バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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イエドロの落語 其の弐10月八幡山 イイね!公演

イエドロの落語 其の弐10月八幡山 イイね!公演

イエロー・ドロップス

八幡山 秘密の見世物小屋(東京都)

2014/10/11 (土) ~ 2014/10/12 (日)公演終了

満足度★★★

面白い試みに思えたが…/約90分
いくつかの落語をつないで二人芝居に仕立てる。
興味を引かれる試みではあったものの、実際に観てみたらさほど面白くなかった。

まず、落語が上手くつなげていない。接着剤の使用跡がはっきり判ってしまうような粗さがあり、ために劇世界へドップリとは没入できなかった。

今後は、つながりやすそうな演目をあらかじめ選び出し、その上でくっ付けるという方法を採ったほうが良いのではないだろうか?

そして、笑えない。客席からも歓声はあまり上がっていなかったし、私自身も声を出して笑うことはほとんどなかった。

キツい言い方になってしまうが、こうなってしまった背景には、題材が落語なのだし、それを素材に芝居を作ればおのずと笑えるものになるという甘い考えがあったのではないだろうか?

もともと独演用に作られている落語から二人芝居へと形態を移すことにより、本来は笑えたものが笑えなくなるケースはいくらもあるはず。

それを補填するためにも、新たなギャグの投入は必須。

今後は「物語コーディネーター」ではなくコメディに強い「脚本家」を付け、話を「つなげる」だけでなく「創る」つもりで事に当たったほうが良いのではないだろうか?

とはいえ、さひがしさんとわかばやしさんが舞台上で賑やかに動き、しゃべくっているというだけでなんだか楽しい気分になれたのは確か。

それに免じて星は3つとします。

ネタバレBOX

サゲも意外性こそあったが、笑えるものではなかった。
やはり、笑いへの貪欲さがもっと欲しいところ。


赤い鳥の居る風景

赤い鳥の居る風景

世田谷シルク

座・高円寺1(東京都)

2014/10/13 (月) ~ 2014/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★

堀川流のケレン味を控えめにし、割合真っ直ぐな演出で原戯曲の倫理観をきちんと表現/約120分
不条理劇と称されがちな別役劇だが、本作は不条理劇の装いをした人間ドラマ。
どこか寒々しい他の多くの別役作品と違い、本作には人肌の温もりが感じられる。

それを堀川炎が持ち味のケレン味を抑え気味にし、割合ストレートな演出で端正に表現。

結果、原戯曲の持つ独特の倫理観がきちんと伝わる好編に仕上がっていて、私は満足。

主役の姉弟の姉役を演じた百花亜希の実直な演技にも好感。

ただ、1968年の作とあって風俗描写などに古めかしさのある本作に、何人かいるイマ風の見てくれの俳優は不似合い。ここは、現代性も古さも感じさせないニュートラルで没時代的なスタイリングやヘアメイクを模索して欲しかったところ。

また、世田谷シルク用語で言うところのオドリコの起用法が適切でないシーンがあることも惜しまれる。

本作には堀川さんにより独自の枠付けがなされているが、その枠を食い破るような力強さが、別役作の原戯曲には感じられた。

ネタバレBOX

姉弟とその父母に客人が加わっての晩餐シーンは重要な場面。
ここは、オドリコが踊りながら役者の口パクに合わせて喋るというケレンがかった演出は避け、ストレートな演出できちんと会話を聞かせて欲しかった。

また、姉が弟に独特の“人の道”を説くこれまた肝要なシーンの一部を、足を踏み鳴らすダンスが邪魔していたのも残念。ここもやっぱり、ちゃんとセリフを聞かせて欲しかった。

せっかくケレンを控えめにしたのに、大事な2シーンがともにケレンやショーアップによって伝わりづらくなっているのは痛恨。

多分、 会話主体の劇が粛々と進むだけでは飽きられそう、と考えたのだろうが…。

ただ、脚立を鉄格子に見立てる工夫、弟の射殺シーンで使われる影絵的手法などは秀抜。

特に後者は大きな劇的効果を上げていた。

こういうのは「ケレン」ではなく「アイデア」と呼びたい。
アンドロイド版『変身』

アンドロイド版『変身』

青年団

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2014/10/09 (木) ~ 2014/10/13 (月)公演終了

