『Auld Lang Syne』(オールド・ラング・サイン)
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/02/17 (金) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/02/19 (日) 11:00
前から知っているが実は初見のユニット。青函連絡船を扱うシリーズの4作目。(2分押し)82分。
初代の青函連絡船である比羅夫丸と田村丸のあれこれを、「蛍の光」の源極であるタイトル曲と絡めて展開する。船を疑人化して歴史を追っているが、そのことで分かりやすくなることもあるが、捨てられてしまうものありそうな気がした。「蛍の光」の3・4番の歌詞が歌われるところを久々に聞いたが、やはり戦争の臭いがするよね。イギリス製の比羅夫丸がスコットランド古謡の同曲の日本語詞を聞いているときの表情は見事。ただし、比羅夫と田村を「英雄の名前」と言っていることに大きな違和感を覚えた。
客入れから会場にいた作・演出の畑澤聖悟が、芝居が始まる前に5分ほど青函連絡船の歴史を語るが、これは必要なことだし、上演時間にはこれが含まれているように思う(上の表記もそうした)。
ケンジトシ
シス・カンパニー
シアタートラム(東京都)
2023/02/07 (火) ~ 2023/02/28 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/02/18 (土) 18:30
詩的、と言うより、詩、そのものが軸の作品だった。(1分押し)93分。
宮澤賢治とその妹トシに石原莞爾を絡めた北村想の劇作だが、主人公はトシであるのかも知れない。観劇後に調べてみたが、賢治と石原はいずれも法華経と理想郷という点で繋がるということで、そこから着想を得たのか。賢治と詩や小説をセリフにふんだんに使うが、これは分からない人には分からないだろうなぁ的な展開だなぁ(^_^;)。
生者に梔子
牡丹茶房
高田馬場ラビネスト(東京都)
2023/02/15 (水) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/17 (金) 14:00
何でこんなこと考えるんだろう、…、な芝居。スゴイ。(2分押し)136分。
山形の寺で1週間の断食体験をするために来た6人+紛れ込んだ2人+寺のスタッフ4人。豪雪やら何やらで断絶された空間となり飢餓が進むが…、の物語。終盤で出て来る1つのフィクションを除けば、実話だと言われればそう思うかもしれないストーリーだが、役者陣の熱演もあり、最後は宗教的な彩りをも示すあたりは、予想外の展開だった。冒頭から不穏な空気を醸す赤猫座も見事だが、セリフなしで演技する二つ森も見事。
超訳 ヴェニスの商人
名前はない劇団
王子小劇場(東京都)
2023/02/15 (水) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/02/16 (木) 19:30
良くも悪くも若い芝居だった。(5分押し)76分。
有名な『ヴェニスの商人』を75分で上演、という企画だが、シェイクスピアならではのセリフも活かし、極めて真当な上演。開演前に役者2人が出てきて背景や人物名を説明するというアイデアは良いが、開演時間になってから5分も他の芝居のCM映像を流すのはいかがなものか。黒と赤の紙を使った演出も意図が今一つつかめない。役者の力量に差があり、安心して観てられない所もあったが、全体として丁寧な上演だった。配役表がないのが残念だが、ポーシャ訳の采乃がいい。若い観客が多いが、終演後の会話を聞いてて、結末を知らない観客が結構いることに驚いた。
Bug
serial number(風琴工房改め)
サンモールスタジオ(東京都)
2023/02/15 (水) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/15 (水) 19:00
かなり強烈でタイトな舞台だった。(4分押し)127分。
荒唐無稽な話をする青年を信じる女性、という物語は、信じるということはどういうことか、というようなテーマの作品と言えるか。11月にトラムで公演する予定だったものを、役者と会場を変えて上演。珍しいR15指定だが、そんなに強烈な場面はないものの、15歳未満に見せにくいなと思う。終盤に出てくる塩野谷正幸の存在感が印象に残る。
磁界
オフィスコットーネ
小劇場B1(東京都)
2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/13 (月) 19:00
JACROWの中村が作・演出した舞台。タイトでいい芝居だった。(4分推し)114分。
実在の事件をベースにしているが、犯罪そのものでなく生活安全課という警察の組織の問題を扱う。難しい判断を迫られる生活安全課の警察官を演じた首藤(西尾友樹)と捜索を訴える姉(柿丸美智恵)がいいが、他の役者陣も熱演で緊張感ある舞台を作る。。異儀田夏葉は大変だったろうなぁ…の役。タイトルは、特定の意識・価値観に捕われた世界を言っているのだと思う。
推しのためなら死ねる!!
