jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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往転

往転

KAKUTA

本多劇場(東京都)

2020/02/20 (木) ~ 2020/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/24 (月) 14:00

 2011年にトラム・プロデュース、青木豪の演出で上演された作品を、KAKUTA名義で桑原自身の演出で上演する。事故を起こしたバスに乗り合わせた人々の4つの物語を、交互に、時間軸も動かしながら進め、最後は一つにまとまるという、桑原の手法がフル活用された戯曲。客演陣も含めて、しっかりした演技をしており、初演のトラムの回転舞台のインパクトは残念ながらなかったが、それでも充分に楽しめる作品になっていた。

少女仮面

少女仮面

metro

テアトルBONBON(東京都)

2020/02/19 (水) ~ 2020/02/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/23 (日) 18:00

 metroの月船さらら・天願大介が唐十郎の古典的作品に挑んだ、気合いが入った面白い舞台だった。近年、何回か上演された戯曲だが、今回は、伝説の宝塚歌劇団男役の春日野八千代を、元宝塚男役だった月船が演じるわけで、存在感は流石。基本的に脚本はいじっていないようだが、BONBONの狭い舞台をダイナミックに使った舞台美術の効果もあり、幅のある作品になっていた。宝塚に憧れる少女役の熊坂理恵子が月船と互角に演じていたのも感心した。

戯れ、ゴト。

戯れ、ゴト。

route.©︎

王子スタジオ1(東京都)

2020/02/18 (火) ~ 2020/02/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2020/02/22 (土) 16:00

 良くも悪くも若い芝居だと思った。開場と同時に5人の役者が舞台となるスペースにいて、前説が終わると始まるのだが、女子高生2人の他愛のない会話/「戯れ言」が中心で、合間に他の3人も含めて抽象的なパフォーマンスをする。人魚姫の話の中の話題が時々出るのと、女子高生の1人が死のうとしていることはすぐ分かるが、どう結末づけるかを気にしながら見ていた70分だった。

ロケットペンシル×ドレッドノート

ロケットペンシル×ドレッドノート

やみ・あがりシアター

王子小劇場(東京都)

2020/02/19 (水) ~ 2020/02/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/22 (土) 13:00

 アニメ愛に溢れた、構造にしっかりした作品だった。面白い\(^_^)/~~。「宇宙戦艦ヤマト」のパロディ/オマージュである早朝アニメのファンの男女とその周辺の人々の物語。アニメ内のシーンから始まり、現実のシーンと交互に出てくるのだが、これが見事にバランスが取れていて、アニメの終了と同時に現実の人々も一応の終着に向かう。主宰で作・演出の笠浦はアニメ・ファンというわけではなく、本作を書くため相当数のアニメを見たとのこと。その甲斐あって興味深い戯曲になっている。

Simulacra

Simulacra

電動夏子安置システム

赤坂RED/THEATER(東京都)

2020/02/19 (水) ~ 2020/02/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/21 (金) 19:30

 電夏の新作はロジカルコメディ大炸裂の秀作だった。パラレルワールド的な作品で、いわゆる「館」シリーズにも通ずるところがある物語。異なる世界のある人とある人が他の人に見えない形で会話ができる、という設定で、どんなことが起こるかを描いているが、少しずつ小出しにされるために、初めて電夏の芝居を観る人にはちょっと難しいかも知れない。劇団員を初めとして、客演にかつては電夏の常連だった高田淳・志賀聖子などがいて、役者陣の負担は大変だと思うけど、深く興味深い作品になっていた。

Dramatic Jam

Dramatic Jam

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2020/02/15 (土) ~ 2020/02/15 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/15 (土) 19:00

