妻の感覚
公益社団法人日本劇団協議会
東演パラータ(東京都)
2024/08/12 (月) ~ 2024/08/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
韓国作家の作品には優れたものが少なくなく、近年触れるチャンスが多くなって喜ばしいが、本作品も凄い。独創的・幻想的でやや不条理な展開の不思議な物語に観ていて引き込まれる。俳優たちの動きも独特の演出で興味深い。実力派の俳優を揃えた万全の公演と思える。
犬の刺客 2024
友池創作プロジェクト
OFF OFFシアター(東京都)
2024/07/30 (火) ~ 2024/07/31 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
主宰によるチャらい前説を見て不安に思ったが、ストーリー内容は意外にまともで演技もしっかりしている。コンビの衝突と解散は、細かい食い違いの数々が積み重なった結果でいかにもありそうな話。出演者のブロマイドを販売していたのがまるで昭和の時代を思わせた。今でもやるものなのか。
日曜日のクジラ
ももちの世界
雑遊(東京都)
2024/07/25 (木) ~ 2024/07/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
演技や登場人物関係にやや過剰感がありストーリーの設定にもちょっと無理があるような気もするが、そんなことを難しく考えなければ総じて楽しめる舞台。出だしのチンピラ同士の映画についての会話が面白い。雑遊の座席が狭すぎて満席だとかなり窮屈だった。
オーランド
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ほぼ全編、宮沢りえ演じるオーランドの、詩を朗読するような独白の台詞が延々と続き、ヴァイオリンの独特の背景音楽が加わる不思議な雰囲気の芝居。宮沢りえ氏は大量のあんな台詞をよく覚えられたものだと感心するし(間違えたとしても観客にはわからないが)、ところどころ入る4人の男優との掛け合いも面白い。ウェンツ氏があんな役者になったとは。
ゴールデン・エイジ【7月12日~15日公演中止】
劇団俳小
駅前劇場(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この作品が戯曲として書かれたとは驚き。日本語上演においては明らかに独特の難しさがあるだろうし細かい場面も多いが、全体的にうまく捌けている。俳優たちの実力は高くその演技は見事という他はない。
駅前劇場の座席の椅子がかなり狭く、休憩を挟んで2時間半の公演を耐え抜くにはお尻が痛くてたまらなかった。
心の声など聞こえるか
範宙遊泳
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/07/06 (土) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
前半がつまらなかった。途中で出ようかと思ったほど。しかし、後半から少し面白くなり観客の反応も良くなった。この路線の作風は、ちょっと外しただけで陳腐になってしまう難しさがあるのかも。自分の好みには全然合わないが、ほとんど満席で人気は相当あるようだった。
神話、夜の果ての
serial number(風琴工房改め)
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この作家は作品によって作風がかなり変わることがあるように思うが、今作は独特の雰囲気がなかなか良い。カルトが描かれた作品にふさわしい。舞台上はベッド一つだけで場面が展開されるところや、主人公と弁護士役が対照となるのが興味深い。若い俳優たちも相当の実力を有している。しかし、タイトルの「神話」とはどういうことだろ?
デカローグ7~10
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/06/22 (土) ~ 2024/07/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
7-10を1日で通して観たが、これまでと同じく、どれもなかなか面白く印象に残る短編の佳作。劇的な展開をみせるものもある。何度も観てくると、あの舞台上の建物がそこに住まう者の運命を操り見つめているように思えてくる。
オリジナルの映画がそうだからか、どれも短い場面が次々連なって展開するが、うまく舞台上で捌いている。最前列の場所によっては建物の2階で演じられる場面が角度的に死角になってやや見えにくくなる。
地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
詐欺師側の登場人物がなく、椅子にスポットライトを当てて「ここに詐欺師が座っている姿を想像して下さい」という演出がなかなか面白い。あくまで視点は詐欺という犯罪ではなく人間組織の暴走に向いているのが明確になった。
阿呆ノ記
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/06/04 (火) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
このような世界観をこれほどの迫力をもって描ける作家は他にいないといってよく、何度観ても飽きない。よく発想が尽きないものだ。演劇が始まると観る者は2時間その別世界へ連れて行かれる。少々の入場料を払っただけでそんな体験をさせてくれるとは誠にありがたい。だいたいどの作品でも次の世代への継承というテーマが含められているのも感銘を受ける。
野がも
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2024/06/07 (金) ~ 2024/06/21 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
イプセンの名作が名優揃いの劇団の手にかかって現代的で魅力ある演劇になっている。ややコミカルな味付けの演技の演出が良く、イプセンの狙いどおり「みんな病気かよ」と思わせる。わかりやすく文句なしの面白い公演。
白き山
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
斎藤茂吉役の緒方晋氏が絶賛に値する名演。脇を固めるチョコレートケーキの面々らが余裕の好演で支える。ストーリーもじんわり伝わる暖かみがあり、今日は良い芝居を観たという気持ちでうれしくなる。
マーヴィンズ ルーム
劇団昴
Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
台本も芝居としても、とても美しい作品。壮大なクライマックスが形作られるわけではなく、起伏がないわけではないけれども淡々と登場人物たちの生きる日常の姿が綴られていく中で、人生についていろんなことを感じさせてくれる。美しい芝居を見た後は心が安らかになる。
物語ほどうまくはいかない物語
wag.
