れいの観てきた!クチコミ一覧

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キズツクキカイ

キズツクキカイ

たすいち

ザムザ阿佐谷(東京都)

2014/10/09 (木) ~ 2014/10/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

たすいち史上ぶっちぎりの面白さ。
と言っても全部観ているわけではないのですみません、ですが。私が観たたすいちではぶっちぎり、ダントツで面白かったことをまず記します。たすいちの演劇、ということは置いておいて。このお芝居は、日本全国民のみならず、妖怪も八百万の神様達もこぞって見に来るといいほどの、誰にでも楽しめる国民的エンターテイメントだと感じました。妖怪と人間の痛快なファンタジーの物語を小さなお子様が観てずっと笑っていたのも印象的で、これを観たら演劇を大好きになるんだろうな、娯楽として演劇を楽しめる人生を送れるんだろうななんて思いました。登場人物もみんな魅力的で愛らしく、目崎さんの脚本の優しさも相まって、私に子供がいたらこれを見せてあげたいなって心から思える素敵なお芝居でした。

ネタバレBOX

たすいちの作品、と考えると。非常にテンポの良い演出、オリジナル音楽の秀逸さ(駄目なダーウィン舎の山光涼くん)、常に付きまとう謎でお話に釘付けの脚本、効果的な美術や照明等々、どれをとっても過去最高。いつのも間にこんなに自信に溢れた作品を目崎さんが出してくるようになったのかな、と考えると。やはりキズミ役を演じた永渕沙弥さんの劇団員化が大きいのではないのではないかなと思いました。

野澤太郎さん演じる主人公の、目崎さんを投影した小説家・唱が生み出した、心の痛みの妖怪であるキズミ、その登場時から鮮烈。セーラー服でナイフを手に人間の心も妖怪の心も裂いていく妖怪アクションは彼女でなければ演じられない妖しさ。これから心に痛みを感じたときは常に彼女が傍にいるような錯覚を覚えそうで、数々のキャラ立ちした人物を演じてきた彼女の中でもやはりぶっちぎりで愛着を持てました。

また、初めて観たたすいちに劇団員として参加していた窪田裕二郎さんが、素晴らしい演技力を持ち帰って客演していたことも印象的。他の劇団では狂気的な役ばかりを観ているけれど(たまたま?)、笑顔での演技も素敵でした。

その他のキャラクター達も本当に魅力的で、見ていて終わってしまうのが寂しかったほどです。これ、シリーズ化できませんかね^^ サイドストーリーの短編集とかあっても楽しいかも。

なお、唱には結構感情移入してしまって、観ていて一緒にキズミにグサグサやられてました笑 真の悪人(悪妖怪も)は存在しない世界観も、心の痛みが妖怪を生み出すという発想も。目崎さんて心底優しい人だなぁと感じ、心が温まりました。
生きると生きないのあいだ

生きると生きないのあいだ

ティーファクトリー

吉祥寺シアター(東京都)

2014/09/27 (土) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

初めての感触
役者陣の素晴らしさ・・・特に、川口覚くんの素晴らしさは後述するとして。脚本の手応えが、こんな演劇を見たのは初めてというくらいの新鮮な感触で。台詞に使われている言葉に特に難しく耳慣れないものやキラキラした響きもないものの、その積み重ねで実に重厚な、年を重ねた人生のような力強さを感じました。それを発する役者さん達の力量・・・。柄本明さんがとにかく秀逸。もはやそれは台詞ではなく、表情の一つ一つもどれもが演じているというよりは彼のリアルそのもの。その柄本さんに少しも引けを取らずにW主演を努めた覚くんも、発する声から周囲の見えないものをリアルに見せるという素晴らしい表現能力を見せ付けてくれました。数々の生き物、吐き気をもよおすほどの死体・・・シンプルな舞台にそれらが見えるようで、ときには温かな気持ちになったり、ぞっとしたり。濃密な演劇の時間でした。ありがとうございました。

ネタバレBOX

そして、大好きな岡田あがささんも、出番は多くないものの素晴らしい存在感でした。最初の真っ赤なドレスはどこかしっくりと来なくて、強がりであるとか寂しさであるとか、そういったネガティブな感情を感じさせられたのに。最後のオレンジ基調のドレスでは彼女自身の心の美しさが溢れ出るようで、あまりの可愛らしさにうっとりとしてしまいました。1週間でこの舞台を2回、そして間にツリメラライブ。幸せな日々を過ごせました。ありがとうございました・・・!
恋の文化祭 〜恋せよ乙女、恋愛短編集〜

