byassistの観てきた!クチコミ一覧

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ダズリング=デビュタント

ダズリング=デビュタント

あやめ十八番

座・高円寺1(東京都)

2017/04/19 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/23 (日)

マチネで【西洋画版】(2時間25分、途中休憩10分)拝見。
3年前、フライヤーのデザインに惹かれて、下北沢で『江戸系 諏訪御寮』と出逢って以来、ワタシにとって、あやめ十八番さん8本目となる作品を、座・高円寺クラスの規模の小屋で観ることが出来るとは!…と初っ端から(勝手にですけど、笑)感慨深げな心持ちで臨ませてもらいました。

ネタバレBOX

従来の作品と比べて、「赤毛物」というか、(大きな会場に似つかわしい)新劇調に、より舵を切った語り口。とはいえ、ストーリーの底流をなすものは、紛れもなく、あやめ十八番の「魂」たる、情の世界でした。
でぇ、おはなし自体、後半登場の「娼婦(演・大森茉利子さん)」「憲兵」を除けば、いたってシンプルな人物造形も含めて、妙にこねくりまわすこともない直球勝負?! 場面・場面での、登場人物達が織りなす愛憎劇を、観客の誰しもが素直に堪能できただろうと思われます。

それから役者陣。今回は男優さんたちの熱演がひと際、目につきました。
主人公、というよりも狂言回し役に近い、「医師」役・島田大翼(だいすけ)さん。後半の主役?「憲兵」役・村上誠基さん。そして「侯爵」役の秋葉陽司さん…。終始、舞台をリードし、観客の関心をグイグイと惹きつける存在であったかと存じます。
(あくまでも個人の感想なんですが、汗)ミスキャストかな?と思われる方も見受けられましたが、総じて、レベルの高い演者の皆さんのおかげで、満足のいく時間を過ごすことが出来ました。感謝デス♪
大神家の一億

大神家の一億

劇団ハッピータイム

ブックカフェ二十世紀(東京都)

2017/04/22 (土) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/22 (土)

あまりにも安直な(笑)タイトルゆえ、過度な期待は抱かずにいたんですが…
ベタとはいえ、正統派ストロングスタイルの破茶滅茶コメディでした。

ネタバレBOX

『犬神家の一族』のパロディならぬ、『幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ』の有名なエピソードが随所に盛られたストーリーには、昭和生まれのオッサン、もうウルウルしっぱなし(笑)。さらには、1977年公開の『幸福の…』をピンと来ないであろう若い観客向けに、劇中、さりげなく、スケッチブックを用いての、作品世界の「オリエンテーション」?まで開催するとは!…なかなか巧みな脚本だと感心させられました。

面識のある、まついゆかさんの、衣装!のみならず「突き抜けた」演技も拝見させて頂き、チケット代のモトが取れたどころか、5割増しの満足感を得ることが出来ました。
素直に感謝いたしますネッ♪
罠

ジェットラグ

紀伊國屋ホール(東京都)

2016/01/08 (金) ~ 2016/01/11 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2016/01/08 (金)

本日(8日)初日の、お一方を除いて(苦笑)美男美女だらけの舞台、観て来ました。

ネタバレBOX

何度も何度も起こる、どんでん返しの後、呆気に取られるラストシーンに、なだれ込む1時間40分。
そのラストシーンは、劇中でも、それとなく匂わせてはいるんですが、会場である紀伊國屋ホールとご縁のある、とある有名な作品へのオマージュ。ひょっとすると、このラストシーンから逆算して、脚本書かれたんじゃないかなぁ?

シリアスドラマとしても、充分に成立しているストーリーに、ふんだんにまぶした笑いと唄のエッセンス。ある意味、お正月らしい、贅沢なエンターテインメントでしたとさ♪
私はスター

私はスター

ジェットラグ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2016/10/07 (金) ~ 2016/10/18 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/08 (土)

2年前の12月、客席数173席の赤坂レッドシアターで上演された本作品。再演の会場は、新宿・SPACE雑遊(客席数MAX100席)。初演の舞台も観ている身には、どんなんなるんやろう? と、いささか心配しながら観てみると…

