今度は愛妻家 公演情報 今度は愛妻家」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★★

    忘れられない一作品に。
    個人的には多分今年これ以上の舞台には出会えないと思います。
    この手のお芝居の中では、宝塚BOYSやビューティフルサンディ(これも中谷まゆみさんの作品)を初めて観た時と同じように、忘れられない舞台の一つになりました。
    内容を知らない方にはネタバレ一切無しで観ていただきたいので、あまり感想の話ができないのが悔しいですね。
    役者さんも魅力的で、村井国夫の飛び道具的な使い方にはびっくり。
    大変ウェルメイドな時間を過ごしました。

    ネタバレBOX

    真相がわかるまでは軽薄に軽妙に映る夫の姿が、
    妻の死を自覚しはじめてからは、なんとも痛々しく。

    変わらずに過ごそうと務め、以前と同じように浮気だってしようとする。
    だけど彼の中の罪悪感、後悔はやがてその妄想の中で離婚までも歩みを進めてしまう。
    彼女が生きていたら自分をなんというだろう、もし彼女が死ななかったら自分達はどうなっていただろう。
    本当は妻は自分のことをどう思っていたのか?
    不安と悲しみ、愛の渦が全て妄想の妻との関係性へと反映されていく。
    (別の方が指摘していた他の演者と妻とのからみは、あれは彼の心が生み出した妄想と自分は理解して観ました。だからあれだけデフォルメされた人物ばかりだったのでしょう。マッサージ師とメイドと弁護士。
    実在の人物とは一切絡みませんでした)

    彼女の死を受け入れた時に、今度はちゃんと愛妻家になるから嘘だと言ってくれ、と絞り出すように言うシーン。(セリフは不正確)
    これが彼の本心の全てでしょう。
    本当はずっとそう言いたかったのでしょう。
    妄想と、妄想の延長上の現実でどれだけ妻の死を否定しても。
    心の底では全て分かっていた。でも、口にするのが怖かった。
    でも本当は、ずっと言いたかった。謝りたかった。そして泣きたかった。
    全ての気持ちが流れ込んでくる一瞬でした。


    妻の一周忌、死を受け入れはじめてから夫の中でそれが昇華されていくまで妻と過ごす最後の時間が優しくて、これまでのギクシャクとした妄想の一年の記憶を家族の愛で塗り替えていくようでした。

    一番最後、もう妻の姿は見えなくなった夫の隣に、写真と同じように穏やかな笑みをたたえて座る妻の姿。
    全てが妄想じゃなかったんだと、妻は夫が立ち直れるまで見守っていたのだと思わせてくれるようなラスト。
    瀬名さんの優しい笑顔がとっても美しかったです。


    一点だけ、正直ちょっとなぁ、とおもったのはアシスタントと女優の卵の話で、なんか最後適当にまとめた感がありましたね。
  • 満足度★★

    豪華過ぎるセットが浮いてしまうような粗いお話
    舞台上にちょっと高級めな一軒家2階建内装を完全再現、
    さてどんなお芝居になるかと思いましたが…

    物語が展開した時、まわりからは花粉なのか感情移入ゆえか
    すすり泣くような音がかなり聴こえまくりましたが
    自分はまったくお話として面白くないな、とかなりガッカリしていました。
    演者さんのお芝居に悪い所はないと思いますが、
    お話とその演出に徹底的に「良さ」が見られない。

    ネタバレBOX

    奥さんが実は1年前に亡くなっていた(今まで舞台上にずっと出てきていたのは
    旦那の幻覚だった)とネタばらしされ、
    周りは感情移入で泣いてる人も多々いたようですが、
    「どうすればこのお芝居に感情移入できるんだろう?」
    と自分は(??)状態でした。


    タイトルの「今度は愛妻家」の「今度は」とはどういう意味だろう?
    と開演前に考えてて、大方の予想はついてました。
    ・ 奥さんが死ぬ(or 旦那が死ぬ)
    ・ 奥さんと離婚する
    いずれかが入るな、と


    ただ、それにしても

    序盤.
    それなりに夫婦仲は良いがセックスレスで子供を作る気もなく
    浮気癖もある旦那とそれに不満がある女房
    そして女房が旅行へ行く、と言い出してからの1年間
    (元有名カメラマンの旦那はある写真展で酷評されてから写真が撮れなくなった
    (今思えば、女房が亡くなってから、が真相?))


    から


    女房は夫婦で行った沖縄旅行で事故で亡くなってしまっていた。
    今まで舞台上で夫婦の会話として演じられていたのはすべて旦那の幻覚
    ※ 実際オカマさんが確認する形で「いつからさくら(女房)の幻覚を見るようになった?」
    って聞いちゃうのがこれまた観劇する側として夢も希望もない話
    (「幻覚」の一言で今までのやりとり片付けるなよ)。


    というネタばらしに至るまでで、何が自分的につまらないかと言えば、
    「伏線」が全然効果的に貼られてないし使われていない。

    ・ 奥さんのポートレート(どうやら遺影だったらしい)

    ・ 浮気しようと呼んだ女性に旦那が「女房が亡くなったばかりで」と言うには言うが
      その後の流れで普通に女房が現れそして
      その他の演者とも絡んでしまう為、

      ? 思い返してみると絡んだ時はまだ生きてて、
        その後は靴を拾ってきて投げたたけ?(であれは幻覚?)
        起伏のない話だったのもあって、
        その辺がどうも記憶あいまいですが…

      「単なる嘘だった」としか観客側からは認識できない

    ・ たまに場面が暗転、照明が暗くなった部屋に旦那1人のシーンがあって、
      「あ、もしかして奥さん亡くなった?」とか思っても
      すぐに(幻覚だかの)奥さんが出てくるので伏線としてちゃんと成立していない


    その流れでいきなりといっていいタイミングで幻覚の女房に
    旦那が「おまえ、なんで死んじゃったんだよ」と言って、
    初めて物語の真相が分かる訳ですが、
    それまでの女房と演者との絡みなどから
    (これも含めて全て旦那の幻覚、と言い切ってしまえばすごいけど)
    ちゃんとここで場面が転換するには物語がちゃんと
    つながっていない(演出面の問題かと)。


    だから理不尽というかよく分からない形のまま、
    なんとか感動劇に持って行こう、とする演者陣のお芝居を観ても
    ちっとも気持ちを持って行かれませんでした(粗だらけ)。


    あと、序盤無駄に「セックスセックス」と下関連のネタを
    振って笑いを取りに行く姿勢も、
    まあ「大人向け」とも取れますがどうにも面白く感じられません。



    無駄に豪華なセットに対して物語/演出の方にまったく「良さ」がない。
    舞台やるならまず脚本といいお芝居を用意した上で
    必要なセットを作るべきなのでは?
    とそういう部分に対しても批判的になってしまいました。


    席が最後尾とかなり舞台から遠かったのも、演者の熱に
    引っ張られなかった理由かも知れませんが、
    いくら近かったとしても
    あのお話/お芝居で「泣かせたり」「感動させたり」というのは
    無理じゃないかな、と思います。


    今まで入野自由君関連の舞台はそれなりに
    情熱的だったり泣かせたりと何かしら心の琴線に触れる部分があり、
    だからこそ役者「入野自由」君の舞台を追ってきましたが
    今回は非常に残念な気分です。

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