咲けよ、酒よ。
ソラカメ
「劇」小劇場(東京都)
2018/10/17 (水) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
酔いつぶれてこぼれ出る、普段言わないような言葉の正体は、本音なのか、その場の勢いなのか、それとも無い物ねだりの願望なのか・・・う~ん何だかしみじみしてきます。
全てが思い通りに生きられる人などいる筈もなく、それぞれ社会生活を営む登場人物たちの悲喜こもごもが、私達と同じ日常目線で描かれ、性別・年齢が違っていても思わず共感して笑ってしまったり、自分の胸に手を当てて振り返ってみたり。
平均年齢24歳の女性7人が中心となった劇団さん。
おそらく見事に共感しまくりの同年代女性には面白くてたまらないでしょうが、どっこい全く違う目線からでも大いに楽しめます。
のどごし良くグビグビ飲めてちょっとほろ苦い、そしてちょっと気分よくなる・・・内容そのものがビールみたいな作品でした。
もちろん下戸でも楽しめます。
となりの事件
シアターノーチラス
OFF OFFシアター(東京都)
2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★
“世間”とは実態の見えにくいモノですが、お隣りで事件が起きた並木さんちのご夫婦は紛れもない形ある“世間”の一部だと思って観ていました。
(そういう自分ちも世間の一部ということになるのでしょうが)
そして“世間”からはじき出されてしまった事件当事者のご家族・・・ジワジワと痛々しいです。
共感できる人物がなかなか出てこないのは毎度のことですが、その代わりに“他者”を興味深く堪能できるのがシアターノーチラスさんの作風。
今回、個人的には感情の揺さぶられ度が若干弱かったものの、観る人の立ち位置によって、いろんな感情を呼び起こす作品なのではないかと思います。
夜を、徘徊。
ものづくり計画
萬劇場(東京都)
2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★
中心となる幼馴染女性4人達の人生模様を何層にも重ねるうえで、彼女らの生活を色づける人達(脇を固める人達)が続々と、もう贅沢なほど登場。
その多様性が全体像を分散させていたようにも取れますが、同時に実直な作品だったなぁという印象も残りました。
女4人の中にはリーダー格は存在せず、4人とも精神的にどこかが不健康。
最初のうちこそ、彼女ら自身の気の持ち方次第で全然もっと幸せになれるんじゃないのか?と観ていたものの、それは客観的立場ゆえに何とでも言えること・・・と言い負かされたような気分。
当事者としてはなかなか劇的には変われぬまま、4人がふん詰まっていく様を観るにつけ「安易に都合のいい流れには、もっていきませんから」と聞こえそうな、ビターなリアリティーを貫き通す作者さんの意志が伝わってくるようです。
これが現実の世界だ!と言い切ってしまうと、ちょっと哀しいものがありますし、後味はスッキリ爽やかではありませんが、それも含めて何故か嫌いになれない作品でした。
FACES
the CRAZY ANGEL COMPANY
R's アートコート(東京都)
2018/10/06 (土) ~ 2018/10/08 (月)公演終了
満足度★★★★
第一部でのバックバンドに乗せたダンスパフォーマンスはショートショートの連続でありながら、ドラマ「もう誰も愛さない」のオープニング(例えがめちゃ古い!)のような精神的不安を醸し出すイメージから前向きな方へとシフトチェンジしていく大きな流れがあって、ひとつひとつの作品を楽しんでいるうちに、もうあっという間の時間。
第二部の東西合戦は「ブラスト!」的な要素も入り、手を変え品を替えての大熱演の連続。
「鳴子」は手拍子よりもずっとリズムがとりやすく、なかなか良いアイテムを使わせてもらったと思えました。
what's your destination?