満足度★★★

原作を知っていても多分楽しめます。/約90分
原作では虫に変態するグレゴワールが本作ではロボットに変身。
違いはそれだけで、ストーリーはほぼ原作通りなのかと思いきや、グレゴワールが変身する対象が“虫ではなくロボット”であることに重きを置いた話になっていて、原作を知っていても楽しめた。

家族の一人が人間からある日突然ロボットになるという出来事がもしも現実に起こったら、ロボットになった当人(という言い方でいいのかしらん?)は何を思い、どう振る舞うか? そして家族はロボットと化した身内を前にどう反応し、何を考え、どう行動するか? そして両者の間にどんな事態が持ち上がるか?

これをオリザさんが頭の中でシミュレートし、一番ありえそうな顛末をシナリオ化した感じ。

虫は下等だし喋れないが、ロボットは高度な思考ができるうえ人並みに口が利ける。

この違いが原作との大きな隔たりを生み、寒々しい原作にはないユーモアさえ醸し出し、それなりには面白い。

ただ、フランス人俳優による字幕付き上演は隔靴掻痒の感が否めず、また、グレゴワールを演じるロボットがあんまりアクティブではないため、動きが魅力の一つを成す演劇としての醍醐味に乏しく、評価は星の数で示した通りとさせてもらった。

それでも、世界戦争を懸念させる不穏な国際情勢など今日的な問題まで絡めてあって、脚本だけで評価するなら4つ星クラス。

ネタバレBOX

人間とロボットはどこが似ていてどこが違うか?

グレゴワールと家族によるこの議論がかなり踏み込んだ内容で、とても聴き応えがありました。

死ぬまでに一度でいいから、ロマンス・オン・ザ・ビーチ

死ぬまでに一度でいいから、ロマンス・オン・ザ・ビーチ

20歳の国

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/10/04 (土) ~ 2014/10/13 (月)公演終了

満足度★★

兄のキャラ付けに難あり/約135分
20歳の国は3作目。
これまでに観た中ではいちばん残念な出来だった。

まず、“夏の歌謡曲”をバックにしてのダンスアトラクション。
これに劇の一部を受け持たせて話を先へ進めていく手腕には感服したが、能天気な曲に合わせて陽気に踊るパターンばかりで、途中から食傷。
これに、何度も蒸し返される大同小異の“人生談議”が相俟って、全体に単調かつ冗長な印象が否めなかった。

フォーカス対象が誰なのか曖昧なのも問題。色んな人物を写そうとして、結果どれもピンボケになってしまっている感じ。

タイトルから、私は主に“童貞の兄”へ着目しつつ鑑賞したが、兄については、キャラクター付けにも難を感じた。

ネタバレBOX

童貞の兄は28歳。
この若さで末期ガンと判り、純潔なままで死ぬのはイヤだ、とあがいている。

そんな兄を見て思ったのは以下のこと。

「女を知らないまま死ぬのはイヤだ!」と声高に叫ぶようなキャラ付けは避け、そうした気持ちを胸に秘める奥ゆかしいキャラ設定にしたほうが物語に奥行きが出て、作品はより良くなったのではないだろうか?

もっと控えめなキャラ付けをしていれば、早く男になろうと焦るあまり実の妹を姦ろうとする荒唐無稽な展開も多分避けられたに違いない。

そもそもこの兄、明るいのか暗いのかを筆頭に色んなことがあやふやで人物像がはっきりせず、感情移入がとてもしづらい。

作・演出家は兄のキャラ付けをするにあたり、もっと慎重を期するべきだったと思う。

兄と好対照なヤリチン弟のキャラ設定にはまだしも一貫性が感じられるが、その一貫性を崩したのが、兄の死後、弟がチャラ男の仮面を脱ぎ捨てて秘めたる悩みを父に打ち明けるシーン。
そうした悩みを自分からは打ち明けず、図らずも露呈させるほうが彼らしい。

ついでに言えば、痩せ我慢の果てに悩みが漏れ出してくるほうが、多分より強く観客の胸を打つ。
社長吸血記

社長吸血記

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

『わが闇』のような感動を求めた方は火傷を負うかも!?/約145分
タイトルがタイトルだし、まさかそんな方はいないと思うが、『わが闇』のような作品を期待して観ると痛い目に遭う、悪ふざけとデタラメに満ちあふれた相当に純度の高いナンセンス演劇。

タイトルからこのような作品を予期し、このような作品こそが観たかった私としては、大いに、大いに満足!

