満足度★★★★
すがすがしいポップ
つらさとか、真理とかをえぐるだけが、芝居じゃない。
それよりも、社会をつくっているだけで、ちゃんと大丈夫なんだよって
言ってもらえたような気がしたのが、ほんとにうれしかった。
システムとコンテンツのバランスから言えば『わが星』の奇跡と比べられるから、きっと分が悪いと思う。
でも本質はそこじゃなくて、きわめて個人的なテーマ選びから、いっきに普遍的な広がりに持って行ける大胆さと、伸びやかな清廉さだ。
いつまでも等身大のことばかり考えているわけにいかなくなった演劇に対して、柴さんはちゃんと彼なりに、アプローチしている。
ままごとという、虚構を虚構として認識し、その上で、現実との境界を再構築する遊びを、きちんと果たしている。
彼が、想像もできないくらいの大きさの時間や空間をおもちゃにして遊ぶとき、わたしたちは自分の相対的な小ささを認識する。
そしてわたしたちの悲しみや寂しさはちゃんとわたしたちのものとして返ってくるのだ。
2010/03/29 22:48
2010/03/29 22:10
『わが星』は、音楽的にのれちゃう感じだったこともあったし
宇宙と生活という、あまりにスケールのちがうものを結びつけていたから
すごくすごく、ある意味でわかりやすく、評価されたんだと思います。
今回は、会社と生活という、すこし近いもの同士だったから
響き方はちょっと違ったかもしれませんね。
(お客さんも会社員のひと多いだろうし。実際わたしも)
本当は、経済活動だって第二の自然といわれるくらいだから、人間ひとりでは
どうしようもできないという意味で、宇宙と同じものなんですよね。