ITOYAの観てきた!クチコミ一覧

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平成戦後少女

平成戦後少女

lovepunk

座・高円寺2(東京都)

2011/04/16 (土) ~ 2011/04/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

生きてるって、みっともないね。
初の座・高円寺2。
初の「lovepunk」ラブパンク観劇、全員が女性の劇団。

死んだ女友達の幽霊のおかげで、若い体を得た77歳のハツネは、
再び人生をやり直すため、幽霊とともに東京へ行き、
素性を隠して孫と暮らし始めた。

体を許すことにこだわらず自由に生きる孫娘、幼馴染の若い男、
同窓会と偽って訪ねてきたその母(主人公の娘)、
携帯電話を片時も手放さず男に貢ぎ続ける女、
「普通」を布教しようとする謎のグループ、女性AV監督、
周囲の変人達の人間関係の歪みは、やがておさまりきれずに…。

「ラブ・パンク」というからもっと激しくて毒っぽいかと
覚悟していたんですが、意外!とってもわかりやすい。
始まってすぐに、ストレートに「愛って何だ!」と真正面から
みんなで歌いだしてびっくりしました。
観ているこちらが気恥ずかしくなるくらいに、まっすぐで。

セリフでは下ネタっぽいのに、女性ばかりの割に色気が全く無い。
とんがってたり、鋭かったりするところがないのが
見やすくっていいんですが、ちょっと物足りないかも。

全員女性の中、唯一の男性の登場人物もケテコでは女性だった
とわかりましたが、本当にうまくて男優さんかと思ってました。
次、また観たいですね。

レ・ミゼラブル

レ・ミゼラブル

東宝

帝国劇場(東京都)

2011/04/12 (火) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

「列に入れよ!われらの味方に!われら夢見た明日が来ると!明日が!」
ついに観た!
ロンドンオリジナルバージョンではこれが最後という、レ・ミゼです!
(…ということは違うバージョンが観れる日が近いということか。
それも楽しみ。)

しかし、何度観ても感動に涙してしまう。
本当にバランスが良くて、よくできた作品なのでしょう。
ミュージカルは偉大です。


今回の公演では合計3回チケットゲット。
仕事の合間を縫って、まずは1回目が観れて幸せです。

キャストでは、前回はデカレンジャー・スーパー戦隊出身の
菊地美香さんの「幼く可愛らしい」コゼットが
個人的には最大のイベントでしたが
今回は欠席で残念。(代わりに神田    が出演)
今日は中山エミリ、確かに幼いかわいさとは言えるかも?

山口祐一郎バルジャンは、さすがの安定度。
(人によっては癖のある歌い方が気になるかも。)
三波豊和テナルディエは検討していますが、
ご自身の人の良さや優しさ、丸さが出てしまって、
役独特の「アク」が無くて、いまひとつ。

シングルマザーズ

シングルマザーズ

ニ兎社

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2011/02/20 (日) ~ 2011/03/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

祝!二兎社30周年!シングルマザー,DV,身近な問題苦闘の日々も明るく.
東京千秋楽。
永井愛さん、大石静さんで旗揚げした二兎社は30周年。
永井さん1人になってから20周年とのこと。
私は、二兎社作品では「書く女」「新・明暗」
「歌わせたい男たち」を観ました。

前説とカテコには永井さん自らお話されました。
それも今回の震災があったこともあり、
こういうときこそ公演を続けなくてはいけない
とおっしゃっていました。
全国の劇場・劇団でこういう葛藤があったでしょう。

本編は、シングルマザーの支援団体と、関わる
人々の話。
パートを掛け持ち、働きながら、子育てに、
養育費の督促に、DVとそのフラッシュバックに
毎日奮闘するシングルマザー達の物語。

沢口靖子さんのいつもの真摯さ、根岸季衣さんの力強さに
とっても自然に引き込まれます。
そして、吉田栄作がいつもと正反対のキャラクターで
頑張ってましたが、パンフを読むと、
はっきりと映像作品に生かすために舞台演技を
練習中と言いきるスタンスには「???」。

