latticeの観てきた!クチコミ一覧

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予言者たち

予言者たち

神保町花月

神保町花月(東京都)

2019/06/13 (木) ~ 2019/06/23 (日)公演終了

満足度★★★

最初に全員が並んで自己紹介をし、自分の役柄と見どころを語る。
なにせ全員が予知能力を持つことになるので事前の説明がないと混乱してしまう。最近、理解力が衰えて来た私としては非常に有難いことだった。もちろんほとんどの舞台ではそんなことはできないだろうが何か工夫の余地はあると思う。

内容は意外としつこくない普通のドタバタ喜劇であった。85分。

オペラ『ヘンゼルとグレーテル』

オペラ『ヘンゼルとグレーテル』

日生劇場

日生劇場(東京都)

2019/06/15 (土) ~ 2019/06/16 (日)公演終了

満足度★★★

ドイツの作曲家エンゲルベルト・フンパーディンクの作曲した1893年のオペラである。

日本語上演のはずなのに舞台の両側の電光掲示板に歌詞が表示されるのは何故と思っていたら、あの発声法では歌詞がほとんど聞き取れないのだった。普通のJ-POPでも部分的に分からないことは頻繁にあるがそんなものではない。低い男声は分かるが、女声はほとんど全滅である。そこにオーケストラの演奏がかぶってくるのである。これならイタリア語でもドイツ語でも同じことだと合点した。

グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」はいろいろなバージョンがあるが、このオペラ版はその中でもハッピーな方向に振り切ったものだ。「両親に森に捨てられる」話を親子で観に行くわけにもいかないから妥当なものである。しかし、パンくずの件もないのでどこにも特徴のないストーリーになってしまっている。

親子、知り合い、親戚がまとまって来るものなのだろう。年寄りが一人で観に行くものではないことはよく分かった。

機械と音楽

機械と音楽

serial number(風琴工房改め)

吉祥寺シアター(東京都)

2019/06/12 (水) ~ 2019/06/18 (火)公演終了

満足度★★

競争に敗れた団体と、天才を気取って自滅した若者の話である。それも大した話ではなく、1ミリも感情を動かされない。スターリン時代の苛烈さもまったく表現できていない。第一、スターリンはほとんど関係ない。なんでこんな題材を選択したのだろうか謎である。

題名は「機械と音楽」だが「機械」の意味は分からず、「音楽」というより「効果音」だ。こんな中身を表さない題名も止めて欲しい。ただしこの「効果音」は非常に良かった。

*セリフの中に「銃声の音」というのがあったがこれは間違いでしょう。

いざ、生徒総会

いざ、生徒総会

filamentz

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2019/06/11 (火) ~ 2019/06/17 (月)公演終了

満足度★★★★

良いところは書きつくされてしまったので気になったところだけ。

ネタバレBOX

もっと屁理屈の応酬が見たかった。まともな理屈の方でも「誰も困らない」「特殊な事情で困る人がいる」では議論になっていない。この議題は「ナイゲン」と違って生徒同士の利害が対立しないので、やはり「卒業式、実行」のように対立相手の大人(校長、PTA会長)が出てこないと成立しない。まあしかし昔に戻ってリアルにやっても誰にも理解されないだろうけれど。

監査委員長のエピソードが雑すぎる。無届けビラを許可したことの抗議を受けた時点で、この委員長なら悩む間もなく我にかえって辞任するはず。「投票して結果が出てから成立条件が決まる」などというのは論外、ここは笑いを取るところではないから作者の手抜きだ。
ビューティフルワールド

ビューティフルワールド

モダンスイマーズ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2019/06/07 (金) ~ 2019/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

いやあ、良いように踊らされた。作者の上手さには感動したが、私には少々サービス過剰だったかも。

それにしても役者さんは実にリアル。ベタな言い方だけど普段からそういう人なのだと思ってしまう。

仮面の告白

仮面の告白

千坐千草

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/06/06 (木) ~ 2019/06/10 (月)公演終了

