珍しい凡人
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2011/05/04 (水) ~ 2011/05/11 (水)公演終了
満足度★★★★
静だが果敢に攻め込んだ作品
対面客席、そして二つのアクティングエリアを併存させた舞台美術を効果的に使用した演出が冴えていました。
震災後だからこそ出てきたであろう、身体の内側から溢れ出てくる台詞が、こころに響いてくる良い舞台だったと思います。
ザンヨウコさんのお母さん役は、小劇場界のビッグマザーともいえる存在感は貫禄とも言えるものでした。
次の公演も期待しています。
グンナイ
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
イムズホール(福岡県)
2011/05/28 (土) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★
観客の期待に応える作品
ガラパ初観劇でした。前回の東京公演は残念ながら拝見できなかったので、楽しみにしていました。
会場のイムズホールでは、400席弱程度の会場をほぼ満員にして、さらに客席には若い人を中心にそれなりに年齢の高そうな方もいて、とても幅広い層の支持を受けている感じがしました。
基本的にコメディー作品を上演し続けていて、今回は少々これまでのカラーと異なり、メッセージ性が今までより強くなったということを地元の方に聞きました。しかし、初めて観た観客からするとそこまで気にするほどのものではなく、どこからどう見てもエンタメ路線まっしぐらだったと思います。ただ、どこかで観たことのある感じがしてしまうのは気のせいでしょうか。
グラデーションの夜 《群青の夜》 《黒の夜》 《桃色の夜》
KAKUTA
アトリエヘリコプター(東京都)
2011/04/13 (水) ~ 2011/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★
三作品とも拝見しました
「群青の夜」「黒の夜」「桃色の夜」の三作品とも観劇しました。
「朗読の夜」シリーズとして確立してきたスタイルも、それぞれ一緒に組んだアーティストによって、異なるカラーを打ち出してきて、それぞれ楽しむことができました。
「群青の夜」の写真や映像を効果的に使った作品は、これまでのKAKUTAでは、あまり無かったテイストで今後の作品づくりにも影響があるのではと期待します。
また、「桃色の夜」のかれんさんの歌声は、作品を見事に艶やかな色合いに染めていました。
こうした3作品連続上演を実現する劇団としてのパワーと、企画力の高さがKAKUTAの魅力だと思います。次には何をしてくれるのかが楽しみです。
湯煙の頃に君を想う 舞台写真UPしました!!!
ホチキス
テアトルBONBON(東京都)
2011/04/13 (水) ~ 2011/04/19 (火)公演終了
満足度★★★★
優れたエンタメコメディー
観客をいかにして楽しませるのかが練り上げた作品でした。
小玉さん、加藤さんさんなどいつにも増してパワーアップしたホチキスの俳優が芝居をぐいぐいと引っ張っていました。
それにも増して、パワー全開で主役を演じていた渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス)が目を引きました。
裸の女を持つ男
クロムモリブデン
シアタートラム(東京都)
2011/04/16 (土) ~ 2011/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
妄想が疾走する
実際におきたたドラッグがらみの事件から、少しずつ妄想を繰り返すことで、全く現実とは異なる世界を現出させている。
妄想が繰り返されることで、現実のスピードとは異なった加速する世界が舞台上に展開する。
楽日に向かい、さらに加速感が増して、さらに作品の切れ味が鋭くなることを期待します。
ローヤの休日
ゲキバカ
王子小劇場(東京都)
2011/03/16 (水) ~ 2011/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★
女囚バージョン観劇
ゲキバカバージョンも拝見しましたが、女囚バージョンも観劇。
戯曲そのものは大きく変更しないでも、ジェンダーの違いからにじみ出てくる差がとても面白く拝見しました。
特に看守だけ男性をキャスティングすることで、描かれた風景がとても秀逸でした。
ローヤの休日
ゲキバカ
王子小劇場(東京都)
2011/03/16 (水) ~ 2011/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★
熱い心意気が伝わる舞台
初日ゲキバカバージョンを観劇。
開演前には、避難経路や誘導、スタッフの配置などについて説明があり、来場者への配慮が感じられました。
