満足度★★★★★
音楽が牽引する美しい劇。
今回の楽隊は吉田能さん率いる「花掘レ」+。前回公演ではオールディーズや昭和歌謡のアレンジが殆どでしたので彼の真の実力は発揮されていなかったと思うのですが、今回はそれが十二分に炸裂。花掘レ独自の魅力とともに、堀越涼さん率いる「あやめ十八番」の魅力を余すことなく表現した可憐かつ壮麗なオリジナルサウンドトラックを聴いていると、今でも美しい照明に彩られた光景がありありと目の前に再現されて。終演しても物語をなお愛しく、透明感のある記憶にと昇華してくれるのです。今回、全て楽隊のアクションが観られる席(特にピアノを弾く能さんの表情が見える、中央よりは外れた席が一番のお気に入り。)で拝見しましたが、私には楽隊が視界に入らない観方は在り得ませんでした。音楽劇という総合芸術としてのあやめ十八番が最高に輝いた作品だと思います。幸福な、この上なく幸福な公演でした。ありがとうございました。