ろりえの鬼 公演情報 ろりえ「ろりえの鬼」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    女の子にやさしい
    ろりえを観たのは「女優」以来です。
    シンプルなセットと静かな演出とで今までと全く違う雰囲気。
    以前見たろりえの数作品は全て、なにか突飛な演出によって急激に物語が疾走を始めるようなものばかりであったのですが、
    今回の作品はストーリーの単純な進展のみによってドラマが起こります。
    この観劇で初めて、ろりえが標榜する「女の子にやさしいユニット」という言葉にうなづけました。
    今回は本当に一人の女の子を優しく優しく見守った、そんなファンタジーでした。

    ネタバレBOX

    鬼というのは、鬼っこであるみのりのことであり、また実の子供を忘れてしまった母の姿でもあるのかなと思いました。

    産道を通らずに産まれたみのりは、角を持つ鬼の姿のまま産まれてきてしまったのでしょう。
    変わった子どもとしてそのまま成長してしまった彼女が、
    母親が自分のことを忘れてしまい、そして新たに子供まで身ごもったことを機に自分と母親の関係を見つめなおし、
    本当に素直になった瞬間に今度こそ人間に生まれ変わる。
    出産のシーンはみのりが再び母に産んでもらったかのような演出が良かったです。

    母親は最後までみのりのことを思い出さずでその姿は鬼なんだけど、
    嵐のチケットが母親の中の理屈じゃない情を揺り起こしたのでしょう、鬼の目にも涙。
    母親が娘をどれだけ愛していたかをたっぷり心に染み込ませた後での、この号泣シーンは本当に心を揺さぶられました。
    この後この母娘二人がどうなっていくのかはこの物語の結末では分からないけれど、きっと二人に優しい人生が待っていて欲しいと思います。


    ストーリーの核以外の部分でも嵐コンを題材にとるなど肉付けの仕方が面白く、脇の登場人物達のキャラクターも豊か、
    かつ90分という大変みやすい時間設定で素敵でした。
    ありえない設定や人物ばかりで、現代劇だけどファンタジー。
    でもその現実感のなさによって、
    物語が描きたかったリアリティのある母娘関係がより強調されたように思えました。

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    2014/02/09 14:22

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