KAEの観てきた!クチコミ一覧

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眠りのともだち

眠りのともだち

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2008/02/27 (水) ~ 2008/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

イキウメ初見で、即ファンになりました
昔から、変な夢を観ることでは、人後に落ちない自信があるので、この作品、人事には思えず、見入りました。
サスペンスタッチでありながら、SF的でもあり、夫婦の愛憎劇でもあり、こんなにひとつの作品に、たくさんの魅力を加味できる、前川さんの才能に、一目で、熱狂的ファンになりました。
夫役の浜田さんも、素敵な役者さんで、小劇場にこんなにも愛着を感じることができる劇団が存在したことに、至福の喜びを感じました。

タン・ビエットの唄

タン・ビエットの唄

TSミュージカルファンデーション

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2008/02/10 (日) ~ 2008/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

畠中さんと駒田さん、そして土居さん、吉野さん
ストーリーもさることながら、キャステイングが、これ以上望みようもない程、素晴らしく適材適所で、終始、役者さん達の熱演に心を奪われ続け、見入りました。
土居さんの可憐な美しい歌声、畠中さんと吉野さんの、鬼気迫る掴み合いのシーン、駒田さんの思いを抑えた秀逸な演技…。
謝さんが、きちんと演出して下さるなら、TSミュージカルは今後何年も、素晴らしい舞台を世に送り出して下さると、確信が持てる、感動舞台でした。

人形の家

人形の家

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2008/09/05 (金) ~ 2008/09/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

「人形の家」の真髄に触れました
序幕から、デビット・ルボーの才能に打ちのめされ、あー「人形の家」って、こんなに面白いんだ!!とノックアウトを食らいました。
中学時代、演劇部で、いきなり大抜擢され、出演した時は、全くわけのわからなかった作品でしたが、これなら、時代にセンセーショナルを巻き起こしたわけだとひどく納得しました。
堤さんの影が薄くなるくらい、山崎さんと神野さんが、好演され、「人形の家」は、ノラと旦那さんの話が主と勘違いしていたことを痛感させられました。
最後に、宮沢さんのノラが颯爽と、家を出て行った後、この芝居を観た後に、絶対何人か、離婚を決意した熟年女性がいるのではと思いました。
イプセンが劇作の神様だと言われることが、心から頷ける傑作舞台でした。

幸せ最高ありがとうマジで!

幸せ最高ありがとうマジで!

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2008/10/21 (火) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

満足度★★★

やや作りすぎの感はあったけれど
本谷さんにしては、もう少し、ご自身にハードル高くして、パルコに挑んでほしかったのですが、永作さんは、年齢不詳の不思議な魅力があるし、昔から注目していた、前田亜季さんと、初見の近藤公園さんの絡み部分がとても良くて、お二人のバトル部分の方が、心を震撼させられました。
セットの転換が、なかなか気が効いていました。

ドロウジー・シャペロン

ドロウジー・シャペロン

ホリプロ

日生劇場(東京都)

2009/01/05 (月) ~ 2009/01/29 (木)公演終了

満足度★★★

意外と楽しめました
あまり期待していなかった分、意外と楽しく観られました。
トニー賞の授賞式で、このミュージカルのダイジェストシーンを観ていて、興味を持ったので、誰が出ようと行ってみるつもりでしたが、紀香さん、なかなか頑張っていました。こういうあまり深く考えないタイプのミュージカルなら、またご出演されてもいいのではと感じました。
ただ、亜門さんは、こういお気楽ミュージカルの演出には不向きな気がしました。
木の実ナナさんの存在感がピカイチでした。

アドルフに告ぐ

アドルフに告ぐ

Studio Life(スタジオライフ)

天王洲 銀河劇場(東京都)

