ハウザーの観てきた!クチコミ一覧

281-300件 / 407件中
グレイな世代 黒とシロ&IN廣島 紐育に原爆を落とす日

グレイな世代 黒とシロ&IN廣島 紐育に原爆を落とす日

獏天

Geki地下Liberty(東京都)

2015/07/28 (火) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

70年前の日本の話
原爆をテーマにした舞台でしたが、時期的にも世相的にもタイムリーで実に見応えがありました。終演後の挨拶で、少しでも考える機会になればとの事でしたが、とても考えさせられる舞台です。素晴らしい脚本と実力派の役者さん達の熱演で、観劇出来て大変良かったです。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

序盤、ダンスや歌を盛り込みエンターテイメント風な舞台かと思っていたが、中盤から終盤にかけては息苦しくもなる程の熱演で、惹き込まれた。
登場人物それぞれの信念や正義があるので、何が正しいと思うかは観客それぞれの判断になるとは思う。ただ、このテーマを考えた際にはその判断の為にも多くの人に観てもらいたい舞台と思う。
遠い国でも、昔話でも無く、70年前の日本の話なのだから。

それにしても、重厚な脚本と魅力的な役者さん達が集まった舞台で、次回公演も楽しみになりました。
ガールズトーク☆アパートメント -2010.ver&2015.ver-

ガールズトーク☆アパートメント -2010.ver&2015.ver-

UDA☆MAP

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2015/07/29 (水) ~ 2015/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

緩やかで暖かい時間
2010、2015の両Ver観劇。
どちらも、様々なイベント(トラブル?)を軸に四季が進み、日常的とは言わないが、皆色々あるよねと思える舞台でした。登場する人達のつながりが優しく、緩やかで暖かい時間が進む。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

あまり知らない方が楽しめるので、エピソードを簡単に箇条書きで。
四季ごとに合わせているのは実に上手い。

2010Ver
春・新入居者登場(名古屋訛り全開の大学生)
夏・ゆずこしょうの木
秋・シングルマザー
冬・鍋とスパイ・・・。
キーアイテム(笑)・まあまあの俳句集

2015Ver
春・新入居者(シンガーソングライターの卵)
夏・ゲリラ豪雨と花火大会
秋・楽しい今と同棲婚の未来
冬・結婚イベント(元DV夫婦のやり直し)
冬・再び新入居者(おまけ)

2010、2015共通の感想。
・エピソード後の切り替えを、暗転を使わず役者さんが小道具等を使い、四季の変化を付けていく。その際に、セリフを発しないがちょっとした出来事なども盛り込んであり、時間を進めて行くのが良い。(告白や旅行への出発等)
・大家のやえがしさんは、基本的には前に出過ぎず住人達を見守る感じ。独特の口調であるが、ボイス・アクターのポチョミンを思い出した(笑)
・住居人がなんとなく、ボケ、ツッコミ担当に分かれていて、短的なツブヤキが面白い。
・グズグズ感は強いが、最後にほっこりする各エピソードが優しい。

個人的には、2010→2015Verの順で観た為か、2015Verの方が進化しているような感じで楽しめました。(もしくはこの舞台に私が慣れたのでしょうか。)
5年の時間差ですので、やえがしさん以外にも同じ住居人がいればとも思いましたが、成長して出ていく巣立ちの家のような気もしますので、これで良かったのかなと思います。(いつ出て行ってもいい、戻ってもいいというような歌詞もありましたし。)

次回は、2020Verでの続編でしょうか。
新宿☆アタッカーズも続編となるらしいので、今から楽しみです。





1995

1995

ブルドッキングヘッドロック

ザ・スズナリ(東京都)

2015/07/29 (水) ~ 2015/08/05 (水)公演終了

満足度★★★★

あの時代
客入れ時の選曲から、懐かしい歌が流れ、20年の月日を感じる。そして舞台上でも、当時の話題が盛りだくさんで懐かしくも楽しめる。基本的には、コメディであるが、歳のせいか切なくも感じた。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

