
『愚図』
KAKUTA
あうるすぽっと(東京都)
2016/11/10 (木) ~ 2016/11/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
お見事!
2014年の『痕跡』で鶴屋南北賞を受賞した痕、再演モノを経ての書き下ろし作品だが、桑原らしい感触の芝居である。さまざまな一見無関係に思えるエピソードで始まり、それらが収束していくという構成も見事だし、少し笑わせ、しょうがないなぁと思わせ、そして切なく終わる展開も見事だ。何よりも寂しい人への暖かい眼差しが感じられるのが良い。KAKUTAにしては、そう多くない人数での群像劇だが、メインの夫婦を演じた林家正蔵・千葉雅子の組み合わせが実に良い。
それにしても、1日に観た青☆組の吉田小夏と、桑原が、どちらも平田オリザ女子高生企画の『転校生』に出ていたというのは、興味深い。

一人芝居ミュージカル短編集vol.1
一人芝居ミュージカル短編集
アトリエ・カノン(東京都)
2016/11/03 (木) ~ 2016/11/15 (火)公演終了
満足度★★★★★
平板だが巧みで見事
音楽家の伊藤靖浩が、一人芝居のミュージカルを年に10本書いて10年続けて100本のプログラムを作ると言う企画の第1弾。イサドラ・ダンカンを描いた「それでも私は踊りつづける」福麻むつ美、ジュディ・シルを描いた「生殺しの蛇」ハマカワフミエ、バルバラを描いた「piano black」岡田あがさ、の3本を観たが、どれも興味深い作品に仕上がっていた。ただし、ミュージカルということで、物語の複雑さはあまりなく平板で、むしろ歌を使った表現に気を遣ったように思えた。驚くのは、イサドラ・ダンカン,バルバラという有名な2人に挟まれたジュディ・シルを取り上げた点。必ずしも有名でない70年代の女性シンガー・ソングライターを取り上げたのは、伊藤でなく演じたハマカワの要望だという。
ただし、上演順には疑問があり、数多くのミュージカルを経験した福麻をトップに持ってきたのでは、ストレートプレイ中心のキャリアのハマカワ,岡田は歌ではツライ気がする。その分、演技で魅せる2人の印象は強烈だった。その意味で、3者3様の魅力をしっかりと感じさせてくれる上演だった。

ラズベリー
sleepwalk [スリープウォーク]
APOCシアター(東京都)
2016/11/08 (火) ~ 2016/11/14 (月)公演終了
満足度★★★★
アンサーなんだろうか
河西が国分寺大人倶楽部時代に書いた傑作『ストロべリー』へのアンサーだということだが、男女7人という点以外は大分違う気がする。20代で書いた『ストロべリー』の尖り具合に対し、本作はいかにも「あるある」な物語が展開され、最後は河西の「照れ」を示すと思われる「オチ」がある。アンサーだと言わずに、普通に上演していれば、余計な事を考えずに楽しめる作品だと思う。

男子校にはいじめが少ない?
趣向
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/11/02 (水) ~ 2016/11/08 (火)公演終了
満足度★★★★
男子校らしさがやや足りない
当初はリーディングで上演された作品を演劇として完成させた、というスタンスだろうか。男子校の高校生を女優が演じる、という試みが、リーディングでは活きていたと思ったのだけれど、動きが大きく入ると、何か男子校らしさがやや足りない(女子に見える)気がする。その点を除けば、テキストもテーマもステキなのだけれども…。

悪巧みの夜
同級生演劇部
梅ヶ丘BOX(東京都)
2016/11/01 (火) ~ 2016/11/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
「同級生」らしさがいっぱい
同じ孤児院を過ごした「同級生」が、その後輩の失踪を調べる内に意外な犯罪に辿りつく、という巧みな作品だった。作・演出の須貝は monophonic orchestra で書いてる作品とは全く違ったテイストの芝居も書けることを示したし、須貝・浅野・佐藤の3人も、キャラクターのしっかりした「同級生」という存在を描いてステキだった。

遠野物語・奇ッ怪 其ノ参
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2016/10/31 (月) ~ 2016/11/20 (日)公演終了
満足度★★★★
一寸テイストが変わった
劇団イキウメの前川が、世田谷パブリックシアターと提携しての 「奇ッ怪」 シリーズ第三弾。今回は柳田邦夫の「遠野物語」のエピソードをいろいろと溶き混ぜての作品だが、今までのシリーズ作品とは少しテイストが違ってきているようにも思う。役者陣の役割、特に中村トオルの存在感はしっかりしているが、何か物足りないようにも思えた。