実世界のシングルマザーの方々の、本当にたくましく
力強くやるしかない!という厳しい現実に、
ほんの少しは考えさせられ、触れられたのではないかなと。

笑って泣けて考えさせられる、目の前での演技を楽しめる、
贅沢な時間と空間を、元気で無事で観れたことに感謝。

夏への扉

夏への扉

演劇集団キャラメルボックス

ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)

2011/03/05 (土) ~ 2011/03/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

こういう時こそ、笑って泣いて。  原作:ハインラインの名作SF小説!冷凍催眠,タイムマシン,ロボット…まさにキャラメル向き作品ついに上演!
あのロバート・A・ハインラインの名作「夏への扉」を
【映像商品化はしないという条件付で】
世界初の戯曲化!
冷凍催眠,タイムマシン,家事ロボットに製図ロボット…
まさにキャラメルボックス向きの作品がついに上演です。

1970年。ロボット技師の主人公は共同経営者でもある友人に
裏切られ騙されて失意の中、30年のコールドスリープへ。
2000年に目覚めた主人公は目覚ましい進化を遂げた当時の
科学に驚きながらも、起死回生の行動に出る。
何とタイムマシンで30年前に戻るというのだ!

愛する人を守るため、未来と過去を行き来し大奮闘、
まさにクロノス・シリーズの元ネタのような作品で、
キャラメルボックスでの戯曲化も当然の結果。

小難しいことよりも、好きな女の子のためにペットの猫と
時代を横断して活躍し、道を切り開いていく展開が
前向きで、明るくて、元気になれます。

書き下ろしのエンディングテーマソングも
さわやかでよかった!!

それにしても書かれたのが1950年代。
実際の未来、2000年に家事ロボットと言えば、
平たい円盤が床掃除するくらいという…
現実はなんて夢が無いんだろうか。

CAD(自動製図)は実現してますけれど。

前説には劇団代表の加藤さんが登場。
今回の震災でも劇場はびくともしないことを説明。
経験上、ステージの照明がカチャカチャ鳴り出すと
震度3だそうで、その場合には上演を一時ストップ。
それ以下では演技続行だそうです。

カーテンコールも節電のために1回だけ。
その代わり、役者さんたちは、客席通路から退場という
異例のサービス?でした。

冬の旅

冬の旅

アル☆カンパニー

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2011/03/26 (土) ~ 2011/03/27 (日)公演終了

平田満,井上加奈子 実際の役者夫婦による役者夫婦の物語。日常を離れ旅でのお互いのかかわり合いの機微。
平田満,井上加奈子夫妻のユニット、アルカンパニー作品。
実際の役者夫婦による役者夫婦の物語。
日常を離れ、旅でのお互いのかかわり合いの機微を描く。

少人数、小劇場での濃密な作品づくりにこだわる
お二人の真摯な姿勢と作品に、ここ数作品連続して
欠かさず観ています。
毎回、目の前数メートルでの演技を堪能しています。

今回は非常に難しいと言われる二人芝居。
しかも現実でも夫婦。
しかし芝居の中での関係性は微妙に異なるという
実にセンシティブな内容だと思う。
特に演じるお二人にとって、非常に難しいに違いない。

カテコにおいて平田さんは、震災後の公演で、
予定通りやるかどうかを話あった結果、
やることにしたと言われました。
全国の劇場・劇団で同じような葛藤があるでしょう。
昨日は公演中に地震があったけれども、お客さんは
落ち着いていて微動だにしなかったそうです。
こういうときこそ、芝居を観て日常の、文化の
大切さを感じます。

流れ姉妹 たつことかつこ 〜エンド・オブ・バイオレンス〜

流れ姉妹 たつことかつこ 〜エンド・オブ・バイオレンス〜

真心一座 身も心も

本多劇場(東京都)