ネタバレBOX

出演者の数が半減?! しかし上演時間は変わらずの1時間50分。
でもって、まだ公演中なんで、過度のネタバレを避けつつ印象を述べると、まずヒロインの「星笑子」。初演時の蓮水(はすみ)ゆうやさんは、「大スター」になりすましているときは、実に堂々とした・自信に満ちた態度で、おどおどしていた素の本人とのギャップを強調した演技(っていうか、そういう演出がなされていたのかな?)。これに対して、今回の真輝いづみさんは、「大スター」であるべきときも、時折、素の本人の自信の無さが顔をのぞかせます。どちらが正解…というものじゃないですけど、個人的には、真輝さんのアプローチの方が、より親近感を抱かせてもらいました。
それから、この作品における悪役的役柄、レビューショー反対派の「副社長」。初演は社長の息子という設定で、渡辺慎一郎さんが演じた「副社長」。今回は廣瀬響乃さん演ずる娘に性転換! でぇ、結果的には、これは正解だったと思われます。幼い頃からの夢だった「スター」になりたい! 今の何者でもない自分から抜け出したい! という「星笑子」や、レビューショーに参加する女性従業員たちの願いと、経営不振の遊園地を再興したい! そして…最愛の父(社長)に喜んでもらいたい! という娘としての願いとが、立場は違えど同じ女性同士ということで、息子の設定より、よりシンクロ度の高い空気が舞台上に生まれたように感じました。

この『私はスター』、個人的希望なのですが、数年置きに上演して欲しいなあ。スタンダードな作品に、是非、育て上げて頂ければと存じます。
私はスター

私はスター

ジェットラグ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/12/05 (金) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2014/12/07 (日)

江古田のガールズ。「ウェルメイド(=上質の)的な物語」「ジャズのような会話劇」が特徴らしいんですが、これまで観る機会がなくてぇ…。
今回、主催公演ではないんですけど、作・演出と所属役者で絡んでいる舞台があると知り、赤坂まで行って来ました。

ネタバレBOX

ジェットラグさんプロデュース公演『私はスター』(1時間50分)。
NHK朝ドラの『あまちゃん』と、ミュージカル『コーラスライン』と、映画『フラガール』とを足して割って、赤坂・しろたえ(☜有名な老舗洋菓子店)の上品なレアチーズケーキ添えたような作品です(笑)。

ヒロイン「星笑子」、立ち姿、凛としています。歌もダンスも実に堂々と! それもそのはず。この7月まで宝塚の男役だった、蓮水(はすみ)ゆうやさんが演じているのですから。
地の芝居の部分では、ベテラン・若手の役者さんが達者な演技で、外部初出演・初主演の蓮水さんを盛り立てて、歌やダンスのシーンでは、今度は蓮水さんが出演者を引っ張る形で、(予算の無い遊園地ゆえに)新聞紙と段ボールとブルーシートで出来た衣装を身にまとって、ミュージカルのスタンダードメドレーによるレビューショーを華やかに披露していきます(ちなみに、蓮水さんの宝塚同期の方がお二人、文字通り「友情出演」されています)。
互いに助け合い・支え合って、皆がスターとなって輝いていく…メインキャストのみならず、アンサンブルの皆さんも印象的だった今回の舞台、ものがたりと現実とが、まるでシンクロしているよう!

ところで、なんで「仙台」近郊の遊園地、という設定なんだろう? と、観劇中、不思議に感じていました。
ラストのレビューショーの場面、『コーラスライン』の『One(Reprise)』のところで漸く、作者の意図に気づきました。上述の「シンクロ」、ものがたりの登場人物たち・演じている出演者たちだけでなく、東日本大震災の被災者の皆さんにも、互いに助け合い・支え合って、皆がスターとなって再び輝いていって欲しい、というエールではないか、と。
勝手な思い込みかもしれませんが、そう感じた瞬間、お恥ずかしい限りですが、目頭が熱くなるのを禁じ得ませんでいた。
治天ノ君【次回公演は来年5月!】

治天ノ君【次回公演は来年5月!】

劇団チョコレートケーキ

シアタートラム(東京都)

2016/10/27 (木) ~ 2016/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/30 (日)

3年前の初演時、各方面から絶賛された作品ですが、自分にとっては、今回の再演舞台がお初! 昭和世代のオイラ、特段の予習もすることなく、明治・大正・昭和の3代の天皇に関する、既知の「常識」のみをもって、拝見させてもらいました。

ネタバレBOX

でもって、もちろん「舞台作品」ですので、「虚実ないまぜ」なのは承知の上で、本作で描かれた「大正天皇」について、なんですけど…。

厳格な父親(明治天皇)の下、周囲の過大な期待(と干渉)に押しつぶされそうになりながらも、国民に、そして妻子に対しても、恐れ奉られる「現人神(あらひとがみ)」ではなく、親しみをもって接する「人間」たらんと欲した方。

