たんぽぽの観てきた!クチコミ一覧

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東京学生演劇祭2015

東京学生演劇祭2015

東京学生演劇祭

王子小劇場(東京都)

2015/09/19 (土) ~ 2015/09/23 (水)公演終了

観劇レポ
学生演劇祭というより、演劇祭というものには、
なんどか観客としてかかわることも多く、知り合いを通して運営する側にたつ人の気持ちもわかる。

だからこそ、なるべく客観的に芝居を観たいと思って楽しませてもらいました。

ネタバレBOX

 学生の演劇祭はこれまで何度か足を運んだことがあるが、今回はそのレベルの高さに非常にうれしくなりました。Aブロックは、the pillow talkさんが静の芝居に対し、創像工房 in front of.さんが、動の芝居をなさっていて、どちらも方向性は異なるものの、世界の描き方は洗練されたものでした。Bブロックは、劇団ガクブチさんは何気ない生き方を、劇団リトルスクエアさんは思想を持った生き方を、そしてどちらもその先の生き方を描いている。すべての作品で単純にハッピーエンドとはいえない社会の本質というか生き様に目を向けている。
 舞台観の話になると、単純な黒舞台に物はないという上で、前提となるのは、客席と舞台の位置関係だけであるので、その状況で空間をどう演出してどのアングルで切り取るかで舞台の雰囲気はまた変わってくる。その点に関しては、普段どういう環境で舞台を作ることが慣れているかという個性が表れていたように思う。
 来年度以降も開催が決定されているとのこと、学生という都合、これらの団体が集まって演劇をやるのは一期一会になる。4つの多様な芝居から、自分の創作に、生き方に、何らかの影響を与えあう、そんな経験になったのではないだろうか。
(495)
・観劇した団体の感想(200字以上)
 A-1 the pillow talk(早稲田大学) 「砂」
 空間を用意することから始める。この舞台では、生徒会の副会長が部長会のために部屋の準備をするところから始まる。演劇部、バスケ部、文芸部と陸上部、そして、サッカー部、女子バスケ部。そして、ネオスポーツ部。様々な思いを持った人が、「部費」のために、「話し合い」をする。「生徒自治」、自主性を重んじる校風から、ネオスポーツ部の存在がバランスを壊していく。みんなみんな結局は自分のことしか考えてないけど、やっぱりそれはふつうのことで、そんな日常を描いた芝居なのだ。また、ラストのシーンは、本当に上手に終わらせたと感じた。緊迫した空気とどうしようもないこと。それらを、部長会の終わりとともに、また、一人の人として物事を受け止めるという、いわば始まりに帰っていくような構造には、何とも言えない現実に気づかされたように感じた。
 先生は「思想をもたない権力者」で、部活としては実績が大事で、生徒会は選挙で選ばれていて、演劇部は「中の上」で。その話の背景には、退学にされたカリスマ的なバスケ部の先輩がいて、誰が悪いとか、物語の始まりとかなくて、よく考えてみれば、この物語に主人公なんていないのではないかと思える。その意味で、社会の形を高校生活というものでよく表している。ただ、大学生が高校生を演じているという部分では、機能的な会話が多くて、設定を大事にするならもっとくだらない中身のない会話があってもよいように思えた。
 A-2 創像工房 in front of.(慶應義塾大学)「僕僕僕僕僕僕僕」
 夢と現実。監獄の生活と、「僕」の島。ここじゃないどこかに行きたい。そんな話。
 徴兵制のある世界で、世の中は生きにくいと感じている「僕」の物語、もしくは、少年のいる島に少女がやってきた話、もしくはそんなことすら夢なのかもしれない。演劇なんてそんなものだとも思うが、私は、「胡蝶の夢」を思い出した。なにが現実なのか。