1995年と現在を舞台上で交差させ並行で進めて行く演出。主役の人物だけが同人であり、時代の回想につながる。1995年時にはアイドルを目指していた主人公が、現在は主婦となっており、それぞれの時代を生きている。
時々の会話が実に秀逸で、役者さんの演技力の高さも伴い、共感できる。
また、存在感の強い役者さんも多く惹き込まれるが、周りの役者さんも引っ張られるのではなく、上手く調和されているので、皆上手いなぁと感じた。

懐かしく思う一方、特に1995年の方はあの時代を生きているなぁと感じた。
終盤は、2つの時代から更に未来までの時代を演じられ、時代の流れや、つながりなども感じたが、個人的には2つの時代だけの舞台でも良かったのではとも思った。

魅力的な役者さんが多く、全編通して楽しめた為、長い上演時間も全く気にならなかった。
観る方の年齢によっても受け止め方が大きく異なる舞台とは思うが、私はとても楽しめた。



紫陽花の下に死体は眠る

紫陽花の下に死体は眠る

惑星☆クリプトン

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/07/22 (水) ~ 2015/07/26 (日)公演終了

満足度★★★

サスペンスではあるが
血生臭いサスペンスとの事であったが、少し設定に無理を感じてしまい、正直あまり集中できなかった。(何故、素直に参加するの?これが動機?等々)
役者さんは皆さん熱演ではあったが、言い直し等が少し目についた。
何となく全体的にボヤけてしまった印象で、オープニングとラストが好きな感じだっただけに少し残念でした。

マドモアゼルはプリンス ムッシュはプリンセス ~桜木邸連続殺人事件~/ダンパチ13・銀

マドモアゼルはプリンス ムッシュはプリンセス ~桜木邸連続殺人事件~/ダンパチ13・銀

ショーGEKI

「劇」小劇場(東京都)

2015/07/17 (金) ~ 2015/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

エンターテイメントな舞台
オープニングの映像を使った登場人物紹介、作中の視点変換や回想シーン等の演出、宝○風な歌やダンスなど、エンターテイメント性に富んだ舞台で大変楽しめました。まさに夏祭り的な公演でした。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

男女逆転の配役でこの時点からコメディ色が強く漂う。そしてオープニングの映像と幕を上手く使った演出。オープニングから死ぬ人が分かってしまうのも斬新で面白い。内容の方も、良い意味で意外としっかりしており連続殺人ミステリーで謎解きも楽しめる。だが、基本的にはコメディなので気楽に楽しむのが良いのかも。
舞台壁を地面に見立てた、落下現場の現場検証シーン等は大変面白く、演出の妙が味わえました。他にも、回想シーンなどでの早着替えや歌(ラップ)などにも笑わされました。歌やダンスはメインではありませんでしたが、桜木美樹・美貴役の小林さんの男装が、とても似合っており宝○風だったのもより華を添えたように感じました。

役者さん達も楽しんでいるような感じで、悪くすれば内輪ウケともなってしまいますが、本作はお客さんに楽しんで欲しいとの点が随所に見られ、その上で自分達もという感じで大変良い座組だと思いました。

この探偵と警部をメインにした続編等も是非観てみたいと思いました。せっかく決め台詞も有るのだし。 (あ、成○石井・・・があるんでしたね)

最後の挨拶時のお辞儀での、アリーナや2階席があるような感じ、とても好きです。「劇」少劇場が帝○劇場に変わりましたね。

また、是非観てみたい劇団さんが増えました。
イヌジニ

イヌジニ

雀組ホエールズ

OFF OFFシアター(東京都)

2015/07/15 (水) ~ 2015/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

変わったのは人間
当初予想していたのとは異なり、殺処分をテーマにした考えさせられる舞台でした。難しいテーマですが、コメディ基調でしたので重くなり過ぎず見やすく観劇する事が出来ました。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

動物愛護センターで殺処分の仕事を行っている父と、ある日突然動物の言葉が理解できるようになったその娘を軸に、飼っている犬や殺処分待ちの犬達との交流を描いた舞台。
犬達や猫の言葉が、純粋でかつ風刺的でもあり、考えさせられる。舞台中や当日パンフにもあるが、「不要な動物」、「不要な命」とは何だろう。