2011/01/27 (木) ~ 2011/02/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

これでファイナル!姉妹の旅も決着!古田X池田の客演も豪華!昭和レトロな世界観に笑いあり涙あり。
大衆演劇と東映バイオレンス映画、
そして4人という小劇団・小劇場の良さをあわせた
昭和レトロなロードムービー演劇。

第二章、三章、一章再演、と観てきて、
ついに今回ファイナルを迎えてしまいました。

シリーズ物ならではのお約束もできてきて、
例えば… 冒頭の夢、オープニング映像、
すれ違う姉妹とそれぞれの落ち着き先での仮の生活、
「やくざ、元やくざ」言葉の応酬、
二人と親しくなる男たち、がや四人衆の早変わり、
かつこ凌辱シーン、たつこの戦闘服バスタオル姿、
たつこVS動物・着ぐるみ対決…。

確かにシリーズが一番面白いときにサッと終わるにはいいタイミングか。

ゲストラバー池田成志は強烈なインパクト、
ゲストレイパー古田新太は終始おねぇ言葉という
”外し方”が見事にはまってます。
古田さんは軽妙な面白さがイイ。
普段やってるのと全く違う、この配役が見事です。

終わりかと思うとさびしいけれど、
穏やかなエピローグ、ハッピーエンドなのも
またうれしい。

愉快犯

愉快犯

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

新春一番は「劇団員のみ」公演。
新春一番は「劇団員のみ」公演。
前公演『露出狂』に比べ、人数等に比べてスケールダウンの感じでしたが、
パワフルなセリフの言い方など、純粋に劇団カラーが前面に出て、
そのの再確認が行われた作品でした。

僕を愛ちて。~燃える湿原と音楽~【沢山のご来場ありがとうございました!次回公演は7月青山円形劇場にて!】

僕を愛ちて。~燃える湿原と音楽~【沢山のご来場ありがとうございました!次回公演は7月青山円形劇場にて!】

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2011/01/15 (土) ~ 2011/01/23 (日)公演終了

満足度★★★★

「劇団鹿殺し」らしい沢山の音楽に満ちた作品。粟根まことの異色ぶりが目立つ!
「劇団鹿殺し」らしい沢山の音楽に満ちた作品。
全体的なフォーマットが前作「電車は血で走る」そっくり。
そして何より、客演の粟根まことの異色ぶりが目立つ。

く・ち・づ・け

く・ち・づ・け

むーとぴあ

駅前劇場(東京都)

2011/02/04 (金) ~ 2011/02/10 (木)公演終了

満足度★★★★★

あったかくて笑えて楽しく可愛らしい。武藤晃子さん主宰の一人劇団「むーとぴあ」第3弾
武藤晃子さん主宰の一人劇団「むーとぴあ」第3弾は
わかぎゑふさん得意の昭和ロマン。
今回は「大人のラブ。コメ」。

田舎の村ののどかな日常。
本家の伝統を守るべくけなげに結婚に挑みながらも
最初の「くちづけ」への憧れは消えない娘。
その幸せな嫁入りだけを願う父。
戦争を乗り越え、その娘も成長して迎えるラストシーンも
あったかくて感動です。

すべては武藤晃子さんのキャラクターからインスパイアされたものと思いますが、
18歳を演じる武藤さんを初め、登場する大人たちが、みな善良でピュアで可愛らしいこと。
これが武藤さんと「むーとぴあ」作品の最大の魅力です。

次も絶対観ます!

