BKの観てきた!クチコミ一覧

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今度は愛妻家

今度は愛妻家

東宝芸能

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/04/04 (金) ~ 2014/04/19 (土)公演終了

満足度★★★★★

忘れられない一作品に。
個人的には多分今年これ以上の舞台には出会えないと思います。
この手のお芝居の中では、宝塚BOYSやビューティフルサンディ(これも中谷まゆみさんの作品)を初めて観た時と同じように、忘れられない舞台の一つになりました。
内容を知らない方にはネタバレ一切無しで観ていただきたいので、あまり感想の話ができないのが悔しいですね。
役者さんも魅力的で、村井国夫の飛び道具的な使い方にはびっくり。
大変ウェルメイドな時間を過ごしました。

ネタバレBOX

真相がわかるまでは軽薄に軽妙に映る夫の姿が、
妻の死を自覚しはじめてからは、なんとも痛々しく。

変わらずに過ごそうと務め、以前と同じように浮気だってしようとする。
だけど彼の中の罪悪感、後悔はやがてその妄想の中で離婚までも歩みを進めてしまう。
彼女が生きていたら自分をなんというだろう、もし彼女が死ななかったら自分達はどうなっていただろう。
本当は妻は自分のことをどう思っていたのか?
不安と悲しみ、愛の渦が全て妄想の妻との関係性へと反映されていく。
(別の方が指摘していた他の演者と妻とのからみは、あれは彼の心が生み出した妄想と自分は理解して観ました。だからあれだけデフォルメされた人物ばかりだったのでしょう。マッサージ師とメイドと弁護士。
実在の人物とは一切絡みませんでした)

彼女の死を受け入れた時に、今度はちゃんと愛妻家になるから嘘だと言ってくれ、と絞り出すように言うシーン。(セリフは不正確)
これが彼の本心の全てでしょう。
本当はずっとそう言いたかったのでしょう。
妄想と、妄想の延長上の現実でどれだけ妻の死を否定しても。
心の底では全て分かっていた。でも、口にするのが怖かった。
でも本当は、ずっと言いたかった。謝りたかった。そして泣きたかった。
全ての気持ちが流れ込んでくる一瞬でした。


妻の一周忌、死を受け入れはじめてから夫の中でそれが昇華されていくまで妻と過ごす最後の時間が優しくて、これまでのギクシャクとした妄想の一年の記憶を家族の愛で塗り替えていくようでした。

一番最後、もう妻の姿は見えなくなった夫の隣に、写真と同じように穏やかな笑みをたたえて座る妻の姿。
全てが妄想じゃなかったんだと、妻は夫が立ち直れるまで見守っていたのだと思わせてくれるようなラスト。
瀬名さんの優しい笑顔がとっても美しかったです。


一点だけ、正直ちょっとなぁ、とおもったのはアシスタントと女優の卵の話で、なんか最後適当にまとめた感がありましたね。
シャープさんフラットさん

シャープさんフラットさん

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2008/09/15 (月) ~ 2008/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

悲しくても笑う。
ブラックチーム観劇。
このクオリティで結末が違うといわれるとホワイトも観たくなってまうなぁ。

内容はかなり痛々しくて、でも見せ方はそうではなくてじわじわとソレを感じさせる・・・
芝居の内容とこの芝居自体の作りがリンクしていて、あぁまさに自伝的な芝居なんだなぁと思ってしまいました。

ネタバレBOX

アニメーションや映像◎。
それと大倉孝二はこういうシリアスな役の方が際立っていて好き。

主人公の心の傷やら作家としての苦悩やらは、共感できるところとできないところがある。
でもこちら側に伝わってくるものは、100%ちゃんと届く。
やっぱりケラは上手い!
カゴツルベ

カゴツルベ

少年社中

吉祥寺シアター(東京都)

2008/01/09 (水) ~ 2008/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★

「観る」のではなく「見る」芝居
楽しかったです。面白かったというよりも楽しかった。
セット・照明・メイクに衣装などなど、豪華で美しく、めまぐるしい演出も飽きない。役者の器用さも良い感じ。
特にラストの桜のシーンはそれだけで満足してしまうくらいの視覚美。

フキコシ・ソロ・アクト・ライブ(タイトル未定)

フキコシ・ソロ・アクト・ライブ(タイトル未定)

中村ステージプロダクション

本多劇場(東京都)

2008/02/21 (木) ~ 2008/02/28 (木)公演終了

満足度★★★★

良い役者さんはその身体一つで楽しませてくれる。
1個だけイマイチかなーと思うネタがあったけど、全般的に最高に楽しめました。
皆こういうの観ればいいのに。空席の目立つ本多劇場千秋楽、勿体ない。

巨人は熟睡中(ご来場ありがとうございましたっ!!)

