テーブルに十三人
劇団NLT
博品館劇場(東京都)
2010/10/27 (水) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★
演出が稚拙で、よりつまらなくしている
最近のNLTは残念ながら、不発が多いとまた感じてしまいました。
せっかく、キャスト陣はベテランが揃っているのに、このつまらなさはどうしたことでしょう??
シチュエーションが単純過ぎて、人物造型に深みも工夫も足りない作品なのに、その上、演出がお粗末で、これでは、コメデイとしての要素が欠落し過ぎでした。
いつまでも、木村さん達ベテラン俳優さんの演技力にのみ頼っていては、良い舞台は生まれ得ない気がするのですが…。
激流としるし
play unit-fullfull
調布市せんがわ劇場(東京都)
2010/10/21 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
観る度進化する劇団で、益々ファンに
これはもう、恐れ入りました。
まるで、ニールサイモン的、海外秀作舞台の味わいがありました。
ストーリーの構成がしっかりしていて、どの登場人物のキャラクターにも、作者の愛情の行き渡った平等性を感じます。
どんな脇役にも、その人の日常がきちんと表出されていて、この脚本なら、役者さんも、自分の役に愛を持って、演じることができるだろうと感じました。
コメディ色もありつつ、こんなに嘘のない人間表現ができる作家はあまりいないのではないかと思います。
以前から大ファンの大西さんのはっちゃけた演技は、思わず手を叩きたくなるほどの名演技で、大いに笑わせられました。
初めて拝見した、小山待子さんも、綺麗な美少女のオーラに満ちて、一目でファンに…。劇団員の遠藤さん、加瀬役の堀さんも、味のある演技で、素晴らしかった!!
この戯曲、他の劇団の番外とかでも是非取り上げて上演してほしくなりました。
ワンダフルタウン
梅田芸術劇場
青山劇場(東京都)
2010/10/23 (土) ~ 2010/11/04 (木)公演終了
満足度★★★
ショーとしては楽しいけれど
やはり、どうしても内容が、良くも悪くも、古き良きブロードウェイ・ミュージカルそのものなので、この料金に見合う公演かと聞かれたら、否という答えの方が近いかもしれません。
でも、歌唱力のある出演者ばかりで、キャストにご贔屓がいるのなら、きっと文句なく楽しめるステージだと思います。
大和田美帆さんが、またしても、ミュージカル女優として、更なる進化を遂げていて、本当に驚愕してしまいました。
大和田さんファンには必見舞台間違いなしです。
Diana
TSミュージカルファンデーション
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★★
観客席が皆ウルウルしていました
TSのオリジナル・ミュージカル、最近やや不調だし、姿月さん出演の過去のオリジナル舞台にも、あまり佳作が見当たらなかったので、実は、大変恐る恐る足を運びましたが…。
結果的には、かなり満足できる、素敵なストーリーと楽曲で、客席の、湖月、姿月両ファンの方々と、同じく、目をウルウルさせてしまう自分がいました。
ロビーに、作者の篠原さんがいらしたので、「良かったですよー!」と、成功を祝して、握手して来ました。
あまり良作でなかったら、作者には声を掛けずに立ち去ろうと思っていたので、そういう台詞が言える作品で、本当に安堵しました。
グロリア
ハイリンド×サスペンデッズ
「劇」小劇場(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
良作に芸達者揃いで、見応えあり
多忙で観に行けないかと思いつつ、どうしても早船作品は外せないと、無理して行った甲斐がありました。
ハイリンドは初見でしたが、サスペンデッズの役者さんも含め、皆さん、驚く程芸達者ばかり。
現代の日本と、戦時中の日本とアメリカ。時や場所が変わり、役者さん達も何役も兼ねながら、そのどの役にも命を吹き込んだ演技がお見事でした。
何しろ、早船さんの作品には、他作家にはない独自性があり、きちんとご自身で生み出された作品を観る安心感が、観劇好きの心を芳醇に満たして下さいました。