オープニングからエンディングまで、緩急とりまぜながら、高い身体能力を最大限に発揮した、ダンス、パフォーマンス、そして5人の男優が通わせる熱い想いが力強く感じられる舞台を堪能しました。
女囚バージョンも期待しています。
「したごころ、」【満員御礼!千秋楽を無事迎えることが出来ました!】
エビス駅前バープロデュース
エビス駅前バー(東京都)
2011/02/25 (金) ~ 2011/03/20 (日)公演終了
満足度★★★★
ドリンク片手に気軽に観劇
エビス駅前バーという本物のバーを会場であり舞台にして、バーに集う男女の悲喜こもごもを描いた1時間ちょっとのお芝居です。ある意味ライトな感覚で観ることが出来るようにしていますが、優れたキャストによる芝居の中身は本当にしっかりとしたもので、とても楽しめる作品です。
単純に作品だけではなく、バーでやること自体や、開演時間の設定や、手話通訳付きの回を設定したり、託児サービス付きの回を設定したりなど、劇場で無くてもこれだけのことが出来るのだということを見せてくれる企画にもなっています。
バーであることに気後れせず、お気軽に足を運ぶことをオススメします。
ネズミ狩り
劇団チャリT企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/03/03 (木) ~ 2011/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
期待に違わぬ良い舞台です
初演も拝見してとても良い作品だと思っていましたが、再演で拝見してもやはりこれは良い作品だと思いました。チャリT企画の王道ではありませんが、作・演出の楢原さんの得意とする、風刺性と批評性が絶妙なバランスでちりばめられた、良質な会話劇です。
中でも、主役のザンヨウコさんの、可愛らしさと凜とした強さを兼ね備えたキャラクターがとても魅力的です。
全体としては、初演とは大きく変わってはいませんが、さらにタイトな仕上がりです。初演を見た方も、見ていない方も、オススメです。
サザンカの見える窓のある部屋
カムヰヤッセン
小劇場 楽園(東京都)
2011/03/03 (木) ~ 2011/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★
人が記憶するということとは
三鷹での前回公演の多くの出演者で大きなストーリーを成功させ、今度は劇団員だけで、それも楽園という小さな空間で、もう一度自分たちは何故このメンバーと芝居をするのかということを再確認するかのような、コンパクトながらも凝縮された作品でした。
露出狂
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了
満足度★★★★
この先にある作品を観たい
女優だらけでも、力強い作品でした。柿喰う客の劇団員は3人だけと少数派ですが、どこからどう見ても柿喰う客の作品になっている点は、脚本家・演出家中屋敷法仁の力によるものでしょう。
2010億光年
サスペンデッズ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2010/05/22 (土) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★★
終わりなき未来に向かって
作・演出の早船さんも、やはり変態(演劇人としてのほめ言葉です)であったことを確認させてくれる作品でした。
ばらばらかと思っていた話のピースをきゅっきゅっとまとめ、未来に向かってというか、次の世に向かって進んでいく姿勢を感じました。
マクベス-シアワセのレシピ-
THEATRE MOMENTS
シアターX(東京都)
2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★
徹底したおもてなし精神
フィジカルシアターと呼ばれる手法を使い、道具・衣装もシンプルに、そして物語も出来る限りシンプルにすることで、お芝居を始めて観る方でも楽しめるようにハードルを下げようとする姿勢が、細部にいたるまで徹底しており、そこはまず感心します。
Do!太宰
ブルドッキングヘッドロック
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2010/05/14 (金) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★
映像トラブルが残念
過剰とか無駄とか言われかねないほどの、様々な要素を詰め込み、それを終盤に向かいぎゅっとまとめていくところなど、ケラさんの影響を感じますが、とてもそれを上手く消化しているように思いました。ただし、観劇した回が映像機器のトラブルがあり、オープニング映像からきちんと出ていなかったようです。途中で、これ以上は難しいと判断した演出家が出てきて中断し、映像機器を調整して再開しましたが、やはり本調子には戻らなかったようでした。
映像がある種重要な役割を果たしていたと、他の回を観劇した方から聞いただけに、その点はちょっと残念でした。