満足度

「悪評は無評に勝る」とも言えるので書いておく。

分からない演劇もいくつか観たが、これが生涯最高難度である。もちろん日本語であって一つ一つの言葉ははっきり聞こえているのだが私の意識に一瞬も留まることなく通過して行く。CoRichの「説明」にあるようなことは演技からは何一つ受け取ることができない。twitterでは三島由紀夫の「仮面の告白」と関係があるように書いているがストーリーが全く分からないので比べるべくもない。

照明機器以外は何もないガランとしたところに銀色のレジャーシートが持ち込まれ広げて敷かれる。白い簡易な衣装を着た男2人、女4人の若者が現れ、口々に何かをつぶやいている。「娘はどこに行った」「バイトの店長はどこだ」とか。私がセリフを覚えているのはここまで。あとは踊ってみたり走ってみたり、様々な演技が最後まで続く。まあしかし、皆さん発声もしっかりしていて噛むこともなく、素に戻ることもない訓練された演技である。私の知らない作法に則った素晴らしい演劇だということも可能性としてはあるわけだ。ううむ。

バクステ!!

バクステ!!

エヌオーフォー No.4

赤坂RED/THEATER(東京都)

2019/06/05 (水) ~ 2019/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

以前に観たバックステージものはもっと殺伐としていたが、こちらは大ピンチに陥っているときも笑いが根底に感じられて暗い気持ちになることがない。皆さん上手いし、キャラが揃っていてまとまりが感じられた。

いくつか専門用語の解説もあって勉強になる。私が一番知りたかったのは「初日打ち上げ」であったがアナウンスが途中で打ち切られた。場所と時間と内容をもっと詳しく教えて欲しかったのに。アルコールはどのくらい入るのか、初日の駄目出しはどれくらいするのかとかね。

『熱風!戦国ホルモン』にはダンスもあるという。戻ってきた役者にスタッフが「ダンスを教えてよ」となって少しずつ進めて最後は全員のダンスでフィナーレというのを妄想した。

全体的に満足なのだが、突出したところがないのと題材が安易ではあるので満足度は星3つ半か。

ネタバレBOX

音響主任の苦労は相手のせいでもあり、自分のヘタレのせいでもあって身につまされる。音響見習いが悪意のないタダのアホで救われた(そうだったんだよね?)。
化粧二題

化粧二題

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2019/06/03 (月) ~ 2019/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

内野聖陽さん、有森也実さんの45分ずつの一人芝居。
どちらも大衆演劇の座長に扮し、化粧をし、衣装に着替えながら、座員との打ち合わせ、来客の応対をこなして開演のベルで舞台に向かうまでを演じている。

有森さんというと私達の世代にとってはまぎれもないアイドルである。それがこんな真剣で逃げ場のないところで一人芝居とは驚愕の事態である。しかしまあ、うまいものだ。なんの不安も感じることがなく感心しているうちに45分はあっという間に過ぎた。

後半の内野さんは正に圧巻。ちょっと書きすぎたのでネタバレへ。泣いて笑って驚き呆れかえること請け合いである。

二つの話はつながっているようだが特に三つ目の芝居があったりはしない。合わせて90分。必見。

【追記】3日に続いて14日にも観てきた。有森さん、お疲れかと思いきや元気いっぱいで安心。(前回は書くのをためらったが)かなり体格が良くてびっくり。内野さん、やっぱり上手すぎ。後半は号泣とは行かないがかなり泣けてしまった。

ネタバレBOX

座長の辰三は4歳で親に捨てられキリスト教の養護施設で育てられた。本日の演目は長谷川伸の「一本刀土俵入」と「瞼の母」を混ぜたオリジナル(?)の「瞼の土俵入」である。母親役の役者が急に退団してしまい若手に口立てで芝居を教えることになって、捨てられた子が母に会いに行く話をすべて語ることになる。そこに養護施設のシスターがやってきて辰三の母の話になり、辰三は反発する。二組の親子をシンクロさせつつも分離するという難しい芝居を強いられるが、もちろん余裕で演じ分ける。
レ・ミゼラブル

