいくも哀れ。
謝罪の罪
ペンギンプルペイルパイルズ
ザ・スズナリ(東京都)
2010/03/19 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★
濃密で堅実
きちんとした大人がつくった、きちんとした大人のための作品。
膝までつかりながらも溺れず、人間を描く。
人がいかに、いつも「自分だと思っている自分」をつくって鏡を覗いているかよくわかる。
覚えていることなんて、覚えていたいことだけなのよね。
スイングバイ
ままごと
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/03/15 (月) ~ 2010/03/28 (日)公演終了
満足度★★★★
すがすがしいポップ
つらさとか、真理とかをえぐるだけが、芝居じゃない。
それよりも、社会をつくっているだけで、ちゃんと大丈夫なんだよって
言ってもらえたような気がしたのが、ほんとにうれしかった。
システムとコンテンツのバランスから言えば『わが星』の奇跡と比べられるから、きっと分が悪いと思う。
でも本質はそこじゃなくて、きわめて個人的なテーマ選びから、いっきに普遍的な広がりに持って行ける大胆さと、伸びやかな清廉さだ。
いつまでも等身大のことばかり考えているわけにいかなくなった演劇に対して、柴さんはちゃんと彼なりに、アプローチしている。
ままごとという、虚構を虚構として認識し、その上で、現実との境界を再構築する遊びを、きちんと果たしている。
彼が、想像もできないくらいの大きさの時間や空間をおもちゃにして遊ぶとき、わたしたちは自分の相対的な小ささを認識する。
そしてわたしたちの悲しみや寂しさはちゃんとわたしたちのものとして返ってくるのだ。
わたしたちは無傷な別人であるのか?
チェルフィッチュ
横浜美術館レクチャーホール(神奈川県)
2010/03/01 (月) ~ 2010/03/10 (水)公演終了
満足度★★★★★
即興の意味
なんとなくわからないままでいた『即興』でやることの意味が
クリアになったのでとても発見的な体験だった。
切実さを排除しようとしているように見えて、実は岡田さんは
誰より、演劇の切実さを追っている。
叫んだり飛んだり走ったりするだけが切実なんじゃない。
いかにそれを想起させるか。
言葉、身体、から逃れられないわたしたち。を、こんなに強く感じる体験は他にない。
あたしちゃん、行く先を言って-太田省吾全テクストより-
地点
吉祥寺シアター(東京都)
2010/01/22 (金) ~ 2010/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇について考えつづける三浦さん
三浦さんの太田さんへの気持ちは、演劇への敬意と近いように思えて
かしこまった、よい気持ちになれた。
安部聡子さんの発声は、人格から切り離された感じがして
ご神託を告げる巫女みたいな雰囲気で観るひとを吸着する。
私が踊るとき
珍しいキノコ舞踊団
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/01/22 (金) ~ 2010/01/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
わたしたちは踊る
ひさしぶりに、ダンスを観てぼろぼろと涙が出た。
朝も昼も夜も山でも街でも、わたしたちは踊る!
紙吹雪散らして。両手を叩いて。死がわたしとダンスを分かつまで。
確信に満ちた、明るいステージでした。
ディズニーランドからキャラクタ性をまったく抜き去ると
珍しいキノコの雰囲気になる。うまく説明できないな。
ソコバケツノソコ
BATIK(黒田育世)
シアタートラム(東京都)
2010/01/15 (金) ~ 2010/01/17 (日)公演終了
満足度★★★★
くるみちゃん
飴屋さんのむすめさんの、くるみちゃん(2歳くらい)がいっしょに
出演していて、黒田さんの即興ダンスの横をぱたぱた走ったり
座り込んで砂遊びしたり、とにかく絵になるし、めちゃめちゃ可愛かった。
彼女の身体は、黒田さんという人格と肉体がしっかりくっついて
空っぽになって無心で即興を踊っていても、どっしりした安定感があった。
苦しそうだったり、エキセントリックだったりするときも
地に足がついているというか『生き物』というところがぶれない。
三月の5日間
オーストラ・マコンドー
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/01/07 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了
満足度★★★
渋谷
役者さんがみんなうまくて、単純に満足。
舞台全体としては、フォーカスが完全に"渋谷"だったなあ、という印象。
映像の風景から、舞台に描かれたスクランブル交差点(中央にベッド)。
渋谷を知らないひとにはどう伝わるんだろう。
でも、どんなバージョンよりオリジナルがいちばん新しい作品、というものの演出に挑む(=挑みたくなっちゃう)演出家のさがや、彼なりの切り取り方が
よく見えたので、おもしろかった。
ムートンにのって
むっちりみえっぱり
アトリエヘリコプター(東京都)
2010/02/04 (木) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
あったかそうな飾りつけ
飾られていた毛糸のボンボンが、かわいくて色もきれいで、とってもこのみ。
4年ぶりのむっちりみえっぱりは、「あたしたち真剣なんです」って言いつつ
どこかすかしたような魅力にあふれていて、すてき。
ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)
MU
OFF OFFシアター(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
初見でもぜひ
今回の観客のうち、『ゴージャスな雰囲気』と『めんどくさい人』(初演)を観たことがある方はどれくらいなのかなあ、と思いながら行きました。
というのも、わたしはいずれも初見だったからです。
でも、作り手にとって再発見であることが、受け手にとっては初体験であり
その位相の相違が作品の価値に影響するようなあまりよくない再演・リメイクもある中で、これはぜんぜんそんなことなかった。
