おおなかの観てきた!クチコミ一覧

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赤すぎて、黒

赤すぎて、黒

劇団時間制作

萬劇場(東京都)

2020/03/04 (水) ~ 2020/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/03/14 (土) 19:00

不穏かつ不気味な空気感の中で始まる家族模様。精神力をごっそりもっていかれました。
時間制作さんの創り出すリアリティは、脚本・役者さんの力ももちろんですが、舞台セットが大きな役割を担っている気がします。前回と同じくスムーズに世界観に入り込めて、入り込みすぎて途中2回ほど心臓が止まりそうに…。色んなメディアや広告、エンタメなどが自主規制に縛られる現代で、こういった舞台だけが今も自由なのかもしれないと感じました。
一人ひとりの人物像も濃くて色んな立場からの感情が怒涛のように押し寄せてくるので、かなり見応えあります。なんの涙か分からない涙が流れました。このクオリティで4400円は安いと思います。
(舞台を初めて観る方には、最初の方が少し分かりずらいかも…登場人物が多いので見慣れてないと相関図が理解しにくいかも)

ネタバレBOX

人にはそれぞれの価値観があって、それは世界の多様性にもつながってるから悪いことではないけれど、この舞台に限っては、「家族愛」と「優しさ」を叫ぶ父親が滑稽に映りました。人のため、誰かのためと叫んでる人ほど、自分の価値観をただ押し付けてるだけ…ってこと、よくあるなぁと共感(恋愛に当てはめると多くがそんな感じに思えます)。個人的に、息子の正一郎さんの「俺、こんな感じに見えてたのか…」と、価値観が変わった瞬間にゾクッときました。あのシーン好きです。その妻の「私たち家族が幸せならそれでいいと思ってる冷たい人間です」というシーンもグッときました。責めたくない気持ちと、最終的に自分たち家族のことだけ優先したい気持ちのせめぎあいが伝わってきました。
一方で、今も心が過去に囚われて「監禁」されたままの家族は、同じようでいて各自ビミョーに違う苦しみを抱えていて、それが各自の価値観になってるから、ひとくくりに「被害者」という目線で見るのは違うんだな…と。そんな当たり前のことに気づいたり。こんな感じで色々なことを考えさせられる作品です。
天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

天保十二年のシェイクスピア【東京公演中止2月28日(金)~29日(土)/大阪公演中止3/5(木)~3/10(火)】

東宝

日生劇場(東京都)

2020/02/08 (土) ~ 2020/02/29 (土)公演終了

満足度★★★★★

悲劇で喜劇。流れるようなシェイクスピア作品メドレー。シェイクスピアを知らなくても楽しめると思います(実際、37作品中、私は5作品しか分かりませんでした)
ただ、「リチャード三世」「マクベス」「ハムレット」あたりは何となく知ってるほうが、より舞台を楽しめます。

主人公の佐渡の三世次(高橋一生さん)は、紛うことなき極悪人でした。なんなら外道。でも、そう生きるしかなかった生い立ちというか、三世次という男の悲しいさがを感じることができて、個人的に切なくなる場面も……。陰謀と悪事を軽快に繰り返すので同情の余地はないんですが、ラストシーンは見ていて少し胸が痛くなりました。
あと舞台を観るまでは、ポスターなどから「高橋一生かっこいい悪人」と思ってたんですけど、舞台ではちゃんと醜い男でした。顔の造形じゃなくて佇まいが。声やしゃべりも何か気持ち悪かったです。さすがだなぁ…。

長丁場の舞台ですし歌います。うっかり寝ないか心配でしたが、一瞬たりとも眠くならなかった。それは、ちゃんと物語になってたし、随所に言葉遊びが散りばめられていて面白かったし、華やかな舞台装置と衣装に目をみはったし、何より登場人物それぞれのキャラが立ってて魅力的だったからです。失礼な言い方かもしれませんが、実力派ぞろい。レベル高っ!次は細かな演出にも注目したいので大阪まで観に行ってしまいそうです。
間違いなく面白い舞台でした!