レ・ミゼラブル

東宝

帝国劇場(東京都)

2019/04/15 (月) ~ 2019/05/28 (火)公演終了

満足度★★★★

「5/21 13:00 の回を観劇」

一昨年に初めて観て、今回2度目でも感じたのは、予備知識なしでは
(1)大河ドラマを超特急で進めて行くので何も味わう余裕がない。
ことです。あらかじめ、以下のどれかで準備をしておく必要があると思います。

(A)原作を読む。
(B)2007年のアニメ『レ・ミゼラブル 少女コゼット』を見る。30分の全52話。
(C)ヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウの2012年のミュージカル映画『レ・ミゼラブル』を見る。ブルーレイで約1,000円。アマゾン・プライム・ビデオにもある。

現在の熱狂的なファンの多くは(B)を見たのでしょう。これだけ長尺のものなら細かい人情の機微も十分に描かれていて感情移入もできたことでしょう。コゼットに特に人気があるのも分かります。(C)は舞台よりもはるかに深く感情の往来が描かれています。

もっとも歌が馴染みやすい名曲揃いなのでストーリーがよく分からなくても
・ミュージック・ビデオ集だと捉える
ことで楽しめるかもしれません。

また、かなり多くの人に問題となるのは
(2)セリフがすべて歌の完全ミュージカルである。
ことです。(C)の映画も同じくすべて歌なのでそれを観て相性を試すことができます。相性が悪ければひとまずは諦めましょう。長い人生、ある日すっと入り込んでくる時が来ることでしょう(私がそうでした)。

ストーリーの伝達という点ではミュージカルだということを考慮に入れても高々星3つでしょう。歌は豊富な稽古量をうかがわせる安定して重厚なもので素晴らしい高揚感を味わうことができました。こちらは星5つです。

ネタバレBOX

主要登場人物の関係メモ

・ジャン・バルジャンとジャベール警部
 定番の逃亡者と追跡者の関係。もっともバルジャンは無実ではなく法的には完全な有罪です。とは言っても、幼い甥姪のために一切れのパンを盗んだだけでした。それは5年の刑でしたが、脱走したため14年がプラスされ、仮出所中に行方をくらませたのでした。正義とは何か、逃げるバルジャンも追うジャベールも苦悩します。

・ファンテーヌとコゼット母娘
 ミュージカル版ではコゼットがテナルディエ夫妻の下で苦労するシーンがほとんどありません。そのためファンテーヌは悲惨ですがコゼットはバルジャンと暮らして(少なくとも経済的には)幸せなシーンばかりです。アニメ版視聴者と未視聴者ではコゼットに対する感情がかなり違うでしょう。

・テナルディエ夫妻とその娘のエポニーヌ
 酒場を経営する小悪党でファンテーヌからコゼットを預かります。エポニーヌとコゼットはこの時点ではお嬢様と小間使いという関係です。バルジャンがコゼットを大金をはたいて引き取りますが夫妻はそれ以後も要所要所でバルジャンと絡みます。

・マリウス
 革命を起こそうとする学生で、エポニーヌが片思いする相手です。しかし彼はコゼットに一目ぼれ。三角関係はエポニーヌの死で終わります。

時代はフランス革命からナポレオンが登場し失脚し、王政復古がなったときで、後半のマリウスら学生の行おうとする革命は復活した王政の打倒のことです。この革命騒ぎの登場が私には唐突で困惑するのですが、作者ビクトル・ユーゴーの生きた時代そのものなので仕方がありません。
自由を我らに

自由を我らに

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2019/05/28 (火) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★

