死ぬまでに一度でいいから、ロマンス・オン・ザ・ビーチ 公演情報 20歳の国「死ぬまでに一度でいいから、ロマンス・オン・ザ・ビーチ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    兄のキャラ付けに難あり/約135分
    20歳の国は3作目。
    これまでに観た中ではいちばん残念な出来だった。

    まず、“夏の歌謡曲”をバックにしてのダンスアトラクション。
    これに劇の一部を受け持たせて話を先へ進めていく手腕には感服したが、能天気な曲に合わせて陽気に踊るパターンばかりで、途中から食傷。
    これに、何度も蒸し返される大同小異の“人生談議”が相俟って、全体に単調かつ冗長な印象が否めなかった。

    フォーカス対象が誰なのか曖昧なのも問題。色んな人物を写そうとして、結果どれもピンボケになってしまっている感じ。

    タイトルから、私は主に“童貞の兄”へ着目しつつ鑑賞したが、兄については、キャラクター付けにも難を感じた。

    ネタバレBOX

    童貞の兄は28歳。
    この若さで末期ガンと判り、純潔なままで死ぬのはイヤだ、とあがいている。

    そんな兄を見て思ったのは以下のこと。

    「女を知らないまま死ぬのはイヤだ!」と声高に叫ぶようなキャラ付けは避け、そうした気持ちを胸に秘める奥ゆかしいキャラ設定にしたほうが物語に奥行きが出て、作品はより良くなったのではないだろうか?

    もっと控えめなキャラ付けをしていれば、早く男になろうと焦るあまり実の妹を姦ろうとする荒唐無稽な展開も多分避けられたに違いない。

    そもそもこの兄、明るいのか暗いのかを筆頭に色んなことがあやふやで人物像がはっきりせず、感情移入がとてもしづらい。

    作・演出家は兄のキャラ付けをするにあたり、もっと慎重を期するべきだったと思う。

    兄と好対照なヤリチン弟のキャラ設定にはまだしも一貫性が感じられるが、その一貫性を崩したのが、兄の死後、弟がチャラ男の仮面を脱ぎ捨てて秘めたる悩みを父に打ち明けるシーン。
    そうした悩みを自分からは打ち明けず、図らずも露呈させるほうが彼らしい。

    ついでに言えば、痩せ我慢の果てに悩みが漏れ出してくるほうが、多分より強く観客の胸を打つ。

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    2014/10/11 01:46

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