guizillen
萬劇場(東京都)
2023/02/08 (水) ~ 2023/02/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/10 (金) 13:00
Bチームを観劇。実は初見のユニット。面白い。112分。
コメディかと思ったら、ちょっとディストピア風味もあり、面白い芝居になっていた。推しに全財産を残す「保険」ができたという設定で、推しを応援するために自殺する人が増えて…、の物語。冒頭でラストを示唆する…、と思わせて肩透かし的に物語が動く辺りが特に面白い。推しの(流石に死ねませんが…(^_^;))藤真廉は保険会社の責任者をクールに演じ、もう一人の推しの井本みくにもさまざまな役割をしっかり演じてた。推しを持つ人をヲタクと認識する、というのはチョット違う気がする。
ストリッパー物語
Project Nyx
ザ・スズナリ(東京都)
2023/02/09 (木) ~ 2023/02/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/09 (木) 19:00
Project Nyx による、つか作品連続上演の2本目。いやー面白い。(4分押し)109分。
地方のストリップ小屋を舞台に展開される、ストリッパーたちとヒモたちの物語。2013年に東京芸術劇場で同戯曲を観たときにはピンと来なかったが、本作は面白く切なく観ることができた。女性の見せ方を分かっているNyxならではとも言える。客入れから座長役の野口和美が舞台にいて開演を宣言する形も面白い。ストリップを模した(脱がない)踊りの場面が数々あるが、現役ストリッパーの若林美保の踊りは別格で、見せ場で思わず拍手をしたら周りの人も拍手してくれていた。推しのいまいゆかりは、元女子プロレスラーのストリッパー役で登場し、ダンスも見せるが、プロレス技が見事(^_^;)。スコーピオンズ・デス・ロックを技かける早さに(*_*)!
初級革命講座 飛龍伝
Project Nyx
ザ・スズナリ(東京都)
2023/02/02 (木) ~ 2023/02/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/02 (木) 19:00
つかこうへいの有名な作品を、1973年の初演のテキストでやる、という企画らしい。(4分押し)120分。
冒頭や中盤で作品や時代に関する説明が入るあたりは丁寧な感じだが、とにかく熊田留吉(ラサール石井)と山崎一平(近藤弐吉)のやり取りに「熱」を感じた。他の人が笑わない場面で笑う一群の人たちがいて、学生運動体験世代なのだろうか、と思った。私はその世代よりホンの少し下で遠目で運動を見ていたのだが、個人的には笑える場面ではなかったなぁ…。
虚星のレイス
しむじゃっく
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2023/01/26 (木) ~ 2023/01/30 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/01/28 (土) 18:00
初見のユニット。独特の世界観で、華やかに描く。97分。
竜と人間が協力して競う「ファクーム」なる競技のある、という独特の設定の世界。4組の競技者のそれぞれが抱える事情や相互の関係などを紡ぐ。世界観に入り込めなかったが、役者陣の演技の華やかさはとにかく楽しい。独特の台詞回しがはまっていない役者がいるのはやや残念。平安咲貴(カワイイ),まひたん(キレイ),木山りお(リリシイ)等の推してる女優陣を始め、さながら女優祭り的な勢いも感じる。
あでな//いある
ほろびて/horobite
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/01/21 (土) ~ 2023/01/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/01/28 (土) 13:00
初見のユニット。分かりやすい芝居をしてるのに難解。(5分押し)133分。
丁寧にいくつかのエピソードを紡ぎ、役者陣もしっかりと演じているのだが、言いたいことが伝わらないもどかしさ。タイトルは "a denial" だとか。
ラチカン
三栄町LIVE
三栄町LIVE STAGE(旧:フラワースタジオ) (東京都)
2023/01/18 (水) ~ 2023/02/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/01/22 (日) 13:00
本ユニットは2回目。2010年に初演された作品の再演だが、初演は観てない。吉水雪乃が出るので、Cチームを観に行った。ちょっと…、な世界観。面白い。73分。
「ご主人様」にラチカン(拉致監禁)された少女10人。新人のヒロコ(吉水)に、馴れろ、と言う先人たちだがヒロコは馴れることができない…、の物語。かなり刺激的な展開だが、ヴィジュアル的にはそれほどでもなく、終盤の展開はちょっと予想外だが、よくよく考えるとありうる展開かもと思った。主宰で作・演出の太田守信が、自分の好みの世界観で作り始めて、思想で終わらせる、といった雰囲気か。目当ての吉水は、ちょっと珍しい役だが、しっかりと演じていた。役名があるのに台詞では「ヒロコ」以外は使われず、役者を確認するのがちょっと大変。
日本文学盛衰史
青年団
吉祥寺シアター(東京都)
2023/01/13 (金) ~ 2023/01/30 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/01/21 (土) 18:00
高橋源一郎の小説を原作にして2018年に初演された作品の再演。初演は観てるが、小説は未読。実に面白い!観るべし!4場。45分,37分,33分,20分。