全体的には難しいテーマを細かい笑いで和らげた舞台で、舞台後の挨拶にもあったが、少しでも考える機会になればとの話が実に良かった。

ただ、人間側で観た場合、父の葛藤に比べ、動物の言葉が分かる故かとも思うが、娘さんが少し正論ばかりだったのは残念でした。目の前しか見えていない様な気がしてしまいました。

又、少し辛口に書きますと、犬は基本肉食なので、ドックフードには他の動物の肉が含まれます。(100%植物のものもありますが、作中でも肉が食べたいとのシーンもありましたし。)
人間やペットの為なら、他の動物は良いのかとなると、「命」そのものを扱う事
になるので、実に難しいテーマですね。
少なくとも私は、肉や魚を食べますので、やはり値札がついた時点で「物」なのですかね。

色々書いてしまいましたが、それだけ考えさせられる良い舞台でした。


僕の中にある静けさに降る、騒がしくて眩しくて赤くて紅い雪

僕の中にある静けさに降る、騒がしくて眩しくて赤くて紅い雪

天幕旅団

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/07/09 (木) ~ 2015/07/13 (月)公演終了

満足度★★★★

美しく幻想的
モノクロ版観劇。4人の役者さんがまず上手く、小道具、照明、音楽の使い方も効果的で、美しく幻想的な舞台でした。
再演されるだけあり、脚本が実に奥深く面白かったです。
公演中なので、以下ネタバレで。

ネタバレBOX

4面から見える舞台は一段高く作られており、大きな長テーブルと4脚の椅子だけが置いてある。童話白雪姫がモチーフだが、オリジナルの脚本であり、白雪姫が殺されている所から物語が始まる。そこから回想していくが、ストーリーが秀逸。誰が白雪姫を殺したかが焦点のサスペンスファンタジーとなっている。赤い糸を血にしたり、リンゴにしたりと小道具等の使い方も上手い。

舞台的にはシンプルで、静と動を使い分け実に見応えあったのは、役者さん達の演技力の高さだろう。白雪姫は健気で美しく、女王は狂気と後半に見せた後悔が上手く、王子は静かな強さを感じさせた。そして、少年役の加藤さんには驚かされた。言葉は勿論、表情や仕草の使い分けが素晴らしかった。
朗読的なシーンも多く、また役者さん達のハモリからも完成度の高さを感じた舞台でした。
Full Of Liars!

Full Of Liars!

劇団ICHIGEKI☆必殺

シアターブラッツ(東京都)

2015/07/02 (木) ~ 2015/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★

サスペンスコメディ
ストーリー的にはサスペンスですが、コメディ要素も多く、気楽に楽しめる舞台でした。サスペンスですと、どうしても予想して観てしまいますが、今回は結構外れました(笑) だって、あんなにバッタバッタと死んじゃうとは思わなかったので。
ただ、私の理解力のせいかと思いますが、伏線も全部回収しきれなかったのではと思いました。
舛花さんの捻りには騙されましたし、ミラクルタイムは必見ですね。

最後の色々予想させる終わり方は好きですね。特に今作では。

ネタバレBOX

分からなかった点
当初、潤のストーカーが丁子かと思っておりました。途中で舛花があの子見た事あるというような台詞があったので。結局ストーカーは誰?舛花?

全員、名前が色だけど特に意味は無い?

契約変更は、男が女性を殺してもカウントされるように?

千秋楽を観たので、再度観て確認出来ないのが残念。
映日果-アンジール

映日果-アンジール

XZM

遊空間がざびぃ(東京都)

2015/07/01 (水) ~ 2015/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

それぞれの正義
13人の男性キャストだけの舞台。薄暗い照明の中で、舞台には何もなく、役者さんの演技だけで魅せる。ただただ、格好良い。音響、照明も実にフィットしており、舞台の醍醐味を味わえた作品でした。
ハードボイルドタッチではあるが、笑いの要素も散りばめられ、映画のような映像美も魅せられた。