 少女のセリフの「世の中に合わせて、自分を腐らせる」という言葉に、妙に納得してしまった。世界が腐っているなら、私たちはそれに合わせて腐ることも生き方なのだ。
 どんな理不尽なことがあっても、それはもしかしたら夢かもしれない。
 舞台空間としては、段差が高低差を作り、上下関係と遠近感を作る。ダンスやセリフの勢い、転換のスムーズさは時間や空間の演出の技量の高さなのかもしれない。マイクという武器も用いているのは、実に爽快で心地よい。演劇的な無理を突き通すのに、これぐらいのパワーは必要だと思う。けれども、その一方で、演劇的な無理は、劇場の外では通じないから、様々な並行世界を描くには、もう少し落ち着かせる部分があってもよかったのではないかと思った。自分にとって都合の良い世界なんてないのかもしれない。でもこれは、「僕」による「僕」のための「僕」による物語なのだから、これでよいと思う。
 B-1 劇団ガクブチ(立教大学)「∫f(三人兄弟)dx」
 床には布が敷かれ、それは、室内を作り、内と外を作っている。男二人が左右に、女が一人奥に座り込んでいるところから始まる。パントマイムを多用していて、この舞台空間を役者本来の力で挑んでいる。全体的なイメージとしては、舞台空間のバランスをとても慎重に扱っている。照明の明暗や、舞台を左右に分けるなど実に器用である。
 3という数は不安定である。一人と一人が話していると、余った一人は聞き手になる。三人称だってそうだ、自分と相手、あとはそれ以外なのだから。関係の中で自分は不在になるから。でも自分は彼らの中では存在しているらしいから、その「すき間」をみつけるために、「自分探し」にでる。そこで出会う「ドッペルゲンガー」。これは想像ですが、兄弟の交換が受動的出来事ではなく、能動的な出来事として描ける可能性もあったのではないかと感じました。最後の終わり方は、能動的な選択で終わらせている。気持ちのゆがみ、可能性を消すということ、それは、私の居場所を作る物語。
 自分探しという普遍的なテーマを学生の目線で扱うことは、同世代の大学生たちにも、共感しやすい内容で、学生演劇らしいとも思える。自分の存在をどうやって維持してどう形作っていくかというのは大事で、独特のモラトリアムのなかで演劇をしていくなかで、それなりの答えに出会える気がしてくる。
B-2 劇団リトルスクエア(上智大学)「騒擾の犬」
 下手の障子、下手前に花瓶。上手に布団、上手前に机。時代観をよく表した配置で、服装も昭和初期をイメージしたものになっていた。共産主義と漫画家、それを取り巻く人々の生きざまを切り取った作品。特高に情報を流したスパイは誰かということを明らかにするということを中心に話が進んでいく。共産主義という思想と、それを認めない世界。また、生きるということ、命を大事にするということ根源的な願い。そして、漫画家という表現者の選択。それらが絡み合って、様々な思いが物語の真実を明らかにしていく。
 会話を中心に、世界観に合わせて、話を作り上げていくという基本的な部分がしっかりしていて、どんな人でも話に入りやすい。劇全体として、ろうそくの光を使って開始と終わりを作ることで、独特な雰囲気を作っている。
 漫画家先生と恋人、編集と助手、近所の看護師と、特高。共産主義という思想のためにつながった人々の、明かされていく事実に観客は驚かされる。基本的に編集さんの勘違いで、物語は進んでいく。しかしながら、舞台が単純化されているので、舞台上にあるものから、物語の内容が想定されてしまうことに関しては、まだ、考える余地があったように思う。舞台上の物だけで完結するということは、舞台上の点と点をつないでいくようで、もう少し物語に妄想する要素があってもよいとも思う。
アダムの肋骨