観劇できたことに、心から感謝します。
Pal Joey
東京グローブ座
青山劇場(東京都)
2010/10/02 (土) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
ショー・ミュージカルの王道舞台を堪能
久々、全てのパーツの揃った、心底満足感に浸れる、素敵なショー・ミュージカルの傑作舞台に出会えて、ハッピーでした。
キャステイング抜群!舞台構成、おしゃれ!やはり、日本版「RENT]初演を大成功させた、ショー・ミュージカルの演出の達人、吉川徹さんの手になるだけのことは、ありました。
特にファンというわけではないけれど、坂本さんの主演ミュージカルは結構欠かさず観ていますが、ステージの度に、メキメキと、ミュージカルスターとしての実力が増し、本当に、感嘆するばかりでした。
最近バラエティ番組の出演が増え、古くからのファンとして、女優としての先行きにやや不安を感じていた高畑さんも、やはり、名女優の貫禄を見せて下さり、安堵感でいっぱいになりました。
それに、存じ上げなかった、桜乃彩音さんの、可憐で、初々しい演技と美しい歌声…。
友人が大ファンだった彩吹さんの舞台は、初見でしたが、抜群の歌唱力に、友人が惹かれたことに大納得。まだ男役の雰囲気が抜けず、女性のセクシーさにはやや欠けるものの、素敵なショー・ガール振りに、大いに好感が持てました。
その他、クラブで働く全てのシンガーやダンサーにも、それぞれ、存在感があり、主演から脇役まで、一体となって、虚構のクラブの雰囲気をリアルに思わせてくれて、皆さんのプロの仕事振りを、観客として、心行くまで堪能することができました。
舞台上にいる、演奏者までが、出演者のかもし出す空気感に溶け合っていて、観ていて、邪魔にならなかったのも、素晴らしい舞台効果の一つでした。
最後は、心から、スタンディング、惜しみない拍手を送れて、この舞台に関わった全てのキャスト・スタッフにお礼を言いたい気持ちになりました。
エリザベート
東宝
帝国劇場(東京都)
2010/08/09 (月) ~ 2010/10/30 (土)公演終了
満足度★★★★
石丸トート、やや意外な歌いっぷり
今日は、先日、見逃したリベンジで、石丸トート初見でした。
意外!!正統派の歌い方かと思いきや、何だか独特の節回しで、力業のトートでした。ちょっと、演歌チックな、こぶしを回したような歌い方なので、好みは分かれそう。
トイレ待ちの列からも、「城田君の方がいい」などという、関西弁のお客様の意見多数…。
たぶん、宝塚ファンの方には、ビジュアル的にも、城田トートに軍配が上がる公算大な気がしました。
杜けあきさんのゾフィーには、厳格そのものの寿ゾフィーに比べ、やや優しさの滲む母の心情が見えました。
浦井ルドルフと、石川皇帝の父子の確執場面は、今日も一段と見応え、聴き応えがあり、一緒に観た長男も、感心していました。
瀬名エリザベートは、先週より、深みが増して、今日はルドルフの母としての顔も、真実味が増して、これならと、納得ができました。
『三姉妹の罠』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
テアトルBONBON(東京都)
2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★
好感持てる罠に安堵しました
この頃、何故か観に行く芝居、どれもこれも、誰が敵か味方か混沌とした、あまり気分の良くない作品にばかり遭遇していたので、まさか8割世界までも、そんな後味の良くない罠を仕掛ける作品だったらどうしようかと、内心かなり恐る恐る劇場に向かいましたが、そんなことは杞憂に過ぎず、いつもながらのこの劇団らしいカラーで、ひとまずほっと胸を撫で下ろしました。
いつも、導入部分が、やや冗長に感じられるのは、今回も例外ではありませんでしたが、それでも、楽日は、2度目だったせいもあり、楽しく観劇できました。
この劇団、何が好きかって、普通のシチュエーションコメディにとかくありがちな、浮気現場が伴侶や恋人にばれそうになって、ドタバタ的な、誰もが心から笑えないような内容のネタが一切ないところです。