恋の文化祭 〜恋せよ乙女、恋愛短編集〜

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/09/11 (木) ~ 2014/09/26 (金)公演終了

満足度★★★★

心地よい予定調和
文化祭的ノリの良い恋のお話のオムニバス。すべては温かな流れでハッピーエンドと分かっていても、こうした予定調和が心地よい公演もあるんだなぁと思いました。それぞれの物語に自分の恋の思い出を重ね、特に劇中に大好きだった人と同じ名前の人が出てきちゃったりするともうときめいてときめいて(笑) なんだかほっとする演劇でした。ちなみにお気に入りは武蔵野線の話。埼玉県民ですのでね。事情が分かりすぎちゃってずっと笑ってました。そして、気になる女優さんが。・・・長雄瑞穂ちゃん。その細やかな表情の変遷から目が離せませんでした。

ネタバレBOX

武蔵野線沿線、ほんと何もないんですよね(苦笑) でも、スカイツリーが見えたときの心情に自然と寄り添えたとき、埼玉県民でよかった初めて思いました笑
六悪党

六悪党

トライヲンズ

下高井戸 HTS(東京都)

2014/10/01 (水) ~ 2014/10/13 (月)公演終了

満足度★★★★★

幕末スペクタクル!
キャパ40席くらいの対面客席で、大河ドラマのような幕末活劇が観られました!漲る緊張感と圧倒的な迫力で、このお芝居をこの箱で・この金額で観られることはかなりお得で幸せ。中でも、虚構の劇団を退団以来に拝見した山崎雄介くんが壮絶。芸術的なまでに均整のとれた肉体から繰り出す殺陣のキレや和装での立ち居振舞いの美しさが凄まじく、目力の強さが益々冴え渡ってまるで映画を見ているかのような光景で魅せ続けてくれました。彼の演技を観るだけでも、下高井戸まで足を運んだ甲斐がありました。確実に、こんなに狭い場所で観られる役者さんの実力ではありません。とても素敵でした、観て良かったです(^o^)

ネタバレBOX

土田祐太さんという方も突出した存在感で引き付けてくれました。決して明晰ではないけれど忠誠心が高くて志が真っ直ぐな足軽というキャラクターを見事に体現。声が野太く確りとしていて、やはり小さな箱には留まらない、華のある役者さんでした。三上陽永くんも、ホームの虚構より伸び伸びとしていて楽しそうに見えました。杉浦くんはピュアでよかったけれど、半分くらい瀕死だったので、元気な姿をもっと観たかった(というのは単なる我がままですね(^-^;))

一つ気になったのは、ふんどしだけのシーン・・・それまでのとてつもない緊張感が途切れてしまったので、正直、「笑い」の要素としてのシーンはいらなかったかなぁと思いました。笑いは入れなくても、同じように脱いでいく方が、観客としてはドキドキしてしまったかも。そして、笑っていいかどうか迷ってしまったかも。そのくらいのニュアンスの方が、全体的なバランスが良かったんじゃないかなぁと思いました。それにしても、役作りで減量したという山崎くん。素晴らしいビジュアルでした。もちろん裸も(*>_<*)
非常の階段

非常の階段

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★

吉祥寺シアター。
やはりアマヤドリは吉祥寺シアターが良く似合います。暗く美しい照明は劇団が描き出す人間や人生そのものに思えて、日常を、未来を前方向だけにスポットを当てて生きている自分に警鐘を鳴らされているようにさえ感じます。それにしても、いつも切ない。役者さん達の透明感・・・どんなに人間を深く抉っても漂う透明感。私にはやっぱり難解で、思考をフル回転させないと置いていかれてしまいそうになりますが、舞台から浮かび上がる透明感、その俯瞰が心地よくて客席に向かうのかななんて今回感じました。ちなみに客演のレベッカちゃん、いつも素朴で可愛らしい印象ですが(思えば中学生役しか見たことがなかった、、)今回、物凄くきれいでした。びっくりした!あとあと、やっぱりアマヤドリの乱舞は素敵です*

レッドパージ2〜SHIRU〜

レッドパージ2〜SHIRU〜

あんかけフラミンゴ

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★

ぶっかけフラミンゴでした。
赤字返済公演にして活動休止公演。なのでやりたいことをやらかして言いたいことを全部言い切った、そんな印象。純粋に、単独の演劇として観るには厳しいなと感じたので☆は4ですが、今まであんかけフラミンゴを見守ってきたファンとしては台詞や演出の一つ一つが実に感慨深い公演でした。

