コナンの観てきた!クチコミ一覧

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この海のそばに

この海のそばに

えにし

「劇」小劇場(東京都)

2019/02/05 (火) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

前作「クラゲ図鑑」は警察からの事情聴取というカタチをとり、主宰前田氏と母親との過去を粛々と紐解くように描かれた作品。
そこでは、若くして独り残されてしまった主人公の孤独と、彼を取り巻く歴史の壮絶さにただもう驚くばかりでした。
その後、この公演をきっかけにドキュメント番組「ザ・ノンフィクション」に取り上げられ、局の後押しで前田氏が25年ぶりに故郷の韓国を訪れお世話になった人々や,何と存命しておられた生みの父親と再会するシーンも興味深く拝見することに。
縁があって更に更に深く母親の歴史に向かい合うことになった前田氏はこの取材を通して何を思ったか、今回の「この海のそばに」にはその答えがあるように思えて楽しみにしていました。

本作「この海のそばに」は件のテレビ取材を通したカタチ(取材形態は演劇的に脚色を加えているとは思いますが)で、前半にていま一度、経緯の再現。
前作に比べると落ち着いた目線で主要な事実ひとつひとつを淡々と振り返る感じだったものの、やがて来る運命の日が近づくにつれ詳細な描写へと・・・
何より印象的だったのは現実に対して受け身的な印象だった青年が、取材を受ける本作ではひとまわり大きくなっていたこと。

自分自身を演じられた前田氏はつらい過去を背負い、想像もできないご苦労もされてきたでしょうが、しっかり事実と向き合って人と痛みを共有し、これだけの仲間の協力のもと、その思いの丈を発信できる環境を持てるまでに辿り着いたのは、とても素晴らしいことだと思います。
これ以上の供養はないと思えますし、劇団「えにし」さんの礎的な作品ともなるでしょう。
入場時にはジトジト降っていた外の雨が、終演後カラッと上がっていたのが何とも象徴的でした。

ネタバレBOX

終盤、前田氏が放った渾身の叫び。
このシーンをしっかり観る事ができ、受け取ることができただけでも、もう感無量です。
そして取材者が殺人の動機を「女のプライド」と解釈したのに対して、否「母の深い愛」だと断言した姿勢が忘れられません。
このまま最後まで、ひとつひとつの公演に思いを込めて駆け抜けてほしいです。

夜が摑む

夜が摑む

オフィスコットーネ

シアター711(東京都)

2019/02/02 (土) ~ 2019/02/12 (火)公演終了

満足度★★★★★

異彩を放つセットに、普通じゃない時間がこれからやって来るであろうと予見させるものの、役者さんが舞台に現れると予想など軽く飛び越えた普通じゃない時間がやって来た!
演劇だからこそ伝達可能な唯一無二の表現テクニック、そしてナルホドこの原作を体現するにあたって選び抜かれた役者さん達だと大納得。
酸いも甘いも噛み分けた人達が創り上げる世界なので、さぞかし順調な過程の中完成された作品なのかと思いきや、この世界観実現のために、相当難儀して出来上がった賜物であることが、後に当日パンフを読んで分かりました。
そんな作品を・・・つくづく有難いです。

安普請なマンモス団地の中の一室。
彼にとっては耐え難い、他人のふてぶてしさに飲み込まれそうな夜。
心の城が壊れないよう必死に自身を守ろうとする男の心は、哀しいことにもう充分に壊れていて、うっかりこちらもリンクしてしまと・・・ヤバい、想像しただけでも空恐ろしいです。
甘美を含有した狂気。作者の方は実際このレベルまで追い込まれた経験があるとしか思えないほど突き詰められた表現世界だと思いました。
公演中の艶∞ポリスさんといい、またもやこの地で発見の芳醇な演劇パラダイス。
下北沢の底力を思い知りました。

PARTY PEOPLE

PARTY PEOPLE

艶∞ポリス

駅前劇場(東京都)

2019/01/31 (木) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

沢山笑えて、いろんな意味でなんだかゴージャス!
お金がある人・ない人、様々な人達のお金に対する価値観の違いも面白く、金銭感覚と人の相性ってニアリーイコールかもしれないとか、何かと思いが巡るところの多い作品でした。

それにしてもパーティーピーポーの面々。
全ての舞台上人物がちゃんとそこに息づいているかのような描写力が素敵です。
表面上の生態に思わず吹き出しながら、ちゃんと内面までもが届いてくるのだから、いやー大したもんだ。

desnudo Vol.16「牛女」

desnudo Vol.16「牛女」

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

MUSICASA(東京都)