だから、舞台が終わる頃には、登場人物全員に何か好意的愛着が湧いてしまうのです。
いろいろ、作者の無茶振りもあるにはあったけれど、この、他にはあまりない、老若男女に受け容れられる、気持ちの良いお笑いネタが効を奏し、今回も、万人受けする楽しいコメディに仕上がっていたと思います。
エリザベート
東宝
帝国劇場(東京都)
2010/08/09 (月) ~ 2010/10/30 (土)公演終了
満足度★★★
流れ作業的展開がやや気になるものの
浦井ルドルフが、更に新境地を開いていて、感嘆してしまいました。
城田トートは、見目麗しく、まるで、テレビゲームのヒーローさながらの雰囲気で、見た目と歌唱は申し分ないものの、やはり、まだ人生の年輪が足りないせいか、酸いも甘いも噛分けた、死神の人間離れした得体の知れなさや狡猾さには欠ける気がしました。10年後が大変楽しみなトートでした。
瀬奈シシーは、若い時の可憐さは良かったのですが、やはり、晩年のエリザベートの苦悩を体現するには無理があり、とてもルドルフの母には見えませんでした。まだ宝塚口調が出てしまうのと、歌に伸びがないのにも、やや興がそがれた気がします。
いつもながら、ビックリするのは、石川禅さんのヨーゼフ皇帝。1幕では、まだ若々しい青年振りを無理なく好演されるのに、だんだん舞台の年月が経過するに従って、歳を重ねて行く様を、実に自然に変化させて演じていらして、本当に驚愕してしまいます。
映像でない、生の舞台で、こんなにリアルに年月の経過を体現できる役者さんは、滅多にいないと、感嘆するばかりです。
主役二人がまだ若いので、今回の舞台、一番、人間ドラマを感じたのは、この禅さんと、浦井さんの父子の葛藤シーン。役者力のあるお二人の場面はとても短いのに、この舞台においては最高に密度が濃かったように思います。
ヘッダ・ガーブレル
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2010/09/17 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
一皮向けた、ベテラン女優に賞賛を惜しまず
いやあ、御見逸れしました。大地真央さん!!
またいつもの、独特な台詞まわしなんだろうなと想像していたのですが、見事に、役になりきっていて、真央色が払拭されていてビックリ!
プライドが高く、身勝手な、でもとても魅惑的なヘッダを、若々しく、美しく、好演されていました。
イプセンの芝居は、本当に、見事に、人間の業を描いているものばかりで、どの作品も、常に、普遍的で、身につまされるストーリーばかりですが、この作品は、特に、女性の性にテーマが集約していて、大変興味深く、時折クスリと笑いながら、共感しつつ拝見しました。
舞台セット、照明、音楽、全てが主張しすぎず、身の程をわきまえた脇役振りで、舞台上の登場人物の造形の手助けになっていました。
宮田さんの演出も、女性ならではの細やかさが随所に見られ、とても丁寧な、まるで、イプセンの原画に、見事な手腕で、色付けされた、美しい塗り絵を鑑賞したような風情に満ちていました。
脇役陣も、皆さん、秀逸。このレベルの舞台が、こんな低価格で観られるなんて、何だか、良いものばかりの福袋を買った気分でした。
見逃した方のために、今から再演希望を出したい作品です。
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ガラスの葉
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/09/26 (日) ~ 2010/10/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
作家と演出の相性抜群
フィリップ・リドリーの以前観た作品よりは、大変わかりやすく、自分の境遇に、卑近な部分も多々あり、終始興味深く観劇することができました。
この作家と、演出の白井さんの相性もピッタリな上、出演者が誰も皆素晴らしくて、のめり込むように舞台に集中してしまいました。
