まことの観てきた!クチコミ一覧

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泳ぐ機関車

泳ぐ機関車

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/12/05 (土) ~ 2015/12/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

本当に愛おしい時間
3部作すべて愉しみました!

テーマは?とかメッセージは?とかそんな事は関係なく
2時間目一杯楽しい空間に浸れる。
それが素晴らしい体験として実感できる。
そんな作品たちでした。

「生きる」事を丁寧に語り掛けてくれる、そんな本当に”愛おしい”作品たちです。

作・演出家、出演者の皆さん、ありがとうございました。

ネタバレBOX

「泳ぐ機関車」でははじめを「おばけの太陽」のヒロインが演じるというキャスティングで、それまでのはじめ役は”神様”に。
これには意表を衝かれました。が、個人的にはひとりで通してほしかったです。
勿論「おばけの太陽」のはじめは今回父親でしたが…。
キャラクターが元気いっぱいの子なのか弱々しい子なのか一定しないのには違和感を覚えます。
ずっと書いていますが、大人になっての性格と結びつかないのです。

単なる連作で後日談の連鎖ではないと云われるのかも知れませんが、3部作一挙上演では、やはり一本筋を通してほしかったです。

同じように、姉ふたりもどこかで他2作の人々に登場して欲しかったです。
母親役でも…。

この辺を期待しつつもう一度3作続けて観たいなと思います。
ヴァギナ・デンタータ

ヴァギナ・デンタータ

芸術集団れんこんきすた

ART THEATER かもめ座(東京都)

2015/12/03 (木) ~ 2015/12/06 (日)公演終了

満足度★★

想いをさらけだす
素の自分を受け入れさらけ出す
そんな事なのでしょうか?

女性同士が解るって話なのだろうか…??

あまりピンとこなかった…残念ながら。

あそこに歯があるというのは何を象徴しているのかいまいち理解できなかった。

皆様方メークが相当濃いのもなにかの事情があってのことだろうか???

展開速度は性質上かなり遅いです。

ネタバレBOX

販売員の方の歯がとても気になりました。

俳優なら治療すべきだと思いました。
余計なお世話でしょうけど。
旦那様は”釣り”にお出かけ

旦那様は”釣り”にお出かけ

The Gazpacho Theater

シアターKASSAI(東京都)

2015/12/02 (水) ~ 2015/12/08 (火)公演終了

満足度

ため息
酷い出来だと思いました。
本、演出、出演者…辛いです。
サークル活動かな???

レイ・クーニーまでとはいかなくても、あの線を狙うのなら、全てが達者でなくては不可能です。
申し訳ありませんが、出演者があのレベルでは無理だと思います。奥様役だけがかろうじて頑張ってくださいと言えるレベルで、後の方々は、コンビニの店先にたむろしているレベルでしょうか(きつい表現でごめんなさい)

ファルスは筋としてはきっちりと成立していないといけないものです。ごくごく低いレベルで辻褄が合わなくなっているのが簡単に解るこの本はいけません。

ま、笑っている方々もいらっしゃいましたから、意見が分かれるところかもしれませんが…。

バグダッドの兵士たち

バグダッドの兵士たち

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2015/11/18 (水) ~ 2015/11/22 (日)公演終了

満足度★★★

サバイブ
アフタートークで作者もおっしゃっていましたが
<生き残る>という本能と理性の内的な戦いが描かれていた。

只々<生き残る>という強靭な意志を持ったものの狂気を超える本能の行動。これこそが極限状態に置かれた人間の姿そのものなのだろう。
”善””悪”ではない最も基本的な欲望が人間を覆い、その事の実現の為に行動する。殺人も辞さない状態に陥ってしまうという描写に頷くしかない。

観終わった後、この作品がとても散文的に感じられたのは気のせいだろうか?
劇的なフィクションの要素をはぎ取った記述が意図的になされたのだろうか?
その意味では、俗に云う「演劇的な云々」には当てはまらない作品だと思う。

逆の立場から見た(イラク側から)B面のような作品も観てみたい。
同じような物になるのだろうが、蹂躙された側のサバイバルはまた違った狂気を描き出すのではないだろうか?

