娼年
ホリプロ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2016/08/26 (金) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★
三浦演出炸裂
石田衣良の小説をポツドールの三浦大輔が脚本にして演出する。松坂桃李・高岡早紀・佐津川愛美などが出演することでプラチナチケットとなったが、演劇には珍しいR-15指定。それもそのはず、全編セックスシーンの連続である。娼夫となった主人公(松坂)と数多の女性とのセックスシーンを通して、性と生の問題を考えさせるというテーマ性は良い。あれだけあからさまにセックスシーンを演じなくても上演できそうなものだが、そこは三浦らしい作品作りと言えよう。特にセックスシーンで笑わせる、という技は三浦以外には考えられない。とは言え、物語の底は見えているので、エンディングも含めての意外性は少ない。
SHAKESPEARE IN HOLLYWOOD~ハリウッドでシェイクスピアを~
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2016/08/31 (水) ~ 2016/09/14 (水)公演終了
満足度★★★★
初日に観ました
ラドウィッグでカトケンなので面白いだろうとは思っていたけれど、これほど面白いドタバタ型バックステージ物とは思っていなかった。シェイクスピアや、その他演劇・映画への知識をある程度要求されるけれど、それがなくても十分楽しめる。カトケンらしい、ハイクラスのエンターテインメントである。芸達者な役者を揃えているが、昨年は、少しおっかなびっくりの登場だった瀬戸早妃が、堂々たる役割を演じて見事だった。
『ウェルカム・ホーム!』&『ばら色の人生』
イルカ団!
ウッディシアター中目黒(東京都)
2016/08/30 (火) ~ 2016/09/05 (月)公演終了
満足度★★
下らない(誉めています)
『ばら色の人生』を観たが、一種のジェットコースター・ストーリーで、その間に細かいギャグを入れる。全体としては、とにかく良い意味で下らない。ただし、もう少しキーを握る人間を絞るとか、工夫の余地はいっぱいある。宣伝のせいか、あまり客入りが多くないのは勿体ないが、ギャグがスベったりするのも残念。
この町に手紙は来ない
monophonic orchestra
3331 Arts Chiyoda(東京都)
2016/09/02 (金) ~ 2016/09/07 (水)公演終了
満足度★★★★
何となく感じる
いつもの monophonic とは少し違って、時代性を感じさせてくれる。登場人物が同じ役割ではないのだけれど、少しずつ繋がっているという作りとか、不思議な感触に、何となく感じるものが残る。
大型
3.14ch
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2016/08/25 (木) ~ 2016/09/03 (土)公演終了
満足度★★★
分からんけどスゴイ
『チベット死者の書』をベースに、「死後の裁き」をエンターテインメント的要素も入れつつ、表現したものらしい。正直言って分からないのだが、スゴイことをやってることだけは分かる。それに意味があるかどうかは、これまた分からないんだけど。
月の海
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2016/08/31 (水) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
スゴイ芝居を観た
物語はよくあるタイプなのだけれど、凄く丁寧に作り込まれていて、無駄が無いのがスゴイ。どのエピソードも回収し、重い話なのだけれども、笑いを適度に折り込み、清々しく終わる。巧みな脚本にまず脱帽。さらに、その本を書いた女優が主演をしているというのが凄く、他の役者陣も細かい部分までしっかりと演じきっている。いまいゆかり、を、観に行ったのだけれど、新たな出会いに感激した。
七転三起
かわいいコンビニ店員 飯田さん
RAFT(東京都)
2016/08/26 (金) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
切れ味鋭い短編集
4編の短編からなっているが、どれも傾向が少しずつ違っていて、それでいてクオリティが高いのは見事である。ただし、プロットに頼る傾向があるのか、セリフが練られきっていないのは惜しい。さらに、作・演出を兼ねて出演する鈴木が、セリフを丁寧に喋れていないのは残念でならない。面白いのに3日6ステージというのは勿体ない。
