満足度★★★
欲張り過ぎが残念
良い題材だったが、シチュエーションを作り過ぎた感がした。
「死刑」の賛成・反対というよりも、被害者の残された者たちの悲劇を描いた作品だった。
欲張り過ぎと、敢えて、書いたのは、仮想の息子を育てた家族を中心に据えた<狂気>と<悲劇>だけで良かったのではないかと感じたからだ。
推理劇のように、この14歳の少年は何者なのか?ということに集約させ、最後に、とある事件の被害者の身替りだったのだと判明する構成にした方が良かったように感じる。
「死刑」の是非を題材にするなら、反対の立場の人間が登場していないと成立しないが、この作品中には見当たらない。
ドラマを構成するという意識を持って、本を書いてくれたら、すごく面白く成り得るかも…。