散文のようなこの作品が良い作品なのかそうではないのか判断はできない。

決して涙や感動などという意図的な演劇空間は求められない作品だ。

個人的には、演劇である以上、もっと意訳した作劇もできたのだろうにとは思う。

ネタバレBOX

アフタートークが開催されたが、その間、ロビーの喧騒が非常に気になった。

出演者とお客(友人・知人)の興奮した声・声・声

しかし、作家が登壇しているというのに、この騒ぎ方はなんなのだろう???

出演者たちには、作品を演じたという自分たちの使命が解ってないのではないか?
演じた自分を誇示したいだけで、作家のことは二の次で、トークを聴こうとしている客に気も遣えない。
好きな集団だけに、余計に幻滅を感じた。

作品に真摯に向き合えていないのでは?と疑問を抱かせる騒音だったのがとても我慢の限界を超えていた。
客席の最後列で聴き入る位の情熱が欲しい。
Only Lonely Rose

Only Lonely Rose

My little Shine

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/11/18 (水) ~ 2015/11/23 (月)公演終了

満足度

厳しいですが
一番タチの良くない種類の本でした。

深淵な何かを表現していると勝手に自分で思い込んで、結果マスターベーションに陥っている。
特に何も語られた印象もなく、個人的には退屈この上ない駄作でした。

でも、このニュアンスが好きだとおっしゃる方も勿論ながらいらっしゃるとは思います。

演技、演出はまあ可もなく不可もなくでしたが、「因果」というキーワードらしきものが盛んに語られている割には、因果を表してはいませんでした。

謙虚な作劇を求めます。

ネタバレBOX

「因果」の何を表現したかったのでしょう??
そもそも「因果」というものを理解しているのか?
固くなってしまいますが、「因果」とは仏教用語であり、前世の不徳が今世に及ぶという意味です。
勿論、前世の悪行・不徳なんて解るわけないので、結局は、今世で教えに耳を傾け、六根を清浄にせよという事なのですが…。
 本作には、その「因果」と呼べるような本質論に及ぶような出来事は起こっていません。
強いて言えば、高校生の自分と今の自分のスパイラルを描いていますが、高校生の私と今の私の性格、行動(つまり人格)が違い過ぎて、一人の人間の中にあるものとは思えません。
かといって、高校生のおせっかいで変に快活な(お母さんに褒められたいがためにそこまでやる奴はいないでしょうに)人格が吹っ飛んだ母親の叫びの影響の変遷を追い続けている訳ではないので、支離滅裂な展開になっています。

結局は、何を描きたいのかさっぱり解らない滅茶苦茶な物になってしまっています。

役者が可哀そうだなと思いました。

高校の先生の独白も意味が通じないし…
全てにおいてそんな調子でした。

時間の浪費でした。…残念ながら…

音無村のソラに鐘が鳴る

音無村のソラに鐘が鳴る

演劇企画ハッピー圏外

TACCS1179(東京都)

2015/11/13 (金) ~ 2015/11/19 (木)公演終了

満足度★★★

劇団名の通り ハッピー…?
観終わった後、妙にハッピーな気分になれます。

もっと刈り込めますね。
特に序盤から中盤にかけての展開がズルズルです。

不要なところは思い切ってカットしてみるべきです。おそらくあと20分詰められたら、もっと見事な作品になると思います。
主人公周りが…これがヒントです。


思いっきりフィクションですが、漫画チックな魅力がある作品です。
<やれば出来る>というテーマは少々希薄ではありますが。
それを強調するには個人個人を掘り下げる必要があり、重苦しくなって、この雰囲気が保てないかも。各自のトラウマまでを事前にドラマにしておくと後半が活きるのですが…。

