鯉之滝登の観てきた!クチコミ一覧

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超ではない能力

超ではない能力

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/05/16 (日) 14:00

 『超ではない能力』を観劇しました。
 タイトル通り、社会に役立つでもなく、
たいして脅威ともならない中途半端な超能力を持った人々が集まり、そのような繋がりから、Youtubeの配信でそれぞれの能力を披露することにつながる。しかし、何回目かの配信で、注目を集める為にちょっとしたインチキをした人がいる。それでネットが炎上したりというようなドラマがある。なので途中どうなる事かとハラハラしたが、最後のほうでたいして役にも立たないどうでも良い能力を持った人々が向かってくる電車に飛び込み自殺をしようとしている女子高生を救う展開を観て、世の中に役に立たない、必要とされない能力であるとしても、力を合わせれば本当に追い詰められた人を救える。つまり、この世の中に役に立たない、どうでも良い存在なんて誰一人としていないんだということをしみじみと考えさせられた。
 作品内のそれぞれの個性的で面白いキャラや過去が非常に暗いキャラを、俳優が迫真の演技だったり、熱い感じだったり、時にコミカルに表現されていて、俳優とキャラがシンクロして見えた。
 ただ、最後の終わり方が結構強引に感じられたので、そこがまとまっていたらより良かったと思う。

共生

共生

さんらん

アトリエ第Q藝術(東京都)

2021/03/17 (水) ~ 2021/03/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/03/19 (金) 19:00

 『共生』という劇において、上野の動物園で働く祖父は戦争で、自分が育てている子象までも、飢え死にさせなければならない、そのどうしようもできない現状に苦しんだ。父は戦後、松屋デパートの屋上で子象のショーをやっているが、あることをきっかけに公務員と仲良くなり、一緒に小象を屋上から連れ出して上野の動物園に運ぶ為に思案し、行動し、最後はその血の滲むような努力が実を結ぶ。そして現在の娘は、女獣医としてアフリカに行き、動物自然保護区に象牙などを求めて侵入してくる密猟者達から子象を含む動物を護るため、体を張って闘い続けている。
 という、それぞれ立場は違えど、動物に関わる仕事をしている1つの家族を取り上げて、その家族と動物の在り方を通して、動物との共生とはどういうことなのかを考えさせてくれた。
 そして、象牙を欲しがらない、密猟業者から象牙を買わない、そういうことの積み重ねが動物と共に生きていくということなんだということを骨身に沁みて感じた。

羽化する朱い糸

羽化する朱い糸

劇団Pin to Hint

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2021/03/12 (金) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/03/14 (日) 16:00

 『羽化する朱い糸』という劇において、主役の真弓と、生みの親の朱音とを、俳優の望月ミキさんが、性格や雰囲気、声色を変えながら、見事に演じ分けていて、演技力があると感じた。また、最後のシーンで、主人公の真弓を演じるミキさんが、赤い蚕の赤い糸に絡め取られていきながら、妖艶さや、相手を引きずり込みかねない危険さ、それとともに春馬に対する純情さをも肉体や言葉を使っての迫真の演技が、思わず観ている僕に緊迫した状況を強いて、迫真に迫っていた。
 
 春馬、先生、祖母役を演じた俳優の尼子亮平は、特に、頑固で、村のしきたりに異常なまでに固執する祖母役において、静かな言葉の端々に、急に何者かに取り憑かれたかのような狂気の演技に魅入った。また、最後のほうのシーンでの、今まで物静かで気が弱かった会社の後輩春馬役の亮平さんが、絶望や苛立ちから人が変わってしまう演技が、実に怪演で見事だった。

『布団漂流記』

『布団漂流記』

尾米タケル之一座

Geki地下Liberty(東京都)