ネタバレBOX

印象的なシーンは数多くありますが、一番心に残ったのは、三世次の「俺、そんなに醜くないかも」というセリフです。舌先三寸で代官までのぼりつめるけど、結局愛する人には愛されず、最期は自分の醜さを突きつけられて復讐されるという…。喜劇要素が多い中で、三世次と浮舟&桶職人の結末は本当に悲劇的だと感じました。

ちなみに、どストレートな濡れ場が結構あるので苦手な方とお子さんはご注意ください。
猩獣-shoju- <東京公演>

猩獣-shoju- <東京公演>

壱劇屋

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/10/11 (金) ~ 2019/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

観終わった後に出た言葉がコレです。「やばっ…」。なんかもう色々感情決壊で号泣。台詞のない殺陣芝居でこんなに心が動くとは思いませんでした。
例えば、ケガをおして走りきったマラソン選手や死闘を繰り広げた選手の良試合を見たあとの感動と爽快感。そして最初から最後まで一貫して切ない。でも愛しい。なんじゃこりゃ!!
殺陣ばかりで理解できるか心配でしたが、そんな心配は徒労でした。作品の冒頭から、物語の設定はこうですよ、と分かりやすい演出だったし、そこですでに引き込まれてしまって…。それに色んな武器や戦い方が出てきて全く飽きなかったし、むしろ台詞なくて良かった!と思えるくらい集中して観てしまいました。
初めて観た壱劇屋さんの作品がコレで良かった。ちなみに故郷の劇団さんなので本当に応援したい気持ちでいっぱいです。また東京での再再再演、期待しています!

ネタバレBOX

受け取ってもらえない想い、身に覚えがありすぎて切なく苦しかったです。(それで余計に感情移入して号泣だったのかも)

猩獣になった男の強さに、たくさんの花束を贈りたいです。あれほど嗚咽して嘆いていたのに、届かないとわかっている想いを、最後にもう一度差し出した。その男の想いに対してヒロインは最後にどうしたのか、どう返したのか。
あかん、思い出すだけで涙腺が……

殺陣が圧倒的にすごかったからこそ、切ない想いとのギャップでやられました。
道雪

道雪

THE☆JACABAL′S

シアターX(東京都)

2019/10/02 (水) ~ 2019/10/06 (日)公演終了

満足度★★★★

小劇場で時代劇かぁ…と不安だったのですが、時代劇初心者でも楽しめる内容でしたし、戦のシーンは臨場感があってテーマパークのようなドキドキも感じることができました。まるで合戦の真っ只中に放り込まれたような感覚!これは小劇場ならでは!嬉しい初体験でした。
また、時代劇なのに登場人物たちの心の動きがよくわかる(共感できる)ので、時代劇に苦手意識を持ってる人にこそ見て欲しい。戦国の世の常みたいなものを現代人にも分かりやすく伝えてくれるし、本格的な殺陣が楽しめるし、何より物語の筋が歴史に詳しくなくても全く問題ないのが素敵です。舞台を楽しむために必要な情報はすべて舞台を見ればわかる!そして、しょっぱなから良い意味で予想を裏切られて「えー!そうなの?!」とワクワクしました。(フツーに歴史的な有名人の英雄譚だと思って行ったから度肝抜かれた…)
そして登場人物たちに魅力的なキャラが多くて、自然とお話にのめり込めました。とくに道雪四天王。舞台終盤は、人間の愚かさ、切なさ、愛おしさみたいなものが一気に溢れだし、泣ける舞台でもあります。
具体的なシーンについて語りたいけど、再演してほしいからネタバレにならない程度に止めておきます。

ネタバレBOX

再演あったら見て欲しいポイントです。
★権兵衛の変化。とくにラストシーン!
→それまでの姿からは想像もできない堂々たる鬼道雪…感涙必至。そしてめちゃくちゃかっこいい!
★立花宗茂の決意。
→救いのない状態で…唯一の光!若き武将が一人希望を背負って立ち上がり、少ない味方とともに敵陣に乗り込むシーンは涙で舞台がぼやけました。
★道雪四天王の心の動き
→権兵衛をバカにしてたのに、いつの間にか…。四天王を助けるため、権兵衛が1人で死地に向かう際、「バカがっ!!」と吐き捨てながら追いかけるシーンが大好きです。
ほしい

ほしい

劇団時間制作

赤坂RED/THEATER(東京都)

2019/09/19 (木) ~ 2019/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/09/26 (木) 19:00

知人にオススメされて、劇場も職場から近かったため、フラッと観に行きました。前情報は一切無し。お目当ての役者さんも無し。だから何となくで観ていたのですが…。観劇後、真っ先に思ったのは「他の作品も観てみたい」でした。

