ストラタ
一十口企画
新宿眼科画廊(東京都)
2018/04/06 (金) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★
シュールなナンセンス作品だが、笑えない残念さが残る。交差点で子どもが交通事故で死ぬ。車を運転していた男の妻は同じ日に子どもを産む。真相を隠そうとする夫婦だが、近所に住む2歳の子どもが事故を目撃していた。そんな中、現場検証に連れて来られた夫婦だが、警察官がなぜかインコで、夫婦の母は奇妙な言葉を発する…、というわけで、この辺からシュールな展開になっていくのだが、何が何だか分からぬまま、夫婦と母親はお菓子になって関係者に食べられてしまう。何とも不思議な作品だった。
僕をみつけて/生きている
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/06 (金) 19:30
短篇集『生きている』を観た。何だかハッキリしない舞台だった。
1つ目の『俺とお前の生きる道』は、突然妻に無断で会社を辞めた夫と妻の会話。ありそうで、ちょっと面白い。2つ目の『進軍、ブラック社畜兵』はひたすらブラック企業をからかい倒す展開だが、気持の良い内容ではなかった。3つ目の『Gの家』は、NHK「おかあさんと一緒」放送終了後の登場人物(動物)達の物語だが、これが全く分からなかった。lattice氏の書き込みによれば、これは前作の続き、的作品らしく、だとすれば、そう書いておいて欲しかった。目当ての片桐はづき・國吉咲貴が出ていただけに、勿体ない芝居だと思った。
悪人
テレビマンユニオン
シアタートラム(東京都)
2018/03/29 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/02 (月) 19:00
jokerman(331)
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/02 (月) 19:00
中村蒼と美波による2人芝居。新聞連載小説が原作で、映画化もされた作品の舞台化だが、緊張感ある90分だった。原作も映画も見ていないので、ストーリーも知らなかったが、生活に倦んでいるOLが出会い系で知り合った男が殺人を犯していて、その殺人犯と逃げるという、ある意味分かり易い展開を、OLの視点から語る。演技での表現力を要求される舞台だったけど、美波って、こんな巧い役者だったのか、と思わせる素敵な舞台だった。
僕をみつけて/生きている
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/05 (木) 20:00
『僕を見つけて』を見た。tacticalな芝居だった。金持ちのフリーターの家で、人狼ゲームをするためにバイト仲間やその友人・恋人達が集まる。三々五々集まる中で、男女の様々な恋愛関係が徐々に明らかになり、いよいよゲームが始まるが…、という群像劇。恵まれた人とそうでない人、とか、様々な人間関係を描きつつ、興味深いエンディングへと続く。90分飽きず、シリアスもあり、笑いもあり、と、なかなか楽しめる舞台だった。
ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』
オフィス上の空
ザ・ポケット(東京都)
2018/04/03 (火) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/03 (火) 19:30
再演で、大森ノルンでの初演も見ている。若い女の子に人気の雑誌のモデルになりたい女の子と、トップモデルの女の子、編集長であるそのトップモデル母を取り巻く、様々な人の物語。ピヨレボらしく、歌とダンスを交えて分かりやすく展開し、エンターテインメントに徹した舞台は楽しいことは間違いないところではあるのだが…。初演では、Glieseという星の話題がもっと強く扱われていたような記憶があるのだが、今回はそれほどでもなかった。
日替わりゲストで臨時に再結成された「38mmなぐりーず」が登場したときには嬉しかった(^_^)vし、なぐりーずメンバーで出演してる真嶋一歌の芝居中の小芝居が楽しい。
春暁-しゅんぎょう-
野生児童
「劇」小劇場(東京都)
2018/03/29 (木) ~ 2018/04/02 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/02 (月) 14:00
若い芝居だった。日本人の父が、中国滞在中に中国人の母と結婚し、姉妹弟の3人が生まれた5人家族の物語。日本に帰国して中国人の母が精神的に病んでしまう展開を、時間軸を動かしながら描く。最後は希望ある終わり方で、タイトルもそれを表していると思う。作・演出の有田の実体験と重なる部分が大きい作品らしく、その有田が主人公を演じるあたりで客観的に見えていない部分がややあるように思えて惜しい。中国人の母を韓国人の洪明花(みょんふぁ)が演じるというのは興味深い。
Ten Commandments
ミナモザ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/03/21 (水) ~ 2018/03/31 (土)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/03/22 (木) 19:00
同じ瀬戸山の『ホットパーティクル』と対をなす作品と言ってもよい。明らかに原子炉内部を示唆する舞台に、白い衣装の役者陣が登場し、瀬戸山の分身とも言える占部が失語した女を演じる。夫・浅倉は作業員らしい。その他の登場人物も、誰とは分からなくても原爆や原子力に関わる人々らしいことが分かる。静かな芝居だが、エンディングは少し希望が見える。
たまには海が泳げ!