旧作品との親和性を見出して楽しめるお客さんだけのものではないし、ほんとうに、この作品に触れるひとを増やしたいという、演出家の思いがわかった。
安易に、2010ver.とかにするんじゃなくて、過ぎ去りし90年代と
もはや急激に遠ざかってゆく00年代をきちんと意識していたのが、わかります。一度過ぎ去ったものにもう一度出会う瞬間って、最初の出会いより素敵だから。
配置と森
神村恵カンパニー
SuperDeluxe(東京都)
2009/12/22 (火) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★
物質になるダンサー
パフォーマは5人。(神村さん含む)
白い立方体を小道具として使う。
タイトルどおり、パフォーマも立方体も、配置と再配置を繰り返す。
だんだん、ひとと立方体の境界がゆらいできて
まるで分子の運動する様子を見ているような気持ちになる。
物質と身体の距離をぐいぐい縮めて、摩擦のない状態を持続するダンス。
慣性の法則にしたがい、どこまでも滑り、ぶつかればまっすぐ跳ね飛ぶ。
融解や沸騰、凝固を思わせるような関係を多重的につくり
ざわめく黒い森のような底知れ無さを醸し出す。
方法論の先にある思想がもっと透けるとよい、かもしれない。
スポーツ演劇「すこやか息子」
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2009/12/25 (金) ~ 2009/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★
健康というしあわせ
この劇団は、ひとの一生さえこんなにもポップにデフォルメしてしまう。
上演時間は40分。
2回ほど軽いストレッチのシーンがあっただけで、あとは全員ずっと
エアロビをしているのでまあそれぐらいがちょうどよいのでは、という時間。
流れるような家族の一生があざやかで涙腺がゆるみそうになる。
こんなにふざけた上演形態なのに。笑
勢いのあるパフォーマンスに、感情ごとさらわれてしまう。
「踊りにいくぜ!!」vol.10 川崎
JCDN
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)
2009/12/02 (水) ~ 2009/12/02 (水)公演終了
満足度★★★★★
◎
大橋可也&ダンサーズは、肉感あふれて(男女ふたりの世界だからかも)
つかまれる指の感触までリアルに迫るようなパフォーマンス。
福娘は祝祭の匂い。ソロの静謐さとはまた違った躍動感がたまらない。
3人で踊る意義深さを感じた。
ミリ・ビッテルリは、生活の中で自分(=ダンス)が受け入れられたときの
うれしさにこちらまでうれしくなるようなパフォーマンス。
でも、オーストリアの人、って感じ。
日本人はコンテンポラリーダンスにああいう明るいものは背負わせない。
室伏鴻さんの身体性はさすがの重厚さ。
若いからだに宿る未来ではなく
経験をつんだ身体の向こうに見える過去を思い起こさせるような踊り。
SHOW MUST GO ON
劇団ストロボライツ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2009/11/06 (金) ~ 2009/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★
ここからまた
ぜひ、新しいストロボライツが始まってほしい、と思った。
ここの主宰は、ほんとうに、演劇LOVEなんだと思う。
彼ほど「演劇」を選んでいる人は珍しい。
演出家の倫理ということについて考えさせられる芝居だった。笑
生きてるものか【新作】
五反田団
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/10/17 (土) ~ 2009/11/01 (日)公演終了
『ヘアカットさん』 / 『朝焼けサンセット(朝公演:朝食付き)』
岡崎藝術座
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
ドラマじゃない"演劇"
神里さんの繊細さと、彼の作品から客が感じうる疎外感は
同じものから発生しているように思います。
作家の孤独に寄り添うことは永遠にできないし、簡単にわかるとか言えないけれど、でも、簡単にわからないとも言っちゃだめな気がする。
神里さんの描く、"心の中の動き・風景"に、ぐっときてしまった。
深情さびつく回転儀
電動夏子安置システム
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
ロジック・マジック
映像化したら、深夜ドラマで半クール流せそうな設定。
ルーレットという、偶然性とギャンブル性の高い小道具が
マルチエンディングに説得力を持たせていた。
でも6パターンあるなら、リピータ割引はもっと安くしてくださると、うれしいかもしれません。笑
モロトフカクテル【公演終了、次回公演は来年4月@楽園】
タカハ劇団
座・高円寺1(東京都)
2009/10/15 (木) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
意義深い公演
1983年生まれの演出家が、このテーマで作品を書いた(しかも2年前に)
こと自体が意義深いことであり、称えたいと素直に思った。
劇場が広すぎたのは、致し方ないか。
ラストシーンがすばらしい。
わたしたちは抱えて生きていかなくてはならないのだ。
自分の弱さも、消せない悲しみも、あの人への憧れも、永遠の絶望も。
劇場HOPEこけら落とし『かもめ』
ノアノオモチャバコ
劇場HOPE(東京都)
2009/10/15 (木) ~ 2009/10/20 (火)公演終了
満足度★
うーん
群像のちからを信じられる、数少ない劇団ではある。
カタマリに対する演出は良くても、個々の役者の身体が完成されてないと思う。
素材のまますぎるというか、演出家の意志によって整えられた感じがない。
引きで見たときしか魅力的じゃなくて、だから古典向きの劇団なのかもしれないとは思うが。
て
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/09/25 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了