2021/02/24 (水) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

 『布団漂流記』において、政府による不正事件をあからさまに嘲笑して皮肉った笑いや、何度か同じ様な動作や言動を繰り返し続ける笑い、体を張ったスラップスティックコメディの要素、騎士が自身の過去を語るシーンで映像で文字が浮かぶはずが浮かばず、肝心のことを言わずに終わったので、そのことに対して周りが突っ込んだりすることによって起きるその場限りの笑いなど、とにかく終始笑わせてくれたが、主人公の竹広が引きこもりだったり、非常に人間味溢れたラブドールが出てきたり、暗い過去を持つシングルマザーフミ江に敵とも味方ともつかぬ騎士などが出てきて、物語の中に、出てくるキャラの過去や引きずっているものに現代の社会問題を内包させていて、終わる頃にはグッとくるものがあった。
 主人公の竹広役の人が、本当の引きこもりってこんな感じだよなぁと感じさせるほど、演技から引きこもりの雰囲気を自然と醸し出していた。ほぼ主役と言って良いラブドール役の人は、劇中最後の方の竹広との○○○の場面で、手慣れた雰囲気と生々しさ、色気が際立った腰の振り方であったりの演技が目が離せない迫力があった。
 竹広が劇中後半で言う「次元の王が部屋から出られずに引きこもっているのは、皆の特にユキさんの、王様は責任を持って国を治め、政治を行い、命令を出さなければならず、まずは部屋から外に出てもらわないと、という大きな期待や価値観の押しつけ、次元の王を心配していろいろなことをする、そのことが王にとってむしろ大きなプレッシャーとなり、結果、10年、15年、いやもしかしたらそれ以上部屋から出ない引きこもり生活が続くんだよ!!分かるか!?ユキさんが良かれと思ってやること、皆が呼び掛けに来ることそれ自体が逆効果なんだよっ!!!!」的な台詞を聞いてなるほどなぁと引きこもりの心理が少し分かったような気がした。「そうだとして、だとしたら、どうすれば良いってのよ」という皆の意見に、竹広は「2、3日といわず、最低でも3ヶ月はユキさんはお暇でも頂いて、城の外に出て、長旅でもし、皆んなは執拗に次元の王に声をかけず、そっとしておいてあげようじゃないか」というような台詞を言っていて、必ずしも引きこもりの人を支援しようとしたり、応援しようとしたりして、何とか外に出て普通の生活ができて、仕事をすることが本人のためにも幸せであり、引きこもり当人の生きがいにもなっていくという考え方事態が間違いなんだなぁと深く考えさせられた😓引きこもりの人が立ち直るように応援したり、支援することで立ち直ることよりも、返って当人のプレッシャーになることの方が多いということをこの劇で知って、距離を置くことも大切なのだと痛感した😔

『虔十公園林』 『双子の星』

『虔十公園林』 『双子の星』

J-Theater

「劇」小劇場(東京都)

2020/10/17 (土) ~ 2020/10/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/10/18 (日) 13:00

「虔十公園林」において主人公の虔十は、近くの森林に入っては笑ったりしているので、子どもからも周りの大人からも馬鹿にされ、蔑まれていた。ある時、親に頼んで苗木をたくさん買ってきてもらい、それを田畑の近くの草がたくさん茂っている土地に植え、伸びるのを待つが、やがて病気で亡くなる。この話を朗読と俳優の動きや表情で表現していて、俳優の演技も役柄にはまって、まるでそこに本当に虔十がいるような感覚に陥った。
 また、その虔十という知的障害を持った青年後の血の滲むような努力によって、虔十が植えた苗木が本人が亡くなった後に、大きな雑木林の空き地となっており、本人の名を取って公園林としてその林が公的な遊び場として市が認めるようになったと言う事において、障害を持っていようが、そんなのは関係ない、その人のしたい事を極めれば、みんなもそのうち認めてくれるというようなことが伝わってきて、感動したし、何か自分の中で勇気が湧いてきた。

農園ぱらだいす

農園ぱらだいす

劇団 匂組

駅前劇場(東京都)

2020/10/14 (水) ~ 2020/10/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/10/16 (金) 19:00

 笑いあり、恋愛要素あり、ドラマあり、急に歌い始めたりと、次に起こる事がすぐには予想できず、面白可笑しかった。
 何気ない日常会話の中に、不倫や浮気、急逝、受験問題、通学問題、離婚問題、それにジェンダー論、人生観、少子化問題など、深刻な問題がさり気なく織り込まれていて感心した。
 物語の中心的な構成要素となる2人の恋愛も、なかなか素直になれなかったり、鈍感であったりと、もどかしさもありつつ、リアルな恋愛って案外こんなものなのかもなぁと思えた。

脳ミソぐちゃぐちゃの、あわわわーで、褐色の汁が垂れる。

脳ミソぐちゃぐちゃの、あわわわーで、褐色の汁が垂れる。

オフィス上の空

シアタートラム(東京都)