生来の病弱な体質故に、晩年、重篤な心身の病に侵されながらも、「天皇」であることの重責を果たさんと体力・気力の限りを尽くされた方。

大正天皇の理想と苦悩の半生を、皇后や長男である皇太子(後の昭和天皇)、大臣や側近たちの目を通して描いた2時間20分。心が震えました。中盤以降は客席の暗がりをいいことに、目から涙の流れるままになりました。同じ一人の人間として…。

おはなしが進むにつれて、西尾友樹さん、松本紀保さん、といった演じ手の影が消え、舞台に立っているのは、まさしく大正天皇やその皇后その人に思われました。
「迫真の演技」の「迫真」さえ超えた瞬間…この歳になって初めて実感した舞台体験となりました。

唯一、不満な点。三軒茶屋・シアタートラムの舞台はちと広過ぎたかな?
やはり、初演時の下北沢・駅前劇場のような、濃密な空間の方が相応しい「密室劇」だと感じましたので。
メッキの星

メッキの星

浮世企画

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/04/13 (木) ~ 2017/04/18 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/17 (月)

昨日のお昼、ジェットラグさん『昼下がりの非情事』を観に、SPACE梟門に足を運んだ際、地階のSPACE雑遊で公演中の、この芝居を知り、殆ど衝動的に予約を入れてしまいました。

ネタバレBOX

「佐藤美子」を演ずるのは、鈴木アメリさん。確か、王子小劇場で拝見して以来、3年ぶりの、舞台での「再会」となります。
でぇ、今回も、その身を虚飾でしか飾ることのできない面倒な女の、浅はかさ・可愛げ・愛おしくなるほどの脆さ…2時間弱の舞台を通して、見事に演じ切ってくれました。

他の登場人物たち。美子の姉に、職場の同僚から街のヤクザに至るまで、程度の差こそあれ、「クズの見本市」! そんな連中の、うわべだけ取り繕ったさまも、共演の役者さんたちが実に巧みに披露してくれました。

18日(火)までの公演なので、これ以上のネタバレは避けますが、予想をはるかに上回る、充実した時間を過ごすことが出来ました。
観劇後、いつまでも、自分の人生の何処かで味わされた類の、ほろ苦さが尾を引く作品でした。
昼下りの非情事

昼下りの非情事

ジェットラグ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/04/14 (金) ~ 2017/04/25 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/16 (日)

昨日は小・中学生も来ていて「キャッキャ笑って」おられたとのこと。
ですが、今日のマチネは「中高年齢層のお客さん、多いなあ」という感じの客席でした。
でぇ、まず、感想を述べると、ノンストップ2時間25分の上演時間もさほど気にならない、キャスト全員のしっかりした演技力に裏打ちされた、腰の据わったドタバタ・コメディー。
とりわけ、エースで四番の大奮闘!…主演の赤坂役・田中嘉治郎さんの印象が強烈でした。

ネタバレBOX

あと、個人的には、終盤での、赤坂の彼女役・廣瀬響乃さんの怒鳴り散らすシーン、流石に上手いな、と思いながら拝見させてもらいました(下手な役者さんがやると、観るに堪えないことが多かったもんで、余計に、廣瀬さんの演技力に感心させられたのかもしれません)。

作・演は中津留章仁さん。賛否両論渦巻く、ここ最近のTRASHMASTERSの舞台よりも、今回の方が素直に面白かったかなぁ(苦笑)
ただ、ラストで、主人公を除く、主要な登場人物たちが集まって、今回のハプニングの連続、実は仕組まれたことだと、観客に提示する場面なんですけど、アレ、要りますか?
主人公が覚せい剤をキッチンに流してしまうのも計画のうち? そもそも、父子対面させるのが計画なの?…申し訳ありませんが、そこの辺り、ワタシには理解できませんでした。この最後のオチのシーン、失礼ですけど、無くても充分に、おはなしは成立するかと存じますが…。
楽屋 〜流れ去るものはすべてなつかしき〜

楽屋 〜流れ去るものはすべてなつかしき〜

劇 えうれか

spaceEDGE (東京都)

2017/03/18 (土) ~ 2017/03/20 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/03/19 (日)