2019/01/30 (水) ~ 2019/02/01 (金)公演終了

満足度★★★★★

母の情念を切なく訴えかけるこの物語は読書という形でも伝わってくるわけですが、生々しくも美しい肉体に物語が宿り表現される迫力といったら

農作に勤しむ村民達の生命力・・・牧歌的でありながらもヒシヒシ伝わってくる労働者の高揚感

子猿のようにじゃれてまとわりつく息子を大きなガニ股で軽々とあやしつつ、彼を育て守るため力仕事も厭わないパワフルで温厚な母の表情・・・ずっとそのままでいて欲しいと願わずにはおられない蜜月のとき

母親の病魔にも気付かず甘えてくる息子をしっかりおんぶしながら、滲み出る苦悶の表情・・・例え死んでも息子を守り抜こうとする決意の表情

原作から想像した今回の舞台化は、どちらかというと「静」のイメージだったのですが、移りゆくシーンのひとつひとつは、時には切なく優しく、時には心撃ち抜くド迫力でもって実に表情豊か、最初から最後まで心揺さぶられっぱなしで圧倒されっぱなし。
思い返せばただただア然と見入っていた時、演者さんと一瞬目が合い「呆けた顔を見られてしまったなー」と(笑)
鍛え抜かれたドラマチックな動き、その動きで舞い上がる風、繊細な腕の表現力、ダイレクトに身体に響いてくるステップ。
あり得ない程間近でフラメンコを鑑賞したのは初めてでしたが、心から素晴らしいと思いました。

もちろん生演奏。尺八が和の差し色になっており、絶妙なパルマ(フラメンコの手拍子)奏者、語り部の染み入るような声、成長した息子の心情を歌詞にのせた歌唱、全てが融合して完成された本作はフラメンコを超えた極上のエンターテインメントといっても過言ではありません。

紫猫のギリ

紫猫のギリ

アミューズ / ジェイズプロデュース / アミューズクエスト

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/01/23 (水) ~ 2019/02/03 (日)公演終了

殺陣シーン満載のビジュアル系時代劇という意味では今流行の「刀剣乱舞」的作品といえばいいのでしょうか。
シアターグリーン BOX in BOX THEATERで公演される本格的な時代劇といえば時代絵巻AsHさんのイメージが強いですが、こうしたビジュアル系作品が客席と距離感の近い劇場で公演されるというのもなかなか貴重な事ではないかと。
妖術で化け物に変えられた怪人の衣装デザインが素晴らしく、そこから漂う何ともいえない哀愁は往年の仮面ライダーを彷彿させました。

陽だまりの中で

陽だまりの中で

林家畳

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2019/01/23 (水) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

80年代、北陸のスナック。
ノスタルジックな世界観と方言に癒される~(笑)
母(スナックのママ)と一人息子を中心に、常連客、流しの女性歌手、息子の友人達が織りなす人間模様。
母親の愛情を息子がことごとく突っぱねてしまう姿が何とももどかしい。
ちょっと裏の世界を臭わせながら、じんわり泣けてくる物語を丁寧な演技でとても心地よく堪能できました。
哀しいエピソードが多く、ともすれば哀しい色が濃厚になりそでならないのは、ほんわりとした母親の温かみ。
そして極楽とんぼの山本さんが醸し出す笑いは、芸人であるメリットが活かされ良いスパイスになっていました。

『天国への登り方』

『天国への登り方』

アマヤドリ

あうるすぽっと(東京都)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

「安楽死を推奨する町」という、ちょっと風変わりな世界観ながら、見入るほどにこれって将来無きにしもあらずな設定じゃないかと思えてきました。
「どんな死に方をしたいか」という問いには色んな答えがあり、自分だけの問題ならばそれぞれが下した個々の正解とも思えますが、看取る側の想いが加わると本当に考えさせられます。
熱い議論が交わされる中、自分と正にジャストフィットな意見を力強く述べる女医役の方がいて、非常に小気味よいと共に、劇中に参加している様な気分にもなりました。

ごんべい/ごんべい2

ごんべい/ごんべい2

ゲキバカ

吉祥寺シアター(東京都)

2019/01/12 (土) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

「ごんべい2」を観劇
お江戸の祭りに忍び寄る妖(あやかし)の魔の手。
ただならぬキャストの人数に加えて続編からの参戦でしたが、ストーリーそのものはシンプルだったので助かった!

