Dの観てきた!クチコミ一覧

181-200件 / 630件中
俺の屍を越えていけ【無事に終了しました】

俺の屍を越えていけ【無事に終了しました】

七里ガ浜オールスターズ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2010/11/01 (月) ~ 2010/11/07 (日)公演終了

あの本だぞ、さて。
台本がしっかりしているのは分かっていた事。で、今回はどうもそれをなぞっていただけな感じがしました。それなりには面白かったけど、どうもそれは台本を音読した以上のものになっていなくて。各役者もっと色々な事が出来るのに、それぞれの一部分だけ使っていた様な。惜しい、あまりにも。

ネタバレBOX

須貝さんはラストの感情に訴えてくる様な芝居をもっと早くから見せて欲しかったし、佐藤さんは押し込めるよりも解放的な役柄のほうが合ってる気がする。
個人的趣向ですけど、ナレーションの時の葛木さんの声が可愛かった。色気のある演技をする方とは思っていたものの、良く聴くと声は艶よりもそっちだったんだなと。
「もしも僕がイラク人だったら」

「もしも僕がイラク人だったら」

劇団恋におちたシェイクスピア

APOCシアター(東京都)

2010/10/30 (土) ~ 2010/10/31 (日)公演終了

意外と初APOC。
新聞記事で遠い国の遠い世界の状況を想像する。ひたすら。

ネタバレBOX

長内さんと同じくらいの知識や興味の方向が合っていたらもっと楽しめたと思う。娯楽として軽い気持ちで観るものではなかったかな。そして多分これは娯楽というよりは訴えに近かった様な気がする。自分に余裕のない人が観て受け止めるにはちょっとでか過ぎる代物だった。
金色の鳥

金色の鳥

立教大学演劇研究会

立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)

2010/10/29 (金) ~ 2010/11/01 (月)公演終了

ウィリアムズホールの階段は登る時に緊張する。
久々に立ち入った立教大学。作・演出の担当が代わっても歴史物をやるとまず外れがないのが立教劇研。今回もそれに漏れず。平等院が鳳凰堂と呼ばれる様になった経緯についての話。
その世界で何が起きているかについては大風呂敷を広げつつ、劇中の肝は世界よりも人々に置いたのが大正解。色んな事を考えさせながらも主人公の「あいつはなんであろうとあいつだ!オレの友達だ!」みたいなストレートな訴えがちゃんと伝わってきた。
立教劇研がすげーなと思うのは、以前からずっと無料って事。対価を貰う気持ちは持たずひたすら「観てもらう」って部分にモチベーションを置いてる訳で。むしろ払いたくなります。

ネタバレBOX

「実は女装していた侍でした」って役を女性が演じてるんだけど、流石に無理があったよね。だって女性だもの。女装していたほうが本物なんだもの。漫画や小説でなら成立するけど、現実にやると難しいと思った。逆に主人公の男の子役を女性がやったのはちゃんと信じられた。演じるっていう時点でフィルターが一枚掛かってる訳で、女性を演じてる男性を女性が演じるっていうのはメタ構造過ぎて騙されてあげられなかった。
月並みなはなし

月並みなはなし

円・演劇研究所

ステージ円(東京都)

2010/10/26 (火) ~ 2010/10/31 (日)公演終了

三日月チーム。
若い人が頑張っている姿は観ていたくなる。頑張って欲しくなる。だって若いんだもの。今は何も手にまだ何も手にしてないんだから頑張るしかないじゃない。劇中の年齢よりはちょっと下の世代だろうから、これから何年後かになって本人達の中でこの公演の意味が変わる時があるのかもしれない。それはそれでいいと思う。
散々観ているこの演目ですが、やっぱりあんまり広くないところで観たいなと。近くで見たいし、匂いたいし、感じたいし。


ネタバレBOX

この演目の肝とも言える、パン作り。嗅覚は視覚に比べて普段そこまで意識的になってないからこういう時にとても効いてくる。あと、ミカンの匂いも来た。ベストポジションに座ったなと思った。
台詞の交わしにちょっと間が出来てる気がした。受け答えをするにはちょっと長かったり、今のは受けるよりも先に答えを返しちゃってたなとか。緊張がそうさせたのか、若さゆえのコミュニケーションへの不慣れだったのか。

いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校

いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校

ロロ

新宿眼科画廊(東京都)

2010/10/17 (日) ~ 2010/10/24 (日)公演終了

素敵やん。
作風は好みじゃないんです。でも、素敵だなとは思えたのです。
上演時間自体が短かったからか、過去に見たロロの中で最もやりたい事がまとまっていて観やすかった。別に時間がどうこうじゃないのかな。「ボーイ・ミーツ・ガール」のショートバージョンは全然響いて来なかったし。確立されてきたんだろうか。
ロロの武器はピュアさにある。あと5年したら彼らはどうなっているんだろう。そして10年後は? 今やれる事は今の内にハイペースでやってるみたいだから、きっと何か違う武器に変わっていくのかもしれない。

ネタバレBOX

好きだった子がいたのに他の子に乗り換えるっていうのは「ロミオとジュリエット」であり、確かに小学校の頃なんて好きな子しょっちゅう変わってたもんです。
いつか床が見える伝説

いつか床が見える伝説

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田大学学生会館(東京都)

2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

ゆかでん。
度々エンクラで役者として目にしていた萩野さん。不思議な存在感な彼女がどんな作品を生み出すかと思いきや、とんでもないもん持ってきた。
最近のエンクラ作品は良い意味で共通した雑さと強さと熱を持っています。どうやって作ってるんだろう? エチュードから作る技法が確立されているのか、それとも集まってる人々がそもそも雑さと強さと熱を持っているのか。早稲田大学の施設の地下でこんなもんやってるなんてパブリックイメージは皆無だろ。みんな飛び込んで来いよ、って言いたくなる。
物語を端折ると、ゴミ山が山になる話。大幅に端折っています。

ネタバレBOX

大根って。
センの風とムラサキの陽(池袋演劇祭・優秀賞受賞)

センの風とムラサキの陽(池袋演劇祭・優秀賞受賞)

劇団バッコスの祭

池袋小劇場(東京都)

2010/09/30 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

安易に戦争をネタに取り上げてはいけない。
人がたくさん死ぬ話になるのだ。どう考えたって盛り上がる。盛り上げの為に人を殺してはいけない。例え創作物であっても。だから安易ではいけない。
その点、彼らは安易ではない。生きるか死ぬかであればみな生きる事を選びたがるだろう。しかし生きる先には何があるか、その重さ・辛さまでをしっかりと描いている。
初演から大々的に代わった部分もあるが、当然貫いている部分もある。そもそもの芯の強さは変わらない。

ネタバレBOX

冒頭の原子分裂をイメージさせる演舞。これは中盤以降でもう一度やってもよかったのではないかなと。冒頭では綺麗さが先に来て、上演最初の掴みとなればそれだけでもよくて。中盤以降に原子分裂の意味が分かった上で、あれを無音の中でゆっくりやるとか緊張感を持たせて見せられたらきっと恐怖や悲壮を覚えたと思う。冒頭のあれが何だったか気付かないままだと勿体無い。
悪魔の絵本

悪魔の絵本

Theatre Polyphonic

サンモールスタジオ(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

ふふふ。
この人はあの人だ。これはあれの事だ。とか思いながら。正に渾身。作家本人がこれを演出する事はきっとないでしょうね。むしろ他人の演出だからこそやったのかと。若干の遊び心あり、それどころか火遊びで火傷してるんじゃないかって部分もあり。がっつり。
度々観ている岡田あがささんが勝負してる姿についエール。

ネタバレBOX

冒頭の台詞が早いなと感じました。上演時間を気にして縮めたかったにしてはちょっと強引だったし、上辺の遣り取りを演出したかったとしたらそれは適ってなかった。力強く台詞を口にする役者が多かった分、脆い何かを見せるにはそもそもの素材が強すぎた気がします。自分は大舞台をあまりというかほとんど観に行かないんですが、そういうところではああいう感じの役者が多いんでしょうか。だとすると表現が大きすぎてちょっと苦手かも。それも立派な技術だと分かりつつ。
終盤で『2階に…!』ってなった時は「あの子がエンバーミングされてるんだ」と思ったし、封筒を持ってきた時には「腕だ」と思ったのですが。想像させる事が上手い作家ですから、もしかしたら意図的にそこまで想像させて裏切ったのかもしれないとも思うし、演出の判断で書き換えたのかもとも思う。究極の愛って話だったから、自分だけの物にする為に自分の手で殺してしまうのではないかと予想していたんですが。
少女病