脚本も素晴らしかったですが、実力派の役者さんが揃っており、またそれぞれが素晴らしく、極めて完成度が高かったです。
主人公含め登場人物誰もが清廉潔白という訳では無く、そこがまた人間らしくもありました。

同じ役者さんで是非続編も観てみたいと思う舞台でした。

デイドリーム

デイドリーム

劇団アルターエゴ

OFF OFFシアター(東京都)

2015/07/01 (水) ~ 2015/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★

家族への想い
☆チーム観劇。家族愛を感じる作品だが、複雑な想いと純粋な愛情に溢れ、見応えがありました。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

イギリスからのピアノ留学から戻った次女と家を守る長女、フリーターの末弟の家族を描いた作品。母親は既に亡くなっており、父も家を出て再婚している。最初、揃った姉妹と従妹の和やかな雰囲気と会話で静かに物語は進んでいく。だが、弟の詐欺被害事件と母親や父親の不倫等で急にドロドロした物語へと変貌した。だが、詰め込み過ぎた印象も少し感じてしまった。弟の詐欺被害事件なども登場してから急展開かつ即解決だったので(笑)
夢?で出てきた母親も直球で詐欺の事を話すので、少し含みを持たせて次女が気づく位の方がとも思ってしまった。DNA検査も飛躍したなと(笑)
だが、家族の形はそれぞれとも思うので、根底にある愛情を感じられたラストは感動的でした。

役者さんは、子供時代も見事に演じられた小野寺夏子役の堀口幸恵さん、強さと家族への思いに溢れた小野寺春花役の丸山彩智恵さん、明るく支える本田香役の小西有香さんが印象的でした。

リ:ライト

リ:ライト

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2015/07/01 (水) ~ 2015/07/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

今回もつながる
トツゲキ倶楽部さんは3回目の観劇となるが、今回も「人のつながり」を感じさせてくれる暖かい作品でした。今作では、化学反応と言った方が良いのかもしれませんが。
あの内容を、90分にまとめている脚本・演出は実にすごいと思います。
公演中なので以下、ネタバレで。

ネタバレBOX

アルツハイマーの治療薬を研究する大学の研究室が舞台であるが、恋人関係のもつれ、研究室を辞めようとしている者、皮肉にも自身が若年性のアルツハイマーになっている者等、当然だが様々な自身の問題を抱えている。
その中で、治療薬につながる実験が成功したのだが・・・。
この実験データを巡り騒動が起こる。回転数が安定しない遠心分離機、ゴミ箱に処分してしまった記録紙、データを消去してしまったPCファイル等々。
この辺りもそれぞれの人間関係が相互作用しており、これが面白い。
また、ある程度話が進んだところで、今まで起こった事が予知夢という形で巻き戻される。そして、タイトルの「リ:ライト」である書き換えが始まる。また、研究の言動力の一つに、研究員の治療も入っており、そこもまた、つながりを感じさせる。
いやぁ~、素晴らしい脚本です!

14人の登場人物がいるのですが、それぞれがキャラ立ちしており、また皆一様に良い人達なのでついつい応援したくなります。
複雑な心情が多く難役の星神沙織役の前田綾香さん、病気ながら明るく皆に愛される笠戸華役の佐竹リサさん、クールな優しさを魅せてくれた淡路玲子役の高橋優都子さん等の女優陣の活躍が印象的で、それを支える他の女優陣やコメディ要素が多かった男性陣、繋がりを感じるまさに化学反応でした。

次回公演も楽しみです。



金と銀の鬼─チェインソウル─

金と銀の鬼─チェインソウル─

X-QUEST

インディペンデントシアターOji(東京都)

2015/06/17 (水) ~ 2015/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

確立した舞台
噂に聞いていた本劇団を初観劇。噂以上の舞台でした。
何も置いていない四角い舞台、またはその周りを縦横無尽に走り回り、殺陣にかなりの比重を置いており、そこに言葉遊びや笑いの要素も盛り込んだ舞台。リピーターのお客さんが多いのも納得の、「X-QUEST」として確立した舞台だと感じた。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