2007/12/20 (木) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

スタジオライフ嫌いの方におススメ
山本芳樹さんのファンでいながら、いつもスタジオライフに行く時は、ひとつの勇気が必要です。ほとんど、客席が、芝居の中身でなく、役者さん目当てでいらしている方が大半の気がするので。いつでも、部外者感が尽きないのです。
でも、これは、勇気を振り絞って行った甲斐がありました。
原作が素晴らしい上に、倉田さんの演出もスピーデイで、その上、何と言っても、山本さんの好演が、舞台に深みを与えていました。
ボーイズ・ラブ物が苦手な、スタジオライフ食わず嫌いの方にこそ、是非ともおススメしたい作品でした。
再演していただけたら嬉しいのですが。

ONEOR8プロデュース「思い出トランプ」

ONEOR8プロデュース「思い出トランプ」

こどもの城 青山円形劇場/ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2008/10/10 (金) ~ 2008/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

これなら向田さん、合格点出しそう
昔、放送作家を目指していた頃、私にとっての3大作家のお一人だった向田さん。向田作品は映像も脚本も全部制覇したファンでしたから、正直、観に行くまではかなり不安でした。
何しろ、主演の田中麗奈さんは初舞台だし…。
でも、観始めたら、一挙にその不安は解消されました。
田村さんの一つの舞台で、何箇所もの多数のシーンを、マジックさながらの見せてしまうテクニックは素晴らしいし、田中さんは、とても初めての舞台とは思えない好演振りで、一気に田中麗奈さんファンになってしまうくらい、素敵な主演ぶりでした。
田村さん、原作のある舞台演出作品は、やはり今後も追いかけたいと思わされました。

ネタバレBOX

田中さんんもですが、根岸季恵さんの祖母が絶品でした。
終盤の田中さんの喪服姿、男性ファンにはたまらないのではと思いました。
同性の私でさえ、ドキドキとする、素敵な色香が漂っていました。
どん底

どん底

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2008/04/06 (日) ~ 2008/04/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

ケラさんの才能に気付かされた作品
「どん底」は、昔々、滝沢修さんの舞台を拝見したことがあり、もうとにかくひたすら暗いという印象しかなかったのですが、今回のケラ版を観て、あまりの面白さに面食らいました。
キャストも適材適所だし、生演奏などもあり、2幕の明るい外の風景にも目を奪われました。
こんな、若い人には見向きもされないだろう、新劇の古典を、若者向きに見事にアレンジした、ケラさんの天才肌の演出にただただ感服しました。
映像役者さんではダントツごひいきの江口さんの好演も嬉しくなりました。
ずっと以前から、江口さん、舞台でも活躍されたらと期待していましたから。
山崎一さんの演技が切なくて、涙が出ました。段田さんは、まさにはまり役。
こんな「どん底」なら、また見たくなると思いました。

きみがいた時間 ぼくのいく時間

きみがいた時間 ぼくのいく時間

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2008/02/28 (木) ~ 2008/04/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

上川さんだから、全てに納得が行く
久々にキャラメルに上川さんが戻って来たので、原作は全く知らずに、キャラメルの上川さん観たさに、劇場へ。
実は、キャラメルの女優さんの発声法が、どうにも生理的に耐えられず、しばらく遠ざかっていたのですが、これは観られて良かったと心底思いました。
最後のオチがわかっってしまうと、決定的な矛盾が頭をもたげたものの、そんあこと、どうでもいいと思える、上川さんの演技者としての表現力の素晴らしさに、ただただ感嘆し、感涙し、久々、ハンカチを絞るくらいに涙涙で、舞台が霞む程、感激しました。
年老いてからの、上川さんの演技が、言いようもない程秀逸で、やはり、2年に一度ぐらいは、キャラメルの舞台にも立って頂きたいと強く思いました。

ウーマン・イン・ホワイト

ウーマン・イン・ホワイト

ホリプロ

青山劇場(東京都)

2007/11/18 (日) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

全てに驚き
向こうでは。早々クローズしたと聞いていたので、あまり期待してはいなかったのですが、松本さんの演出が良かったのか、思いの外、素晴らしい舞台で、驚きました。
笹本さんが、実年齢よりかなり年上の役を好演され、別所さんの慈愛に満ちた画家役が、実に素敵で、思わず、涙を何度も流してしまいました。
メロディも綺麗!!
ミュージカルには珍しく、謎解きの楽しみもあり、拾い物の作品でした。
神田さやかさんも、舞台を重ねる度、素敵な女優さんに成長され、父方のお祖母様である、今は亡き旭輝子さんに見せて差し上げたい舞台でした。
是非、このメンバーでの再演をと期待しましたが、残念ながら、再演は、キャスト変更が多く、がっかりしたくなくて、観ませんでした。