 短編3本を1ステージ限りの公演という興味深い舞台だった。萩原伸次・作の『席替え』は女子高生2人が放課後の教室で架空の席替えを話す物語で25分。岸田國士・作の『紙風船』は夫婦の会話で20分。ブラジリィー・アン・山田・作の『疚しい理由』は男女3人の騙し合いを描いた会話劇で45分。どれも作品としてのひねりがしっかりあり、作風は違うが、面白く見せてもらった。王子小劇場の初代芸術監督である玉山氏を役者として観るのは初めて。

寒がる寒がり

寒がる寒がり

あひるなんちゃら

OFF OFFシアター(東京都)

2020/02/13 (木) ~ 2020/02/19 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/14 (金) 19:30

 あひるなんちゃららしく、楽しく下らない(誉めています)芝居で、気持ちよく帰れる舞台だった。喫茶店の雇われ店長で画家だった寒がりの娘(篠本美帆)が、寒がりの父親(根津茂尚)と実家の火事を見ているシーンから始まり、家がなくなった父が喫茶店に住む。娘の高校時代の同級生やら、喫茶店のバイト(野村梨々子)の仲間のライトノベル・ファンやら、喫茶店のオーナーと秘書やら、妹も登場し、不思議な会話を続ける。ちょっとオカシイ人たちの会話を楽しむ72分。

好きな子として、生きていく

好きな子として、生きていく

怪奇月蝕キヲテラエ

新宿眼科画廊(東京都)

2020/02/07 (金) ~ 2020/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/02/10 (月) 19:30

 女流棋士の世界を扱った作品で、劇団名に反して真当で見事な舞台になっていた。観るべし!プロを目指す女流棋士の明日香は、女流1級の雀と一緒に、普及のためのユーチューバーとなり、次々に動画を公開し、徐々に人気が出てくる。しかし、ある事件が…、ということで、前半は女流棋士の置かれた立場や棋士たちの個性豊かな性格が描かれ、後半は事件を巡る様々な思惑を描いているのだが、そのバランスがよい。女性のみ11人のキャストも熱演だし、このために将棋を学んだという主宰の三浦には頭が下がる。タイトルは『好きな事して、生きていく』の謂いだと思う。こんな素晴らしい舞台に空席があるのは勿体ないと思う。
 また、定時開演を宣言し、都営新宿線の遅延で開演を遅らせたいが都合のある方はいますか、と事前に聞くなど、真摯な態度は、他のダダ漏れ的に開演を遅らせる劇団に、是非とも見習ってもらいたいものだ。

泣くロミオと怒るジュリエット【東京公演中止(02/08 (土) ~ 03/04 (水))/大阪公演中止 】

泣くロミオと怒るジュリエット【東京公演中止(02/08 (土) ~ 03/04 (水))/大阪公演中止 】

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2020/02/08 (土) ~ 2020/03/04 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/09 (日) 17:00

 鄭義信コクーン初登場作品は、ロミ&ジュリだが、むしろウェストサイドをベースにした作品になっていた。戦争が終わって5年後の港町で、2組の愚連隊が対立して…、という展開は、人種の問題も絡めてウェストサイド的になっている。だが、ロミオを三国人の「どもり」、ジュリエットを惚れっぽい不細工、とした辺りに鄭の視点があるように思った。オールメールの配役は蜷川へのオマージュだと思う。ジュリエット役の柄本時生がカワイイ。休憩込み3時間20分はさすがに長い。

コタン虐殺

コタン虐殺

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2020/02/01 (土) ~ 2020/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/08 (土) 19:00

 流山児事務所と serial number の詩森ろばの合体は、4年前の『OKINAWA 1972』に続く第2弾だが、優れた社会派エンターテインメントだった。アイヌ問題を題材に、17世紀のシャクシャインの戦いを軸に、1974年の白老町長刺傷事件も扱う展開だが、現代のすすきののキャバレーも登場させるなど、シリアスな部分とエンターテインメントのバランスがよくとれている。出演者の急病で配役の変更など大変な部分もあったようだが、それを感じさせない舞台だった。