鬼の世界と桃太郎童話を軸にした世界。だが、通常の桃太郎とは異なり鬼側にスポットを当てている。最初にネタバレを書いてしまうが、鬼の王である金鬼は実は鬼子として捨てられた人間で、銀鬼が鬼として育てた。だが、自分の角を与えたせいか銀鬼の記憶が混乱し、金鬼の弟として行動している。
これに、鬼に故郷を襲われた緑丸と助佐(この二人の関係性が非常に良い)、桃太郎一行(なぜか蟹もいる(笑))、配下の鬼達のクーデターや飛行を夢見るライム兄弟も加わり、カオス的であるが上述の秘密に向け進んでいく。また、金鬼の生まれ変わりが桃太郎という時間軸の歪みなどもあり、よりカオス的。

だが、本舞台はストーリーもあるが何と言っても殺陣であろう。ストーリーに即した殺陣というより殺陣を中心に捉えているような舞台である。
この殺陣がより映えるのは、音響や照明の見事さであろう。
また、この世界観に笑いを随所にちりばめているのも流石だと感じた。
桃太郎の家来達の言動には何度も笑わされたが、今回は何と言っても桜満の妖刀「鬼切」のくだりの一人芝居であろう。これは必見である。

他にも見所が多く、多くの人がはまるのが分かりました。

ただ、個人的には少し人数が多すぎたのではと思い、また削れるシーンもあったのではないかとも思えた。(伏線回収が面白かったので、不要と思えるシーンもあり、少し時間が長く感じられた。)

公演後のファンサービスの撮影会は、良い企画だと思い、本劇団の人気の所以も改めて分かりました。

『リア王』他一編、…公演は無事終了いたしました。お越しの皆様、ありがとうございました。

『リア王』他一編、…公演は無事終了いたしました。お越しの皆様、ありがとうございました。

楽園王

pit北/区域(東京都)

2015/06/26 (金) ~ 2015/06/28 (日)公演終了

満足度★★★

オリジナリティ溢れる作品
シェイクスピアの「リア王」、三島由紀夫の「火宅」を原作に主催の長堀氏が演出した2作品。「火宅」は原作を知らないが、「リア王」は過去観たことがある。結論から言えば、良い意味でオリジナル作品に近いと感じた。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

「火宅」~35分程度の作品で、家族崩壊が淡々と進む感じで個人的にとても見応えのある作品であった。感情の起伏はあまりないように思えるが、ちょっとした所作等に揺れを感じとれる。大里千代子役の大畑麻衣子さんの、能面を連想させるような無表情でかつ怒り、怯えているような演技が印象に残った。

「リア王」~子供を自殺で亡くし、夫との関係も壊れた妻が小説「リア王」の世界とシンクロしていくような舞台。リア王の娘達が何故は往年のアイドル楽曲で登場し、よりカオス感を高めていく。悲劇的な面は原作と共通するが、オリジナリティ溢れる演出。
やはり妻/リア王役の岩澤繭さんがオープニングのダンス含め印象に残った。

独特の世界観を持つ劇団で、次回は長堀氏のオリジナル作・演出作品を観てみたいと思った。


Mother

Mother

TEAM JACKPOT

要町アトリエ第七秘密基地(東京都)

2015/06/17 (水) ~ 2015/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★

起こりうる現実
余命一年の母。病気の為か、久しぶりに会う息子の顔も良く分からない。それでも最後の時を迎えるまで思い出を増やしながら生きていく。そしてラストの衝撃と役者さん達の熱演で身につまされる舞台でした。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