以降の公演への振替招待もアナウンスされましたが、三鷹という距離の問題と、スケジュールの問題でそれも出来ず。ブルドッキングヘッドロック本来のポテンシャルを測り切れず、ちょっと残念。
アメリカン家族
ゴジゲン
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★
家族の論理
作・演出の松居大悟の家族を題材にした、最低な家族のホームコメディー。これまでも、松居の作品は、あるグループ内における論理の正当性を守ろうとすると、外部から観るととても滑稽なことになっているといった風景を描いてきたんだと、この作品を観た後に、彼の作風が見えてきた。これまでに比べて大きな劇場ということで、シンプルながらも挑戦的な舞台セットをフルに活用した演出は見所でした。
ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】
elePHANTMoon
サンモールスタジオ(東京都)
2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
両バージョン観劇
<臓器提供者(ドナー)編>を先に観劇し、翌日に<臓器受容者(レシピエント)編>を観劇。臓器を提供される側の心理と提供する側の心理の差を極端ではあるが、人間倫理の本質をえぐり出した演出は、何とも心にぐさりと突き刺さりました。両バージョンとも、それほど長いものではなかったので、できれば同時に上演した方が、作品の意図を明確に提示できたのではないでしょうか。
ことりとアサガオ【舞台写真UPしました】
三角フラスコ
エル・パーク仙台 スタジオホール(宮城県)
2010/03/12 (金) ~ 2010/03/16 (火)公演終了
満足度★★★
丁寧な作品づくり
太宰治の原作は特に読んだ経験も無かったので、素直に作品を拝見しました。ポストトークもあり、それで理解できたこともありましたが、トークでの人柄が伺えるような、丁寧な作品でした。惜しいと思ったのは、作品の世界観に対して、劇場の空間が上手くマッチできていない感じがしたところでしょうか。もっと、小さく緊密な空間で上演されていたら、感じ方が異なったのではないかと思いますが。
また、ポストトークでお話しをお伺いしたかぎりでは、福島の劇団などのと交流もそれなりにあるようで、地方の演劇シーンの実態を垣間見ることができて良かったです。
月並みなはなし[2010]
時間堂
座・高円寺2(東京都)
2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了
満足度★★★★
繰り返し上演することで深化する
時間堂での再演に続き、今回もプレビューで観劇しました。
プレビューでも十分なクオリティを提示できる程に作品と向かい合った演出家、俳優との姿勢と、チラシ、舞台美術、上演とトータルカラーを細部にわたりこだわる、繊細さはとても素敵だと思いました。
決して派手な物語ではないのですが、登場人物たちのそれぞれの思いが、複雑に交差しながらも、その交点を鮮やかに描き出した演出は秀逸です。
Y時のはなし 【Vacant公演終了!Y時は次 5月に山口県YCAMとシンガポールにいきます!!!YCAM公演チケットは4月3日より発売!!!山口で会いましょう~~ぜひ】
快快
Vacant(東京都)
2010/03/04 (木) ~ 2010/03/06 (土)公演終了
満足度★★★★
おもてなし度120%
とにかく、自分たちの公演(イヴェント)の全てを、全ての人に楽しんで貰うためにはどうしたらいいかということを思いつく限りやり尽くしている感がします。そして、実際に楽しいし、それを感じ取っている人たちが集まってくるからさらにその効果は倍増していると思いました。
公演としては、学童保育(昼間働いている親を持つ小学生が授業のあとに預かって貰える施設。この場合は学校内に併設)を舞台にした、ほぼドキュメンタリーに近い物語を、語りと、人形などを上手く使いながら、ちょっと夢の世界が出てきたりしながら、30を前にした独身の女性教師、学童保育でアルバイトをする大卒のフリーター、そして学童に来ている子どもたちの、それぞれの生き様を、下手をすると稚拙と言われそうなぎりぎりのところにありながらも、分かりやすい言葉で表現することで、誰もが何らかの思いを獲得できるようにするという作りは、ポリシーとも感じられました。
全てにおいて、見た人を楽しませるための仕掛け満載の作品でした。
終演後のちらし寿司も美味でした。
喫茶久瀬
文月堂
サンモールスタジオ(東京都)
2010/03/02 (火) ~ 2010/03/07 (日)公演終了
満足度★★★★
現代の大人たちのHOPE(希望)を表現した作品
古びた喫茶店久世を舞台に、そこに集まる人々の複雑に絡み合った人間関係を、いかにして解きほぐし、ささやかかもしれないが、誰もが持つHOPE(希望)を見い出すかを描いた、上質な作品でした。