遊々団★ヴェール
TACCS1179(東京都)
2018/10/03 (水) ~ 2018/10/07 (日)公演終了
満足度★★★★
エンディングがもたらしてくれる余韻も含めて、若い観劇初心者の方にうってつけではないかと思える作品。
不思議なバスの正体は予想的中だったものの、役者さんそれぞれの身丈に合った演出・演技でキャラクターが活かされ、実に楽な気持で観ごこちの良い作品に仕上がっていました。
各役者さんの見せどころのバランスが程よかった中、前説も勤めた役者さんと自己中女性客役の女優さんは、なにかと笑いを引き起こすムードメーカーとしてちょっと特別な存在感。
今回はサイドシートでの観劇で、本劇場ではこれまで無かったほどに舞台が近く感じられ、これはこれでとても観やすく楽しかったですが、終演後センター正面席から見たセット風景も奥行と広がりがあってなかなかイイ感じでした。
バイバイ・マイホーム
踊る演劇集団 ムツキカっ!!
シアター風姿花伝(東京都)
2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
「焼かれてしまえばタダの灰」といいながらも骨壺の収め場所は納骨堂より霊園の方がイイかなぁと思えたり、それこそ「私はそこには居ません」でしょう。といいながらもお墓参りの際には必ず手を合わせてご先祖様に話しかけたりと、こうして向き合ってみれば自分の中にある「お墓」に対しての考えはどこか矛盾だらけだなぁと認識。
人生最後の不動産売買でもあるので、ちゃんと考えなければいけませんね。
そして「お墓」を考えるのはこんなにも「どう生きるか」を考えるのと通ずるところがあるのかと驚きを覚えながらの観劇でした。
「お墓」を売りたい人達と「お墓」を買いたい人達の物語。
この切り口からこんなにもストーリーが広がっていくなんて!
本作のようなお墓の販売説明会だったら是非参加してみたいものです。
もちろん本作に出てくるようなお客さんも込みで。
専属のダンサーさんによる表現は作品の差し色になったり、物語に溶け込んだりと贅沢な存在感。
演出家さんの眉唾モノな前説も面白かったです。
ウソのホント
ふくふくや
駅前劇場(東京都)
2018/09/20 (木) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★
内容確認などしなくても観に行けば必ず面白い抜群の安定感はさすが。
裏街道を生きる人々の狡猾さと違法行為が笑ってしまうほど日常にある風景。
ふくふくやさんへの欲求ハードルが高くなってきているのもありますが、ストーリーの諸々に関してはリアリティーから離れている感も。
真実なんてクソくらえ!の一刀両断、豪快な顛末。面白ければいいっちゃあいいのですが。
グーとパーでチョキを出す
ACT
劇場MOMO(東京都)
2018/09/27 (木) ~ 2018/10/01 (月)公演終了
満足度★★★★
自分だけでなく他者の気持ちも汲み取ってしまう3人だからこそ成立する男ひとりと女二人の奇妙なトライアングル。
どこかマンガチックな3人の関係は、少年漫画よりも少女漫画寄りのキラキラ感があって、何とも微笑ましい。
もともと過去に45分で公演したものを大きく膨らました作品ということで、なるほど3人の関係性の妙が丁寧に面白おかしく描かれていました。
3人に関わる人物が増えるごとに、その無理のある恋愛模様に可笑し味が増していくのがいい。
明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )
演劇企画イロトリドリノハナ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/09/19 (水) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
初日を拝見した時にはしっかりと受け取ることが出来なかった舞台上に渦巻く個々の感情が、2度目の観劇では余りにもグイグイ入ってくるので、ひと作品の観劇としては持て余してしまうくらいのボリュームで圧倒されまくりでした。
最初こそ、その時代を生きるアットホームな家庭の姿がそこにあるのかと思ったものの、すぐに戦争の生傷が誰もの心や生活にそれぞれの形で存在することに気付かされ段々と胸が苦しくなってきます。
それでも皆の命があればこそ.。
明るい方向へと何とか進もうとする幾つもの人々の逞しさや健気さに胸を打たれるのですが・・・