あらすじだけ見ると重苦しい内容ではあるが、余命宣告されている母親が、悲観的になりすぎず明るくふるまうのが良く、笑えるシーンも多く配してある。久しぶりに帰ってきた息子の影響でもあるが、息子の友人、息子の彼女と誕生日や昔の思い出話を軸に余命を過ごしていく。だが、最初に息子の顔が分からなかったのは、病気のせいでは無く、本当の息子ではないから。そして息子の友人や彼女もそう。
(息子は4年前に震災で亡くなっているが、母親はそれを受け入れられておらず、何度も携帯に電話している。)
息子は福祉課の人間であり、友人は医師、彼女は看護師だ。孤独死を迎える老人が多く、新しい福祉政策として導入されたモデルケースだという。
いわゆる衝撃のラストという展開だが、母親が残した日記にはそれが分かっており、その仕事だけではない優しさに付き合い騙されていたフリをしていたという二段オチ。
近未来には起こり得るかもしれない話ではあるが、最後母親が気づいていたという結末が個人的には非常に良かった。賛否両論あるとは思うが、気づかずに息子達と信じたまま亡くなったのではやはり寂しい気がするので。
正直いうと序盤のテレビのシーンで、ある程度の予測はしていたのですが、それでも魅せられたのは役者たちの熱演があればこそでした。

終演後に購入させて頂いたパンフレット(すいません、最初本公演に関するパンフレットかと思ってました。)に、本劇団の歴史等が書かれており、また応援したい劇団が一つ増えました。



脳しんとうのままで

脳しんとうのままで

GORE GORE GIRLS

王子スタジオ1(東京都)

2015/06/11 (木) ~ 2015/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

純度100%のコメディ
全くの初見でしたが、100%のコメディで大変楽しませてもらいました。
近年、コメディではあるが良い話となる舞台も多いですが、本公演は最初から最後までコメディ一直線でした。最後、とってつけたように良い事言ってた気もしますが(笑)

基本的には、本人達が真面目に演じることで起こる周りとのギャップで笑いを誘う形でしたが、役者さんの演技力の高さ、演出の冴え等でつい笑ってしまう舞台でした。最初はややおとなしめに感じましたが、中盤から終盤はほぼ笑いっぱなしの60分間でした。個人的には、ゴミ袋での会話や耳を塞いでいるシーンがツボでした。

これから、ボランティアの方やゴミ袋を見る度に思い出してしまいそうです。



マインドファクトリー~丸める者たち~

マインドファクトリー~丸める者たち~

かわいいコンビニ店員 飯田さん

インディペンデントシアターOji(東京都)

2015/06/10 (水) ~ 2015/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

理不尽な現実
あまりに理不尽だが、恐らく多くの部分で作・演出の池内風氏の実体験であろう舞台。コメディ調ではあるが、高校の部活動について考えさせられる。
以下、ネタバレで。

ネタバレBOX

創立間もない高校野球部の話であるが、県大会で前年ベスト16まで進んだことで、今年度の部員たちにも多くの期待がかかる。
だが、野球部の顧問は自分の理論を元に部員たちに手をあげていた。
この理論があまりに理不尽であるが、周りの期待や悪い意味でチームワークを乱すと考えてしまい部員達は受け入れている。
多感な時期であるが、一方的な理論での考え方しか与えられなければ、善悪の判断も鈍るのであろうか。いや、田舎の野球部を強くした町の英雄である監督には絶対的な権限が与えられており、逆らう事は出来ないのであろう。両親の支えもあり、退部を決断するが最後は力つきてしまう田所主将はよくやったと褒めてあげたい。

この話で一番怖いのは、止めるべき周りの大人達がいない事だ。ともすれば、まるでそれが正当かと思ってしまっている。養護教諭や野球部部長、また最初の頃の徳原部員の父しかりだ。
他の先生方も治外法権的な野球部には深く関わろうとはしない。
また、監督も自分の理論が間違っているとは思っていないのであろう。
近年も同様の問題が報道されたが、その際も先生を擁護する声が多く聞かれた。マインドファクトリーとは良くつけた名前だと感じた。
(鶏のシーンもそうですね)

リアルな脚本と役者さん達の熱演により色々と考えさせられる舞台でした。個人的には、監督役の山森信太郎さん、田所主将役の杉浦一輝さん、養護教諭役の百花亜希さん、そして田所主将の母役の中島美紀さんが印象的でした。他の方も皆さん熱演で、オープニング前の応援シーンで本当に力をいれて手を振っているのが分かり、始まる前に本舞台の期待が高まったのも覚えております。