当日パンフで確認すると24人の役者陣と17人のアンサンブル。
そりゃ2時間20分の大作になるのは必至。
よくこれだけの人数をうまく整理できたものだと感心するものの、映画・マンガ等のパロディーが随所に盛り込まれ、これだけ情報量が多いと後に残るモノが却って少なくなると思えたのも確か。
私には、軸となる黒猫の数奇な運命と、ここぞという圧巻のシーンが余韻として残りました。
なかなかの乗せ上手で劇団と観客との阿吽の呼吸がよく出来あがっていたのも印象的です。

ねえ、お化粧して首に境目できてるよ

ねえ、お化粧して首に境目できてるよ

劇団やりたかった

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2019/01/17 (木) ~ 2019/01/29 (火)公演終了

満足度★★★★

母親の葬儀を終え自宅に帰ってきた四人姉妹。
心穏やかではないのは、母親との確執を残したままの三女。
ほんのりONEOR8の名作『ゼブラ』を彷彿させる設定ながら全然違う!我が道を歩んでおられる(笑)
四人姉妹の個性がぶつかり合い、皆が独身ゆえの牽制が半端ない。
更にそれぞれの彼氏が訪ねてくるごとに、個性のカオス化が増々加速していき・・・何故か観終わったあとにはジンワリとした感慨が。

正攻法の演技進行では醸し出せないシュールな笑いとパンチの効いた作風。
前説での「笑い」について、ちょっと変わったエクスキューズがあったその意味が良~く分かりました。

Like A room [002]

Like A room [002]

CLIE

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2019/01/12 (土) ~ 2019/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

イケメンホテルマンが繰り広げるコメディ純度の高い作品かと思いきや、セレブな格調に独自の味付けがされた、どこか謎めいた設定。
これは侮れない、しっかり把握しなければと意外に気が抜けない世界観でした。
時折ムズムズしてくるこそばゆい感じの正体は、おそらく女子がキュンキュンくるエッセンスなのではないかと推測。
例えば女性に免疫がないアクティブなイケメン達・・・何だか女子ウケポイント高そうじゃないですか(笑)

カジュアルなミュージカルとしても気合いが入って、そのパフォーマンスの数々は確かにカッケーなぁ!と。
普段観ている作品とは、かなり毛色が違って新鮮な体験でした。

アラサー魔法少女の社畜生活

アラサー魔法少女の社畜生活

森プロ

萬劇場(東京都)

2019/01/11 (金) ~ 2019/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★

美少女戦士モノがバリバリ働くアラサー女性のヒューマンストーリーと合体!
収入が伴わないハードワーク。
そのくせマスコミからは注目されがちで社会的責任は大きい。
神出鬼没なモンスターを速やかに抹殺するというビジネスのリアリティーと、ビジュアルの妙が何とも言えぬ可笑しさを醸し出しているのと同時に、揺れ動く大人の女心がしっかり描かれた作品でした。

中心となる3人のアラサー魔法少女は、この歳で今もなお「少女」と名乗っていいものか思いあぐねる、なかなか聡明な女性達。
同世代の女性から何かと共感を集めそう。
個人的には良くも悪くも「働く男性の代表」的立ち位置にある管理職役の言動に心動かされました。
この方は過去に一度拝見していますが、やっぱり不思議な存在感のある役者さんだなぁと再確認。

超人類

超人類

BACK ATTACKERS

テアトルBONBON(東京都)

2019/01/08 (火) ~ 2019/01/13 (日)公演終了

満足度★★★★

「神」とは、人間と全く次元の異なった存在で大自然に宿る聖なるもの。といった概念で、観終わったあと「人間やり過ぎると、こういう時を迎える考え方もあるのか~」と、描かれていた「神」の振る舞いに対して物思いにふけっていた私と、私よりずっと合理的で分析力旺盛な劇友の方との見解が大きく異なっていて面白かったです。
人間社会の飽くなき知的向上の戦いを描いた物語としても楽しめたのですね・・・なるほどなーと
どちらにしても空恐ろしい事に変わりませんが、基本的な作風はいたってコミカル。
ただニヤニヤ観ていたところも『シックスセンス』方式というのでしょうか、観終わった後もう一度、ここは、ここはと確認してみたくなる衝動にかられてしまう作品でした。

阿波の音

阿波の音

ゴツプロ!