巨人は熟睡中(ご来場ありがとうございましたっ!!)

贅沢な妥協策

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/08/20 (木) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★

大仏になりました。
小ネタが散りばめられていて一見くだらないのですが、ちゃんと芯があります。
何気ない一言や一挙手一投足も実は深かったり。
きっちり考えて隙なく作られている印象でした。

脚本的には緩急がついてそうなので、ちょっと冗長気味に感じたのは役者のテンポの問題かと思います。
笑いはかなり起きてましたが、それでも客席と舞台との間に1枚壁を感じたので、それを吹き飛ばすくらいの勢いがあればもっと良かったでしょう。

実は前回公演も観ているのですが、随分印象が違いました。
等身大な内容だったからでしょうか。
伸びしろも感じますが、まだ題材によって完成度にブレがありそうですね。
そのあたり検証すべく次回も観てみます。

ネタバレBOX

ラストは惨いながらも軽快なノリで終わったので、その直前のクライマックスシーンはもっと嫌な感じにえぐって欲しかったです。
ラストに行くまでのセリフ、すごくわかりやすくまとめてはくれるのですが、「まとめ」っぽくてあまり心に訴えてはこない感じでした。
あのシーンの出来が全体をきゅっと締めると思うのでもうちょい頑張って欲しかった。


ところでラストシーンは、後ろの人はちゃんと足元見えていたのでしょうか。
それが気になりました。

たぶん犯人は父

たぶん犯人は父

ゴジゲン

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

今後も期待
芝居を普段見ない人にも「面白いから見てみなよ!」と勧められるような楽しいシチュエーションコメディでした。
ベタな展開を繰り返しますが、それに対して飽きや疲れを感じさせないくらい役者が好演して面白く見せてくれます。それにこっちの予想を裏切られる部分もあって◎。
今までゴジゲンをいくつか見てきましたが、一番”仕上がりが良い”作品だと思います。第5回公演にしてきてハズレのない安心感・安定感を身につけたなぁという感じ。

ネタバレBOX

ただ、泣ける部分はいま一歩。
笑いの部分はベタで構わないけれど、泣ける(?)部分に関してはベタではあまり響かない。いや泣く人もいるだろうけど、より多くの観客に響かせるという意味では。
そういう点においては前作の方が頑張っていたかなと思います。
コメディで覆い隠している泣き顔を、もう少しチラ見せして欲しかった。
今回のはそういう切ない感じではなく、普通に鉄板でいい話だな~という程度で終わってしまったのでもったいなく思いました。

チラシに書いてあるあらすじとはちょっと内容が違います。
パレード旋風が巻き起こる時

パレード旋風が巻き起こる時

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2008/07/11 (金) ~ 2008/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★

次はどうなるかな。
これからへの期待もこめて★は+1。

今までとかなり違う雰囲気をもった芝居。
いつものようなワンシチュエーションコメディではなく、でもシチュエーションコメディではあって、しかしコメディの皮をかぶったトラジディではないかと思ってしまうくらい人間へのアイロニーに満ちている。
なのに完全に観客を突き放さないのはそこに人間愛があるからで、そのちぐはぐさが非常にシュールに見えた。

ネタバレBOX

テーマはありきたりだが、そこに「パレード」「女王」という特殊な世界を投影することでドラマ性を高めていた。
それに加えて象徴的な舞台装置、入れ子の構造、含みを持たせたセリフ・・・と、演劇的な面白さが詰まった舞台。

それだけに最も気になったのが、登場人物の中味の無さ。
特にアンサンブル、表面上の芝居はうまいのだが、「内面のドラマ」が無い。
働きアリとしてはむしろその淡白さがいいのだが、
見る事見られる事を語る彼ら
パレードをする彼ら
パレードを呼びかける彼ら
それらがうわべだけで空っぽに聞こえ、響いてこない。
そして主要人物たちも、ストーリーが進んで落としどころが決まってきたあたりで、ところどころの穴を埋めるかのように自己主張をはじめるのである。
なぜ突然語る?
物語に説得力を失ったまま進んだ後半は少し置いてけぼり。