トワイライツ

トワイライツ

モダンスイマーズ

吉祥寺シアター(東京都)

2009/02/19 (木) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鶴田さんの功績で、実感が湧いた
この手の芝居は、役者さんの存在感が希薄だと成り立ちにくいと思うのですが、この芝居は、とにかく客演の鶴田さんの功績大で、切なさがひしひしと胸に込み上げました。
少女時代の鶴田さんが特に、秀逸でした。
兄役の山本さんのまるで実際の人物のようなリアルな佇まいも、かなり、胸にこたえました。
モダンスイマーズの役者さんが、客演陣ともっと競い合うような演技形態だったら、より緊迫感漂う舞台空間が生まれた気がします。

IZO

IZO

劇団☆新感線

青山劇場(東京都)

2008/01/08 (火) ~ 2008/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

単純に素直に感激しました
青木豪さんは作家として才能ある方と知ってはいても、新感線書き下ろしにはやはり不安がありました。
森田剛さんも、若い時から得難い役者としての顔がありましたが、舞台だとどうかな?とか、期待より不安材料が多かったのですが、結論から言うと、何もかもが見事でした。
岡田以蔵と言うと、昔大河ドラマで見た、萩原健一が印象的でしたが、この芝居以降、私の中では以蔵は、森田剛さんになりました。
戸田恵梨香さんも良かったし、池田鉄洋さんの龍馬も良かった!
自分の信念を持てずに、どう生きてよいかわからず、次第に時代の流れに流されて行く若者の悲痛な叫びが哀れでなりませんでした。
明治座でやるような時代劇なら、絶対、通行人レベルの登場人物までも、一人残らず、人物に命を与えた青木豪さんの、役を愛する劇作姿勢に感服しました。
ラストシーンのマンサクの花の哀しいまでの美しさが、未だに目の奥に焼きついています。

円生と志ん生

円生と志ん生

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2007/11/14 (水) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

興味深くも面白い、上出来作
リアルタイムで、円生と志ん生の落語を聞いた記憶はないものの、このお二人には大変興味があり、行ってみました。
内容にはさして期待していなかったら、これがかなり面白くて、驚きました。
井上さんの作品て、こういう二人主人公のものって、当たりが多い気がします。
想像していた、二人の落語家としての人生ストーリーと言うよりは、彼らを狂言回しに据えた、戦中物語の様相でした。
落語ネタも愉快でしたが、それ以上におかしかったのが、4人のシスター登場シーン。脇で何役も助演された、女優陣が実力派揃いで、彼女達の演技を堪能できて、とても幸せな気分になれました。

ネタバレBOX

井上さんに、キリスト教養護施設での生活のご経験があるせいか、シスター達のキャラクターが、如何にもありそうで、何度も受けてしまいました。
3年に1回ぐらい再演希望の、お気に入り演目です。
ガールフレンズ(再演)

ガールフレンズ(再演)

ホイチョイ・プロダクションズ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2008/01/25 (金) ~ 2008/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

よくまとまっていて、ビックリ!
カタログミュージカルなのに、ストーリーと楽曲が良くマッチして、意外に、クオリティの高いミュージカル作品に仕上がっていて、驚きました。
堀内敬子さんの愛くるしい歌唱に、何度も目がウルウルしましたが、特に、「青いエアメール」は、個人的感傷も手伝って、号泣寸前。
やはり、ユーミンは、私の人生の最重要キーワード的シンガーだと、再認識。
池田有希子さんと堀内さんが、胸に沁みる歌唱と演技で魅了させて下さった分、脇を担当する、新人男優さん二人の演技が、あまりにも素人の域だったのが、とても残念でした。