第13回公演 明日花ーあしたばなー

第13回公演 明日花ーあしたばなー

日穏-bion-

「劇」小劇場(東京都)

2020/01/29 (水) ~ 2020/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/01/31 (金) 19:00

 緻密な脚本に特徴のある本劇団だが、今回も「いい芝居」を見せてもらった。戦争の影響が残る1950年(昭和25年)に、ある町で13年ぶりの花火大会が行われることになり、戦争中は爆弾を作らされていた花火職人達は喜ぶが、大会の企画をしている男には何かあり…、という物語。伏線の張り具合がバランスよく、予想はされるものの、最後は人間を信じられる物語として展開される。気持ちよく帰路につけるような穏やかな作品だった。

口付近に傷があるときは禁忌

口付近に傷があるときは禁忌

トリコロールケーキ&くによし組

シアターウィング(東京都)

2020/01/25 (土) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/01/25 (土) 19:00

 トリコロールケーキとくによし組の合作で、両方の作・演出が協力して芝居を作る。興味深い作品になっていた。チラシに書いてあった話とは違って、とある団地のいくつかの部屋で起きる「禁忌」を扱ったショートストーリーが最終的に一つにまとまるという構成は巧い。トリコロールケーキを観たことがなく、一方のくによし組はここ4年ほどの作品は基本的に観ているのだが、異種格闘技的味わいが面白い。脱力して観るのが良いと思う。

デッドストック・トーキョー

デッドストック・トーキョー

キコ qui-co.

駅前劇場(東京都)

2020/01/23 (木) ~ 2020/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/01/24 (金) 19:30

 2時間20分と長いが、短編集という構成を取っているため、そんなに長くは感じなかった。第1話の舞台は2036年で、人間でないものを愛する/恋することができるか、という物語で30分。第2話はそれから100年後くらいという設定で、クローンの恋の存在を問う35分。第3話は2020年で、今なのだけれど、母子家庭の母と娘が出会う恋の物語で、45分。第4話はシークレットなのだそうだけど、1923年のある壮大なフィクションの恋。近未来的SFとして一応の筋は通っているが、qui-co.でいつも感じる冗長感は否めない。第4話の小口ふみか独壇場の演技は見物だった。

雉はじめて鳴く

雉はじめて鳴く

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2020/01/10 (金) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/01/19 (日) 14:00

 iakuの横山拓也が俳優座に書き下ろした2作目。横山脚本にしては、かなりシビアな展開になっているが、最後は人間を信じていると言えるものになっている。とある高校の37歳女性教員の浦川は、担任するクラスの生徒で、副顧問をしているサッカー部の新キャプテンである、家庭に問題を抱える生徒の健の話を度々聞いているが、実は不倫もしている。新たにスクール・カウンセラーが来ることになって、物語が動く……。横山の作品にしては珍しく「悪い人」が出てくるのだが、それも已むを得ないと思わせる展開は巧い。しかし、結局は健が救われたのか、よく分からない展開が切ない。タイトルは七十二候の一つだが、健の思いを表わしているようだ。
 ただし、教頭をちょっとピントがずれた人物として描いているが、実際の学校は校長より教頭(今は副校長と呼ぶことが増えている)を軸に動くことが多いのが現実に思える。

会社の人事

会社の人事

一般社団法人横浜若葉町計画

WAKABACHO WHARF 若葉町ウォーフ(神奈川県)

2020/01/12 (日) ~ 2020/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/01/17 (金) 19:00

 初めて訪れる劇場で、興味深い作品を観た。ゴドー風のオープニングから、中年男性3人(龍昇・塩野谷正幸・大西一郎)がバーで語り合うシーンに移る。男の一人は定年を迎えるというので、時間軸が前後して、平成の間に起こったのさまざまな出来事を回顧する一方、若い3人(丸山雅也・服部容子・牧凌平)が不思議な物語を紡ぐ。リーディングから始めてレパートリーにしようという試みだそうで、タイトルから予想されるのとはちょっと違った面白い舞台になっていた。役者として大西一郎を観るのは多分初めて。