ケラ曰く、執筆中も稽古中もとにかく楽しかったそうだが、それもそのはず、考えてみれば、ケラリーノ・サンドロヴィッチという人はもともと「悪ふざけ」と「デタラメ」がやりたくて演劇を始めた人だ。

しかし、この人にしか書けない作品と言う意味では、とても価値ある一作。だって、『わが闇』から笑いを抜いたような劇が書ける作家は他にいても、ここまでナンセンスに徹したものを書ける作家はケラリーノ・サンドロヴィッチくらいしかいないのだから。

一応、ホラー要素やミステリー要素も入ってはいる。しかし、それすらもナンセンスによって支配され、ナンセンスの中に呑み込まれている感じ。
つまり、色んな要素はありながらも、ピラミッドの頂点には厳としてナンセンスが君臨しているのだ。

題名がこれなので、一応はオフィスもの。

舞台となる会社の業務内容が明かされるシーンでは、その仕事内容のあまりのぶっ飛びぶりに、まるでタガが外れたかの如くゲラゲラ、ウヒャウヒャと笑い崩れてしまった。。。


満足!!

ネタバレBOX

行方不明になった社長がじつは殺されてたってお話。

最後、ゾンビと化した社長がロッカーから姿を現し、社員たちのほうへひたひたと歩んでくるが、最高なのは、このホラーじみた場面さえ笑いを生むための前フリに過ぎないってこと。

社員たちは、同じタイミングで勝手に動き出したコピー機のほうにむしろ驚き、ゾンビ社長をガン無視(笑)するというボケをかましてビックリ顔でコピー機へ駆けていくのだ。

やがてコピー機から吐き出された紙には「ひょっとこ」の文字。

前段に「ひょっとこ」で笑わせるくだりがあるので、すなわちこれは大がかりな天丼ギャグ!

ホラーな終幕を望んだ方はガッカリしたかもしれないが、私にとっては極上のエンディングでした(^^♪
勇気出してよ

勇気出してよ

小松台東

OFF OFFシアター(東京都)

2014/10/06 (月) ~ 2014/10/08 (水)公演終了

満足度★★★★★

大人の恋愛譚を堪能/約90分
テロップやナレーション、説明的なセリフに頼らず、市井の人々の悲喜こもごもの人生模様を宮崎弁による日常会話のみによって点描画の如く細やかに描き出す小松台東。

恋愛を扱った本作でも説明を極力省く作風は相変わらずで、ために登場人物それぞれの境涯や人物相互の関係性がすぐには見えないが、それだけに“分かってやろう!”と前のめりで鑑賞。

まさしく点描画のようにゆっくり、じわじわと見えてきたのは、登場人物に二十代以下が一人もいない大人の世界。

人生経験を積んで遠慮や気遣い、相手を慮ることを覚えた大人達の恋は直線的には進まず、そのウジウジ、ウダウダした感じはまるで恋愛初心者の中学生の如しだが、それだけに微笑ましく、殊に、慎重で思い切りの悪い男衆にはタイトルと同じ言葉を贈ってやりたい気分に。。。

その一方で、相手を気遣いながら徐々に距離を詰めていく大人の恋って、それはそれで中坊には真似できない渋みがあって素敵だなぁとも思わせてくれる、なかなかに味わい深い一作でした。

押せ押せな恋ができないのは一緒でも、中坊と大人ではその内実が違うのだ!!


役者では、苦境にありながらも持ち前の陽気さで場を活気づけていくスナックママ・沙織を陰影豊かな演技によって見事やりこなしたもたい陽子さんがとりわけ素晴らしかった。

ネタバレBOX

喫茶店主・ユイに惚れた暁(あきら)の恋が実ることを暗示するラストには感動!