小劇場 楽園(東京都)
2024/05/18 (土) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
須貝英氏といえば新国立デカローグの舞台化台本を担当した作家だなと思って、氏のオリジナル作品を初めて観に行った。タイトルはちょっとテキトーな感じがしたが、ストーリーは取っつきやすく笑いありのハイテンション気味の展開で、登場人物たちのキャラも際立っており、気楽に観る芝居としては面白かった(こんな作品を書く作家だったのか)。それにしても、あのお姉さんの耳をつんざく大声はデカ過ぎ。心臓に悪い。
デカローグ5・6
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/05/18 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
今回もさりげなく贅沢な公演。前回に引き続き、亀田氏が無駄づかい気味に配役されるし、舞台上の建物が休憩の間に増築されるとは。
今回の2編は殺人と愛がテーマになっているようだが、いずれも短い場面が次々と並べられて進行する中で孤独な心の歪みを覗き見るような印象。ストーリーの大きな起伏はそれほどないが(殺人場面は突然だが)、あまり見かけないタイプの舞台作品で、不思議な味わいがある短・中編の佳作。オリジナルの映画のほうも観てみたい。
オットーと呼ばれる日本人
劇団民藝
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2024/05/17 (金) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
尾崎秀実をモデルにした(ただし史実とはかなり異なる)、2回の休憩を挟んで3時間半のかなり長い台本だが、この劇団らしい極めて真面目なスタイルの上演。安心して観ていられるが、真面目すぎて単調というか面白味があまりないかも。台本も現代の演劇としては説明過多で近代史解説番組のように思えるところもある。その時代の歴史に興味がない人には退屈かもしれない。
エアスイミング
ZASSOBU
小劇場 楽園(東京都)
2024/05/08 (水) ~ 2024/05/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
この作品を初めて観た。もっとわかりやすい話かと思っていたが、なかなか理解の難しい混沌としたストーリーだ。不条理劇のようで観やすい作品ではない。事前に話の前提や登場人物たちの振る舞いの理由をよく把握してから観るのがよいのだろう。そんな作品だから、演ずる者への要求と負担は大きいと思うが、今回の2女優は見事にそれを果たしている。
絶望という名のカナリア
甲斐ファクトリー
小劇場 楽園(東京都)
2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
なかなか良くできた台本で面白かった。出だしこそ映画「幸せなひとりぼっち」のパターンかと思わせたが、その後は孤独と虚無感に苛まれた初老の男の物語を軸に新興宗教とヘッジファンドと風俗業と推し活という一見無関係なストーリーが巧みに絡みながら群像劇風に展開し、すべて丸く収まってめでたしめでたしの結末を避けながらもカタルシスと心地良い余韻を心に残してくれる作劇は見事。俳優たちもしっかりした演技で活き活きと演じていて好感が持てる。
デカローグ1~4
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
10の短編から構成される長編映画を台本にして舞台化したものらしいが、観る側としては、オリジナルの映画監督の意図だとか制作者の思いだとかは考えずに、単なる連作の短編ものとして捉えて差し支えないと思う。1日で4つの短編を見たがいずれも人の心の機微を感じさせる佳作。淡々とした味わいの外国の短編小説の世界を思わせる。小劇場と言っても新国立のそれは巨大で、建物のセットを舞台上に組んでしまうあたり、贅沢な公演だなと感じさせる。
GOOD -善き人-
フジテレビジョン/サンライズプロモーション東京
世田谷パブリックシアター(東京都)
2024/04/06 (土) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
今ひとつ面白くなかった。台本がそんなに悪いとは思えないし、では演出か?バンドの使い方など興味深いのだが、とにかくあんまり伝わってこなかった。佐藤氏萩原氏の演技が無駄になっている印象。