アダムの肋骨

劇団肋骨蜜柑同好会

王子小劇場(東京都)

2015/04/01 (水) ~ 2015/04/05 (日)公演終了

満足度★★★★

フジタさんの世界
何作品か観させていただいて、その作品が偶然ではなく、ある意図をもって、「そうなっている」ことに気づく。
芝居がなんだか、舞台がなんだかを考えさせられることになる。
演劇は常にだれかに観られている。
しかし、われわれ客は、その舞台を見せられているということを忘れがちである。

ネタバレBOX

芝居のモチーフ(ネタ)に気づいて、ますますその世界観に引き込まれてしまった。私はいまこの作品に出会えてよかったとただ思う。
なぞもの

なぞもの

上智大学劇団リトルスクエア

上智小劇場(一号館講堂)(東京都)

2013/11/29 (金) ~ 2013/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★

生きる意味
少々哲学である、いや、学問である。
勉強する。これから先は?
意味、理由を探すはなし。

就活始まるこの時期に、なんとも考えさせられる舞台。

好きな雰囲気の照明だった。

ネタバレBOX

常に未来ばかりに「いま」を決めさせられて、結局私たちはどうするのだろう。どちらにせよ現実を叩きつけられる。ならば、いま何をするべきか。
学門とか生き方というより、いまここで演劇をしている学生にはどこか共通したテーマだと思う。
なぜ、誰のために、何を伝えるのか?

答えなんてわかるとかわからないじゃない、わかると思ってもわからないと思っても、思い込んだら止まってしまう。
そのどちらかに近づこうとする過程のなかで人はいろいろ学ぶのだろう。

だから、最期は、こういう舞台の感じで悪くないと思う。

あと、舞台と照明について。
中央の棚の使い方は、もう少し工夫できたと思う。舞台の中心を決めているし、最後の幕との兼ね合いも出来たら素晴らしい。

照明的には、全体的に、役者にかかるピンスポットがもったいなかった。役者はもっときれいに入ってほしい。
あと、色使いは好きだったが、すこしこだわり過ぎているようにもみえた、色ののりかたを重視するか、バランスを意識するかは、演出次第なのかもしれないが、すこし気になった。
あ、あと、開場中のスモーク量は多すぎるように感じた。空調の都合もあると思うので、調整できると良い。




ま・ん・だ・ら

ま・ん・だ・ら

劇団肋骨蜜柑同好会

王子小劇場(東京都)

2013/09/19 (木) ~ 2013/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

ちょいと縁ありて
ここに感想を書くのは、というより、言葉にすることがもったいないように思う。
えがきかた、捉え方、並べ方。
上手だなぁ...と素直に思ってしまった。
というよりも、自分と感覚が近いせいだろうか...途中から自分が客席以外の場所にいるような感覚だった。
狭いようで広くて、独特な密度の舞台空間に、なにかどこかむず痒い気持ちになった。
好きな舞台であるが、以下割愛する
言葉を使いすぎたくない。

よわくてニューゲーム

よわくてニューゲーム

学習院大学演劇部 少年イサム堂

学習院大学富士見会館401 アトリエ(東京都)

2013/09/26 (木) ~ 2013/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★

人生はHard mode!!
予定がなかなか合わずに、久しぶりにアトリエに観に行かせていただきましたけど、同じ脚本家のうった去年の9月公演をなんとなくおもいだしながら、観てしまいました。

たとえ、ありきたりな設定だとしても、それをどう演出して、何を伝えようとするかは、その団体次第だし、それをどう解釈するかも観客次第。

ところどころ、もっとよくできる部分があるように思えた。
もっと良い意味で「自己満足に」、客に「魅せつける」芝居をやれる団体だと思いました。

ネタバレBOX

ネタバレというよりは、細かい話になってしまうのだが。
舞台上での動きは、演出もイメージをもってつけるが、場転やシーンのつなぎ目は通しの時にしか意識がいかないし、実際の舞台の見切れ幕やパネルへの配慮は案外おろそかになりがち。
懐中電灯やプロジェクターのような照明は、演技しやすいような(またこうあるべきという)機能ばかりに目がいって、空間的にそれがどう見えているかということが頭から抜けていることが多い。
↑思わぬ反射光や、必要以上に強い光になっていることもある。

このことは、ゲネなどで、身内が観たときのイメージを参考に公演までに調整しておく必要がある。

さらに、外部から初めてこの団体を観に来てくれた人のことをもう少し意識して欲しい。
稽古を重ねていくうちに、アドリブや普段のくせ、脚本or演出家または役者本人の思いつきで、演技が増えていくかもしれないが......
その面白さがどこから来るのかを時々冷静になって考えてみるのも大事ですよ。そのキャラに笑っているのか、それとも、その役者さんに笑っているのか...。