コラボレーション

コラボレーション

加藤健一事務所

紀伊國屋ホール(東京都)

2011/02/19 (土) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★

「ドレッサー」作者による本邦初演作品。戦時下で芸術家の葛藤と顛末を描く良心作。
「ドレッサー」作者による作品で、本邦初演。
カトケンの作品選びの選択眼は、常に鋭くて、
毎回良質の翻訳作品を提供してくれます。
そして、カトケンの芝居は常に安心して観れます。
このことは観客が作品のテーマにより集中できる
ということです。

戦時下における芸術家の苦悩、
すべてを犠牲にしても表現の自由のために戦うのか、
家族を守るために体制に寄りそうのか。
後世において、その時の判断を問い正すことができる者は
いるのだろうか。

導入からは、二人の芸術家の出会いと作品を作り出す
コラボレーションの喜びを生き生きとユーモラスに描き、
中盤からはナチの影との戦いと顛末を描く。

カトケンは音楽家として何とか生き抜こうとする姿を、
福井貴一はその逆に追いつめられ破滅していく姿を
ウェットさはない二人の大人の友情を背景に対照的に
演じている。
加藤忍(カトケンの劇団員ですが娘ではない)は静かに
影となり支える妻を、塩田朋子はより強く支える妻を
地味ではあっても的確に演じてます。
そして、唯一の悪役、ナチ党員を演じた加藤義宗
(こちらはカトケンの息子さん)の登場は、
2シーンのみながら冷静な怖さを感じました。

カーテンコールでは、演出の鵜山仁が歌うシュトラウス
の録音が披露されました。これもなかなか見事でした。

銀河英雄伝説  =第一章 銀河帝国編=

銀河英雄伝説 =第一章 銀河帝国編=

舞台「銀河英雄伝説」実行委員会

青山劇場(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

満足度

【怒】今年初観劇,作品良し!気分サイテー!公演4日目なのにパンフ売切!場外の笑い声が劇場に響く!
「銀河の歴史がまた1ページ。」
OVA第1期全26話(13時間),第26話「さらば、遠き日」までを一気に描く!

私が観た10日、開始数日後にして休憩時間にはすでにパンフレットが売切!
ふざけんな!まだ何日も公演があるのに。
通販で売ると聞きましたが、送料600円とるって。
公演サイドの不手際なんだから、ふつう送料無料でしょう。
その日に11日には入荷と聞いて、12日に劇場にわざわざ買いに行ったら
当日チケットを持った人しか売らないって門前払い!
パンフレットの通販のチラシを見せられて、
チラシのバーコードを携帯電話のカメラでこの場で撮ってください
と言われ(チラシすらあげられないって!)
しぶしぶ退散!怒!
開演1時間前ならチケットなしでも売ってくれると聞いて
ここまできたら意地でも送料払いたくないので、
結局13日に、仕事終わりで急遽直行し、
1時間前に並んでゲットしました!

怒りはこれだけにとどまらず、
ロビーで談笑している人々の声が会場内に響いてた。
スタッフの声か??何?青山劇場の亡霊?
私は外の青山通りの街宣車か何かかと思いました。
まさか。

で、やっと本編の感想ですが、
宇宙艦隊同士の戦闘をアンサンブルの群舞でうまく表現してました。
アニメでも一艦隊何万艦が、点々で表現されてましたが…。
本来長いストーリーを帝国側だけを描いて上手く圧縮してありました。
今回は帝国側だけなので、もう一人の主役ヤン・ウェンリーは名前だけの登場。
そうそう、ちゃんと『ゼッフル粒子』が出てきたのが嬉しかったです!
そして、やはりラストはそこだったか!と。

キャストでは、ラインハルト役には「侍戦隊シンケンジャー」の
シンケンレッド=松坂桃李。
そして、キルヒアイス役は声がアニメそっくりで違和感がなく、
アニメでラインハルト役だった堀川りょうが、
ラインハルトの父親役として特別出演。
最も意外だったのが皇帝フリードリヒ四世役の長谷川初範。
老け役が似合ってました。

作品としては、大納得でしたが、
パンフ売り切れの件と、笑い声が気になって、
大激怒!!の1作でした。
今年の初観劇だったのにっ!

わが町

わが町

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2011/01/13 (木) ~ 2011/01/29 (土)公演終了

満足度★★★★★

何でもない日常の素晴らしさ。なぜこんなに素晴らしい芝居なのに皆声高に言わないんだろうか!
最近も何度も上演されている有名な作品で、
遅ればせながらこのたび初めて観劇しましたが…
素晴らしかった!
なぜこんなに素晴らしい作品なのに皆声高に
勧めてくれなかったんだろうか!