グループホームを舞台に繰り広げられる、様々な人間模様。登場人物は障害者、それを介護・支援する人。そして野球部の青年と被害者の家族。これだけ並べると一見特殊な物語のように思うけれど、根底にあるものは全然特殊じゃない。むしろ多くの人の心に刺さるお話だと思いました。
今のテレビドラマでは出来そうにない、圧倒的なリアリティ。エンタメ要素を排除して、人物一人ひとりの「ほしい」欲求が、驚きの背景と共に生々しく迫ってくる。明かされる事実。障害者から見た健常者。健常者が思い込んでいる障害者。観ている私もグングン集中力が上がって あっ! という間に幕。
幕が降りたあとも、登場人物すべての人間性・個性が深く印象づけられていて、長草荘のあの人達は今も日常を歩んでいってるんだろうな…と、そんなふうに感じることができる舞台でした。

色々言葉を尽くしましたが、
一言「面白かった!観てよかった!!」。
教えてくれた知人に感謝しつつ、次回は、ガッツリ期待をふくらませて観に行こうと思います。
ちなみに美術のこだわりもすごかったです。

七慟伽藍 其の二十

七慟伽藍 其の二十

THE REDFACE

横浜情報文化センター6階・情文ホール(神奈川県)

2019/06/29 (土) ~ 2019/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

観終わったあと、作品名が七堂ではなく七慟なことに納得。七人の戦国武将たちの慟哭が響き渡る、迫力ある作品でした。
最初は、登場人物たちの時代的に言い回しや発声が似ていて、しかも衣装も一緒の朗読劇なので誰がしゃべってるのか分からなかったんですが、人物相関図を把握できて以降は楽しめました。後半は展開に次ぐ展開でドドドドッと真実が明らかに!個人的には武田信玄公がそれぞれの武将の人間性の違いを語るシーンが好きです。なるほど、確かに、そうきたか…みたいな。面白かったし、意外にも感動的なシーンもあったし、気づけばどんどん世界観に惹き込まれていました。戦国武将が好きな人にはたまらない作品だと思います。

パリのアメリカ人【2020年京都公演一部、福岡公演中止】

パリのアメリカ人【2020年京都公演一部、福岡公演中止】

劇団四季

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2019/03/19 (火) ~ 2019/08/11 (日)公演終了

満足度★★★

とにかく華やか!ダンス、バレエ、歌のシーン、美術、衣装、舞台の転換など見応えがありました。(お高いチケットなのでそのへんしょぼかったら悲しいですけど)プロジェクションマッピングをふんだんに使っていて、眺めてるだけで楽しい気分になります。
ただ、登場人物の心の動きがほとんど伝わってこなくて…物語の視点で言うと物足りなかったです。私はいつも、舞台や映画など観たあとは、その物語の余韻が残るし自分の中にも何らかの感情が残るんですが、今回は何も無し。ミュージカルだからは関係なく、やっぱり登場人物の気持ちにシンクロできなかったせいだと思います。プロの様々な技術を見て、おお!すごい!とか、そういう見方しかできませんでした。物語に重きを置かない人には向いている作品だと思います。

さようなら

さようなら

オパンポン創造社

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2019/04/18 (木) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★


「賞をとるとはこういうことか」と思いました。
観客は(少なくとも私は)勝手に期待値を上げて観るので、その一人一人のハードルを超えていくのは大変だな…と。そんな状況において絶賛の声多数。すごいです。何がすごいって、東京公演であれだけお客さんが来てるのがすごい!
だから私の意見は少数派だと思いますが、観終わったあと、リーズナブルなチケット代金相応だなと思いました。のびしろがいっぱいある…というか(偉そうですみません)もちろん面白いと感じる部分もありましたが、全体通して、個人的には「上がりきらずに終わった」という印象です。お話が面白いだけに、もうちょっと人物像が深かったらより感情移入できたのに残念だなって思ったのと、山場シーンがちょっと平坦だったのと、ラストもなんだか不完全燃焼感が残りました。

ネタバレBOX

ラストシーン、オチとしては「そうきたか!」と単純に笑えたのですが…ちょっとモヤモヤ……好みの問題かもしれません。
ト音

ト音

劇団5454

赤坂RED/THEATER(東京都)

2019/03/27 (水) ~ 2019/04/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

「もう1回観たくなる」。前のめりに観てしまいました。観劇後は背中に汗をかいてたほどです。脚本・演出のアイデアとインパクト、個性的なキャラクターたち、そして主演お二人の会話の掛け合いは観てて高揚感がすごかった。私は演劇関係者でも何でもないけれど、仕事柄ライブや舞台などに誘われることが多くて、でも「また観たい」と思えるものは実はあまりありません。劇団5454さんの「ト音」は、正直もう1回観たい。

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