のんのんさん
A.I.Yプランニング
サンモールスタジオ(東京都)
2016/08/21 (日) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★
面白い企画とは言える
同じ脚本(事実上の2人芝居)を3組のキャストで上演して競うというのは、企画としては面白い。脇役の俳優陣もそれぞれに役割を変えて、全部で8バージョンあるそうだが、全てを観るのが難しいというのが難点である。物語は、過去にも上演したことがあるそうだが、「いい話」であるとは言える。ただし、細かい暗転が多かったり、と、観ている上でのストレスが大きい。何より、20:30という開演時間のせいなのか、客が少ないことは、残念でならない。周知の方法を検討すべきではないか。個人的には、10年ぶりくらいに観る小代恵子の真当な芝居に満足したし、脇の森口美樹も楽しい。
窓
ハイリンド
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/08/23 (火) ~ 2016/08/31 (水)公演終了
満足度★★★
巧みだが少し焦点が…
役者だけの集団ハイリンドは、今まで既存の作品を上演してきたが、今回は早船聡の書き下ろし。地方の小さなスポーツ用品店の店主とその妻、その弟と、従業員の女に、その妹、と5人しか登場しないのだが、丁寧な作り込みで複雑な人間関係を描いてはいる。ただ、初日で固かったせいか、2人ずつの繋がりは見えるのだが、その軸や相互の関係などが今一つ見えてこなかった。いい話ではあるのだが、何かが足りない感じ、と言えばよいだろうか。惜しい。
無情
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2016/08/24 (水) ~ 2016/08/30 (火)公演終了
満足度★★★★★
切れてる
再演だそうだが、初演は観てない。やや奇抜な設定の物語が2つ、交錯しつつ展開されるが、それに違和感はなく、見事な展開である。そして、櫻井の特徴である台詞の切れが実に素晴らしい。「SEXは?」「できません」という会話で泣かせるなんていう技は、櫻井くらいしかできないだろう。
カミグセ 短編集Vol.1
カミグセ
STスポット(神奈川県)
2016/08/24 (水) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
良質の会話劇短編集
つくにうらら、という奇怪な(誉めています)名前の作家が主宰する劇団の初の短編集。3つの物語が紡がれるけれど、どれも少しずつ雰囲気が異なりつつも、通底する独特の感触が魅力的だ。ただ、今回は物語に重点を置いたためか、私の好みのエッジが効いたセリフが少ないようにも感じた。とは言え、3話とも観終わって切なくなるのは作家の力量が為せる技だろう。
7 -2016 ver.-
studio salt
神奈川県立青少年センター(神奈川県)
2016/08/17 (水) ~ 2016/08/21 (日)公演終了
満足度★★★★
力作だが弱い部分もある
同劇団の代表作なのだそうだが未見。しかも今回は、演劇塾ということで若い(高校生~20代)の役者を多数入れての公演で、大分テイストが変わったのだろうと思う。本紹介にある「説明」は登場人物の一方側からの観点で、初演はこちらだけが登場したのだと言う。今回は、上記の事情から他方側の観点を入れたことで、対比が分かりやすくなった分、焦点が少し惚けた感があり勿体ない。それと、登場人物の造形がやや濃やかさには欠けてしまい、みんなこんな人達なのか、などと思われていたら、それも残念なことである。とは言え、テーマも描き方も代表作と呼ぶのに相応しいものではあると思うし、音で場面を転換する技術も面白い。エンディングは圧巻とも言える。力作である。
艶情☆夏の夜の夢
柿喰う客
吉祥寺シアター(東京都)
2016/08/04 (木) ~ 2016/08/14 (日)公演終了
満足度★★★★
パターン化しつつあるけど面白い
柿喰う客の女体シェイクスピア・シリーズもパターン化してきていて、大体やりそうなことが分かるのだが、だから面白くない、場合と、それでも面白い、場合があり、今回は後者だった。(日本の)夏祭りのイメージで浴衣を着た女優7人(と、キャンディー屋なんだろか←千葉雅子)が、華やかに原作を追う。新人の福井夏は、渡辺演劇塾での役柄とは違ったテイストで興味深く見せてもらった。
ショーツ
チタキヨ