それだけに、クライマックス前、ユイさん一筋のはずの暁がユイの後輩・沙織とデートをすることには大きな違和感。

それでもやっぱり佳作は佳作、星5つの評価は変えません。
不謹慎な家

不謹慎な家

PANDA JOCKEY

シアター711(東京都)

2014/10/01 (水) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

櫻井脚本と名嘉演出の取り合わせを堪能/90分強
さすがは櫻井戯曲、設定やストーリーはチラシその他にある通りで、例によって錯雑を極めているが、名嘉演出を通すことで分かり良くなっていた印象。

名嘉さんも得意な男女間の喜劇的愛憎劇ゆえきちんと戯曲が咀嚼・消化されているし、名嘉演出の下では、役者がセリフの一つ一つを噛み砕くようにして口にするので、マシンガントークの応酬みたいになりがちな櫻井演出よりも一語一語がちゃんと心に落ちてくるのだ。

その分いくらかテンポが削がれて笑いは薄くなっていたのかも知れないが、複雑極まり過ぎていて時に可笑しい男女の痴情をみごと言語化した名脚本が、それをきちんと読み解いている演出家と役者によって巧みに舞台化されていて、前傾姿勢で見入ってしまった。

というわけで、オススメッ!!…なのだが、そこはそれ理屈っぽい桜井戯曲、名嘉演出により分かり良くなってはいても、あんまり気を抜いて観ていると話を見失ってしまうのでご注意あれ。

ネタバレBOX

徳橋みのり演じる「みのり」と有川マコト演じる「マコト」。
個人的には、この2人が結ばれて終幕となって欲しかった。
“秋の、死んで貰います祭り!!”地獄の3本同時上演!!!

“秋の、死んで貰います祭り!!”地獄の3本同時上演!!!

good morning N°5

OFF OFFシアター(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/04 (土)公演終了

満足度★★★

『みっともない』を鑑賞。一本くらいシリアスな作品があっても良かったか?/60分弱
藤田記子が作・演出の澤田育子の傀儡となり、捨て身の演技で「これでもかっ!」と笑いを取りにくるコント集的一人芝居。

どの作品も四十路女の自嘲的ギャグに満ち、澤田育子が修辞を尽くしたセリフの数々は味わい深く、かなり楽しめたが、ギャグ無しのどシリアスな作品が一本くらいあったほうがメリハリがついてより良かった気も。

また、「みっともない」というテーマの掘り下げが浅い、短尺な割にチケット代が高い、『愛欲の乱』に比べ全体としての統一性が弱い、とも感じた。

どこをみている

どこをみている

オイスターズ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/10/03 (金) ~ 2014/10/06 (月)公演終了

満足度★★★★

劇団初見。現実味に乏しいキャラ付けがなされたある人物をどう見るかが評価の分かれ目?/70分弱
熟年の作・演出家が色んな役でチョコチョコ出てくるほか、女優も一名登場するが、ベースは青年二名による会話劇。

一方の青年に現実味を欠いたキャラ付けがなされているため、“よくあるシチュエーション”が“ありえないシチュエーション”へと化けていく本作は、一種の不条理劇と言えるだろう。

この“実社会にはまずいないタイプの青年”が壁となり、劇世界にどっぷりとはハマれなかったが、テロップと音楽を効果的に使った演出などにより、最後までなんとかかんとか興味は持続。
結末の切れ味も良く、それなりに楽しめた70分弱でした。

ネタバレBOX

二人の青年の一人である「男2」の受難の劇。

大して親しくもない「男1」にひょんな事から付きまとわれる羽目になった「男2」は、その場しのぎの嘘をつき続けて「男1」をまこうとするが、ネガティブな嘘を真に受けて心配顔で付いて来る「男1」を振り切れず、最後、絶体絶命の窮地に追い込まれてしまう。

その場しのぎの嘘で相手をまこうとするのは“よくあるシチュエーション”だが、嘘の通じない相手に地の果てまで付きまとわれるのは“ありえないシチュエーション”であり、そこまで追ってくる人物もまた現実味に乏しく、ゆえに私は本作を「不条理劇」と呼んだ次第。