ネタバレBOX

汁男優5人が所属俳優の笹木皓太くん・酒井桃子ちゃんに精液をぶっかけまくるラストが不思議と美しかったです。使い古された上からキラキラと何かが降ってくる演出のような安易さはなく、あんかけフラミンゴという劇団を語るには充分のシーン。ああ、本当に休止しちゃうんだな・・・いつか帰ってきてくださいね、島田さん。あなたは「演劇が嫌い」と言ってましたが、私は好きですよ、あなたの演劇。

あとね、「演劇人(自称)死ね」には激しく同意。狭い世界だから小さい人間が正義を振りかざして成り立っちゃう。そんな小劇場の癌的な部分も早く死ね、ですね。
親愛なる我が総統【ご来場ありがとうございました!次回は4月!】

親愛なる我が総統【ご来場ありがとうございました!次回は4月!】

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

また超えてきた。
あの大傑作「治天ノ君」をどう超えるのか、という思いを劇チョコには感じていたのですが、またもや凄いものを見せていただけました。冷たく暗く、しかしどことなく漂うフェティッシュ感漂う演出はとても私好み。そして、淡々と誠実に「虐殺」について証言するヒトラーの部下である収容所所長に、人としてその境遇にいたら私も同じ行動を取るだろうし同じように証言するだろうなぁなどと共感しながら見ていたのですが、とんでもなかったです!クライマックスで「人間」を露にする彼。背筋につららで裂かれたような衝撃が走り、リアルに口の中に苦渋が満ちました。。恐ろしい演劇体験。やはり劇チョコ、絶対に目の離せない劇団です。今回特に、主演の浅井さんが素晴らしかったです!

谺は決して吼えない

谺は決して吼えない

一色洋平×小沢道成

王子小劇場(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

最高のタッグ。
これほどまでに表現に貪欲で、誠実に時を生きる役者さん達の二人芝居が観られたこと、心から幸せに思えます。しかし二人芝居にとは思えない空間の拡がりを感じたのは、巧みな脚本・音楽、その他スタッフワークの力強さにもよるのかも知れません。脚本は劇団や役者の話であるにも関わらず、楽屋オチとは全く感じない人間物語。時空を超えて、有間皇子やドラァグクイーンの演じ分けを楽しそうにこなす二人・・・そのしなやか且つ強靭な身体能力に目を見張ったり、茶目っ気の多いコミカルな演技(アドリブは殆ど無いとのこと)に笑い転げたり。楽しい楽しい時間を過ごせました。心からの幸せを感じました。ちなみに動員は600人以上、老若男女様々な層が占める観客席を見て、6年近く観てきた小沢道成くんと、今回急激に思い入れを深めた一色洋平くんの明るい未来に思いを馳せざるをえませんでした。なお、客席でお会いした某素敵役者さんが、終演後に「この二人は化け物だと聞いていたけれど、想像以上に化け物だった」と仰っていたことが印象的。別の役者さんは青褪めてました(^-^;)

デジタル

デジタル

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

可愛らしい作品。
以前からそのパフォーマンスをがっつり観てみたいと思っていた木皮成くんが振付・出演とのことで、とても楽しみにしいいました。うさぎストライプさんは初見で、作風も評判も全く耳に入れずに見たのですが、全体的に漂う可愛らしさはこの劇団特有のものなのかな?終始笑顔で楽しく観られたのですが、実は、成くんの類稀なる身体能力のダンスや、愛らしく振付けられた皆さまのパフォーマンスに目を見張るあまり、お話が全然頭に入ってきませんでした(^-^;) しかし成くんに学ぶことはとても多く・・・役者としてでなく、ダンサーとしての身体を持つ彼の醸しだす色気・・・それはミュージシャンにも通じることだと思いますが、「他人を演じる」役者さんと違い、自身の魅力をそのまま舞台の上に持ってくるので、舞台を降りてもその魅力に観客としてはクラクラしてしまうわけで・・・正直、参りました(苦笑)

安部公房の冒険

安部公房の冒険

アロッタファジャイナ

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/08/23 (土) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