少女病

macaron books

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2010/10/02 (土) ~ 2010/10/02 (土)公演終了

病んでた。
中二病という言葉が蔓延したのはいつからだろう。本来なら蔓延して良い様な言葉ではない。つまりは少女病もそうだって事だ。童貞を主人公にして笑い者にせず苦悩へ焦点を当てている。性への悩み・体の部位への悩みは誰だって経験がある事だろう。そういったものがなく生まれた時から自分に自信があった者はある意味、生まれながらの童貞卒業者。これは、卒業出来ずにいる者の妄想が誇大しすぎて本人を苦しめる悪夢になるまでの話。そして、その先。

ネタバレBOX

作品自体にエロ臭がしなかったのが良かった。人によっては嫌悪感の元になっていただろうけど。でも舞台上にエロい要素はあった。だって女優の格好とかがそそるんだもん。でもそれは観てるこっち側の主観であって、つまりはオレがエロかっただけで作品からの押し付けじゃなかった。
出演した役者を紹介した立場なので関係者っちゃ関係者なのですが、この子を佐古田氏と組ませたら面白いだろうなと。双方のファンだからくっつけちゃえと思ったのです。あくまで客席には客の一人として観に行きました。自分にとっては贅沢な代物でした。あ、お金も払ってます。
渡り鳥の信号待ち

渡り鳥の信号待ち

世田谷シルク

サンモールスタジオ(東京都)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/07 (火)公演終了

ちょっとした小宇宙。
ルデコでの二人芝居を見て以来。いやぁ、あの時と全然違うじゃいないですか。そして今回のほうが好き。
小劇場って壁や床が真っ黒なところが多くて、視覚的に宇宙や夜空を連想させる作品と相性が良いのです。が、そういう作品は観念に偏りやすくて物語が見え辛くなりがち。視覚的によく見えても、意味が見えにくくなる。それからすると今回の作品はどちらもはっきり見せてくれたなという印象。「銀河鉄道の夜」と随分現代的な物語を混ぜたものだと思ったけれど、後者があるからこそ見失わずに地に足が着いていた。
あと、個人的に役者がちゃんと稽古してないと出来ない演目というのが大好物なのです。ダンスにしても椅子を使ったあれにしても。これだけやってくれると客席で今日のこの時間に対してのみ対価を払ったのではなく、この公演の企画が動き出して稽古をしていた時期も含んで払ったのだと思えるのです。

シネマ・ミュージカル

シネマ・ミュージカル

いちかわ市民ミュージカル

市川市文化会館(千葉県)

2010/09/04 (土) ~ 2010/09/05 (日)公演終了

出演者200人。
市民が集まって土着した物語を上演。開演前には市長からのご挨拶も。演劇を文化として地域交流が出来ている良い例。キャストとスタッフに対しては最大限の労いを。

ネタバレBOX

そう思う自分と、作品的には厳しいなぁと思う自分との板挟みでした。どうすればもっと良くなるのだろう。市民が創る事=外部者を入れない事、ではないはず。結束の中心が市民になればいいのであって、その為の手段として外部者を入れるのは必要だと思う。
この人数だから稽古は区切り区切りだったでしょう。そういう意味ではミュージカルだからパートが多くて区切りやすい。そして結局のところミュージカルで起きてしまいがちな「なんで歌ってるか意味が分かんない」になっていたのです。普段だって気分が乗ったら鼻歌を歌ったり、気持ちを押さえ込もうとゆっくり喋ったらメロディがついて何か歌ったみたいにはなるのです。なんで歌になったかの流れが分かれば成立する。けれど『ここは歌うパートだから』が優先で作られてしまうと残念な事に。いやー、人数的に稽古の時点でもう既に色々と難しいとは思うのですが。だからって観る側が「仕方ないよね」って目線で観ちゃう時点でもう見世物としては破綻してる。
大嫌いだったパートがあります。劇中劇で戦争孤児を演じる子ども達が『わたしだけー♪ぼくだけー♪生き残ってしまったー♪ごめんなさいー♪』って繰り返す歌。で、その後はそのまま劇中劇が終わってしまうのです。ケアがない。これを演じた子ども達は『戦争孤児は生きててごめんなさいって思ってる』って学習してしまった訳です。いやいや、絶対にそうだとは限らないんだよってちゃんと各家庭教えてあげましたか? あと、観に来た子ども達も。なんて一方的で暴力的な教育かと。
とろける魚