最初の90分は役者さんがうまいので結構笑えるが、おちゃらけばかりで憲法についての内容が少なすぎる。最後の9条の話はイロハのイ、キホンのキで、ちょっと考えれば同じ袋小路にぶつかる。そこからどうするかということが問題なのに…。歴史的には朝鮮戦争が勃発しアメリカが日本の再軍備を望むという方針転換によって通り道ができたのであった。

書記官の発言は日本国憲法前文の一節『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』を代弁するものであるが、発布以来70年以上経って(諸国民の一人一人は信頼に値するかもしれないが、それが集団となった)諸国家は信頼に値しないことが明らかになるばかりである、と私は思う。

ぼくのタネ 2019

ぼくのタネ 2019

TAIYO MAGIC FILM

赤坂RED/THEATER(東京都)

2019/05/24 (金) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

終わってみれば伝統的な人情物、人生物なのだが、うまく泣かされたなあというのは先日の「YELL!」と同様である。「YELL!」では中間のビデオ再生という飛び道具が「心の宿便はがし」を行ってくれたが、本作ではドタバタ喜劇との緻密なキメラ構成が同様の効果を与えている。

泣きたい人、泣かされたい人にはかなりおすすめ。

ネタバレBOX

始まってしばらくは喜劇であるが、そこから徐々に主人公の一生の話にシフトして行く。彼のモットーは「困っている人がいれば助ける。たとえ自分が損をすることになっても」である。このことだけで勘の良い人なら結末まで見通すことができるだろう。お馴染みの話をこの舞台はどういう趣向で観せてくれるのだろうか、どう泣かせてくれるのだろうかお楽しみに。

当然ながらハッピーエンドである。
獣の柱

獣の柱

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2019/05/14 (火) ~ 2019/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

またしてもイキウメの面白さをつかみ損ねた。

新約聖書の『ヨハネの黙示録』からインスパイアされたものらしい。「獣」は題名にあって劇中では説明がなかったがこれもそこに出てくる言葉である。この舞台の面白さがこういう終末思想にあるのならば私はすっきりする。面白く感じる人がいる一方で私は興味はないということだ。しかしどうもそうでもないようなので今はペンディングとして、もう少し研究したい。

少し脱線すると、田舎から出てきた私は都会が大好きなので滅ぼされては非常に困る(笑)。聖書に出てくる神々は東京の素晴らしさを知らないのだから、『攻撃しに来た神に東京の面白さを教えて、人間も神も一緒に東京で楽しく暮らしましたとさ、チャンチャン』という芝居をやってもらいたいものだ。

YELL!

YELL!

TEAM 6g

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/05/22 (水) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

前半はベタな昭和人情物で「今どきこれかよ」と帰りたくなった。後半は死神が出て来るファンタジー物で平成に入ったかなあという感じ。これを直でつなげばせいぜい星3つである。

ところが間に挿入されたビデオ再生モードの2倍速/3倍速には童心に帰って心の底から感動と笑いが湧き出てきた。この心の清浄化によって、普段は大して面白く感じないファンタジー人情物がビンビン響いてくるのが不思議だった。見事にやられたので満足度は星5つしかない。

2倍速モードは皆さん見事だったが特に国土交通省職員の上司の方を演じた平田貴之さんが素晴らしかった。特殊演技大賞をささげたい。

ハムレット

ハムレット

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2019/05/09 (木) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

大きな流れは原作通りの正統派「ハムレット」である。どなたにもお勧め。

1948年の映画ではローレンス・オリヴィエは41歳、1996年の映画ではケネス・ブラナーは35歳(で重めの化粧をしているの)でどちらも若者には全く見えない。クローディアスやガートルードと並ぶとまるで兄弟か恋人同士である。しかるに、本作の岡田将生さんは29歳で若々しく、私のイメージするハムレットにピッタリである。松雪泰子さん演じるガートルードは濃い目の老け化粧でギリギリ親子のバランスをとっていた。松雪さんの美しさが損なわれるのは残念だが致し方ない。岡田さんの悪(ワル)方向に寄せたセリフ回しは思わず笑みがこぼれてしまうくらい雰囲気を作っていた。また道化の要素を膨らませたポローニアスを演じた山崎一さんはやっぱり上手い。秋本奈緒美さん、出番は少なかったが、美しく声も通る。男装してホレイシオなんてのもありだったと思うのだが。