おや? 芝居観たときには見つからなかったのに、今はCoRichに載っている…ということで、気づいたら即、感想文♪

ネタバレBOX

女優A:のねもとのりかさん、女優B:土井真波さん、女優C:円谷(まるや)奈々子さん、女優D:舘田悠悠(ゆうゆ)さん、の布陣による、今回の『楽屋』。
女優Aの火傷、女優Bの包帯は、この戯曲の、いわば「お約束」なんですが、今回はお二人とも…特に、コミカルな役回りの女優Aでさえ、大仰にならず、努めて抑えた、いでたち・容姿。
バイオリンの生演奏による劇伴、美容サロンに置いてあるような化粧台等の調度品。
今まで何度も拝見してきた『楽屋』ですが、舞台の隅々に、これほどまでにフェミニンな感性、行き渡った『楽屋』は初めてです。
良い時間(80分)を過ごすことが出来ました。
THE VOICE

THE VOICE

チーズtheater

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/13 (木)

事前知識ゼロで、初日の舞台、観て来ました。
入場時に貰ったリーフを見ても、詳細不明…全くの白紙で舞台に臨む羽目に!

ネタバレBOX

という訳で、東日本大震災の津波による犠牲者を描いた群像劇、という本作品のテーマ、観劇の後半に差し掛かった頃に、ようやく気がつきました(汗)。
おかげで、開演前の出演者たちによるパフォーマンスの意味(海底に眠る…いや、永眠しきれずにいる犠牲者たちの霊)や、前半、長々と続いた平穏な日常生活のスケッチの意味合い(津波に襲われる後半部の理不尽さを際立たせるための布石)も、その時点で腑に落ちました。

さて、作品のヤマである後半部。吹奏楽部の仲良し女子高生5人組が、一人・また一人と波に呑まれていく級友たちを「見送っていく」シーン、本作の登場人物全般に適用されている、散文詩調のモノローグなセリフが、後日、故人の日記に目を通しているような錯覚に陥らせます。思わず涙腺に来ました。
ただ…ただなんですが、女子高生、トッポい消防団員、妊婦、工場勤務の恋人たち…と、犠牲者の描写が続くにつれ、(不謹慎のそしりを恐れずに言うと)これでもか!これでもか!という「悲劇」の波状攻撃に慣れてしまいます。終演時には、涙腺も感情もすっかり乾いてしまいました。

まあ、個人的嗜好なのかもしれませんが、最初の女子高校生たちをメインに悲劇の描写はとどめておいた方が良かったのでは?
大勢の犠牲者を描き過ぎて、個々への印象が散漫になったなぁ…観劇後に真っ先に抱いた感想でした。

最後に役者陣について。
皆さんの全身全霊の演技に何の文句が言えましょう! イチ観客として、唯々、首を垂れるのみです。
KUDAN

KUDAN

TOKYOハンバーグ

座・高円寺1(東京都)

2017/04/12 (水) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/04/12 (水)

先に結論から申しますが、初日故の緊張、まだ生乾き?な部分を勘案しても、恐らく、今年随一の観劇体験になるのでは、と思いました。

ネタバレBOX

件(くだん)であるクラープの誕生シーン、処分される寸前で牛たちが牧場から解き放たれるシーン、そして生活の場である森の伐採で牛たちが追い詰められる最後のシーン…歳がバレそうですが(苦笑)、真っ先に『ジャングル大帝レオ』での光景が目に浮かびました。
ただし『レオ』のテーマが「人類の文明に追われる動物たち」だったのに対して、本作では、人類の文明の脅威(原発事故)にさらされるのが、動物(飼育牛や被災者に捨てられたペットたち)だけでなく、人間自身にまで及びます。それまで営々と営んできた平穏な暮らしを或る日突然奪われる、その何と理不尽なことよ!
私が作品から受け留めた最初のメッセージです。

原発事故は、動物たちにも・人間にも、多くの「死」をもたらします。さらには、事故後に授かった生命にさえ、暗い影を落とします。動物側ではクラープ、人間の側では三日月の生んだ子。(あえて言葉を選びませんが)「奇形児」であり、さらには三日月の子は生まれてすぐに亡くなっています。しかし、たとえ「奇形児」であろうと・「死者」となろうとも、この世に生まれて来た命を・生きていた証を、尊重し・忘れずにいる心持ち。
生命の尊さ…私が作品から感じ取った、もう一つのメッセージです。