肩肘張らずに、仕事帰りの息抜きに観る。
そんなニーズには十分応えられると思います。

ネタバレBOX

いつも思うのですが、小劇場の芝居は、何故不必要に怒号を用いたがるのでしょう?
芝居は汗だ!涙だ!エネルギーのほとばしりだ!なんてのは演じる側の自己満足で、観る側には語彙が不明瞭になる、思いのほか感情が伝わりずらい、鬱陶しい…etc. 良い事はひとつもありません。
もっと技術を磨いて欲しいです。
声を枯らして頑張ってます!というのは素人の極みでしょう。
この作品もそうです。
もっと内面に目を向けて演技プランを立てて欲しいと思いました。
がなるだけでは何も伝わらないものです。

あと、自衛隊vs公安よりは、警察vs公安の方がリアリティがあります。

宇宙の限定利用を紛糾するというテーマにもっと集約させた方が良かったかなと思います。
親会社云々は不要だと思います。その証拠に、いつの間にやら、敵役がメンバーに入り込んでいますよね。

大国の思惑と、それに追従するばかりの我が国の首脳たち。
それが敵役になっていた方が話がすっきりするし、テーマも終始明確ですよね。

役者行政より、作品至上主義に立って創作するべきでしょう。
そうすればもっともっと面白い作品を送り出せる劇団だと思います。

こうもり…?一番意味不明な役どころですよね????
ストリッパー薫子

ストリッパー薫子

BuzzFestTheater

シアター711(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/17 (火)公演終了

満足度★★★

ストリッパーっという設定
人物の設定が興味を引いたのでしょう。とにかく満員でした。

個人的にはくるみさん役の方が良かったです。

それはさておき、ラストシーン(エピローグではなく)を観て、記者が主人公だったのか???と困惑しました。
薫子さんが主役だとばかり思って観ていたので…。

巨悪に対抗する記者。確かに解りますが、話の中心が誰なのか、誰の視点から出来事を追体験していくのか、ターゲットがしっかり解ったほうが深いドラマが作れるのかな?という気がします。

悪役は難しいですね。現代には巨悪をきっちり演じきれる役者がいなくなっています。
設定にもちょっと無理があったかなと思います。
娘の誘いに応じてあちこち顔を出す必然性が無いのでは??

記者と芸能プロ社長の対決がクライマックスなのでしょうか?
薫子さんは多重人格から解放されたのか?

薫子さんの材料が圧倒的に多く用意されていたため、やはり彼女を追い続ける事に終始しきったほうが良かったのかなと思います。

いろいろ書きましたが、今後も頑張って欲しいです。

ネタバレBOX

ネタバレではないのですが、制作さんに。
受付で番号を渡すのでしたら、やはり、きちんと番号順に入場させるように仕切ることが肝要なのでは。

並んでいる順に入場させるのなら、番号は必要ないし。

座席誘導するなら、大きな背丈の人は最後列に誘導するとかの気配りが欲しいです。
早く入ってお座りのご婦人の前に、背が高い3人組が座って、すごく可哀そうでした。
泥花

泥花

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/11/05 (木) ~ 2015/11/12 (木)公演終了

満足度★★★★

生きるという事
偉人でもなく、中流の何不自由なく安穏と人生を流れていく事も出来ず、必死にならないと生きていけない人々。
必死になっても、なおかつまだ苦労を強いられる人々。
「生きる」ということを強烈に再認識させられる作品であった。

しかし、何故だか皆明るく感じる。必死さ故か?個人的には、もっと暗い部分が普通の感覚でベースに流れていても良いかなとは感じた。
やけくその宴会の無理な弾け方が強調されたら、この物語に更なる深みをもたらした筈だと思う。事実、救われない人々なのだから(作者もそういう筆致で物語っていると思う)

「おばけの太陽」からの繋がりは終盤見事だった。
しかし、ハジメの性格の変遷の道筋は示されなかった。少年期のハジメは妙に明るい。その明るさが素直な彼の素性をよく醸し出しているのだが、青年・ハジメと結びつかない。不満が残る。

作品としては、非常に真摯に、一所懸命創りこまれたとても良質な物語であり、愛すべきお芝居である!!!