一幕目は、1900年アメリカの田舎町、
二組の家族の平凡な一日。
休憩を入れずに二幕目は、若い二人の結婚式、
そしてその馴れ初め、デートのシーン。
幸せな結婚式で幕を閉じて休憩。
そして第三幕は死、葬式と埋葬。
墓地の死人は生前を振り返り、死んで初めて
本当に大切なことが何だったのかを知る。

一幕目はとにかくラストのレベッカのセリフが輝いてる!
小さな町の一日が、一気に地球規模で俯瞰になる
スケールが凄い。
二幕目は何気ない幸せなシーンに泣ける。
三幕目、これまでのそれぞれの場面を含んだ
すべてのことの素晴らしさ。
と、同時にそれに気づかない人々の無頓着さ。

私たちは何と小さな箱の中で細かいことに
わずらわされながら、大切なことに気づかずに
生きているのだろうか。

小堺さんはいつものキャラを出さない抑えたところが良く、
セリフ量の凄さにも感心。
相島さん斉藤由貴さんの夫婦の空気感が優しい。
(けれど結局パリに行けなかったんだろう、ということが切ない)
何よりも佃井皆美さん中村倫也さんのカップルの演技がみずみずしい。
特に佃井さん(カテコで涙)の三幕は良かった…。
そうそう妹のレベッカを演じた大村沙亜子さんも良かった。

そしてピアノソロのメロディも心に残り、作品に大きく影響しています。
シンプルな舞台装置と小道具、アンサンブルによる効果音もいい。

実にキュートであったり、優しかったり、
それでいて冷酷であったり、
繊細だったり、スケールが壮大であったりと
多彩な面を持った作品でした。

大人は、かく戦えり

大人は、かく戦えり

シス・カンパニー

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2011/01/06 (木) ~ 2011/01/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

二組の夫婦のすさまじい本音合戦!それはそのまま大人の俳優陣による演技合戦だった。
子供の喧嘩についての話し合いのために集まった二組の夫婦。
最初は体裁を保ちながら冷静に話し合っていたところが、
ふとしたことから徐々にエスカレート!
話は子供のことにとどまらず、それぞれの夫婦間の問題に
もおよび、酒も入り、手も足も出るすさまじさ…。

マギー初の翻訳劇が、このキャストとは凄い!
ともするとわざとらしかったり、やりすぎになりそうなところを
実に適度な度合いで演出していると思います。
そして言わずもがな、この4人の顔合わせの妙。
大人の俳優同士の適度な距離感・緊張感を意図して
保っているであろうこともよく分かる。
(若い俳優ならば、きっとくっつきすぎる楽しい稽古、
みたいになったに違いない)
特に、秋山さんの"飛び道具"も効果的でした。^^;)>

最初から最後まで、笑いっぱなし。
大人の俳優4人の演技を本当に堪能した素晴らしい舞台でした。

抜け穴の会議室 〜Room No.0002〜

抜け穴の会議室 〜Room No.0002〜

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2010/12/18 (土) ~ 2010/12/31 (金)公演終了

満足度★★★★

佐々木蔵之介さん一人劇団TEAM申第4回公演。大杉蓮さんさすが緊迫の二人芝居。
2010年最後の観劇は、これでした。

佐々木蔵之介さんが、やりたいことをやるために
旗揚げした一人劇団TEAM申の第4回公演。
今回は第2回公演作品(観ました)の部分改訂版で、
共演者が仲村トオルさんから大杉漣へ、
劇場も赤坂REDTHEATERからPARCO劇場へ拡大。
小劇場にあっていた作品なのに大丈夫かなと
少し思ってましたが、全く心配なし。

二人だけでもその緊迫の演技に魅入られっぱなしの
濃縮された充実の90分。
さすが大杉さんです。
「重病の娘を持つ父親」というシーンが急に始まっても
一瞬でその役になり瞬時に観ているこちらが泣けてきた。