ハムレットが「生きるべきか死ぬべきか」を言うのは塔に上ってである。そして首くくりの輪を作ってそこに頭を通すのだが見ていて心配になる。またレアチーズとのフェンシングの試合のシーンはかなり本気で、マスクを付けていないときにも手加減がなくこれもハラハラする。

回り舞台によるスピーディーな場面転換は、暗転だらけでぶつ切りの小劇場演劇に続けて遭遇して演劇鑑賞意欲を失っていた私を大いに喜ばせてくれた。正統的な衣装の他に、ビジネススーツのポローニアス、パジャマ姿のローゼンスタンツとギルデンスターンなどの遊びも目に楽しい。

唯一不満だったのが有名な俳優さんに比べてそうでない俳優さんのレベルが大きく落ちることである。私が知名度でしか評価できないということかも知れないが、彼らがフィーチャーされた場面になると急にたるんでしまう気がした。あといくらか多く払うからオールスターキャストにしてよと言いたい。

Taking Sides~それぞれの旋律~

Taking Sides~それぞれの旋律~

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2019/05/15 (水) ~ 2019/05/29 (水)公演終了

満足度★★★

普通に楽しめたのだが不満な点もいくつか。

史実に従えば、こういうストーリーになるのは当然だが、もう少し強力な証拠が出て、ギリギリまで追い詰められてほしかった。「絶対に答えられない質問がある」、「膨大な記録が見つかった」と煽っておいて尻すぼみの連続なのは気持が萎える。

そして60歳で現役バリバリのフルトベングラーを76歳の小林勝也さんが演じるのは、とくにセリフ回しに無理があると感じた。老人をいじめているような雰囲気の作品ではないと思う。加藤健一さんのエネルギッシュな振る舞いとの対比を楽しむことは私には無理だった。

 「舞い上がれ、レジャーシート」「ばいびー、23区の恋人」

「舞い上がれ、レジャーシート」「ばいびー、23区の恋人」

マチルダアパルトマン

すむぞう外苑前スタジオ(東京都)

2019/04/12 (金) ~ 2019/05/12 (日)公演終了

満足度★★★★

【ばいびー、23区の恋人】
若者3人が4畳半に集まるとこんな世界ができ上がるんだなあと感心した。演劇の出前もできそう。こちらの予想をうまく外すところが才能なんだなあ。

『舞い上がれ、レジャーシート』も観れば良かったとは思うもののこれが大千秋楽。同クオリティで2本立て2時間なら間違いなく星5つだよ。まあでも5,000円は取れないから今のやり方がベストなのか。

クイーン・エリザベス

クイーン・エリザベス

松竹

日生劇場(東京都)

2019/05/05 (日) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★

あまり期待しておらず席も倹約して2階のかなり後方だったのだが、女王の恋人役の髙木雄也さんのエッジの効いた演技、特徴のある力強い声に引き込まれてしまった。この方、Hey! Say! JUMPのメンバー。まさかのジャニーズ事務所である。縁のない方々と決めつけていてはいかんなあと反省した。

歌は全くなしのストレート・プレイ。
前半はエリザベス1世(大地真央)の有名なエピソードに一通り触れて行くスタイルである。オープニングは「ロンドン塔への幽閉」であり、最後は「スペイン無敵艦隊を迎え撃つ戦場での演説」である。そして後半は若きエセックス伯ロバート・デヴァルー(髙木)との話がほとんどである。女王の寵愛と国民的人気を過信するあまりデヴァルーは大陸派兵を強行するが成果を上げられず、アイルランド侵攻も失敗し、謀反から処刑へと破滅の道をたどる。