上から目線に、稚拙な物言いとご無礼を...
ただそれだけ期待させていただいております。
Cracker x Jacks

Cracker x Jacks

劇団禄盟漢

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2013/08/11 (日) ~ 2013/08/13 (火)公演終了

満足度★★★

三人よればなんとやら。
あらすじの通り、偶然出くわした三人組。
つながるギミックと伏線
話の流れは、突飛ではなく、繋がっていくことで納得できるし、痛快である。
少し分かりやすいように思えたのは、考えすぎなのかもしれないですかね。

ネタバレBOX

個人的な感想になるが、期待しすぎていたせいか、
少しもったいない気分がした。

ひとりひとりの役が明確過ぎるのか、裏表で収まっていたからか、はじめのシーンを説明するかのような芝居になってしまっていた。
この役者数なら、もう少し話をかきまぜても良かったように思う。
鉄の時代

鉄の時代

劇団霞座

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/08/09 (金) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

フライヤーを見て
とても気になっていた。SAFだし、静かそうな劇だと思い、明治系列の劇団を思い出し、雨の中、観劇に向かった。
流れるような「かたり」に耳を傾けながら、頭に響く恒常的な音とピアノ。
壮大な物語のようで、至極小さなことを言っているような、
心に響くセリフに、考えさせられた。

ネタバレBOX

一時間という長さでありながら、隣席の人がとても眠そうにしていた。
音響の心地よさが裏目に出たというべきか。
ただ、かき混ざる空間の断片はカタマリでしかないので、単調にも見える。
初めから最後まで一貫したスピードで流れるものがたりは、難しいのかもしれない。
先を考えさせるというよりは、今起きていることを考えさせる舞台は、単調だと、退屈にも見えるのかもしれない。
KIDS

KIDS

四次元ボックス

JOY JOY THEATRE(東京都)

2013/08/10 (土) ~ 2013/08/12 (月)公演終了

満足度★★★★

会っておきたい公演
公演を観ると、知っておいた方がいい公演と会っておいたほうがいい公演、そして、そのどちらでもない公演があるように思う。
この公演は、会っておいたほうがいい公演。

舞台をとおして、自分を考えさせられた。これは大事だと思う。
何かを表現するというのは、空間から作るというよりは、想いから作るものなのかもしれない

ネタバレBOX

スーツ姿、時間軸の移動、転換。
物書きという職業。
どこまでが現実で、どこまでがつくられたものなのか。
創作する人間ならば、どこまで自分に都合がよくあってもいいのか、作ることで、それと向き合わなければならないということが、鏡に映った自分自身からわかった。
そこで、王たちはいなくなった

そこで、王たちはいなくなった

劇団回転磁石

北池袋 新生館シアター(東京都)

2013/07/19 (金) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

相変わらず好きです。
昨年の池袋のSAFで出会って以来、好きな劇団です。
それから三作品目となると、ある程度いい意味でも悪い意味でも、やり方が想定出来てしまうので、何とも不思議な気分で観させてもらいました。
アンケートにいろいろ書かせていただいたので、細かいコメントは割愛しますが、物語の視点や発想は、やはり私の好みです。
ダンスやそれを彩る照明もなかなかでした。

また次回も観に行きたいです

WARRIOR

WARRIOR

創像工房 in front of.

慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館(神奈川県)

2013/06/25 (火) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

3プロさん。
新人公演、日吉、ナックス、殺陣。
年始に観て以来なかなか来れなかった創像工房さん。

確かにまだどことなく不馴れな雰囲気もあったし、小道具とかの扱いも「ん?」って感じる瞬間もあった。

かっこいい芝居でしたよ。
どなたでも楽しめる公演だと思います。

燃えない家族と燃えるごみ

燃えない家族と燃えるごみ

劇団綺畸

駒場小空間(東京大学多目的ホール)(東京都)

2013/06/06 (木) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

燃えないゴミみたいな気分
最近部屋の片づけも心の整理も全くできず、情緒破天荒な日々を送っていた自分は偶然にも綺畸さんフライヤーに出会い、観劇することとなったが。
あの舞台構造、舞台美術。
はっきりいってなんかわくわくした。
印象的な雨も忘れない。
独特な雰囲気が好きでした。