と、まあ、感想はこのくらいにして…。

作劇的な面に関しては、福島原発事故で被ばくした牛たちの飼育を続ける「希望の牧場・ふくしま」にインスパイアされた題材を、「件(くだん)の牛」の伝承を基にした現代の寓話に作り上げた、その着眼点の非凡さに何よりも感心させられました。

役者陣。ヒロイン・クラープ役の山本由奈さんを初め…いえいえ、敢えて個人名を挙げるのは止しましょう。舞台の上に立った座組みの皆さん全員の総合力に、唯々胸を打たれました。

最後に(また演劇とは離れてしまいますが、汗)。
劇中の、三日月が死産した子の症状に関して、「風評被害」の観点から、批判的な意見も寄せられるだろうな、と観ていて感じました。
「希望の牧場・ふくしま」で育てられている牛たちにしろ、原発事故との因果関係のある・疑われる症例にしろ、合理的根拠が認められる限り、「時代の証人」に目を背けてはならない…ワタシが勝手に解釈した、作品からの最後のメッセージかもしれません。
新入社員のイジメ方

新入社員のイジメ方

劇団カンタービレ

ウッディシアター中目黒(東京都)

2017/04/06 (木) ~ 2017/04/10 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/09 (日)

お初の団体さんでしたが、面識のある丸山小百合さんに、以前に他の舞台で拝見したことのある前田優さん、たなかともこさんと、お三方も名前と顔が一致する役者さんが出てらっしゃったので、どっしりと腰をすえて?観させてもらいました。

ネタバレBOX

まず、劇中の何か所かに「同世代」を感じさせる描写、人物造形があったので、後で確認させて頂いたところ、作・演、ワタシよりも若干お若い方のよう。ということもあってか、劇中の出来事もいちいち腑に落ちながら拝見させてもらいました(とはいえ、若い観客にも、恐らく、違和感は感じさせない内容だろうと思います)。

最初はほのぼのとしていた「現実パート」が次第に苛烈を極めていくなか、飛び道具的な「亡霊パート」のユーモアが緩衝材となって、話の展開がトンデモナイ方向に脱線?しつつも、いい塩梅に進んでいきます。
でぇ、張られた伏線から、気の毒な新人さん達が最後に「救済」されるのは予想通りでしたが、しごき役の「倉持」、改心して終わるのかなぁ?と期待していたところ…大外れでした(爆)。
劇中、人事課の若手社員「仲原」の「会社の言うことは絶対だから」的セリフや、新人をしごいている最中の「倉持」の言動の端々に、「山伍商事」という企業の「悪しき伝統」「企業文化」を匂わせている…と解釈していたものですから、そんな伝統・文化に染まり切っていた「倉持」が無垢な新人達との交流の末、気持ちを改める…という結末を予想していたものの、フィニッシュは必殺シリーズばりの勧善懲悪!
「倉持」の常軌を逸した過激ぶりの背景が、彼女のパーソナリティに帰されてしまったこととも合わせて、少々、残念に思われました。

まっ、それはあくまでも私の個人的嗜好なんで置いといて…1時間45分、終始、観客の関心を逃さずにいた、作・演の方、大したストーリーテラーだと思います。
この団体さんの次回作も要注意ですね♪

最後に役者陣。
敵役「倉持」をイキイキと演じられた下村まりさん、ご本人の朗らかなお人柄と役柄が重なって見えた丸山小百合さんが、とりわけ印象に残りました。
国語の時間

国語の時間

風琴工房

座・高円寺1(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/02/28 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2013/02/25 (月)

戦慄の低視聴率を記録しながらも、(こちとらも含めた)ごく少数のファンに熱烈支持された、大河ドラマ『平清盛』ご出演の加藤虎ノ介さん。
映画『パッチギ! LOVE&PEACE』よりも、個人的にはNHK朝ドラで馴染み深い、中村ゆりさん。
このお二人が主演なされた3時間弱の大作『国語の時間』。日本の統治下にあった戦前のソウル。本来、異国の言語である日本語を「国語」として教えることとなった、当地の教師達を中心としたドラマ…歴史的知識としては承知していた事柄を、(芝居とはいえ)耳目で体感したことは、実に有意義なことでした。脚本家の思いのこもった熱い舞台、観せて頂いたこと、詩森ろばさんに心から感謝いたします。

でぇ、最後に余計な妄想をばっ!
終戦後、もし私たちの「国語」が英語にされたら、私たちは一体…案外、サラッと日本語、捨てちゃったのかなぁ?