前知識無しで観ましたが、
台詞量の多い濃密な脚本にも関わらず、時代背景も物語もとても分かりやすく、終始楽しんで観られました。佐野さんが流石の圧巻、安部公房という私にとっては時代劇の中の人も(昭和って既に時代劇ですよね、)リアルにその場で生きていて。芝居ではなく安部公房その人を観ているよう。物語前半は男と女としても輝いていた安部夫妻が、時を経てつまらない男女になっていく姿に長い長い人生を見て、自分自身の人生と重ね、なんとも言えない切なさに包まれたり、恋愛感情で胸が痛くなってラストの縄田智子さんの慟哭とともに号泣したり。アロッタの作品としては1時間30分と異例の短さでしたが、そこには確実に人生と時代とが描かれていました。欲を言うと、私は松枝さんの持つ独特のフェティッシュ感が好きなので、やはり松枝さんの演出作品が観たいな、と。内田明くんが演じた道化が安部公房を「あべこべ先生」と呼ぶところがなんともアロッタ感に満ちていてとても好きでした。

マクベス

マクベス

NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)

あうるすぽっと(東京都)

2014/08/16 (土) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

うーん。。
一つのマクベス作品として、加納さん演出・スズキさん振付他、役者さん達の演技を楽しむことは出来たものの、「子供に見せたい」となるとどうかなぁなんて思ってしまいました。古典は同じ戯曲をどのように表現するかという観方があり、そういう意味では楽しめたのですが、スーツを着たオールメールでの上演だったらやはり子供の騒ぎ声は不似合いだったかなと思います。しかし加納さんの描くマクベスにはかなり興味がありますので、花組芝居で是非観てみたい、です。

ハムレット

ハムレット

京都芸術センター

あうるすぽっと(東京都)

2014/08/01 (金) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

意外にも真っ当な古典でした。
杉原邦生さんの演出を観るのは初めてですが、衣装こそ無国籍・時代不明だったものの(アメリカンオールディーズっぽかったかな?)、演技は実に真っ当な古典を踏襲したものでした。古典好きの私には役者さんの台詞が心地よく耳に届き。特に、ハムレット役の男の子(若い!)と、ホレイショ役の福原冠くんの台詞に聞き惚れてました。熊川ふみさんの歌声の美しさも。美味しいところを持っていくフォーティンブラスの登場シーンもカッコよく(このシーンがやりたいがためにハムレットを上演したのではないかと思うほど笑)。2時間半、楽しんで観ました。あ、音楽もカッコよかったです!

ネタバレBOX

冠くんを初めて観たのはまだ彼が「国道五十八号戦線」のメンバーだった頃で。確か23歳とかでその演技力に舌を巻いたものでしたが、大人の男性になって安定感が増してますます素敵になりました。。(しみじみ)いつか彼のハムレットも観てみたい。そして笹木皓太くんのハムレットも観たいです。ハムレットという役はそれほど魅力的で。きっと演じることで一回りも二周りも大きくなれる役だと思うのです。
【不帰の初恋、海老名SA】【カラシニコフ不倫海峡】

【不帰の初恋、海老名SA】【カラシニコフ不倫海峡】

MAパブリッシング

ウッディシアター中目黒(東京都)

2014/07/29 (火) ~ 2014/08/01 (金)公演終了

満足度★★★★★

川口覚×ハマカワフミエ。
私の中で、今考えられる最も素晴らしいペアの朗読劇をマチソワで拝見。その期待に違わず、この上なく幸福な時間を堪能させてくれました。音楽はなく、大小沢山の蝋燭の中でしっとりと交わされる往復書簡(メール)。役者としての力量が十二分にあるお二人の、刹那刹那を誠実に生きる声の演技は、二人を包む空気までもが艶やかな光を帯びるようで。特にソワレは、ハマカワさんの悲痛な告白に引き出されるように覚くんの目からも涙がこぼれて(覚くんの涙を見たのは、私は初めてです)。これほどまでに切なく共鳴しあう役者同士の邂逅が奇蹟のように思え、元々大好きなお二人がもっともっと愛しく思えるようになりました。幸福な時間をありがとうございました。

ネタバレBOX

覚くんの、硝子のように透き通った美しい瞼や瞳、そして頬を至近距離で堪能できて超幸せ(笑)