常軌を逸した「男1」が「男2」の下手な嘘を真に受け続ける姿勢の裏に何か“深いワケ”があり、それが最後に明かされる展開なら、作品に“人間ドラマ”の趣が加わって、私はこの芝居をより楽しめたかもしれない。

もちろん、「男1」が「男2」を信じ続けるワケが最後まで不明なところに本作の醍醐味を感じる方もおられようが、私はワケが明かされる結末を期待した。

すでに述べた通り、現行の結末もこれはこれで良いのですが。
アリはフリスクを食べない

アリはフリスクを食べない

青年団若手自主企画 伊藤企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

善悪の彼岸/約90分
軽めのタイトルとチラシからそういう作品をイメージしてたら、全然違った。

いや、“軽めの生活劇”みたいな手触りを持ちながら、描かれていることは身につまされてお釣りが来るくらい凄まじく、なんというのか、甘く見ていたホカロンで火傷を負わされたような印象。

人生には誰がどうしたところでどうにもならないことがある。

そのことをイヤっつーほど思い知らされる、ジリジリと胸を焦がされるような劇でした。

私の観た回は七、八分の入りでしたが、もっともっと多くの人に観られるべき作品。

きめ細やかな脚本と演出によって本作を作り上げた伊藤毅さん、一筋縄ではいかない人間の心の機微を精妙極まる演技で表現した役者の皆さんには頭が下がります。

U&D&O

U&D&O

おぼんろ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★

おぼんろはあくまでおぼんろでした。/『黄金のコメディフェスティバル2014』参加作品
コメディフェスの参加作品であることに捉われすぎず、このカンパニーならではの劇世界を展開した二人芝居。

コメディ云々を超えたところで、寓話に託された生命讃歌に普通に心打たれてしまった(笑)。

最初は喜劇鑑賞モードだったお客さんが徐々に静かになっていき、“イイ話鑑賞モード”に入っていくのが興味深かったですw

笑いの含有量としてはおぼんろの本公演と同程度。
ゆえに星は3つ。
ただし、笑い云々を度外視し、芝居としての出来映えだけで評価するなら星5つ!


それにしても、おぼんろはぶれませんね。

コメディフェスの参加作品だろうとなんだろうと、どうしたっておぼんろ作品にしかならないのは末原さんの強固な作家性の証、大会の趣旨に合わせて作品を作るなんて器用な真似の出来ないこの語り部の果て無しの固有性の証だろう。

シャンタンスープ

シャンタンスープ

バンタムクラスステージ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

劇中ネタが秀逸なお笑い界内幕モノ/『黄金のコメディフェスティバル2014』参加作品
コンビ仲がビミョーな準若手漫才師とそのマネージャーを中心に話が進む、お笑い界内幕モノ。

コメディとしては少々ビターテイストが強すぎる気もしたが、劇中ネタの出来映えがとてもよく、それらに大いに笑わせてもらったので星は4つ。

コンビ名がそのまま作品タイトルになっている先述の準若手漫才師、彼らを脅かすニューウェーブコントの二人組、ベタネタと下ネタが得意なベテラン漫談家…どの面々のネタも実に“それらしく”仕上がっていて、笑いながらも感心させられました。

ゲキバカ・ディスティニーランド

ゲキバカ・ディスティニーランド

ゲキバカ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

新原美波さんが良かった♪/『黄金のコメディフェスティバル2014』参加作品
二役で出演した新原美波さんのおきゃんな魅力も手伝い、微笑ましい青春回想譚として楽しく鑑賞。

本作でこの女優さんを知ることができたのは大きな収穫。
とりわけ、同級生の男二人を「ガッツでホイッ!!」と元気に励ます、太陽のように明るい九州弁の女子高生役にはときめきました。
こりっち手塚さんが女優としての彼女に勝手に個人賞を捧げたのも無理からぬ話か?

長じて探偵となる男子学生を演じた伊藤亜斗夢さんの怪演に笑いの多くを負っていたのが惜しまれますが、それでも笑わされたことにはかわりがないので、星は4つとします。

殿(しんがり)はいつも殿(との)

殿(しんがり)はいつも殿(との)

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

私はこれに投票。祝・グランプリ!/『黄金のコメディフェスティバル2014』参加作品
チャンバラシーンはあるわ宇宙船のシーンあるわ、八方破れでどうなることかと思った話を実に上手く着地させていてお見事!