2020/09/17 (木) ~ 2020/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/09/21 (月) 13:00

 解体工事のバイトをしている大河内大和と、大和が住んでいるアパートの自分の部屋の前に立っていた、清楚系の女岡部天音が出会い、お互いを知っていく中で生まれるドラマや、その周りを取り巻く人達の思いなどが絡み合い、先が見えないノンストップコメディになっており面白かった。しかし、途中から大河内大和が秘密にしていたことや天音が隠していたことが明るみに出たり、2人の過去が明らかになったりしていって、それにより2人の関係に亀裂が生じたりと、ドラマも盛り上がりつつ、それらの謎が大河内の友人によって明かされていくことに、次はどうなっていくんだろうというようなドキドキ感を味わえた。
 2人の人一倍ぶっ飛んでいる性格や行動自体も印象深く、面白かった。
 色々なドラマが起きたけれども、それらの苦難などを乗り越え、本当の自分をさらけ出した末に、大河内大和と岡部天音が幸せになれた感じに劇が終わっていて、途中どうなることかとも思ったが、ホッとすることができた。
 この劇を機会に、改めてジェンダーの問題について深く考えてみようと感じた。

ReaDance  THE FOREST

ReaDance THE FOREST

WItching Banquet

ハーフムーンホール(下北沢)(東京都)

2020/09/17 (木) ~ 2020/09/18 (金)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/09/18 (金) 16:00

 太陽と月が少し擬人化されていて、人には太陽や月の声が聞こえないというふうになっている。そして、太陽と月がそれぞれが知っている物語を語りだし、途中で話が繋がっていって、話の結末に向かうという展開だった。
 少し幻想的な話だとはあらすじを読んで知っていたが、劇に出てくる謎めいていて不思議な少女が最後の方で、実は父親から性的虐待を受けそうになったり、それを拒むといきなり暴力して来たりの生活が嫌だし、怖かったしで、森に逃げてきたことが分かったり、男の子がその弟になるはずだった母親のお腹の中から産まれて間もなくに息を引き取った赤ちゃんを隣のおばさんが土に埋めたらその子も天国で幸せになれるだろうというようなことを聞いて、赤ちゃんを土に埋めるのは可愛そうだと思い、かつて産気づいたおかぁさんのためにオレンジを取ってきた森に、再び足を踏み入れるなど、ただのメルヘンにしては、かなり話の内容が重く、ホラーにしては妙に現実味が強かったが、ある意味で内容がショッキングすぎて、鳥肌が立ち、身体が凍りつく程、怖ろしかった。
 しかし、所々に入る太陽と月の掛け合いは程良く緊張感をほぐしてくれ、面白かった。

ツバメの幸福

ツバメの幸福

ツツシニウム

キーノートシアター(東京都)

2020/09/09 (水) ~ 2020/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/09/11 (金) 14:00

 オスカー·ワイルド作の「幸福の王子」を参考にした『ツバメの幸福』という劇を観ました。
 ほとんど原作通りなのですが、ところどころ違うところがあって、例えばそれぞれのキャラが凄く個性的に演じられていたり、幸福の王子像よりもツバメがむしろ主人公にされていたり、ツバメの葛藤や本当は幸福の王子に言われて立ち回った事なのに、自分はツバメなので、人に自分の言葉が上手く伝わらず、何か責任を感じたりする人間の様な、いやそれ以上の思いやりや切なる願いだったり、温かい心などを持っていることを劇中では強調しているところ。
 自己犠牲の物語ですが、舞台ではそこの部分はそんなに大袈裟には強調されておらず、むしろツバメの心理描写や物語に出てくる他の人たちの一つ一つの小さなドラマの部分がかなり強調されていて、幸福の王子が強調されないことによって、神秘性や浮世離れした感じが薄まり、現実味が増して、感情移入しやすかった。
 また、観ているなかで、涙があとからあとからほとばしり出てきて、涙腺が崩壊した。それぐらい感動した舞台です。まぁ、ツバメ役の女優の泣く演技や悲しむ演技が真に迫っていたので、本気で泣いたり、悲しんだりしているのかなと私に思わせたことも大きかったのかも知れませんが…。
 後、今どき珍しく演出家が主要な役で出演しているのは驚きでした。現在において、なかなか演出、脚本、俳優の三つを器用にこなせる演出家なんて、ほとんど私が見てきた限り、特に若い世代ではあまりいないと思うので。