ネタバレBOX

といっても、Twitter上でもRTによっていろいろな感想が流れてきたが、
やはりわかりにくかったようにも思う。
絡まり合うツタのように、よくたどればゴールがしっかりみえるのだが、いかんせん舞台というリアルタイムで物語が形成されていく場所において、あれほどのものは、理解しがたいかもしれない。
場面転換がスムーズに行われていたのは、とてもよかったのだが、場面転換でどこまで何が変わったのか(場所、時間)が誰も提起しないので、
そこが客にゆだねられた。
しかもあの役者数なので、たぶん多くの人は、理解したと思った時には、半分近く話が進んでいたかもしれない。
話はとても好きなんだけど、もう少し工夫が欲しかった気もいたいます。
イカルスの星

イカルスの星

ヅカ★ガール

小劇場 楽園(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/22 (土)公演終了

満足度★★★★

賛否両論あると思いますが。
役者の方々の演技を観て、心の動きを感じ、表情の変化に、次のシーンをイメージする。錯綜する思い。絶対的な存在。
大事な要素である、「ヅカ」も「女子プロレス」も曖昧なイメージしか持ち合わせておりませんが、なんとなく近いものを感じました。
もしかしたら、物足りないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
だけど、それはこのストーリーが分かりやすいからだと思う。
わかりやすい舞台なら、役者のことを観るのが定石かと。
ぜひ複数の視点から見たい舞台です

ネタバレBOX

上智の流れで、縁をたどり観劇させていただきましたが、
どこか対面式の演出から楽園特有の2面と柱の構造に「合わせた」ような演出に感じました。小屋に合わせて演出を変化させることは大事ですが、あそこまで大入りの客席には、いささか対応しきれていなかったようにも感じました。
良い意味でも悪い意味でも、汚い役がなかったし、見ごたえはあったけどどこか臨場感がもう少し欲しかった。
私個人としては、知っている役者方の舞台ですから、コンテクストのようなものがあるが、それがない人には、どこか退屈に見えてしまうのかもしれない。
わかりやすくて、きれいな舞台は、一般ウケは良いかもしれないが、「ヅカガール」という名前にまだ少し負けてしまっているようにも感じた。
マジョババさんのお菓子なパーティー

マジョババさんのお菓子なパーティー

劇団テアトルジュンヌ

立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)

2013/05/02 (木) ~ 2013/05/04 (土)公演終了

満足度★★★★

マジョババさん と おかし
折り込みでフライヤーを見たときは、さほど印象が強くなくて、スルーしそうになってしまったのですが、ジュンヌさんを観てみたいという気持ちで観劇。

どこかロジカルで、とってもメルヘンに見せかけて、考えさせられるストーリー。いきいきしてるけど、どこか嘘がある気がして、それでも、時間が流れていく。
どこかおかしな世界のはなし。


ネタバレBOX

世界観やキャラクター、プロット、演出。
個人的には、空間レベルで好きです。

アンケートにもいろいろ書かせていただきましたが、
もう少し多くのキャラを解決して欲しかった気もします。

あと、場面の繋ぎかた、具体的には暗転とピンスポのあとが少々雑なように感じました。
偽典・地獄変

偽典・地獄変

鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず

pit北/区域(東京都)

2013/04/12 (金) ~ 2013/04/14 (日)公演終了

満足度★★★

ニカイの観劇を勧められた。
なんだかんだ交友のあった劇団だったので、
主催にどこから観るのがおすすめか聞いてみた。
「ニカイの観劇」を勧められた。

二階席から全体を観るか、一階席から殺陣などの動きをみるか…
要するに、一度じゃ満足できない舞台だったようだ。

twitterをもちいた情報宣伝がかなりなされていたので、
期待しすぎていたのだが、実際オペ卓前というなかなか周りが見えそうな席を陣取ったのだが、伏兵がいた。
なかなかでかいスピーカーさんがいて、上演中ずっと右側の音はスピーカーだけでした。