そして、ハマカワさんが演じたフミコの儚い愛らしさもずっと心に残っています。メール内で「待田さん」と打つところを「侍、と打ちました」と嘘をついたり。待田の妻の真似をして「女王の穴と雪」とおちゃらけてみたり。最後の、「直接心に呼びかけています」も、死んでなお茶目っ気を忘れないトコが可愛い。そこは笑うとこだと思うのですけど、流れ的に感動しすぎて笑えなかったです(苦笑)

以下、Twitterでつぶやいたコピペ。

カラシニコフ不倫海峡について考えてる。付き合って、結婚して、共に未来を歩む以外の恋愛の妙。これはある程度年令や経験を重ねないと細かな揺らぎまで感じ取れないのかなぁなんて思う。
posted at 11:46:20

経験則だけど、女性の8割方は不倫とか人に言えない恋愛を経験していると思う。経験の浅い頃は、何回目のデートでキスとかその何回目か後でセックスとか、マニュアルに沿って急く体を制御しながら共に未来を希望に溢れる恋愛を辿ることが「普通の幸せな恋愛」の過程。
posted at 11:54:32

ところが、一人の相手と死ぬまで全くのブレもなく寄り添えるなんてことはほとんど無い。どんなに愛し合った二人でも、信じられなくなったり、触れたくなくなったりすることはいくらでもある。愛情はあっても家族愛のようになってしまってセックスレスになるなんてこともある。
posted at 12:04:08

長い人生の中、特に沈んだ時期にあって、自分を女だと自覚させてくれる人がいたら、背徳に怯えながらもその悦びに浸る瞬間の恍惚感に、後先考えずのまれたいと感じると思う。人に言えない、未来のない恋愛に不安や罪悪を感じながら、刹那の快楽に価値を見いだすことを、多分、多くの女性が知ってる。
posted at 12:13:56

二人がホテルにチェックインしたのは19回。今回は最後までしようね、との言葉は叶わなかった。じゃあ19回はベッドな中でどんな風に過ごしたのか。語られた以外を埋める想像力を持ち合わせた人生を持つ女性は豊かで美しいと、そう思う。
posted at 12:19:22
肥後系 新水色獅子

肥後系 新水色獅子

あやめ十八番

小劇場B1(東京都)

2014/07/23 (水) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

音楽が牽引する美しい劇。
今回の楽隊は吉田能さん率いる「花掘レ」+。前回公演ではオールディーズや昭和歌謡のアレンジが殆どでしたので彼の真の実力は発揮されていなかったと思うのですが、今回はそれが十二分に炸裂。花掘レ独自の魅力とともに、堀越涼さん率いる「あやめ十八番」の魅力を余すことなく表現した可憐かつ壮麗なオリジナルサウンドトラックを聴いていると、今でも美しい照明に彩られた光景がありありと目の前に再現されて。終演しても物語をなお愛しく、透明感のある記憶にと昇華してくれるのです。今回、全て楽隊のアクションが観られる席(特にピアノを弾く能さんの表情が見える、中央よりは外れた席が一番のお気に入り。)で拝見しましたが、私には楽隊が視界に入らない観方は在り得ませんでした。音楽劇という総合芸術としてのあやめ十八番が最高に輝いた作品だと思います。幸福な、この上なく幸福な公演でした。ありがとうございました。

ネタバレBOX

舞台は、女子高演劇部。顧問の男性教師・塚田(和知龍範さん)は元々脚本家志望で、「教師なんて仕事には興味が無くつまらない」という厭世観で女生徒を喰い散らかすクズ野郎。遊ぶなら大人の女にすればいいのに、その後禊で謝りに行くとかほんとどうしようもないな、と結局最後まで彼を好きになることは出来ませんでしたが(笑) 思うのは、このクズ野郎を主人公に据えて、言い訳も美化もせずに描ききった堀越さんの物書きとしての姿勢。森鴎外にその爪の垢を煎じて飲ませたいくらいの潔さ。これは私の経験則なのですが、物語を紡ぐときはどこかしら自分を登場人物に投影するもので、読む人は少なからず登場人物=書き手と思いこんでしまう。だから今回も、沢山のフェイクに塗れた堀越さん像を塚田に見出す人が多いはず。それを臆することなく舞台に載せた器の大きさ。感服です。