ポポリンピック

ポポリンピック

ゴジゲン

こまばアゴラ劇場(東京都)

2020/01/03 (金) ~ 2020/01/21 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/01/12 (日) 18:00

 馬鹿馬鹿しいと言えばそうなのだが、案外、問題作だという気もする芝居だった。ボウリング場に捨てられていたポポが、ボウリング場の支配人に育てられ、ボウリングの天才となる。東京オリンピックの種目に選ばれそうだというので、オリンピックの金メダルを目指すが、種目に選ばれず、そうなら、選ばれなかった種目だけで別にオリンピック(ポポリンピック)を開こうとする人々の物語。コメディなので笑っていればいいようにも思うが、オリンピック種目だけを重視する社会やマスコミへの批判も含まれているように感じた。なかなかの舞台だった。

つかの間の道

つかの間の道

青年団若手自主企画 宮﨑企画

アトリエ春風舎(東京都)

2020/01/08 (水) ~ 2020/01/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2020/01/12 (日) 14:00

 面白い試みの作品だった。日常の会話をしながらも、いかにもセリフっぽい発話だが、ポストパフォーマンストークによれば、そこが作・演出の宮崎の狙いらしい。音で台詞を作る、というのが宮崎の目指すところらしく、そのことによる違和感も含めて宮崎が産み出そうとしている感触だそうだが、それは一定程度成功していると思う。ただ、観ている側には感触しか残らないのは勿体ない気がする。感じ取れない私の未熟であろうか。

イケてるともだちX

イケてるともだちX

なかないで、毒きのこちゃん

ザ・スズナリ(東京都)

2020/01/11 (土) ~ 2020/01/13 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/01/11 (土) 19:30

 メタ演劇的な手法が多い同劇団には珍しい(と私は思うのだけど)、物語のある芝居を面白く観せてもらった。と言っても、同劇団らしい趣向に満ちたものだった。4つの独立した物語が立ち上がり、それが緩やかに近づきながら、最後は収束する作りは巧いし、エンディングの舞台の作りも見事だし、大いに笑いつつ楽しく観ることができる舞台だった。大島朋恵のコメディを観るのは久しぶりという気がする。

貧乏が顔に出る。

貧乏が顔に出る。

MCR

OFF OFFシアター(東京都)

2019/12/26 (木) ~ 2019/12/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/12/29 (日) 19:00

 2008年・2012年に初演・再演された作品の再々演。面白かった上に、深かった。観られてよかった。3人で家賃3万の部屋に住む貧乏な男たちと、彼らを取り巻く人々の物語。MCRらしくセリフのキレが素晴らしく、笑わされているのだが、「不要なものを売って暮らしている男」の「不要なもの」が何かに気づくと、深さに驚き、ちょっと泣けてしまった。役者陣も役割をしっかり果たして見事だが、40歳になってもバイトでくらす男(おがわじゅんや)の彼女役のたなか沙織が特に凄い。

いけない先生

いけない先生

ろりえ

駅前劇場(東京都)

2019/12/26 (木) ~ 2019/12/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/12/28 (土) 18:00

 久々に観たろりえは、ろりえらしさ満載の、バカバかしくて楽しい舞台だった。北北沢大学付属高校に演劇部があるというので入学した女子と、OGで演劇部顧問の教師を軸に物語は動く。女子が入学して2年になったとき、大学からの来年度以降の学園祭中止命令に逆らう校長派と、命令に従う教頭派に分かれて対立する。その攻防を描く前半と、文化祭で公演をやろうとする演劇部を襲う様々な困難を描く後半が、結構ハッキリ分かれている。それぞれが、予定調和的に終局するが、各段階のさまざまなエピソードが、ろりえらしく「アリエネー」バカバかしさに溢れ、楽しく笑っていられる125分だった。

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