初演時設定の兄弟は親子になり、
話もシンプルに整理されたそうですが、
確かにストレートに伝わってくるものがあった。
良く考えると結構無理がある設定なんですけれど
それは、二人の輪廻転生物語のためのお膳立てのようなものか。

大杉さんはこの日の夜の東京千秋楽公演のあと、
紅白に出てましたね。
確かに渋谷だからNHKホールに近いか。
「ゲゲゲの女房」の主人公の父親役も良かったなぁ。

あと、さすがに初演時の楽屋落ちだった
「登場人物の名前がウルトラセブンのウルトラ警備隊員」
という楽屋落ちルールは変わったようですが、
「アマギとフルハシ」は残ってましたね!!
しかも親父は素行不良なフルハシが嫌いだっていう…。(笑)

ジャンヌ・ダルク

ジャンヌ・ダルク

TBS

赤坂ACTシアター(東京都)

2010/11/30 (火) ~ 2010/12/09 (木)公演終了

満足度★★★★★

堀北ジャンヌの熱演と競演陣+100人のエキストラが織りなした心と戦いの物語、スペクタクル!
最近ジャンヌをよく見るような感じがすると思ったら、
2009年11月・10時間の「ヘンリー六世」でソニン・ジャンヌ、
2010年3月・蜷川圧縮版「ヘンリー六世」では大竹しのぶ・ジャンヌ、
と続いたためですね。

さて、堀北真希さん初舞台、初座長でこの大プロジェクト。
神の声に一直線、勢いのある連戦連勝の時から、
声が聞こえなくなり仲間も失い不安の時、
そして新たに信念を見出し立ち向かう姿、
堂々とした演技にオーラが出てました。
ジャンヌとはいかないまでも、かなりの強烈なプレッシャーの中、
見事な東京千秋楽でした。
感心、感激しました。
(こんなに良かった芝居でも平気でipod?iPhone?で撮影してる
馬鹿なイイ大人がいて残念。ぶち壊しでした。)

豪華な競演陣の中では、普段テレビで見る役柄とは正反対な
歴戦の老傭兵を演じた田山涼成さんが良かったですね。

普段は難解なイメージの白井晃さんもさすがにベテランで、
今回は見事にスペクタクル大作に仕上げられていました。
普段は客席の部分を、前から10列位?潰して舞台をせりださせ、
総勢100人のエキストラによる大合戦の迫力は満点。
(公開前のトーク番組で白井さんは「1000人の兵士を舞台に乗せたい」
…くらいのイメージってネタばれっぽく言ってたのをうっかり
観てしまいました)

「軍勢」がまさに蛇のように「流れ」としてうねる様は
凄かった。初めてです。
これで大きな事故なく怪我人なく公演が続けられるなんて
本当に信じられないほどです。
(上杉祥三さんの殺陣は少しスローでしたが^^;)

音楽も厳かでぴったり。
ジャンヌ連勝の奇跡にも「客観的な裏付け」があったり
ジャンヌとシャルルの関係の独自の設定なども面白い。
終盤で色々ありそうになるけれど、安易な結末に流れずに
ジャンヌが自らの強い意志で立ち向かうのも良かった。

非常に充実した舞台だったと思います。

プライド

プライド

東宝

シアタークリエ(東京都)

2010/12/01 (水) ~ 2010/12/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

笹本玲奈VS新妻聖子!二大ディーヴァ競演!ふたりのオペラをもっと聴きたかった!
既に映画化もされた一条ゆかり原作の少女漫画「プライド」の舞台化。
育った環境の違うオペラ歌手を志す二人の女性が、
それぞれのプライドをかけて競う愛憎のストーリー。

漫画では大勢いた登場人物を、核になる4人だけに絞り、
全12巻の物語を、2時間45分(歌を除くと1時間半程度!)に圧縮。

愛と葛藤の物語を結末まで、一挙に描き切る。

観て良かった!!