想像を絶する威力を持った爆弾。
忍び寄る危険な匂いだけを察知したとて、一体どれだけの一般人が今の生活を投げ捨ててまで動くことが出来るのか、時代は変われども本作を現在に置き換えてみると空恐ろしくなってきます。
いる
劇団冷たいかぼちゃスープ
APOCシアター(東京都)
2018/09/15 (土) ~ 2018/09/17 (月)公演終了
満足度★★★★
現実世界と比べて、ほんのちょっと時空が歪んでしまった社会生活の営みを観ているような感覚アリ。
そのちょっとだけズレてできたスキマから、ひょっこり奇怪なモノが顔をのぞかせることも。
私には2度目の冷たいかぼちゃスープさんですが、認識としてはAPOCシアターに棲む怪人ならぬ怪劇団といった感じ。
作中では欠陥商品が発見されたトラブル真っ只中のメーカー業界を中心に「転職斡旋会社」や「ライブもやったりする飲食店」で働く(もしくは働きたい)人々が続々登場。
沢山のワークマンが出てくる中、個人的には容赦なきトラブル対応に追われるメーカー営業マンの辛い立場や心情が(ちょっと意地悪いデフォルメでブラックな笑いを誘いつつ)的確に表現されているのが味わい深かったです。
いろんな登場人物たちの「働く顔」と「プライベートな顔」が巧みに交差して、味わい深く感じる人は他にも沢山いるのですが、それがために情報過多ぎみに感じてしまうのは一長一短、それでも もっとじ~っくり一人ひとり咀嚼してみたいとも思えました。
「日本の労働者」 立場はいろいろで、なんか凄く大変だけど、なんか凄くイイ。
時には職責の曖昧さにヤキモキしたり、投げ出したくなって然りなことがあったとしても、やっぱり日本の会社。
「労働」からの「人生」「生活」「家族」「結婚」いろいろと噛みしめることができました。
¡ Amor Amor Amor ! ~愛こそすべて・2~
ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団
よみうり大手町ホール(東京都)
2018/09/14 (金) ~ 2018/09/15 (土)公演終了
スペイン歌謡、いただいたパンフで訳された歌詞を読んでみると、案外日本の昭和歌謡と通じるものがあって面白いと思ったものの、幕が上がってみればやはりスペイン情緒たっぷりの世界が。
突き刺さるようなステップ音と手拍子、舞台いっぱいに広がる群像美や、愛の駆け引きがドラマチックな男女パート、一番個性が出るソロパート等、本物のフラメンコをこんなに手変え品替えタップリ満喫できたのは初めてでした。
生演奏はもちろん、豊富なボーカル陣、衣装も毎回チェンジされ見どころのひとつに。
めちゃくちゃ情感溢れるちょっと長めのギターソロのあと、ダンステクニックの知識などなくても、迫りくる気迫とステップに「これがホンモノの醍醐味か!」と身体で感じ取れる時間がやってくること必至。
観てきたホヤホヤの感想でした。
ステイ・ヤングとか言われても
GORE GORE GIRLS
シアター711(東京都)
2018/09/11 (火) ~ 2018/09/17 (月)公演終了
満足度★★★★
厄介なるこじらせオジサンと、このオジサンを取り巻く若者たちの物語。
そして彼らが深刻になればなるほど可笑し味も増していく文系コメディー。
奇妙な集団シチュエーションをこれでもかとねぶり倒し、よくもまぁここまで色んな味を引き出せるものだな~と。
深刻にして平和。
LIMIT
劇団ベイビーベイビーベイベー
シアター風姿花伝(東京都)
2018/09/12 (水) ~ 2018/09/17 (月)公演終了
キレッキレのアクションシーン。
やりすぎ女刑事(交渉人)が“べらんめえ”でかっけー!
対決相手はサイコパスな愉快犯。
全体の流れが刑事ドラマ(主演は篠原涼子あたり)の映画版といった雰囲気で、カット割りの様なシーン切り替えや、迫力あるサウンドもなかなかの煽り上手。
外国が舞台なので、ここに洋風テイストが入ってくるのですが、個人的には完全に日本の刑事モノとした方が好みだったかも。
これは自慢ではありませんが、謎めいた犯人の正体がズバリ的中していて思わずガッツポーズ(心の中で)
覆面
MICOSHI COMPLEX
池袋GEKIBA(東京都)
2018/09/05 (水) ~ 2018/09/09 (日)公演終了
満足度★★★★
インテリジェンスとエロとバカバカしさがごちゃ混ぜになった勢いある展開。
あれっミステリー要素は?