クロムモリブデン
王子小劇場(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/21 (水) 18:00
久々にダークなクロムモリブデンだった。子役アイドルがレイプされ、それを忘れさせようとする母・姉と、レイプした男の家族、マスコミ等が混じって、「クロムな」世界観を演じる。同じことを3回繰り返すと狂ってくるという独自さもクロムだし、久々に何と言っても出演の奥田ワレタの狂いっぷりが尋常でなく、エンディングに向かってスピードアップする勢いも面白かった。
『天国と地獄』
遠吠え
王子スタジオ1(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/21 (水) 15:00
面白かった。とある高校の演劇部。女子ばかり3年生3人、2年生2人、1年生2人の7人の物語が、時間軸を細かく動かして、繰り返しや似た場面を繋げることで、同じことが過去から未来へ繰り返されていくことを示唆しているような舞台だった。特に知ってる女優は出ていなかったのだけれど、皆、しっかりと役割を演じて素敵な感触の舞台だった。
「LOVE」 Chapter3
シンクロ少女
OFF OFFシアター(東京都)
2018/03/19 (月) ~ 2018/03/21 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/19 (月) 19:30
シンクロ少女の、この "Love" シリーズは、もう手放しで絶賛するしかない。既に Chapter 3 で、1話完結とは言っても、前2作を観ていた方が面白いのは間違いない。今回も、櫻井演じる武田と名嘉演じるユミの恋の行方が揺れ動くのは興味深く、おがわじゅんや演じるたんちゃんとたなか沙織演じるヨシノの馬鹿ップルぶりも健在である。新たな登場人物として、上海に行ってしまった大岡(トリプルキャスト・この日は横手が演じた)の恋人である陳さんとして宮本奈津美が登場し、更に複雑な様相を呈するが、ただもう苦笑するばかりで楽しく、元気になる芝居だった。
尊厳の仕草は弔いの朝に
劇想からまわりえっちゃん
王子小劇場(東京都)
2018/03/14 (水) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★
鑑賞日2018/03/17 (土) 19:30
第1幕90分は西部劇で『ショットマン・レイ』の物語だが、何が何だか分からず終わる。10分の休憩後の第2幕で、第1幕が、亡くなった中学時代の同級生が書いてた漫画の世界だと分かり、同級生の通夜に集まるシーンから始まって、通夜後の宴会から過去の回想やら漫画の世界観やらに突入して、一応の希望を持って終わる。シベリア少女鉄道の(下手な)亜流とも言えるような気がするし、何より第1幕は冗長である。主宰でレイ役を演じた青沼始め、セリフが通らない役者が多いのは残念である。
再生ミセスフィクションズ2
Mrs.fictions
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/19 (月)公演終了
満足度★★★★
過去に上演した短篇を3本と、新作を1本の95分。再演物は全て観ているのだが、やはり劇作の巧さを感じる。新作は、再演物の別バージョンとも言える作品で、これもやはり巧い。切なさを感じる「東京へ連れてって」もいいのだが、初演時からハマってしまった「上手(かみて)も下手(しもて)もないけれど」は「ライフ・イン・ザ・シアター」の15分 Mrs. fictions 版ともいうべき作品で、本当に面白いと思った。
プープーソング
劇団きらら
北とぴあ カナリアホール(東京都)
2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/17 (土) 11:00
熊本の劇団だそうだが、しっかりした作劇だった。「代行業」を始めた青年が、初老の先輩と、ある「家族」に関わり、それを面倒に思いつつ、気にしつつも、何となく過ごしてしまう、という物語を温かいタッチで描く。不思議な感触の芝居で、登場人物5人がほぼずっと舞台上にいて、セリフがなくても何かの役割を演じているというのも面白い。ホッとさせてもらえる舞台だった。
おとうふコーヒー
劇団銅鑼
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/03/09 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/14 (水) 19:00
劇団銅鑼が、風琴工房改め Serial Number の主宰・詩森ろばの、図らずも芸術選奨新人賞を受賞後最初の戯曲を、元グリングの青木豪が演出して上演する。理想の介護を目指す特養ホームを舞台に、認知症の老婆の最後を看取ろうとする関係者の群像劇。詩森らしく、時間軸を動かしながら、状況を説明する技は冴えているし、社会的な話題をしっかりと扱いつつ、エンターテインメントの要素を抜いていない。青木の演出も、ある種淡々と戯曲を演じる方向を目指しているように思え、歴史ある劇団の底力を見た印象である。
なお、終演後に詩森と青木のアフタートークがあったのだが、忙しくて聞くことができなかった。どんな話が出たのか気になる。