ネタバレBOX

高さのある小劇場特有の舞台空間で、殺陣をやることの大変さは、なんとなくわかっていたが、ジャパニーズカタナソードや鉄パイプの動きには少しはらはらした。

セリフの混ざり合う感じ。
話の壊し方、いや、修正の仕方はなかなかのものだった。
彼らの出身団体の演劇を思い起こしていたほどであったが、ただリアルな速度と密度、重さがある芝居は、慣れてない人間には、すこし疲れてしますかもしれない。

あえて言うならば、芝居の速度変化をあえて強めにやるとまたテイストが変わったかもしれない。
うそつき

うそつき

踊れ場

RAFT(東京都)

2013/04/03 (水) ~ 2013/04/08 (月)公演終了

満足度★★★

偏見かもしれませんが。
RAFTさんで演劇観るのは、たしか2度目なのですが、どちらかというと素舞台に向いていて、客と役者の距離が近く、独特の一体感、緊迫感が作れる、とても演出を魅せるのに向いているところだと思ってます。

今回の作品は、脚本がアマヤドリさんということで、
キャスティングや舞台効果など、とてもわくわく期待して観劇させていただきましたが……
個人的には、脚本(言語的な部分)に頼った演出になってしまったように思います。
時間及び空間の設定を言葉に任せて、ムードや変化のレベルの舞台効果では、やはり役者がいかに良い演技をしても、その舞台空間は客席に似たものにしか成り得ないような気がしています。
「ここ」とは違うただの日常空間を演出するというならば、客席との差異はあまり要らないのかもしれないが、やはり独特な空間を作るならば…「そこ」に、思い描く空間を作ることだけでなく、客という存在が観ている空間があることをもう少し意識した演出で観たかった。

ネタバレBOX

全方向に客席がある舞台は、客の向かいにどうしても客がいるのだがら、やはり、その空間の管理という部分に違和感を感じ始めると、良い舞台も魅力が半減してしまう。

私は、役者の語るストーリーを聞きに劇場に足を運ぶのじゃなく、その物語が生まれる空間を生で感じるために行きたいです。
人魚の薬 -雲の上編 海の底編-

人魚の薬 -雲の上編 海の底編-

たすいち

シアター風姿花伝(東京都)

2013/04/01 (月) ~ 2013/04/07 (日)公演終了

満足度★★★★

海の底編
知り合いに勧められて、当日思い立って稽古後に下落合からダッシュで風姿花伝に行きましたが…劇場に入って、舞台美術を観て、とても期待が膨らみました。
照明の配置、ハケ口、高低差、様々なところから、わくわくして、芝居が始まり、その照明のプラン(使い方)に、圧巻されました。

勝手ながら、演劇というとセリフとか感情のこもった演技とかいって、べたでありきたりな演技より、様々な幅を利かせた演技を好むような気がしていましたが、
回り道とか逃げみたいなことせず、素直にベタな演技を本気でできたらさぞかし面白いだろう。って思えた「舞台」だった。

ネタバレBOX

片方の話しか見ていないから、話が不明瞭なところがあるのだろうか?

話の最終地点を観たうえで、最初の地点とつなげようとしたとき、観客の知識(観た情報)では、論理に説明しきれない。そんな悲しい話があるように感じた。

ベタな関係性を描くうえで、キャラの関係性はとても大事だし、ここの個性も強めで引き立つぐらいがいいのかもしれないが、閉鎖的な空間で濃いキャラしかいない状況だと、ただの人間を描くのには、バランスをもう少し考えて、少人数で話を展開できたほうがいいかもしれない…ここら辺は人によるのかもしれませんが。
その字 美し 麗しの君

その字 美し 麗しの君

天丼

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★

定点観察
劇場に入って、一目舞台を見たときに、もしかしてと思ったことが、半分当たっていた。

舞台の魅せ方を予感させる、大道具の配置、真ん中の空間。
たぶん、場所があまり変化しない、「定点観察」のような舞台だと思った。
しかし実際は、時間や空間を役者を用いて演出していたので、一本取られた。
台詞や間、ダンス、それらがストーリーを壊さず、逆に生き生きと楽しいものにしていたのが、とても印象的な芝居だった。