次作にも非常に期待している。(この連作はどれも初観劇なので)

よろしく!桟敷童子の皆様!!!

最後に歩く道

最後に歩く道

TOKYOハンバーグ

サンモールスタジオ(東京都)

2015/11/01 (日) ~ 2015/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★

人間のだらしなさ、責任感のなさ
ペットを捨ててしまうという行動の裏に道徳観に乏しくなってしまった日本の社会を反映している。
最後の台詞にはぐっと迫るものがあった。

セミ・ドキュメンタリーを思わせる作りで、演劇を観ているのか、ドキュメンタリーを観ているのか??
これは真摯な作りが成せる技か…。

自分勝手だけでは済まされない今の日本人の醜悪さを見事に批判している。
言い訳を盾にして何でもしてしまう我々。
命さえこんな扱いをしている人間が、物言わぬ資源や緑に無頓着なのはある意味当たり前の事なのだろう。

躾や道徳などは言うに及ばない。

重い雰囲気の演目だが、いろんな問題に照らし合わせて思わせてくれる良品である。

リクレイムド ランド

リクレイムド ランド

Oi-SCALE

駅前劇場(東京都)

2015/10/21 (水) ~ 2015/10/26 (月)公演終了

満足度★★★

欲張り過ぎが残念
良い題材だったが、シチュエーションを作り過ぎた感がした。

「死刑」の賛成・反対というよりも、被害者の残された者たちの悲劇を描いた作品だった。

欲張り過ぎと、敢えて、書いたのは、仮想の息子を育てた家族を中心に据えた<狂気>と<悲劇>だけで良かったのではないかと感じたからだ。

推理劇のように、この14歳の少年は何者なのか?ということに集約させ、最後に、とある事件の被害者の身替りだったのだと判明する構成にした方が良かったように感じる。

「死刑」の是非を題材にするなら、反対の立場の人間が登場していないと成立しないが、この作品中には見当たらない。

ドラマを構成するという意識を持って、本を書いてくれたら、すごく面白く成り得るかも…。

ネタバレBOX

先ずは、冒頭の妻(恋人?)殺しの話が何の展開もなく挿入され続けるのが意味不明。
妹が兄の想いを語るが、その内容が語られないので不毛。
刑事のキャラクターはもっと意味不明でお粗末。
何故その刑事が殺害されるのか?もっとお粗末。

この件は全て要らないでしょう。
その分、狂気の家族に纏わる事を多角的な目で書いていたら、もっと締まった作品になっていただろうと思います。
オバケの太陽

オバケの太陽

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/10/23 (金) ~ 2015/10/30 (金)公演終了

満足度★★★★★

愛おしい作品
しっかりした本と訓練された演技。
そして、芝居小屋を見事に再現して見せる空間。
三位一体から贈られる時間は至福であった。

「おばけの太陽」とは何か?漠然とした問いに集約された人間模様。

人は、苦労し、苦しみ、悲しみ、それでも生きていく。
傍らにはきっと言訳や悔恨の念を臨みながら。

突如現れた子供があまりに愛おしい。
そしてその子に引っ張られて、この作品は本当に愛おしく思える。

次作にも大いに期待!!

是非たくさんの方に勧めたい作品。

ネタバレBOX

客席に離風霊船の大橋氏らしき人物を発見(まちがいかも…)
一昔前の彼の展開を彷彿させる作品だったので、なるほどとひとり悦に入った。

元の幼少期が妙に明るく能弁な子として描かれているのは、今後の作品へのネタ仕込みだろうか?
ずっと彼や彼を取り巻く人々が描かれるなら、それは非常に興味深い。

「アンナ・カレーニナ」ばりの機関車は3作目への布石だろうか?

