叔母との旅 公演情報 シス・カンパニー「叔母との旅」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    演劇というプレイを思う存分堪能しました
    これは、もうこのキャストでなければ、成功不可能な、遊び心に溢れた舞台構成、演出でした。

    劇内容も、もちろん大変面白く拝見しましたが、それ以上に、私の心を射抜いたのは、キャスト4人だけで、様々に演じる多種多様な人間達の、演技表現の妙!!

    この芝居の最大功労賞は、この劇形態の趣向の面白さに差し上げたいと、自分としては思いました。

    もちろん、それに応えられるだけの演技者としての技量が、4人の役者さんに備わっていたことは言うまでもありません。

    台風で、足が水に濡れた方が多く、客席は皆さん、濡れた靴を脱いだり、冷房が寒すぎたりで、大変な惨状でしたが、それでも、満員の客席中、心から芝居を、名演技を楽しむ笑い声が絶えず、本当に、素晴らしい時間が過ごせて、幸せでした。

    ネタバレBOX

    主人公の青年を4人で交互に演じる冒頭から、気持ちがすぐにこの物語に引き込まれました。

    ちょうど、最近観たがれきの太鼓の芝居のように、登場人物全員を4人が持ちまわり的に演じ、主人公役ではない3人がその他と役を引き受けて行きます。

    その中で、主に叔母役を演じる段田さん、黒人ワーズワース役の高橋さんの演技が、取り分け印象に残りました。
    もちろん、浅野さんも、「39ステップス」の時と同様、男性、女性、様々な役を八面六臂の大活躍で、軽妙洒脱に演じて下さり、その役代わりだけで、観客の気持ちを掻っ攫って下さいました。

    最初は嫌っていた叔母と旅行を続け、彼女の半生を聞かされる内に、叔母こそが実の母だとわかり、一緒に暮らすことを決めるまでの、青年の心模様。

    裸舞台に、スーツケースだけの小道具で、たった4人の出演者だけで、見事に、観客の心の中に、情景を想起させる、スタッフとキャストの力量に、心から脱帽し、歓喜しました。

    天井から吊り下げられた地名を書いた掲示板が、今現在の場所を知らせるべく、するりと下り、また上がって行くというシンプルなアイデアも、とても成功していました。

    4人の演技表現の妙を堪能し、笑いながら観ていて、でも、最後には、しかりとした人間ドラマも感じられ、本当に、演劇という名のプレイを心底楽しめる極上の舞台でした。

    また是非、このメンバーで再演してほしいと思いました。

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    2010/09/08 22:36

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