本多劇場(東京都)

2019/01/09 (水) ~ 2019/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

まだパワハラという言葉など日本には無かった頃、清濁合わせ持った働く男達の物語。
人間臭い舞台はいつも通りながら、お馴染みゴツプロメンバーの他、パンチの効いた役者さん、若い衆の役者さんも加わる事で今までにはないコントラストが生まれていたのが新鮮でした。
大きいサイズの劇場になっても、セットの何気ない所や役者の袖口からチラチラ見える紋々の図柄など細かいところまでしっかりとした作り込み。
舞台いっぱい生命力溢れる渾身の祭り、泣けて笑えて一足早い夏がやって来たようです。

はなれ瞽女おりん

はなれ瞽女おりん

平常

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2019/01/05 (土) ~ 2019/01/05 (土)公演終了

満足度★★★★★

「瞽女」とは、三味線と唄を生業とした盲目の女旅芸人。
「はなれ瞽女」とは、掟で禁じられた男性との性的行為を破ったが為、たった独り仲間から放り出されてしまったはぐれ者。
主人公おりんはアッ晴れなほどに情が深く、遅かれ早かれ(実際めっちゃ早いのですが)必ず「はなれ瞽女」となる運命だったであろうと。

人形劇といえば操演者は黒子に徹したイメージですが、たいらじょうの世界はフライヤーにある通り、たいら氏自身も前面に出ており、普通なら不自然に映ってもおかしくないところ全くもって違和感が無く、むしろ情感たっぷりに物語が伝わってきました。
無理に想像力を働かせなくとも、たいら氏が「おりん」になったり、「おりん」に引き寄せられる男そのものになったり、その他の者を独自に表現したとしても、全てがすんなりと入ってくるから不思議です。

雪降る日本海、北陸。
美しい「おりん」の造形はどことなくいびつで、厳しい現実から逃れられない哀しみだけがまとわりつく世界観かと思いきや、観た後には全く違った思いがこみ上げてくる、ダイナミックにて繊細、とても美しい公演でした。

島田のかなまら祭りDX

島田のかなまら祭りDX

宇宙論☆講座

スタジオ空洞(東京都)

2018/12/28 (金) ~ 2018/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★

特別公演「べろべろ忘年回」を観劇。
ちょっと早めに会場前に到着し数名で待機していると、既にほろ酔い加減の役者さんが地下から上がって来て「寒いのでもう中に入っちゃって下さい」と言いに来てくれました。
降りていくと会場の中には酔っぱらった役者さんだらけ!
受付の人もまだスタンバってなかったので、とてもおいそれとは入っていけない状況でしたが、そのお気遣いどうもありがとう(笑)
それでも少し早めに受付して頂きました。
この様な酔っ払いモード全開でスタートした本編は、案の定 台本と無礼講の境目を区別するのも無意味な破天荒さ。
お約束の非効率的な展開もしっかり健在。

ただ、綺麗に整っているモノを汚しまくり、とっ散らかして突き進んでいくのが宇宙論☆講座さんの持ち味だと思っているので、最初から下ネタ全開の今回のテーマは、あまり相性が良くなかったのではないかと思えてなりませんでした。
下ネタ用語を連発すればするほど、いやらしさから遠ざかっていくのは、そもそもそこに狙いがあるわけではないからでしょうし。
いつかシェイクスピアでも童話でも良いのですが、誰もがよく知った題材を宇宙論☆講座さん流で解体し表現した作品というのも観てみたいものです。

コマツ大博覧会

コマツ大博覧会

コマツマツリ

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2018/12/25 (火) ~ 2018/12/26 (水)公演終了

満足度★★★★★

迫力ある一人舞台。
最初の時間で場を暖めながらもしっかり客席を観察し、いろいろ計算していたのですね。
この後大阪公演を控え演目のネタバレは禁止となっていますが、趣向を凝らした作品の数々、場内の空気をたった一人で支配する力量に恐れおののきながら大いに笑わせて頂き、あっという間に過ぎていきましたよ1時間30分。

個人的にはパートの合間くらいは小休止タイムで良いと思うのですが、それをも許さぬ徹底的なエンタメ根性。
その厳しさは観客にも・・・ってこんなのあり得~ん、支配されてるっ!(笑)
でも選別眼は確か。
結局皆が楽しめれば勝ちということなのですね、恐るべし。
エンターテインメントをとことんしゃぶり尽したい猛者は是非アリーナ席へ。
コマツさんのあまりの顔力の強さにクリスマスの余韻も吹き飛んでしまいました(笑)