場違いの一日前

場違いの一日前

電動夏子安置システム

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/03/29 (水) ~ 2017/04/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/02 (日)

快晴の日曜日のお昼、大楽の舞台、観て来ました。

ネタバレBOX

まずは個人的要望。
舞台手前のセットが「一日前」、奥が「当日」という時間設定。おはなしが進んで「江崎」「尾久」「狭川」の、2日間の行き来が頻繁になるにつれて…スイマセン、私だけかもしれませんが(大汗)、今、どっちの時間設定での出来事なのか、一瞬、戸惑ってしまうことが時折ありました。日付を言うセリフで、観客に時間設定を確認させるだけでなく、たとえば、日めくりカレンダーや、日付の書かれたホワイトボードなど、舞台の途中からでいいので、常時、提示してもらったら、状況把握の助けになったかと存じます。

とか何とか、いきなり文句から始めましたけど、今回は、前作『Show Cage』よりも理屈や背景がわかりやすく、『ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち』と同様、すんなりとストーリーに入り込むことが出来ました。
ふとしたきっかけで、「一日前」との行き来ができるようになった「当日」の研究者たちが、「当日」に起こった大小様々な悲劇のきっかけを消そうとして、周囲を巻き込んでの大騒動を引き起こす理系?コメディ。先月、拝見したアガリスクエンターテイメントさんの『時をかける 稽古場2.0』もそうだったんですが、「タイムトリップ」という使い古したフレームでも、ユニークな着眼点からアプローチすれば、斬新な作品が生まれるんだということ、再確認させてもらいました。掛け値無しに、大爆笑の2時間でした。

役者陣。
劇団員の方達はもちろんのこと、劇団員と見まがうばかりに座組みに馴染んだ小川麻琴さん、客演の役者さん達と、皆さん、演技が手堅い・手堅い!
シリアスものよりも演技の巧拙が作品の出来を左右する(と私は思っている)コメディにおいて、穴の無い(or 目立たない)キャストは、安心して観ていられました。
それにしても、道井良樹さんのキャラクター性と、岩田裕耳さんの舞台映えする声質は凄いですね。他ではめったにお目にかかれない、劇団の宝かもしれません。
「凹⇔凸」

「凹⇔凸」

teamキーチェーン

遊空間がざびぃ(東京都)

2017/03/30 (木) ~ 2017/04/03 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/03/30 (木)

「(不二家)ミルキーはママの味~♪」と同じくらい、私にとっては常識だった「がざびぃじゃ靴を脱ぐ~♪」の西荻・遊空間がざびぃで、自分の経験だと初めて、土足でそのまま会場に入れた公演、観て来ました。

ネタバレBOX

2chの「会話」を追った『WWW』、現実の喫茶店を舞台にした『あれから、此れから』の2つのエピソードが交互に演じられ、共通する登場人物である女子高生が主人公の90分モノ。

まず、感じたのは、今時の女子高生が2chやるかなぁ?という違和感。自分の現状認識に誤りがなければ、今の高校生たちがやってるのは、LINEにTwitter、Instagramのあたりで、Facebookはやるとしてもおませさんから、2chとなると、どちらかというとヒト世代かフタ世代前の高校生の間で流行ったSNSじゃないかなぁ~っと…まっ、これは、作品への評価とはあまり関係ありませんので飛ばします。

昨年末の『償い』を観ていないので、断言はできませんが、キーチェーンさんの作品って、本公演だと、良い意味でも・悪い意味でも、肩にチカラが入り過ぎ、という印象があります。逆に、今回のような短編モノになると、程良い程度に肩からチカラが抜けた分…ゆったりした気分で拝見できるかと。
今回も、田中友梨奈さん演ずる等身大な女子高生と、山梨谷梨さん演ずる父親との、ぎこちない関係→和解のくだり、観劇おじさんの心が温まること・温まること!
手ごろな価格と上演時間のコンテンツとして、充分に愉しめた作品でした。
わたしの、領分

わたしの、領分

松澤くれはプロデュース

小劇場 楽園(東京都)

2017/03/28 (火) ~ 2017/04/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/28 (火)