そして、物語の冒頭・枕部分で堀越さんのお話を聞いていて、「嘘」と「真実」の境界線を曖昧にされたまま物語へと引き込まれていく・・・。音楽やダンス等SHOW的要素も多く、脚本も多重構造で構成されているため、一回観ただけでは複雑で難解だと思う方も多いかもしれません。しかし物語は、実はいたってシンプル。「ヤリ○ン教師が本気の恋をして、やはり本気で好きだった昔の恋人に天国に連れて行かれちゃった」というお話。しかしその輪郭を曖昧にしてぼやかした表現で全体を彩る堀越さんの手法は、まだまだ「好きな人は好き」というコアな魅力に思われますが、きっとこれから回を重ねることで(18回まで続くとのこと)驚くほど研ぎ澄まされていくことでしょう。

なお、私は田山の正体はやはり千香だと踏んでいます。今回のテーマは「嘘」とのことですが、「千香ではない」と田山が答えたことがこの物語最大の「嘘」。そして、お祭りであの世から千香に会いに来た塚田を待ちぼうけさせることが、20年も待たせた彼への、彼女のささやかな復讐なのではと思います。

この、塚田を演じた和知くん。今までに何度か拝見していますが、今回は突出して素晴らしかったです。初めて観たときはまだまだ若くて、童顔に似合わない低音ボイスで魅せてくれていましたが、男性として安定感を醸しだしてきた現在、クズ野郎でも憎めない不思議な魅力を堪能。これも堀越さんの演出の妙。素敵でした。

そして、私は金子侑加ちゃんという女優さんが大好きになってしまったみたいです。凛とした瞳。美しい鼻筋の横顔。彼女が演じた「美鈴絢子」の、年齢に似合わない「耐える女」っぷりが心にしっとりと残っていて。どんな風に彼女が塚田に思いを寄せたか。どのように高まる気持ちを抑えて愛に身を沈めたか。きっと、自分を押し殺して押し殺して、そのうち押し殺したという事実さえ忘れるほど塚田を深く愛していたのだと、そう思います。塚田が彼女の深い愛に気付いたなら、あんな悲劇は起こらなかったのではないかな・・・。また、前回公演に続きタイトルロールの「水色獅子」の舞を任されるあたり、堀越さんに絶大な信頼を得ているんだなと実感させられます。これからも要注目の女優さんです。

今回からあやめ十八番の副代表となり、ヒロイン・仁美を演じた大森茉利子さんは、壮絶な美しさで魅せてくれました。純潔の象徴である白百合を手に、自分のもとへと塚田を連れて行くクライマックスは、音楽の美しさと相乗効果で天に向かい螺旋を描くように昇華されて。このシーンを演じることができるのは、あやめ十八番の代表である堀越さんが演劇の世界を共に生き抜くパートナーとして選んだ大森さん以外にあり得ません。あらすじを読んだときから「この物語は堀越さんの大森さんへの壮大なラブレターになる」と思っていましたが、どうやらそれは当たったようです。

一つだけ難を言いますと、物語の核となった「百合の花の中で眠ると死ぬ。最も美しい死に方」というファクターは、Twitterでは結構昔から出回っていてRTされまくっている情報だったりして・・・。なので、耳にしたときに「Twitterで得た着想なのかな」と思ってしまってちょっと冷めてしまいました、、新鮮な、未知の感覚を望むのは贅沢なものかなのかなと思いつつ。2回目以降はそんな感覚も忘れて楽しめたのも事実。

そして・・・今回の物語は、個人的な恋愛事情と絡んで非常に美しく切ない物語として私の心に刻み込まれました。この辺りは誰にも言いたくないし文章に残したくない。あとでひっそりと、私の心を振るわせてくれる人に伝えられるときが来たらいいなと思います。女子高生の年齢はもうとっくに過ぎてますので彼女達のように白百合を散らすことはないけれど。人生のひとときに彩を添えてくれる恋の気持ちはいつでも大切な宝物です。それを抱きしめて日常を生きることの妙。そんな儚い幸せをも、演劇は私に優しく教えてくれます。
河童

河童

DULL-COLORED POP

吉祥寺シアター(東京都)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

河童の国へようこそ。
思い切って言ってしまいますが、今までに吉祥寺シアターで観た演劇の中では最高にドキドキした舞台。最後から最後まで楽しんでしまいました。仄暗い河の底の河童の世界で繰り広げられる、正にダルカラードでポップな物語。最大限にキャッチーながら芸術としての妥協は許さない、エンターテイメントとアートのギリギリのバランス感覚を舞台で炸裂させる谷さんの手腕に唸らされました。この大舞台の主演を担うのは、若干22歳の一色洋平くん。彼の序盤の語りからグッと引きつけられて、目の前の舞台の光景がどれも河童の異質感・・・両生類(ですよね?)のヌメリ感-しかしそれは決して不快ではない-に満たされた美しい舞台でした。凄い、素晴らしい、楽しい、他、全ての賛辞をこの舞台に捧げます。リピートどころか毎日通いたいくらいの楽しさでした。