いずれにしても興味は尽きない。
東京は26市

東京は26市

ThE 2VS2

OFF OFFシアター(東京都)

2015/10/16 (金) ~ 2015/10/19 (月)公演終了

満足度★★★

演技力(?)は楽しめた
全体的に<言葉遊び>の面白さを主にした題材だった。
今後、もっとシニカルな発展の仕方を期待します。

主役と女性ふたりの演技センスというか???間合いや表現はとてもいいものがあると思いましたので、本がちょっと力不足に感じました。

大阪の言葉がこの手コメディ、イや、コント風なものには本当にフィットしています。

重ねて言いますが、もっと人間の心の裏側や社会を皮肉った展開で、このノリで見せてくれたら、最高なんだと思います。

あとは、汗を抑える努力を!!!
やはり、観ていて少し不快に感じます。
衣裳が白いシャツというところに欠点があるのですが…
汗を売りにしているのなら、それは考え直した方がいいと思います。

但し、女性の胸のぽっちがやや透けてたのには正直ドキっとしましたが…蛇足ながら。

三十と十五の私

三十と十五の私

張ち切れパンダ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/09/30 (水) ~ 2015/10/05 (月)公演終了

満足度★★★★

内面交錯
とにかく、主役が良かった。
ファンになりました。

主人公の心の中で15歳の出来事を軸に、30歳の現在に至る上での心の揺れが良く表現されていました。
揺れつづける内面の不確かさが見て取れます。
劇進行にその揺れが効果的な方法論で表現されている。
女性に限らずひとはこんな揺れを内面に持ちながら生きている。
この事に共感しました。
初めて観る劇団でしたが、これからも注目です。

ホテル・ミラクル2

ホテル・ミラクル2

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/09/18 (金) ~ 2015/09/23 (水)公演終了

満足度★★★

もう少し赤裸々でも…
ラブホテル内の人物像…。しかもホテル街のおひざ元で上演。
結構期待して観に行きました。

もっと人間の中の”性”に対するドロドロした作品なのかな?と思ってたのですが、ラブホテルを舞台にしたライト・コメディというような内容でした。

各々、それなりによく描かれていて楽しめました。
が、期待していたものとは違ったので困惑。素直に観れなかったかも。

「何を期待してたんだ?」という批判を覚悟で云えば、R15(R18もあったようですが…)という表示までくっつけて、あれはないだろう!というのが正直なところです。
スワッピングは何故そこに活路を見出したのか?抱かれる妻の反応とそれを観る主人公の反応(悔恨なのか、興奮なのか)をメインに描いて欲しかった。
砂の女に関しては、何故東京が砂の町なのか?全く解らなかった。知性と欲望のせめぎあいを見せて欲しかった。
消耗品に関しては、ただただ???ストックホルム症候群?そうとも言えないし…。
獣…に関しては、狂おしいばかりの状況下での欲望と失意の交錯をもっと前面に出してほしかった。
くどくど書いていますが、結局は、もっと<セックス>を描いて欲しかったという事になるのでしょうか。

他の動物たちと違い、人間のセックスは単なる種の保存というより、精神的な欲求が深くかかわっていて、その欲望との戦いや対峙が演劇の題材としては面白いと思うのですが。勿論、文芸の題材としても。

そこのこだわりが希薄だったような気がします。

そぞろの民

そぞろの民

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2015/09/11 (金) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかくも観るべし!
遂に来るとこまで来ちゃったな~…ってのが印象です。