とろける魚

東京のくも

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了

くも、か。
なるほど。もやもやしている。
常に舞台上を支配しているあの感覚は何だったのだろう。悲壮感か? 出てくる人物にはろくな奴がいなくて、それを見下しながら観劇していたかもしれない。でも行動に矛盾を感じないから飽きはせず。共感した訳でも愛着が沸いた訳でもない。無害。
物語もあまりない。目の前で起きる人の遣り取りをただ観るだけ。説明不足の様でいて、各人物は背中が見えるというか表面よりもっと奥まった所まで引きずって出てきてる感じ。遣り取りもだらだらしてるのに妙に緊張感があるから見れちゃう。既存の団体を示すのはベターじゃないけど、POPな乞局というか。
同じ演目を2回観る気にはならない。でも新作だったらまた観たい。なんだろ。病み付きになる味じゃなくて、なんだかんだで久しぶりに合間にチョイスしたい。お茶漬けあたりか?

ネタバレBOX

観て『結局は何だったの?』って聞きたくなる人もいるだろうなぁ。自分の場合は『結局は何だったんだろう?』って考えてます。自問させたらあいつらの勝ちだな。
クララ症候群

クララ症候群

ブルーノプロデュース

タイニイアリス(東京都)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了

むしろオマケが気になって。
終演後にそんな事をやるくらいだから本編にもおかしな仕掛けが満載だろうと期待して。
潤色によってどの程度の切捨てがあったのか分からないけど、脚本はクララ症候群が出てくる時点でちょっと現実離れしてる。けど、主人公の環境に関しては社会が描かれていて現実的。それを舞台に乗せる為に取られた演出は抽象的でもあったし象徴的でもあったし、万人に通じるものではなかった。とはいえ個人的には嫌いじゃなかったです。デスロックをしばらく観られていないから迂闊に満足してしまった部分もあると思う。完璧な満足ではない。
気になったのは、役者への負担掛けが甘いという点。演技の部分と演技でない部分はもっと明確に温度差があって良かった。それこそ序盤は立ち続ける人々が「辛いフリ」になっていて。そこは演技しないで欲しかった。実際に体力を殺がれた上での生命の消費を見たかった。
そして、劇評を題材にしたリーディング。最初はそうでもないかと思ってたんだけど、中盤以降ではまっていきました。対人として最少人数である二人で人間関係を構築。嫌いだって言っても相手にしてくれる人がいるだけマシだよね、とか思ったり。タウンページとか料理本でもやるらしく、それも気になる。

ネタバレBOX

自立。自分で立つという事がクララ症候群との対比に。ラストは更にその先の「人と繋がる」という所まで到達。それによって可能性を感じる余韻で観劇後はそれなりに晴れやかな気持ちになったのだけど、自立って他の人に寄り掛からない事じゃないかなって気もして。あのラストが本当にフィットしていたのかは考えどころ。『誰かが誰かを好き』は「大声ダイヤモンド」に繋がってるけど、自立とは別な印象で。
宮殿モンスター

宮殿モンスター

新劇団松葉ステッキ

アミュゼ柏(千葉県)

2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了

応援はしたい。が、
自分が住む千葉県柏市近郊は演劇文化が衰退しています。その土地で精力的に活動する劇団なので頑張って欲しいのです。
そういう土地だからこそ「自分達なりの頑張り方」は危うくて。もっと外にも目を向けて自分達のやっている事の質を自覚して欲しいとも思うのです。ぶっちゃけ今は本気でやってない学生演劇以下。もうすぐ劇団の平均年齢がそれを超えるんだから、もう今のスタンスは今後許されないよ。オレも許さないから普通に悪口を言い始めてしまう気がする。
諸々はネタバレBOXにて。早くお薦め出来る様になってくれ。もうちょっとは待ってるから。