10の銃と10の自由
tea for two
小劇場B1(東京都)
2016/11/02 (水) ~ 2016/11/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
再演のたくらみ
劇団 tea for two の作・演出を担当する主宰の大根が「好きなこと」をする企画の tea for ONE が2012年に上演した作品の再演。10人の役者がさまざまな役割で最終的に銃を持ち合い互いを狙い合う、ディスコミュニケーションをテーマにした作品と言えるのではないだろうか。役者陣は劇団員以外は初演とは異なるが、それぞれの役割をしっかりと演じる。切ないエンディングは相変わらずではあるが…。
なお、「10の銃と10の自由」はNODA・MAP『カノン』に出てくるセリフだが、大根はこの作品は観たことがないそうだ

パール食堂のマリア
青☆組
吉祥寺シアター(東京都)
2016/11/01 (火) ~ 2016/11/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
見事な再演
2011年に劇団化した最初の作品であり、主宰の吉田の生まれ育った横浜を舞台とした芝居が見事に再演された。基本的に、「良い人」たちの一寸寂しい部分も含めた切ない話を描くのが得意な吉田だが、そういった特性はこの戯曲でも存分に描かれている。しかし、劇団員以外の客演が変わったことで、初演とは雰囲気が大きく変わった。特に、軸となる存在のマリアが、幽玄的な木下祐子からリアリティ強い渋谷はるかになったことが大きい。それでもステキな作品であることに変わりはない。戯曲の巧みさを感じさせてくれる芝居だった。

ホテル・ミラクル4
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2016/10/28 (金) ~ 2016/11/07 (月)公演終了
満足度★★★★
切ない
劇場をラブホテルに見立てたシリーズの第4弾。今回は良く知ってる作家4人が脚本を書いているが、何だか切ない終わり方が多かった。でも、こういった企画/このシリーズは大好きです。

治天ノ君【次回公演は来年5月!】
劇団チョコレートケーキ
シアタートラム(東京都)
2016/10/27 (木) ~ 2016/11/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
やはりスゴイ
3年前に駅前劇場で上演された話題作の再演だが、初演は観てない。大正天皇という、少し目立たない存在に焦点を当てて、それを様々な立場から描く140分は全く飽きることなく、ほぼ緊張感の中で淡々と進む。松本紀保の存在感が見事だが、感情をほとばしらせる場面の岡本篤もステキだ。評判通りのスゴサで、堪能した。

わたしを、褒めて
旋風計画
ザ・ポケット(東京都)
2016/10/26 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
本家より良いかも
タカハ劇団の昨年の作品を、旋風計画(「アネモイプログラム」と読む)というユニットが、高羽彩本人の演出で上演する。戯曲は、ここ数年の高羽の作品の中でもトップレベルと思っていたので興味深く観に行ったのだが、間違いなく良い芝居だった。本家は駅前劇場で演ったのだが、両側に広い駅前より、タイトで縦長の客席のポケットの方が、濃密感が出て良いようにも思えた。全く知らない役者陣だが、それぞれの役割をしっかり演じてて巧かったけど、何と言っても戯曲の見事さを改めて感じた。

あいつをクビにするか
ぽこぽこクラブ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/10/26 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★
何だか納得できず
初めは学園モノと思っていたら、実は家族の問題だったり、いろいろな展開を見せる物語だが、結局何が言いたいのか/やりたいのかが分からず終わった。中心のメイと母親の愛憎とか、収拾や納得しきれていないエピソードが残って、役者陣の演技力には一定のモノがあるのだから、惜しい舞台だと思えた。

星回帰線
パルコ・プロデュース
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/10/01 (土) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★★
丁寧な戯曲だが…
蓬莱竜太の書き下ろしで、少しずつ何かを抱えた人達が北海道の自然の中、共同生活を送る中で起こる調和と軋轢と、といった物語。蓬莱らしく丁寧で緻密な戯曲だし、起こるエピソードも十分に納得できて、きちんと収拾される。少し御都合主義的な面が見えてしまう気もするのと、向井理という役者の特性が私のテイストではないという面があり、やや不思議な気分の作品だった。