”今”を表現する能力にかけてはピカイチだし、その真摯な意見にはいつも問題提起を含み、観る者に突き付けられるものも鋭く、そして大きい。

しかし、今回は、一方的に作者の想いが訴えられる。しかも妥協や意識的に用意される曖昧さは拒絶されている。

温かみを排したこの語り口が今のこの国を想う時の作者の怒りなのだろう。

でも、ちょっと待って欲しい。
今回の作品には観る者への”愛”というか”語り掛け”が敢えて取り除かれている。
観た者は徹頭徹尾否定の対象にならざるを得ない。
勿論、その論ずるところは正論なのかもしれない。
だが、同時に、作者に問いたい。
貴方はどうしようと思っているのか?と。

今後も妥協はして欲しくないし、この劇団の作品は避けられない魅力を持っている。
だけれど、ここまで来てしまった語り口は、同時に、ある種アジテートともいうべき帰着点を提示する必要が生じるのではないかと思う。

その辺の、呑気な演劇評論家が褒めそやすのとは全く違う視点を観客に問うている責任もまたそこには存在せざるを得ないのだと思う。

ネタバレBOX

全く優しくない結末を用意したものだ。
個人的には賛同する。
でも、だからどうしようというのかという点で頭を抱える。

今までのトラッシュならば、今回のラストシーンの前で終わっていた筈。
一歩踏み出した今回は、賛否が分かれると思う。

先ずは、否定されることを肝に銘じて観に行く覚悟が必要だ。
幕末太陽傳

幕末太陽傳

株式会社プラグマックス&エンタテインメント

本多劇場(東京都)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★

なにがしたいのか?
この芝居は、ある意味アメリカンドリームのちっちゃい版というか、スティングの日本版というか、そんな洒脱な原作(落語)で、無責任シリーズの原型みたいなものです。
それを何故今やる意義があるのか?制作者に問いたい。
役者も、田畑さん以外は、台詞も通らない素人役者って感じだし。
演出は野田劇のコピー。
何もかもが理解不能な作品でした。

よみ人シラズ

よみ人シラズ

ナイスコンプレックス

吉祥寺シアター(東京都)

2015/09/09 (水) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

演劇らしい演出ではあったが…?
はっきり言って、よく理解できない内容でした。
客席をみると、涙ぐんでる女性客とかもいましたから、良く解らないという感想は自分だけなのかも知れませんが。
「君が代」の出自を未来から過去に遡って考察していることは解ります。
しかし、肝心な「君」とは?不運な皇太子のことなのでしょうか?
和歌集には「朕が世は」と謳われていたはずですが…。
それと人間の未来の自由がどう関係するのか?描かれているようなのですが、頭の中で結び付きませんでした。
耳が不自由な主人公は、君が代とどうリンクしているのでしょうか?
歌の精は何を理解してほしいのか?
「君」が”He"なのか"You"なのか、天皇治世を正解としているのか???
政治がそれをどう悪用したのか?問題提起は解らなくもないのですが、その肝心の問題がなんなのかがはっきりしないと思いました。
薬を使えなかった妻と障害を持つ子の父親は何故「君が代」反対なのか?
政治家(悪政)=君が代??????
解りません。

SMOKIN’ LOVERS(20名様限定公演)

SMOKIN’ LOVERS(20名様限定公演)

惑星☆クリプトン

BAR BASE(東京都)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

【煙】良い試み、お薦め
バーの席で繰り広げられるショートな会話劇。

演劇の舞台で、セットの客席側が何故壁がないのか?
「観えないからだろ?」…正解!
演劇の基本は<のぞき見>なのです。

すぐ傍で行われる劇。この試みは楽しいです。

作品云々より、この劇空間を楽しむことをお薦めします!

しかも、美女を間近で観られる!!
下世話な事に聞こえるかも知れませんが、これも重要な事です!!