ネタバレBOX

定点観察な舞台はとても簡単だけど、逆に言えば、空間を切り取って回想や精神世界のようなものに頼らなくちゃいけばくなる。
さらに、時間のたち方が不明瞭になり、上演時間そのもの(要するに実際の時間)が長くなってしまうこともある。
あと、閉鎖空間における初期状態が少々なれなれしいイメージになることがある。
(たぶん)一般的な客は、主人公の近くから物語をみる。
そうすると、ストーリーの始めのほうに出てきて場転してもその人物がいる、そんな人物に視線が向けられる。
そして、その人物が自分の想定の外に出たとき、はじめて違う視点を探す。

今回の舞台を、楽しくしようとした、動きやくせなど一人一人のキャラがそれぞれのやり方で、ストーリーに色を付けていた。
だけど、ストーリーと楽しさのバランスが崩れると、中途半端でつまらない舞台になってしまいます。
個人的には、楽しさを深追いして、結構終盤あせって終わらせたように感じてしまいました。
だけど、ところどころから感じる演劇が好きだという思いに、観に行ってよかったと思いました。
男的女式

男的女式

劇団トキ

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★

人間関係がカギ。
会社、家庭、過去。本当の自分。
個人的には、「人形の家」を思い出したのですが、少し違いました。

仕事のできる夫を持つ女、別に不自由しない。
男と女はどこか相容れない部分もあるけど、
別にいいじゃん、とでも簡単な気持ちで見る作品ではないが、
どこかコロンブスの卵を観た気がした。

ネタバレBOX

現代で言う、家族論やワークライフバランス、さらには心理学や社会学的な問題を背景に持つ脚本。
女だから、男だから。その役割は?その価値?結婚って何?
信じるとか演技とか、感情を隠すとか、どれが現実なのかとか…

いろいろ混ざった脚本だからこそ、ただたどるだけでも、知っている役者や、観客として選び取った物語を楽しめる。

だけど、本気で物語を伝えるなら、本筋はもっと強く伝わらないといけない。

掛け合いの乾いた感は、書いてある台詞を発声しているだけのような、つまらないモノになってしまう。動きはセリフと空間からひねり出しているのがよくわかる(悪い意味で)。
必要以上の動きで嘘くさくするぐらいなら、動きは最低限にして、台詞を大事にしてあげてください。

あと、宇津木さんが台所にいるのすごく長く感じて、ハケミスかと思った。

月刊陰陽師

月刊陰陽師

白昼夢

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2013/03/20 (水) ~ 2013/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

オンミョージ!!
陰陽師、好きです。
舞台装置、光の使い方、キレのある動き。
ストーリーの展開の中で、時代感を壊しきることなく、楽しめる。
見ていて楽しく、見ごたえのある舞台です。

誰かの囁き

誰かの囁き

中央大学第二演劇研究会

小劇場 楽園(東京都)

2013/03/14 (木) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★

現実を描くものが写実。
演劇っていうと、自分の使いたい設定を用いて、どうにかして、何か世界を描こうとする。だから、「ありえない」嘘をもちいて、現実から目を背けて、芝居により、間接的に伝えようとする。

現実はとてもリアルだし、いらない会話、想像以上の沈黙や無音がある。
意識しないと見えないその世界をどう芝居に持ち込むかというのは、なかなか大変なテーマだと思う。


ネタバレBOX

このようなテーマ、もしくは、描き方にこだわるならば、キャストをもう少し調整しないと、ただお客さまが現実を見るだけならば、やはり公演時間そのものを意識しすぎて、ダラダラした公演にも感じてしまうように感じた。

もっと、あり得なさそうだけどあり得る複雑な人間関係を描いて、「うわ、わかるけどさ、どうすりゃいいんだよ!」
って、ぐらいにしてしまえば、長さは気にならないと思います。
どうしても話が混ざらないように、一つ一つプロットを処理せずに、もっとめんどくさくしても楽しかったと思いました。

ぜひ、また行きたいです。

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