事前に抱いていたイメージとは異なる冒頭での作品カラーに驚きながらも、とりあえずは絶えずクスクス笑いを引き起こす
ハイテンポな台詞の応酬
覆面作家「向田國夫」の絶好調ぶり
を存分に堪能。
4人の個性バランスから成り立つ覆面作家「向田國夫」
4人の若さと各自の偏りっぷりが絶妙。
彼等の活躍に水を差すが如く現れたのは「ニセ向田國夫」
両者の対決をこのまま笑って楽しんでいればいいのかと思いきや、やはり裏があったのですね。
OPTIMISM
アブラクサス
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/09/05 (水) ~ 2018/09/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
ヘレンケラーとサリバン先生の出逢いから約50年にわたるライフストーリー。
冒頭からのお馴染み「ウォーター」を認識するまでの格闘記もさることながら、言葉を得た後のヘレンケラーの人生は“更に”といってよいほど興味深く、「楽天主義」という意味のタイトルだそうですが、苦難が続く運命、彼女がそれに打ち勝てる“精神力の源”に感じ触れることが出来たのは鳥肌が立つほどに感動的でした。
奇跡的に言葉を認識できるようになった後、今度は実家が没落する等、悲劇的な状況には事欠きませんが、ヘレンやサリバン先生、その他の人物がさり気なく醸し出すユーモラスな部分が、作品をより豊かで親しみやすいものにしていたと思います。
1/2error〜きみの棲む街〜
Nuts Grooove!
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/08/31 (金) ~ 2018/09/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
新宿ゴールデン街標準サイズほどの店内は、ちょっとシックな内装がイイ感じ。
この店に迷い込んだサラリーマン目線の作品かと思いきや、ゲイマスターやお店の常連さん達の日常風景もしっかり描かれた作品でした。
役者さんの感情が自然と役柄に寄り添っているように感じられ、日々面白おかしく生きている姿は、確かに楽しいものであっても、表情や言葉の端々には大人の苦味が滲み出しています。
ひしめく都会のネオンの中だからこそ、ひっそりと賑やかに営まれる小世界に、本来交わる事などなかったはずの若いサラリーマン。
異種なる交流が生み出す酔いの回った楽しき空間から、やがて各々自身を見つめ直す空間へと変わっていく人と人のぶつかり合いには、不器用な愛がいっぱいで、それらは都会に生きる人への応援歌の様に感じられ、心に優しく染み入りました。
白い花を隱す
Pカンパニー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2018/08/31 (金) ~ 2018/09/04 (火)公演終了
満足度★★★★★
キレッキレでエネルギッシュなスタッフの面々は、さすがドキュメンタリー制作会社といった感じで輝きがあって頼もしい。
女社長もなかなかの男前っぷり。
チームワークもフットワークも抜群な会社が政治的圧力によって壊れていく様はそれだけにヒリヒリ感を伴って、凄く勿体ない事をしたなと思えます。
作品では視点をその社員の婚約者(彼女も元制作スタッフ)に据える事で、より登場人物達の輪の中にとけ込みやすく、且つ彼等の人となりが伝わってきやすい内容になっていました。
会社関連以外の登場人物である、家族役の円城寺あやさん、近所のおばあちゃん役の福井裕子さんの存在も印象的。
渾身の思いで制作した映像が、不本意な形に姿を変えて身に降りかかってきた彼等の動揺と無念さは舞台からも強く伝わり、出来る事なら報道で晴らしたかったかもしれませんが、これをちゃんと問題視する人達がいて、現にこうして演劇というカタチで語り継がれるという事は立派に意味があったという事なのだと思います。
ジャッジノット!!審理編&評議編
演劇企画アクタージュ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/08/30 (木) ~ 2018/09/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
『審理編』からつづけての『評議編』
「評議編」は当然そのまま「審理編」での裁判シーンのつづき。かと思いきや、場面がガラッと変わって裁判所の控室。(つまりセットが入れ替わります)
「審理編」では基本 後方にて傍聴スタイルだった6名の裁判員達の、その後の話し合いが行われ、こちらは暗転無しノンストップのリアルタイムスタイル。
本件の事案に対して「被告人は黒か白か」持論をぶっちゃけ合うこの「評議編」は、「審理編」の時に垣間見えていた裁判員それぞれのキャラクターが炸裂し、これってまさしくアクタージュ版『十二人の怒れる男』
ただし『十二人の怒れる男』と大きく違うのは、前の「審理編」で私も一緒にこの裁判の成り行きをしっかり見届けているところ。
「審理編」で湧き起った「気づき」や「引っ掛かり」をここでは彼等がガンガン発言してくれるので「そう、そこだよ!そこっ」と、完全に吸ってる空気は一緒です。
「審理編」での体験を経ての「評議編」は作品全体をすごく立体的に観せてくれるのでメチャクチャ相乗効果アリまくり!