以前から気になっていた舞台、初日である28日の晩に観て来ました。

ネタバレBOX

臨床心理士・萩野と、謎の少女「はるか」…このダブルヒロインが主人公の『わたしの、領分』なんですが、以前に入・退院と手術を繰り返したことのある自分の関心は「患者」…もとい!この場合は「メンタル面で事情を抱えた子供」を持つ親たちに専ら行ってしまいがち。
完治する可能性もある怪我や病気と違って、この作品に出て来る子供たちの「事情」は、生涯、付き合っていかねばならない性質のもの。そのため、萩野をはじめとする臨床心理士の役割も、子供が周囲との折り合いを今より円滑に行えるよう、保護者共々、じっくり時間をかけて導いていく…風に素人の目には映ります。

ですが、萩野のもとを訪れる
シングルマザーのうえに、同じ「事情」を抱える可能性のある命を宿している、Aくんの母親も
子供の将来を考えて、小学校の普通学級に行かせたいのに、周囲の関係者からは特殊学級への進学を説得されている、Bくんの両親も
(Aくんの)状況が改善する、見込みだけでも見出したい!
特殊学級でなく、普通学級に(Bくんを)行かせた方がいい、と言ってもらいたい!
という「答え」を、専門家とはいえ自分たちより年の若い、親としての経験もなさそうな、萩野に求めています。

Aくんの母親が(萩野の立場では無責任に口に出せない)「治る!」「今より改善する!」を断言する、怪しげな、民間療法の主宰者にすがったのも
それまで荻野との面談では寡黙だったBくんの父親の方が「うちの子を障害者扱いする気か!」と突然、怒鳴ってしまったのも
今日・明日にでも「答え」が聞きたい!との切実な思い…この「切羽詰まった」感、当事者の立場に置かれた者じゃなければ、絶対にわからないだろうな、と数年前の自分に置き換えて拝見させてもらいました。

役者陣。
開演前から演技に入っていて、上演中、ほぼ出ずっぱりで、ただならぬ「漂流感」を表現し続けていた、謎の少女「はるか」役・岡村いずみさん
内面の葛藤を抱えつつも、「現実」から逃げずに立ち続けた、臨床心理士・萩野役の善知鳥(うとう)いおさん
いつもは割と脇役の役者さんに目が行きがちな偏屈者なんですが(苦笑)、今回は素直に、ヒロインお二方の熱演に頭(こうべ)が下がる思いでした。

…とここまで褒めておいて何故★★★★★じゃないの?なんですけど(汗)
ヒロイン・萩野、子供たちと同じ「事情」を抱えたヒトなもんで、おはなしの訴求力は一層強まっているのですが、反面、(あえて失礼な言い回しをしますが)私たち「普通のヒト」ではないために、「だから、普通のヒトよりも熱心に取り組んでいるんだ」とも捉えかねず、おはなしの説得力がやや弱まったように感じられたからです。
ヒロインの「事情」を取り除いてしまうと本作品が成立しなくなるんで、無茶なのは承知なんですが、「大学で学んだとはいえ、それまで何の実感もなかった」平凡なヒロインの目で見た『あなたの、領分』も是非観たいなと…余計なことを言ってスイマセンでした(大汗)!

狂犬百景(2016)

狂犬百景(2016)

MU

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2016/10/01 (土) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2016/10/02 (日)

近くにある太宰治&森鴎外のお墓詣りも兼ねて、星のホールに足を伸ばしてみました。

ネタバレBOX

4話オムニバスの本作、主演の黒岩三佳さん、青木友哉さんを初め、総勢22名もの役者さんたちを、実に贅沢に使っています。そして、どなたも変に肩肘張らず、抑制の効いた好演でした。
とりわけ、製菓会社のオフィスを舞台にした第2話にご出演の、詩森ろば作品の常連・佐野功さん、ワタシには初見の古市みみさんに、第3話・第4話で同一人物として出られた、古屋敷悠さん、のお三方の演ずる人物像、大変印象深いものがありました。

舞台美術も、4話共通の背景に、各話ごとに入れ替わるセット。特に第1話のコンビニ店内のセットが、作品のシュールなテイストを、より一層、引き立たせていたように映りました。

脚本も実に巧みです。上述の通り、22名もの役者さんたちの役柄を明確に描き分け、さらには、第1~3話の登場人物の中から何名かを第4話にも再登板させることで、作品全体にスケールというか、奥行きが出たように思われました。