ネタバレBOX

ダルカラの3人の女優さんが可愛くて可愛くて・・・特に、りなちゃんの少年の声、えりっくのアイドルステージ(38mmなぐりーずのときより何百倍も魅力が引き出されてる!)、そして百花さんの河童としての身体能力・・・なんて素敵な女優さん達なのでしょう(TT)

音楽の岡田太郎さんのベースやギターの生演奏が観られて俄然体温が上がりました!笑 あああああカッコいいカッコいい・・・ライブ観に行きたいです・・・

ナカヤマミチコさんはやはり怪物的な立場で(苦笑) イケメン相手に長々と騎乗位・・・なんだかだんだん綺麗に見えてきて、物語の進行とともに、自分が河童と人間のどちらであるか、感性を疑うようになってしまいました。。

そしてお楽しみは、休憩時間の舞台上での盆踊り笑
2時間10分だったら休憩いらないのに、と思ったけれどこの時間を設けるためだったのですね*
観客が舞台に上がれることなんて滅多にないので、踊れもしないのに舞台に駆け上がりました笑 役者さんに教えてもらいながら一緒に踊って、河童の世界に同化しました。すごくすごく楽しい思い出になりました、ありがとうございました*
ビー・ヒア・ナウ Be Here Now

ビー・ヒア・ナウ Be Here Now

文化庁・日本劇団協議会

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2014/07/10 (木) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

虚構の「旅団」。
虚構の劇団のメンバーが、鴻上さんの元を離れて別の演出家と旅に出る・・・そんな「旅団」の公演。印象としては、前回の木野花さんの作演の何百倍もイイ。映画畑のアクションを得意とする深作健太さんの、虚構の劇団員の方達の魅力を探る視点が実に秀逸で。鴻上さんの舞台では当て書きでいつも印象が同じような役ばかりを演じている役者さん・・・特に三上陽永くんや杉浦一輝くんの男性的魅力をキレキレの演出で引き出していて、そのお二人のこんなにセクシーな演技が観られるとは思わなくて、とてもとても嬉しくて舞台に釘付けになって観てました。大好きな小沢道成くんはさすがの器用さで胡散臭い役を演じてましたが、虚構初見の22歳の頃は女の子のように可愛かったのを思い出して、6年経った今、色々な意味での成長に感慨深く思ったり・・・笑 ああそして七味さん。素敵でした素敵でした。前回本公演の根本宗子さん同様、虚構に新しい風を吹き込んでいました。

ネタバレBOX

七味さんの宇宙意志が降りてくる演技を見て、数週間前に偶然すれ違ったAPAホテルの女社長を思い出しました・・・笑
ネバーランド

ネバーランド

少年社中

青山円形劇場(東京都)

2014/07/08 (火) ~ 2014/07/15 (火)公演終了

満足度★★★★

再演。
4年前の初演は、タイガーリリー役の小野川晶ちゃんお目当てで行きました。そのときはま存在を知らずに後ほど好きな役者さんとなる安藤理樹さんやザンヨウコさん・・・そして山川ありそさんら観たいキャストが目白押しで今回とても楽しみにしていました。確かにキャストさんは素晴らしかったです。しかし、再演となると・・・初演と全く演出が変わらないのは残念だったかも。何かこう、初演を観ている人でも楽しめる新しい要素が欲しかったかなと思います。ちなみに初演は序盤から素敵過ぎて泣きっぱなしでした。壮大な音楽、殺陣・・・フック船長のカッコ良さも同じなのに、初演から進化をと望むのは贅沢なのですかね、、

神の左手

神の左手

キコ qui-co.

