今度は愛妻家 公演情報 東宝芸能「今度は愛妻家」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    忘れられない一作品に。
    個人的には多分今年これ以上の舞台には出会えないと思います。
    この手のお芝居の中では、宝塚BOYSやビューティフルサンディ(これも中谷まゆみさんの作品)を初めて観た時と同じように、忘れられない舞台の一つになりました。
    内容を知らない方にはネタバレ一切無しで観ていただきたいので、あまり感想の話ができないのが悔しいですね。
    役者さんも魅力的で、村井国夫の飛び道具的な使い方にはびっくり。
    大変ウェルメイドな時間を過ごしました。

    ネタバレBOX

    真相がわかるまでは軽薄に軽妙に映る夫の姿が、
    妻の死を自覚しはじめてからは、なんとも痛々しく。

    変わらずに過ごそうと務め、以前と同じように浮気だってしようとする。
    だけど彼の中の罪悪感、後悔はやがてその妄想の中で離婚までも歩みを進めてしまう。
    彼女が生きていたら自分をなんというだろう、もし彼女が死ななかったら自分達はどうなっていただろう。
    本当は妻は自分のことをどう思っていたのか?
    不安と悲しみ、愛の渦が全て妄想の妻との関係性へと反映されていく。
    (別の方が指摘していた他の演者と妻とのからみは、あれは彼の心が生み出した妄想と自分は理解して観ました。だからあれだけデフォルメされた人物ばかりだったのでしょう。マッサージ師とメイドと弁護士。
    実在の人物とは一切絡みませんでした)

    彼女の死を受け入れた時に、今度はちゃんと愛妻家になるから嘘だと言ってくれ、と絞り出すように言うシーン。(セリフは不正確)
    これが彼の本心の全てでしょう。
    本当はずっとそう言いたかったのでしょう。
    妄想と、妄想の延長上の現実でどれだけ妻の死を否定しても。
    心の底では全て分かっていた。でも、口にするのが怖かった。
    でも本当は、ずっと言いたかった。謝りたかった。そして泣きたかった。
    全ての気持ちが流れ込んでくる一瞬でした。


    妻の一周忌、死を受け入れはじめてから夫の中でそれが昇華されていくまで妻と過ごす最後の時間が優しくて、これまでのギクシャクとした妄想の一年の記憶を家族の愛で塗り替えていくようでした。

    一番最後、もう妻の姿は見えなくなった夫の隣に、写真と同じように穏やかな笑みをたたえて座る妻の姿。
    全てが妄想じゃなかったんだと、妻は夫が立ち直れるまで見守っていたのだと思わせてくれるようなラスト。
    瀬名さんの優しい笑顔がとっても美しかったです。


    一点だけ、正直ちょっとなぁ、とおもったのはアシスタントと女優の卵の話で、なんか最後適当にまとめた感がありましたね。

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    2014/04/13 12:04

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