何といっても注目は、笹本玲奈VS新妻聖子!
二大ミュージカルディーヴァの競演です!
二人とも東宝ミュージカルの常連組で、実際にもライバル的な位置に
いる二人が、舞台上で歌で競演、しかも、オペラ歌手役!
でもミュージカルではないストレートプレイ。
劇のポイントで登場するのはオペラをはじめ、歌謡曲、唱歌、
本作オリジナル2曲を含む10曲。
特に素晴らしいのは二人の歌声。
ソロとデュエットを十分堪能しました。

それだけでなく、二人のキャラクターも見事に演じられ、
お嬢様から転落し苦労を経験する笹本玲奈の史緒は
偽りの婚約に苦しみながらも一流のオペラ歌手の道を歩み、
正反対に貧乏から這い上がる新妻聖子の萌は
手段を選ばずライバルを蹴落とすも失敗の連続、
反発し憎み合いながらも互いに補い合う、不思議な関係。
女性コミック特有のオペラ歌手版「ガラスの仮面」
というような波乱の物語にのめり込み、楽しみました。

残念なのは、オペラは3曲くらいしかなかったこと。
せっかくのテーマなんだから普段あんまり聞くことがない
オペラをもっと二人の歌で聴きたかった!!

サンタクロースが歌ってくれた

サンタクロースが歌ってくれた

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2010/11/30 (火) ~ 2010/12/25 (土)公演終了

満足度★★★★

結成25周年イベント作らしく上川隆也ら元劇団員二人が古巣で当たり役を再び好演。
クリスマス・イブの渋谷の映画館。
観客は主人公の女性一人だけ。
その時、観ていた大正時代を舞台にした推理映画の登場人物、
芥川龍之介の素人探偵と、その助手である後の江戸川乱歩らが
ルビーを盗んだ怪盗黒蜥蜴を追って現代の現実社会に飛び出した!
果たして上演時間の2時間で彼らは戻ってこれるのか。

演劇集団キャラメルボックス恒例のクリスマスツアーは
結成25周年の最後を飾る第4弾。

お祭り企画らしく上川隆也、近江谷太朗の元劇団員二人
を客演に迎えて、キャラメルボックス代表作の再々…演。
昔の本なのでメインキャストは実年齢より20年位若い役。

キャラメルの特長であるファンタジーハートウォーミング
コメディです。

近江谷太朗さんの地下鉄パントマイムに爆笑し、
アドリブっぽい上川さんのツッコミ芸もふんだんに
盛り込まれて、ファンには嬉しいクリスマスプレゼントです。

上川さんは、はかま姿はどう見てもテレビ版で2作も
演じてた「金田一耕助」ですよね。
(もうみんな知らないか?)

そして「テレビに出ている上川隆也」というセリフは、
以前は架空の話だったのに、今や現実になるとは
面白いものです。

それにしても、この芝居で上川さんは、
古巣に帰ってきているにもかかわらず、
この無邪気な空間がなんとも窮屈そうに見えました。

在籍当時の「きみのいた時間、ぼくの行く時間」で
それを感じなかったのは、今回は主役ではなくて、
そのライバル役だからでしょうか?
いや、芝居の中で上川さんという俳優のスケールが
もう収まりきれなくなっったからじゃないだろうか、
と思ったのでした。

今回は我慢したんですが…やっぱりオール・
キャラメルキャストの「アナザー・キャスト版」も
観たかった(;;)

黴菌(ばいきん)

黴菌(ばいきん)

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2010/12/04 (土) ~ 2010/12/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

ケラさんの昭和三部作第二弾。戦後の脳病院のおぞましい事件の顛末、三兄弟の家族再生の物語。
昨年大みそかにオールナイトイベントとともに観た『東京月光魔曲』に続く、ケラさんの昭和三部作第二弾。
敗戦直後、脳病院で起こるおぞましい事件。
その病院を経営する親と三兄弟の家族再生の物語。