パレードが社会の縮図というのはまぁよいとして、
なんというか、「パレード」を行うことで全てが非リアル化して現実を比喩しきれているような気にさせられるけど、実際はどうしてパレードなのかという理由・・・というか正当性に欠けているように思う。
というのは、上で書いたように登場人物の内面性が希薄なのに群像劇で、そんな彼らがラストで「パレード」を強く主張する上に、舞台の外にいる観客に投げかけることまでするから。
もっと別の終わり方でもよかったのでは。


メタモルフォーゼを実際の人間でやってのけたのは◎。
しかもそれぞれの変身が非常に個性的で印象に残るのに、女王という1人の人間の中にその「人格」を残さない。
5人の人間が同じ人物を演じるのに、観客が捉えるのは、
元の彼女自身の姿と、その彼女が対峙する変身後の彼女の2人だけ。
これは役者がうまいのか設定がうまいのか・・・。


過去の作品と、確かに同じ作家が書いているとは思う。
ただ、今までは作風が隠していた、この作家の中にある様々な思いが、表現の制限をきったことで噴出したように感じられた。
それは悪くない変化であると思う。
しかし新しい変化に役者がついていけていない感があり、やや作品内容とのミスマッチもあるため、結果として手法の古さのほうが際立ってしまっている。
今後洗練されていければよいが・・・
次回作を期待して待ってます。
おわりのいろは

おわりのいろは

ホチキス

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しい時間でした。
全体通すととても面白かったという感想です。
小玉さんを筆頭として、漫画のようなキャラクターに負けない強さと器用さを兼ね備えた役者さん達に魅力を感じました。
舞台美術と演出も合わせて、非常に見ごたえのある出来。
このチケット代でこれだけのもの観られるのかぁ。お勧めです。

ネタバレBOX

ストーリー自体は途中でだれました。長いし。
後半は進行のためだけに舞台が動いているようで、しかもそれも慌ただしくあっちこっちするので、そのあたりは退屈な空気に。

あとこのレビューでどなたかもおっしゃってましたが、
クライマックスシーンの母の説教台詞がいまいちと思いました。
かっこよくないし分かりづらいし説得力もないし。
あのシーンばっちり決めてくれたら、もうそれで全部Okみたいな気がするんですけどね。

照明かっこいい。

勝負エプロンは小玉さんの手書きと聞いてびっくりしました。すごい。
ろりえの鬼

ろりえの鬼

ろりえ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/01/28 (火) ~ 2014/02/03 (月)公演終了

満足度★★★★

女の子にやさしい
ろりえを観たのは「女優」以来です。
シンプルなセットと静かな演出とで今までと全く違う雰囲気。
以前見たろりえの数作品は全て、なにか突飛な演出によって急激に物語が疾走を始めるようなものばかりであったのですが、
今回の作品はストーリーの単純な進展のみによってドラマが起こります。
この観劇で初めて、ろりえが標榜する「女の子にやさしいユニット」という言葉にうなづけました。
今回は本当に一人の女の子を優しく優しく見守った、そんなファンタジーでした。

ネタバレBOX

鬼というのは、鬼っこであるみのりのことであり、また実の子供を忘れてしまった母の姿でもあるのかなと思いました。

産道を通らずに産まれたみのりは、角を持つ鬼の姿のまま産まれてきてしまったのでしょう。
変わった子どもとしてそのまま成長してしまった彼女が、
母親が自分のことを忘れてしまい、そして新たに子供まで身ごもったことを機に自分と母親の関係を見つめなおし、
本当に素直になった瞬間に今度こそ人間に生まれ変わる。
出産のシーンはみのりが再び母に産んでもらったかのような演出が良かったです。

母親は最後までみのりのことを思い出さずでその姿は鬼なんだけど、
嵐のチケットが母親の中の理屈じゃない情を揺り起こしたのでしょう、鬼の目にも涙。
母親が娘をどれだけ愛していたかをたっぷり心に染み込ませた後での、この号泣シーンは本当に心を揺さぶられました。
この後この母娘二人がどうなっていくのかはこの物語の結末では分からないけれど、きっと二人に優しい人生が待っていて欲しいと思います。


ストーリーの核以外の部分でも嵐コンを題材にとるなど肉付けの仕方が面白く、脇の登場人物達のキャラクターも豊か、
かつ90分という大変みやすい時間設定で素敵でした。
ありえない設定や人物ばかりで、現代劇だけどファンタジー。
でもその現実感のなさによって、
物語が描きたかったリアリティのある母娘関係がより強調されたように思えました。
眠る羊