12人のそりゃ恐ろしい日本人

12人のそりゃ恐ろしい日本人

劇団チャリT企画

OFF OFFシアター(東京都)

2009/03/03 (火) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

初チャリT企画でした
全然どんな芝居かも知らず、題名に引かれて観に行きました。
想像とは全く違う汚いアパートの1室だけの1幕ものだったので、ビックリ。
ところが、その1室だけの舞台が、いろいろ変容する様に、この劇団の底力を感じました。
最初に、コミックを笑って見ているシーンの演技があまり芳しくなかったので、心配になりましたが、大家さん役の女優さんの演技力が特に卓越していて、いつの間にか、この劇団の不思議な世界感にすっかり引き込まれていました。
途中まで、いろいろ考えさせる内容を含んだ笑いで、感心して観ていましたが、だんだん、ストーリーが、あらぬ方向に突き進み過ぎて、ちょっと前で抑えていたら、かなりの名作なのにと、やや残念な気もしました。

ネタバレBOX

日本昔ばなしにもよくあるような、お金が葉っぱに変わるシーンは、大家さん役の女優さんの好演もあり、その度笑ってしまうのですが、実は、何が本当か、真実が見えずに苦悩する主人公の気持ちを象徴していたし、ちょうどその時期に裁判が迫っていた、毒カレー事件の、見えない真実をも、観客に思考させる道具として、とても楢原さんのセンスを感じるシーンでした。
女子生徒の事件あたりまでは良かったのに、派遣村や、果ては、アルカイダまで、登場し、最後は、何だか学園祭の出し物めいた唐突な終わり方で、蛇足じみた飛躍があり過ぎて、とても残念でした。
でも、役者さんも個性があり、楢原さんの脚本、演出に並々ならぬ才能を感じ、一目で、お気に入り劇団になりました。
止まらずの国

止まらずの国

ガレキの太鼓

サンモールスタジオ(東京都)

2010/03/25 (木) ~ 2010/03/30 (火)公演終了

満足度★★★★

不思議体感体験の舞台でした
稽古場風景が想像し難い作品というべきでしょうか?
たとえば、昨日観た「相対的浮世絵」は、稽古場風景どころか、原稿用紙だか、PCだかの前に座る作者の執筆風景までが、目に浮かぶような芝居でしたが、この公演は、それとは、真逆で、目の前にいる人物達が、いきなり、その場で初めて口にする会話を小耳に挟んだかのようなリアルな感覚がありました。
でも、だからと言って、物語の人物に自分もなったような錯覚はせず、たとえるとしたら、たまたま観るともなく観ていたドキュメンタリー番組を結構興味深く最後まで観てしまったような、不思議な劇後感でした。
具体例を挙げるなら、「アイノリ」のカップルの成り行きを見守るような…。

舘そらみさんは、女優さんとして拝見したことはありますが、作演作は初めて拝見しました。脚本もさることながら、演出力が優れている方だなと感じました。とにかく、役者さん達の台詞が、全然フィクションぽくないんですもの。
セットも、音響も、大手プロダクション演劇も脅かす勢いで、こんな小劇場団体が存在するんだという事実に、とにかく驚愕しました。

ネタバレBOX

とくお組の舞台を拝見した時、この方の舞台はまた観たいと思った篠崎友さんが、身重の妻を日本に残して、ずっと外国旅行を続けている男を、リアルな佇まいで、好演されていた他、日本人旅行者と、韓国人旅行者を演じた全ての役者さんが、その旅経験の度合いまでをも、見事体現されていて、本当に感服しました。
どうしても、作り物めく、現地人役の登場人物は、最初の人物紹介部分だけの出演とし、後半の緊迫シーンには、登場しないのも、よりドキュメンタリータッチの芝居のリアル度を高めていました。
巧く、伏線になる会話を挟みながら、それを客に気取られないようにする技術も素晴らしく、舘さんの作家としての手腕にも感心しました。
ただ、終盤、サンがポコチンのお祝いだと今更気付くシーンがありましたが、お祝いの日を知らなかったならともかく、記憶の底にあったことなら、あの爆発音で、皆が花火かと言っていた時点で、気付いていたのが自然ではないかと、ちょっとそのことだけが、腑に落ちない点でした。
とても、リアルな若い旅行者のドキュメンタリー番組を楽しく拝見させて頂いたといった感覚で、誰かに甚く共感したりはできなかったので、☆は、5に近い4といった感じでしょうか。
相対的浮世絵