楽屋 —流れ去るものはやがてなつかしきー

楽屋 —流れ去るものはやがてなつかしきー

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2020/08/22 (土) ~ 2020/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/08/30 (日) 14:30

 実際には役がもらえないのに、ひたすら化粧をし続ける女優達、かつて主演女優のプロンプターを努めた若き女優、苦労もしてきたが、妙に明るく振る舞う主演女優これらの思惑がそれぞれ絡み合い、時にシリアスに、時にユーモアが入り混じったドラマになっており、退屈したり、現実に引き戻されるどころか、その劇世界に引き込まれた。
 最初は役が貰えないことへの焦燥感、諦め感情だった女優たちも、いろいろツッコミどころ満載で、機関砲のように喋りだしたら基本止まらない若き女優が絡むことによって、その心情が少しづつ変化していき、かなり浮いていた若き女優も最後は女優たちと一体となって劇の練習を始める展開になり、感動した。
 中年の主演女優が若き女優に対して放つ、若いばかりが女優の命ではなく、経験を積み重ねるごとに培われていく演技力、そして信念を持ち続けて諦めない心の大切さを説く場面に、小劇場演劇の現状とマッチする部分も多く、感慨深くなった。

スーパー・ウーマン・リヴ

スーパー・ウーマン・リヴ

藤原たまえプロデュース

シアター711(東京都)

2020/08/04 (火) ~ 2020/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/08/09 (日) 13:00

 スーパーで働く女性たちを中心とした日常を描くドラマだが、それぞれの店員の個性や思惑、レジ打ち選手権を巡ってのドラマ、途中から新規で入ってくる女性店員、主人公の女性の抱え込む悩みや責任感、主人公が依存していく占いの女性、などいろいろな人や事柄が絡み、スーパーという小さな空間を主に置きながらも、その中で繰り広げられる人間ドラマは意外にも壮大だということに感慨深くなった。
 また、笑えるシーンも多く、自分の中に溜め込んでいたであろうストレスを払拭することが出来た。
 そして、自分の性格や特性を相手に十分に伝えているつもりでも、余り相手に伝わっていなかったり、相手をfollowしたり、周りに合わせたり、普通であることに必死になって、自分を見失っている主人公に共感した。
 仲間意識があり、新人のスーパー店員に対して、敵意むき出しの店員に対しても、優しく諭すスーパーの人達が、安定した給料を貰える会社員でも無いのに、それよりもある意味では、スーパーの店員さんたちの方が人間味溢れて見えた。

おくすり、ひとつ

おくすり、ひとつ

法政大学Ⅰ部演劇研究会

YouTube Liveにて上演致します(東京都)

2020/07/17 (金) ~ 2020/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/07/17 (金) 19:00

 リモートでの上演とあって、正直不安でもありましたが、実際にその動画を見てみたら、逆にリモートの特性を活かして、緊密な心理描写をした近未来のドラマに仕上げていて、こういうふうな演劇もありだなと実感した。
 世界では人が消える謎の病気が蔓延し、人知れず消えた人が来る診療所があり、そこで処方される特別な薬を飲むと元の世界に戻れるという設定になっている。そしてそこに来る患者たちに対して盲目の女性の先生と助手のAIが悩みを聞いていくのだが、それぞれの画面で悩みを話していく患者との対応が、すぐ隣で話すよりも、心理カウンセラーとのリアルな対応に思えた。また、リモートだからこそ諦め、思い込み、泣くなどの感情を役者が身体を張った演技で、モロにさらけ出している気がして、こちらまで引き込まれた。
 そして、劇を観終わった後、あまりにも今今私たちが抱え込んでいる様々な悩みとフィットし過ぎていて、共感し感動して眼から涙がとめどなく流れ、そのせいで眼は充血し、暫くは余韻に浸り、胸が熱くなった。

朗読劇『灯喬月塔』

朗読劇『灯喬月塔』

LUCKUP

新井薬師 SPECIAL COLORS(東京都)

2020/03/26 (木) ~ 2020/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/03/27 (金) 15:00