眠る羊

十七戦地

LIFT(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

緊迫した会話劇
濃密なワンシチュエーションの会話劇で、ぐいぐい引き込まれて観劇しました。
クライマックスの緊迫感、空気の流れが止まるような感覚を肌で感じられる、そんな演劇の醍醐味を存分に味わえました。
面白かったです。

ネタバレBOX

始まり方と終え方がすっとしてていいですね。
照明もなく、また作り込んだようなセットもなく、その場所自体をそのまま舞台装置として用いているのでリアリティが増しました。

証人喚問のリハーサルがストーリーの柱なのですが、導入から中盤までは説明の多さと単純な進行にややだれました。
そこをなんとか補ってくれたのが、一つめが笑いで、個人的にはもっと前半のコメディ要素が強くてもいいと思いました。
その分後半のシリアスさが際立つと思うのですが。
(12人の優しい日本人のような感じを想像)
今回は笑わせたいのかそうでないのかが曖昧だったなと感じます。
二つめが、智士と父の愛人とのやりとりで一番最初に引っかかりを作って後への興味を引いてくれたこと。
まだ何かあるな、と思わせるところで後半の展開を期待させてくれました。
真相が明らかになる流れ、さらに隠されていた謎、で、どんでん返し。
最後まで観終えて、巧みな脚本を脚本書かれる方だなぁと敬服しました。


初めて行った劇場でしたが、白い空間にやや古めかしい置き道具が芝居にマッチしていたと思います。
惜しむらくは少し狭すぎるかと…。
観客席の狭さもあるのですが空間全体がとにかく狭いので、役者に近すぎて逆に見づらい部分が多かったです。
MIDSUMMER CAROL(再演)

MIDSUMMER CAROL(再演)

G2プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2008/03/21 (金) ~ 2008/04/06 (日)公演終了

満足度★★★

演劇を観ない人にも勧められる芝居。
1幕が人物紹介エピソードで間延びして単調な感あり。
でも泣かせどころは外さず、全体的に見ていい芝居だったと思う。
周りのすすり泣きが大きすぎてちょっと引いたが・・・

ネタバレBOX

室町のエピソードは今回の方が活きてると思った。
って、初演は映像でしかみていないのですが。
役者がよかったのかな。
笠原浩夫は代役だったとは思えないはまり役。

あと、新妻聖子と岡田浩暉はミュージカルでしか見たことなかったので、器用さにびっくりしました。
祝祭音楽劇「トゥーランドット」

祝祭音楽劇「トゥーランドット」

TBS

赤坂ACTシアター(東京都)

2008/03/27 (木) ~ 2008/04/27 (日)公演終了

満足度★★★

音楽弱し
劇的に豪華でした。いくらかかってるんだろうと思わずにはいられません。
大階段が自在に動いたときはえぇっーって思い切り驚いてしまった。

主役の日本語の不自由さ、役者全体のオーラのなさは気になったが、祭りのようで結構楽しみました。

久石譲には期待しすぎた感。

砂時計は壊れている

砂時計は壊れている

はらぺこペンギン!

ザ・ポケット(東京都)

2008/10/08 (水) ~ 2008/10/12 (日)公演終了

満足度★★★

たくさんの断片の中からいくつかを拾う感じ。
ただ、全体の一本芯が弱いため、断片が断片のままの印象。
幽霊や砂時計の演出がちょっとドラマチックさに欠けてて、全体にまぎれてしまっていて勿体ない。
出演者の多さも問題かも?もっとぎゅっと凝縮したものが観たかった。
お芝居の雰囲気やキャラクターはとても好き。

ネタバレBOX

観た回はPPTがありました。
最近PPTをやる団体さん多いけど、内容はもう少し考えてほしいかも。
今回はカナリアさんが出ていて、そのファンの方々を対象にしていたのでしょうから、彼らがでてフリートークというそれだけでもよいのかもしれませんが・・・
別に彼らのファンというわけでもなく、ぺこペンの常連客というわけでもなかったので、なんというか、聞いてても「ふーん」という感じで。。

