赤い鳥の居る風景 公演情報 世田谷シルク「赤い鳥の居る風景」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    堀川流のケレン味を控えめにし、割合真っ直ぐな演出で原戯曲の倫理観をきちんと表現/約120分
    不条理劇と称されがちな別役劇だが、本作は不条理劇の装いをした人間ドラマ。
    どこか寒々しい他の多くの別役作品と違い、本作には人肌の温もりが感じられる。

    それを堀川炎が持ち味のケレン味を抑え気味にし、割合ストレートな演出で端正に表現。

    結果、原戯曲の持つ独特の倫理観がきちんと伝わる好編に仕上がっていて、私は満足。

    主役の姉弟の姉役を演じた百花亜希の実直な演技にも好感。

    ただ、1968年の作とあって風俗描写などに古めかしさのある本作に、何人かいるイマ風の見てくれの俳優は不似合い。ここは、現代性も古さも感じさせないニュートラルで没時代的なスタイリングやヘアメイクを模索して欲しかったところ。

    また、世田谷シルク用語で言うところのオドリコの起用法が適切でないシーンがあることも惜しまれる。

    本作には堀川さんにより独自の枠付けがなされているが、その枠を食い破るような力強さが、別役作の原戯曲には感じられた。

    ネタバレBOX

    姉弟とその父母に客人が加わっての晩餐シーンは重要な場面。
    ここは、オドリコが踊りながら役者の口パクに合わせて喋るというケレンがかった演出は避け、ストレートな演出できちんと会話を聞かせて欲しかった。

    また、姉が弟に独特の“人の道”を説くこれまた肝要なシーンの一部を、足を踏み鳴らすダンスが邪魔していたのも残念。ここもやっぱり、ちゃんとセリフを聞かせて欲しかった。

    せっかくケレンを控えめにしたのに、大事な2シーンがともにケレンやショーアップによって伝わりづらくなっているのは痛恨。

    多分、 会話主体の劇が粛々と進むだけでは飽きられそう、と考えたのだろうが…。

    ただ、脚立を鉄格子に見立てる工夫、弟の射殺シーンで使われる影絵的手法などは秀抜。

    特に後者は大きな劇的効果を上げていた。

    こういうのは「ケレン」ではなく「アイデア」と呼びたい。

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    2014/10/14 00:49

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