 天使になりたい悪魔が主人公だが、天使たちと悪魔両方の対立の描き方が現代社会における移民問題を彷彿とさせ、また一見天使と悪魔が仲良く暮らしているが、その実態は悪魔に対する一部の人々による差別意識や偏見が渦巻いていて、それが現代日本における反韓、反中的な考え方とも見事にマッチしていて、リアルに感じた。
 主人公の悪魔に対する天使たちの複雑な思惑の絡み方と、主人公の悪魔が天使に対する憧れとが空回りして、それによるギャップネタなどもところどころあって面白かった。
 朗読劇なのに動き回ってセリフを言う上に、よく役者を見ると、手に持っている台本のようなものの中身が見える瞬間がたまにあったが、中には何も書かれていないように見えたので、これは新しい朗読劇だと実感した。

中国神話の世界

中国神話の世界

カプセル兵団

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2020/02/26 (水) ~ 2020/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/02/28 (金) 19:00

 中国神話の朗読でありながら、アドリブやいきなり始まる一発芸、脇なはずなのに無駄に存在感を出してくる役者や昭和50年代TVネタに、何故か深夜にやっている番組の間に入るCMネタ、1990年代〜最近の流行までを取り扱って笑いに変えていたりと、とにかく面白く、ツッコミどころ満載で、自虐ネタまで入っていて、全篇を通じて爆笑のし通しだった。
 また、役者の演技と音楽によって奥深くあまり一般的な知名度がない中国神話の世界に引き込まれつつ、且つ時々アドリブが入ったり、劇が一瞬中断したりとハプニングも数多くあり、その反応を見ているの自体が面白かった。

FACE

FACE

令和座

cafe&bar 木星劇場(東京都)

2020/02/20 (木) ~ 2020/02/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/02/20 (木) 19:00

 「ロミオとジュリエット」のような現代的純愛要素を絡めつつも、人を見た目で判断したり、価値基準を測りにかけたり、数値化したり、お金の価値が絶対的で、給料が無いと暮らしていけないなどのしがらみに縛られて、本当に大切な心を見失っていることを訴えていて、やはり何よりも心ほど大切な物はないと改めて実感させられた。どんなに見た目が醜くても、穢のない澄み切った心でいられるようにできる限り心がければ、少しは報われるんだと感じさせつつ、やはり現実は見た目や表に現れる事柄、お金などのものに執着する人間の浅はかさが描かれ、そういう人間の弱さもしっかりと描かれていたが、それでも、それらを認めたうえで、純粋な心を保ち続けようとする努力、せめてそうなりたいという希望を捨ててはいけないと、この劇を見て強く自分の心に刻んだ。

天使よりも綺麗な私たち

天使よりも綺麗な私たち

劇団「やぶ~ぶ~」

ひつじ座(東京都)

2020/02/06 (木) ~ 2020/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/02/07 (金) 19:00

 主人公の青年が抱えるコンプレックス、主人公の恋人の秘密、主人公が小学生の時に出会った変わっている少女、主人公があるときから見えるようになる不思議な雰囲気で、幻影のように現れたり、消えたりする女性、奇妙で謎めいた掃除婦、天候が相当悪い為に泊まったホテルの浴槽で偶然のように発見した女性の遺体、そして自分たちが犯人だと誤解されないために謎を解き、犯人を突き止めようとすることなどの要素が折り重なって、先が読めない展開と、唐突に来るコメディ要素、いきなり主人公の夢のシーンになったり、夢から冷めたあとの痙攣であったりの次々と展開されるシーンと観ていて飽きなかった。また、ミステリー要素にサイコ·ホラー要素、幻想的な場面に前衛的でありながらもアグレッシブなダンスシーン、そして不条理な物語展開と従来の密室殺人ミステリー劇のイメージをことごとくぶち壊していて、誰が犯人なのか考えつつも、いつの間にか作品の世界の中にのめり込んでいけたので、新しいミステリー劇が誕生したという感じがして、観終わった後に自分の中ではとても感慨深く、満足感があった。そして、余韻を残しつつ、曖昧な終わり方に、安易にハッピーエンドやバットエンドに持っていくよりも観客の想像の余地を残していて、良いと感じた。

ニギル

ニギル

!ll nut up fam

千本桜ホール(東京都)

2019/12/24 (火) ~ 2019/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/12/28 (土) 19:00