お金をとってやっているわけではないし、別に興味がないなら帰ればいいというだけの話なのですが、作品のことについて何か聞けるかと期待してして残ってしまいました。
トークをしている人が誰なのかはわかりますがどういう人なのかは全然知らないので(恥ずかしながらカナリアさんは存じ上げませんでした・・・)、せめて自己紹介くらいはしてもらえるといいなぁと思いました。
最初にそういう人なんだーと人物に興味が持てれば、話の内容が雑談にずれていってもついていけると思うので。
三風谷村水没前夜

三風谷村水没前夜

劇団バッコスの祭

池袋小劇場(東京都)

2008/04/26 (土) ~ 2008/04/29 (火)公演終了

満足度★★★

次も観てみたいかな。
全体的に、普通に楽しみました。
展開が色々唐突に思えましたが。ストーリー先行なイメージ。
水没に向けたそれぞれのスタンスを、立場や説明セリフ以外でももっと感じたかったな。
だからヒロイン二人の心の揺れがわからなくて。
あと過去の挿入があまりうまくない。現代とのつながりがいまいち弱いのですよね。
ラストはとても好きでした。
ヒロイン達のキャラクターの愛らしさと相まって、その爽快なアウトプットの仕方に微笑んでしまいました。

洗イ ニ 生マレテ

洗イ ニ 生マレテ

おぼんろ

早稲田大学学生会館(東京都)

2007/07/10 (火) ~ 2007/07/14 (土)公演終了

満足度★★★

成長途上。
物語を書く力は十分。が、人物を書く力はまだまだ。
演出も統一感に欠け、脚本の拙さをカバーできてない。
ただし終わり方のドラマティックさはとても良かった。

役者の力量もかなりバラつきあり。
役者が全員器用ならば芝居全体のクオリティはかなり上がったはず。

あと1ヶ月推敲し、あと2ヶ月稽古したら別作品になったかも。
とにかく作・演出の頭の中をもっと整理する必要があった感。

とはいえまだ学生、今後の伸びを想像すると将来性は買いたい。
だから次々々回公演くらいまでは見るかな。

ルドルフ

ルドルフ

東宝

帝国劇場(東京都)

2008/05/06 (火) ~ 2008/06/01 (日)公演終了

満足度★★★

楽しみました
期待値が低かったので、予想外に面白く拝見しました。
井上・笹本がとても瑞々しい魅力を放っていて、それだけで見る価値あったと思う。
特にマリーの描かれ方に脚本上からすでに矛盾を感じるものの、それを自分の中で消化しきって強く愛らしいマリーを作り上げた笹本氏はとても輝いて見えた。

対して、浦井氏に狂言回し役は少し荷が重かったみたいで。
存在感が圧倒的に足りない!勿体ない。

画的な美しさが考慮された演出で、ところどころハッとさせられるシーン有。
絵画を大胆に使ったセットもカッコいい。


リビング(公演終了!!)

リビング(公演終了!!)

カスガイ

王子小劇場(東京都)

2009/04/22 (水) ~ 2009/04/29 (水)公演終了

満足度★★★

男性が女性を描くのは難しい。
役者の質が高く、飽きずに見られた1時間50分。
設定や雰囲気つくり◎、美術照明◎、セリフにセンスを感じる脚本。
客観的に「お芝居」として様々な角度から見た時には満足です。
しかしテーマがテーマだけに、私には合わない、というか、不快感が強くありました。
極めて私的な感想・感情でしかありませんがネタバレに記しておきます。

ネタバレBOX

これは男の人にしか書けないものだ、と感じました。
まず、弟の救済を意図して描かれる切り口の妙という良い意味で。
そして、女性の性と身体に対する考え方がやはり男性のものしかないという悪い意味で。


先にレビューを書かれた方で「母性が無い」という方がいらっしゃいましたが、私もそれが引っ掛かります。
偏食や飲酒で胎児を顧みない水越さんのことはいいとして。
どうして姉に、レイプの他に妊娠中絶という設定を入れたのでしょう。
女性ってものすごく子宮の影響をうけてるものなんですよ。
だから、妊娠が性行為の延長としてのみ描かれるようなのはちょっと受け入れがたかった。
確実にレイプによる妊娠であればまだわかる。
でも弟の子供である可能性もあったというのだから・・・
望まない性行為による弟の心の傷を強調しすぎて姉の描写にリアリティがなくなっている。
姉弟の関係だけでなく父娘の関係も絡んで複雑化して仕方ないのかもしれないけど、
姉の「流れちゃえばいい」とか弟の「産まなくて正解」というような発言(そしてそれを流す姉)は、やはり出てくるものではないと思う。