空中庭園ARENA(東京都)
2016/08/05 (金) ~ 2016/08/06 (土)公演終了
満足度★★★★★
巧みな技
劇場でないところでの上演を続けてきたチタキヨだが、今回は下北沢のイベント・カフェでの公演。3ステージだけというタイトな上演だが、短篇の名手・米内山陽子の力量が遺憾なく発揮され、手慣れた女優3人のコンビネーションも良く、素敵な芝居だった。3人芝居のあと、メンバー一人ずつの1人芝居3本をやり、最後に最初の続き的な3人芝居で締めくくるという流れも良い。
ダージリン急行
シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2016/08/15 (月) ~ 2016/08/17 (水)公演終了
満足度★★★
よくわからない
以前『オーラル・メソッド』の一つとして上演したときも良く分からなかったが、今回も良く分からない。映画「ダージリン急行」へのオマージュであることは分かるが、映画を見ていないと、どこが変わったのか、変わっていないのか、も分からないので、結局、良く分からないということになるのだが、それでも何だか面白い印象が残るのは、名嘉の本作への愛情が感じられるからだろう。
いま、ここにある武器
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2016/08/13 (土) ~ 2016/08/28 (日)公演終了
満足度★★★
重い
風姿花伝プロデュース第3弾は、ロンドンの劇作家ジョー・ペンホールの作品は、今ノリに乗ってる小川絵梨子の翻訳、千葉哲也の演出・出演で送る。休憩15分込み2時間35分だが、確かに緊張感があり興味は維持できる。しかし、千葉演じる主人公は幸せにならない、どころか、どんどん悪い方に向かっていくのは、何だか後味が悪い。その分、全体が冗長に思えてならない。同じ物語をもっとショートにしうるのではないか。原題の"Landscape with Weapon"(武器のある風景?)を「いま、ここにある武器」と訳したことに意図はあるのだろうか。
イヌの日
ゴーチ・ブラザーズ
ザ・スズナリ(東京都)
2016/08/10 (水) ~ 2016/08/21 (日)公演終了
満足度★★★
長塚らしい
長塚圭史2000年の作品をゴジゲンの松井が演出しているが、世界観は長塚のを踏襲していると思える。むしろ、役者陣の集め方が興味深く、30代でまとめているのが、今の長塚だとやりにくい所なんだろうと思う。阿佐ヶ谷スパイダースは元々好きではなかったのだが、その好きでないという感じがしっかり出てしまって、演劇的に面白いものにはなっていたが、何か物足りない印象がある。
ビニールの城
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/08/06 (土) ~ 2016/08/29 (月)公演終了
満足度★★★
蜷川だったら、と…
蜷川が演出する予定だったのが急逝し、金守珍が演出に回った作品だが、確かに唐十郎の世界を描いてはいる。ただ、昔の3○○のような感じがして(というのは、3○○が唐を追っかけたんだろうが)、何か違和感が残った。蜷川がやっていたら、何か変わったのか、そうでないのか、そこが知りたい気がした。荒川良々は活舌が悪く、大事なセリフを言い切れていないのも残念。ただ、それを越えて、宮沢りえが強烈。
ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~
キューブ
本多劇場(東京都)
2016/07/24 (日) ~ 2016/08/21 (日)公演終了
満足度★★★★
下らないシュール
ケラの古田のコンビだと、このようなシュールで下らない路線になるのは必然。確かに、ほとんど何もない(^_^;)。で、手慣れたメンバーの中に、成海璃子・賀来賢人の2人が入っているのがポイントだが、特に成海いじりはかなりのもので楽しい。
ナイゲン(2016年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2016/08/11 (木) ~ 2016/08/22 (月)公演終了
満足度★★★★
傑作ではあるが…
何度も上演されている作品で、評判は聞いていたのだが、ようやく観ることができた。確かにテンポが素晴らしく、面白い作品だ。だが、観終わって何だか物足りなく感じるのは、やはり前提として学校側の指示を認めているからなんだろうな、と思う。その制約を逆手に取って、というところまで行っていない分、却って不満が残ってしまう。