多摩美能楽集Ⅱ

多摩美能楽集Ⅱ

多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科

多摩美術大学 上野毛キャンパス 演劇舞踊スタジオB(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/22 (土)公演終了

伝統ある能のエッセンスを抽出した能楽集ということですが、かなり独創的なオムニバス公演!
場所がカラオケスナックだったりコンビニだったり、大学生の飲み会だったりと今どきの若者を描いた作品もあれば、海を舞台に神や人や生物が入り混じった賑やかで生命力溢れる不思議な作品、復讐スペクタクル劇等々ホントに盛り沢山でした。
特に素晴らしかったのは総勢38人の肉体が舞台を埋め尽くしての躍動感あるセットになったり群像になったりと目の前一面に広がる壮観なシーンの数々。

美大公演だけに今回も期待が膨らむのは舞台美術。特に衣装においては見どころに事欠きませんでしたが、どんなカラフルなものよりも役者さんの肉体を強調した衣装がやっぱり一番美しかったかも。

小作品が集まった公演というわけではなく、どの作品も練りに練られており、役者総出演のオープニングや力作2編も勿論良かったですが「海水にさらされた女たち」版「道成寺」飲み会の最中トイレで嘔吐しているどうにも恋に不器用そうな女子の恋愛ストーリーが男女の心理描写も巧く、かなり衝撃的でした。

ERA

ERA

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田大学学生会館(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/23 (日)公演終了

「自由」を与えられ「自由」を持て余しながらも「自由」をこねにこねくり回して、結果「自由」を謳歌しまくった演劇が出来上がりましたという印象。
学生演劇だからこそ 否、でなければこの様な公演は実現できないでしょう。
演技スペースが広々していて役者さんたちの動きも実に伸びやか。

高校を舞台にしたレジスタンス。もう少し悩ましい一面があってもいいんじゃないのか云々のツッコミも野暮に思えてくるほどに総勢23人の個性が青春していました。

happiest

happiest

みどり人

新宿眼科画廊(東京都)

2018/12/14 (金) ~ 2018/12/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

感情移入とは何も自分と同じ境遇だからするとは限らないことを強く実感できた作品でした。
たとえ生活環境や性格、性別さえも違っていても、今何を思い何に苦しんでいるのかしっかり伝わってくる人物を目の前にした時、その人物の喜びや哀しみがダイレクトに突き刺さってくる醍醐味。

鋭い観察眼、それをしっかり演じきった全ての登場人物の姿に逐一頷き、そしてついつい笑わかされてしまいますが、時折襲ってくるヒリヒリする痛み。
この痛みがきっと「孤独」という厄介な感情なのでしょう。

作者の視点は意地悪いほどに人の言動を掌握しており、それが故にひょっとして人間嫌いなのではないかと思えたりするのですが、いやいや人間愛がしっかり根底に流れておりました。
もう、どうしようもなく泣けてきます。

ネタバレBOX

舞台は基本的に素舞台なのですが、奥の一角だけ超リアルで明らかに独身男のものと分かる部屋が。
もう住人の体臭が漂ってきそうなほどリアル。
その部屋の住人は観劇マニアにして、とある劇団の大ファン。
何故ここだけがこんなにリアルに創られていたのか・・・
舞台を魅せるセンスに完全脱帽です。
喜劇新オセロ

喜劇新オセロ

アトリエファンファーレ

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/19 (水)公演終了

満足度★★★★

「Bチーム」を観劇。
60分の公演時間と知って、短っ!と思いましたが、なるほどこれだけのジェラシーパワー劇ならば。と観て納得。
ちょっと台詞を詰め込み過ぎている気がしたもののストーリーはいたってシンプル。
そのぶん役者さんの魅せる力量が求められる作品だと思いました。

お喋りでちゃっかり者のメイド。美人だけどちょっと要領が悪い新妻。
女性のお二人も良かったですが何といっても強烈だったのが嫉妬に狂った旦那。
身体も声量も大きく、血管浮きだすわ、汗吹きだすわのド迫力。
今にもゴージャスなセット(部屋)をぶっ壊しそうな勢いでヒヤヒヤもの(笑)
対する浮気相手と勘違いされたお隣さんも、これまた違った強烈キャラにて笑わかせの達人。
ちょっとピースの綾部に似てると思ったのは自分だけでしょうか。

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