私が見た時のアフタートークで、トワさんの「お金でレイプがプレイに」という考え方から、「自分の中の性に対する正義」(という言葉ではなかったかもですが)ということについて話が及びました。
これはすごくよく理解できます。
私も自分の経験から成る性の正義があり、それに基づいたうえでこの作品に不快さを感じたのです。



だから面白かったという人の意見もわかる。
そして内容については見る人によって受け止め方や感じ方違うのは仕方ない、ラストは救われたと思う人救われなかったと思う人の両方がいるのも仕方ない。


でも。
もう一歩、女性に歩み寄るか、そうでなければあくまで男性側に立つかして欲しかった。
姉を救いたかった玉置さん、弟を救いたかった登米さんのちょうど中間の曖昧な部分で止まってしまっていたように思えたのでした。



観てから結構経つのに感想がまとまらず。
なんだか変な文章ですみません。。。



※話はずれますが、性の正義の話はわかるんですけど、それによってトワさんが救われているとは思えないです。
「お金をもらえばいい」と思わないと救われないけれど、それはそう思えば救われるということとイコールではないですよ。
傷はやっぱりどこまでたっても傷でしかない。


流浪の民

流浪の民

劇団 THE☆メンチカツ成

新宿村LIVE(東京都)

2008/06/08 (日) ~ 2008/06/11 (水)公演終了

満足度★★★

まだ頑張る余地ありあり
チラシがものすごいインパクト。キャッチコピーにも惹かれ。
でも内容は実はそれほどデンジャラスではなく、設定以外は結構普通でした。
演出で面白く見せている感じ。

見ていて面白かったし、もっと面白くなりそうな気がしたのにストーリーを無難にまとめてしまった感があって勿体なく思った。
だけど目の付けどころ・・・というか、セリフにセンスを感じる。
大事なところはばっちり押さえます!みたいな。

客演の役者さんがステキ。
負けるな劇団員。

「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」

「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」

演劇集団キャラメルボックス

シアターアプル(東京都)

2008/06/08 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了

満足度★★★

21時からも見られるのは嬉しかった。
当日予約で観劇。楽直前だったので不安でしたがさすがに平日だけあって空席もちらほら。

水平線→ハックルベリーの順。
ハックルベリーはキャラメルの中でも数少ない未観劇作品だったので楽しみにしてました。

以下ネタばれに。


ネタバレBOX

結果的には水平線<ハックルベリー。
ハックルベリー、昔に書かれた作品なのに全く色あせずむしろ瑞々しい。
テーマが普遍のものだからでしょうか。
あの始まり方。終わり方。
大満足の60分で、おしみなく拍手を送りました。

水平線はストーリーは素敵なのだけど、OFFOFFシアターとかでしっとり楽しみたい気がしました。
アコースティックシアターのような静けさのある作品でしたが、それがハコの空気と合っていなくて。
演出もいつものキャラメルっぽくやるのでなんだかちょっと。
「猫と針」みたいな感じでやってほしかったなぁ。


「12歳の少年」をテーマにした2本立てというこの企画自体は素敵でした。
観に行きたくなっちゃったもんなぁ。
キラリ☆ふじみで創る芝居『大恋愛』

キラリ☆ふじみで創る芝居『大恋愛』

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)

2008/02/07 (木) ~ 2008/02/11 (月)公演終了

満足度★★★

全てに力がある公演
作品としてはとても面白かった。
戯曲-演出-役者の三権分立をみた。
どの領域も侵犯することなく、でもお互いを侵食し合う。

異なる演出家同士で一つの作品を作り上げるという試みも、
不思議とハーモニー。

ネタバレBOX

ただポストパフォーマンストークでの、「こういうものを公共の文化会館でやることに意義がある」という多田氏の発言には、異議がある。
初めて演劇に触れる人がこういうものを見たら絶対面白いと思うはず、というようなことをおっしゃっていたが、それが疑問。

確かに面白いと感じるでしょう、表現としては。
エンゲキって小難しいこと見せられるのかしらと思いきや、発情しあったり踊り狂ったりだるまさんがころんだをしたり、なんてものを見たら。
でも、やっぱり翻訳されたシェイクスピアのやや固い言葉でくりひろげられる2時間は、その表現を面白いと思うのと同じくらい疲れて退屈なんじゃないでしょうか。

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