いわくありげな登場人物、静かに進行する闇と謎。
これまでのケラさんの作品に比べるとわかりやすく
奇妙な謎?が残らない。

とにかくこの豪華なキャストが面白い。
特に緒川たまきさんのお妾さんが軽やかで
お美しくてぴったりで、兄思いなのもいい。
兄役の仲村トオルさんの破壊力というか
味がある性格、対する北村一輝さんの
遊び人ぶっていても裏があったり。

岡田義徳さんと犬山イヌコさんの夫婦が
変わっていく様がなんとも哀しい。
おっとりとした高橋惠子さんが実に自然。
山崎一さんが語るオーソン・ウェルズ「宇宙戦争」
のラジオ放送も素晴らしい。

この家を舞台に様々な悲惨な事件が起きる。

ネタバレBOX

その後三人の兄弟の間でのわだかまりも解けて、
みんなが家を後にする場面を観るとき、
揉めたり争ったりしていた頃を
実際に経験したように懐かしく、
切なく感じて感動してしまいました。
やけたトタン屋根の上の猫

やけたトタン屋根の上の猫

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2010/11/09 (火) ~ 2010/11/28 (日)公演終了

満足度★★★★

あの有名なテネシー・ウィリアムズ作品をこのキャストで堪能。
まだまだ観劇初心者の私は、この有名作も観るのは初めて。
エリザベス・テイラー、ポール・ニューマンの映画版
「熱いトタン屋根の猫」も有名ですが未見、今度観てみます。

話は、アメリカの富豪家族の遺産相続が絡んだ愛憎劇。

とにかく第一幕55分は、寺島しのぶさんが終始しゃべりっぱなし。
でも飽きないし、だれない。
引きつける演技力、パワーはさすがです。
自然で無理やり感が無い。

そして休憩後、二・三幕では、北村有起哉さん、銀粉蝶さん、
木場勝己さんらのぶつかり合いをじっくり堪能できました。

検察側の証人

検察側の証人

東宝

ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)

2010/11/17 (水) ~ 2010/11/25 (木)公演終了

満足度★★★★★

アガサ・クリスティーの脚本がとにかく面白い!クライマックスで畳み掛けるようなどんでん返しに感服!
推理サスペンス劇の上演は本当に少ないので、
ずいぶん前から本作を楽しみにしていましたが、
『面白かった!』脚本がとにかく面白い!
クライマックスで畳み掛けるようなどんでん返しに感服!

原作短編小説の初出は1925年の雑誌、1933年に書籍刊行、
クリスティ本人による戯曲が1953年初演というもはや古典。

さすがクリスティだけあって、推理劇の面白さだけでなく
女性の心理が事件に巧妙に絡んでいて秀逸。
検察の証人となるドイツ女性だけでなく、中年女性の
使用人の描写もうまい。
クライマックスで情を絡ませながら、観客を少し
泣かせながらどんでん返しさせるとはすごい。

また、『いかにもという配役』もまた楽しい。
浅丘さんはドイツでのステージシーンもまばゆく、
しかし厳格なドイツ女性の演技、そして一転、
深い愛情をあふれさせる変化が見事!
渡辺徹さんは善良で賢明な弁護士を好演。
風間トオルさんの率直な青年像もそうですが、
鶴田忍さんのちょっと弱気な?警部、そして
極め付きは松金よね子さんの中年のメイドという
『いかにもという嬉しい配役』は、観る前から
わくわくしてました。

ふと考えると、外国人を日本人俳優が演じる
ミステリーなんて、当然かもしれませんが「演劇」
「舞台」でしか実現できませんよね。
ドラマか映画にするには日本を舞台にする、
とか翻案するしかない。
そう考えると、「舞台」は本当に面白いものです。

ちなみに、1957年に映画化された「情婦」
(監督ビリー・ワイルダー)では容疑者を
タイロン・パワーが、その妻のドイツ女性を
マレーネ・ディートリッヒが演じてました!

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