少し残念なのは他の方も書かれておりましたが、暗転の多さと公演時間が少し長過ぎると感じてしまいました。

コメディ調は残しながらも、前作とはうってかわった本劇団の次回公演が今から楽しみです。
いつも眠るまえに

いつも眠るまえに

Pityman

インディペンデントシアターOji(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

深く難しいテーマ
想像していたのは異なり、深く難しいテーマの舞台でした。
女性を中心に捉えている舞台ですが、出演されている女優さんが皆魅力的で、楽しめました。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

代理母出産をテーマにした舞台で、最初お金と子供が出来ない夫婦にとって良い事だという話で代理母を受け入れていた母親が徐々に育つお腹の中の子をの親権を持ちたいと思う話。
基本的に、淡々と徐々に重苦しくなっていく舞台で、惹き込まれる。
やはりこのテーマだけに観る人の考え方や視点により観える物が異なってくるとは思う。だが、こういう問題を考えさせられる良い機会になった。
最後の判決は、ベビーM事件になぞられていたが、現時点ではこの結果しか
出せないのかとも思う。
暗転時(完全には視界はなくならない)でも、赤ん坊を抱きかかえる所作にも気を使われていて好感が持てた。

魅力的な役者さんが多かったが、個人的には佐藤さん役の浅井裕子さん、古藤さん役の佐山花織さんが印象的でした。

観劇中、地震に見舞われましたが、劇団さんの対応が良く、特に混乱なく観ることが出来ました。
愛でもないし、youでもなくて、ジェイ。

愛でもないし、youでもなくて、ジェイ。

アナログスイッチ

シアター711(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

楽しく切ない
初観劇の劇団さんでしたが、楽しく切なくもある舞台で楽しめました。
等身大の役者さん達が多かったようで、少しオーバーな面もありましたが同窓生達の会話が自然で、また管理人さん夫婦が良いアクセントになっていて良かったです。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

タイトルと説明文から、ある程度 I、U、Jターンの事だと予想はしておりました。特別故郷という程の場所(現在も近郊住まいなので)を持たない私としては観る前はどうかと思いましたが、思ったよりすんなり入り込め、また恋愛や夫婦像などを絡めた話で、ある意味成長物語にも映りました。劇中のいくつかの台詞には共感を覚え、少なからず応援したい人達が多かったです。

舞台は、ロフトやバルコニーの作りも良く、またその場所を上手く使った演出も良かったです。

役者さんは等身大の役で皆さん上手くはまっておりましたが、演出かとも思いますが、少し地声が大きすぎる方も観られ、少し周りとのバランスが崩れていたようにも感じてしまいました。(それ程大きな劇場ではないですし。)
個人的には、千秋さん役の工藤さやさんと七海役の板橋優里さんが特に印象的でした。

次回公演が楽しみな劇団さんが増えました。
七人のふたり

七人のふたり

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2015/05/22 (金) ~ 2015/06/02 (火)公演終了

満足度★★★★

クロムモリブデンにしては・・・。
クロムモリブデン独特のブラックでカオス的な作品ではありました。
投稿動画で日本一を目指す各チーム(?)が面白かったです。
ただ、前作などに比べ何回も観たいと思わせる中毒的な面が少し薄れていたように思えました。
今までもっともっとブラックでカオスな舞台を魅せてくれていたせいかもしれませんが、少し毒素が足りないようにも感じてしまいました。
ファンなので既に中毒のせいかもしれませんが。


BARに灯ともるころ

BARに灯ともるころ

ZIPANGU Stage

萬劇場(東京都)

2015/05/20 (水) ~ 2015/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

コメディ+人情劇
コメディ劇団の王道のコメディでした。前半は初顔合わせの嘘が嘘を呼ぶドタバタコメディで、後半フランス帰りの方が戻られてからは、Barに集まる常連さんの団結力を見せた人情的な作品でした。

少し都合が良すぎる面もありましたが、楽しめました。
(最終的には、良い人ばかりでしたので。)
でも、権利書と実印取ろうとして、購入したエスプレッソマシーンどうする気だったの? ちょっと無理があるのでは・・・。

Barの舞台設置は実にお見事でした。

このページのQRコードです。

拡大