この試みを続けて、内容も進化させていってほしいです。

たのしく劇空間に浸れました。

ただ、店内が暑すぎ!!
集中が持続できません。改善されていれば良いですが、暑さ対策(タオル
扇子等)の持参をお勧めします。

ネタバレBOX

店内に入ると、チラシの美女(=緒川さん)がカウンターにいらっしゃいました。
手首にチケット(=リストバンド)を付けていないので、すぐにここが芝居の場所だと解ります。
しかし、ものすごく綺麗でセクシーな女性なので、開演までの時間、彼女を眺めているだけでも特別な出来事に思えます。

本当は、もっとお客に溶け込んで、いつ始まったのか解らない内に始まっているという趣向を試して欲しいです。
開演中の諸注意は、飲み物係りの方がカウンターから話せばそれで済みますから。

中川さんのピュアな外見と演技はとても良かったです。近いということがこれほどワクワクするとは思いませんでした。

男優陣の巧さはこの空間にフィットしていました。
特に、篤彦さんの知ったかぶりはデフォルメされていますが、よく居るタイプで本当におかしかったです。儲け役ですね。

国崎さんはPARLIAMETの女性の役で、台詞の切れは良いのですが、大阪弁での早い台詞のかぶせは”あり”かとも思いますが、もっと怖い女性の本質を表現する洞察力が欲しいです。特に間近なこの場所では、そちらの解釈で芝居された方がずっと深いと思います。
緒川さんはどう演技するのでしょうか?
この作品が一番やりがいのある人物像ではないのでしょうか?
中川さんのバージョンがあったら良いのでは…???

座る場所ですが、入ってすぐのカウンターのL字のところがお勧めです。
但し、暑いです。
BIRTH ~ペルー日本大使公邸人質事件~【アンケート即日公開】

BIRTH ~ペルー日本大使公邸人質事件~【アンケート即日公開】

劇団バッコスの祭

萬劇場(東京都)

2015/09/02 (水) ~ 2015/09/07 (月)公演終了

満足度★★★

ペルーの事件…
当時は、政治的な背景だとか、フジモリ政権の中身など、あまり考えずに報道を観ていた記憶があります。
何故今この題材なのかという疑問がありますが、若者たちが「理想の国」を立ち上げる為に蜂起するという出来事が今に対する動機づけなのでしょうか?

或る意味、青春物のような内容です。
政治的、思想的な解釈は希薄でした。

最後の主人公の叫びがテーマであるなら、違う描き方があったかと思います。

あの事件の裏側をみせるという狙いなのなら、ひと断面としては良く描かれているのかも知れません。

やはり、青春ドラマとして観てしまう自分はひねくれているのかな?

ネタバレBOX

パーティー場面が陳腐過ぎです。
もっと刈り込んで良かったのでは?
「仲間の解放」を訴えての事件だったのでしょうが、教育、貧富の格差を表現する導入部が欲しかったです。

人質になった人々の葛藤をひとりずつ的確に表現して欲しかった気がしますし、緊張を強いられた空間での、人間たちの心の変化がもっと丁寧な描写で書いて欲しかったです。
麻雀とセックスという表面的な事象で片づけていますが、唐突な気がしました。

本当にわからなかったのは、何を言いたくて作ったのかという事で、これが前面に出ていないとこの2時間は観る側に緊張を与えてくれません。

半分くらいで立ち去りたくなってしまいます。
千年マチコ~喫茶去編~

千年マチコ~喫茶去編~

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/08/26 (水) ~ 2015/08/30 (日)公演終了

満足度★★★

芝居というよりエンタメLIVEかな?
勿論、この作法は有りなのだと思います。
悪くないですし、主役の個性が一際強調されますし。
主役の演者もすごくよくやっています。魅力的なキャラです。

小説とライトノベルの違いの様に(最近は垣根が無くなりつつありますが)、文字とコミックの違いのように、
芝居であって、芝居じゃないという印象を受けます。

これはこれでずっと続けて欲しいなと思います。
事務所として、どうしたいのかは解りませんが…。NACSも今やチケット入手困難なようですし。彼等よりは落ち着いた演目で、こちらの方が好みです。

共演者にももう少し手練れを配して欲しいかな…。無名でも構わないけど、うまくないとな~。この作風では特にそこが肝じゃないでしょうか?

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