相対的浮世絵

キューブ

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/03/18 (木) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度

えっ、これが土田作品?
また、G2さんの脚本かしらと錯覚するぐらい、土田さん、どうなさったの?と思う作品でした。
土田さんは、説明台詞を廃す名手の筈なのに、この作品、とにかく説明台詞のオンパレードでした。
それに、袴田さんと安田さんの演じている役のキャラクターが、あまりに不誠実な人間描写で、実に不愉快に思いました。
役者さんは全員好演されているし、セットも照明もとても良かったのですが、どうも好感を持てない作品でした。
アイデアはいいけれど、何だか、命の吹き込まれていない脚本という印象で、大変残念でした。
西岡さん、今回の役には、哀愁があり、西岡さんの登場場面にはずいぶん気持ちが救われました。平岡祐太さん、初舞台でしょうか?だとしたら、素晴らしい!!平岡さんの舞台はまた拝見したくなりました。

完全な真空×BLACK BOX

完全な真空×BLACK BOX

演劇ユニットG.com

テアトルBONBON(東京都)

2010/03/24 (水) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

期せずして傑作舞台に出会う
そもそも、この公演を観ようという決め手になったのは、チラシの吉田さんと佐藤さんの、2編の主役の眼光に引かれてでした。
吉田朋弘さんは、大学の卒業公演、「ブンナよ、木から下りて来い」の素晴らしい主演振りを拝見した時から、注目していた役者さんですが、この間の青年座の公演と言い、今回と言い、本当に、若いに似ず、完成された演技表現力があり、まずは、そのことに感嘆しました。
そして、浮浪者のお爺さん役がまた素晴らしく、誰だろうと思っていたら、若い頃から、記憶に残る役者さんだった、志村史人さんでした。
2部にご出演の役者さんは、たぶん初めて拝見する方ばかりでしたが、こちらもまた、抜群のキャスト構成。特に、主役の佐藤晃子さんと変な男役の菊池豪さんの好演振りが光りました。
不条理劇テイストの人間哲学劇の趣の2作。脚本、演出、照明、音響、美術と、何を取っても、ハイクオリテイな舞台で、大して期待していなかった分、余計に、思わぬ、好舞台を拝見できて、大満足でした。
三浦剛さんの作劇スタイルも気に入りました。
次回も、是非拝見したいと思いました。

罪~ある温泉旅館の一夜~【作・演出 蓬莱竜太】

罪~ある温泉旅館の一夜~【作・演出 蓬莱竜太】

アル☆カンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2010/03/18 (木) ~ 2010/03/24 (水)公演終了

満足度★★★★★

家族という名のジグソーパズル
外に書く蓬莱作品にハズレなしの予感的中。申し分のない秀逸舞台でした。
特異な家族の物語ではなく、家族構成員の一人である、人間なら、誰でも、思い当たるシチュエーション芝居に、何度も、琴線を揺さぶられ、胸に覚えあるような台詞や場面に遭遇し、まるで、この家族の一員であるかのような錯覚すら覚えました。
この家族の過去のある出来事に起因する、各人の思いが露呈される過程が、実に秀逸にして、精密な舞台構成で、各人の台詞の間が、実に絶妙。押し黙った人間の心の声まで、、聞こえる的確な間の取り方に、プロの役者さんの力量を感じさせられました。SPACE雑遊は、今日が楽でしたが、まだアルテリオ小劇場の公演があるので、お時間のある方には、是非にもご覧頂きたい、☆5つでは足りない舞台、今年4作目の傑作でした。