ネタバレBOX

あらすじの時点で何処かで見た様な感覚になるし、内容もそれっぽいシーンの寄せ集めな感じ。何より台詞が酷い。物語の設定と人物の性格を説明する為に言わせている様な言葉なので、ひたすら屁理屈を捏ねられている気がして全く共感出来ない。ので、観る側としても誰の行動に何の意味があるのかよく分からない。
それに何処まで気付いているのか、役者にも台詞が根付いていません。「それまで黙っていた人物が急に上っ面な内容を意気揚々と語りだして、それに違和感を持たず耳を傾ける周囲」なんて、現実に起きたら異常現象だよ?
過去の公演に比べてBGMを多用。が、演技との喰い合わせが良くない。せっかく音楽も自作なのだからもっと担当者と話し合うべきだし、要求した通りの楽曲が提供されないなら使わない方が良い。邪推すると、演出家の粘り負けだと思う。『仕方ないからこれでいいや』はまずやっちゃダメだし、最悪それを見過ごせるだけのアドバンテージを他で取ってればマシだけど取れてなかった。
団内の脚本家と演出家なのに結果的に作品で不具合が出ているのが残念。残念って言うか、どうにかしろよって思う。まずは戯曲と配役を見た上で更に何が出来るかを考慮するべきなんだけど、演出家が自分の出来る「見栄えとしての演出」を戯曲の中の入れられる部分に無理矢理入れていってるだけだった。要らない場転と間が劇中の30%くらいを占めていた。それがなくなるだけでも大分観られる物になるはず。今やっている演出は作品を詰まらなくする為の方向にだけ機能しちゃってるので。原点に立ち返ってまずは戯曲を役者に渡したらなるだけストレートに読ませて、それからそこに何が付随出来るかを考えた方がいい。
一つだけ褒める点があります。演目じゃなくて制作体制だけど。ブランケットの貸し出しをしたのは正解。先週も同じ場所で同劇団のユニット公演を観て、少し寒かったので。
UFOcm

UFOcm

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了

ぼーっと。
劇場で出し物を観ているというよりは、なんか友達のやけに広い部屋に住んでる奴んとこに集まって遊んでる感覚。しかも既に夜中の4時くらいですよ。気持ちも緩んでだるだるな状態で、たまに笑いが漏れるみたいな。気張ってもしょうがない。そんな感じ。
ザンヨウコさんはチャリT企画で観て以来だったかな。器用な方なんですね。台詞がかっちりなタイミングで聞こえてくるから、聞き終わる前にタイミングでなんかもう既に面白かった。あひるの常連である異儀田の突っ込みは相変わらず清々しい。初めてみた高橋さん。声がカワイイ。
ちょっと登場人物が多いかなーと思ったけど、別に物語を追い切れなくなったらなったで別に支障はないです。じゃあ何を追えばいいんだよって思った方、大丈夫。追わなくてもいいんだよ。置き去りにはされません。だらだらと続く駄弁を聞いてれば大丈夫。

ネタバレBOX

「ストライク!」と「遅れてやってきたルーキー BOOMER」がツボでした。
ダミーサークル

ダミーサークル

花まる学習会王子小劇場

王子小劇場(東京都)

2010/08/25 (水) ~ 2010/08/29 (日)公演終了

未熟、だからこそ。
今回の見所は出演者が中高生である事でも演出が中屋敷氏である事でもなく、「北区の若者が集まって北区の劇場で演劇作品を創作した」という点。是非とも北区在住の方、通勤通学されている方は足を運んで頂きたいです。対岸の火事ではなく、身近なボヤ騒ぎですよ。野次馬根性でいいから興味を持って。その結果で何を思うかはそれぞれでいいから。
正直ね、役者として見たらみんな力不足。立ち姿は汚いし、身ぶり手ぶりが気持ちと繋がってない。のに、何故か台詞の扱いと声の使い方はやけに達者だったり。何より彼らの年代があれをやる事の意義が大きい。
個人的に普段は舞台上で役者がどれだけ遺り取りを成立させているかを大事に演劇を観ますが、今回は真逆を観た印象。遣り取りが下手な思春期、そして人間関係が小難しくなった現代の縮図があった。人と人の繋がりは除け者も生む。 仲間意識は、仲間でない者を排除する。そして排除する為に生まれた仲間意識は真の意味での絆ではない。そんなダミーなサークル。