また、劇中でFtMの性同一性障害の孫役を演じる俳優が、本当に性同一性障害だというのを今朝の朝日で読んで、ちょっとばかりビックリした。
義経ギャラクシー ─銀河鉄道と五条大橋の999─
X-QUEST
北とぴあ つつじホール(東京都)
2018/03/08 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/09 (金) 19:00
再演だが、初演も見ていて、ダンス&アクションに転じてからは最も面白い作品だと思っていたが、今回は大きな舞台を得て、更にパワーアップしていた。源義経の物語と、義経が死んだ岩手で生まれた宮沢賢治の銀河鉄道の夜を合体させるというアイデアは面白く、銀河鉄道の終点が五条大橋という回帰型の作りも興味深い。プロジェクションマッピングなども使って、豪華なX-QUESTだった。
何しても不謹慎
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2018/03/08 (木) ~ 2018/03/13 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/08 (木) 19:30
箱庭の新境地か。古川に言を借りると、物語を説明するためのセリフを排除して会話に限定した、とのこと。その結果、いろいろと議論はするけど何も決められない日本人、という像が浮かび上がってくるという効果はある。面白い、というより、ずっと少しイライラさせられながら、でも、やっぱりそうなんだよな、と思わせるところが、古川らしい巧さだ。役者陣は豪華で、作品を作り上げる上で、劇作上も役割を果たしたのだろうと推測される布陣だった。
見晴らす丘の紳士
LiveUpCapsules
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/03/07 (水) 19:30
明治の実業家・渋沢栄一の一代記…、だが、次々と起こるさまざまな出来事で、渋沢が凄い人だったことは分かるのだけれども、何を伝えたいかがハッキリしない。大隈重信などは皆分かるのだろうけど、岩崎弥太郎は分かるのかな、という気もする。最後の大きなエピソードである大日本精糖事件も、知らない人が多いだろうし、劇的なセリフも用意されていないのが惜しい。初日だったせいか、渋沢役の宮原のセリフにぎごちない所があったのも残念。
赤道の下のマクベス
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2018/03/06 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鄭義信が2010年に韓国で上演した作品を大幅に書き直して日本で上演する。1947年のシンガポール・チャンギ刑務所にあったという、死刑の確定したBC級戦犯を収容する施設での群像劇。日本人は3人、そして、日本人として判決を受けた朝鮮人が3人の6人が収容され、いつやってくるとも知れない執行の日を待つ日々を描く。重たいテーマにもかかわらず、登場人物はその危機を笑い飛ばすような生活を送るというのは、鄭の過去の作品でもあった。タイトルに含まれるマクベスというのは、池内博之演じる主人公が役者を目指した朝鮮人で、唯一の出演作。その選択あたりのバランスがよく取れた秀作である。池内や平田満が軸にはなるが、浅野雅博演じる元大尉の寡黙な演技が目を引いた。80分(休憩15分)65分は流石に長いが、それだけの価値はある。
母親はなぜ一人だと知っていたのか
稲田絵梨
新井薬師 SPECIAL COLORS(東京都)
2018/03/02 (金) ~ 2018/03/04 (日)公演終了
満足度★★
鑑賞日2018/03/04 (日) 17:00
数学に関する芝居だと聞いて観に行った。数学の「ギフト」が自分にはあるはずと信じる男と、絵を描く女とそのフリーター兄との出会いから、数学と芸術に関して語り合う会話劇。やたら饒舌な兄妹と、やや寡黙な男との対比は面白い。作・演出の稲田はいくつかの舞台に出ているようだが、数学との関わりは分からなかった。「数学者は変わり者」という偏見があったり、男が読んでる本が「複素数」だったり、サヴァン症候群との違いに拘ったり、稲田の数学への造詣の程度が分からないのだが、意図的に話題を絞っているとすれば演劇的には正解だが、見ていて何かが得られる芝居という感触ではなかった。もっとも、稲田はコメディとして書いたと当パンに書かれているので、その意図は買うが、成功しているとは言い難いのが惜しい。
彼の地Ⅱ
北九州芸術劇場
あうるすぽっと(東京都)
2018/03/02 (金) ~ 2018/03/04 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/04 (日) 13:30
北九州を舞台にした芝居を作るシリーズで、KAKUTA・桑原は2014年の『彼の地』に続いて、第2弾の上演である。同タイトルでの「Ⅱ」だが、関連はない。北九州に、帰ってきた人・やってきた人・去ろうとする人・留まり続ける人たちの群像劇で、いくつかのグループの人達が絡み合って最後はある落ち着きを見せるというのは、桑原の得意な展開である。役者陣もオーディション組を中心にしつつも、しっかりとした演技を見せ、人は駄目なところがあっても信じていることが大切、という桑原らしい気持ちの良い素敵な舞台だった。