国務長官ウィリアム・セシル役の西岡德馬さんは声だけで圧倒的な存在感があり、芝居全体に安定感を与えていた。女王付きの女官ベス役の樹里咲穂さんの柔らかい声、身のこなしも印象に残る。

日生劇場の2階奥は音響も良く、適切な傾斜により舞台が良く見通せてお勧めだ。
80分+25分休憩+65分 = 2時間50分

叫べ!生きる、黒い肌で

叫べ!生きる、黒い肌で

アブラクサス

サンモールスタジオ(東京都)

2019/05/09 (木) ~ 2019/05/12 (日)公演終了

満足度★★★

ニーナ・シモン(Nina Simone)ってかなり通好みですね。YouTube で彼女の Summertime を聴いてみると「ナンジャコリャ?」です。これと同じ調子で歌ってもサンモールスタジオでは皆さん天を仰いでしまいます。そこで Setsuko さんはお話全体の調子に合わせて自分流に歌ったのでしょう。しかし私的にはもっと派手にやってほしかったなあ。短かったし。ちゃんと聴きたい人はライブに来てねということなのでしょう。

お芝居の方は役者さん達のテイストがバラバラでサザエさんに悟空やルフィが出てくるような違和感がありました。

そうそうオヤジ♪さんに同感でピアノは「置くなら弾け、弾かないなら置くな」と言いたい。(後日記)「置かれたピアノは弾かれねばならない」と書くべきだった。

シュウマツの予定。

シュウマツの予定。

インプロカンパニーPlatform

上野ストアハウス(東京都)

2019/04/30 (火) ~ 2019/05/07 (火)公演終了

満足度★★★

【Jokerチーム】千秋楽
「その探偵の名、~エコソン少年の殺人~」以来のインプロカンパニーPlatform観劇

今回の目玉はプロの手品師の実演が沢山見られることである。かなり近くで見ていても分からないことを初めて実感できた。ここの満足度は星4つ。

売り物のインプロの方式は複雑で当日パンフを見てすぐに理解しろと言うのは無理である。私はずっと誤解していた。説明があって、各自が自分を表す大きめのカードを持って決定を待っていると分かりやすかったのだが。

ストーリーは中々面白いSFで普通に演じていればかなり感動できたものだったと思う。いろいろ伏線を張っておけば、おお!という驚きが得られたのに!本当にこの方式にはもったいない素材だった。

「その探偵の名、…」は誰が犯人か分からないことがインプロという方式とピッタリあっていたが、今回は苦しいインプロ(=アドリブ)に失笑するというあまり趣味の良くない劇になってしまっていた。それに年寄り役2人の演技が余りにわざとらしいのにもうんざりした。

それからの夏

それからの夏

“STRAYDOG”

ワーサルシアター(東京都)

2019/05/02 (木) ~ 2019/05/05 (日)公演終了

満足度★★★


【Bチーム】
ストーリーには何ら特別なものはない。登場する人物もそんなに特別な人々ではない。したがって感情を共有するのも容易である。しかしそんな自分の想定内を確認してどうするというのだろう。というのがこの種の演劇を観たときに共通して感じることである。

もっとも、本作の場合は演出面を評価するものなのかもしれない。
・草太の走り
・4人の女性の群舞
・傷痍軍人の嘆き
などがあってイメージに訴えかけてくるところは興味深かった。ただし「傷痍軍人」は観客の何人が知っているだろうか。私は子供の頃に観光地で見たことがあるが父は偽物だと怒っていた。他のものに置き換えるべきだが訴訟の問題(*)があったりして改変は難しいだろうとは思う。

鈴木大輝さんはモデルでもあってルックスは抜群である。その方がしっかりした演技をしているのだから小劇場に出ていることが不思議であった。対する重松隆志さんは渋いルックスと確かな存在感で若い者には負けないぞという意地を感じた。

*「それからの夏 訴訟」でググると、舞台よりも面白い戦いがある。

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