ギャグも役者酷使ネタなどドタバタ色の濃いものから下ネタにブラックジョーク、知的でスマートなネタまで振り幅大!

物語にもギャグにも見られるハンパないレンジの広さが吹原作品の魅力ですな。

ハッピーちゃん

ハッピーちゃん

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★

お掃除ロボのキャラ造形に難?/『黄金のコメディフェスティバル2014』参加作品
発想はとても面白かった。

なのに去年の優秀賞受賞作『狸のムコ入り』ほどの爆発力がなかったのは、小早島モル演じる“未来のお掃除ロボット”のキャラクターをロボット寄りに設定しすぎたのが一因か?

ロボットなのに人間のように振る舞うところがこのキャラクターの面白味だが、抑揚のないロボ語で喋ったり、機械らしくカクカク動いたりと、まだまだ“ロボ臭”が強すぎた。

ロボットっぽいのは見た目だけにとどめ、もっともっと人間らしく振る舞わせたほうが話が作りやすくなり、劇は盛り上がったのではないだろうか?

個人的には、トカゲがまるで人のように考え、悩み、時に間抜けな行動に走る、『ごっつええ感じ』の“トカゲのおっさん”のような面白さをもっと強く打ち出して欲しかった。

さらに言うなら、ほぼ全キャストが揃い踏みして繰り広げる“超ドタバタシーン”が無いことも、本作がいまひとつハネなかった理由の一つかも。

『狸のムコ入り』にはそのようなシーンがあり、あの場面が劇の起爆剤になっていた。

黄金のコメディフェスティバル2014

黄金のコメディフェスティバル2014

黄金のコメディフェスティバル

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★★

観客賞と最優秀作品賞が一致してひと安心
…というのが今の私の素直な心境。
“同一団体2年連続オンエアでは番組的に盛り上がらない”との大人の事情により、BS日テレで放映される“最優秀作品”には昨年グランプリに輝き本年観客賞を手にしたポップンマッシュルームチキン野郎ではなく、他団体の作品が選ばれるのではないかと危惧していたのだ。

が、蓋を開けてみれば、今年も去年同様PMC野郎が観客賞と最優秀作品賞を同時受賞。
私はこれで良かったと思っている。

というのは、こう言ってはアレであるが、コメディの実作者がラッパ屋の鈴木聡さんのみという現行の審査団に、観客の評価を覆してまで他団体に大賞を授ける資格があるとは到底思えないのだ。

観客賞に審査員のお墨付きが加わったのが最優秀作品賞。
これで良いのではないか?

何らかの大人の事情が働いて観客賞と最優秀作品賞の不一致が起きる時。この時をもって当フェスは死ぬものと私は確信している。

と、“大人の事情”なるものを思いっきり否定しておきながら、一方、演目の選定についてはもっと大人の事情を働かすべきだったのではないかと私は考えている。

大会主催者と出場6団体代表者による制作会議が何度も開かれたという割に、作品の傾向が偏りすぎているのだ。

6作品中、SF要素を含むものがなんと5作品。SF要素を含まないのはバンタムクラスステージ『シャンタンスープ』のみ。
しかも、SF要素を含む5作品中、3(4?)作品に“時間移動モノ”の要素あり。

これでは客は飽きてしまう。

ここは“大人の事情”を働かせてもっとバランスの良いプログラム編成にすべきだった?

“秋の、死んで貰います祭り!!”地獄の3本同時上演!!!