萩原さんの好演は言うまでもありませんが、舞台出演の度に飛躍的に成長している田中圭さんが、「ガラスの動物園」のローラの男性版のような、繊細な心を持つ青年を、魂を込めて熱演され、観ている私まで、胸が締め付けれる思いでした。
ある意味、普遍性のある、家族劇の決定版のような作品でした。
今の私をカバンにつめて
ネルケプランニング
青山円形劇場(東京都)
2010/09/25 (土) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★
やっつけ風味で残念な作品(訂正あり)
悪い意味で大変芝居地味ていました。脚本、構成、演出、音楽…、どれを取っても全てが凡庸。
あまり、制作者の熱意が感じられない舞台でした。
もちろん、戸田さんは芸達者だし、それなりに楽しめる作品ではありますが、これ、戸田さんの二部構成のショーで、芝居仕立てでやる公演なら、及第点だと思うぐらいの軽いテイストのステージでした。
期待が大きすぎた分、がっかり度も倍増でした。
樫の木坂四姉妹
劇団俳優座
シアターX(東京都)
2010/09/20 (月) ~ 2010/10/03 (日)公演終了
満足度★★★★
静謐に生き抜く力の美しさを味わう
新劇の名女優が集結した舞台。
大変期待して行きましたが、客席に空席が目立ったのはとても残念でした。
長崎で被爆した姉妹の戦時中から、老齢までの人生が、静謐なタッチで語られ、井上ひさしんさんの「父と暮らせば」にも通じる世界感でした。
姉妹の長女役の大塚道子さんは、中でも、群を抜いた名女優振り健在で、本当に、その舞台上のお姿を拝見するだけで、後光が射して見えました。
あの年齢で、あんなに矍鑠として、台詞の覚えも口跡も良く、その凛としたお姿を拝見できただけでも、行った甲斐があったと心底感嘆しました。
井上芳雄 10周年記念コンサート
日本テレビ
青山劇場(東京都)
2010/09/11 (土) ~ 2010/09/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
完全無欠のショーでした
一部の小池さん演出のミュージカルショーの構成演出が、とにかく素晴らしい!!
こんなに満足できる、ミュージカルショーは生まれて初めて観た気がしました。
デビュー間もなく観た草月ホールでのコンサートでは、まだ井上さんの自己陶酔の雰囲気が見えていましたが、さすが10周年!!
数々の多種多様な演技経験をされて、井上さんが、歌のうまさだけでなく、演技表現者としても、格段の進化を遂げた、実証のような、申し分ないコンサートでした。
ネタバレは、後日追記するかもしれません。
ハーパー・リーガン
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2010/09/04 (土) ~ 2010/09/26 (日)公演終了
満足度★★★★
長塚演出の新境地を観た
とても、新鮮な演出でした。
アカデミー賞外国映画賞候補になるような味わいのある作品でした。
小林聡美さんも良かったけれど、今回もまた、山崎さんの深い演技表現力に魅了されっぱなしでした。
家族の愛情や感情のもつれは、万国共通のテーマなんだなと、痛感!
ネタバレは、後日追記するかもしれません。
伝説との距離
シャチキス(少年社中×ホチキス)
シアタートラム(東京都)
2010/09/16 (木) ~ 2010/09/19 (日)公演終了
満足度★★
キャスト陣は健闘ながら
どうも、脚本に創意工夫が足りない印象を受けました。
後半の10分ぐらいは、ようやく、やや血湧き、肉踊る雰囲気になりましたが…。
とても期待していただけに、かなり消化不良でした。
木の皿
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2010/09/08 (水) ~ 2010/09/12 (日)公演終了
満足度★★★★
初演とは違う感慨あり
初演を観たのは何年前だったでしょう?
亡くなった湯浅さんが、老父役でした。
今回は、初演では息子役だった加藤さんが、老父役で、息子は、新井さんが演じられました。
この息子役の新井さんがとても良かった!!