夜が私を待っている
パルコ・プロデュース
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2016/10/15 (土) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★
演出プランのミス?
1935年にイギリスで書かれた作品の本邦初演。ロンドン校外の森の外れの館に住むブラムソン未亡人と、お金のない姪オリヴィエ。料理人のテレンスとメイドのドーラが通いで仕え、オリヴィエに求婚するヒューバートもしばしばやってくるが…、という古典的な心理サスペンス劇。パンフレットでは演出の河原は当時の通りの演出を、と言っているのだが、それでは当時のイギリスの生活や人々の常識は伝わらないのではないかと感じた。物語は確実に進行しているのだが、中心にいる入江甚儀演じるダンが、どう見ても「好青年」に見えず、チャライ男に見えてしまうというのがマズイ。入江の演技力というより、演出プランのミスだという気がする。

イキザマ3
RISU PRODUCE
「劇」小劇場(東京都)
2016/10/19 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了
満足度★★★
勢いと熱さはあるが…
とある冴えない大学の応援団の物語。新入生歓迎会での演舞を見て入った男女と、何故か中年になってから大学に入ったオジサンの3人の新入生が、決して封建的過ぎない応援団での熱い思いの中で成長して行く。男とオジサンは、それぞれが事情を抱えているが、それを巧く乗り越える脚本が良くできてはいるものの、少し予定調和的な印象はある。体力勝負的な芝居でもあると思った。尚、私は「生き様」という言葉は好きではないので、その分、少しこのシリーズへの思いに偏りがあるかもしれない。

遠い国から来た、良き日
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
良くできている
新聞での批評などで評判が良いので観に行ったが、予想を超えて面白い作品だった。広島の中学校にイラク人の少年が転校してくることで起こる、ざわめきや軋轢、そして、広島だけで行なわれている「平和学習」の意味等が、説教くさくなく展開される面白く、良くできている舞台だった。若いといっても20代の役者陣が中学生に見えるというのも巧みだし、タイトルも予想通りだったが、2時間を楽しめた。

Shoe Cage
電動夏子安置システム
OFF OFFシアター(東京都)
2016/10/20 (木) ~ 2016/10/24 (月)公演終了
満足度★★★★
女優陣全開
ロジカル・コメディを得意とする同劇団だが、今回は「擦れ違い」系とでも分類できるタイプだろうか。一定の設定の下で、苦心して会話する、という10~20分程度の物語8編のオムニバス短編集。とは言え、設定は細かく絡み合い、最後は収束していくのだが、前作に続いて久々に登場に渡辺美弥子、前作は休んだなしお成の2人の爆発力は強烈で、新野・武川・犬井の各女優も切れ味を見せて、男優陣を圧倒する勢いを感じた。他の劇団では見られないような芝居である。

ひずむ月【本日千秋楽!当日券若干あり】
劇26.25団
OFF OFFシアター(東京都)
2016/10/12 (水) ~ 2016/10/17 (月)公演終了
満足度★★★★
珍しい
25団としては珍しく、評伝劇である。地震学の礎を築いた今村明恒の物語を、ある意味で史実に忠実に物語にする。面白いのだが、なぜ今25団がやるの、という不思議は残った。終演後、杉田氏に訊いてみたが、「やりたかったので…」という回答。珍しいタイプの作品でも、25団らしいテイストはキチンと残っていたように思う。

夜明けに、月の手触りを ~2016~
mizhen
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/10/05 (水) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★
心地好い感触で終わる
東京で擦れ違った女性5人が、それぞれの物語を語る内、それら擦れ違いが何らかの関わりを持って来る。キャラクターの立て方が巧みで、それぞれの女性に共感できて、興味深く見せてもらった。

春よ行くな、
悪い芝居
テアトルBONBON(東京都)
2016/10/04 (火) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★
感触は伝わる
片桐はづき出演ということもあって観に行った。具体的なようでいて、非常に抽象的な芝居だと言えそうである。起きる出来事のそれぞれは、共感はできなくても理解はできるのだが、それで何が言いたいのか、は明確ではない。しかし、奥田ワレタ等の、しっかりした役者陣の力もあって、ある種の感触は伝わる。ただし、無駄に変な動きとか、私にとっては「ちょっと…」という部分もあり、少しテイストが違うのかなという気もした。