“秋の、死んで貰います祭り!!”地獄の3本同時上演!!!

good morning N°5

OFF OFFシアター(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/04 (土)公演終了

満足度★★★★★

『愛欲の乱』を鑑賞。満喫!/約100分(←澤田さんは90分に縮めたいそう)
澤田育子や藤田記子、野口かおるらの熟女優が悪ふざけの限りを尽くしてなんとも愉快!
前作『ジャンキージャンク・ヌードット』同様、今作も女が女を捨てて繰り出す体当たりギャグに満ち、それはそれでむろんのこと楽しんだが、個人的には、澤田育子と野口かおるがしゃべくりだけで魅せるくだりが一番好き。

今作はオール女性キャストとあって、激しくも妖艶なダンスシーンにも魅せられました。

ネタバレBOX

澤田&野口扮する役所勤めの女二人が、どんどん幸せになっていく同僚(藤田記子)に嫉妬して次々いやがらせをしていくお話がメインストーリー。
このいやがらせがなんとも幼稚でくだらなくて、最高に可笑しかった。
騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

騒音と闇 ドイツ凱旋ver.

革命アイドル暴走ちゃん

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★

劇団初見。イキっ放しってこういう感覚!? エクスタシーが止まらない!!
狂躁状態、イキっ放しのパフォーマンスが四五十分間絶え間なく。。。
男のオーガズムは一瞬、女性のオーガズムは延々続くと俗に言われるが、女性の作り手だからこそこういう公演がやれるのかもと愚考したりも。。。

ともあれ、全方位から大量の水、ワカメなどが飛んできて、貸しレインコート着用でも財布が濡れたりとかなりの代償を払いはしたが、女性主体の若いキャストが“男好きする或るコス”などをまとい、客席と舞台の垣根なく振り切れたテンションでがなり、乱舞する姿に、一おいちゃん客として恍惚とした気分に。。。

星3つにしたのは、毒食わば皿まで、“もっと振り切れても良いのでは?”との思いから。

…あ、先の“男好きするコス”をはじめ、クールジャパンの打ち出し方もなかなかでした。

ネタバレBOX

“男好きするコス”とはスクール水着のこと。
私は特段好きでもないけど、特段嫌いでもありません。
非常の階段

非常の階段

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

「悪と自由」を前作よりも巨視的に捉えている印象
「悪と自由」3部作の2作目となる本作は、1作目にあたる前作『ぬれぎぬ』が単独犯罪者という個別の悪人を描いていたのに対し、組織犯罪グループという“悪人集団”を描いているのが大きな特徴。

描写対象が大きくなったのに合わせたかのように、今作ではより巨視的に悪が捉えられていて、悪者グループの構成員がグループ全体の中でどう生きているのかが描かれているのに加え、悪徳組織というものがなぜこの世に生まれるのかが示唆されてもいて、とてもとても考えさせられた。

その答えは明示はされず、上述の通り示唆されているだけなので、本作はそうした問題を考える良い端緒になるのではないだろうか?


なお、アマヤドリ2作目の私は、前作にはなかったダンスシーンを今回初めて拝見。
躍動的で引きつける上、動きが揃っていて美しく、アマヤドリが語られる際に必ずダンスへの言及がなされるワケがようやく理解できました。

ネタバレBOX

アフタートーク付きだった9月14日のソワレを鑑賞。この回を観てない方のために記しておくと、本作、太宰治の『斜陽』をモチーフの一つにしているそう。
私は読んでいながら全く気づきませんでした。。。
デジタル

デジタル

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

戦争が他人事ではない時代の青春模様/約60分
「他人の見ているものが見たい」
「他人に見えているものと自分に見えているものは違うんじゃないか?」
こうしたテーマの掘り下げは正直、あまり上手くいってなかったと思う。

ただ、人間ピタゴラスイッチ的な試みは面白いし、今より戦禍が広がった近未来世界の日本が舞台の若者群像劇としてとてもよく出来ている。

戦争が身近になったがゆえの焦燥、不安、やるせなさ、そして、死を意識するがゆえの生への愛しさが照明なども上手に使って巧みに表現されていて、知らず知らず見入ってしまった。
どちらかと言えば焦燥や不安よりも生への愛しさに重点が置かれ、全体にそこはかとなく前向きな感じがするのが何よりいい。

ネタバレBOX

主人公の職業を、戦争負傷者を主な商売相手とする義肢装具士とした点に感心。
戦争と緩やかにつながっているこの職業に就かせたことにより、主人公たちの生きる世界と戦争との間に近すぎず遠すぎない微妙な距離感が生まれ、それが作品に独特の面白味を与えていた。

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