Ito・M・Studio(東京都)

2014/07/03 (木) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

神の左手、悪魔の右手
やはりこのタイトルは楳図かずおさんの恐怖漫画を思い出す・・・と作演出の小栗さんに言ったところ、「タイトルが大好きで、でも読んだことはない」とのことでした。通りで繋がらなかったわけです笑
それはさておき。過去に観たキコの「LIVE FOREVER」「赤猫の舌」同様、絶望のまっただ中から溢れ出る希望と生命力・・・そのキレキレの感性は、会話劇という形をとっても如実に現れていて、ああ、あの頃・・・震災後の絶望の頃に私の腕をしっかりと掴んで引き上げてくれたキコ健在だ、と涙が出るほど嬉しかったです。欲を言うと、「神の左手」を持つ恐ろしい力の持ち主・浦井に神掛かった空気感が欲しかったかな、と。演出的にはどんなに修羅場が繰り広げられても机の上に在る水の入ったコップ等が生きていたのですが、なんとかこう、不思議な力を持っている存在感が欲しかったかな?吉田さん演じたアラナが命を賭して、最後のセックスをしたいと思える相手にはちょっと思えなかったのが心残り。

ネタバレBOX

女は欲情後、着床しないと死ぬって。考えてみればセックスの目的って生殖だから本来は本来であるのだけど。人間はセックスを生殖ではなく、愛の表現や征服欲と考えてますよね。だからこそこうして芸術も産まれる。

終演後の小栗さんのツイッターでのご挨拶が素敵でした。
「東京の、愛や恋やキスやセックスの平均温度が少しでも上がるようにと、作った作品です。」

観たあとで上がったかどうかは内緒です♪
Fight Alone 4th

Fight Alone 4th

エムキチビート

エビス駅前バー(東京都)

2014/06/05 (木) ~ 2014/06/30 (月)公演終了

満足度★★★★

Fチーム観劇
タイトなスケジュールをなんとかやり繰りしてFチームを観ました。元吉さんにはFA1の「走馬燈」で10分間(当時の制限時間)の実に2/3以上を泣かされたのですが、今回は役者業を離れてもう長いから泣かされることはないだろうなんて思ってました、実は。しかし、別の意味で死にそうになりました。死ぬほど泣いたし、泣き叫んだし、次の観劇まで精神活動が止まってしまったほど。演劇は楽しんで観るものだと観劇初心者だった私に教えてくれたのは他ならぬ元吉さんでしたが、こうして楽しむだけが演劇ではないと今回教えてくれたのも元吉さん。きっとこの方の演劇も一生観るのだろうなと強く思わされたお芝居でした。

ネタバレBOX

一つだけ・・・投票し忘れました。ごめんなさいm(_ _)m

あと、シャトナーさんは流石でした。バー空間が宇宙空間に思えました。
前回優勝のおぼんろの末原拓馬さんも同じバー空間をダークファンタジーに色染めましたが、覇者の条件は「空間を変える力」そこにあるのだなと思います。
来年はどんな覇者に出会えるのか楽しみです。なんとかスケジュールをやり繰りして、もっと観たいなぁ、と。

そして萱さん。とシャトナーさんと別のチームだったら中嶋さん脚本の萱さんが勝ってたかもしれないと思いました。オープニングの選曲が実に中嶋さんらしくてアガりました。
南北オペラ~水下きよしの歌声が蘇る!~

南北オペラ~水下きよしの歌声が蘇る!~

花組芝居

セーヌ・フルリ(東京都)

2014/06/21 (土) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

オペラでした。
それは歌劇でもあり、スペースオペラのようでもあり(笑) 伝統芸能に根を下ろし、そこからの壮大な発想の飛躍・・・笑いの多い脚本、サイケデリックなヒッピーの衣装、少し古い時代の様々なオマージュを交えた音楽等々、加納幸和という方の並外れた感覚とセンスにまずは圧倒されました。そして力強い男声合唱、確りとした役者さん達の演技に唸らされ、待機中は自由に笑ったりしている愛らしい姿にほっこりとされられ・・・初日だけと思っていたのに、あまりに楽しかったので当日券で2回追加して行ってしまったほどでした。終演した今も仕事中もずっと音楽が頭の中を巡っていて、なんて楽しい舞台なんだろうと余韻たっぷり。幸せな幸せな舞台でした。ちなみに一番のお気に入りは、大介さんが「大きな家じゃねーか、バーン」のときに素で大笑いしている美斉津くんの姿(笑)

ネタバレBOX

終演後の交流会で、等身大の水下さんのお写真の前で水下さんに話しかけていたら、知らないおじ様が声を掛けてくれました。あまりに水下さんのお芝居に詳しいのでお名前をお伺いしたら、水下さんのあの似顔絵を描かれた画家さんでした。なんだかとても素敵な引き合わせで、水下さんは沢山の人の心で生きているんだなって実感。幸せな日々でした。

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