ネタバレBOX

中屋敷作品が役者の演じ方より見せ方に比重があるのはかねてから。それに拍車がかかったからここ最近どうも現代口語演劇に近くなった印象を得るのだと自己解析。
明らかにダミーな名付けのその上で、いつもの中屋敷作品は「あんなにいっぱい出てたのに全ての登場人物が思い出せる」というのがあるのに今回は逆に「そんなに多くなかったのに思い出せない人物がいる」。見事に劇中と同じく。集まっていた時には確かにいたはずの誰かを忘れてしまった感覚。
「フランダースの負け犬」、面白かったなー。中屋敷さんはそもそも劇構造がしっかりしてるから普通にああいうのを書いたって絶対面白い。でも自分以外にも書ける人がいる作品をあえて自分が書く必要がないと思って書かないだろうな。
48-41

48-41

限界突破男組

アミュゼ柏(千葉県)

2010/08/21 (土) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

脚本の出来は拙く、演技も上手いとは思えない。
しかし、がむしゃらなのがいい。余計な小細工を使わず潔く全力の姿には好感。
柏で活動する劇団松葉ステッキからのユニット公演。冒頭で世界の終末に偶然居合わせた6人の物語、中盤に配役をその場で決める演目、最後に向けて冒頭の登場人物それぞれが終末を迎えるまでを各役者が自身で脚本を書いた数分の一人芝居が並んだ内容。
企画としては勿体無い部分も。例えば中盤の演目でその場で配役を決めるくじ引きの際に『お?何これ?このくじ引くの?引けばいいの?』みたいな茶番が行われる。そしていざ演目が始まると台詞のつっかえもなくスムーズに進むので、配役シャッフルってネタで本当は決まってたんじゃないの?と思えてしまった。終演後に聞いたらシャッフルなのは事実だったらしいが、誰でも大丈夫な様に稽古に励んだそうだ。心意気は良いが、こういう企画に客が求めるのは「失敗するかもしれない危うさ」だと思う。絶対に落ちる気配のしない綱渡りなんて見てて途中で飽きてしまう。第二回公演があるのであれば今回の経験を糧にして欲しい。

ネタバレBOX

がむしゃらが発動出来た時点で、そもそもの本体の劇団より観る価値があった。
のるもの案内

のるもの案内

スミカ

MODeL T(東京都)

2010/08/21 (土) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

スミカにお邪魔。
ほとんどの出演者が過去にも黒澤氏の演出を受けた面子なので、観に行く前から座組の安定感に期待して観に行きました。それにきっちり応えてもらえた上で、公演としてのパッケージがとても良かった。演目が始まるまで、演目の合間、そして終わり方。終わった後に思い返した時の感覚さえも。
到着するとまず目に入るスミカ主宰の原田さんのとある姿。それによって始まる前から整った空気感。その効果は絶大でありながら、あれをやったら自分自身は動けなくなる訳で。その分を不安なく任せられる信頼関係あってこそ。彼女にとってのホーム。改めて「ああ、ここがスミカなのか」と。
「池袋から日暮里まで」。初演に比べて動いていた印象。役者の体の動きという意味でも、心の動きという意味でも。後者は決して大胆な動きではなく、些細ながらしかし一度動いてしまったらもう取り返しの付かない動き。カフェ公演で役者が間近なのでより届いて感じられました。
「真ん中から少し浮く」。菊池さんは「ソヴァージュばあさん」やギリギリエリンギでの短編数本でそれぞれ方向性の違う役柄を全てきっちりこなしていたので個人的に勝手に信頼度の高い役者。それだけで楽しめると思っていたら、予想外の角度から描かれていた作品が始まりました。黒澤氏の演出は人間をしっかり見せるとばかり思っていたけれど、在り方や動機がしっかりしていれば人間に見えて来るという逆説を示されたかの様。
全体的に。悲しくも寂しくもないのに何故か胸が苦しくなる感覚があった。それこそ後半はちょくちょく笑ってさえいたのに。あと、終わったらこのまま帰って静かに寝たいなと思ったり。自分のスミカに戻って誰かに『おかえり』と言って欲しかったのかもしれません。