尚且つ「評議編」を観終わった後になって、またもや「審理編」を観たくなるという自身に湧き起ったまさかの衝動。
ええ観ましたとも、ぶっ続け2度目の「審理編」(笑)
一度目の「審理編」では受け身体制で転がされっぱなしだった私も、二度目では完全なる訳知り体制。
すると同じ作品なのに一度目で見えなかったモノまで逐一見えてくるではありませんか・・・これって快感です。
一気に連続3公演、予定が大きく変わった『ジャッジノット!!』づくしの1日。すっごい疲れましたが、すっごい貴重な体験でした。
ジャッジノット!!審理編&評議編
演劇企画アクタージュ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/08/30 (木) ~ 2018/09/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
『審理編』
入場してみると舞台にはジャ~ンしっかり法廷が。
裁判スタート(開演)で下手に検察団、上手に弁護団、要所々々に事務官、更には奥手の横一列に裁判官をセンターとした裁判員がズラリと並んでもう圧巻の絵面。
あぁこのパターンは発言者以外のリアクションにも是非注意を払いたくなる、どうにも目が忙しいやつ~ッ(笑)
ここまで本格的な裁判モノとなると堅苦しく小難しい内容になる心配があろうものの、そこはさすがのアクタージュさん。
リアルとエンタメを織り交ぜて軽快に観せてくれました。
事件内容は至ってシンプルなものの決定的目撃者が不在で、且つ被告人が犯行を否認してしまうと、もう真相は藪の中。
その藪をかき分けるが如く状況証拠をもとに攻防を繰り広げる検察団と弁護団。
もう最初から双方戦う気満々、タイプは違えど、どちらも攻撃タイプの対決で、それらのやり取りを傍聴しているうちにフムフムナルホド、事件の独特の色合いが段々と見えてくるではありませんか。
とは言っても生ものの裁判は予定調和とはいかないようで、時には阿鼻叫喚。
裁判員と一緒になって、はぁ~(ため息です)いいように転がされてきました。
たまに難しい用語や怒涛の局面があっても、風格ある裁判長が一般人である裁判員に理解を促す体(てい)でしっかり指揮をとってくれるので助かります。
「サギムスメ2018」人生晴れたり曇ったり
劇団たいしゅう小説家
ワーサルシアター(東京都)
2018/08/29 (水) ~ 2018/09/02 (日)公演終了
満足度★★★★
客入れ時間の30分。舞台上では大衆演劇の楽屋ならではのちょっとしたパフォーマンスが。
女性には興味深いものらしく、しっかり凝視されている方は多いものの、自分はフ~ンと当日パンフ等のウオッチングタイムに。
しかし15分経過した頃に目をやると「アレっ、へぇ~っ」と思わずシフトチェンジ。
いつしか笑いも起き出します。(パフォーマンスは開演5分前に終了)
その後、突入する本編の冒頭から一気に大衆演劇一座の世界へと引きずり込んでしまう手腕はお見事で、否が応でも雰囲気が盛り上がります。
あらすじだけ読めばコメディーに結構ありがちな設定にも思えますが、実際始まれば演出と演技が持つ力というのでしょうか、とても新鮮。
人と人とのやり取りがめちゃくちゃ可笑しくて、その出来があまりに良かったために「化かし合いストーリー」のどんでん返しがおまけの様に感じてしまうほど。
楽~な気持ちで、たっくさん笑える作品です。