 「にぎり」では、ブラックコメディであり、ナンセンスコメディでもあり、爆笑できる場面もあるかと思えば、急にシリアスな場面になったり、愉快な場面にもなり、全体的に面白かった 。  
 自分は途中まで、亡くなった人たちが順番に何もない空間にいて、そこが実は天国または地獄かの、いずれにしてもあの世に変わりはない所に来ているのではないかと、キャラクターの記憶の断片から捻り出される言葉や独白から連想したが、物語の最後の方で予想を大幅に裏切り、かつ自分が想像もしなかった展開に、目を見張ると同時に笑え、何気ない皮肉も作品の最後の方から感じ取ることが出来た。

汚れた世界

汚れた世界

無頼組合

シアターKASSAI(東京都)

2019/12/06 (金) ~ 2019/12/09 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/12/06 (金) 19:00

 主人公のグンが、怪我をしたことによって徴兵されない代わりに、映画ではなくて記録映画をとるよう政府から強いられている友人のため、恋人のため、自由を束縛して実質の監視社会を創設して徴兵を強要する政府を欺くため、政府に支配され、監視社会になり、自由を束縛されているのに、どうせ変わらないと諦め、見てみぬふりをする人たちを変えるため、自分が最終的に犠牲になる可能性も十分わかった上で、一世一代の芝居を打ち、友人に記録させることにより、自分の存在意義を見出し、自分のやりたい事をやろうとすることで、自分なりの自由を勝ち得ようとする、逆境にも負けない不屈の精神に感銘を受けた。
 グンの芝居に途中まで私は騙されたが、中からグンが本当にやろうとしていることがだんだんわかってきた。また、自分のやろうとすることを相手が何を言おうがお構いなしに断行しきろうとする、自分の考えを貫く不屈の精神、現代人にはほとんど失われている、自分に出来る限りのことで自由の権利を保持するために努力すことが大事なことで、諦めたり政治に関心を示さなかったり、メディアから顔を背けることがどんなに恐ろしく、政府が指摘するより前に自粛する事の怖さ、政府による管理社会、自由を束縛する社会の危険性がこの作品を通じて示唆されているように感じられ、自由の権利を勝ち得る為には、常に矛盾している世の中の事柄に疑問の目を向け、無関心にならず、他人に流されず、諦めず、自分なりの確固たる信念を持ち、現状に満足せず、常に自分なりの自由を追及していくことが大事だと改めて実感した。

演劇×オペラ「マクベス」

演劇×オペラ「マクベス」

若い演奏家の為のプロジェクト

渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)

2019/11/21 (木) ~ 2019/11/22 (金)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/11/22 (金) 17:00

 オペラの場面と会話劇の場面、交互に入れ替えているのと、オペラと会話劇が複合している場面もあったりと画期的な演出がされていて、斬新だと感じた。
 オペラと会話劇で、笑える場面や、舞台会場を題材にした自虐の笑いと歌を題材にした自虐に 、差がつけられていて面白かった。




8人の女たち

8人の女たち

T-PROJECT

あうるすぽっと(東京都)

2019/11/13 (水) ~ 2019/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/11/15 (金) 19:05

 お屋敷の主人であるマルセルが、7人の女性達の主人に対する秘密を暴くため、主人の奥さんの子供の姉妹のうち、道化的役割を担っている中性的で弁舌が立ち、妙に大人を客観視することに長けている妹に頼んで、主人人が殺されたと言う芝居を打ってもらう。そして7人の女性が誰が犯人かを言い当てるため、相手の隠し事を暴露し合うが、それを聞いていた主人は、最終的にその膨大な7人の女性達の秘密に耐え切れず、自害してしまうという、とてつもなく悲劇的な結末に自分の身体に衝撃が走り、暫くの間動けず、思わず身震いした。
 この密室推理劇はコミカルなキャラや何事にも大袈裟なキャラ、狂言回しに道化キャラと面白くて魅力的な人物がたくさんいるので、それぞれの特徴や個性が引き立ち、最初は誰が誰だかわからなくても、段々とそのキャラたちの世界に入り込んだかのような錯覚に陥っていく。また、コメディ的要素と緊迫感がある密室推理劇のシリアスな要素が合わさっていて見事だった。
 私は休憩前の前半で4人まで絞り込む事ができたが、後半の種明かしシーンの少し前にその4人では確実にないことが分かり、もっと意外で身近な人物であることを発見し、今まであまりに堂々としていたので犯人から除害していたので、つくづく灯台もとぐらしだと感じた。










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