ネタバレBOX

冒頭しばらく声のないまま進むからどうなるか集中して見守っていたら、結局最初に聞いたのは津留崎さんの可愛らしい吐息の様な漏れ声。隙間に忍び込まれたみたいで恥ずかしくなったり…。
静かな演目同士の繋ぎがちょっとした笑える遊び部分になっていたのも良かったですね。気持ちをリセットしたか上昇させたかは観る人によって違ったろうけど、結果的にはどちらでも効果があったろうし。
R 学 級 の 中 心

R 学 級 の 中 心

荒川チョモランマ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

あら、よかったじゃない。
まずは美麗な舞台美術。自分は客席の何処に座るとか普段そんなに気にしないんですが、今回はつい前のほうに座ってしまいました。そこで繰り広げられる、集団心理から汚らしく濁って行く人間模様。
早稲田学内で長田さんの作品を観た時には猥雑さを説明よりも勢いでぶっ飛ばしていく印象がありました。それに対して今回はかなり丁寧に作りこまれていました。その分、今回の肝となるあの場面がいい意味で際立つ。まるで歯車が欠けた様な不安感を煽ってくれた。
役者陣も上手くそれぞれの仕事をこなしていました。ネタバレしちゃうから控えるけど、出番が多くて台詞も多くて「でも多分この役は嫌われるな」という役があった。存在感がちゃんとしてたから。うーん、この言葉で伝わるかな。共感とは違うけど人として同属嫌悪しちゃう。生々しかったって事ですね。役者としては良い仕事してるんです。
ひとまず。学生芸術祭が気になる方の為にも、お薦めマークを付けておきます。

ネタバレBOX

踊りやその一歩手前くらいの見栄えする動きが随所に入った事で見易さも生まれている。もし物語に少し飽きを感じたとしても視覚で楽しませてそれを緩和出来る様になっていたと思います。正直、「なんで今いじめを取り上げるのか」という疑問は開演してしばらくは客席側でもちょっとは沸いているはず。見る目を奪えればそういう考えも薄れていくし、良いほうに働いたんじゃないかな。それだけに、身体的な緊張感はもうちょっと欲しいかも。ストップモーションの時に瞬きをしたり息を掃いて脱力すると気が抜けた様に見えちゃう。
集団を上手く描いていて相関図もしっかりしていました。ただ、個人ごとの動機や背景はもうちょっと欲しかったかも。登場人物が多いから全部書いたらボリュームがありすぎるんだけど、今の状態だと見終わってから思い出せない人物が数人いて勿体無い。
相対性:The Turn

相対性:The Turn

劇団総合藝術会議

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/08/17 (火) ~ 2010/08/24 (火)公演終了

いつもと違う事をやったらしい。
はっきり言って、それはプロデュース能力が低いと思う。なんで外の小屋で身内以外にも観てもらえる可能性があるのに得意の一手で勝負をしなかったのか。やりたい手法を色々と詰め込んでいて、それが全て「やりたい」より先には届いていなかった印象。
あんまり気持ちの良い事を言えてないので、以降はネタバレBOXへ。まぁ、面白くは無かったって事です。

ネタバレBOX

冒頭の演出家の独白ですぐに飽きてそのまま気持ちはひたすら下降。その役者もそうだけど、みんな演技に求心力がなかった。駆け出しの役者に魅力を求めるのは酷だけど、とりあえず全力でやってくれれば見守りたくはなるはずなんです。それがなかった。体力使え。気力で頑張って外見が格好つけて見えてもそりゃ格好悪いんだ。
残っている印象としては「わたなべ」って呼ばれてた子が可愛いとか、「言い訳Maybe」の頃のAKB48前田敦子みたいな髪型の子が可愛いとか、桃色の踊り子さんはちゃんと踊れてたとかです。あと、男子ペアの早口をやったほうの人は普段は多分もうちょっと上手い気がする。
普段と違う事をやったらしいこの作品を3演目の最後にするって、どうなのかなぁ。

このページのQRコードです。

拡大