ネタバレBOX

木製の道具だけで作られたシンプルな舞台設定。きっと、木は、家の象徴なのでしょう。久しぶりの家族揃っての温泉旅行。その旅行の意味合いも、各人の捉え方は、自分本位。
ある出来事に関する、自分の思いをそれぞれ、誰にも明かさず、その話題を避けて過ごして来た、4人の家族が、早々と布団が引かれた部屋で、特に、会話の糸口もなく、見始めたテレビ。そのテレビが突然故障したことから、今まで遠ざけて来た話題に誰ともなく、導かれて行く。その自然な過程描写が、本当にドキュメンタリーでも観るように、自然で、きっと、誰でもが思い当たるシーンや台詞にドキッとさせられたのではと思います。
息子の知的障害の原因に、家族それぞれが、罪の意識を感じていて、そのことを実際告白するシーンと、誰か一人の心の中のイメージシーンとの違いを、照明や雨音などで、巧みに差異表現する術が優れていて、余計、各人の思いが、我が事のように胸に沁みました。
妻と娘の思いが語られ後、これで、夫の罪意識の理由までが具体的に語られたら、一気に作り物めくなと危惧したら、そんな蛇足台詞はなく、それがまたこの芝居の格上げをしました。
後半に、こういうラストではと予測した通りの、秀逸なるラストシーンに大納得。妻が、売店で何気なく買って来たジグソーパズルが、この家族の姿を見事に象徴していました。皆が、思いを吐き出した後に、パッと付くテレビという設定も、蓬莱さんの作劇の妙を感じさせ、粋な演出でした。
ただ、一つだけ、気になったのは、息子の障害の様子が、自閉症か、アスペルガー症候群的に見えたのですが、この二つはどちらも、後天的な病気ではなく、また、高熱による脳障害だとしたら、生後間もなくの高熱以外では、こういった障害にはならないのではと思ったことでした。
蓬莱さんは、「まほろば」の時も、閉経後の女性心理をイメージで捉えられていたことがあるので、この息子の障害の設定も、もしや思い込みだけで書かれたのではと、ちょっと気になりました。
薔薇とサムライ

薔薇とサムライ

劇団☆新感線

赤坂ACTシアター(東京都)

2010/03/16 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

極めつけのサービス精神に溢れる舞台
いつも思うことながら、お客さんを楽しませることにかけては、新感線の右に出るモノはいないんじゃないかな。
本当に、サービス精神が卓越している!!
カーテンコールでの、客席の喜び様を見るだけでも、幸せな気持ちになれました。
宝塚現役時代の天海さんを生で観たことはありませんが、当時のファンが観たら、泣いて喜びそうな衣装やシーンや振付がふんだんにあり、もうそれだけでも、胸ワクワクします。
客演陣皆、適材適所の好配役で、文句なく楽しめました。
浦井さんも、「ダンスオウ゛ウ゛ァンパイア」以来のはまり役で、何とも愛すべきキャラの王子を好演していて、ファンとして嬉しい限りでした。
山本太郎さんが、カーテンコールまで、そうと気付かず、歌もお上手だし、役者さんとして、見直しました。
新感線は、たとえどんなベテラン俳優や人気タレントを連れて来ても、皆が一丸となって、舞台を楽しく創り上げる業が、群を抜いています。
料金の高さを感じさせない、数少ない劇団だと、観る度思います。
客演も劇団員も、共に最高のステージでした。

ネタバレBOX

神田沙也加さんに、お母さんの聖子さん風の歌を歌わせたり、天海さんに、オスカルやジャンヌ・ダルクを連想させるようなコスチュームを着せたり、浦井君は殺陣をしながら熱唱したりと、とにかくファンサービス満載の舞台。
高田聖子さんの、驚きの死に様や、じゅんさんの名エンタティナーぶりにもただもう感服するばかり。
天海さん、素敵だし、古田さん、活舌良かったし、森奈さんの潔い演技も大ウケで、ホントに何もかも楽しい舞台でした。
帰宅して、もう大分経つのに、まだ楽しさの余韻に浸っています。

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