加藤さんの老父は、茶目っ気がありすぎて、そのため、彼の世話に人生を翻弄され、疲れ果てる嫁の苦悩が、あまり客席に伝播しないところがありました。
でも、やはり、この作品自体の投げかける問題提起は、痛切に胸を打ちます。
観ていて、とても辛くなります。
初演では、確か嫁に感情移入して観た記憶がありますが、今回は、木の皿で食事をしなければならない、老父の方に、多大に感情移入して観ている自分に気付きました。
それだけ、加齢を身にしみて感じるこの頃だからでしょうね。
ビリーバー
シーエイティプロデュース
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/09/03 (金) ~ 2010/09/12 (日)公演終了
満足度★★★
宗教を考え直す…
想像していたより、ずっと重い問いかけのあるストーリーでした。
宗教観を再考する、示唆に富む台詞がたくさんありました。
セットも、鈴木勝秀さんらしい、シンプルな作りで、それを、キャストが自ら位置を変えたりするのにも好感が持てました。
ピアノの生演奏もとても、舞台にマッチングして、素敵な雰囲気作りに一役買っていました。
ただ、期待した川平さんは、いつになく、パワー不足な感じがあり、勝村さんもお忙しいのか、時々台詞を噛んだりされて、このお二人の演技に関しては、やや不満がありました。ちょっと芝居内容にそぐわない悪ふざけが過ぎたのも、少し残念。
その反面、9歳の複雑な少年心を見事に演じきった風間俊介さんの名演技は、本当に素晴らしくて、感嘆してしまいました。
「金八先生」の頃から、類稀な資質のある役者さんだとは思っていましたが、ここまで、役になり切って舞台上にいられる名優に成長されているとは思いもしませんでした。
本当に、素晴らしい!!風間さんを観に行くだけでも、この芝居、観る価値ありです。
叔母との旅
シス・カンパニー
青山円形劇場(東京都)
2010/08/20 (金) ~ 2010/09/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
演劇というプレイを思う存分堪能しました
これは、もうこのキャストでなければ、成功不可能な、遊び心に溢れた舞台構成、演出でした。
劇内容も、もちろん大変面白く拝見しましたが、それ以上に、私の心を射抜いたのは、キャスト4人だけで、様々に演じる多種多様な人間達の、演技表現の妙!!
この芝居の最大功労賞は、この劇形態の趣向の面白さに差し上げたいと、自分としては思いました。
もちろん、それに応えられるだけの演技者としての技量が、4人の役者さんに備わっていたことは言うまでもありません。
台風で、足が水に濡れた方が多く、客席は皆さん、濡れた靴を脱いだり、冷房が寒すぎたりで、大変な惨状でしたが、それでも、満員の客席中、心から芝居を、名演技を楽しむ笑い声が絶えず、本当に、素晴らしい時間が過ごせて、幸せでした。
ペン
劇団NLT
俳優座劇場(東京都)
2010/09/02 (木) ~ 2010/09/08 (水)公演終了
作家の自虐ネタ?
相変わらず、名コメディエンヌ振りを思う存分発揮して下さる木村有里さんの存在感は見応えあるし、久しぶりに拝見した井上さんの自然な演技も、私の観た回では申し分なかったのですが、とにかく残念なのは、原作のお粗末な出来。15分で完結しそうなストーリーを、途中休憩挟み、2時間40分も観続けるのは、かなり、精神的にダメージでした。
だいたい、笑いのネタも、自分の大嫌いなタイプのものでしたし、心から心地良く笑える瞬間が一度もなかったことが、とても残念でなりませんでした。
セットは良かったけれど、意味不明の暗転も多く、原作のつまらなさに加味するような演出の手腕のなさも気になりました。
キャスト陣は、賢明に好演していただけに、この原作者の作家性のなさと、この作品を舞台に掛ける決断をされた方の企画力に疑問を感じざるを得ませんでした。
音楽の入り方も、プロの仕事のようには感じられず、老舗の劇団なのに、大変残念で、口惜しい劇後感で、いっぱいになりました。