それぞれ北村透谷・正岡子規・二葉亭四迷・夏目漱石の葬儀に文壇の人々や市井の人が集まったという設定で展開されるマジと笑いの混じった物語。それぞれの没年は1894年・1902年・1909年・1916年なので20年ほどの物語と言うことだろうか。その間の新しい日本語、すなわち、いわゆる「言論一致運動」の展開を描いて、面白く、かつ、考えさせられるところもしっかりある舞台になっている。多才な役者陣を集められる青年団ならではの舞台と言えよう。ただし、すべてのネタに反応できるのは、相当な教養が必要だろう(私も全部分かっているとは思えない)。
台詞の中に「新しき」を「あらたしき」と読む場面があり、ああこの時代はまだ音位転換は起こっていなかったんだな、と思った。
はやくぜんぶおわってしまえ
果てとチーク
アトリエ春風舎(東京都)
2023/01/19 (木) ~ 2023/01/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/01/21 (土) 14:00
初見のユニット。軽い感じの重さ。60分。
2012年の夏休み前に、女子高の教室で交される女子高生5人と女子教員1人の会話。他愛ない話から始まって、深いテーマに導かれる。結論は出ないし、気持ちの良い終わり方ではないが、一つの提示として受け止める。
ミルキーウェイ
村松みさきプロデュース
王子小劇場(東京都)
2023/01/18 (水) ~ 2023/01/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2023/01/18 (水) 19:00
初見のユニット。七夕チームを観た。2021年初演作品の再演だが、当然ながら初演は観てない。ちょっと不思議なファンタジー。117分。
冒頭、登場人物がマスクで出て来るのでコロナ禍下だと分かるが、その内マスクをしてない人物が出て来るなど、物語は複雑に展開し時間軸もガンガン動く。即座に時期が分からないところがあって戸惑うのと、台詞が私のテイストではなくて、物語に入り込めない感じがあったのは残念。タイトルもそれほど活きていない気がする。
燦燦SUN讃讃讃讃【1月7日~9日公演中止】
かまどキッチン
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/01/07 (土) ~ 2023/01/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2023/01/13 (金) 19:00
初見のユニット。90分。
持っているカードをめくって役割を表示する、というアイデアは面白いが何をやりたいのか良く分からない。役者が巧いのは分かる。アフタートークで説明しなければ分からないのはどうだろう。
宝飾時計
ホリプロ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2023/01/09 (月) ~ 2023/01/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/01/12 (木) 14:00
高畑充希の高畑充希による高畑充希のための舞台とでも言おうか。70分(15分休み)70分。
根本宗子が高畑の依頼で書いたという戯曲だが、高畑の魅力を引き出すことができている。女優のゆりか(高畑)が10歳から29歳まで続けた子ども役のミュージカルの主役、という設定が高畑と通じるものがあるが、主役トリプルキャストの他の2人、真理恵(小池栄子)・杏香(伊藤万理華)が巧い。過去と現在の時間軸を自由に動かすが、それを演じ分ける3人の演技は見事。展開はちょっとご都合主義的な部分があるものの、伏線の張り方も巧い。
恥ずかしくない人生
艶∞ポリス
新宿シアタートップス(東京都)
2023/01/07 (土) ~ 2023/01/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/01/11 (水) 19:30
本ユニットは4回目で安定の面白さだが、ちょっと変則的な方向に向かった気はする。(3分押し)99分。
留置場の担当官で部長にまでなったカヲル子(関絵里子)だが、副所長の谷と不倫したり、部下がいろいろだったり、やってくる犯罪者がいろいろだったり…、の群像劇。留置場に入ったことはないが、きっとこういうことはあるんだろうな、と思わせる「あるある」の展開の中で、高校の同級生が殺人未遂で入ってくるあたりから物語が動く。犯罪者も管理する側も同じ人間なのね、的な物語。
主人公を演じる予定だった今藤が怪我をして関に変わったのだが、全く違和感はなく、見事な舞台だった。ろりえの徳橋が面白い役所を演じる他、近江谷太朗はさすがの「嫌なヤツ」だったのは見応えあり。出てくるだけで笑いを取る加藤の存在は爆弾。
すずめのなみだだん!
やみ・あがりシアター
駅前劇場(東京都)
2023/01/06 (金) ~ 2023/01/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/01/08 (日) 17:00
劇団初の再演は2017年初演の作品だが、初演は観てない。素晴らしく面白い。(5分推し)103分。
冒頭、ワケの分からない言葉を話す集団が出て来るのだが、徐々に一種の宗教的団体だと分かる。その団体から出ようとした女性と一緒に付いていった女性が、「外」の世界と触れ合い、互いに同化する過程を面白く描いて見事な作品になっている。定時制高校を一つの舞台にしたことで、さまざまな要素を持つ人々が出てくることの必然性を維持しているのも巧いと思う。
10周年を記念して、再演希望作をファンから投票してもらっての上演だが、本作の初演の次の作品から観てる私としては、とてもいいものを見せてもらった気がした。
統一教会の話題が注目されているこの時期に観ると、宗教2世の問題が普遍的に思える。
『ジェミニ』
余人会
イズモギャラリー(東京都)
2022/12/26 (月) ~ 2022/12/31 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/28 (水) 19:30
河西裕介の本気を観た。観るべし!(2分押し)95分。
2つの愛の話が並行して綴られる。同じキャストが2役を演じるが、場面の転換が見事で、しっかり理解できる。切ない愛、幸せな愛、手慣れた役者陣の演技も見事。