にも拘らずなんですけど、実は最後まで作品世界に没入することが出来ませんでした。あくまでも個人的な受け止めなんですが、どの役柄も「生身の人間」というよりも、狂言回しや・伏線張りや・話を盛るための「駒」にしか感じられなかったんです。『狂犬百景』と題された将棋の棋譜をなぞっている…ゴメンナサイ! 舞台上の役者さんたちにオーバーラップした、盤上を眺める脚本家のイメージが脳裏に浮かんで離れない2時間10分でした、とさ。
夢見る乙女じゃいられない

夢見る乙女じゃいられない

たすいち

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2017/03/23 (木) ~ 2017/03/28 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/26 (日)

以前、アフリカ座・山元彩さんの『ゆた』を拝見した際にも感じたことですが、作家さんの習作的な初期作品って、おはなしとしては精巧さよりも生硬さが目立つものの、内在する熱量が半端なく、勝手に観ている者の魂が揺さぶられるもののようです。
今宵の『夢見る乙女じゃいられない』(2時間弱)。
観せ方とか技術的なものを抜きにすれば、公演が重なった、高校生劇団・冗談だからね。さん以上に、高校生が考えたようなピュアな作品ですが、たすいちさんの芝居観て、こんなに余韻が尾を引いたのは『キヅツクキカイ』以来かな?
あいにくの天気でしたが、足を運んだ甲斐がありました。感謝します!

青春の延長戦

青春の延長戦

冗談だからね。

王子小劇場(東京都)

2017/03/22 (水) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/03/25 (土)

「平均年齢19歳の高校生劇団」・・・えっ!まさか留・・・はさておき(笑)、おカネを取って公演する以上は、高校生とか社会人とかプロとか関係ないと思っているんで、年齢はあんまし気にせずに拝見しました。

ネタバレBOX

「1998年・秋」「2008年・冬」「2018年・夏」…それぞれの設定で、それぞれの登場人物たちが、それぞれの立場(目的)で、蛇行しながら・躓きながら・休み休みしながら、演劇というモノに関わっていく、おはなしです。
3つのエピソードは互いにリンクしない、独立したストーリー。それが、まるでテレビのチャンネルのザッピングのように、次々にシーンを替えて、アクティングエリアで演じられていきます。おかげで、私事で恐縮ですが、体調ヘロヘロだったにも関わらず、最後まで集中力が途切れることなく観ることができました。観客の関心を掴むグリップの強い団体さんだなぁ!とまずは感心しました。
ただし、反面、各エピソードのランダムな展開に、観客は恐らく収拾がつかないまま、最後の大団円(集団縄跳び選手権!)にチカラ技でなだれ込まされたんじゃないかなぁ?と思って、「観てきた!」を覗いてみたら案の定(苦笑)。

伏線が回収されないままだったり、説明不足なストーリーだったり、キラリと輝くシーンがあっても、すぐに場転があって後に続かない…観終わった後の消化不良感も半端なく残っています。ですが満足度は★★(☜カネ返せ!)ではなく、★★★(☜チケット代の元は取ったかな?)。
なんだかんだ言っても、こじんまりとまとまるんじゃない、規律の無い熱気にあてられたようです。
本音は、意味不明なれど素直に面白かった…と白状しときましょう。
時をかける稽古場2.0

時をかける稽古場2.0

Aga-risk Entertainment

駅前劇場(東京都)

2017/03/22 (水) ~ 2017/03/28 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/23 (木)

2014年に観た舞台の中で、私自身にとっての確かナンバーワンだった作品。
再演ではなく、リブートと聞いて、期待半分・不安半分で駅前劇場に足を運びました。

ネタバレBOX

個人的には『毒婦二景』以来の舞台となるハマカワフミエさん、そして矢吹ジャンプさん以外は、2014初演と同じキャスト(かなぁ?)。お馴染みの、暗転・暗転・また暗転の中、大まかなストーリーも・笑いどころの記憶も、瞬時に蘇り、2時間10分、懐かしさ半分・クスクス笑い半分で過ごさせてもらいました。
でぇ、「時かけ」経験者だけに、不意を突かれ、腹を抱えて大爆笑!とまではいきませんでしたが、リブート版、登場人物による、観客の情感に訴求するセリフが、初演時に比べて、より胸に迫ってきたように感じました。

観劇後、今回もまた、チケット代以上の満足感に浸ることが出来ました。初演時に買ったTシャツの長持ち具合に味を占めて、お礼代わりに、またもオリジナルTシャツを!
5年後?の再リブート作品を観に行く際には是非コレを着て、伺いたいと存じます。

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